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JP6269669B2 - 光取出し用樹脂組成物 - Google Patents

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JP6269669B2 JP2015526422A JP2015526422A JP6269669B2 JP 6269669 B2 JP6269669 B2 JP 6269669B2 JP 2015526422 A JP2015526422 A JP 2015526422A JP 2015526422 A JP2015526422 A JP 2015526422A JP 6269669 B2 JP6269669 B2 JP 6269669B2
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Description

本発明は有機ELデバイス等の発光デバイスの発光効率を高めるために用いられる光取出し用樹脂組成物に関する。
有機EL(Electroluminescence)デバイスの発光層は、一般的に基板(透明基板)に用いられるガラスや空気よりも光の屈折率が高いため、デバイスの内部で反射して閉じ込められてしまう光が多く、全発光の20%程度しか外部(デバイスの外部)に取り出せない。このため、光の取り出し効率を引き上げるために、透明基板の上に凹凸構造を設けたり(例えば、特許文献1参照)、デバイス内に光散乱構造を設ける(例えば、特許文献2等)等の技術が知られている。しかしながら、光の取り出し効率は満足できるレベルに達しておらず、さらなる改善が期待されている。なお、光を効率良くデバイス外に取り出すことができないという課題は、有機ELデバイスに限らず、他の発光デバイスにおいても潜在する課題である。
特開2000−231985号公報 国際公開WO2006/095632号パンフレット
本発明は上記の事情に鑑みて成されたものであり、その解決しようとする課題は、発光デバイスにおける光の取り出し効率を十分に高めることができる光取出し用樹脂組成物、特に、発光デバイスの透明基板に高い接着力にて密着して、高効率に光を取り出すことが可能な光取出し層を形成し得る光取出し用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は鋭意検討の結果、(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂、(B)粘着付与樹脂、及び(C)フィラーを含む特定の樹脂組成物を用いることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1] (A)スチレン−イソブチレン変性樹脂、(B)粘着付与樹脂、及び(C)フィラーを含むことを特徴とする、光取出し用樹脂組成物。
[2] (C)フィラーが、(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂の屈折率よりも0.2以上大きい屈折率を有するフィラーである、上記[1]記載の樹脂組成物。
[3] (C)フィラーが、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、およびチタン酸バリウムから選択される少なくとも1種である、上記[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (C)フィラーの平均粒径が0.5〜50μmである、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[5] (A)スチレン−イソブチレン変性樹脂が、ポリスチレン骨格及びポリイソブチレン骨格を含むブロック共重合体であって、官能基を有するものである、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[6] 官能基が、酸無水物基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキセタン基、シアネート基、フェノール基、ヒドラジド基及びアミド基からなる群より選択される1種または2種以上である、上記[5]記載の樹脂組成物。
[7] (B)粘着付与樹脂が、脂環族系石油樹脂である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[8] (B)粘着付与樹脂が、脂環族飽和炭化水素樹脂及び/又は脂環族不飽和炭化水素樹脂である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[9] (B)粘着付与樹脂が、シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂及び/又はジシクロペンタジエン変性炭化水素樹脂である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[10] (A)スチレン−イソブチレン変性樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分全体当たり、35〜80質量%である、上記[1]〜[9]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[11] (B)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物の不揮発分全体当たり、5〜60質量%である、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[12] (C)フィラーの含有量が、樹脂組成物の不揮発分全体当たり、0.5〜50質量%である、上記[1]〜[11]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[13] (D)硬化剤を更に含有する、上記[1]〜[12]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[14] 樹脂組成物の屈折率が1.45〜1.60である、上記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[15] 発光デバイスの透明基板に積層される光取出し層用である、上記[1]〜[14]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[16] 発光デバイスが有機ELデバイスである、上記[15]に記載の樹脂組成物。
[17] 上記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、光取出し用フィルム。
[18] 全光線透過率が50〜90%である、上記[17]記載の光取出し用フィルム。
[19] 屈折率が1.45〜1.60である、上記[17]または[18]に記載の光取出し用フィルム。
[20] 上記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の樹脂組成物の層が透明フィルム上に形成されてなる、光取出し用フィルム。
[21] 発光デバイスの光取出し用である、上記[17]〜[20]のいずれか1つに記載の光取出し用フィルム。
[22] 発光デバイスが有機ELデバイスである、上記[21]記載の光取出し用フィルム。
[23] 上記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなる光取出し層を含む、発光デバイス。
[24] 光取出し層の全光線透過率が50〜90%である、上記[23]に記載の発光デバイス。
[25] 光取出し層の屈折率が1.45〜1.60である、上記[23]または[24]に記載の発光デバイス。
[26] 当該発光デバイスが有機ELデバイスである、上記[23]〜[25]のいずれか1つに記載の発光デバイス。
本発明の光取出し用樹脂組成物によれば、光の取り出し効率が高く、かつ、透明基板へ高い接着力で密着した光取出し層を形成することができる。
本発明の樹脂組成物によって形成される光取出し層は、透明基板へ高い接着力で密着した光取出し層となり、発光デバイス(特に有機ELデバイス)の光の取り出し効率を十分に高めるだけでなく、配光分布特性および視野角色相差も大きく改善し得るものとなる。従って、本発明によれば、長期に亘って高い発光効率で安定に動作し、しかも、自然光のような違和感のない光を発光する発光デバイス(特に有機ELデバイス)を実現することができる。
本発明の光取出し用樹脂組成物(以下、単に「本発明の樹脂組成物」ともいう)は、
(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂、
(B)粘着付与樹脂、及び
(C)フィラー
を含むことが特徴である。
本発明の樹脂組成物は、有機ELデバイス等の発光デバイスにおける光の取り出し効率を高めるために使用され、通常、発光デバイスの透明基板に積層される光取出し層として形成される。本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解乃至分散させたワニスを透明フィルム上に塗工し、乾燥することで、透明フィルムの片面に本発明の樹脂組成物による光取出し層用の樹脂組成物層が形成された光取出し用フィルムが得られる。
なお、本発明でいう「屈折率」は、25℃での波長589nmの光の屈折率であり、以下の測定方法に基づく値である。
樹脂原料、樹脂組成物およびフィルムの屈折率:プリズムカップリング法により、屈折率のわかっているプリズムとそれに付着した試料との界面における臨界角を測定することで試料の屈折率を知ることができる。プリズムカップリング法測定装置としては、例えば、2010M型プリズムカプラ(メトリコン社製)を使用することができる。
フィラーの屈折率:液浸法により、予め屈折率のわかっている数種の浸漬液とフィラーを、定められた一つの混合比において混合した混合物の589nm平行線透過率を測定し、測定値の数字が最大となる浸漬液の屈折率をフィラーの屈折率とする。該混合物の混合比としては、該測定値の最大値が判別しやすいよう、適宜設定することができる。浸漬液としては、一般に入手可能な浸漬液を使用することができ、例えば、上記プリズムカップリング法を適用することによりあらかじめ屈折率が測定された1−ヨードナフタレン、ジヨードメタン等の任意の比率の混合物や、標準浸漬液を使用することができる。平行線透過率測定装置としては、一般に入手可能な分光光度計を使用することができ、例えばMCPD−7700(大塚電子社製)を使用することができる。ただし、フィラー屈折率が液浸法で測定可能な範囲を越える場合には、フィラーの主たる材質で構成されたバルク体に上記プリズムカップリング法を適用することで測定することができる。
<(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂>
本発明の樹脂組成物におけるスチレン−イソブチレン変性樹脂(以下、「(A)成分」ともいう)は、スチレン骨格及びイソブチレン骨格を含有する共重合体であり、官能基を有するものであれば、特に限定されない。共重合体の形態は、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。かかるスチレン−イソブチレン変性樹脂は好ましくは室温(25℃)での状態が固体状である。
当該(A)成分の好ましい態様として、ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)及びポリイソブチレンブロック(ポリイソブチレン骨格)を含むブロック共重合体であって、官能基を有するもの、すなわち、ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)と、ポリイソブチレンブロック(ポリイソブチレン骨格)とを含むブロック共重合体の少なくとも一方の重合体ブロックに官能基を有する変性ブロック共重合体が挙げられる。
かかる変性ブロック共重合体におけるブロック共重合体の形態は特に限定はされないが、ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)−ポリイソブチレンブロック(ポリイソブチレン骨格)からなるジブロック共重合体、ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)−ポリイソブチレンブロック(ポリイソブチレン骨格)−ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)からなるトリブロック共重合体等を挙げることができ、好ましくは、ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)−ポリイソブチレンブロック(ポリイソブチレン骨格)−ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)からなるトリブロック共重合体(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)である。
ポリイソブチレン骨格は、イソブチレンのホモポリマーであっても、イソブチレンに適宜量の1−ブテン、2−ブテン等のオレフィン系化合物が共重合したものでもよい。また、ポリスチレン骨格は、スチレンのホモポリマーであっても、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン及びインデンから選択される少なくとも1種の適宜量が共重合したものでもよい。
ポリイソブチレン骨格の占める割合は、樹脂組成物の透明基板への接着性の観点から、(A)成分全体に対して(すなわち、変性ブロック共重合体を100質量%とした場合)、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。また、98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましい。
官能基としては、特に限定されないが、酸無水物基、エポキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキセタン基、シアネート基、フェノール基、ヒドラジド基、アミド基等を挙げることができる。官能基は1種であっても、2種以上であってもよい。樹脂組成物の透明基板に対する接着性の観点から、酸無水物基、エポキシ基がより好ましい。これらの官能基は1種であっても、2種以上であってもよい。なお、スチレン−イソブチレン変性樹脂中の官能基濃度は0.05〜10mmol/gが好ましい。
酸無水物基を有するスチレン−イソブチレン変性樹脂を用いる場合は、酸無水物基濃度が0.05〜10mmol/gのものが好ましく、0.2〜5mmol/gのものがより好ましい。なお、ここでいう酸無水物基濃度はJISK 2501の記載に従い、樹脂1g中に存在する酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数として定義される酸価の値より得られる。
エポキシ基を有するスチレン−イソブチレン変性樹脂を用いる場合は、エポキシ基濃度が0.05〜10mmol/gのものが好ましく、0.2〜5mmol/gのものがより好ましい。なお、ここでいうエポキシ基濃度はJISK 7236−1995に基づいて得られるエポキシ当量から求められる。
(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂は、例えば、スチレン−イソブチレン樹脂(例えば、ポリスチレンブロック(ポリスチレン骨格)とポリイソブチレンブロック(ポリイソブチレン骨格)とからなるブロック共重合体)を、ラジカル反応条件下にて、官能基を含有する不飽和化合物でグラフト変性することで得られる。例えば、酸無水物基を有する変性樹脂(例えば、無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)、エポキシ基を有する変性樹脂(例えば、グリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)が挙げられる。
また、本発明のスチレン−イソブチレン変性樹脂の屈折率は1.45〜1.60が好ましく、より好ましくは1.47〜1.57である。発光デバイスの光取出し層は、透明基板の屈折率(通常、1.48〜1.55)と同等であることが必要である。スチレン−イソブチレン変性樹脂を使用することで、本発明の樹脂組成物の屈折率を透明基板の屈折率と同等の屈折率に容易に調整することができる。
(A)成分の数平均分子量は特に限定はされないが、樹脂組成物の成膜性、他の成分との相溶性等の観点から、500000以下が好ましく、300000以下がより好ましく、150000以下が更に好ましい。一方、樹脂組成物のワニスの塗工時のハジキを防止し、かつ、樹脂組成物の機械強度を向上させるという観点から、10000以上が好ましく、30000以上がより好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定される。GPC法による数平均分子量は、具体的には、測定装置として島津製作所社製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工社製ShodexK−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてトルエン等を用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
(A)成分は1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。好適態様としては、例えば、酸無水物基を有する変性樹脂(例えば、無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)とエポキシ基を有する変性樹脂(例えば、グリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)とを併用する態様が挙げられる。酸無水物基を有する変性樹脂とエポキシ基を有する変性樹脂との併用は、樹脂組成物の透明性、接着性等の向上により有利に作用する。酸無水物基を有する変性樹脂とエポキシ基を有する変性樹脂を併用する場合、より良好な接着性および安定性の観点から、両者の配合比(酸無水物基を有する変性樹脂:エポキシ基を有する変性樹脂)は質量比で、1:0.3〜1:3が好ましく、1:1〜1:1.6がより好ましい。
(A)成分の好適な具体例としては、酸無水物基を有する変性ブロック共重合体である無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(例えば、星光PMC社製、T−YP926)、エポキシ基を有する変性ブロック共重合体であるグリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(例えば、星光PMC社製、T−YP927)等が挙げられる。
本発明において(A)成分は1種または2種以上を使用することができる。
本発明の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は特に制限はないが、樹脂組成物の成膜性(樹脂組成物のワニスの塗工性)、屈折率、常温における取扱い性等の観点から、(A)成分の含有量は樹脂組成物中の不揮発分全体当たり80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。一方、樹脂組成物の光学物性、発揮される光取出し性能等の観点から、(A)成分の含有量は樹脂組成物中の不揮発分全体当たり、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。
<(B)粘着付与樹脂>
本発明において使用される(B)粘着付与樹脂(以下、「(B)成分」とも略称する)は、タッキファイヤーとも呼ばれ、可塑性高分子に配合して粘着性を付与させる樹脂である。(B)成分としては、特に限定されるものではなく、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂(水素添加テルペン樹脂、テルペンフェノール共重合樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等)、クマロン樹脂、インデン樹脂、石油樹脂(脂肪族系石油樹脂、水添脂環式石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂およびその水素化物等)が好ましく使用される。なかでも、樹脂組成物の接着性、透明性、(A)成分との相溶性等の観点から、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール共重合樹脂、水添脂環式石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂がより好ましく、脂環族系石油樹脂が更に好ましく、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂環族不飽和炭化水素樹脂が更に一層好ましく、シクロヘキシル環含有飽和炭化水素樹脂が最も好ましい。(B)成分は1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分の軟化点は、光取出し用シートの透明基板への熱ラミネート時に樹脂組成物層が軟化し、熱ラミネート後は十分な耐熱性を備えた光取出し層に形成されるという観点から、50〜200℃が好ましく、90〜180℃がより好ましく、100〜150℃が更に好ましく、120〜145℃が更に一層好ましい。なお、軟化点の測定は、JIS K2207に従い環球法により測定される。
樹脂組成物中の(B)成分の含有量は特に制限はないが、密着強度を充分発揮できる熱ラミネート温度範囲を低く保つ観点から、樹脂組成物中の不揮発分全体に対して60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。一方、樹脂組成物の熱ラミネート後の密着性、常温における取扱い性の観点から、樹脂組成物中の不揮発分全体に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。
(B)成分として使用できる市販品としては、テルペン樹脂として、YSレジンPX、YSレジンPXN(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、芳香族変性テルペン樹脂として、YSレジンTO、TRシリーズ(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、水素添加テルペン樹脂として、クリアロンP、クリアロンM、クリアロンKシリーズ(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、テルペンフェノール共重合樹脂として、YSポリスター2000、ポリスターU、ポリスターT、ポリスターS、マイティエースG(いずれもヤスハラケミカル社製)等が挙げられ、水添脂環式石油樹脂として、Escorez5300シリーズ、5600シリーズ(いずれもエクソンモービル社製)等が挙げられ、芳香族系石油樹脂としてENDEX155(イーストマン社製)等が挙げられ、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂としてQuintoneD100(日本ゼオン社製)等が挙げられ、脂環族系石油樹脂としてQuintone1325、Quintone1345(いずれも日本ゼオン社製)、アルコンP100、アルコンP125、アルコンP140(いずれも荒川化学工業社製)などが挙げられる。
本発明の粘着付与樹脂の屈折率は1.45〜1.60が好ましく、より好ましくは1.47〜1.57内である。
<(C)フィラー>
本発明において使用されるフィラー(以下、「(C)成分」とも略称する)は(A)成分のスチレン−イソブチレン変性樹脂の屈折率よりも屈折率が0.2以上大きいフィラーであれば、無機フィラー、有機フィラーのいずれも使用可能である。樹脂組成物がスチレン−イソブチレン変性樹脂の屈折率よりも屈折率が0.2以上大きいフィラーを含むことで、フィラーとスチレン−イソブチレン変性樹脂の界面で充分な光反射や散乱が起こって、十分に高い光取出し効果が得られる光取出し層を形成することができる。フィラーの屈折率は、スチレン−イソブチレン変性樹脂の屈折率よりも0.22以上大きいことが好ましく、0.25以上大きいことがより好ましい。フィラーとスチレン−イソブチレン変性樹脂の屈折率の差の上限に特に制限は無いが、コスト等の観点から、1.0以下が好ましい。
好ましいフィラーとしては、酸化チタン(屈折率:2.4)、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.2)、酸化セリウム(屈折率:2.2)、チタン酸バリウム(屈折率:2.2)、等が挙げられ、特に好ましいフィラーは、酸化チタン、酸化アルミニウムである。フィラーは1種または2種以上を使用することができる。
フィラーの粒子形状は特に限定されないが、球状、針状、板状、不定形状等があげられる。また、フィラーの平均粒径も特に限定されず、光散乱性、樹脂組成物の光の取り出し効率(正面取り出し効率)等の観点から適宜選択することができる。主に光散乱性の観点から、フィラーの平均粒径は0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。また、主に光の取り出し効率(正面取り出し効率)の観点から、フィラーの平均粒径は50μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。また、フィラーの平均粒径が光取出し層(樹脂組成物層)の厚さに近づくにつれ、光取出し層(樹脂組成物層)の密着性が低下する傾向があるため、フィラーの平均粒径は光取出し層(樹脂組成物層)の厚さの三分の一以下が好ましい。
本発明におけるフィラーの粒子形状および平均粒径は、光取出し層(樹脂組成物層)中での物性であり、光学顕微鏡での透過観察に基づく。平均粒径は、光取出し層(樹脂組成物層)を光学顕微鏡で透過観察して、視野内の10個以上の粒子の粒子径を測定して平均粒径を算出する。
樹脂組成物中のフィラーの配合量は特に制限はなく、光散乱性、樹脂組成物の光の取り出し効率(正面取り出し効率)等の観点から適宜選択することができる。主に光散乱性の観点から、フィラーの配合量は、樹脂組成物の不揮発分全体当たり0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。また、主に樹脂組成物の光の取り出し効率(正面取り出し効率)の観点から、フィラーの配合量は、樹脂組成物の不揮発分全体当たり50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
<(D)硬化剤(架橋剤)>
本発明の樹脂組成物には、更に硬化剤(以下、「(D)成分」とも略称する)を含有させることができる。なお、硬化剤(架橋剤)は、(A)成分が有する官能基に応じて、適宜、含有される。硬化剤(架橋剤)の使用は、(A)成分として、エポキシ基を有するスチレン−イソブチレン変性樹脂を含む場合に好適である。従って、硬化剤としては、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ホスホニウム系硬化剤、フェノール系硬化剤などのエポキシ硬化剤が挙げられる。(D)成分は1種又は2種以上を使用できる。
アミン系硬化剤としては、特に制限はないが、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5)、DBU−フェノール塩、DBU−オクチル酸塩、DBU−p−トルエンスルホン酸塩、DBU−ギ酸塩、DBU−フェノールノボラック樹脂塩等のジアザビシクロ化合物;ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミンおよびそれらの塩、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア、芳香族ジメチルウレア等のジメチルウレア化合物;等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
グアニジン系硬化剤としては、特に制限はないが、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
イミダゾール系硬化剤としては、特に制限はないが、1H−イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルーイミダゾール、1−シアノエチルー2−エチル−4−メチル−イミダゾール、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−イミダゾール、2−ドデシル−イミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチル−イミダゾール等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
ホスホニウム系硬化剤としては、特に制限はないが、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
フェノール系硬化剤の種類は、特に制限はないが、MEH−7700、MEH−7810、MEH−7851(明和化成社製)、NHN、CBN、GPH(日本化薬社製)、SN170、SN180、SN190、SN475、SN485、SN495、SN375、SN395(東都化成社製)、TD2090(DIC社製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤の具体例としては、LA3018(DIC社製)等が挙げられる。トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤の具体例としては、LA7052、LA7054、LA1356(DIC社製)等が挙げられる。これらは1種または2種以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂組成物中の(D)成分の含有量は特に制限はないが、樹脂への着色や接着される部材への悪影響の観点から、樹脂組成物中の不揮発分全体当たり5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。一方、十分な架橋を形成するため、樹脂組成物中の不揮発分全体当たり、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、上記(A)〜(D)成分以外に、特定波長光を吸収する物質、光散乱性を調節する物質等任意の成分を更に配合することができる。
本発明の樹脂組成物は、配合成分を、必要により溶媒等をさらに加えて、混練ローラーや回転ミキサーなどを用いて混合することで調製される。
本発明の樹脂組成物の屈折率は1.45〜1.60が好ましく、1.47〜1.57がより好ましい。なお、樹脂組成物の屈折率は、固形分の屈折率である。
<光取出し層>
例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解乃至分散させたワニスを調製し、発光デバイスの透明基板上に、ワニスを塗布、乾燥して樹脂組成物層を形成することで、当該樹脂組成物層が透明基板に高い接着力にて密着した光取出し層となる。乾燥条件は特に制限はないが、50〜100℃で1〜60分が好ましい。また、樹脂組成物層はさらに加熱して硬化物としてもよい。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」とも略称する)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等;ソルベントナフサ等の芳香族系混合溶剤を挙げることができる。芳香族系混合溶剤として「スワゾール」(丸善石油社製、商品名)、「イプゾール」(出光興産社製、商品名)が挙げられる。有機溶剤は1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、後記で詳述する光取出し用フィルムを、発光デバイスの透明基板に熱ラミネートすることによっても、透明基板に高い接着力にて密着した光取出し層を形成することができる。
光取出し層の厚さは1〜60μmが好ましく、より好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは15〜30μmである。下限値は密着性の観点から適宜決定することができ、上限値は正面取り出し効率の観点から適宜決定することができる。また、光取出し層の全光線透過率は好ましくは55〜90%であり、より好ましくは60〜80%である。下限値は正面取り出し効率の観点から適宜決定することができ、上限値は光散乱性の観点から適宜決定することができる。また、光取出し層の屈折率は1.45〜1.60が好ましく、1.47〜1.57がより好ましい。
<光取出し用フィルム>
本発明の光取出し用フィルムは、本発明の樹脂組成物からなる単層フィルム、および、本発明の樹脂組成物の層(光取出し層)が透明フィルム上に形成された多層フィルムの形態を含む。単層フィルムは、公知のフィルム成形法によって、本発明の樹脂組成物をフィルムに成形するか、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解乃至分散させたワニスを適当な基材(好ましくは剥離処理した基材)に塗工し、乾燥し、乾燥後の被膜を剥離する等の方法によって、得ることができる。また、多層フィルムは、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解乃至分散させたワニスを透明フィルム上に塗工し、乾燥することによって、得ることができる。
光取出し用フィルムの厚さは1〜60μmが好ましく、より好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは15〜30μmである。光取出し用フィルムの厚さの下限値は密着性の観点から適宜決定することができ、上限値は正面取り出し効率の観点から適宜決定することができる。また、光取出し用フィルムの全光線透過率は好ましくは55〜90%であり、より好ましくは60〜80%である。全光線透過率の下限値は正面取り出し効率の観点から適宜決定することができ、上限値は光散乱性の観点から適宜決定することができる。また、光取出し用フィルムの屈折率は1.45〜1.60が好ましく、1.47〜1.57がより好ましい。
なお、本発明でいう、「光取出し用フィルムの厚さ、全光線透過率および屈折率」とは、光取出し用フィルムが単層フィルムの場合は、単層フィルムの厚さ、全光線透過率および屈折率であり、多層フィルムの場合は、本発明の樹脂組成物の層(光取出し層)の厚さ、全光線透過率および屈折率を意味する。
なお、本発明の光取出し用フィルムが多層フィルムの場合、光取出し用フィルムをその樹脂組成物層側を透明基板に向けて透明基板に熱ラミネートすることで、透明基板に高い接着力にて密着した光取出し層が透明フィルムで覆われた光取出し構造が形成される。
透明フィルムには、通常、透明プラスチックフィルムが使用される。透明プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリカーボネート(PC);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリアクリル;ABS樹脂;AES樹脂;ポリ塩化ビフェニル;ポリビニルアルコール;ポリウレタン、ポリイミド;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ素系樹脂等のフィルムを挙げることができる。
透明プラスチックフィルムの屈折率は、特に制限がない。これは、光取出し層と透明プラスチックフィルムの界面において全反射した光線が、透明プラスチックフィルムと本発明の樹脂組成物との界面で乱反射することにより、透明プラスチックフィルムからの光取出し効果が発揮されるためである。高い光取出し効果を発揮するため、より好ましくは1.6以下、さらに好ましく1.5以下となるものを選択するのが好ましい。
透明フィルムの厚さは特に限定されないが、光取出し用フィルムの取り扱い易さ、耐候性等の観点から、5〜500μm程度が好ましく、25〜200μm程度がより好ましい。なお、透明フィルムには予め表面処理を施すこともできる。例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理等の他、離型処理を施してあってもよい。
本発明の光取出し用フィルムは、実際に発光デバイスの透明基板へラミネートする迄では、光取出し用フィルムの樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止するために保護フィルムで保護されているのが好ましく、保護フィルムとしては、プラスチックフィルムを用いることができる。保護フィルムは予めマット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
本発明の樹脂組成物層(光取出し層)を含む光取出し構造は、以下の方法によって形成することもできる。
すなわち、支持体であるフィルム(第一のフィルム)の片面に樹脂組成物層(光取出し層)を形成した樹脂組成物層転写用フィルムを樹脂組成物層側を透明基板に向けて透明基板に熱ラミネートした後、該フィルムを剥離して、透明基板に残留した樹脂組成物層(透明基板に転写させた樹脂組成物層)に透明フィルム(第二のフィルム)を熱ラミネートすることで、透明基板に高い接着力にて密着した樹脂組成物層(光取出し層)が透明フィルムで覆われた光取出し構造が形成される。
該方法であれば、樹脂組成物層転写用フィルムの支持体である第一のフィルムは光取出し構造に含まれないので、該フィルムには、上述の透明プラスチックフィルムを含む任意のフィルムを用いることができる。また、フィルムの厚さは、フィルムの取り扱い易さ、剥離性、耐久性等の観点から、好ましくは5〜150μm程度であり、より好ましくは25〜50μm程度である。一方、透明フィルムである第二のフィルムには、通常、上述の透明プラスチックフィルムが使用され、フィルムの厚さは、機能性、耐候性等の観点から、好ましくは5〜500μm程度であり、より好ましくは25〜200μm程度である。
なお、第一のフィルムおよび第二のフィルムには、表面処理を予め施すこともできる。例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理等の他、離型処理を施してあってもよい。
<発光デバイス>
本発明でいう発光デバイスとは、有機ELデバイス、無機ELデバイス、LED、蛍光管等を含む概念であり、典型的には、有機EL照明デバイス(パネル・モジュール)、LED照明デバイス等の照明用途の発光デバイスである。
本発明の発光デバイスは、デバイスの発光面となる透明基板に本発明の樹脂組成物による光取出し層が密着したもの、該光取出し層にさらに透明フィルムが積層されたものを含む。本発明の樹脂組成物によって形成された光取出し層は、発光デバイスの光の取り出し効率を向上させるだけでなく、配光分布特性および視野角色相差も大きく改善する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
実施例及び比較例に用いた材料について説明する。
(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂
・T−YP926(星光PMC社製):無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、無水マレイン酸基(酸無水物基)濃度:0.45mmol/g、数平均分子量:35,000、屈折率(25℃、589nm):1.52
・T−YP927(星光PMC社製):グリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、グリシジル基(エポキシ基)濃度:0.64mmol/g、数平均分子量:48,000、屈折率(25℃、589nm):1.52
(B)粘着付与樹脂
・アルコンP125(荒川化学工業社製):シクロヘキシル環含有飽和炭化水素樹脂、軟化点125℃、屈折率(25℃、589nm):1.53
・アルコンP140(荒川化学工業社製):シクロヘキシル環含有飽和炭化水素樹脂、軟化点140℃、屈折率(25℃、589nm):1.53
(C)フィラー
・SX3103(堺化学社製):酸化チタン、屈折率:2.4、平均粒径:2.0μm
・AA−3(住友化学社製):酸化アルミニウム、屈折率:1.78、平均粒径:3.0μm
・DSN−30(根本特殊化学社製):炭酸カルシウム、屈折率:1.66(常光線に対して)、平均粒径:12μm
(D)硬化剤
・TAP(化薬アグゾ社製):2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
<実施例1>
以下に記載の方法で光取出し用フィルムを得た。なお、特に記載のない限り、各成分の質量部(以下、「部」と略称する)の部数は固形分で換算した値である。
無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP926、40%スワゾール−1000溶液)23.1部をスワゾール−1000(丸善石油化学製)12.6部で希釈し、酸化チタンフィラー(SX3103)3.0部を添加してダマ残りのないよう混合した。この混合物を、さらに高速分散ミキサー(アジホモミキサー、回転数3000rpm)を用いて30分混合した。これを第1剤とした。
無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP926、40%スワゾール−1000溶液)40部に、シクロヘキシル環含有飽和炭化水素樹脂(アルコンP125)60部、シクロヘキシル環含有飽和炭化水素樹脂(アルコンP140)20部を加え、回転ミキサー(プラネタリーミキサー、回転数75rpm)を用いて均一となるまで80℃で2時間加熱溶解させた。これを第2剤とした。
第1剤40.1部、第2剤120.4部、およびグリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP927、40%スワゾール溶液)79.2部を25℃に冷却し、回転ミキサー(プラネタリーミキサー、回転数75rpm)を用いて常温で20分均一に混合した。ここに、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(以下TAP、0.6%スワゾール−1000溶液)63部を加えて回転ミキサー(プラネタリーミキサー、回転数75rpm)を用いて常温で十分に混合し、ワニスを得た。
得られたワニスをハンドコーターにてPETフィルム(E7004、東洋紡製)上に塗工厚100μmで塗工し、100℃の熱循環オーブンで30分、130℃の熱循環オーブンで60分加熱して、PETフィルム(厚さ:38μm)上に光取出し層(厚さ:25μm)が形成された光取出し用フィルムを得た。
<比較例1>
無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP926、40%スワゾール−1000溶液)およびリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP927、40%スワゾール−1000溶液)を、ともにスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBSTAR−102T、40%スワゾール−1000溶液)に変更した以外は、実施例1と同様にして光取出し用フィルムを得た。
<接着力:接着湿熱耐性の評価>
実施例1及び比較例1の光取出し用フィルム(長さ50mm、幅20mm)をバッチ式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン社製、Morton−724)を用いて、アルミニウム箔(長さ100mm、幅20mm、厚さ50μm、住軽アルミ箔社製、品番SA50)にラミネートした。ラミネートは、温度80℃、時間20秒、圧力1kgf/cm(9.8×10Pa)の条件で行った。そしてPETフィルムを剥離し、露出した樹脂組成物層(光取出し層)上に、さらにガラス板(長さ76mm、幅26mm、厚さ1.2mm、マイクロスライドガラス)を上記と同じ条件でラミネートした。得られた積層体を、121℃、100%RHの条件下で24時間保持した後に、目視観察したところ、比較例1の光取出し用フィルムによる積層体では、アルミニウム箔が完全に剥離していたが、実施例1の光取出し用フィルムによる積層体では、アルミニウム箔の部分的な剥離が認められたが、水は中央部まで浸透していなかった。
以上の結果から、(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂を使用した本発明の樹脂組成物(実施例1)は光取出し用フィルム、透明基板へ高い接着強度で密着し、かつ過酷環境においても接着強度を保ったことが示された。一方、(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂を使用せず、無変性のスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体を使用した比較例1の樹脂組成物は光取出し用フィルム、透明基板への接着強度の耐環境性が低く、光取出し用樹脂組成物としては使用できないことが示された。
<実施例2>
以下に記載の方法で光取出し用フィルムを得た。なお、特に記載のない限り、各成分の質量部(以下、「部」と略称する)の部数は固形分で換算した値である。
無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP926、40%スワゾール−1000溶液)23.1部をスワゾール−1000(丸善石油化学製)12.6部で希釈し、酸化チタンフィラー(SX3103)8.2部を添加してダマ残りのないよう混合した。この混合物を、さらに高速分散ミキサー(アジホモミキサー、回転数3000rpm)を用いて30分混合した。これを第1剤とした。
無水マレイン酸変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP926、40%スワゾール−1000溶液)40部に、シクロヘキシル環含有飽和炭化水素樹脂(アルコンP125)60部、シクロヘキシル環含有飽和炭化水素樹脂(アルコンP140)20部を加え、回転ミキサー(プラネタリーミキサー、回転数75rpm)を用いて均一となるまで80℃で2時間加熱溶解させた。これを第2剤とした。
第1剤40.1部、第2剤120.4部、およびグリシジルメタクリレート変性スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(T−YP927、40%スワゾール−1000溶液)79.2部を25℃に冷却し、回転ミキサー(プラネタリーミキサー、回転数75rpm)を用いて常温で20分均一に混合した。ここに、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(以下TAP、0.6%スワゾール−1000溶液)63部を加えて回転ミキサー(プラネタリーミキサー、回転数75rpm)を用いて常温で十分に混合し、ワニスを得た。
得られたワニスをハンドコーターにてPETフィルム(ルミラー38T6AM、東レ製)上に塗工厚100μmで塗工し、100℃の熱循環オーブンで30分、130℃の熱循環オーブンで60分加熱して、PETフィルム(厚さ:38μm)上に光取出し層(厚さ:25μm)が形成された光取出し用フィルムを得た。
<実施例3〜7、比較例2〜5>
下記表1の上段に示す処方に変更した以外は実施例1と同様にしてワニスを得、得られたワニスを、ハンドコーターにてPETフィルム(ルミラー38T6AM、東レ製)上に塗工厚100μmで塗工し、100℃の熱循環オーブンで30分、130℃の熱循環オーブンで60分加熱して、PETフィルム(厚さ:38μm)上に光取出し層(厚さ:25μm)が形成された光取出し用フィルムを得た。
実施例2〜7および比較例2〜5で得られた光取出し用フィルムの性能評価を以下の方法で行った。
<正面取り出し効率>
平面形状が40mm×70mmの長方形のパネル体の中心に発光部(27mm×48mmの矩形領域)を持つ有機EL発光パネル(イー・エル・テクノ製、4.5V印加のとき色温度3100K)を用意し、該有機EL発光パネルの透明基板の表面の中心部の15mm×15mmの正方形領域が開口部となるように、該表面のその他の領域を黒色紙でマスクした。この開口部の中心の直上にファイバ式分光光度計(MCPD−7700、大塚電子製)の受光ファイバの先端をパネル(透明基板)から75mm離間させて設置した。そして、パネルに4.5Vを印加して、分光光度計により発光スペクトルを取得した。なお、分光光度計は発光体モードを用い、450nmから800nmまで5nm刻みで各波長の受光強度を測定してそれらを集計した値をパネル発光強度とした。次に、上記有機ELパネルのマスクを取り外し、該有機ELパネルの表面に40mm×70mm光取出し用フィルムを装着し、その上に上記手順に従って再度マスクをした後、同様の操作で発光強度を取得し、これをフィルム装着時発光強度とした。そして、次式により正面取出し効率を算出し、下記の評価基準で評価した。
正面取出し効率=(フィルム装着時発光強度)/(パネル発光強度)
[評価基準]
優秀(◎):140%以上
良好(○):130%以上、140%未満
可(△):120%以上、130%未満
不可(×):120%未満
<配光分布特性>
平面形状が40mm×70mmの長方形のパネル体の中心に発光部(27mm×48mmの矩形領域)を持つ有機EL発光パネル(イー・エル・テクノ製、4.5V印加のとき色温度3100K)に、40mm×70mmの光取出し用フィルムを装着し、該有機EL発光パネルの透明基板の表面の中心部の15mm×15mmの正方形領域が開口部となるように、該表面のその他の領域を黒色紙でマスクした。この開口部の中央の直上にファイバ式分光光度計(MCPD−7700、大塚電子製)の受光ファイバの先端をパネル(透明基板)から75mm離間させて設置した。パネルに4.5Vを印加し、受光ファイバの先端が常に開口部の中心を向くようにしながら、開口部の中心を中心とした半径75mmの円を描くように受光角度を10°刻みで変動させることで、0°から70°までの受光角度θにおける発光スペクトルを取得した。ここでいう受光角度θとは、開口部の中心を原点とし光放出面側に延びるパネル面に垂直な線と、受光ファイバの先端とパネル発光部位中心を結ぶ直線の成す角度のことである。
なお、分光光度計は発光体モードを用い、450nmから800nmまで5nm刻みで各波長の受光強度を測定してそれらを集計した値を角度θにおけるパネル発光強度Lθとした。次式によりランバート配光への接近度合いとして配光分布特性値を算出し、下記の評価基準で評価した。
Figure 0006269669
[評価基準]
優秀(◎):1.200未満
良好(○):1.200以上、1.225未満
可(△):1.225以上、1.250未満
不可(×):1.250以上
<色相差>
配光分布特性の評価試験と同様にして、40mm×70mmの光取出し用フィルムが装着された有機EL発光パネル(イー・エル・テクノ製、4.5V印加のとき色温度3100K)の開口部の中央の直上にファイバ式分光光度計(MCPD−7700、大塚電子製)の受光ファイバの先端をパネル(透明基板)から75mm離間させて設置した。そして、パネルに4.5Vを印加し、受光ファイバの先端を、開口部の中心を中心とした半径75mmの円を描くように変動させ、受光角度0°における発光スペクトルよりa*、b*を取得し、それぞれa、bとした。同様に、50°における発光スペクトルよりa*、b*を取得し、それぞれa、bとした。なお、a*、b*はJIS Z 8729に規定のL表色系における色度a、bである。
次式より0°−50°間における色相差ΔHを算出した。
Figure 0006269669
[評価基準]
優秀(◎):1.0未満
良好(○):1.0以上、1.5未満
可(△):1.5以上、2.0未満
不可(×):2.0以上
<全光線透過率>
25mm×25mm×1.1mm厚のスライドガラス(S1112、松浪硝子工業社製)の中心に20mm×20mmの光取出し用フィルムを貼り付けたサンプルの550nm全光線透過率スペクトルを、φ80mm積分球を装着したファイバ式分光光度計(MCPD−7700、大塚電子社製)を用いて測定した。リファレンスは空気とした。
<屈折率>
15mm×15mmの光取出し用フィルムの樹脂組成物面側を2010M型プリズムカプラ(メトリコン製)により589nmレーザー光を用い室温常圧下で測定した。
実施例2〜7、比較例2〜5の試験結果を下記表1の下段に示す。
Figure 0006269669
表1より、(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂、(B)粘着付与樹脂、及び(C)フィラーを含む特定の樹脂組成物を用いることで正面取り出し効率、良好な配光分布特性および色相差が両立された光取出し層が得られることが示された。特に、酸化チタンおよび酸化アルミニウム(屈折率が(A)成分の屈折率より0.2以上大きいフィラー)を使用することが好ましいことが示された。
本発明の樹脂組成物から得られる光取出し層は、透明基板へ高い接着力で密着しし、しかも、発光デバイスの光の取り出し効率を十分に高めるだけでなく、配光分布特性および色相差も大きく改善する。従って、長期に亘って高い発光効率で安定に動作し、しかも、自然光のような違和感のない光を発光する発光デバイス(特に有機ELデバイス)を実現することができる。
本出願は日本で出願された特願2013−146919号を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含される。

Claims (23)

  1. (A)スチレン−イソブチレン変性樹脂、
    (B)粘着付与樹脂、及び
    (C)(A)スチレン−イソブチレン変性樹脂の屈折率よりも0.2以上大きい屈折率を有するフィラー
    を含み、(C)フィラーの含有量が、樹脂組成物の不揮発分全体当たり、2質量%以上である、樹脂組成物であって、
    発光デバイスの透明基板に積層される光取出し層用であり、当該樹脂組成物からなる光取出し層の全光線透過率が54%以上であることを特徴とする、光取出し用樹脂組成物。
  2. (C)フィラーが、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、およびチタン酸バリウムから選択される少なくとも1種である、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. (C)フィラーの平均粒径が0.5〜50μmである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. (A)スチレン−イソブチレン変性樹脂が、ポリスチレン骨格及びポリイソブチレン骨格を含むブロック共重合体であって、官能基を有するものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 官能基が、酸無水物基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキセタン基、シアネート基、フェノール基、ヒドラジド基及びアミド基からなる群より選択される1種または2種以上である、請求項記載の樹脂組成物。
  6. (B)粘着付与樹脂が、脂環族系石油樹脂である、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. (B)粘着付与樹脂が、脂環族飽和炭化水素樹脂及び/又は脂環族不飽和炭化水素樹脂である、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. (B)粘着付与樹脂が、シクロヘキサン環含有飽和炭化水素樹脂及び/又はジシクロペンタジエン変性炭化水素樹脂である、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. (A)スチレン−イソブチレン変性樹脂の含有量が、樹脂組成物中の不揮発分全体当たり、35〜80質量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. (B)粘着付与樹脂の含有量が、樹脂組成物の不揮発分全体当たり、5〜60質量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. (C)フィラーの含有量が、樹脂組成物の不揮発分全体当たり、50質量%以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. (D)硬化剤を更に含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 樹脂組成物の屈折率が1.45〜1.60である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. 発光デバイスが有機ELデバイスである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする、光取出し用フィルム。
  16. 屈折率が1.45〜1.60である、請求項15に記載の光取出し用フィルム。
  17. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる光取出し層が透明フィルム上に形成されてなる、光取出し用フィルム。
  18. 発光デバイスの光取出し用である、請求項1517のいずれか1項に記載の光取出し用フィルム。
  19. 発光デバイスが有機ELデバイスである、請求項18記載の光取出し用フィルム。
  20. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる光取出し層を含む、発光デバイス。
  21. 光取出し層の全光線透過率が54〜90%である、請求項20に記載の発光デバイス。
  22. 光取出し層の屈折率が1.45〜1.60である、請求項20または21に記載の発光デバイス。
  23. 当該発光デバイスが有機ELデバイスである、請求項2022のいずれか1項記載の発光デバイス。
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