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JP6277053B2 - トルクコンバータ - Google Patents

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JP6277053B2
JP6277053B2 JP2014089263A JP2014089263A JP6277053B2 JP 6277053 B2 JP6277053 B2 JP 6277053B2 JP 2014089263 A JP2014089263 A JP 2014089263A JP 2014089263 A JP2014089263 A JP 2014089263A JP 6277053 B2 JP6277053 B2 JP 6277053B2
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Description

本発明は、トルクコンバータに関する。
従来、弾性体を有する1つのダンパ機構(以下、シングルダンパ機構とも呼ぶ。)を備えるトルクコンバータにおいて、弾性体とタービンランナとの間に、弾性体及び質量体を有するダイナミックダンパが設けられたトルクコンバータが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、径方向において、互いに径方向に近接配置された弾性体を有する2つのダンパ機構(以下、ツインダンパ機構とも呼ぶ。)を備えたトルクコンバータにおいて、2つの弾性体に対し軸方向にはみ出すように、質量体を配置したトルクコンバータが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2011−58557号公報 特表2011−504987号公報
しかしながら、特許文献1においては、シングルダンパ機構にダイナミックダンパが追加されているため、ダイナミックダンパの作動角度を大きくすることは困難であり、ダイナミックダンパの振動減衰効果が限定的であった。
これに対し、特許文献2においては、ダイナミックダンパの振動減衰効果が期待できるが、径方向に近接して2つの弾性体が配置されたツインダンパ機構において、軸方向に2つの弾性体と質量体が並ぶように配置されるため、軸方向において大型化する虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、軸方向の小型化を可能としつつ、ダイナミックダンパの振動減衰効果の高いトルクコンバータを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
駆動軸(例えば、後述の実施形態のクランクシャフト11)に連結されるポンプインペラ(例えば、後述の実施形態のポンプインペラ12)と、従動軸(例えば、後述の実施形態のインプットシャフト13)に連結されるタービンランナ(例えば、後述の実施形態のタービンランナ14)と、を備え、前記ポンプインペラと前記タービンランナとの間に形成された循環路(例えば、後述の実施形態の循環路15)に流体を循環させ、該流体を介して前記ポンプインペラから前記タービンランナに回転動力が伝達されるトルクコンバータ(例えば、後述の実施形態のトルクコンバータ10、10A、10B)であって、
前記従動軸と前記駆動軸とを機械的に結合可能なロックアップクラッチ(例えば、後述の実施形態のロックアップクラッチ17)と、ダンパ機構(例えば、後述の実施形態のダンパ機構18)と、をさらに備え、
前記ダンパ機構は、前記ロックアップクラッチに接続されるとともに中間伝達部材(例えば、後述の実施形態の中間伝達部材20)に接続される第1弾性体(例えば、後述の実施形態の第1弾性体19)と、前記中間伝達部材に接続されるとともに前記従動軸に接続される第2弾性体(例えば、後述の実施形態の第2弾性体21)と、前記中間伝達部材に接続されるダイナミックダンパ(例えば、後述の実施形態のダイナミックダンパ22)と、を備え、
前記中間伝達部材は、タービンランナを含み、
前記タービンランナには、前記第1弾性体から回転動力が伝達される動力入力部材(例えば、後述の実施形態の係止爪46、収容体61)が取り付けられ、
前記ダイナミックダンパは、第3弾性体(例えば、後述の実施形態の第3弾性体23)と、該第3弾性体を介して前記中間伝達部材に連結される質量体(例えば、後述の実施形態の質量体24)とを有し、
前記第1弾性体及び前記第2弾性体は、前記トルクコンバータの軸方向において、前記ロックアップクラッチと前記タービンランナとの間に配置され、
前記第1弾性体と前記第2弾性体とは、前記トルクコンバータの径方向において、回転中心軸線(例えば、後述の実施形態の回転中心軸線O)に対して外側と内側との位置関係となるように互いに間隔を開けて配置され、
前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体は、前記ロックアップクラッチと前記動力入力部材と前記タービンランナとによって囲まれた空間に配置され、
前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体とのうち、少なくとも一方は、前記径方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に配置されている。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、
前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体との両方が、前記径方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に配置され、
前記質量体は、前記径方向において、前記第3弾性体より外側に配置されている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1において、
前記質量体は、前記径方向において、前記第1弾性体より外側に配置され、
前記第3弾性体は、前記径方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に配置されている。
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項において、
前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体とのうち少なくとも一方は、前記軸方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体とのうち前記ロックアップクラッチ側に位置する一方の弾性体のロックアップクラッチ側端縁と前記タービンランナ側に位置する他方の弾性体のタービンランナ側端縁との間に配置されている。
請求項1に記載の発明によれば、ダンパ機構が第1弾性体と第2弾性体とを有するツインダンパであって、中間伝達部材にダイナミックダンパを設けるので、ダイナミックダンパの効果を向上させることができる。また、第1弾性体と第2弾性体との間の動力伝達経路中に中間伝達部材としてタービンランナを介在させることで、径方向において、第1弾性体と第2弾性体との間にスペースが生じ、このスペース内にダイナミックダンパの第3弾性体又は質量体の少なくとも一方を配置することができる。これにより、トルクコンバータを軸方向において小型化できる。
請求項2に記載の発明によれば、トルクコンバータを軸方向のみならず径方向においても小型化できる。
請求項3に記載の発明によれば、質量体を径方向外側に配置することで大きな減衰効果が得られる。また、質量体を径方向内側に配置した場合と同等の減衰効果とした場合、質量体を軽減できるので、トルクコンバータを小型化及び軽量化できる。
請求項4に記載の発明のトルクコンバータによれば、トルクコンバータを軸方向においてさらに小型化できる。
本発明の第1実施形態に係るトルクコンバータを示す断面図である。 図1のトルクコンバータの振動モデルを示す模式図である。 第2実施形態に係るトルクコンバータを示す断面図である。 第3実施形態に係るトルクコンバータを示す断面図である。 ダンパ機構の振動減衰効果を示すグラフである。
以下、本発明に係るトルクコンバータの各実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態のトルクコンバータ10を示す。
本実施形態のトルクコンバータ10は、例えば自動車等の車両に搭載されるトルクコンバータであり、エンジン(図示せず)のクランクシャフト11と、トランスミッション(図示せず)のインプットシャフト13との間に介在し、クランクシャフト11に入力された回転動力をインプットシャフト13に伝達する。
このトルクコンバータ10は、クランクシャフト11に連結されるポンプインペラ12と、クランクシャフト11と同軸上に配置されたインプットシャフト13に連結されるタービンランナ14と、を備えている。ポンプインペラ12とタービンランナ14とは互いに対向して配置され、断面において略紡錘形をなしている。両者の間には、一般にフルードと呼ばれるオイル等の流体を循環させる循環路15が形成されている。この循環路15に流体を循環させ、この流体を介してポンプインペラ12からタービンランナ14に回転動力が伝達される。
さらに、トルクコンバータ10は、ポンプインペラ12とタービンランナ14との間に設けられ、循環路15上に位置するステータ35を備えている。ステータ35は、循環路15を循環する流体の流れの向きを変換し、トルクの増幅を行う。
ポンプインペラ12のシェル26は、タービンランナ14を覆うカバー27に溶接等で接合されている。カバー27の外周面には締結ボス28が円周方向に複数配設されており、これらの締結ボス28にドライブプレート29が締結されている。そして、ドライブプレート29はクランクシャフト11に例えばボルト等の締結手段を介して締結されている。ポンプインペラ12は、カバー27およびドライブプレート29を介してクランクシャフト11に連結され、クランクシャフト11と一体に回転する。
タービンランナ14のシェル30は、インプットシャフト13にスプライン嵌合したタービンハブ31に後述するダンパ機構18を介して接続されている。タービンハブ31とカバー27との間にはスラストベアリング32が設けられている。タービンハブ31には、出力部材55が溶接等で接合され、出力部材55がタービンハブ31と一体に回転するようになっている。
インプットシャフト13の外周には、円筒状のステータシャフト33がインプットシャフト13と同軸に配置されている。ステータシャフト33は、ワンウェイクラッチ34を介してステータ35のハブ36を支承している。ステータシャフト33は、例えばその端部をトランスミッションのケースに固定されて回転しない状態に支持される。尚、ステータ35のハブ36とポンプインペラ12のシェル26との間には、スラストベアリング37が設けられている。
タービンランナ14とカバー27との間には、循環路15と連通した作動室39が形成されている。このトルクコンバータ10は、インプットシャフト13とカバー27とを機械的に結合可能なロックアップクラッチ17を備えており、このロックアップクラッチ17は、作動室39に設けられたクラッチピストン40を有している。クラッチピストン40は、円環状に成形され、その内側にタービンハブ31を挿通させており、回転可能に内周部をタービンハブ31に支持されている。そして、クラッチピストン40は、タービンハブ31の外周面上を軸方向に摺動可能である。
また、クラッチピストン40は、作動室39をタービンランナ14側の内側作動室41と、カバー27側の外側作動室42とに区画しており、両作動室41、42は、クラッチピストン40の外周縁とカバー27の内周面との間に形成されたクリアランス43により互いに連通している。そして、カバー27の内側面に対面するクラッチピストン40の一側面には、環状の摩擦ライニング44が取り付けられている。
そして、トルクコンバータ10には、軸方向においてタービンランナ14とロックアップクラッチ17との間にダンパ機構18が設けられている。
ダンパ機構18は、ロックアップクラッチ17に接続されるとともに中間伝達部材20に接続される第1弾性体19と、中間伝達部材20に接続されるとともに出力部材55を介してインプットシャフト13に接続される第2弾性体21と、中間伝達部材20に接続されるダイナミックダンパ22と、を備える。中間伝達部材20は、タービンランナ14と後述する保持部材53とから構成される。
第1弾性体19は、ロックアップクラッチ17のクラッチピストン40の外周縁部に形成された環状の収容凹部51内において円周方向に並んで複数配設されている。各第1弾性体19は、円周方向もしくは円周の接線方向に弾性変形可能である。第1弾性体19としては、例えばコイルスプリング等が用いられる。そして各第1弾性体19は、クラッチピストン40及びタービンランナ14のシェル30にそれぞれ固着される係止爪45,46により収容凹部51の周方向に沿って挟持される。したがってクラッチピストン40及びタービンランナ14のシェル30が相対回転すると、各第1弾性体19が係止爪45、46間で圧縮されることになる。第1弾性体19の圧縮の反作用として、クラッチピストン40とシェル30には、第1弾性体19の弾性反力が作用し、それによりクラッチピストン40からシェル30に回転動力が伝達される。
第2弾性体21は、出力部材55に円周方向に並んで形成された複数の収容孔47内のそれぞれに配設され、円周方向もしくは円周の接線方向に弾性変形可能である。第2弾性体21としては、例えばコイルスプリング等が用いられる。
保持部材53は、一対の保持部材53a、53bから構成され、それらの内周部にタービンハブ31を挿通させ、径方向内側においてのみタービンハブ31に接合された出力部材55を表裏から挟むように配置されている。そして、一対の保持部材53a、53bは、第2弾性体21を収容した収容孔47の径方向外側および径方向内側において複数の締結部材52によって一体となっている。
出力部材55には、締結部材52を挿通させる貫通孔59が形成されている。各貫通孔59には、一対の保持部材53a、53bの間に介在して両保持部材53a、53bと出力部材55の表裏面との間に隙間を確保する円筒状のスペーサ54が締結部材52と共に挿通されている。そして、各貫通孔59は、円周方向に所定の長さを有しており、締結部材52およびそれに外嵌しているスペーサ54は、貫通孔59内で円周方向に変位可能となっている。よって、出力部材55は、所定の捩り角度の範囲内で、保持部材53及びタービンランナ14に対して相対回転可能である。
そして、タービンランナ14側の保持部材53bは、その内周縁部をタービンランナ14のシェル30の内周縁部に隣接させており、径方向内側の締結部材52は、一対の保持部材53a、53b及び出力部材55と共にタービンランナ14のシェル30も締結している。それにより、保持部材53はタービンランナ14のシェル30と一体に回転するようになっている。
タービンランナ14側の保持部材53bは、タービンハブ31に沿ってシェル30の内周縁部よりもさらに径方向内側に延びており、保持部材53bとステータ35のハブ36との間にはスラストベアリング38が設けられている。
そして、保持部材53には、出力部材55を挟んだ状態で各収容孔47に対応する位置に、第2弾性体21を収容する収容孔56が形成されている。
これによりタービンランナ14のシェル30が回転する際に、シェル30と一体に回転する保持部材53と出力部材55との間で相対回転が生じ、第2弾性体21は、一端が出力部材55の収容孔47の縁に支持されると共に、他端が保持部材53の収容孔56の縁に支持されることにより、出力部材55と保持部材53との間で弾性的に圧縮される。第2弾性体21の圧縮の反作用として、保持部材53と出力部材55とには、第2弾性体21の弾性反力が作用し、それにより保持部材53から出力部材55に回転動力が伝達される。
さらに一対の保持部材53a、53bのうちタービンランナ14側に位置する保持部材53bには、径方向外側に延びて先端部に係止爪58が形成されている。
タービンハブ31には、出力部材55に対し、タービンランナ14側とは反対側、即ち、クラッチピストン40側に、質量体保持部材57がタービンハブ31の外周面上を軸方向に移動不能且つ相対回転可能に設けられている。質量体保持部材57は、保持部材53aとクラッチピストン40との間を径方向外側に延びて、第1弾性体19の径方向内側に位置する外周縁部に環状の収容凹部60が複数形成されている。収容凹部60の径方向外側には、質量体24が溶接等により固着されている。質量体24は、質量体保持部材57と第1弾性体19と係止爪46とシェル30とにより区画された空間に配設されている。質量体24は、第1弾性体19と対向する面が、第1弾性体19に沿って湾曲している。
複数の収容凹部60内には、それぞれに第3弾性体23が配設されている。第3弾性体23は、円周方向もしくは円周の接線方向に弾性変形可能である。第3弾性体23としては、例えばコイルスプリング等が用いられる。
そして各第3弾性体23は、保持部材53b及び質量体保持部材57にそれぞれ固着される係止爪58及び不図示の係止爪により収容凹部60の周方向に沿って挟持される。
これによりタービンランナ14(保持部材53)が回転する際に、保持部材53と質量体保持部材57との間で相対回転が生じ、第3弾性体23は、一端が係止爪58に支持されると共に、他端が不図示の係止爪に支持されることにより、保持部材53と質量体保持部材57との間で弾性的に圧縮される。第3弾性体23の圧縮の反作用として、保持部材53には、第3弾性体23の弾性反力が作用し、それによりダイナミックダンパとしての減衰機能が発揮される。
上述のとおり構成されたトルクコンバータ10は、流体を供給するポンプ(図示せず)に接続され、トルクコンバータ10とポンプとの間で流体の授受が行われる。ポンプから供給される流体は、ポンプインペラ12のシェル26とステータシャフト33およびステータ35のハブ36との間の第1の流路48、もしくはタービンハブ31とカバー27との間の第2の流路49を通して循環路15およびこれに連通している作動室39に流入し、循環路15および作動室39を満たす。第1の流路48と第2の流路49との切り替えは、ポンプ側に設けられた弁を制御してなされる。
作動室39は、両作動室41、42を連通するクリアランス43により内側作動室41と外側作動室42との間で差圧が生じる。
流体が第2の流路49を通して作動室39および循環路15に流入する際には、内側作動室41に比べて外側作動室42が高圧となる。それにより、クラッチピストン40はタービンランナ14側に後退して摩擦ライニング44をカバー27の内側面から離間させる。それにより、ロックアップクラッチ17は切断される。このとき、クランクシャフト11の回転動力は、クランクシャフト11からドライブプレート29およびカバー27を介してポンプインペラ12に伝達され、そして、ポンプインペラ12から循環路15を循環する流体を介してタービンランナ14に伝達され、そして、タービンランナ14(保持部材53)からダンパ機構18の第2弾性体21を介して出力部材55、タービンハブ31、インプットシャフト13へと伝達される。
一方、流体が第1の流路48を通して循環路15および作動室39に流入する際には、外側作動室42に比べて内側作動室41が高圧となる。それにより、クラッチピストン40はカバー27側に前進して摩擦ライニング44をカバー27の内側面に摩擦係合させる。それにより、ロックアップクラッチ17が繋がれ、インプットシャフト13がクランクシャフト11に直結されてロックアップされる。このとき、クランクシャフト11の回転動力は、クランクシャフト11からドライブプレート29、カバー27、ロックアップクラッチ17、ダンパ機構18の第1弾性体19を介してタービンランナ14に伝達され、タービンランナ14(保持部材53)からダンパ機構18の第2弾性体21を介して出力部材55、タービンハブ31、インプットシャフト13へと伝達される。このように、ロックアップによりインプットシャフト13がクランクシャフト11に直結され、換言すれば流体を介することなく機械的に連結されている状態となり、流体の滑りに起因した伝達ロスをなくすことができる。
また、タービンランナ14のシェル30と一体に回転する保持部材53には、第3弾性体23を介して質量体24が設けられている。ロックアップされた状態では、クランクシャフト11の捩り振動は、回転動力と同一の経路を経てクランクシャフト11に伝達される。図2を参照して、カバー27と出力部材55との動力伝達経路上には、カバー27とクラッチピストン40との間にロックアップクラッチ17が設けられ、タービンランナ14と保持部材53とから構成される中間伝達部材20を挟んで上流側に第1弾性体19、下流側に第2弾性体21が設けられており、中間伝達部材20にさらに第3弾性体23と質量体24とから構成されるダイナミックダンパ22が設けられているので、中間伝達部材20には位相遅れもしくは逆位相の振動が励起される。それにより、インプットシャフト13に伝達される振動は減衰され、もしくは打ち消される。
図5は、点線が第1実施形態のトルクコンバータ10における減衰率を示し、実線はダイナミックダンパ22を有していないツインダンパ機構のトルクコンバータにおける減衰率を示している。
図5から明らかなように、第1実施形態のトルクコンバータ10によれば、ダイナミックダンパ22を有していないツインダンパ機構のトルクコンバータに比べて、大きな減衰率が得られる。
ここで、ダイナミックダンパ22の配置、特に第1弾性体19及び第2弾性体21との関係ついてより詳細に説明する。
第1弾性体19及び第2弾性体21は、トルクコンバータ10の軸方向において、ロックアップクラッチ17とタービンランナ14との間に軸方向において一部がオーバーラップするように配置され、第1弾性体19と第2弾性体21とは、トルクコンバータ10の径方向において、回転中心軸線Oに対して外側と内側との位置関係となるように互いに間隔を開けて配置されている。
ダイナミックダンパ22を構成する第3弾性体23及び質量体24は第1弾性体19の最外径部と第2弾性体21の最内径部との間に配置され、さらに第3弾性体23と質量体24との内、第3弾性体23は、径方向において、第1弾性体19と第2弾性体21との間、即ち、第1弾性体19の最内径部と第2弾性体21の最外径部との間に配置されている。
また、第3弾性体23は、軸方向において、第1弾性体19と第2弾性体21とのうちロックアップクラッチ17側に位置する第1弾性体19のロックアップクラッチ17側端縁とタービンランナ14側に位置する第2弾性体21のタービンランナ14側端縁との間に、第1弾性体19と第2弾性体21のオーバーラップ部分を跨ぐように配置されている。
このように、第1弾性体19と第2弾性体21との間の動力伝達経路中に中間伝達部材20としてタービンランナ14を介在させることで、径方向において、第1弾性体19と第2弾性体21との間にスペースが生じ、このスペース内にダイナミックダンパ22の第3弾性体23を配置することができる。これにより、トルクコンバータ10を軸方向において小型化できる。なお、第1弾性体19と第2弾性体21との間に第3弾性体23の代わりに質量体24を配設してもよく、第3弾性体23と質量体24の両方を配設してもよい。
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態のトルクコンバータ10Aについて、図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態のトルクコンバータ10と同一又は同様の部分には、同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
このトルクコンバータ10Aにおいては、タービンランナ14のシェル30に第1弾性体19を収容する収容凹部51を有する収容体61が溶接等により接合されており、クラッチピストン40とカバー27との間に、両面に摩擦ライニング44が取り付けられた断面L字状の円板プレート63が設けられている。円板プレート63には、外周端部から第1弾性体19に向かって係止爪45が延びている。第1弾性体19は、一端が係止爪45に支持されると共に、他端が収容体61に固着される係止爪(不図示)に支持されることにより、円板プレート63とタービンランナ14のシェル30との間で弾性的に圧縮される。
また、タービンランナ14側の保持部材53bには、径方向外側に延びて先端部に第3弾性体23を収容する収容凹部65が一体に形成されている。質量体保持部材57には、外周端部から第3弾性体23に向かって係止爪58が延びている。
質量体保持部材57は、保持部材53aとクラッチピストン40との間を径方向外側に延びて、外周縁部に質量体24がリベット等により固着されている。質量体24は、質量体保持部材57と第1弾性体19と係止爪45と収容体61とにより区画された空間に配設されている。
このように構成されたトルクコンバータ10Aにおいても、タービンランナ14(保持部材53)が回転する際に、保持部材53と質量体保持部材57との間で相対回転が生じ、第3弾性体23は、一端が係止爪58に支持されると共に、他端が不図示の係止爪に支持されることにより、保持部材53と質量体保持部材57との間で弾性的に圧縮される。第3弾性体23の圧縮の反作用として、保持部材53には、第3弾性体23の弾性反力が作用し、それによりダイナミックダンパとしての減衰機能が発揮される。第2実施形態のトルクコンバータ10Aにおいても、図5に点線で示した第1実施形態のトルクコンバータ10における減衰率と同等の減衰が得られる。
また、第1弾性体19及び第2弾性体21は、トルクコンバータ10Aの軸方向において、ロックアップクラッチ17とタービンランナ14との間に軸方向において一部がオーバーラップするように配置され、第1弾性体19と第2弾性体21とは、トルクコンバータ10Aの径方向において、回転中心軸線Oに対して外側と内側との位置関係となるように互いに間隔を開けて配置されている。
ダイナミックダンパ22を構成する第3弾性体23及び質量体24は第1弾性体19の最外径部と第2弾性体21の最内径部との間に配置され、さらに第3弾性体23と質量体24との内、第3弾性体23は、径方向において、第1弾性体19と第2弾性体21との間、即ち、第1弾性体19の最内径部と第2弾性体21の最外径部との間に配置されている。
また、第3弾性体23は、軸方向において、第1弾性体19と第2弾性体21とのうちロックアップクラッチ17側に位置する第2弾性体21のロックアップクラッチ17側端縁とタービンランナ14側に位置する第1弾性体19のタービンランナ14側端縁との間に、第1弾性体19と第2弾性体21のオーバーラップ部分を跨ぐように配置されている。したがって、本実施形態においても、第1実施形態のトルクコンバータ10と同様の作用効果が得られる。
<第3実施形態>
次に本発明の第3実施形態のトルクコンバータ10Bについて、図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、第1実施形態のトルクコンバータ10と同一又は同様の部分には、同一の符号を付けて詳細な説明を省略する。
このトルクコンバータ10Bにおいては、タービンランナ14のシェル30に第1弾性体19を収容する収容凹部51を有する収容体61が溶接等により接合されており、クラッチピストン40とカバー27との間に、両面に摩擦ライニング44が取り付けられた断面L字状の円板プレート63が設けられている。円板プレート63には、外周端部から第1弾性体19に向かって係止爪45が延びている。第1弾性体19は、一端が係止爪45に支持されると共に、他端が収容体61に固着される係止爪(不図示)に支持されることにより、円板プレート63とタービンランナ14のシェル30との間で弾性的に圧縮される。
また、保持部材53には、中継部材70を挟んだ状態で第3弾性体23を収容する中継部材70の収容孔71に対応する位置に、第3弾性体23を収容する収容孔67が径方向外側に形成されている。中継部材70は、所定の捩り角度の範囲内で、保持部材53に対して相対回転可能であり、第3弾性体23は、保持部材53と中継部材70との間で弾性的に圧縮される。中継部材70の径方向外側端部はクラッチピストン40側に向かって延び、質量体保持部材57と係合するようになっている。
質量体保持部材57は、円板プレート63の係止爪45よりも径方向外側に延びて、カバー27の内周面と対向するように外周縁部に質量体24が固着されている。質量体24は、質量体保持部材57と第1弾性体19とカバー27とにより区画された空間に配設されている。
このように構成されたトルクコンバータ10Bにおいても、タービンランナ14(保持部材53)が回転する際に、保持部材53と中継部材70及び質量体保持部材57との間で相対回転が生じ、第3弾性体23は、中継部材70の収容孔71の縁に支持されると共に、他端が保持部材53の収容孔67の縁に支持されることにより、中継部材70と保持部材53との間で弾性的に圧縮される。第3弾性体23の圧縮の反作用として、保持部材53には、第3弾性体23の弾性反力が作用し、それによりダイナミックダンパとしての減衰機能が発揮される。
また、第1弾性体19及び第2弾性体21は、トルクコンバータ10Bの軸方向において、ロックアップクラッチ17とタービンランナ14との間に軸方向において一部がオーバーラップするように配置され、第1弾性体19と第2弾性体21とは、トルクコンバータ10Bの径方向において、回転中心軸線Oに対して外側と内側との位置関係となるように互いに間隔を開けて配置されている。
ダイナミックダンパ22を構成する第3弾性体23は第1弾性体19の最外径部と第2弾性体21の最内径部との間に配置され、さらに第3弾性体23は、径方向において、第1弾性体19の最内径部と第2弾性体21の最外径部との間に配置されている。また、第3弾性体23は、軸方向において、第1弾性体19と第2弾性体21とのうちロックアップクラッチ17側に位置する第2弾性体21のロックアップクラッチ17側端縁とタービンランナ14側に位置する第1弾性体19のタービンランナ14側端縁との間に配置されている。
さらに、質量体24は、第1弾性体19より径方向外側、より具体的には、第1弾性体19の最内径部よりも径方向外側に配置されているので、第1及び第2実施形態のトルクコンバータ10、10Aよりも大きな減衰効果が得られる。図5に一点鎖線で示した減衰率は、第3実施形態のトルクコンバータ10Bの減衰率を示している。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
10、10A、10B トルクコンバータ
11 クランクシャフト(駆動軸)
12 ポンプインペラ
13 インプットシャフト(従動軸)
14 タービンランナ
15 循環路
17 ロックアップクラッチ
18 ダンパ機構
19 第1弾性体
20 中間伝達部材
21 第2弾性体
22 ダイナミックダンパ
23 第3弾性体
24 質量体
O 回転中心軸線

Claims (4)

  1. 駆動軸に連結されるポンプインペラと、従動軸に連結されるタービンランナと、を備え、前記ポンプインペラと前記タービンランナとの間に形成された循環路に流体を循環させ、該流体を介して前記ポンプインペラから前記タービンランナに回転動力が伝達されるトルクコンバータであって、
    前記従動軸と前記駆動軸とを機械的に結合可能なロックアップクラッチと、ダンパ機構と、をさらに備え、
    前記ダンパ機構は、前記ロックアップクラッチに接続されるとともに中間伝達部材に接続される第1弾性体と、前記中間伝達部材に接続されるとともに前記従動軸に接続される第2弾性体と、前記中間伝達部材に接続されるダイナミックダンパと、を備え、
    前記中間伝達部材は、タービンランナを含み、
    前記タービンランナには、前記第1弾性体から回転動力が伝達される動力入力部材が取り付けられ、
    前記ダイナミックダンパは、第3弾性体と、該第3弾性体を介して前記中間伝達部材に連結される質量体とを有し、
    前記第1弾性体及び前記第2弾性体は、前記トルクコンバータの軸方向において、前記ロックアップクラッチと前記タービンランナとの間に配置され、
    前記第1弾性体と前記第2弾性体とは、前記トルクコンバータの径方向において、回転中心軸線に対して外側と内側との位置関係となるように互いに間隔を開けて配置され、
    前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体は、前記ロックアップクラッチと前記動力入力部材と前記タービンランナとによって囲まれた空間に配置され、
    前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体とのうち、少なくとも一方は、前記径方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に配置されている、トルクコンバータ。
  2. 請求項1に記載のトルクコンバータであって、
    前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体との両方が、前記径方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に配置され、
    前記質量体は、前記径方向において、前記第3弾性体より外側に配置されている、トルクコンバータ。
  3. 請求項1に記載のトルクコンバータであって、
    前記質量体は、前記径方向において、前記第1弾性体より外側に配置され、
    前記第3弾性体は、前記径方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体との間に配置されている、トルクコンバータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のトルクコンバータであって、
    前記ダイナミックダンパを構成する前記第3弾性体と前記質量体とのうち少なくとも一方は、前記軸方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体とのうち前記ロックアップクラッチ側に位置する一方の弾性体のロックアップクラッチ側端縁と前記タービンランナ側に位置する他方の弾性体のタービンランナ側端縁との間に配置されている、トルクコンバータ。
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