本発明の技術的思想は、あらゆる作業車両に適用することが可能である。以下では、代表的な作業車両であるトラクタを用いて説明する。
まず、トラクタ1について簡単に説明する。
図1は、トラクタ1を示している。図2は、図1の矢印Xから見た図であり、図3は、図1の矢印Yから見た図である。また、図4は、図1の矢印Zから見た図である。なお、図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
トラクタ1は、主に、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン16を備えている。キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている(図13参照)。
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13やリヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン12は、フレーム11によって支持される。
エンジン12は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、エンジン制御装置が接続されている(図示せず)。エンジン制御装置は、オペレータがアクセルペダル162(図13参照)を操作すると、その操作に応じてエンジン12の運転状態を変更する。また、エンジン12には、排気浄化装置12Eが備えられている。排気浄化装置12Eは、排気に含まれる微粒子や一酸化炭素、炭化水素などを酸化させる。
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。トランスミッション13には、連結機構を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、無段変速装置33が備えられている(図5参照)。無段変速装置33は、オペレータがシフトレバー163(図13参照)を操作すると、その操作に応じてトランスミッション13の作動状態を変更する。
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、オペレータがハンドル164(図13参照)を操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル15には、PTO出力装置が設けられている(図示せず)。PTO出力装置は、オペレータがPTOスイッチ165(図13参照)を操作すると、その操作に応じて牽引する作業機械に回転動力を伝達する。また、リヤアクスル15には、リンク機構36が設けられている(図7参照)。リンク機構36については後述する。
次に、トラクタ1の回転動力伝達系統について説明する。
図5は、トラクタ1の回転動力伝達系統を示している。図6は、無段変速装置33を示している。
トラクタ1の回転動力伝達系統は、主に、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。ここでは、トランスミッション13の構造に着目して説明する。
トランスミッション13は、無段変速装置33と、前後進切換装置34と、副変速装置35と、を備えている。
無段変速装置33は、入力シャフト331と出力シャフト332の回転速度の比を連続的に変更できる。入力シャフト331は、回転自在に支持されたプランジャブロック333に連結されている。プランジャブロック333は、高圧の作動油を送り出し、油圧ポンプ33Pとしての機能を果たす。出力シャフト332は、回転自在に支持されたモータケース334に連結されている。モータケース334は、高圧の作動油を受けることによって回転し、油圧モータ33Mとして機能を果たす。なお、出力シャフト332には、前進駆動ギヤ335と後進駆動ギヤ336が取り付けられている。
前後進切換装置34は、前進用クラッチ341と後進用クラッチ342を互いに独立して作動できる。前進用クラッチ341は、前進駆動ギヤ335に噛み合う前進従動ギヤ343を有している。前進用クラッチ341は、作動することにより、出力シャフト332の回転動力をセンターシャフト345に伝達する。後進用クラッチ342は、リバースギヤを介して後進駆動ギヤ336に噛み合う後進従動ギヤ344を有している。後進用クラッチ342は、作動することにより、出力シャフト332の回転動力をセンターシャフト345に伝達する。なお、センターシャフト345には、超低速駆動ギヤ346と一速駆動ギヤ347と二速駆動ギヤ348が取り付けられている。
副変速装置35は、超低速クラッチ351と一速クラッチ352と二速クラッチ353を互いに独立して作動できる。超低速クラッチ351は、超低速駆動ギヤ346に噛み合う超低速従動ギヤ354を有している。超低速クラッチ351は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。一速クラッチ352は、一速駆動ギヤ347に噛み合う一速従動ギヤ355を有している。一速クラッチ352は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。二速クラッチ353は、二速駆動ギヤ348に噛み合う二速従動ギヤ356を有している。二速クラッチ353は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。なお、カウンタシャフト357には、フロントドライブギヤ358とリヤドライブギヤ359が取り付けられている。
このような構造により、カウンタシャフト357の回転動力は、フロントアクスル14を介してフロントタイヤ141に伝達される。また、カウンタシャフト357の回転動力は、リヤアクスル15を介してリヤタイヤ151に伝達される。
次に、トラクタ1のリンク機構36について説明する。
図7は、トラクタ1のリンク機構36を示している。以下では、リンク機構36にロータリー10が取り付けられた状態を想定する。なお、図8は、ロータリー10の高さ自動制御を示している。図9は、ロータリー10の傾き自動制御を示している。
リンク機構36は、ロータリー10の高さ自動制御や傾き自動制御を実現できる。リンク機構36は、トップブラケット361と、トップリンク362と、を具備している。また、リンク機構36は、ロワブラケット363と、ロワリンク364と、を具備している。更に、リンク機構36は、リフトアーム365と、昇降用アクチュエータ366と、リフトリンク367と、傾倒用アクチュエータ368と、を具備している。
トップブラケット361は、リヤアクスル15の後部に取り付けられている。トップブラケット361は、互いに平行となる二枚のプレートを溶接したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
トップリンク362は、トップブラケット361のヒンジ部に取り付けられている。トップリンク362は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とトップブラケット361のピン孔を重ね合わせた状態でピンP1が挿入されることにより、該ピンP1を中心として回動自在に連結されている。また、トップリンク362は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とロータリー10のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。
ロワブラケット363は、リヤアクスル15の下部に取り付けられている。ロワブラケット363は、互いに平行となる二枚のプレートを溶接したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
ロワリンク364は、ロワブラケット363のヒンジ部に取り付けられている。ロワリンク364は、基端部に設けられたピン孔とロワブラケット363のピン孔を重ね合わせた状態でピンP2が挿入されることにより、該ピンP2を中心として回動自在に連結されている。また、ロワリンク364は、先端部に取り付けられたフックがロータリー10のロッド(図示せず)に掛けられることにより、該ロッドを中心として回動自在に連結されている。
リフトアーム365は、リヤアクスル15の側部に取り付けられている。リフトアーム365は、基端部に設けられたピン孔にリヤアクスル15のピンP3が嵌め込まれることにより、該ピンP3を中心として回動自在に連結されている。また、リフトアーム365は、先端部にクレビスが形成されており、該クレビスにユニバーサルジョイント365Jが取り付けられている。
昇降用アクチュエータ366は、リフトアーム365の中央部に取り付けられている。昇降用アクチュエータ366は、シリンダに取り付けられたクレビスのピン孔とリフトアーム365のピン孔を重ね合わせた状態でピンP4が挿入されることにより、該ピンP4を中心として回動自在に連結されている。また、昇降用アクチュエータ366は、ピストンロッドに取り付けられたクレビスのピン孔とロワブラケット363のピン孔を重ね合わせた状態でピンP5が挿入されることにより、該ピンP5を中心として回動自在に連結されている。
リフトリンク367は、左側のリフトアーム365とロワリンク364に取り付けられている。リフトリンク367は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイント365Jのピン孔を重ね合わせた状態でピンP6が挿入されることにより、該ピンP6を中心として回動自在に連結されている。また、リフトリンク367は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク364のピン孔を重ね合わせた状態でピンP7が挿入されることにより、該ピンP7を中心として回動自在に連結されている。
傾倒用アクチュエータ368は、右側のリフトアーム365とロワリンク364に取り付けられている。傾倒用アクチュエータ368は、シリンダに取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイント365Jのピン孔を重ね合わせた状態でピンP8が挿入されることにより、該ピンP8を中心として回動自在に連結されている。また、傾倒用アクチュエータ368は、ピストンロッドに取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク364のピン孔を重ね合わせた状態でピンP9が挿入されることにより、該ピンP9を中心として回動自在に連結されている。
このような構造により、昇降用アクチュエータ366のピストンロッドが摺動して押し出されると(昇降用アクチュエータ366が伸張すると)、リフトアーム365が上方へ回動することとなる。すると、リフトアーム365がリフトリンク367と傾倒用アクチュエータ368を介して左右のロワリンク364を引き上げるので、ロータリー10の高さが高くなるのである(図8(A)の矢印Ra参照)。従って、ロータリー10が沈み込む状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
反対に、昇降用アクチュエータ366のピストンロッドが摺動して引き込まれると(昇降用アクチュエータ366が収縮すると)、リフトアーム365が下方へ回動することとなる。すると、リフトアーム365がリフトリンク367と傾倒用アクチュエータ368を介して左右のロワリンク364を押し下げるので、ロータリー10の高さが低くなるのである(図8(B)の矢印Rb参照)。従って、ロータリー10が浮き上がる状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
加えて、傾倒用アクチュエータ368のピストンロッドが摺動して押し出されると(傾倒用アクチュエータ368が伸張すると)、傾倒用アクチュエータ368が取り付けられている右側のロワリンク364のみが下方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク364がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク364が押し下げられるので、ロータリー10が右下がりに傾くのである。従って、トラクタ1が左側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、ロータリー10が水平状態のまま維持されることとなる(図9(A)の矢印Rc参照)。従って、トラクタ1が左側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、ロータリー10が水平状態のまま維持されることとなる。
反対に、傾倒用アクチュエータ368のピストンロッドが摺動して引き込まれると(傾倒用アクチュエータ368が収縮すると)、傾倒用アクチュエータ368が取り付けられている右側のロワリンク364のみが上方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク364がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク364が引き上げられるので、ロータリー10が右上がりに傾くのである。従って、トラクタ1が右側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、ロータリー10が水平状態のまま維持されることとなる(図9(B)の矢印Rd参照)。従って、トラクタ1が右側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、ロータリー10が水平状態のまま維持されることとなる。
ところで、トラクタ1は、ロータリー10に掛かる負荷が大きい場合にエンジン12の回転速度(これを「エンジン回転速度」という)を上昇させるパワーモード制御と、ロータリー10に掛かる負荷が小さい場合にエンジン回転速度を低下させるエコモード制御とを実行できる。また、トラクタ1は、ロータリー10に掛かる負荷が増大する場合に走行速度を低下させる制御(これを「アンチストール制御」という)を実行できる。以下においては、パワーモード制御とアンチストール制御とエコモード制御とについて、順に説明する。
図10は、パワーモード制御を示している。図11は、アンチストール制御を示している。図12は、エコモード制御を示している。
まず、パワーモード制御について説明する。
図10に示すトラクタ1は、圃場F1を走行している。圃場F1の区間F1aにおいて、トラクタ1は、エンジン回転速度を1800rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このとき、ロータリー10には、一定の負荷が掛かっている。
一方、区間F1bにおいて、トラクタ1は、エンジン回転速度を2000rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このとき、ロータリー10には、区間F1aを走行するときよりも大きな負荷が掛かっている。これは、区間F2bの土壌が区間F2aの土壌よりも硬いからである。そこで、トラクタ1は、走行速度を一定に維持すべくエンジン回転速度を自動的に上昇させるのである。このとき、エンジン回転速度は、上昇幅Ruの範囲内で変動する。
なお、トラクタ1は、ロータリー10に掛かる負荷が小さくなると、元の運転状態に自動的に戻る。つまり、エンジン回転速度を1800rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このように、パワーモード制御では、作業負荷に応じてエンジン回転速度が自動的に上昇するため、作業の精度を維持できる。また、効率的に作業できる。
次に、アンチストール制御について説明する。
図11に示すトラクタ1は、圃場F2を走行している。圃場F2の区間F2aにおいて、トラクタ1は、エンジン回転速度を2000rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このとき、ロータリー10には、一定の負荷が掛かっている。
一方、区間F2bにおいて、トラクタ1は、エンジン回転速度を2000rpmに設定し、4.8km/hで走行する。このとき、ロータリー10には、区間F2aを走行するときよりも大きな負荷が掛かっている。これは、区間F2bの土壌が区間F2aの土壌よりも硬いからである。そこで、トラクタ1は、エンジン回転速度を一定に維持すべく自動的に走行速度を低下させるのである。このとき、走行速度は、低下率Vdの範囲内で変動する。
なお、トラクタ1は、ロータリー10に掛かる負荷が小さくなると、元の運転状態に自動的に戻る。つまり、エンジン回転速度を2000rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このように、アンチストール制御では、作業負荷に応じて走行速度が自動的に低下するため、エンジン12のストールを防止できる。
次に、エコモード制御について説明する。
図12に示すトラクタ1は、圃場F3を走行している。圃場F3の区間F3aにおいて、トラクタ1は、エンジン回転速度を1800rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このとき、ロータリー10には、一定の負荷が掛かっている。
一方、区間F3bにおいて、トラクタ1は、エンジン回転速度を1600rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このとき、ロータリー10には、区間F3aを走行するときよりも小さな負荷が掛かっている。これは、区間F3bの土壌が区間F3aの土壌よりも柔らかいからである。そこで、トラクタ1は、走行速度を維持すべくエンジン回転速度を自動的に低下させるのである。このとき、エンジン回転速度は、低下幅Rdの範囲内で変動する。
なお、トラクタ1は、ロータリー10に掛かる負荷が大きくなると、元の運転状態に自動的に戻る。つまり、エンジン回転速度を1800rpmに設定し、6.0km/hで走行する。このように、エコモード制御では、作業負荷が小さい場合にエンジン回転速度が自動的に低下するため、燃料を節約できる。また、効率的に作業できる。
次に、トラクタ1の操縦室について説明する。
図13は、運転座席161とその周囲を示している。また、図14は、オペレータの視界を示している。
上述したように、キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162やシフトレバー163などが配置されている。また、運転座席161の周囲には、ブレーキペダル166やクラッチペダル167、リバーサレバー168、スピードダイヤル169、インストルメントパネル170、コントロールパネル171などが配置されている。オペレータは、運転座席161に座った状態でアクセルペダル162やシフトレバー163などを操作し、トラクタ1を操縦することができる。
更に、トラクタ1は、ディスプレイ2を具備している。ディスプレイ2は、運転座席161の近傍に配置される。ディスプレイ2は、オペレータが右手で操作できるよう、運転座席161の右前側に配置されている。ディスプレイ2は、サイドコンソールの上に配置されている。以下に、トラクタ1の情報ネットワークについて簡単に説明するとともに、ディスプレイ2及び該ディスプレイ2に関する制御システムについて説明する。
図15は、トラクタ1の情報ネットワークを示している。また、図16は、ディスプレイ2を示している。そして、図17は、ディスプレイ2に関する制御システムを示している。
本トラクタ1は、最大限の性能を発揮できるよう、各所に情報ネットワークが張り巡らされている。具体的には、エンジン12のほか、トランスミッション13、インストルメントパネル170、コントロールパネル171、ディスプレイ2が互いに情報を共有できるコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)を構成している。
本トラクタ1において、ディスプレイ2は、サイドコンソールの上に配置されている(図14参照)。ディスプレイ2は、液晶パネル21と、エンコーダダイヤル22と、エンターボタン23とを有している。また、ディスプレイ2は、五つのコマンドボタン24・25・26・27・28を有している。各ボタンには、LED(Light Emitting Diode)等を光源とするバックライト29が内蔵されている。
液晶パネル21は、ディスプレイ2の前面中央に設けられている。液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいて所定の画面を表示できる。例えば、液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいてオープニング画面S1を表示できる(図18参照)。また、液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいてその他の画面を表示できる(図19〜図21参照)。なお、液晶パネル21は、いわゆるタッチパネルであっても良い。
エンコーダダイヤル22は、ディスプレイ2の上面右側に設けられている。エンコーダダイヤル22は、液晶パネル21に表示された要素の選択に際して、タブをスクロールさせる若しくはハイライトをトラバースさせる旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、エンコーダダイヤル22は、表示された数字や英文字の選択に際して、タブをスクロールさせる旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図19参照)。また、エンコーダダイヤル22は、表示されたアイコンの選択に際して、ハイライトをトラバースさせる旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図20、図21参照)。
エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22と一体的に設けられている。エンターボタン23は、液晶パネル21に表示された要素のうち、一の要素を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、エンターボタン23は、表示された数字や英文字のうち、一の数字若しくは英文字を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図19参照)。また、エンターボタン23は、表示されたアイコンのうち、一のアイコンを決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図20、図21参照)。なお、本ディスプレイ2において、エンターボタン23は、エンコーダダイヤル22自体が押し込まれる構造となっているが、該エンコーダダイヤル22の上端面に押しボタンを設けた構造であっても良い。
コマンドボタン24・25・26は、ディスプレイ2の前面上部に設けられている。コマンドボタン24・25・26は、液晶パネル21に所定の画面が表示されている場合において、他の画面に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、コマンドボタン24・25は、液晶パネル21にホーム画面S3が表示されている場合において、ショートカット画面(オペレータが任意に設定した画面)に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図20参照)。また、コマンドボタン26は、液晶パネル21にエンジン自動制御画面S4が表示されている場合において、ホーム画面S3に切り替える旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図21参照)。
コマンドボタン27も、ディスプレイ2の前面上部に設けられている。具体的には、コマンドボタン26に隣接した位置に設けられている。コマンドボタン27は、エンターボタン23と同様に、一の要素を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、コマンドボタン27は、表示された数字や英文字のうち、一の数字若しくは英文字を決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図19参照)。また、コマンドボタン27は、表示されたアイコンのうち、一のアイコンを決定した旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図20、図21参照)。更に、コマンドボタン27は、設定事項を記憶する旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図21参照)。
コマンドボタン28も、ディスプレイ2の前面上部に設けられている。具体的には、コマンドボタン27に隣接した位置に設けられている。コマンドボタン28は、液晶パネル21に所定の画面が表示されている場合において、一つ前の画面に戻る旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる。例えば、コマンドボタン28は、液晶パネル21にエンジン自動制御画面S4が表示されている場合において、ホーム画面S3に戻る旨のオペレータの意思を制御装置3へ伝達できる(図21参照)。
制御装置3は、処理部30と、記憶部31とを備える。処理部30は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを含む。
トラクタ1は、回転速度センサ61と、燃料供給量センサ62と、速度センサ63とを備える。回転速度センサ61は、エンジン回転速度を検出する。燃料供給量センサ62は、燃料の供給量を検出する。速度センサ63は、トラクタ1の走行速度を検出する。これらセンサからの信号は、制御装置3に送信される。
記憶部31は、ROM(Random Access Read Only Memory)等の情報の書き換えが不可であるメモリ、RAM(Random Access Memory)等の揮発メモリ、ハードディスクドライブ、及び、フラッシュメモリ等を含む。プログラムとマップ等の情報は、記憶部31に格納されている。処理部30は、ROMに格納されているプログラム等をRAM上に読み出したうえで、これを実行することができる。なお、プログラムとマップ等の情報には、パワーモード制御とエコモード制御とアンチストール制御とに係る情報が含まれる。
処理部30は、検出されたエンジン回転速度と燃料供給量と走行速度とを認識する。処理部30は、これらの情報と記憶部31に格納された情報とに基づいて、要求される走行速度及びエンジン回転速度に必要な燃料供給量を算出する。なお、トラクタ1は、エンジン回転速度及び燃料供給量に対する走行速度等に基づいて、ロータリー10に掛かる負荷を推定できる。
制御装置3は、算出結果に基づいてエンジン12を制御する。このとき、制御装置3は、要求される走行速度及びエンジン回転速度が得られるように、エンジン12を制御する。つまり、制御装置3は、エンジン12の運転状態を指示する。このようにして、制御装置3は、パワーモード制御とエコモード制御とアンチストール制御とを実現する。
続いて、パワーモード制御におけるエンジン回転速度の上昇幅と、エコモード制御におけるエンジン回転速度の低下幅と、アンチストール制御における走行速度の低下率とを設定するための操作方法について説明する。
図18〜図21は、ディスプレイ2に表示される画面を示している。但し、各図は、本実施形態の説明に必要な部分のみを簡略的に表している。
まず、ディスプレイ2には、オープニング画面S1が表示される(図18参照)。オープニング画面S1では、中央付近にシンボルマークSmが表示される。シンボルマークSmは、サプライヤメーカを象徴する意匠である。シンボルマークSmは、黒色の背景画像に浮き上がり、オペレータに強い印象を与える。
次に、ディスプレイ2には、ロック解除画面S2が表示される(図19参照)。ロック解除画面S2では、横一列に暗証番号を入力するためのスクロールボックスSb1・Sb2・Sb3・Sb4が表示される。スクロールボックスSb1・Sb2・Sb3・Sb4は、選択されているいずれか一つがハイライトされる(図中のH部参照)。スクロールボックスSb1・Sb2・Sb3・Sb4は、0から9までの数字若しくはAからFまでの英文字をスクロールできる。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって数字若しくは英文字を選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
なお、ロック解除画面S2においては、コマンドボタン25・26を押すことによって数字若しくは英文字を選択し、コマンドボタン27を押すことによって決定することができる。また、コマンドボタン28を押すことによって決定を取り消すこともできる。加えて、暗証番号を間違ったときは、その旨のメッセージが表示される。ロック解除画面S2では、オペレータの氏名が記されたダイアログボックスDb1と、作業予定が記されたダイアログボックスDb2と、が表示される。オペレータは、これらのダイアログボックスDb1・Db2から自身の作業予定を把握できる。
次に、ディスプレイ2には、ホーム画面S3が表示される(図20参照)。ホーム画面S3では、上下二列にメニューを選択するためのアイコンIa1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8が表示される。アイコンIa1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8は、選択されているいずれか一つがハイライトされる(図中のH部参照)。そして、ハイライトは、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって所望のアイコン(Ia1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8のいずれか)を選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
なお、ホーム画面S3においては、コマンドボタン(24・25・26・27・28のいずれか)を押すことによってアイコン(Ia1・Ia2・Ia3・Ia4・・・Ia8のいずれか)を選択することはできないが、コマンドボタン27を押すことによって決定することはできる。また、コマンドボタン28を押すと、ロック解除画面S2に戻ることができる。加えて、『前ページ』と記されたボタンBa1若しくは『次ページ』と記されたボタンBa2を選択して決定したときは、別のホーム画面S3に切り替わる。選択できないアイコンについては、グレーアウトされる(図中のG部参照)。
ここでは、『エンジン自動制御』と記されたアイコンIa3を選択して決定する。
ディスプレイ2には、エンジン自動制御画面S4が表示される(図21参照)。エンジン自動制御画面S4は、パワーモード制御とエコモード制御とアンチストール制御とを設定するための画面である。具体的に説明すると、エンジン自動制御画面S4は、パワーモード制御におけるエンジン回転速度の上昇幅と、エコモード制御におけるエンジン回転速度の低下幅と、ロータリー10に掛かる負荷が増大する場合における走行速度の低下率とを設定するための画面である。
エンジン自動制御画面S4では、縦一列にボックスB1・B2・B3が表示される。ボックスB1・B2・B3は、選択されているいずれか一つがハイライトされる。そして、ハイライトは、エンコーダダイヤル22の回転に応じてトラバースされる。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによってボックスB1・B2・B3のいずれかを選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
ボックスB1は、パワーモード制御の有効と無効との切り替えの設定、及び、パワーモード制御におけるエンジン回転速度の上昇幅の設定に用いられる。ボックスB1には、バーグラフG1が黒色で表示される。バーグラフG1は、エンジン回転速度の上昇幅を表す。また、バーグラフG1には、インジケータId1が白色で表示される。インジケータId1は、エンジン回転速度の上昇幅を設定する際に、その値に応じて伸縮する。そして、所望の値が決定されると、上昇幅の値が設定される。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによってインジケータId1を伸長又は短縮し、エンターボタン23を押すことによって上昇幅の値を決定できる。
バーグラフG1の右方には、上昇幅の値(単位はr/min)が記されている。本図においては、現在の設定値である『300r/min』が記されている。また、ボックスB1の左側上部には、ランプL1が配置される。ランプL1は、パワーモード制御が有効である状態において緑色でハイライトされる。なお、パワーモード制御が無効である状態においても、上昇幅の値を設定することができる。
ボックスB2は、エコモード制御の有効と無効との切り替えの設定、及び、エコモード制御におけるエンジン回転速度の低下幅の設定に用いられる。ボックスB2には、バーグラフG2が黒色で表示される。バーグラフG2は、エンジン回転速度の低下幅を表す。また、バーグラフG2には、インジケータId2が白色で表示される。インジケータId2は、エンジン回転速度の低下幅を設定する際に、その値に応じて伸縮する。そして、所望の値が決定されると、低下幅の値が設定される。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによってインジケータId2を伸長又は短縮し、エンターボタン23を押すことによって低下幅の値を決定できる。
バーグラフG2の右方には、低下幅の値(単位はr/min)が記される。本図においては、現在の設定値である『400r/min』が記されている。また、ボックスB2の左側上部には、ランプL2が配置される。ランプL2は、エコモード制御が有効である状態において緑色でハイライトされる。なお、エコモード制御が無効である状態においても、低下幅の値を設定することができる。
ボックスB3は、アンチストール制御の有効と無効との切り替えの設定、及び、アンチストール制御における走行速度の低下率の設定に用いられる。ボックスB3には、バーグラフG3が黒色で表示される。バーグラフG3は、走行速度の低下率を表す。また、バーグラフG3には、インジケータId3が白色で表示される。インジケータId3は、走行速度の低下率を設定する際に、その値に応じて伸縮する。そして、所望の値が決定されると、低下率の値が設定される。オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによってインジケータId3を伸長又は短縮し、エンターボタン23を押すことによって低下率の値を決定できる。
バーグラフG3の右方には、低下率の値(単位は%)が記される。本図においては、現在の設定値である『20%』が記されている。また、ボックスB3の左側上部には、ランプL3が配置される。ランプL3は、アンチストール制御が有効である状態において緑色でハイライトされる。なお、アンチストール制御が無効である状態においても、低下率の値を設定することができる。
オペレータは、エンジン自動制御画面S4において、ボックスB1・B2・B3をそれぞれ独立して選択及び決定することにより、ボックスB1・B2・B3に記される各値をそれぞれ独立して設定することができる。
エンジン回転速度の上昇幅の値と低下幅の値とについては、0r/min以上500r/min以下の範囲において、50r/min毎に選択及び設定できる。走行速度の低下幅については、0%以上50%以下の範囲において、10%毎に選択及び設定できる。
なお、本図においては、バーグラフG2にインジケータIdXが橙色でハイライトされている。これは、エコモード制御が実行されている状態において、実際のエンジン回転速度の低下量を示している。そのため、インジケータIdXは、エンジン12の運転状態に応じて伸縮する。
ここでは、インジケータIdXが『150r/min』で示されている。これは、エンジン12の現在の運転状態が、オペレータの操作に基づく所定のエンジン回転速度よりも150r/min低下していることを表す。言い換えると、エンジン12は、オペレータの操作に基づいて決定されるエンジン回転速度よりも150r/min低いエンジン回転速度で作動していることを表す。
このように、バーグラフG2の一部として、インジケータIdXとインジケータId2とが並んで表示される。そのため、オペレータは、インジケータIdXを指標として、白色のインジケータId2によって示されるエンジン回転速度の低下幅の値を容易且つ適切に設定できる。
なお、アンチストール制御が実行される状態においては、バーグラフG3にもインジケータが橙色でハイライトされる(図示せず)。このインジケータは、アンチストール制御が実行されている状態において、実際の走行速度の低下量を示している。そのため、このインジケータは、走行速度に応じて伸縮する。オペレータは、橙色のインジケータを指標として、白色のインジケータId3によって示される走行速度の低下率の値を容易且つ適切に設定できる。
パワーモード制御が実行される状態においては、バーグラフG1にもインジケータが橙色でハイライトされる(図示せず)。このインジケータは、パワーモード制御が実行されている状態において、実際のエンジン回転速度の上昇量を示している。そのため、このインジケータは、エンジン12の運転状態に応じて伸縮する。オペレータは、橙色のインジケータを指標として、白色のインジケータId1によって示されるエンジン回転速度の上昇幅の値を容易且つ適切に設定できる。
更に、エンジン自動制御画面S4においては、ボックスB4が表示される。ボックスB4には、セレクトスイッチScが表示される。セレクトスイッチScが『ON』である場合には、ロータリー10の高さ自動制御が有効の状態となる。一方、セレクトスイッチScが『OFF』である場合には、ロータリー10の高さ自動制御が無効の状態となる。
オペレータは、エンコーダダイヤル22を回すことによって、セレクトスイッチScの『ON』又は『OFF』のいずれかを選択し、エンターボタン23を押すことによって決定できる。
なお、エンジン自動制御画面S4においては、コマンドボタン(24・25・26・27・28のいずれか)を押すことによってボックスB1・B2・B3・B4を選択することはできないが、コマンドボタン27を押すことによって決定することはできる。また、コマンドボタン28を押すと、ホーム画面S3に戻ることができる。