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JP6260080B2 - 波長可変干渉フィルター、波長可変干渉フィルターの製造方法、光学モジュール、及び電子機器 - Google Patents

波長可変干渉フィルター、波長可変干渉フィルターの製造方法、光学モジュール、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、波長可変干渉フィルター、波長可変干渉フィルターの製造方法、光学モジュール、及び電子機器に関する。
従来、一対の基板の互いに対向する面に、それぞれ反射膜が対向配置され、この反射膜間のギャップ寸法を変化させることで、入射光から所定の波長の光を選択して透過させる波長可変干渉フィルターが知られている。
このような波長可変干渉フィルターにおいて、反射膜として例えばAgやAg合金等を用いる場合、反射膜が大気や大気中の水分子等の異物の付着により劣化する可能性がある。
これに対して、反射膜や電極が設けられた空間を気密封止し、この気密封止した空間を真空にした波長可変干渉フィルターがある(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1のフィルター検出器では、反射膜が形成された一対の基板の一方に対して、もう一方の基板を挟んで別の基板が接合されており、これにより、反射膜やアクチュエーターを構成する電極が設けられた空間が真空状態で気密封止されている。
特表平10−511772号公報
ところで、上記特許文献1では、基板としてシリコン基板が用いられているため、当該シリコン基板を介して電極に対して電圧を印加することが可能となる。しかしながら、シリコン基板では、例えば可視光域等の光を透過させることができない。可視光域等の光を透過させる波長可変干渉フィルターでは、基板としてガラス等の非導電性部材が用いられるので、上記特許文献1のような構成では、気密封止された空間内の電極に電圧を印加することができないという課題がある。
本発明は、気密封止された空間の内の電極に電圧を印加することが可能な波長可変干渉フィルター、波長可変干渉フィルターの製造方法、光学モジュール、及び電子機器を提供することを目的とする。
本発明の波長可変干渉フィルターは、第一基板と、前記第一基板に対向して配置された第二基板と、前記第一基板に設けられ、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第一反射膜と、前記第二基板に、前記第一反射膜に対向して設けられ、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第二反射膜と、前記第一反射膜と前記第二反射膜との間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、前記ギャップ変更部に接続された配線部と、天面部、及び前記天面部より前記第一基板側に位置し前記天面部の上から見た平面視の形状が枠状の側壁部、を備えた第三基板と、前記第三基板の側壁部の前記第一基板に対向する端面と前記第一基板との間に設けられ、前記端面と前記第一基板を接合する接合部材と、を備え、前記第二基板は、可動部と、前記可動部を保持する保持部と、を含み、前記第二反射膜は、前記可動部に重なり、前記端面と前記第一基板とが接合されて、前記第三基板の天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間が気密封止され、前記空間に、前記第二基板及び前記ギャップ変更部が配置され、前記配線部は、前記第一基板に設けられ、前記空間の内外に亘って延在し、前記接合部材は、前記配線部と前記端面との間に配置されることを特徴とする。
上記の本発明に係る波長可変干渉フィルターは、第一基板と、前記第一基板に対向して配置された第二基板と、前記第一基板に設けられ、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第一反射膜と、前記第二基板に、前記第一反射膜に対向して設けられ、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第二反射膜と、前記第一反射膜と前記第二反射膜との間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、前記ギャップ変更部に接続された配線部と、天面部、及び前記天面部より前記第一基板側に位置し前記天面部の上から見た平面視の形状が枠状の側壁部、を備えた第三基板と、前記第三基板の側壁部の前記第一基板に対向する端面と前記第一基板との間に設けられ、前記端面と前記第一基板を接合する接合部材と、を備え、前記端面と前記第一基板とが接合されて、前記第三基板の天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間が気密封止され、前記空間に、前記第二基板及び前記ギャップ変更部が配置され、前記配線部は、前記第一基板に設けられ、前記空間の内外に亘って延在し、前記接合部材は、前記配線部と前記端面との間に配置されることを特徴とする。
上記の本発明に係る波長可変干渉フィルターは、第一基板と、前記第一基板に対向して配置された第二基板と、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜と、前記第二基板に、前記第一反射膜に対向して設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜と、前記第一反射膜及び前記第二反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、前記ギャップ変更部に接続された配線部と、天面部、及び前記天面部より前記第一基板側に位置し前記天面部の厚み方向から見た平面視の形状が枠状の側壁部、を備えた第三基板と、を備え、前記第三基板の側壁部の前記第一基板と対向する端面及び前記第一基板とが接合されて、前記第三基板の天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間が気密封止され、前記空間に、前記第二基板及び前記ギャップ変更部が配置され、前記配線部は、前記第一基板に設けられ、前記空間の内外に亘って延在していることを特徴とする。


本発明によれば、配線部は、第一基板に設けられ、天面部、側壁部及び第一基板で囲まれる気密封止された空間の内外に亘って延在している。これにより、気密封止された空間の外に引き出された配線部からギャップ変更部に対して電圧を印加することができる。また、内部が気密に維持された筐体に波長可変干渉フィルターを収納(パッケージ化)した構成に比べて、チップ単体で前記空間を気密封止できるため、波長可変干渉フィルターを小型化できる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記ギャップ変更部は、前記第一基板に設けられた第一電極と、前記第二基板に設けられ、前記第一電極と対向して配置された第二電極と、を備え、前記第二基板には、前記第二電極に接続された接続電極が設けられ、前記配線部は、前記第一電極に接続された第一引出電極と、前記接続電極に接続された第二引出電極と、を備えていることが好ましい。
本発明によれば、第二基板に設けられた第二電極に接続された配線の引き出しを、第一基板に設けられた配線部によって行うことができる。このため、引き出し用の配線を第一基板に集約することができ、製造コストを低減できる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記第三基板の側壁部の前記端面及び前記第一基板の間に設けられ、前記端面及び前記第一基板を接合する接合部材を備え、前記配線部は、前記接合部材が設けられている領域を通過して前記空間の内外に亘って延在していることが好ましい。
本発明によれば、第一基板に対して、配線を引き出すための特別な加工を施す必要がないため、製造コストを低減できる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記第一基板における前記側壁部の前記端面と対向する位置に溝が設けられ、前記溝内に前記配線部が延在していることが好ましい。
本発明によれば、側壁部の端面と第一基板との接合箇所において、配線部の表面と第一基板の表面との段差は、溝が形成されていない場合と比べて小さくなる。もしくは、配線部の表面が第一基板の表面よりも下がった状態となる。これにより、第三基板が傾くことを抑制でき、側壁部の端面と第一基板とを隙間なく接合でき、前記空間の気密性をより高くすることができる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記接合部材は、低融点ガラスであることが好ましい。
低融点ガラスは間隙に対する埋め込み性が高いため、本発明によれば、配線部が通過する箇所においても、側壁部の端面と第一基板とを隙間なく接合でき、前記空間の気密性をより高くすることができる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記配線部は、前記第一基板を貫通して前記空間の内外に亘って延在していることが好ましい。
本発明によれば、前記空間の内から外へ配線を引き出すために、例えば第一基板に第三基板から露出する領域を設ける必要がなく、第一基板のサイズを小さくでき、波長可変干渉フィルターをより小型化できる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記側壁部の前記端面及び前記第一基板は、それぞれに設けられた金属膜同士の金属接合により接合されていることが好ましい。
本発明によれば、側壁部の端面と第一基板とをより強固に接合でき、前記空間の気密性をより高くすることができる。また、接着剤のようなガスを発生する材料を用いることがないため、前記空間の真空状態を維持でき、また、前記空間を不活性ガス等の所定のガスで満たす場合には、前記空間に他のガスが混入することを抑制できる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記側壁部の前記端面及び前記第一基板は、低融点ガラスを用いて接合されていることが好ましい。
低融点ガラスは間隙に対する埋め込み性が高いため、本発明によれば、例えば、接合界面の平坦性がよくない場合であっても、側壁部の端面と第一基板とを隙間なく接合でき、前記空間の気密性をより高くすることができる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記第一基板または前記第三基板の少なくとも一方に貫通孔が設けられ、前記貫通孔を封止する封止部材を備えていることが好ましい。
本発明によれば、製造段階において、貫通孔を介して前記空間内のガスを真空引きし、その後、貫通孔を封止部材で封止することで、前記空間を、真空状態を維持して気密封止することができる。これにより、第一基板と第三基板との接合工程を、真空チャンバー内ではなく大気中で行うことができ、製造工程を簡略化できる。また、例えば、側壁部と第一基板の接合に接着剤を用いた際に、この接着剤から発生したガスが前記空間に混入した場合でも、このガスを除去することができる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記天面部及び前記側壁部が別体で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、天面部と側壁部とを別々に形成することができる。この場合、例えば一枚の基板をエッチングすることにより天面部及び側壁部を形成する場合と比べて、製造時間を短くすることができる。また、天面部の表面の平坦性をより高くすることができるため、天面部に入射した光を適切に透過させることができる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記天面部及び前記側壁部の材料が前記第一基板と同じであることが好ましい。
ここで、例えば製造過程に発生する熱や、製品使用時の環境温度変化により、天面部、側壁部及び第一基板は熱膨張することがある。このとき、天面部、側壁部及び第一基板の熱膨張の度合いが互いに異なると、応力が発生して天面部及び第一基板が変形することがある。そして、第一反射膜の形成された第一基板が変形すると、波長可変干渉フィルターの分光性能を低下させることがある。
これに対して、本発明によれば、天面部、側壁部及び第一基板間で熱膨張係数を同じにすることができるため、天面部及び第一基板の変形を抑制できる。このため、天面部または第一基板に入射した光を適切に分光し、透過させることができる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記天面部の材料が硼珪酸ガラスであり、前記側壁部の材料がシリコンであることが好ましい。
本発明によれば、天面部と側壁部とを陽極接合させることができ、天面部と側壁部とをより強固に接合することができる。さらに、第一基板に硼珪酸ガラスを用いることで、側壁部と第一基板とを陽極接合させることができ、側壁部と第一基板とをより強固に接合できる。
本発明の波長可変干渉フィルターでは、前記天面部の材料がガラスであり、前記側壁部の材料が金属であることが好ましい。
本発明によれば、側壁部の端面に別途、金属膜を形成することなく、側壁部と第一基板とを金属接合させることができるため、製造工程を簡略化できる。
本発明の波長可変干渉フィルターの製造方法は、第一基板に、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、第一電極、及び配線部を形成する第一基板形成工程と、第二基板に、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜、及び第二電極を形成する第二基板形成工程と、天面部、及び、前記天面部の厚み方向から見た平面視の形状が枠状の側壁部を備えた第三基板を形成する第三基板形成工程と、前記第一反射膜及び前記第二反射膜が対向し、前記第一電極及び前記第二電極が対向するように、前記第一基板及び前記第二基板を配置するギャップ形成工程と、前記第一基板と前記第三基板とを接合する接合工程と、を有し、前記接合工程は、前記天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間に前記第二基板が位置し、かつ、前記空間の内外に亘って前記配線部が位置するように、前記第一基板及び前記第三基板を配置し、前記側壁部の前記第一基板と対向する端面及び前記第一基板を接合し、前記空間を気密封止することを特徴とする。
本発明によれば、第一基板に設けられた配線部は、接合工程により、天面部、側壁部及び第一基板で囲まれる気密封止された空間の内外に亘って延在する。これにより、気密封止された空間の外に引き出された配線部から第一電極及び第二電極に対して電圧を印加することができる。また、内部が気密に維持された筐体に波長可変干渉フィルターを収納した構成に比べて、チップ単体で前記空間を気密封止できるため、波長可変干渉フィルターを小型化できる。
本発明の波長可変干渉フィルターの製造方法では、前記接合工程は、前記第三基板の側壁部の前記端面及び前記第一基板に金属膜を形成し、形成した金属膜同士を接合することで、前記端面及び前記第一基板を接合することが好ましい。
本発明によれば、側壁部の端面と第一基板とをより強固に接合でき、前記空間の気密性をより高くすることができる。また、接着剤のようなガスを発生する材料を用いることがないため、前記空間の真空状態を維持でき、また、前記空間を不活性ガス等の所定のガスで満たす場合には、前記空間に他のガスが混入することを抑制できる。
本発明の波長可変干渉フィルターの製造方法では、前記接合工程は、前記第三基板の側壁部の前記端面及び前記第一基板を、低融点ガラスを用いて接合することが好ましい。
低融点ガラスは間隙に対する埋め込み性が高いため、本発明によれば、例えば、接合界面の平坦性がよくない場合でも、側壁部の端面と第一基板とを隙間なく接合でき、前記空間の気密性をより高くすることができる。
本発明の波長可変干渉フィルターの製造方法では、前記第三基板形成工程は、前記第三基板に貫通孔を形成し、前記接合工程は、前記側壁部の前記端面及び前記第一基板を接合した後、前記貫通孔を介して前記空間内のガスを真空引きし、その後、前記貫通孔を封止することで前記空間を気密封止することが好ましい。
本発明によれば、第一基板と第三基板とを接合する工程を、真空チャンバー内ではなく大気中で行うことができ、製造工程を簡略化できる。また、例えば、側壁部と第一基板の接合に接着剤を用いた際に、この接着剤から発生したガスが前記空間に混入した場合でも、このガスを除去することができる。
本発明の光学モジュールでは、第一基板と、前記第一基板に対向して配置された第二基板と、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜と、前記第二基板に、前記第一反射膜に対向して設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜と、前記第一反射膜及び前記第二反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、前記ギャップ変更部に接続された配線部と、天面部、及び前記天面部より前記第一基板側に位置し前記天面部の厚み方向から見た平面視の形状が枠状の側壁部、を備えた第三基板と、前記第一反射膜と前記第二反射膜との間に入射した光が干渉して選択された波長の光を検出する検出部と、を備え、前記第三基板の側壁部の前記第一基板と対向する端面及び前記第一基板とが接合されて、前記第三基板の天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間が気密封止され、前記空間に、前記第二基板及び前記ギャップ変更部が配置され、前記配線部は、前記第一基板に設けられ、前記空間の内外に亘って延在していることを特徴とする。
本発明によれば、上記発明と同様、チップ単体で前記空間の気密封止を行うことができるため、光学モジュールを小型化できる。
本発明の電子機器では、第一基板、前記第一基板に対向して配置された第二基板、前記第一基板に設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第一反射膜、前記第二基板に、前記第一反射膜に対向して設けられ、入射光の一部を反射し一部を透過する第二反射膜、前記第一反射膜及び前記第二反射膜の間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、前記ギャップ変更部に接続された配線部、及び天面部及び前記天面部より前記第一基板側に位置し前記天面部の厚み方向から見た平面視の形状が枠状の側壁部を備えた第三基板、を備えた波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターを制御する制御部と、を備え、前記第三基板の側壁部の前記第一基板と対向する端面及び前記第一基板とが接合されて、前記第三基板の天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間が気密封止され、前記空間に、前記第二基板及び前記ギャップ変更部が配置され、前記配線部は、前記第一基板に設けられ、前記空間の内外に亘って延在していることを特徴とする。
本発明によれば、上記発明と同様、チップ単体で前記空間の気密封止を行うことができ、波長可変干渉フィルターを小型化できる。この結果、波長可変干渉フィルターが搭載される電子機器を小型化できる。
本発明に係る第一実施形態の分光測定装置の概略構成を示すブロック図。 本実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図。 図2におけるIII-III線を断面した波長可変干渉フィルターの断面図。 本実施形態において、第一基板を第二基板側から見た平面図。 図4における電極引出溝の断面を示す拡大図。 本実施形態において、第二基板を第一基板側から見た平面図。 本実施形態の波長可変干渉フィルターの製造工程を示すフローチャート。 図7の第一基板形成工程における第一ガラス基板の状態を示す図。 図7の第二基板形成工程における第二ガラス基板の状態を示す図。 図7の基板接合工程を示す図。 本発明に係る第二実施形態の波長可変干渉フィルターの断面図。 本発明に係る第三実施形態の波長可変干渉フィルターの断面図。 本実施形態の基板接合工程を示す図。 本発明に係る第四実施形態の波長可変干渉フィルターの断面図。 その他の実施形態の波長可変干渉フィルターの断面図。 本発明の電子機器である測色装置の一例を示すブロック図。 本発明の電子機器であるガス検出装置の一例を示す概略図。 図17のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図。 本発明の電子機器である食物分析装置の概略構成を示す図。 本発明の電子機器である分光カメラの概略構成を示す模式図。
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
[分光測定装置の構成]
図1は、本発明に係る一実施形態の分光測定装置の概略構成を示すブロック図である。
分光測定装置1は、本発明の電子機器の一例であり、測定対象Xで反射された測定対象光に基づいて、測定対象光のスペクトルを測定する装置である。なお、本実施形態では、測定対象Xで反射した測定対象光を測定する例を示すが、測定対象Xとして、例えば液晶パネル等の発光体を用いる場合、当該発光体から発光された光を測定対象光としてもよい。
この分光測定装置1は、図1に示すように、光学モジュール10と、制御部20と、を備えている。
[光学モジュールの構成]
次に、光学モジュール10の構成について、以下に説明する。
光学モジュール10は、図1に示すように、波長可変干渉フィルター5と、ディテクター11と、I−V変換器12と、アンプ13と、A/D変換器14と、電圧制御部15とを備えて構成される。
ディテクター11は、光学モジュール10の波長可変干渉フィルター5を透過した光を受光し、受光した光の光強度に応じた検出信号(電流)を出力する。
I−V変換器12は、ディテクター11から入力された検出信号を電圧値に変換し、アンプ13に出力する。
アンプ13は、I−V変換器12から入力された検出信号に応じた電圧(検出電圧)を増幅する。
A/D変換器14は、アンプ13から入力された検出電圧(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、制御部20に出力する。
(波長可変干渉フィルターの構成)
図2は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図である。図3は、図2のIII-III線における波長可変干渉フィルター5の断面図である。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5は、いわゆるファブリーペローエタロンである。この波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、第一基板51(固定基板)と、第二基板52(可動基板)と、第三基板53とを備えている。第三基板53は、第一基板51及び第二基板52と対向する天面部531と、天面部531に対して第一基板51側に位置し、天面部531の厚み方向から見た平面視の形状が枠状の側壁部532とを備えている。
これらの第一基板51、第二基板52及び第三基板53は、それぞれ各種ガラス(石英及び硼珪酸ガラス等)により形成されている。そして、第一基板51及び第二基板52は、第一基板51の接合部513及び第二基板52の接合部523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜57により接合されることで、一体的に構成されている。また、第一基板51及び第三基板53は、第一基板51の接合部514及び第三基板53の側壁部532の端面532Aが、低融点ガラスにより構成された接合部材58により接合されることで、一体的に構成されている。
第一基板51には、固定反射膜54(第一反射膜)が設けられ、第二基板52には、可動反射膜55(第二反射膜)が設けられており、これらの固定反射膜54及び可動反射膜55は、反射膜間ギャップG1を介して対向配置されている。そして、波長可変干渉フィルター5には、この反射膜間ギャップG1の大きさ(ギャップ寸法)を調整するのに用いられる静電アクチュエーター56(ギャップ変更部)が設けられている。この静電アクチュエーター56は、第一基板51に設けられた固定電極561(第一電極)と、第二基板52に設けられた可動電極562(第二電極)とにより構成されている。ここで、これらの固定電極561、可動電極562は、それぞれ第一基板51及び第二基板52の基板表面に直接設けられる構成であってもよく、他の膜部材を介して設けられる構成であってもよい。
なお、第一基板51、第二基板52及び第三基板53を厚み方向から見た平面視を、以降、フィルター平面視と称する場合がある。
(第一基板の構成)
図4は、第一基板51を第二基板52側から見た平面図である。
第一基板51は、第二基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、静電アクチュエーター56による静電引力や、第一基板51上に形成される膜部材(例えば固定反射膜54等)の内部応力による第一基板51の撓みはない。
この第一基板51は、頂点C1,C2,C3,C4を有する矩形板状部材である。第一基板51は、図3及び図4に示すように、例えばエッチングにより形成された電極配置溝511、反射膜設置部512、接合部514、及びパッド設置部515を備える。そして、第一基板51の第二基板52に対向する面のうち、電極配置溝511、反射膜設置部512、接合部514、及びパッド設置部515が形成されない面は、接合部513を構成する。
反射膜設置部512は、第二基板52に対向する反射膜設置面512Aを有する。この反射膜設置面512Aは、フィルター平面視で、第一基板51の略中心であるフィルター中心点Oを中心とした円形状の平面であり、第二基板52の第一基板51に対向する面(可動面521A)と平行な面となる。なお、本実施形態では、円形状の反射膜設置面512Aを例示するが、これに限定されず、例えば八角形状や六角形状等の多角形状であってもよく、楕円形状であってもよい。
電極配置溝511は、フィルター平面視において、反射膜設置部512の外に設けられ、フィルター中心点Oを中心とした環状に形成されている。また、電極配置溝511における第二基板52に対向する面は、反射膜設置面512Aよりも、第二基板52からの距離が長い。この電極配置溝511は、第二基板52及び反射膜設置面512Aと平行な電極設置面511Aを備える。
接合部513は、フィルター平面視において、電極配置溝511を囲んで設けられ、外周縁が頂点C5,C6,C7,C8を有する矩形を成している。この接合部513は、接合膜57により、第二基板52の接合部523に接合される。また、接合部513には、電極配置溝511から、第一基板51の頂点C3,C4に向かって延出する電極引出溝513A(図4参照)が設けられている。
接合部514は、フィルター平面視において、接合部513を囲んで設けられ、枠状に形成されている。この接合部514は、接合部材58により第三基板53の側壁部532の端面532Aに接合される。ここで、接合部514は、電極設置面511A及び電極引出溝513Aの底面と同じ平面上に位置している。
また、接合部514には、電極引出溝513Aから連続し、第一基板51の頂点C3,C4に向かって延出する電極引出溝514B(図4参照)が設けられている。ここで、電極引出溝514Bは、本発明の溝を構成する。
パッド設置部515は、フィルター平面視において、接合部514に隣接し、第一基板51の頂点C3,C4を頂点に含む矩形を成している。パッド設置部515は、第三基板53から露出している。パッド設置部515は、電極引出溝514Bの底面と同じ平面上に位置している。
電極設置面511Aには、静電アクチュエーター56を構成する固定電極561が設けられている。この固定電極561としては、フィルター平面視において、フィルター中心点Oを中心とした略環状に形成されていることが好ましく、円環状に形成されていることがより好ましい。なお、ここで述べる環状とは、一部が切り欠かれて、例えばC字形状等になる構成も含まれる。
また、第一基板51には、固定電極561の外周縁から、頂点C4に向かう電極引出溝513A,514Bに沿って、頂点C4まで延出する固定引出電極563(第一引出電極)が設けられている。この固定引出電極563の延出先端部(頂点C4に位置する部分)は、電圧制御部15に接続される固定電極パッド563Pを構成する。ここで、固定引出電極563は、本発明の配線部を構成する。
この固定電極561としては、導電性を有していればいかなる素材により構成されていてもよい。具体的には、固定電極561は、金属膜や合金膜に対して密着性が良好な金属酸化物により構成されており、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜や、Cr層及びAu層の積層体等により構成されている。
また、固定電極561上に、固定電極561及び可動電極562の間の絶縁性を確保するための絶縁膜が積層される構成としてもよい。
なお、本実施形態では、電極設置面511Aに1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、フィルター中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
さらに、電極設置面511Aには、フィルター平面視において、固定電極561の外に、可動引出電極564B(第二引出電極)が設けられている。可動引出電極564Bの一端は、電極配置溝511の外側の側面に沿って接合部513まで延出し、もう一方の一端は、頂点C3に向かう電極引出溝513A,514Bに沿って、頂点C3まで延出している。この可動引出電極564Bの延出先端部(頂点C3に位置する部分)は、電圧制御部15に接続される可動電極パッド564Pを構成する。また、接合部513に位置している可動引出電極564Bは、第二基板52に設けられた可動引出電極564A(接続電極)と接続される接続部564Xを構成する。ここで、可動引出電極564Bは、本発明の配線部を構成する。
ここで、図5は、図4における電極引出溝514Bの断面を示す拡大図である。図5は、電極引出溝514Bの延在方向に直交する断面を示したものである。
なお、図5は、固定引出電極563が配置されている電極引出溝514Bを示すものであるが、可動引出電極564Bが配置されている電極引出溝514Bも同様の構成を有している。
電極引出溝514Bは、接合部514と平行する底面514Cと、底面514Cから接合部514とを結ぶ曲面514Dとを備えている。曲面514Dは、第一基板51のエッチング加工時において、サイドエッチングにより形成される面であり、固定引出電極563から遠ざかる方向に膨らむように湾曲している。固定引出電極563は、底面514Cを覆い、かつ、曲面514Dを露出するように配置されている。
図3及び図4に示すように、反射膜設置部512は、固定反射膜54が設けられる。この固定反射膜54としては、可視波長域を含む広い波長域に対して反射特性及び透過特性を有する膜が好ましい。このような固定反射膜54として、例えばAg等の金属膜や、AgC合金等の合金膜等、を用いることが好ましく、本実施形態では、AgC合金膜を用いる。
第一基板51の光入射面(固定反射膜54が設けられない面)には、固定反射膜54に対応する位置に反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜は、低屈折率膜及び高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、第一基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
(第二基板の構成)
図6は、第二基板52を第一基板51側から見た平面図である。
この第二基板52は、頂点C5,C6,C7,C8を有する矩形板状部材である。第二基板52は、図3及び図6に示すように、フィルター平面視で、フィルター中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。
なお、第一基板51と同様に、可動部521の第一基板51とは反対側の面には、反射防止膜が形成されていてもよい。
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、第二基板52(基板外周部525)の厚み寸法と同一寸法に形成されている。この可動部521は、フィルター平面視において、少なくとも反射膜設置面512Aの外周縁の径寸法よりも大きい径寸法に形成されている。
そして、この可動部521の第一基板51に対向する可動面521Aには、可動反射膜55、及び可動電極562が設けられている。
可動反射膜55は、固定反射膜54と同様の素材(本実施形態ではAgC合金膜)により構成される。
可動電極562は、図2、図3及び図6に示すように、フィルター平面視において、可動反射膜55の外で、固定電極561に対向する領域に設けられている。この可動電極562としては、固定電極561と同様に、導電性を有していればよく、例えばITO膜や、Cr層にAu層を積層した積層体等を用いることができる。
また、第二基板52には、可動電極562の外周縁から、可動引出電極564Bの接続部564Xに向かって延出した可動引出電極564Aが設けられている。この可動引出電極564Aの延出先端部は、接続部564Xと接続される接続部564Yを構成する。
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイヤフラムであり、可動部521よりも厚み寸法が小さく形成されている。このような保持部522は、可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により、可動部521を第一基板51側に変位させることが可能となる。
なお、本実施形態では、ダイヤフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、フィルター中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
基板外周部525は、上述したように、フィルター平面視において保持部522の外側に設けられている。この基板外周部525の第一基板51に対向する面側には、接合部513に対向する接合部523が設けられ、接合膜57を介して接合部513に接合される。
(第三基板の構成)
第三基板53は、図2及び図3に示すように、第一基板51と対向し、頂点C1,C2,C9,C10を有する矩形板状の天面部531と、天面部531と一体的に構成され、天面部531に対して第一基板51側に位置し、フィルター平面視において、第二基板52を囲む枠状の側壁部532とを有する。
そして、側壁部532の第一基板51に対向する端面532Aは、第一基板51の接合部514と、接合部材58により接合されている。したがって、フィルター平面視において、接合部514の外に設けられたパッド設置部515は外部に露出し、パッド設置部515に設けられた固定電極パッド563P及び可動電極パッド564Pが外部に露出している。
ここで、電極引出溝514Bには、接合部材58が埋め込まれ、電極引出溝514Bに配置された可動引出電極564B及び固定引出電極563には、接合部材58が密着している。
この接合により、天面部531、側壁部532及び第一基板51とで囲まれる空間D1は気密封止されている。本実施形態では、空間D1は略真空状態とされているが、不活性ガスにより満たされた状態とされていてもよい。
そして、この空間D1に、第二基板52は収容されている。すなわち、固定反射膜54、可動反射膜55、固定電極561、可動電極562、及び可動引出電極564Aは、空間D1内に位置している。また、可動引出電極564B及び固定引出電極563は、接合部材58を通過して、空間D1の内外に亘って配置されている。
また、天面部531の第一基板51と対向する面とは反対側の面には、アパーチャー61が設けられている。アパーチャー61は、Cr膜により構成されている。アパーチャー61は、フィルター平面視において、固定反射膜54及び可動反射膜55と対向する位置に開口を有している。この開口により、天面部531に入射する光の量が調整される。
(電圧制御部の構成)
電圧制御部15は、波長可変干渉フィルター5の固定引出電極563(固定電極パッド563P)、可動引出電極564B(可動電極パッド564P)に接続されている。
そして、電圧制御部15は、制御部20から測定対象波長に対応した電圧指令信号を受信すると、対応する電圧を固定引出電極563及び可動引出電極564B間に印加する。これにより、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56(固定電極561及び可動電極562間)に、印加電圧に基づいた静電引力が発生し、可動部521が第一基板51側に変位して、反射膜間ギャップG1の大きさが変化する。
(制御部の構成)
制御部20は、例えばCPUやメモリー等が組み合わされることで構成され、分光測定装置1の全体動作を制御する。この制御部20は、図1に示すように、フィルター駆動部21と、光量取得部22と、分光測定部23と、を備える。
また、制御部20は、各種データを記憶する記憶部(図示略)を備え、記憶部には、静電アクチュエーター56を制御するためのV−λデータが記憶される。
このV−λデータには、静電アクチュエーター56に印加する電圧に対する、波長可変干渉フィルター5を透過する光のピーク波長が記録されている。
フィルター駆動部21は、波長可変干渉フィルター5により取り出す光の目的波長を設定するとともに、記憶部に記憶されたV−λデータから設定した目的波長に対応する目標電圧値を読み込む。そして、フィルター駆動部21は、読み込んだ目標電圧値を印加させる旨の制御信号を電圧制御部15に出力する。これにより、電圧制御部15から静電アクチュエーター56に目標電圧値の電圧が印加される。
光量取得部22は、ディテクター11により取得された光量に基づいて、波長可変干渉フィルター5を透過した目的波長の光の光量を取得する。
分光測定部23は、光量取得部22により取得された光量に基づいて、測定対象光のスペクトル特性を測定する。
分光測定部23における分光測定方法としては、例えば、測定対象波長に対してディテクター11により検出された光量を、当該測定対象波長の光量として分光スペクトルを測定する方法や、複数の測定対象波長の光量に基づいて分光スペクトルを推定する方法等が挙げられる。
分光スペクトルを推定する方法としては、例えば、複数の測定対象波長に対する光量のそれぞれを行列要素とした計測スペクトル行列を生成し、この計測スペクトル行列に対して、所定の変換行列を作用させることで、測定対象となる光の分光スペクトルを推定する。この場合、分光スペクトルが既知である複数のサンプル光を、分光測定装置1により測定し、測定により得られた光量に基づいて生成される計測スペクトル行列に変換行列を作用させた行列と、既知の分光スペクトルとの偏差が最小となるように、変換行列を設定する。
[波長可変干渉フィルターの製造方法]
次に、上述したような波長可変干渉フィルター5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
図7は、波長可変干渉フィルター5の製造工程を示すフローチャートである。
波長可変干渉フィルター5の製造では、まず、第一基板51を形成するための第一ガラス基板M1、第二基板52を形成するための第二ガラス基板M2、及び第三基板53を形成するための第三ガラス基板を用意し、第一基板形成工程S1、第二基板形成工程S2、及び第三基板形成工程S3を実施する。この後、基板接合工程S4を実施し、第一基板形成工程S1により加工された第一ガラス基板M1と、第二基板形成工程S2により加工された第二ガラス基板M2とを接合し、チップ単位で切り出した後、各チップに対して第三基板形成工程S3により加工された第三基板53を接合して波長可変干渉フィルター5を形成する。
以下、各工程S1〜S4について、図面に基づいて説明する。
(第一基板形成工程)
図8は、第一基板形成工程S1における第一ガラス基板M1の状態を示す図である。
第一基板形成工程S1では、まず、図8(A)に示すように、第一基板51の製造素材である第一ガラス基板M1(例えば厚み寸法が1mm)の両面を、表面粗さRaが1nm以下となるまで両面を精密研磨する。
次に、図8(B)に示すように、第一ガラス基板M1の基板表面をエッチングにより加工する。
具体的には、フォトリソグラフィ法によりパターニングされたレジストパターンをマスクに用いて、第一ガラス基板M1に対して、例えばフッ酸系(BHF等)を用いたウェットエッチングを繰り返し施す。まず、電極配置溝511、反射膜設置部512、接合部514、パッド設置部515、及び電極引出溝513A,514Bを反射膜設置面512Aの高さ位置までエッチングする。この後、電極配置溝511、接合部514、パッド設置部515、及び電極引出溝513A,514Bを電極設置面511Aの高さ位置までエッチングする。最後に、パッド設置部515、及び電極引出溝514Bを固定引出電極563及び可動引出電極564Bの厚み寸法分エッチングする。ここで、等方性エッチングにより、深さ寸法と同じ寸法のサイドエッチングが行われるため、電極引出溝514Bの側面は、図5に示すように、曲面514Dとなる。
なお、第一ガラス基板M1の表面のうちエッチングされない面は、接合部513を構成する。これにより、第一基板51の基板形状が決定された第一ガラス基板M1が形成される。
ここで、本実施形態では、1つの第一ガラス基板M1から複数の第一基板51を形成する。したがって、この工程では、第一ガラス基板M1に、複数の第一基板51がアレイ状に並列配置された状態で製造されるよう、エッチングを行う。
次に、第一ガラス基板M1に固定電極561、固定引出電極563、可動引出電極564Bを形成する電極材料(例えばITO)を、蒸着法やスパッタリング法等を用いて成膜する。そして、第一ガラス基板M1にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法を用いて固定電極561、固定引出電極563、及び可動引出電極564Bの形状に合わせてレジストをパターニングする。そして、ITOエッチング液(例えば塩酸、硝酸、水の混合液)によりエッチングを実施した後、レジストを除去する。これにより、図8(C)に示すように、固定電極561、固定引出電極563、及び可動引出電極564Bを形成する。
また、固定電極561上に絶縁層を成膜する場合、固定電極561の形成後、例えばプラズマCVD等により第一基板51の第二基板52に対向する面全体に、例えば100nm程度の厚みのSiOを成膜する。そして、固定電極パッド563P上のSiOを、例えばドライエッチング等により除去する。
次に、反射膜設置面512A上に固定反射膜54を形成する。具体的には、第一ガラス基板M1の電極配置溝511や反射膜設置部512が形成された面に、真空蒸着法やスパッタリング法により固定反射膜54の膜層を形成する。この後、フォトリソグラフィ法によりパターニングされたレジストパターンをマスクに用いて、膜層をエッチングして、図8(D)に示すように、固定反射膜54が形成される。
以上により、第一基板51が複数アレイ状に配置された第一ガラス基板M1が形成される。
(第二基板形成工程)
次に、第二基板形成工程S2について説明する。図9は、第二基板形成工程S2における第二ガラス基板M2の状態を示す図である。
第二基板形成工程S2では、まず、図9(A)に示すように、第二ガラス基板M2(例えば厚み寸法が0.5mm)の表面粗さRaが1nm以下となるまで両面を精密研磨する。
そして、第二ガラス基板M2の表面にCr/Au層を形成し、このCr/Au層をエッチングマスクとし、例えばフッ酸系(BHF等)を用いて、保持部522に相当する領域をエッチングする。この後、エッチングマスクとして使用したCr/Au層を除去することで図9(B)に示すように、第二基板52の基板形状が決定された第二ガラス基板M2が製造される。
ここで、本実施形態では、1つの第二ガラス基板M2から複数の第二基板52を形成する。したがって、この工程では、第二ガラス基板M2に、複数の第二基板52がアレイ状に並列配置された状態で製造されるよう、エッチングを行う。
次に、図9(C)に示すように、可動電極562及び可動引出電極564Aを形成する。この可動電極562及び可動引出電極564Aの形成では、上記第一基板51における固定電極561の形成と同様の方法を用いることができる。
この後、図9(D)に示すように、可動面521Aに可動反射膜55を形成する。この可動反射膜55の形成も、固定反射膜54と同様の方法により形成することができる。
以上により、第二基板52が複数アレイ状に配置された第二ガラス基板M2が製造される。
(第三基板形成工程)
次に、第三基板形成工程S3について説明する。
第三基板形成工程S3では、第三ガラス基板(例えば厚み寸法が1.0mm)の表面粗さRaが1nm以下となるまで両面を精密研磨する。
そして、第三ガラス基板の表面の側壁部532の形成部分をマスクしてエッチングすることで、天面部531及び側壁部532の基板形状が決定された第三ガラス基板が製造される。
この後、第三ガラス基板を、例えばレーザー切断等を利用してチップ単位に切断する。以上により第三基板53が製造される。
(基板接合工程)
次に、基板接合工程S4について説明する。図10は、基板接合工程S4における第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2の状態を示す図である。
この基板接合工程S4では、まず、第一ガラス基板M1の接合部513と、第二ガラス基板M2の接合部523とに、ポリオルガノシロキサンを主成分としたプラズマ重合膜(接合膜57)を、例えばプラズマCVD法等により成膜する。接合膜57の厚みとしては、例えば10nmから1000nmとすればよい。
そして、第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2のプラズマ重合膜に対して活性化エネルギーを付与するために、Oプラズマ処理またはUV処理を行う。Oプラズマ処理の場合は、O流量1.8×10−3(m/h)、圧力27Pa、RFパワー200Wの条件で30秒間実施する。また、UV処理の場合は、UV光源としてエキシマUV(波長172nm)を用いて3分間処理する。
プラズマ重合膜に活性化エネルギーを付与した後、これらの第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2のアライメント調整を行い、プラズマ重合膜を介して第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2を重ね合わせ、接合部分に例えば98(N)の荷重を10分間かける。これにより、図10(A)に示すように、第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2同士が接合される(ギャップ形成工程)。
この後、第一基板51及び第二基板52をチップ単位で取り出す切断工程を実施する。具体的には、ラインB1に沿って第一ガラス基板M1を切断する。さらに、第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2の厚さ方向から見た平面視において、ラインB1よりもライン間隔の狭いラインB2に沿って第二ガラス基板M2を切断する。第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2の切断は、どちらが先でもよい。これらの切断には、例えばスクライブブレイクやレーザー切断等を利用することができる。これにより、図10(B)に示すように、第一基板51及び第二基板52が接合された接合体が形成される。
この後、この接合体を、例えば真空チャンバー内に収容する等し、真空環境下におく。そしてこの状態を維持したまま、第一基板51に第三基板53を接合する接合工程を実施する。接合工程では、まず、第一基板51の接合部514に、ペースト状の低融点ガラスである接合部材58を塗布する。これにより、電極引出溝514Bは、接合部材58により埋め込まれ、電極引出溝514Bに配置された固定引出電極563及び可動引出電極564Bには、接合部材58が密着する。
その後、前記接合体及び第三基板53のアライメント調整を行い、接合部材58を介して第三基板53の側壁部532の端面532Aと第一基板51の接合部514とを重ね合わせる。この際、電極引出溝514Bの深さ寸法が固定引出電極563や可動引出電極564Bの厚み寸法と同寸法となっているため、電極引出溝514B上の固定引出電極563や可動引出電極564Bの上面は、接合部514と同一の高さとなる。
また、第三基板53を第一基板51側に押圧することで、接合部材58が電極引出溝514Bの曲面514Dに沿って押し出される。これにより、固定引出電極563及び可動引出電極564Bと、電極引出溝514Bとの境界(角部分)にも接合部材58が適切に流れ込み、密着することになり、気密性が向上する。この後、接合部材58を乾燥及び燃成させる。
これにより、図10(C)に示すように、第一基板51と第三基板53とが接合される(接合工程)。この接合により、空間D1は、真空状態で気密封止される。
以上により、波長可変干渉フィルター5が製造される。
[第一実施形態の作用効果]
本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、固定引出電極563及び可動引出電極564Bは、接合部材58を通過して気密封止された空間D1の内外に亘って延在している。
これにより、気密封止された空間D1の外に引き出された固定電極パッド563P及び可動電極パッド564Pから固定電極561及び可動電極562に対して電圧を印加することができる。また、内部が気密に維持された筐体に波長可変干渉フィルターを収納した構成に比べて、チップ単体で空間D1を気密封止できるため、波長可変干渉フィルター5を小型化できる。
また、第二基板52に設けられた可動電極562の引き出しは、第一基板51に設けられた可動引出電極564Bによって行われるため、引き出し用の配線を第一基板51に集約することができ、波長可変干渉フィルター5への配線が容易になる。また、パッド設置部515に固定電極パッド563P及び可動電極パッド564Pが集約されるので、配線時にこのパッド設置部515に対してFPC(Flexible Printed Circuits)等を接続するだけでよく、製造コストを低減できる。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、接合部514における側壁部532の端面532Aと対向する位置に電極引出溝514Bが設けられ、電極引出溝514B内に固定引出電極563及び可動引出電極564Bが延在している。
これにより、固定引出電極563及び可動引出電極564Bの表面と接合部514との段差は、電極引出溝514Bが形成されていない場合と比べて小さくなる。もしくは、固定引出電極563及び可動引出電極564Bの表面が接合部514よりも下がった状態となる。これにより、第三基板53が傾くことを抑制でき、端面532Aと第一基板51とを隙間なく接合でき、空間D1の気密性をより高くすることができる。特に本実施形態では、電極引出溝514Bの深さ寸法が、固定引出電極563や可動引出電極564Bの厚み寸法と同寸法となるため、固定引出電極563及び可動引出電極564Bの表面と接合部514とが同一平面上に位置する。したがって、より確実に、第三基板53の傾きを抑制でき、空間D1の気密性を向上させることができる。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、接合部材58は、低融点ガラスである。
低融点ガラスは間隙に対する埋め込み性が高いため、固定引出電極563及び可動引出電極564Bが通過する箇所においても、端面532Aと接合部514とを隙間なく接合でき、空間D1の気密性をより高くすることができる。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、電極引出溝514Bは、接合部514と平行する底面514Cと、底面514Cから接合部514とを結ぶ曲面514Dとを備えている。
これにより、第一基板51と第三基板53とを接合する際、ペースト状の接合部材58は、曲面514Dに沿って底面514Cに配置された固定引出電極563及び可動引出電極564Bの両端部に向かって流れる。このため、当該電極の両端部と底面514Cとがなす角部分に接合部材58が隙間なく入り込む。これにより、接合部材58に気泡や隙間が発生することを抑制でき、空間D1の気密性をより高くすることができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
図11は、第二実施形態における波長可変干渉フィルター5Aの断面図である。
波長可変干渉フィルター5Aでは、第一基板51に、接合部513及び第二基板52と対向する面とは反対側の面(裏面)とを貫通する配線用孔516が設けられている。
なお、本実施形態では、第一基板51に可動引出電極564Bは設けられていない。また、固定引出電極563は、空間D1の外には配置されず、図示していないが電極配置溝511の側面に沿って接合部513まで延在している。
そして、この配線用孔516内には、貫通電極59が設けられている。貫通電極59は、例えば2つ設けられ、接合部513において、1つの貫通電極59は、可動引出電極564Aに接続され、もう1つの貫通電極59は、固定引出電極563に接続されている。ここで、貫通電極59は、本発明の配線部を構成する。
そして、貫通電極59の第一基板51の裏面に露出した端部は、電圧制御部15に接続される可動電極端子及び固定電極端子として機能する。このため、本実施形態では、第一基板51には、パッド設置部515が設けられていない。
さらに、第三基板53の側壁部532の端面532A及び第一基板51の接合部514は、AuやNi等の金属を材料とする接合部材58Aによって接合されている。その他の構成は、第一実施形態における波長可変干渉フィルター5と同様である。
貫通電極59は、例えば第一ガラス基板M1を作製する段階で金属芯材(タングステン、鉄ニッケル合金及びモリブデン等)を埋め込んでおくことで形成することができる。また、第一ガラス基板M1に、レーザーやドリルを用いて配線用孔をあけ、この配線用孔をCu等のめっきで埋め込むことでも形成することができる。なお、このとき、配線用孔から飛び出しためっき部材は、研磨等により除去される。
また、波長可変干渉フィルター5Aの製造工程では、第一基板51と第三基板53それぞれの基板形成工程において、第一基板51の接合部514及び第三基板53の側壁部532の端面532Aのそれぞれに金属膜パターンを形成しておく。そして、第一基板51と第三基板53を接合する際、この金属膜の表面にArプラズマ処理を施して活性化し、その後、金属膜同士を密着させて荷重をかけることで接合させる。なお、ここで、金属膜同士を溶融して接合させてもよい。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5Aでは、固定引出電極563及び可動引出電極564Aと接続された貫通電極59が、第一基板51を貫通して気密封止された空間D1の内外に亘って延在している。
これにより、第一基板51の裏面に露出した貫通電極59の端部から固定電極561及び可動電極562に対して電圧を印加することができる。また、内部が気密に維持された筐体に波長可変干渉フィルターを収納した構成に比べて、チップ単体で空間D1を気密封止できるため、波長可変干渉フィルター5Aを小型化できる。
また、空間D1の内から外へ配線を引き出すために、第一基板51にパッド設置部を設ける必要がなく、第一基板51のサイズを小さくでき、波長可変干渉フィルター5Aをより小型化できる。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5Aでは、側壁部532の端面532A及び接合部514は、それぞれに設けられた金属膜同士の金属接合により接合されている。
これにより、端面532Aと接合部514とをより強固に接合でき、空間D1の気密性をより高くすることができる。また、接着剤のようなガスを発生する材料を用いることがないため、空間D1の真空状態を維持でき、また、空間D1を不活性ガス等の所定のガスで満たす場合には、空間D1に他のガスが混入することを抑制できる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図面に基づいて説明する。
図12は、第三実施形態における波長可変干渉フィルター5Bの断面図である。
波長可変干渉フィルター5Bでは、第三基板53の天面部531に、天面部531を貫通する貫通孔531Aが設けられている。貫通孔531Aは、空間D1に連通している。そして、貫通孔531A内には、例えばAuGe等の金属を材料とする封止部材60が埋め込まれている。この封止部材60によって、空間D1は気密封止されている。その他の構成は、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5と同様である。
図13は、第三実施形態における基板接合工程を示す図である。
波長可変干渉フィルター5Bの製造工程では、第一基板51及び第三基板53を接合する前に、第三基板53に貫通孔531Aが設けられる。なお、貫通孔531Aの内表面には例えばAu膜が形成されている。このとき、貫通孔531A内に封止部材60は設けられていない。
そして、図13(A)に示すように、第一基板51及び貫通孔531Aが設けられた第三基板53を大気中で接合する。
その後、貫通孔531Aを介して空間D1内のガスを真空引きする。さらに、真空引きした状態で貫通孔531Aに金属ボールを配置させ、この金属ボールをレーザー等で溶かすことで、図13(B)に示すように、貫通孔531Aを埋め込む封止部材60を形成する。これにより、空間D1は、真空状態で気密封止される。
なお、上記の構成及び製造方法は、第二実施形態の波長可変干渉フィルター5Aにも適用することができる。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5Bによれば、第一基板51と第三基板53とを接合する工程を、真空チャンバー内ではなく大気中で行うことができ、製造工程を簡略化できる。また、例えば、側壁部532の端面532Aと接合部514との接合に接着剤を用いた際に、この接着剤から発生したガスが空間D1に混入した場合でも、このガスを除去することができる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図面に基づいて説明する。
図14は、第四実施形態における波長可変干渉フィルター5Cの断面図である。
波長可変干渉フィルター5Cでは、第三基板53の天面部531及び側壁部532が、別体で構成されている。その他の構成は、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5と同様である。
本実施形態では、第三基板53の天面部531及び側壁部532の材料が第一基板51と同じである。これによれば、天面部531、側壁部532及び第一基板51間で熱膨張係数を同じにすることができるため、天面部531及び第一基板51の熱膨張による変形を抑制できる。このため、天面部531または第一基板51に入射した光を適切に分光し、透過させることができる。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5Cによれば、天面部531と側壁部532とを別々に形成することができる。この場合、例えば一枚の基板をエッチングすることにより天面部531及び側壁部532を形成する場合と比べて、製造時間を短くすることができる。また、天面部531の表面の平坦性をより高くすることができるため、天面部531における光の屈折や散乱を抑制でき、入射光を適切に透過させることができる。また、天面部531に形成されているアパーチャー61を、天面部531において図14に図示した面とは反対の面、即ち空間D1に接した面に形成する事が容易となる。アパーチャー61を空間D1に接した面に形成し、固定反射膜54及び可動反射膜55により近い位置とする事によって、固定反射膜54及び可動反射膜55の無い領域を通過した光が迷光として混入する事を防ぐ効果が高い。
また、上記第四実施形態において、天面部531の材料が硼珪酸ガラスであり、側壁部532の材料がシリコンであってもよい。これによれば、天面部531と側壁部532とを陽極接合させることができ、天面部531と側壁部532とをより強固に接合することができる。さらに、第一基板51に硼珪酸ガラスを用いることで、側壁部532と第一基板51とを陽極接合させることができ、側壁部532と第一基板51とをより強固に接合できる。
また、上記第四実施形態において、天面部531の材料がガラスであり、側壁部532の材料が金属であってもよい。これによれば、側壁部532の端面532Aに別途金属膜を形成することなく、側壁部532と第一基板51とを金属接合させることができるため、製造工程を簡略化できる。なお、この場合、天面部531における側壁部532との接合箇所には金属膜が形成される。
[その他の実施形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施形態では、接合部513と接合部514の間に段差を設けて異なる平面としているが、図15の波長可変干渉フィルター5Dに示すように、接合部513と接合部514を同じ平面としてもよい。このとき更に、パッド設置部515を、電極設置面511A及び電極引出溝513Aの底面と同じ平面としてもよい。この場合、第一基板形成工程において、エッチングの回数もしくは時間を短くすることができ、製造コストを低減することができる。
上記実施形態では、可動引出電極564Bは、電極配置溝511の側面に沿って接合部513まで延在し、接合部513において可動引出電極564Aと接続しているが、電極配置溝511内に配置された導電性ペーストを介して、可動引出電極564Aと接続されてもよい。
上記実施形態の第一基板51と第三基板53との接合工程において、第一ガラス基板M1及び第二ガラス基板M2を接合した後、第二ガラス基板M2を例えばドライエッチングで切断し、その後、切断されていない第一基板51に第三基板53を接合してもよい。これによれば、第三基板53の接合工程もウェハプロセスで行うことができ、製造工程を簡略化できる。
上記第一実施形態では、接合部材58は低融点ガラスであるが、空間D1の気密性を維持できる場合には、樹脂性の接着剤であってもよい。
上記第二実施形態では、接合部材58Aは金属であるが、低融点ガラスであってもよい。また、接合部材58Aは、空間D1の気密性を維持できる場合には、樹脂性の接着剤、または、シロキサン重合膜であってもよい。
上記第三実施形態では、貫通孔531Aは第三基板53の天面部531に設けられているが、側壁部532または第一基板51に設けられていてもよい。
上記実施形態では、固定電極561及び可動電極562により構成される静電アクチュエーター56により、反射膜間ギャップG1の寸法を可変させる構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、第一基板51に設けられる第一誘電コイルと、第二基板52に設けられる第二誘電コイルまたは永久磁石とにより構成される誘電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。
さらに、静電アクチュエーター56の代わりに圧電アクチュエーターを用いる構成としてもよい。この場合、例えば保持部522に下部電極層、圧電膜、及び上部電極層を積層配置させ、下部電極層及び上部電極層の間に印加する電圧を入力値として可変させることで、圧電膜を伸縮させて保持部522を撓ませることができる。
さらには、電圧印加により反射膜間ギャップG1の大きさを変化させる構成に限られず、例えば、波長可変干渉フィルター5の外の空気圧に対する、第一基板51及び第二基板52の間の空気圧を変化させることで、反射膜間ギャップG1の大きさを調整する構成なども例示できる。
また、本発明の電子機器として、上記各実施形態では、分光測定装置1を例示したが、その他、様々な分野により本発明の波長可変干渉フィルター5、光学モジュール、及び電子機器を適用することができる。
例えば、図16に示すように、本発明の電子機器を、色を測定するための測色装置に適用することもできる。
図16は、波長可変干渉フィルター5を備えた測色装置400の一例を示すブロック図である。
この測色装置400は、図16に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置410と、測色センサー420(光学モジュール)と、測色装置400の全体動作を制御する制御装置430(制御部)とを備える。そして、この測色装置400は、光源装置410から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー420にて受光し、測色センサー420から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
光源装置410は、光源411、複数のレンズ412(図16には1つのみ記載)を備え、検査対象Aに対して例えば基準光(例えば、白色光)を射出する。また、複数のレンズ412には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置410は、光源411から射出された基準光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置410を備える測色装置400を例示するが、例えば検査対象Aが液晶パネルなどの発光部材である場合、光源装置410が設けられない構成としてもよい。
測色センサー420は、図16に示すように、波長可変干渉フィルター5と、波長可変干渉フィルター5を透過する光を受光するディテクター11と、波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56への印加電圧を制御する電圧制御部15とを備える。また、測色センサー420は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー420は、波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光をディテクター11にて受光する。
制御装置430は、本発明の制御部であり、測色装置400の全体動作を制御する。
この制御装置430としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。そして、制御装置430は、図16に示すように、光源制御部431、測色センサー制御部432、及び測色処理部433などを備えて構成されている。
光源制御部431は、光源装置410に接続され、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置410に所定の制御信号を出力して、所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部432は、測色センサー420に接続され、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー420にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の指令信号を測色センサー420に出力する。これにより、測色センサー420の電圧制御部15は、制御信号に基づいて、静電アクチュエーター56に電圧を印加し、波長可変干渉フィルター5を駆動させる。
測色処理部433は、ディテクター11により検出された受光量から、検査対象Aの色度を分析する。また、測色処理部433は、上記第一と同様、ディテクター11により得られた光量を計測スペクトルDとして、推定行列Msを用いて分光スペクトルSを推算することで検査対象Aの色度を分析してもよい。
また、本発明の電子機器の他の例として、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムが挙げられる。このようなシステムとしては、例えば、本発明の波長可変干渉フィルター5を用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器等のガス検出装置を例示できる。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
図17は、波長可変干渉フィルター5を備えたガス検出装置の一例を示す概略図である。
図18は、図17のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図17に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、及び排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、波長可変干渉フィルター5、及び受光素子137(検出部)等を含む検出装置と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,135D,135Eと、により構成されている。
また、図18に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、図18に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、及び排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。また、ガス検出装置100には、V−λデータを記憶する記憶部(図示略)を備える。
次に、上記のようなガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光が射出される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。なお、吸引口120Aには、除塵フィルター120A1が設けられ、比較的大きい粉塵や一部の水蒸気などが除去される。
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光、及びレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が波長可変干渉フィルター5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146に対して制御信号を出力する。これにより、電圧制御部146は、上記第一実施形態に示すように、記憶部から測定対象波長に対応する電圧値を読み込み、その電圧を波長可変干渉フィルター5の静電アクチュエーター56に印加し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。この場合、波長可変干渉フィルター5から目的とするラマン散乱光を精度よく取り出すことができる。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
なお、上記図17及び図18において、ラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示したが、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光学モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の電子機器とする。このような構成でも、波長可変干渉フィルター5を用いてガスの成分を検出することができる。
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
図19は、波長可変干渉フィルター5を利用した電子機器の一例である食物分析装置の概略構成を示す図である。
この食物分析装置200は、図19に示すように、検出器210(光学モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する波長可変干渉フィルター5と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
この食物分析装置200は、システムを駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通って波長可変干渉フィルター5に入射する。波長可変干渉フィルター5は電圧制御部222の制御により、波長可変干渉フィルター5が駆動される。これにより、波長可変干渉フィルター5から精度よく目的波長の光を取り出すことができる。そして、取り出された光は、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御して波長可変干渉フィルター5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、及びその含有量を求める。また、得られた食物成分及び含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。さらに、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、上述のようにして得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
また、図19において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる。また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
さらには、本発明の波長可変干渉フィルター、光学モジュール、電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光学モジュールに設けられた波長可変干渉フィルター5により特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光学モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
また、電子機器としては、本発明の波長可変干渉フィルターにより光を分光することで、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機などにも適用できる。このような分光カメラの一例として、波長可変干渉フィルター5を内蔵した赤外線カメラが挙げられる。
図20は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図20に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図20に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた波長可変干渉フィルター5を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
さらには、本発明の波長可変干渉フィルターをバンドパスフィルターとして用いてもよく、例えば、発光素子が射出する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを波長可変干渉フィルター5で分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明の波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
さらには、光学モジュール及び電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、波長可変干渉フィルター5により、物質から射出された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
上記に示すように、本発明の波長可変干渉フィルター、光学モジュール、及び電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、本発明の波長可変干渉フィルターは、上述のように、1デバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。したがって、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光学モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用の光学デバイスとして好適に用いることができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等に適宜変更できる。
1…分光測定装置(電子機器)、5…波長可変干渉フィルター、10…光学モジュール、11…ディテクター(検出部)、20…制御部、51…第一基板、52…第二基板、53…第三基板、54…固定反射膜(第一反射膜)、55…可動反射膜(第二反射膜)、56…静電アクチュエーター(ギャップ変更部)、58…接合部材、59…貫通電極(配線部)、60…封止部材、100…ガス検出装置(電子機器)、137…受光素子(検出部)、138…制御部、200…食物分析装置(電子機器)、213…撮像部(検出部)、220…制御部、300…分光カメラ(電子機器)、330…撮像部(検出部)、400…測色装置(電子機器)、430…制御装置(制御部)、514B…電極引出溝(溝)、531…天面部、531A…貫通孔、532…側壁部、532A…端面、561…固定電極(第一電極)、562…可動電極(第二電極)、563…固定引出電極(第一引出電極、配線部)、564A…可動引出電極(接続電極)、564B…可動引出電極(第二引出電極、配線部)、D1…空間。

Claims (15)

  1. 第一基板と、
    前記第一基板に対向して配置された第二基板と、
    前記第一基板に設けられ、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第一反射膜と、
    前記第二基板に、前記第一反射膜に対向して設けられ、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第二反射膜と、
    前記第一反射膜と前記第二反射膜との間のギャップ寸法を変更するギャップ変更部と、
    前記ギャップ変更部に接続された配線部と、
    天面部、及び前記天面部より前記第一基板側に位置し前記天面部の上から見た平面視の形状が枠状の側壁部、を備えた第三基板と、
    前記第三基板の側壁部の前記第一基板に対向する端面と前記第一基板との間に設けられ、前記端面と前記第一基板を接合する接合部材と、
    を備え、
    前記第二基板は、可動部と、前記可動部を保持する保持部と、を含み、
    前記第二反射膜は、前記可動部に重なり、
    前記端面と前記第一基板とが接合されて、前記第三基板の天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間が気密封止され、
    前記空間に、前記第二基板及び前記ギャップ変更部が配置され、
    前記配線部は、前記第一基板に設けられ、前記空間の内外に亘って延在し、
    前記接合部材は、前記配線部と前記端面との間に配置されることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  2. 請求項1に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記ギャップ変更部は、前記第一基板に設けられた第一電極と、前記第二基板に設けられ、前記第一電極と対向して配置された第二電極と、を備え、
    前記第二基板には、前記第二電極に接続された接続電極が設けられ、
    前記配線部は、前記第一電極に接続された第一引出電極と、前記接続電極に接続された第二引出電極と、を備えていることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  3. 請求項1または請求項2に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記配線部は、前記接合部材が設けられている領域を通過して前記空間の内外に亘って延在していることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  4. 請求項3に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記第一基板における前記側壁部の前記端面と対向する位置に溝が設けられ、前記溝内に前記配線部が延在していることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  5. 請求項3または請求項4に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記接合部材は、低融点ガラスであることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  6. 請求項1から請求項のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記第一基板または前記第三基板の少なくとも一方に貫通孔が設けられ、
    前記貫通孔を封止する封止部材を備えていることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  7. 請求項1から請求項のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記天面部及び前記側壁部が別体で構成されていることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  8. 請求項に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記天面部及び前記側壁部の材料が前記第一基板と同じであることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  9. 請求項に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記天面部の材料が硼珪酸ガラスであり、前記側壁部の材料がシリコンであることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  10. 請求項に記載の波長可変干渉フィルターにおいて、
    前記天面部の材料がガラスであり、前記側壁部の材料が金属であることを特徴とする波長可変干渉フィルター。
  11. 第一基板に、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第一反射膜、第一電極、及び配線部を形成する第一基板形成工程と、
    第二基板に、入射光の一部が反射し他の一部が透過する第二反射膜、及び第二電極を形成する第二基板形成工程と、
    天面部、及び、前記天面部の上から見た平面視の形状が枠状の側壁部を備えた第三基板を形成する第三基板形成工程と、
    前記第一反射膜と前記第二反射膜とが対向し、前記第一電極と前記第二電極とが対向するように、前記第一基板及び前記第二基板を配置するギャップ形成工程と、
    前記第一基板と前記第三基板とを接合する接合工程と、
    を有し、
    前記第二基板は、可動部と、前記可動部を保持する保持部と、を含み、
    前記第二反射膜は、前記可動部に重なり、
    前記接合工程は、
    前記天面部、前記側壁部及び前記第一基板で囲まれる空間に前記第二基板が位置し、かつ、前記空間の内外に亘って前記配線部が位置するように、前記第一基板及び前記第三基板を配置し、前記側壁部の前記第一基板に対向する端面と前記第一基板とを接合部材により接合し、前記空間を気密封止し、
    前記接合部材は、前記配線部と前記端面との間に配置されることを特徴とする波長可変干渉フィルターの製造方法。
  12. 請求項11に記載の波長可変干渉フィルターの製造方法において、
    前記接合部材は、低融点ガラスであることを特徴とする波長可変干渉フィルターの製造方法。
  13. 請求項11または請求項12に記載の波長可変干渉フィルターの製造方法において、
    前記第三基板形成工程は、
    前記第三基板に貫通孔を形成し、
    前記接合工程は、
    前記側壁部の前記端面及び前記第一基板を接合した後、前記貫通孔を介して前記空間内のガスを真空引きし、その後、前記貫通孔を封止することで前記空間を気密封止することを特徴とする波長可変干渉フィルターの製造方法。
  14. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターと、
    前記波長可変干渉フィルターからの光を検出する検出部と、
    を備えることを特徴とする光学モジュール。
  15. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターと、
    前記波長可変干渉フィルターを制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする電子機器。
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