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JP6276115B2 - 金属製スポンジ状立体編地 - Google Patents

金属製スポンジ状立体編地 Download PDF

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JP6276115B2 JP2014121540A JP2014121540A JP6276115B2 JP 6276115 B2 JP6276115 B2 JP 6276115B2 JP 2014121540 A JP2014121540 A JP 2014121540A JP 2014121540 A JP2014121540 A JP 2014121540A JP 6276115 B2 JP6276115 B2 JP 6276115B2
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Description

本発明は、圧縮力が作用するような使用環境下であって、場合によっては高温雰囲気下などであっても、圧縮力が解除されると常にスポンジ状の立体的なふんわり状態に形状回復する特性を備えて、豊富な伸縮性や緩衝性を発現できるものとなっている金属製スポンジ状立体編地に関する。
2本の繊維糸を撚り合わせて成る双糸でニット編みした編地として、双糸のうちの1本を50μm以下のステンレス鋼繊維としたものが提案されている(特許文献1参照)。この編地は、ステンレス鋼繊維を用いていることで耐熱性があり、また編地特有のしなやかさを発現できるので、例えば、曲面ガラスを加熱成形する場合に用いる成形型の成形面に貼り付けることができるものとされている。
なお、双糸の使用を限定している理由は、「各繊維糸の撚り方向(下撚り方向)と、双糸の撚り方向(上撚り方向)とを逆向きとすることにより編込み時や、編布での糸のねじれを防止する」ためと説明されている(特許文献1の[0018]参照)。要するに、双糸を用いなければ糸のよじれを原因とする不具合が生じ、編地としては成立しないことを意味している。
実公平7−48655号公報
編地は、特有のしなやかさにより物品を包んだり敷物としたりするのに便利であり、また厚さが薄いためにスペース的な浪費を極小に抑えられ、軽量でもあるといった各種の利点がある。そこでこれらの利点を活かしつつ、この編地により、乾燥や加熱を行う温度雰囲気下、或いはそれよりも高温の高温雰囲気下で振動や衝撃を吸収する緩衝材を製造することができないかとの要求があった。
ところで、緩衝材として最も必要とされる特性は、厚さ方向へ圧縮されたときの弾力性(反発力)と形状回復性である。要するに、恰もスポンジのように「ふんわり」した構造とすることが必要になる。しかしながら、このような特性を編地によって実現させることは、殊に耐熱性をも持たせようとするうえでは非常に困難となり、従来は不可能とされているのが実情である。
なお、ステンレス鋼繊維を用いた双糸でニット編みした前記従来の編地(特許文献1)では、双糸の使用が必須不可欠とされているためにループ相互の絡み合いに自由度がなく、伸縮性も乏しくなっている。また編組織の度目(1/2インチあたりのウエール数及びコース数の和)が詰まる(密になる)傾向にある。そのためこれらが要因となり、編地が厚さ方向に圧縮力を受けると、各ループが圧縮された形体で絡まり、編地全体として厚さ方向に潰れた状態で固定されて元の形状には二度と回復しないことが起こる。要するに、編成時に、仮にボリュウム(ふんわりした状態)を持たせることができたとしても、一度でも厚さ方向に圧縮力を受ければ直ちに薄く偏平化された状態に陥り、ボリュウムを維持できないということである。また、カバーファクター(ループが単位面積の編地を被覆する割合)が大きくなる傾向にあり、偏平化の変形を起こすことによって厚さ方向に作用する衝撃を充分に吸収できないおそれが生じる。
この従来の編地が厚さ方向で潰れて均一厚さとなる点を特徴としており、この特徴を活かして曲面ガラスを製造する成形型に使用していることが何よりの証左である。すなわち、この従来の編地は、厚さ方向の弾力性や形状回復性を備えさせることができないため、緩衝材には不適合であることに疑いの余地はない。
とは言え、単に双糸を単糸に代えるだけでは、スポンジのように「ふんわり」した構造の編地を得ることはできず、のみならず、厚さ方向の弾力性や形状回復性を備えさせたも
のとすることはできない。また、前記の如く特許文献1でも説明されているように、双糸を単糸に代えると糸のよじれを原因とする不具合が生じ、編地として成立しない重大問題に繋がるのである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、圧縮力が作用するような使用環境下であって、場合によっては高温雰囲気下などであっても、圧縮力が解除されると常にスポンジ状の立体的なふんわり状態に形状回復する特性を備えて、豊富な伸縮性や緩衝性を発現できるものとなっている金属製スポンジ状立体編地を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る金属製スポンジ状立体編地は、ループ形を保持する弾性復元力を備えた金属線により、空隙率98.5%以上で且つ線径の20倍以上の編地厚が確保されるように編成された編地本体を有しており、前記編地本体において厚み方向に0.7kPaで10秒加圧、19.6kPaで60秒加圧、除圧60秒、0.7kPaで10秒加圧をこの順番に行う圧縮弾性試験(JIS L−1096)において弾性率が90%以上とされていることを特徴とする。
前記編地本体は、前記圧縮弾性試験において19.6kPaで60秒加圧時(最大加圧時)の圧縮率が48%以上とするのがよい。
なお、編地厚の測定は、0.7kPaで10秒加圧を行う際に行うものとする。
前記編地本体は、一対の針床により編成されることによりスムース編、ゴム編又はそれらの変化組織(例えば、ミラノリブや段ボールニットなど)とすることができる。
前記編地本体は、ダイヤル及びシリンダを備えた丸編機によりダイヤルループ面とシリンダループ面とを備えて編成されており、これらダイヤルループ面とシリンダループ面との間を乖離させることにより金属線の線径の20倍以上の編地厚に形成することが好ましい。なお、ダイヤルループ面とシリンダループ面との間を乖離させる(編地厚を厚くさせる)ためには、例えば丸編機において、ダイヤルとシリンダとの上下間(釜間)を広げる方法等を採用すればよい。
前記金属線は、タングステン又はその合金若しくはステンレスとすることができる。なお、モリブデン、鉄、ニッケル、クロム、タンタル、コバルト、チタンのいずれか一つ又はそれらの合金としてもよい。
前記金属線には、ヤング率10×1010N/m2以上のものを用いるのが好適である。
前記金属線は、線径が10μm以上300μm以下とするのが好適である。
本発明に係る金属製スポンジ状立体編地は、圧縮力が作用するような使用環境下であって、場合によっては高温雰囲気下などであっても、圧縮力が解除されると常にスポンジ状の立体的なふんわり状態に形状回復する特性を備えて、豊富な伸縮性や緩衝性を発現できるものとなっている。なお、面方向に沿った伸縮性が良好であり、柔軟な可撓性をも備えるために、曲面等に合わせて使用する場合にも適したものとなる。
(a)は本発明に係る金属製スポンジ状立体編地の実施例1についてその編組織を示した断面写真であり(b)は(a)の断面構造(厚さ方向)を示した模式図である。 (a)は本発明に係る金属製スポンジ状立体編地の実施例2についてその編組織を示した断面写真であり(b)は(a)の断面構造(厚さ方向)を示した模式図である。 (a)は本発明に係る金属製スポンジ状立体編地の実施例3についてその編組織を示した断面写真であり(b)は(a)の断面構造(厚さ方向)を示した模式図である。 (a)は本発明に係る金属製スポンジ状立体編地の実施例4についてその編組織を示した断面写真であり(b)は(a)の断面構造(厚さ方向)を示した模式図である。 (a)は本発明に係る金属製スポンジ状立体編地に対する比較例1についてその編組織を示した断面写真であり(b)は(a)の断面構造(厚さ方向)を示した模式図である。 (a)は本発明に係る金属製スポンジ状立体編地に対する比較例2についてその編組織を示した断面写真であり(b)は(a)の断面構造(厚さ方向)を示した模式図である。 (a)は本発明に係る金属製スポンジ状立体編地に対する比較例3についてその編組織を示した断面写真であり(b)は(a)の断面構造(厚さ方向)を示した模式図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
本発明に係る金属製スポンジ状立体編地は、タングステンなどの金属線により編成されている。編機には、ダイヤル及びシリンダを備えたダブルの丸編機などを使用するものとしてあり、編組織としてスムース編、ゴム編又はそれらの変化組織(例えば、ミラノリブや段ボールニットなど)が得られるようにしてある。なお、以下では、編成された編地のうち本発明が目的とする特性を有した領域につき、特に「編地本体」と呼ぶことにする。
編地本体の編組織は、前記したようにスムース編、ゴム編又はそれらの変化組織となっており、その空隙率は98.5%以上とされ、且つ編地厚は線径の20倍以上に確保されている。なお、ダイヤルループ面とシリンダループ面との間を乖離させる(編地厚を厚くさせる)ためには、例えば丸編機において、ダイヤルとシリンダとの上下間(釜間)を広げる方法等を採用すればよい。
空隙率が98.5%に満たない場合や編地厚が線径の20倍に満たない場合は、厚み方向の変化量が乏しく、緩衝効果を期待することはできない。また、衝撃のエネルギーを運動エネルギー及び物質の変形に転換できないことから、衝撃吸収力が不足することになる。
編地本体は、ダブルの丸編機を使用して編成しているので、ダイヤルループ面とシリンダループ面とを備えており、これらダイヤルループ面とシリンダループ面との間を乖離させることにより、所定の編地厚が得られるようにしてある。すなわち、ダイヤルループ面やシリンダループ面のそれぞれにおいて、金属線の線径やループの大きさ、編み組織などの組み合わせだけでは厚みを増大できないところを、ダイヤルループ面とシリンダループ面との間の乖離寸法で確保するということである。
金属線には、ヤング率18×1010N/m2以上のものを用いるのが好適とされる。また、金属線は、線径が10μm以上300μm以下とするのが好適とされる。
このような金属線を用いることで、編地本体は、圧縮弾性試験(JIS L−1096)において90%以上の弾性率を発現するものとされる。すなわち、この弾性率を備えることで、ループ形が必要十分な弾性復元力によって保持されるものとされ、もって所定の編地厚が確保されるものとなっている。なお、ヤング率が18×1010N/m2を下まわるような金属線では、丸編機においてダイヤルとシリンダとの上下間(釜間)を広げたときに、金属線が塑性変形しやすく、充分な弾性効果を期待できないことになる。
なお、前記した圧縮弾性試験(JIS L−1096)は、編地本体において厚み方向に0.7kPaで10秒加圧、19.6kPaで60秒加圧、除圧60秒、0.7kPaで10秒加圧をこの順番に行うものと規定されている。
編地本体は、前記圧縮弾性試験において19.6kPaで60秒加圧時(最大加圧時)の圧縮率が48%以上とするのがよい。
なお、編地厚の測定は、0.7kPaで10秒加圧を行う際に行うものとする。
(実施例1)
金属線には線径12μmのタングステンを用いた。
編機には、22ゲージのスムース丸編機を使用し、フルニードル(全ての編成針を動作させる設定)でスムース編を編みたてた。空隙率は99.7%、編地厚/線径は56.2
5倍であった。
なお、「ゲージ」はシリンダにおける1インチ当たりの針床数である。
本実施例1の断面写真を図1(a)に示し、その編組織の模式図(断面構造)を図1(b)に示す。
(実施例2)
金属線には線径35μmのタングステンを用いた。
編機には、21ゲージのスムース丸編機を使用し、ハーフニードル(1本おきの編成針のみを動作させる設定)でスムース編を編みたてた。空隙率は99.5%、編地厚/線径は51.43倍であった。
本実施例2の断面写真を図2(a)に示し、その編組織の模式図(断面構造)を図2(b)に示す。
(実施例3)
金属線には線径35μmのタングステンを用いた。
編機には、21ゲージのスムース丸編機を使用し、ハーフニードルでゴム編を編みたてた。空隙率は99.7%、編地厚/線径は39.71倍であった。
本実施例3の断面写真を図3(a)に示し、その編組織の模式図(断面構造)を図3(b)に示す。
(実施例4)
金属線には線径70μmのチタンを用いた。
編機には、21ゲージのスムース丸編機を使用し、ハーフニードルでゴム編を編みたてた。空隙率は98.6%以上、編地厚/線径は21.21倍であった。
本実施例4の断面写真を図4(a)に示し、その編組織の模式図(断面構造)を図4(b)に示す。
(比較例1)
金属線には線径50μmの銅を用いた。
編機には、21ゲージのスムース丸編機を使用し、ハーフニードルでゴム編を編みたてた。空隙率は98.2%、編地厚/線径は16.30倍であった。
本比較例1の断面写真を図5(a)に示し、その編組織の模式図(断面構造)を図5(b)に示す。
(比較例2)
金属線には、線径35μmのタングステンを用いた。
編機には、22ゲージのスムース丸編機を使用し、フルニードルでスムースを編みたてた。空隙率は98.2%、編地厚/線径は23.14倍であった。
本比較例2の断面写真を図6(a)に示し、その編組織の模式図(断面構造)を図6(b)に示す。
(比較例3)
金属線には、線径35μmのステンレス(SUS304)を用いた。
編機には、22ゲージのスムース丸編機を使用し、フルニードルでスムースを編みたてた。空隙率は96.2%、編地厚/線径は25.43倍であった。
本比較例3の断面写真を図7(a)に示し、その編組織の模式図(断面構造)を図7(b)に示す。
(まとめ)
以上の実施例1〜4及び比較例1〜3についての諸元を表1に示す。
表1中の「圧縮率」及び「弾性率」は前記した圧縮弾性試験(JIS L−1096)により求めている。この圧縮弾性試験において、試料に対する加圧面積は5cm2とした。
表1から明らかなように、本発明に係る金属製スポンジ状立体編地である実施例1〜4では、いずれも圧縮率が48.5%以上あり、弾性率は90%以上となっている。これに対し、比較例1〜3では、圧縮率が30%を下回るようなものもあり、厚み方向の変化量
が乏しいことが明らかである。また、比較例1〜3では、弾性率が80%を下回るものもあり、厚さ方向で十分な形状回復が起こらないものであることが明らかである。このようなものでは当然に、緩衝効果は不充分となる。
なお、比較例2では、空隙率が90%を超え、弾性率も80%を超えている。しかし、編地厚/線径は僅かに16.30倍に過ぎず、よって十分な緩衝効果を期待することはできないことが明らかである。
ところで、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、金属線は、タングステンやその合金、又はステンレスとする他にも、タングステン、モリブデン、鉄、ニッケル、クロム、タンタル、コバルト、チタンのいずれか一つ又はそれらの合金としてもよい。
編地本体の編み組織をスムース編、ゴム編又はそれらの変化組織とするうえでは、一対の針床を備えた編機であればよいので、ダブルの丸編機に限定されるものではなく、ダブルの横編機などを使用してもよい。
本発明に係る金属製スポンジ状立体編地は緩衝材としての用途が限定されるものではなく、例えば、編地厚さを分厚くしたい(ボリュウムを出したい)箇所や、熱や音等を遮断又は伝導抑制したい箇所などでの使用も当然に可能である。
また、本発明に係る金属製スポンジ状立体編地は、金属線のみによって編成する場合に限らず、ポリマーによって形成された繊維と交編してもよい。

Claims (7)

  1. ループ形を保持する弾性復元力を備えた金属線により、空隙率98.5%以上で且つ線径の20倍以上の編地厚が確保されるように編成された編地本体を有しており、
    前記編地本体において厚み方向に0.7kPaで10秒加圧、19.6kPaで60秒加圧、除圧60秒、0.7kPaで10秒加圧をこの順番に行う圧縮弾性試験において弾性率が90%以上とされていることを特徴とする金属製スポンジ状立体編地。
  2. 前記編地本体は、前記圧縮弾性試験において19.6kPaで60秒加圧時の圧縮率が48%以上とされていることを特徴とする請求項1記載の金属製スポンジ状立体編地。
  3. 前記編地本体は、一対の針床により編成されることによりスムース編、ゴム編又はそれらの変化組織とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金属製スポンジ状立体編地。
  4. 前記編地本体は、ダイヤル及びシリンダを備えた丸編機によりダイヤルループ面とシリンダループ面とを備えて編成されており、これらダイヤルループ面とシリンダループ面との間を乖離させることにより金属線の線径の20倍以上の編地厚に形成してあることを特徴とする請求項3記載の金属製スポンジ状立体編地。
  5. 前記金属線は、タングステン又はその合金若しくはステンレスであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属製スポンジ状立体編地。
  6. 前記金属線には、ヤング率10×1010N/m2以上のものが用いられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金属製スポンジ状立体編地。
  7. 前記金属線は、線径が10μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金属製スポンジ状立体編地。
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