JP6249767B2 - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびコーティング剤組成物 - Google Patents
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Description
本発明におけるアクリル系樹脂(A)とは、(メタ)アクリル系モノマーを含有するモノマー成分を重合してなるものであり、1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
アクリル系樹脂(A)は、好ましくは、重合成分として、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)を主成分として含有し、必要に応じて、官能基含有モノマー(a2)、その他の共重合性モノマー(a3)を共重合成分とすることもできる。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
かかる、脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら官能基含有モノマー(a2)は1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
かかる重量平均分子量が大きすぎると塗膜強度が低下する傾向があり、小さすぎるとガラス基材等の基材との密着性や塗膜外観性が低下する傾向がある。
このような無溶剤型アクリル系樹脂(A1)は、一般的には、希釈溶剤を用いず重合性モノマーを高温で重合する方法や、希釈溶剤を用いて重合性モノマーを重合した後、希釈溶剤を揮発し取り除く方法で製造される。
東亜合成社製の「ARUFON UP−1000」(重量平均分子量:3,000、ガラス転移温度:−77℃)、「ARUFON UP−1010」(重量平均分子量:1,700、ガラス転移温度:−31℃)、「ARUFON UP−1020」(重量平均分子量:2,000、ガラス転移温度:−80℃)、「ARUFON UP−1061」(重量平均分子量:1,600、ガラス転移温度:−60℃)、「ARUFON UP−1080」(重量平均分子量:6,000、ガラス転移温度:−61℃)、「ARUFON UP−1110」(重量平均分子量:2,500、ガラス転移温度:−64℃)、「ARUFON UP−1150」(重量平均分子量:5,000、ガラス転移温度:68℃)、「ARUFON UP−1170」(重量平均分子量:8,000、ガラス転移温度:−57℃)、「ARUFON UP−1190」(重量平均分子量:1,700、ガラス転移温度:−50℃)、「ARUFON UP−1500」(重量平均分子量:12,000)等の無官能基タイプの無溶剤型アクリル系樹脂;
東亜合成社製の「ARUFON UH−2000」(重量平均分子量:11,000、ガラス転移温度:−55℃)、「ARUFON UH−2041」(重量平均分子量:2,500、ガラス転移温度:−50℃)、「ARUFON UH−2170」(重量平均分子量:14,000、ガラス転移温度:60℃)、「ARUFON UH−2190」(重量平均分子量:6,000、ガラス転移温度:−47℃)、「ARUFON UHE−2012」(重量平均分子量:5,800、ガラス転移温度:20℃)等の水酸基含有タイプの無溶剤型アクリル系樹脂;
東亜合成社製の「ARUFON UC−3510」(重量平均分子量:2,000、ガラス転移温度:−50℃)等のカルボキシル基含有タイプの無溶剤型アクリル系樹脂;
東亜合成社製の「ARUFON UG−4000」(重量平均分子量:3,000、ガラス転移温度:−61℃)、「ARUFON UG−4010」(重量平均分子量:2,900、ガラス転移温度:−57℃)、「ARUFON UG−4035」(重量平均分子量:11,000、ガラス転移温度:52℃)、「ARUFON UG−4040」(重量平均分子量:11,000、ガラス転移温度:63℃)、「ARUFON UG−4070」(重量平均分子量:9,700、ガラス転移温度:58℃)等のエポキシ基含有タイプの無溶剤型アクリル系樹脂;
東亜合成社製の「ARUFON US−6100」(重量平均分子量:2,500、ガラス転移温度:−58℃)、「ARUFON US−6110」(重量平均分子量:2,500、ガラス転移温度:−57℃)、「ARUFON US−6150」(重量平均分子量:7,000、ガラス転移温度:−50℃)、「ARUFON US−6170」(重量平均分子量:3,000)等のアルコキシシリル基含有タイプの無溶剤型アクリル系樹脂;
などが挙げられる。
かかるガラス転移温度が高すぎると硬化物の熱収縮の緩和作用が低下する傾向があり、低すぎると硬化物の熱耐久性が低下したり、塗膜強度が低下する傾向がある。
かかる重量平均分子量が大きすぎると塗膜強度が低下する傾向があり、小さすぎるとガラス基材等の基材との密着性や塗膜外観性が低下する傾向がある。
本発明におけるエチレン性不飽和基を2個以上含有する不飽和化合物(B)(以下、「多官能不飽和化合物(B)」と記すことがある。)とは、1分子内にエチレン性不飽和基を2個以上、好ましくは2〜15個、特に好ましくは3〜6個含有し、かつ後述の(C)成分であるリン酸基含有エチレン性不飽和化合物を除くものである。多官能不飽和化合物(B)は1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。例えば、2官能モノマー、3官能以上のモノマーや、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物等を用いることができる。
多官能不飽和化合物(B)の含有量が多すぎるとガラス基材等の基材との密着性が低下する傾向があり、少なすぎると塗膜強度が低下する傾向がある。
本発明におけるリン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)とは、1分子内にリン酸基を1個以上、好ましくは1〜5個含有し、かつエチレン性不飽和基を1個以上、好ましくは1〜3個含有する不飽和化合物である。リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)は、1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート(例えば、共栄社化学社製の「ライトエステルP−2M」、「ライトアクリレートP−2A」等)、エチレンオキサイド変性リン酸ジアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を2個有するリン酸基含有エチレン性不飽和化合物;
トリスアクリロイルオキシエチルホスフェート(例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#3PA)等のエチレン性不飽和基を3個以上有するリン酸基含有エチレン性不飽和化合物等が挙げられる。
また、その他のリン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)として、リン酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート(例えば、第一工業製薬社製の「ニューフロンティア S−23A)が挙げられる。
リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)の含有量が多すぎるとガラス基材等との基材密着性や塗膜強度が低下する傾向があり、少なすぎてもガラス基材等との基材密着性が低下する傾向がある。
リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)の含有量が多すぎるとガラス基材等との基材密着性や塗膜強度が低下する傾向があり、少なすぎてもガラス基材等との基材密着性が低下する傾向がある。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、水酸基含有シランカップリング剤、カルボキシル基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、アミド基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等を挙げることができ、中でも(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤が好適である。これらは1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
シランカップリング剤(D)の含有量が多すぎると塗膜強度や塗膜外観性が低下する傾向があり、少なすぎるとガラス基材等との基材密着性が低下する傾向がある。
ポリシロキサン構造含有化合物(E)としては、公知一般のポリシロキサン構造を含有する化合物を用いればよく、例えば、エチレン性不飽和基を含有するポリシロキサン構造含有化合物(以下、「エチレン性不飽和基含有ポリシロキサン構造含有化合物」と記すことがある。)、エチレン性不飽和基を含有しないポリシロキサン構造含有化合物(以下、「エチレン性不飽和基非含有ポリシロキサン構造含有化合物」と記すことがある。)が挙げられる。本発明においては、ポリシロキサン構造含有化合物(E)としてエチレン性不飽和基含有ポリシロキサン構造含有化合物が用いられる。
ポリシロキサン構造含有(メタ)アクリレートモノマー;
ポリシロキサン構造含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(e)(例えば、ビックケミー・ジャパン社製「BYK-UV3570」)、
ポリエーテル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物(例えば、ビックケミー・ジャパン社製「BYK-UV3500」、「BYK-UV3530」)、
ポリエステル変性ポリシロキサン構造含有(メタ)アクリレート化合物、
ポリエーテルエステル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物、
ポリカーボネート変性ポリシロキサン構造含有(メタ)アクリレート化合物、
等のポリシロキサン構造含有(メタ)アクリレート系化合物;
上記以外の不飽和基含有ポリシロキサン構造含有(メタ)アクリレート;
および、上記化合物にフッ素原子を導入した化合物等が挙げられる。
ポリエーテル変性ポリシロキサン(例えば、ビックケミー・ジャパン社製「BYK-SILCLEAN 3720」、「BYK-377」「BYK-UV3510」;上記のポリエーテル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物を除く。);
ポリエステル変性ポリシロキサン(例えば、ビックケミー・ジャパン社製「BYK-370」;上記のポリエステル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物を除く。);
ポリエステル変性ポリシロキサン構造含有化合物(上記のポリエステル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物を除く。);
ポリエーテル変性ポリシロキサン構造含有化合物(上記のポリエーテル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物を除く。);
ポリエーテルエステル変性ポリシロキサン構造含有化合物(例えば、ビックケミー・ジャパン社製「BYK-375」;上記のポリエーテルエステル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物を除く。);
ポリカーボネート変性ポリシロキサン構造含有化合物(上記のポリカーボネート変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物を除く。);
ポリシロキサン構造含有(メタ)アクリルポリマー(例えば、ビックケミー・ジャパン社製「BYK-SILCLEAN 3700」)等が挙げられる。
なお、上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(e)は、一般式(1)および(2)両方由来の構造部位を有するものであってもよい。
上記炭化水素基としては、通常炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20であり、二価または三価の炭化水素基が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は1〜10が好ましく、特に好ましくは炭素数1〜4であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
上記ヘテロ原子を含む有機基としては、例えば、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、ポリカプロラクトン基、アミノ基等が挙げられる。
これらの中でも、1分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート系化合物、特にはポリイソシアネートの3量体または多量体化合物であることが、塗膜硬度、およびブリードの原因となる未反応の低分子量成分を少なくできる点でより好ましい。
これらの中でも、比較的高硬度の塗膜が得られる点でペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
上記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
上記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(e1)が含有するエチレン性不飽和基の上限は通常40個であり、好ましくは35個以下、特に好ましくは30個以下、更に好ましくは25個以下である。
(イ):ポリシロキサン系化合物(p1)、ポリイソシアネート系化合物(p2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(p4)と反応させたポリイソシアネート系化合物(p2))、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(p3)を一括に仕込み反応させる方法、
(ロ):ポリシロキサン系化合物(p1)とポリイソシアネート系化合物(p2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(p4)と反応させたポリイソシアネート系化合物(p2))を反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(p3)を反応させる方法、
(ハ):ポリイソシアネート系化合物(p2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(p4)と反応させたポリイソシアネート系化合物(p2))と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(p3)を反応させた後、ポリシロキサン系化合物(p1)を反応させる方法、
(ニ):ポリイソシアネート系化合物(p2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(p4)と反応させたポリイソシアネート系化合物(p2))と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(p3)の一部を反応させた後、ポリシロキサン系化合物(p1)を反応させ、さらに残りの水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(p3)を反応させる方法、等が挙げられるが、これらの中でも、(ロ)または(二)の方法が好ましく、反応制御の安定性の点で、特に好ましくは(ロ)の方法である。
尚、粘度の測定法はB型粘度計による。
上記炭化水素基としては、通常炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20であり、二価または三価の炭化水素基が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、アルキレン基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は1〜10が好ましく、特に好ましくは炭素数1〜4であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
上記ヘテロ原子を含む有機基としては、例えば、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、ポリカプロラクトン基、アミノ基等が挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(e2)が含有するエチレン性不飽和基の上限は通常40個であり、好ましくは35個以下、特に好ましくは30個以下、更に好ましくは25個以下である。
(イ):ポリシロキサン系化合物(q1)、ポリイソシアネート系化合物(q2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(q4)と反応させたポリイソシアネート系化合物(q2))、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(q3)を一括に仕込み反応させる方法、
(ロ):ポリシロキサン系化合物(q1)とポリイソシアネート系化合物(q2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(q4)と反応させたポリイソシアネート系化合物(q2))を反応させた後、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(q3)を反応させる方法、
(ハ):ポリイソシアネート系化合物(q2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(q4)と反応させたポリイソシアネート系化合物(q2))と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(q3)を反応させた後、ポリシロキサン系化合物(q1)を反応させる方法、
(ニ):ポリイソシアネート系化合物(q2)(必要に応じて、予め、ポリオール系化合物(q4)と反応させた多価イソシアネート系化合物(q2))と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(q3)の一部を反応させた後、ポリシロキサン系化合物(q1)を反応させ、さらに残りの水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(q3)を反応させる方法、等が挙げられるが、これらのなかでも(ロ)または(ニ)の方法が好ましく、反応制御の安定性や相溶性の点で、特に好ましくは(二)の方法である。
尚、粘度の測定法はB型粘度計による。
かかるケイ素原子含有量が多すぎると他の成分との相溶性が低下する傾向があり、少なすぎると防汚性、滑り性のために必要とする配合量が多くなり、塗膜の物性バランスを取り難くなる傾向がある。
ポリシロキサン構造含有化合物(E)の含有量が多すぎると相溶性やガラス密着性が低下する傾向があり、少なすぎると防汚性、滑り性が改善されにくい傾向がある。
光重合開始剤(F)の含有量が少なすぎると、硬化不良となる傾向があり、多すぎると耐擦傷性、硬度等の機械的物性が低下する傾向があったり、脆化や着色の問題が起こりやすい傾向がある。
なお、無溶剤型の樹脂組成物を調製する際には、上述のアクリル系樹脂(A)として、無溶剤型のアクリル系樹脂(A1)を使用することが好ましい。また、基材への塗布などにおいても、有機溶剤等での希釈を行わないことが好ましい。
例えば、アクリル系樹脂(A)と多官能不飽和化合物(B)を混合し、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)を追加した後、シランカップリング剤(D)を加え、次にポリシロキサン構造含有化合物(E)、最後に光重合開始剤(F)を加える方法が挙げられ、好ましくは、酢酸エチル、トルエンなどの有機溶剤にアクリル系樹脂(A)と多官能不飽和化合物(B)を溶解させた溶液を調製し、有機溶剤に溶解させたリン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)と混合し、さらにシランカップリング剤(D)、ポリシロキサン構造含有化合物(E)、光重合開始剤(F)をこの順序で混合する方法が採用される。
また、組成物中に実質的に溶剤を含まない無溶剤型の樹脂組成物を製造する場合には、無溶剤型アクリル系樹脂(A1)と多官能不飽和化合物(B)を混合し、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)を追加した後、シランカップリング剤(D)を加え、次にポリシロキサン構造含有化合物(E)、最後に光重合開始剤(F)を加える方法が挙げられる。
本発明のコーティング剤組成物は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有し、各種基材へのトップコーティング剤やアンカーコーティング剤など、塗膜形成用のコーティング剤組成物として好適に利用することができる。本発明のコーティング剤組成物は、基材に塗工した後、活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。塗工方法としては、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、フローコート、グラビアコート、ロール、スピン、ディスペンサー、インクジェット、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
温度計、攪拌装置、窒素導入管、滴下ロート、および還流冷却器を備えた反応装置に、酢酸エチル(溶媒)40部、メチルメタクリレート20部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を適量添加した混合物を窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温し重合を開始させ、AIBNを逐次追加しながら9時間重合させた。その後、酢酸エチル10部、メチルメタクリレート20部、AIBN適量を追加してさらに重合させ、酢酸エチルにて希釈してアクリル系樹脂(A−1)溶液(濃度40%)を得た。得られたアクリル系樹脂[A−1](ポリメチルメタクリレート)の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は43,000、ガラス転移温度(Tg)は105℃であった。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)(日本化薬製、「KAYARAD DPHA」)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(イソシアネート基含有量21.0%)76.1gとジブチルスズジラウレート0.1gを仕込み、60℃以下でジペンタエリスリトールペンタアクリレート〔ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(水酸基価52mgKOH/g)〕423.9g、メチルヒドロキノン1gを約1時間で滴下し、60℃で反応を継続し、イソシアネート基が消失した時点で反応を終了し、多官能不飽和化合物[B−2]を得た(固形分濃度100%)。
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(イソシアネート基含有量21.0%)156.4g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート〔ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(水酸基価52mgKOH/g)〕843.6g、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール1g、ジブチルスズジラウリレート0.1gを仕込み、60℃で6時間反応させ、イソシアネート基が消失した時点で反応を終了し、多官能不飽和化合物[B−3]を得た(固形分濃度100%)。
〔リン酸基含有エチレン性不飽和化合物[C−1]〕
・ビス(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート(共栄社化学社製、「ライトエステルP−2M」)
〔シランカップリング剤[D−1]〕
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、「SZ−6030」)
・ポリシロキサン構造含有(メタ)アクリルポリマー(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-SILCLEAN 3700」)
〔ポリシロキサン構造含有化合物(E−2)〕
・ポリエステル変性ポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-370」)
〔ポリシロキサン構造含有化合物(E−3)〕
・ポリエーテルエステル変性ポリシロキサン構造含有化合物(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-375」
〔ポリシロキサン構造含有化合物(E−4)〕
・ポリエーテル変性ポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-377」)
〔ポリシロキサン構造含有化合物(E−5)〕
・ポリエーテル変性ポリシロキサン構造含有(メタ) アクリレート化合物(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-UV3500」)
〔ポリシロキサン構造含有化合物(E−6)〕
・ポリエーテル変性ポリシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-UV3510」)
〔ポリシロキサン構造含有化合物(E−7)〕
・ポリシロキサン構造含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(e)(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-UV3570」)
〔ポリシロキサン構造含有化合物[E−8]の製造〕
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(q2)(イソシアネート基含有量23.4%)72.4g、一般式(2)で示されるポリシロキサン系化合物(q1)(R1=−C2H4OC3H6−、R2=メチル基、R3=−C3H6OC2H4−、b=1、c=1、重量平均分子量3,000)125.8g、ジブチルスズジラウレート0.1g、メチルイソブチルケトン500gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が1.6%となった時点で、更に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(q3)〔ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(水酸基価50mgKOH/g)〕301.8g、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール1gを約1時間かけて滴下し、そのまま反応を継続し、イソシアネート基が消失した時点で反応を終了し(固形分濃度50%)、さらにメチルイソブチルケトンで希釈し固形分濃度が30%であるポリシロキサン基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物[E−8]溶液を得た。
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(p2)(イソシアネート基含有量21.0%)40.4g、上記一般式(1)で示されるポリシロキサン系化合物(p1)(R1=ブチル基、R2=メチル基、R3=−C3H6OC2H4−、b=1、重量平均分子量6,000)314.5g、ジブチルスズジラウリレート0.1g、メチルイソブチルケトン500gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.66%となった時点で、更に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(p3)〔ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(水酸基価52mgKOH/g)〕145.1g、2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール1gを約1時間かけて滴下し、そのまま反応を継続し、イソシアネート基が消失した時点で反応を終了し(固形分濃度50%)、さらにメチルイソブチルケトンで希釈し固形分濃度が30%であるポリシロキサン基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物[E−9]溶液を得た。
〔光重合開始剤(F−1)〕
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF製、「イルガキュア
184」)
上記のアクリル系樹脂[A−1]100部、多官能不飽和化合物[B−1]46.21部、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物[C−1]2.65部、シランカップリング剤[D−1]2.65部、ポリシロキサン構造含有化合物[E−1]4.26部、および光重合開始剤[F−1]6.73部を配合(固形分換算)し、光重合開始剤[F−1]を除いた固形分が35%かつ組成物中の酢酸エチルと酢酸ブチルの重量比が73/27になるように酢酸エチルと酢酸ブチルで希釈し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
アクリル樹脂(A)、エチレン性不飽和基を2個以上含有する不飽和化合物(B)、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)、シランカップリング剤(D)、ポリシロキサン構造含有化合物(E)、光重合開始剤(F)を表1に示す割合となるように配合し、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記のアクリル系樹脂[A−1]100部、多官能不飽和化合物[B−1]46.21部、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物[C−1]2.65部、シランカップリング剤[D−1]2.65部、および光重合開始剤[F−1]6.06部を配合(固形分換算)し、光重合開始剤[F−1]を除いた固形分が35%かつ組成物中の酢酸エチルと酢酸ブチルの重量比が73/27になるように酢酸エチルと酢酸ブチルで希釈し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記の硬化塗膜について、JIS K 5400 8.4に準じて鉛筆硬度を評価した(荷重のみ750gへ変更した)。
上記の硬化塗膜について、JIS K 5400(1990年版)に準じて碁盤目テープ法により評価した。
オレイン酸6.1g、オリーブ油29.3g、ホホバオイル47.5g、スクアレン17.1gを混合し、擬似指紋液を作成した。シリコンゴム栓に擬似指紋液を約4mg付着させ、上記の硬化塗膜上にスタンプした。塗膜上にスタンプした擬似指紋液のはじき度合いを目視で観察し、以下の通り評価した。
(評価結果)
◎・・・液のはじきが大きく、液を玉状にはじいている。
○・・・液のはじきが大きい。
△・・・液のはじきがやや見られる。
×・・・液のはじきが殆ど見られない。
上記の硬化塗膜上に1gの分銅を載せ、ゆっくり塗膜を傾け、分銅が動き始めた時の塗
膜の角度を測定し、以下の通り評価した。
(評価結果)
○・・・10°未満
△・・・10°以上20°未満
×・・・20°以上
一方、ポリシロキサン構造含有化合物(E)を含有しない比較例1の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られる硬化塗膜は、擬似指紋液に対するはじき性能が劣り、更に滑り性も劣る結果となった。
また、本発明のコーティング剤組成物は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有するので、塗料、粘着剤、接着剤、粘接着剤、インク、アンカーコーティング剤、磁性粉コーティングバインダー、サンドブラスト用被膜、版材など、各種の被膜形成材料として有用である。
Claims (7)
- アクリル系樹脂(A)、
エチレン性不飽和基を2個以上含有する不飽和化合物(B)(但し、後述の(C)および(E)を除く)、
リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)、
シランカップリング剤(D)、および
ポリシロキサン構造含有化合物(E)
を含有してなり、
ポリシロキサン構造含有化合物(E)がエチレン性不飽和基を含有するポリシロキサン構造含有化合物であり、エチレン性不飽和基を含有するポリシロキサン構造含有化合物がポリシロキサン構造含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。 - リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)が、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートおよび2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- シランカップリング剤(D)が、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- アクリル系樹脂(A)100重量部に対するポリシロキサン構造含有化合物(E)の含有量が0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- アクリル系樹脂(A)100重量部に対する不飽和化合物(B)の含有量が10〜900重量部、リン酸基含有エチレン性不飽和化合物(C)の含有量が0.1〜30重量部、シランカップリング剤(D)の含有量が0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜5いずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とするコーティング剤組成物。
- ガラス基材被覆用であることを特徴とする請求項6に記載のコーティング剤組成物。
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