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JP6275937B2 - シート - Google Patents

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JP6275937B2
JP6275937B2 JP2012039079A JP2012039079A JP6275937B2 JP 6275937 B2 JP6275937 B2 JP 6275937B2 JP 2012039079 A JP2012039079 A JP 2012039079A JP 2012039079 A JP2012039079 A JP 2012039079A JP 6275937 B2 JP6275937 B2 JP 6275937B2
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Description

本発明は、使用時にパンツの前部の内面に取り付けて小用後等の残尿の吸収に使用するためのシートに関する。
従来から病気や加齢によって生ずる失禁や尿漏れを対象にしたパンツやオムツあるいは、局所的に使用する失禁パッド等が数多く開発されて使用されている。
また、比較的軽い尿漏れを対象にしたものとして、下記の特許文献1に開示されている男性用軽失禁パッドがある。
また、脇部などでかいた汗を吸収する汗取りシートとして下記の特許文献2に開示されている汗取りシートがあり、前記汗取りシートの粘着面のすべてに接着剤が塗布されていたことによる突っ張り感を解消させたものとして、粘着部の間隔と面積を調整した下記の特許文献3に開示されている脇用汗取りシートがある。
特開2003−52729号公報 特開2002−224158号公報 特開2007−63717号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されている男性用軽失禁パッドは、病気や加齢によって生ずる尿漏れを対象にしているため、漏れた尿を確実に捕捉することや廃棄時の処理に重きが置かれており、パンツを履いた状態で装着することになる実際の使い勝手や装着性については多くの改善の余地が残されている。
また、健康な男性や若年層の男性でも日常行っている小用時にパンツに残尿が付着して、付着した部分が黄ばんだり、ズボンへ残尿が染み出し恥ずかしい思いをすることを多くの人が経験している。しかし、このような少量の残尿を対象にした男性用の残尿を吸収するためのシートは未だ市場に登場していない。
また、上記男性用残尿吸収シートの粘着面のすべてに接着剤が塗布されていると、上記特許文献2に開示されている汗取りシートと同様、突っ張り感が生じる問題がある。
上記課題を解決するための本発明に係る男性用の下着の前部の内面に取り付けて残尿を吸収するためのシート本体を備えるシートの一の実施例は、前記シート本体を前記下着に取り付けるために前記シート本体の裏面に設けられた接着部と、前記接着部を覆うための被覆シートとを備え、前記被覆シートが、縦軸方向に沿って二分割されていることを特徴とする。
好ましくは、複数の前記接着部が前記シート本体の縦軸方向に離隔されて配置されている。
また好ましくは、複数の前記接着部が前記シート本体の横軸方向に離隔されて配置されている。
また好ましくは、前記接着部の接着力よりも弱い接着力を有する非接着部が、前記シート本体を前記シート本体の横軸方向に沿って折曲させるための第一の折曲案内部に対応する位置に設けられている。
また好ましくは、前記接着部の接着力よりも弱い接着力を有する非接着部が、前記シート本体を前記シート本体の縦軸方向に沿って折曲させるための第二の折曲案内部に対応する位置に設けられている。
本発明によれば、例えばシート本体の上縁寄りの接着部を仮止め用の接着部として使用し、前記シート本体をパンツの前部の内面に仮止め後、パンツの左右下方の開口部から前記分割された被覆シートを斜め下方に引き抜くことが可能になり、シート貼付時の使い勝手が向上する。
また、前記接着部と非接着部が規則的に配置されていて、このうちの少なくとも一つが前記折曲案内部に対応する位置に設けられている場合には、シート本体の癖が一定になり、使用者の体の動きに対する追従性が向上する。
また、シート本体の裏面の周縁部と前記被覆シートの分割線に対応する位置に接着部を設けない場合には、被覆シートが剥し易くなってシート貼付時の使い勝手が向上し、前記周縁部での接着部同士の接着に起因するヨレやしわの発生が防止されてシートの装着性も向上する。
本発明に係る実施例1のシートを示した正面図である。 本発明に係る実施例1のシートの被覆シートが装着されていない状態(被覆シートを剥した状態)の背面図である。 本発明に係る実施例1のシートの被覆シートが装着された状態の背面図である。 本発明に係る実施例1のシートの積層構造を示す縦断面図である。 パンツの種類に対応したシートの貼付例を示す正面図である。 折曲案内部の形成態様を示す正面図である。 本発明に係る実施例1のシートの貼付手順を示す説明図である。 表面シートの色目官能評価試験に使用した色目サンプルと、その試験結果を示す説明図である。 本発明に係る実施例2のシートを示した正面図(a)と被覆シートを剥がした状態の背面図(b)である。 本発明に係る実施例2のシートが立体形状にされた状態を示す斜視図である。 切れ込み部とフラップ片の形成態様を示す正面図である。
[基本構成]
以下、図1乃至図8に示す実施例1と、図9乃至図11に示す実施例2に基づいて本発明に係るシート1の構成と、その作用、効果について説明する。
最初に上記実施例1と実施例2を含む本発明に係るシート1に共通する基本構成について説明する。
図1中、シート1は、使用時に、男性用の下着としてのパンツPの前部の内面に対して着脱可能に取り付けて残尿を吸収するためのシートである。シート1は、使い捨てタイプでもよい。シート1を構成するシート本体9は、図1に示すように、丸く加工された肩部17や、シート1の下部に下方へ向かって幅が狭くなるようなテーパー部19を備える略矩形でもよい。
シート本体9の後述する把持部31を除いた外形寸法は、一例として幅Wが約105mm、長さHが約125mmであり、パンツPのサイズ等に応じて幅Wについては50mm〜150mmの範囲で、長さHについては100mm〜180mmの範囲で調整することが可能である。
シート本体9は例えば、図4の断面図に示すように使用時に使用者の股部(男性器)に宛がわれる透液性を有する表面シート3と、表面シート3の前面から進入した残尿Uを吸収するための吸液性を有する吸収シート5と、吸収シート5が吸収した残尿UのパンツPへの付着を防止するためにパンツPの前部の内面に貼付される不透液性を有する裏面シート7とが順に積層されてなってもよい。
裏面シート7の裏面には、図2に示すように、シート本体9をパンツPの前部の内面に貼付するための接着部13が形成されている。接着部13は例えば、粘着剤を塗布することによって形成される。図3に示すように、裏面シート7の裏面を覆うように、剥離性をする被覆シート11が接着部13に貼り付けられてもよい。
表面シート3の材質としては、肌に柔らかく接触する柔軟性を有する材料が好ましく、天然繊維や合成繊維を使用した織物、編物、不織布やパルプ製品等を使用することができ、一例として本実施例ではレーヨンとポリエステルを混紡した合成繊維を使用している。また、表面シート3の構造としては、メッシュ状に構成したり、表面にエンボス加工等を施すことが可能であり、このような構造を採用した場合には残尿Uの通液性の向上と、肌に対する接触面積の減少による装着性の向上とが図られる。
また、吸収シート5の材質としては、吸液性に優れたコットンやパルプ等のセルロース系の天然繊維の表面をポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維で包皮した複合繊維が使用できる。尚、上記ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維はヒートシール性に優れ、表面のベトベト感を防止するドライ性に優れた材料である。
また、上記天然繊維と合成繊維の配合比率は、重量比で3:7〜7:3の割合で配合することができ、より肌触りや装着感を向上させたい場合には、4:6〜6:4の割合で上記天然素材と合成繊維を配合する。
また、裏面シート7の材質としては、一例として不透液性に優れたポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロン、セロファン、ビニロン、塩化ビニル等の材料が使用でき、更にこれらの材料に対して炭酸カルシウム粉末等の無機物を混練した後に2軸延伸したものを使用すれば、ムレなどによる不快感を軽減させることができる。
また、上記炭酸カルシウム等の無機物を使用しないで1軸延伸したものを使用することも可能であり、この場合には残尿UのパンツP側への流出を確実に防止することが可能になる。尚、以下の実施例では、装着時の違和感を低減し、必要な不透液性を確保するために裏面シート7の厚さを10〜50μmの範囲に設定している。
また、接着部13を形成する粘着剤としては、アクリル系水溶性接着剤等の水溶性の接着剤やゴム系ホットメルト、オレフィン系ホットメルト等の非水溶性接着剤が使用でき、好ましくはパンツPに貼付した時にヨレやズレが生じない適度の接着力と、パンツPの伸びを拘束しない適度な弾性を有するゴム系ホットメルト等の非水溶性接着剤が使用される。
また、上記粘着剤の粘着強度を示すピール力としては80〜500gfの範囲が実用的であり、好ましくはピール力が100〜300gfの粘着剤を使用する。因みにピール力が80gf未満になると、粘着強度が弱くなってシート本体9のヨレやズレあるいは脱落が生じ易くなり、一方、ピール力が500gfを超えると、パンツPに糊残りを生じさせる。
また、被覆シート11の材質としては、基材となる紙の一面にポリエチレン等によって形成される目止め層を介して溶剤型や無溶剤型のシリコーン樹脂等によって形成される剥離層を設けた剥離紙が一例として使用できる。
次に、前述した実施例1と実施例2を例にとって、本発明に係るシート1の特徴的構成とその作用、効果について説明する。
[実施例1]
図1中、実施例1に係るシート1Aは、装着感を向上させるためにシート本体9に適用した(1)折曲案内構造と、パンツPに貼付する時の使い勝手を向上させるためにシート本体9の形状を工夫した(2)貼付案内構造と、上記装着感と使い勝手の向上の両方に貢献する(3)被覆シートの分割構造及び接着部の配置構造と、シート本体9の取り替え時や小用時の色目による抵抗感を減少させるための(4)表面シートの色目構造に特徴を有しており、以下、これら4つの構造に分けて実施例1に係るシート1Aの構成とその作用、効果について説明する。
(1)折曲案内構造
図1中、シート本体9の幅方向である横軸方向Xに沿ってシート本体9を折曲させるための第一の折曲案内部21と、シート本体9の長さ方向である縦軸方向Yに沿ってシート本体9を折曲させるための第二の折曲案内部23と、が設けられている。尚、第一の折曲案内部21による折曲方向は、横軸方向Xに正確に沿う方向(横軸方向Xと平行方向)に限られず、横軸方向Xから幾分傾斜した方向でもよい。同様に、第二の折曲案内部23による折曲方向は、縦軸方向Yに正確に沿う方向(縦軸方向Yと平行方向)に限られず、縦軸方向Yから幾分傾斜した方向でもよい。
同図に示すように、第一の折曲案内部21は、湾曲したV字形状にくびれた比較的大きなくびれ部25Aとしてシート本体9の両側部の中央部又はその近傍に形成されてもよい。また、第二の折曲案内部23は、半円形状にくびれた比較的小さなくびれ部25Bとしてシート本体9の下縁27の中央部又はその近傍に形成されてもよい。
シート本体9を折り畳むような力が作用すると、第一の折曲案内部21としてのくびれ部25Aの中心を結んだ横軸方向Xに沿う直線L1を折曲線として、シート本体9が折曲する。また、第二の折曲案内部23としてのくびれ部25Bと、シート本体9の上縁29の中央部に設けられる把持部31の両端部31aとを結んだ縦軸方向Yに概ね沿う2本の直線L2、L2を折曲線として、シート本体9が折曲する。
また、第一の折曲案内部21と第二の折曲案内部23は、図6(a)に示すシート本体9の両側部及び下部の所定箇所に設けられた所定長さのスリット33や、図6(b)に示す直線L1及びL2に沿ってのびる所定長さの溝部35でもよい。
更に、第一の折曲案内部21と第二の折曲案内部23は、図6(c)に示すように、他の部位よりも折曲が容易になるようにミシン目状のスリットや硬度差あるいは厚さを薄くすること等によってシート本体9の所定箇所に構成される弱化構造37でもよい。
このようにして構成される折曲案内構造を採用することにより、椅子に腰掛けたり立ったり、腰を曲げたり、捻ったりする日常の体の動きに追従してシート本体9が折曲するため、装着感が向上する。
また、小用時にパンツPの前部の上部を前方に曲げて降ろしたりする動作にも追従することから使い勝手の向上にも寄与する。また、第一の折曲案内部21と第二の折曲案内部23とからシート本体9の重心Gの概略の位置を把握できることから次に述べる貼付案内構造としても機能する。
(2)貼付案内構造
図1中、シート本体9の上縁29の中央部に一例として円弧形状をした把持部31が上方に突出するように形成されている。把持部31の裏面シート7の裏面には接着部13が設けられていないことが好ましい。
シート本体9の上縁29は、横軸方向Xと平行にのびる直線部39Aによって構成されている。直線部39Aは、シート本体9をパンツPの前部の内面に貼付するとき、パンツPの上部のゴム紐41(図5参照)のラインと平行に配置されて、シート本体9のパンツPに対する位置を決めるための位置決め部43Aとして機能する。勿論、位置決め部43Aをゴム紐41のラインに沿わせたり、パンツPのその他の部分に対する位置決め部43Aの相対位置を所定方法により決めることによって、シート本体9の位置決めをしてもよい。
更に、シート本体9の下縁27にも横軸方向Xと平行にのびる直線部39Bが形成されている。直線部39Bは、シート本体9をパンツPの前部の内面に貼付するとき、シート本体9の傾き等を補正する際の目印になる位置決め部43Bとして機能する。尚、位置決め部43としては、目印となるマーカーを付けたり、色を付ける等の他の構成を採ることも可能である。
また、シート本体9の下部に形成されているテーパー部19は、図5(b)に示すブリーフタイプのパンツP2における股部の左右に設けられている足を出すための開口部45、45の傾斜に合わせた角度に構成されてもよい。
尚、男性が着用するパンツPのタイプには、図5(a)に示すボクサータイプのパンツP1と、図5(b)に示すブリーフタイプのパンツP2と、図5(c)に示すトランクスタイプのパンツP3がある。ボクサータイプのパンツP1とブリーフタイプのパンツP2では、比較的密着性が確保できるため、着用時に男性器が上を向くことが多い。また、小用時にパンツP1、P2の上部を前方に折り曲げて使用する場合が多いことが想定される。したがって、図示のように上部エリアを広くカバーできるように把持部31(上縁29)を上方に配した状態でシート1をパンツP1、P2に貼付ことにより、シート1による残尿の吸収漏れを一層効果的に防止し得る。
一方、図5(c)に示すゆったりとしたトランクスタイプのパンツP3に対してシート本体9を貼付する場合には、パンツP3による密着性がそれほど期待できないため、着用時に男性器が下を向くことが多い。また、小用時にパンツP3の開口部45、45を使用することが想定される。したがって、同図に示すように下部エリアを広くカバーできるように、上述したパンツP1、P2の場合とは上下逆に、すなわち、把持部31(上縁29)を下方に配した状態でシート1をパンツP3に貼付することにより、シート1による残尿の吸収漏れをより一層効果的に防止し得る。
このようにして構成される貼付案内構造を採用した場合には、パンツPを着用した状態でパンツPの前部の内面にシート本体9を貼付するとき、接着部13が形成されていない把持部31を手で持って貼付できるため貼付時の使い勝手が向上する。また、把持部31によってシート本体9がカバーできるエリアを拡大できるから残尿Uの漏れを少なくすることができる。
また、シート本体9の上縁29と下縁27に設けた位置決め部43Aと43Bによって、シート本体9の貼付位置と傾きの補正ができ、テーパー部19を設けることでパンツPの左右の開口部45、45からのシート本体9のはみ出しやシート本体9の下部コーナー部からの捲れによって生ずるシート本体9の位置ずれや脱落あるいはシート本体9のヨレやしわの発生を防止することができる。
(3)被覆シートの分割構造及び接着部の配置構造
図2に示すように、裏面シート7の裏面に形成される接着部13は、複数段(例えば、左右に2列、上下に4段)に亘って規則的に配置されてもよい。縦軸方向又は横軸方向に隣接する接着部13の間に、接着部13の接着力よりも弱い接着力を有する、すなわち、粘着力を有しない又は弱められた接着力を有する非接着部15が規則的に配置されてもよい。図3に示すように、被覆シート11は、縦軸方向Yに沿って縦に二分割した二枚の被覆シート片47、47によって構成されている。
また、非接着部15は、前述した第一の折曲案内部21及び第二の折曲案内部23(折曲線としての直線L1、L2)のうち少なくとも一方に対応する位置に設けられてもよい(図1参照)。図2に示すように、シート本体9の上部2段に配置されている接着部13Aと下部2段に配置されている接着部13Bの寸法とは、シート本体9の形状に合うように同一形状でなくてもよい。尚、裏面シート7の周縁部と被覆シート11を二分割する分割線の位置に対応する裏面シート7の部分に接着剤が塗布されていなくてもよい。
図2に示す実施例では、上部2段に配置されている接着部13Aの寸法を幅が39mm、高さを約23mmに設定しており、下部2段に配置されている接着部13Bの寸法を幅が約25mm、高さを約23mmに設定している。上部2段に配置されている接着部13Aは、約1mmの隙間Sを隔てて、上記接着部13Bと同じ幅が約25mm、高さが約23mmの接着部と、幅が約14mm、高さが約23mmの接着部とから構成されている。接着部13Aは、一体の接着部として構成されてもよい。
左右2列の接着部13の間には幅が約13mmの縦軸方向の非接着部15Aが形成されており、上下4段の接着部13のそれぞれの間には高さが約6mmの横軸方向の非接着部15Bが形成されている。また、上述したように前記把持部31が設けられている裏面シート7の裏面と、下部2段の接着部13Bの外方の側部スペース及び裏面シート7の裏面の周縁部には非接着部15が形成されている。
尚、上記接着部13A、13Bと非接着部15A、15Bの寸法は、シート本体9の外形寸法や使用の目的等に対応して適宜、調整することが可能であり、接着部13と非接着部15の数も適宜、増減することが可能である。
このようにして構成される被覆シート11の縦割り二分割構造と、接着部13と非接着部15の規則的な配置構造と、を採用した場合には、図7に示すように、シート本体9の上縁29寄りの接着部13Aを仮止め用の接着部として使用し、接着部13Aを使用したシート本体9の仮止め後、パンツPの左右の開口部45、45に手を入れて左右の被覆シート片47、47をそれぞれ斜め下方に引き抜くことが可能になり、貼付時の使い勝手が向上する。
また、接着部13と非接着部15が規則的に配置されていることによってシート本体9の癖が一定になり、使用者の動きに対する追従性が更に向上する。また、非接着部15は、前述した折曲案内部21、23としても機能する。
(4)表面シートの色目構造
本実施例では、外出先等で小用を足すときに、近くにいる人からシート1が貼付されていることを気付かれにくくするために表面シート3の色目構造が採用されている。表面シート3のうち少なくとも使用者側の表面の色目は、黒またはグレー色の無彩色である。表面シート3の色目は、上記無彩色と同等の明度を有する(例えば、無彩色に近い)有彩色でもよい。
具体的には、図8(a)に示す0番から10番の11段階のマンセル表色系のうち10番の白を除く黒またはグレー色、好ましくは1番から6番までのグレー色の無彩色または同等の明度を有する(例えば、無彩色に近い)有彩色を使用する。
このようにして構成される表面シート3の色目構造を採用した場合には、パンツPの内部の影と同化してシート1を貼付していることが他人に気付かれにくくなる。また、白は生理用品やおむつ等に使用されている色と同じであり、使用する場合に抵抗感があるが、上記グレー色または無彩色と同等色であれば抵抗感が減って使用し易くなる。また、これらの色は、残尿Uによって出来た染みや汚れ、黄ばみ等を目立たなくする色であり、消臭効果のある炭をイメージさせる色であることもあって、シート1Aの持つイメージを改善する効果を発揮する。
次に、上記表面シート3の色目構造を採用した場合の効果を確認するために実施した表面シート3の色目官能評価試験の内容と結果について説明する。
この色目官能評価試験では、図8(a)に示すようにマンセル表色系の0番から10番までの明度の違う11色の無彩色(グレートーン)を各別に適用した表面シート3を有するシート1のサンプルを用意し、被験者としての成人男性が上記11色の色目を適用したサンプルをパンツPに実際に貼ってその色目を官能評価した。被験者はトランクスのパンツPの使用者10名とボクサータイプのパンツPの使用者10名から構成され、被験者が着用しているパンツをパンツPとしてそのまま使用した。被験者が「使いたいレベル」、「目立ちにくいレベル」としてそれぞれ選択したマンセル表色系の上限値及び下限値の平均値を四捨五入して、評価結果とした。
上記試験の結果は図8(b)に示すように、マンセル表色系の0番から8番までの無彩色からなる色目構造を有するパンツPを「使いたい」と評価し、同1番から6番までの無彩色からなる色目構造を有するパンツPを「目立ちにくい」と評価した。尚、同図中、「使いたい」とは、使用者にとって使っても良い色目の許容範囲(好ましい範囲)にあることを示し、「目立ちにくい」とは、上述した使いたいものの中で使用者がさらに目立ちにくいと感じたもの(より好ましい範囲)であることを示す。
[使用方法]
次に、図5及び図7を参照しながら本実施例1に係るシート1Aの貼付手順を説明する。
着用する前のパンツPにシート1Aを貼る場合には、裏面シート7の裏面の被覆シート11を剥がしてパンツPの前部の内面にシート本体9を貼り付ける。このとき、使用者は、シート本体9の上縁29と下縁27に設けられている直線部39によって構成されている位置決め部43Aと43Bを利用して図5に示すように位置と角度を確認しながら所定の位置にシート本体9を貼り付けることができる。
また、上述したように、着用するパンツPの種類に応じて適宜上下の向きを変えてシート本体9を貼り付けることができる(図5参照)。
パンツPを着用した状態でパンツPにシート1Aを貼る場合には、図7(a)に示すように上部1段目の接着部13を被覆している被覆シート11の上縁部を前方に捲って剥がし、図7(b)に示すように一方の手でパンツPの前部を前方に押し広げる。把持部31を他方の手で持ち、シート1AをパンツPの中に入れ、位置決め部43A、43Bとしてのシート本体9の上縁29乃至下縁27の直線部39をパンツPのゴム紐41のラインと平行に配置しシート1AのパンツPに対する位置決めをする。勿論、直線部39をゴム紐41のラインに沿わせたり、パンツPのその他の部分に対する直線部39(位置決め部43A、43B)の相対位置を所定方法により決めることによって、シート1Aの位置決めをしてもよい。
続いて、図7(c)に示すように片手でパンツPの前部の外面の上部を押さえてシート本体9を仮止めし、もう一方の手でパンツPの左右の開口部45、45に手を入れて前述したように左右の被覆シート片47、47をそれぞれ斜め下方に引き抜いた後、パンツPの前部の外面からシート本体9の貼付部位全体を押さえる。このようにして、パンツPを着用した状態でもシート1Aの貼り付けを円滑に行うことができる。
[実施例2]
実施例2に係るシート1Bは、基本的に前述した実施例1に係るシート1Aの構成をすべて備えており、更に本実施例特有の構成として追従性に優れた立体化構造を採用している。
したがって、実施例1と共通する構成については説明を省略し、本実施例特有の立体化構造を中心に説明する。尚、実施例2に係るシート1Bの実施例1と共通する構成については、実施例1と同じ符号を使用する。
(5)立体化構造
図9中、前述したシート本体9に対して下縁27の中央に、上述した実施例1のくびれ部25Bに代えて図9に示すように縦軸方向Yに沿ってのびる切れ込み部49が形成されている。
この切れ込み部49は、パンツPの前部の内面にシート本体9を貼付するとき、図10に示すように切れ込み部49の左右両側に形成されるフラップ片51、51を後方に湾曲させて重ね合わせることによって、下方に流れた残尿Uを捕捉する空間Aを有する立体形状の簡易容器53として機能するように作用する。
尚、この立体化構造は、シート本体9の上記切れ込み部49の左右のフラップ片51、51を後方に湾曲させて重ね合わせることによって生ずるフラップ片51の剛性と、パンツP内でのパンツPとその外側に履くズボン等による着圧によって維持されており、使用者の体の動きに追従して上記左右のフラップ片51、51の重ね合わせ量が変化する構造になっている。
このような機能を発揮させるためには、以下詳述するように上記切れ込み部49の形状や長さを所定の形状乃至長さに設定することが好ましい。
切れ込み部49は、逆V字状の切欠き55によって形成される。切欠き55のシート本体9の下縁27からの縦軸方向Yの長さBは、シート本体9の把持部31を除いた縦軸方向Yの長さHの40%以下であってもよく、より好ましくは30%以下であってもよい。切欠き55の下端部の最大幅Dは、シート本体9の下縁27の横軸方向Xの長さEの50%以下であってもよく、より好ましくは30%以下であってもよい。
左右両側のフラップ片51、51は、図示のように下向きに細くなるようなテーパー形状であり、シート本体9の幅寸法Wよりもシート本体9の下縁27の横軸方向Xの長さEが小さくなってもよい。左右のフラップ片51、51の上述したテーパー形状の起点Cの位置は、切欠き55の先端部55aの位置よりも高い位置に設けられてもよい。フラップ片51、51の裏面シート7の裏面のうち切欠き55の先端部55aより下方の部分は、図9(b)に示すように接着部13が形成されず、非接着部15のみにより構成されてもよい。
また、本実施例のように横軸方向Xに延びる第一の折曲案内部21を設ける場合には、第一の折曲案内部21によって形成される折曲線となる直線L1よりも切欠き55の先端部55aの位置は下方に配設されて、第一の折曲案内部21による折曲案内構造の機能を損わないように構成してもよい。
尚、上記切れ込み部49とフラップ片51の形成態様は、図9、10に示す形成態様に限られない。例えば、図11(a)に示すように切れ込み部49が単なるスリット57によって形成されたり、図11(b)に示すように最大幅Dの小さな逆U字状の細溝部59によって形成されてもよい。
また、図11(c)に示すようにシート本体9の上下を逆にして把持部31の中央に切れ込み部49が形成されて、把持部31を含むシート本体9の上部(図11(c)では下方に位置している)をフラップ片51として使用することが可能である。
更に、フラップ片51の立体化構造に向けての自由な動きを拘束しない範囲で図11(d)に示すようにシート本体9の下部の裏面シート7における裏面の左右の縁部に接着部13Cが形成されてもよい。この場合、接着部13Cの接着力が他の接着部13の接着力よりも弱くされることが好ましい。
実施例2に係るシート1BをパンツPの前部の内面に貼付する場合、上述したフラップ片51の重ね合わせによる立体化プロセスが追加されるが、その他の手順は、前述した実施例1と同様である。着用前のパンツPに対して上述したフラップ片51の重ね合わせを実施しても着用後に立体化構造を維持できないから、立体化プロセスについては、着用後に実施することになる。
また、このようにして構成される立体化構造を採用した場合には、残尿Uの下方への漏れが心配になるトランクスタイプのパンツP3に対しても、シート本体9の一部に切れ込み部49を形成するだけの簡単な構成によって左右のフラップ片51、51を重ね合わせることで簡易容器53を形成して簡易容器53内の空間Aによって下方への残尿Uの漏れを防止することが可能になる。
また、簡易容器53は、上述したように左右のフラップ片51、51を重ね合わせることによって生じるフラップ片51、51の剛性とパンツP内でのパンツPとその外側に履くズボン等による着圧によってその立体形状が維持されているから、使用者の体の動きを拘束することなく、使用者の体の動きに追従してフラップ片51、51の重ね合わせ量を変えながら残尿Uを捕捉することになる。
尚、切れ込み部49は、シート本体9の下部の複数箇所(例えば、シート本体9の下縁27をその長さ方向に概ね3分割するように2カ所)に形成されてもよい。
[他の実施例]
以上が、本発明の基本的な実施例であるが、本発明のシート1は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略、あるいは当業者において周知、慣用の技術を追加することが可能である。
例えば、前記(1)〜(5)に示す特徴的構成は、これらを個別に適用することも可能であるし、これらの一部を組み合わせて適用したり、これらのすべてを組み合わせて適用することが可能である。
また、前記(2)の貼付案内構造で採用した把持部31の形状は、円弧形状に限らず、長方形状、台形状、三角形状等、種々の形状が適用可能である。また、シート1を上下逆にして使用する場合の把持部31としての機能をシート本体9の下縁27の近傍領域に持たせるために下縁27からその近傍領域を非接着部15としたり、把持部31として手で掴み易い形状に変更することが可能である。
この他、前記(5)の立体化構造で採用した切れ込み部49をシート本体9の上縁29側と下縁27側の両方に設けてシート本体9の貼付する向きによって、何れかの切れ込み部49を選択して使用するようにすることも可能である。また、シート本体9の上縁29側と下縁27側の両方に切れ込み部49を設けるとシート本体9に必要な強度が保てない場合には、これらの切れ込み部49をミシン目等の弱化構造によって形成しておいて、使用時に当該弱化構造が適用された何れかの部分を切り取って切り取った部位を切れ込み部49として使用することも可能である。
尚、本発明の技術的思想が女性用シートに応用できることはいうまでもない。
1 シート
3 表面シート
5 吸収シート
7 裏面シート
9 シート本体
11 被覆シート
13 接着部
15 非接着部
17 肩部
19 テーパー部
21 第一の折曲案内部
23 第二の折曲案内部
25 くびれ部
27 下縁
29 上縁
31 把持部
33 スリット
35 溝部
37 弱化構造
39 直線部
41 ゴム紐
43 位置決め部
45 開口部
47 被覆シート片
49 切れ込み部
51 フラップ片
53 簡易容器
55 切欠き
55a 先端部
57 スリット
59 細溝部
P パンツ
X 横軸方向
Y 縦軸方向
G 重心
U 残尿
L 直線
S 隙間
A 空間
B 長さ
C テーパー起点
D 最大幅
H 長さ
E 長さ
W 幅寸法

Claims (5)

  1. 男性用の下着の前部の内面に取り付けて残尿を吸収するためのシート本体を備えるシートにおいて、
    前記シート本体を前記下着に取り付けるために前記シート本体の裏面に設けられた接着部と、前記接着部を覆うための被覆シートとを備え、
    前記被覆シートが、前記シート本体の裏面側において縦軸方向に沿って二分割されており、
    複数の前記接着部が前記シート本体の縦軸方向に離隔されて配置されていることを特徴とするシート。
  2. 前記シート本体の上縁寄りの接着部が、前記シートの使用時に前記シート本体を前記下着に仮り止めするための仮止め用接着部であり、
    前記仮り止め後、前記被覆シートを前記下着の足用の開口部から引き抜くことができる、請求項に記載のシート。
  3. 複数の前記接着部が前記シート本体の横軸方向に離隔されて配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート。
  4. 前記接着部の接着力よりも弱い接着力を有する非接着部が、前記シート本体を前記シート本体の横軸方向に沿って折曲させるための第一の折曲案内部に対応する位置に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート。
  5. 前記接着部の接着力よりも弱い接着力を有する非接着部が、前記シート本体を前記シート本体の縦軸方向に沿って折曲させるための第二の折曲案内部に対応する位置に設けられていることを特徴とする、請求項に記載のシート。
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