実施形態1.
図1は、本発明の第1の実施形態の通信システムの例を示す説明図である。本発明の通信システムは、無線通信端末1と、サーバ4とを備える。無線通信端末1は、RAN2を介して、ネットワーク3に接続される。RAN2は、例えば、UTRAN21、E−UTRAN22、Wi−Fiスポット23、WiMAX24、Bluetooth25等を含む。RAN2に含まれるRATは、他の通信方式であってもよい。サーバ4は、ネットワーク3に接続される。無線端末1は、RAN2およびネットワーク3を介してサーバ4にアクセスする。
無線通信端末1は、複数の通信インタフェースを備え、複数のRATに対応可能である。無線通信端末1は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、タブレット端末等である。
無線通信端末1は、RAN2に含まれる無線基地局に関するデータをサーバ4から受信するため、RAN2に含まれるいずれか1つ以上のRANに常時接続されていることが好ましい。例えば、無線通信端末1がスマートフォンや携帯電話機である場合、UTRAN21やE−UTRAN22に常時接続されていることが好ましい。
図2は、無線通信端末1の構成例を示すブロック図である。無線通信端末1は、複数の通信インタフェース101〜10nと、接続プロファイルデータベース11と、無線基地局データベース12と、制御部13と、電源制御部14とを備える。
それぞれの通信インタフェース101〜10nは、複数のRATの少なくとも1つに対応するデバイスである。通信インタフェース101〜10nは、例えば、アンテナと変復調器等を有する。また、通信インタフェース101〜10nは、専用のハードウェアで実装されていてもよく、一部がソフトウェアで実装されていてもよい。また、通信インタフェース101〜10nは、RAT毎に専用のハードウェアを備えていてもよく、あるいは、ソフトウェア無線のように、ソフトウェアの書き換えによって単一のハードウェアに複数のRATを対応させる態様であってもよい。
ここでは、通信インタフェース101がUTRAN21に対応し、通信インタフェース104(図示略)がWiMAX24に対応している場合を例にして説明する。
通信インタフェース101〜10nは、対応するRANに無線通信端末1を接続させる場合、そのRANに含まれる無線基地局を介して無線通信端末1をRANに接続させる。図3は、無線通信端末1がRANに接続される状況を示す模式図である。図3に示す例では、通信インタフェース101は、UTRAN21の無線基地局であるNode B210を介して、無線通信端末1をUTRAN21に接続させている。UTRAN21には、複数のNode B210〜21nが存在し、通信インタフェース101は、そのいずれかを介して、無線通信端末1をUTRAN21に接続させる。
接続プロファイルデータベース11は、接続プロファイルを保存する。接続プロファイルは、無線通信端末1がRANに接続されるための条件を記述した情報である。接続プロファイルは、RAN単位で作成されていても、RANに属している無線基地局単位で作成されていてもよい。
図4は、接続プロファイルの例を示す説明図である。図4に例示する接続プロファイルでは、通信インタフェース104によって、無線通信端末1がRANに接続されるための条件として、RATがWiMAXであることという条件を示している。また、図4に示す例では、RANのIDに関する条件を記述する項目(RAN ID)も示しているが、ここでは、RAN IDは任意の値でよいことを示している
無線基地局データベース12は、RAN21〜2nやこれらのRANに含まれる無線基地局のネットワーク環境を記述したデータである無線基地局データを保存する。無線基地局データベース12は、サーバ4に設けられていてもよいが、無線通信端末1が外部と通信できなくなった場合に無線基地局データベース12にアクセスできなくなるので、無線基地局データベース12は、無線通信端末1に設けられることが好ましい。
図5は、無線基地局データの例を示す説明図である。無線基地局データは、項目として、例えば、無線基地局やRAN等を一意に表す項目(図5に例示する“ID”)や、RATの種別を表す項目(図5に例示する“RAT”)を含む。また、無線基地局データは、セキュリティに関する項目を含んでいてもよい。
例えば、Wi−Fiの場合、無線基地局データに記述されるIDは、IEEE802.11で規定されているSSID(Service Set Identifier)やBSSID(Basic Service Set Identifier)であってもよい。SSIDやBSSIDは、Wi−Fiの無線基地局であるWi−Fiアクセスポイント(以下、Wi−FiAPと記す。)のIDである。また、PassPointで規定されているHESSIDのような複数のWi−FiAPを含むネットワークに対するIDを用いてもよい。さらに、UTRAN等では、ドメイン名をRANのIDとして用いてよい。
図5に例示する無線基地局データでは、IDとして、RANの名前である“WiMAX24”が記述され、RATとして、“WiMAX”が記述されている。
制御部13は、無線通信端末1全体を制御する。特に、制御部13は、接続可否判定部130と、更新部131とを備える。
接続可否判定部130は、接続プロファイルデータベース11に保存された接続プロファイルと、無線基地局データベース12に保存された無線基地局データとに基づいて、どのRANに属する無線基地局へ接続するかを判定する。
例えば、接続プロファイルが、通信インタフェース毎(換言すれば、WiMAX等の各RAN毎)に予め作成される。そして、接続可否判定部130は、接続プロファイルに記述された条件を満たしている無線基地局データが存在する場合、その接続プロファイルに対応するRANの無線基地局に対して接続すると判定する。
図4に示す接続プロファイルと図5に示す無線基地局データとに基づく判定を例にして接続可否判定部130の動作を説明する。図4に示す接続プロファイルは、RATがWiMAXであることという条件のみを示しており、図5に示す無線基地局データは、この接続プロファイルに記述された要件を満たしている。このため、接続可否判定部130は、図5に記述されたWiMAX24へ接続すると判定する。
そして、接続可否判定部130は、通信インタフェース101〜10nのうち、接続するRANに対応する通信インタフェースを使用すると判定し、その他の通信インタフェースを使用しないと判定する。本例では、通信インタフェース104(図示略)がWiMAX24に対応している。
ただし、上記のように、無線通信端末1は、RAN2に含まれるいずれか1つ以上のRANに常時接続されていることが好ましいため、例えば、UTRAN21やE−UTRAN22に対応した通信インタフェースについては、使用し続けると判定してよい。
更新部131は、サーバ4から受信した無線基地局データを無線基地局データベース12に保存することによって、無線基地局データベース12に保持される無線基地局データを更新する。
電源制御部14は、接続可否判定部130の判定結果に従って、無線基地局へ接続すると判定された通信インタフェースの電源をオンにする。また、無線基地局へ接続しないと判定された通信インタフェースの電源をオフにする。従って、上記のように接続可否判定部130がWiMAX24へ接続すると判定した場合、電源制御部14は、通信インタフェース104の電源をオンにする。
なお、通信インタフェースの電源をオンにするとは、通信インタフェースに電力を供給することである。通信インタフェースの電源をオフにするとは、通信インタフェースへの電力供給を遮断することである。
接続可否判定部130および更新部131は、例えば、通信プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。この場合、CPUが通信プログラムを読み込み、そのプログラムに従って、接続可否判定部130および更新部131として動作すればよい。電源制御部14も、通信プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現されていてもよい。また、接続可否判定部130、更新部131および電源制御部14が別々のハードウェアで実現されていてもよい。
図6は、サーバの構成およびネットワーク、RAN、無線通信端末との関連を示す説明図である。サーバ4は、RAN2に含まれる無線基地局を管理する。特に、サーバ4は、無線基地局データ更新部40を備える。
無線基地局データ更新部40は、無線通信端末1に無線基地局データを配信する。より具体的には、無線基地局データ更新部40は、RAN2に含まれる1つ以上のRANの無線基地局に関して、RANが提供するネットワーク環境を把握し、無線基地局データを作成する。また、図6に示す例では、無線通信端末1はUTRAN21に常時接続されているものとする。無線基地局データ更新部40は、UTRAN21のNode B210を介して無線通信端末1に無線基地局データを配信する。無線通信端末1は、UTRAN21に対応する通信インタフェース101でその無線基地局データを受信し、無線通信端末1の更新部131(図2参照)がその無線基地局データを無線基地局データベース12に保持させる。
無線基地局データ更新部40がネットワーク環境を把握する方法の一例として、例えば、RAN21〜25を管理しているサービス提供者から無線基地局データの提供を受けるという方法がある。
図6に示す例では、サーバ4が、Wi−Fiスポット23にあるWi−FiAP230〜23nを管理する。そして、無線基地局データ更新部40が、ネットワーク3およびUTRAN21を介して、Wi−Fiスポット23にあるWi−FiAPの無線基地局データを無線通信端末1に通知する。無線通信端末1は、この無線基地局データが接続プロファイルに記述された条件を満たしているか否かに応じて、Wi−Fiに対応している通信インタフェース103の電源のオン/オフを制御する。
なお、RAN21〜25と一対一に対応するようにサーバ4(無線基地局データ更新部40)を複数設ける必要はなく、1つのサーバ4や無線基地局データ更新部40が複数のRAN21〜25を管理してよい。
次に、動作について説明する。本発明の動作は、無線基地局データの更新動作(以下、更新モードと記す。)と、無線基地局データおよび接続プロファイルに基づいて、通信インタフェース101〜10nの電源のオン/オフを制御する動作(以下、制御モード)とに分けられる。
図7は、更新モードでの動作を示すフローチャートである。サーバ4の無線基地局データ更新部40は、管理しているRANの無線基地局に関する無線基地局データを無線通信端末1に配信する。
無線通信端末1がこの無線基地局データを受信すると、その無線基地局データを無線基地局データベース12に保存することによって、無線基地局データベース12に保持される無線基地局データを更新する。
更新モードは、繰り返し実行されることが好ましい。更新モードは、一定時間毎に実行されてもよい。また、更新モードは、例えば、RANを提供するサービス提供者が指定したとき、RANのネットワーク環境が変化したとき、または、無線通信端末1から要求されたとき等に実行されてもよい。
図8は、制御モードでの動作の例を示すフローチャートである。図8では、ある通信インタフェースの電源のオン/オフ制御に着目して説明する。接続可否判断部130と電源制御部14は、例えば、通信インタフェース毎に、図8に示す処理を実行する。
まず、接続可否判断部130は、この通信インタフェースに対応する接続プロファイルを参照し(ステップS101)、無線基地局データベース12に保存されている無線基地局データを参照する(ステップS102)。
そして、接続可否判断部130は、接続プロファイルに記述された条件を無線基地局データが満たしているか否かに応じて、その通信インタフェースで、対応するRANへ接続するか否かを判定する(ステップS103)。
接続プロファイルに記述された条件を無線基地局データが満たしている場合、接続可否判断部130は、その通信インタフェースで、対応するRANへ接続すると判定する(ステップS103のYes)。この判定に応じて、電源制御部14は、その通信インタフェースの電源をオンにする(ステップS104)。すなわち、電源制御部14は、その通信インタフェースに電力を供給する。
一方、接続プロファイルに記述された条件を無線基地局データが満たしていない場合、接続可否判断部130は、その通信インタフェースで、対応するRANへ接続しないと判定する(ステップS103のNo)。この判定に応じて、電源制御部14は、その通信インタフェースの電源をオフにする(ステップS105)。すなわち、電源制御部14は、その通信インタフェースへの電力供給を遮断する。
図8は、制御モードでの動作の一例を示すものであり、制御モードでの動作は上記の動作に限定されない。例えば、ステップS101,S102の順序が逆であってもよい。
接続可否判定部130は、図8に示す処理を、通信インタフェース毎に実行してもよい。また、接続可否判定部130は、複数の通信インタフェースに対して図8に示す処理を同時に実行してもよい。また、接続可否判定部130は、図8に示す処理をRAT毎に実行してもよい。
制御モードは一定時間毎に実行されてもよい。制御モードは、例えば、無線通信端末1が一定距離移動したとき、無線通信端末1のユーザが制御モード開始を指示したとき、接続プロファイルが更新されたとき、または、無線基地局データが更新されたとき等に実行されてもよい。
第1の実施形態によれば、RAN2が提供するネットワーク環境が、無線通信端末1側のネットワークに対する条件(接続プロファイルに記述された条件)を満たしているか否かを判定し、条件が満たされている場合に、そのRANに対応する通信インタフェースの電源のみをオンにする。従って、常時、全ての通信インタフェースの電源をオンにすることはなく、無線通信端末1の消費電力を抑制することができる。また、条件を満たしているRANに対応する通信インタフェースの電源をオンにすることができるので、接続可能なRANの選択肢を減らさないようにすることができる。
これにより、例えば、接続プロファイルを書き換えることで、無線通信端末1で通信インタフェース101〜10nへの電力供給を制御できる。また、サーバ4から無線基地局データを配信して無線通信端末1に保持される無線基地局データを更新したりすることでも、通信インタフェース101〜10nへの電力供給を制御できる。
実施形態2.
第2の実施形態では、時間経過に伴い変化する値を接続プロファイル内に記述する。この値も、無線通信端末がRANに接続されるための条件を表す。第2の実施形態では、時間経過に伴い変化する値の例として、無線通信端末の位置を接続プロファイルに記述する場合を例にして説明する。この場合、接続プロファイルは、無線通信端末の位置が無線基地局の有効範囲内であることという条件を表す。
図9は、第2の実施形態における無線通信端末の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の要素については、図2と同一の符号を付し、説明を省略する。第2の実施形態の無線通信端末1は、第1の実施形態の無線通信端末1(図2参照)の要素に加えて、測位部15を備える。
測位部15は、無線通信端末1の位置を測定する。そして、測位部15は、制御部13の制御により、その位置を接続プロファイルに書き込むことで、接続プロファイルを更新する。測位部15は、例えば、GPS(Global Positioning System)により無線通信端末1の位置を測定する。ただし、位置の測定方法は、GPSを用いた方法に限定されない。
測位部15は、一定時間毎に接続プロファイルを更新してもよい。また、測位部15は、無線通信端末1のユーザが接続プロファイルの更新を指示したとき、または、無線通信端末1が一定距離移動したとき等に接続プロファイルを更新してもよい。
測位部15は、例えば、GPS受信機等の受信機、センサとプログラムに従って動作するCPU等によって実現されていてもよい。
図10は、第2の実施形態における接続プロファイルの例を示す説明図である。本例では、接続プロファイルに、無線通信端末1の位置に関する条件を記述する項目が含まれている。図10に示す例では、位置を緯度および経度で表す。この位置は、時間の経過に伴い測位部15に更新される。
図10に示す例では、RATがWi−Fiであることという条件と、無線通信端末1の位置(北緯35.4138、東経139.4505)が無線基地局の有効範囲(無線基地局と通信可能な範囲)内であることという条件を示している。また、RAN IDは任意の値でよいことを示している。
第2の実施形態では、無線基地局データベース12に保存される無線基地局データは、時間経過に伴い変化する接続プロファイル内の値と照合される項目を含む。本例では、無線基地局データは、無線基地局の有効範囲を表す項目を含む。図11は、第2の実施形態における無線基地局データの例を示す説明図である。図11に示す無線基地局データは、項目として、“ID”および“RAT”の他に、“Latitude”、“Longitude”、“Radius”を含む。“Latitude”、“Longitude”、“Radius”の組み合わせが無線基地局の有効範囲(無線基地局と通信可能な範囲)を表す。すなわち、“Latitude”、“Longitude”が表す位置を中心とし、“Radius”の値を有効半径とする範囲が無線基地局の有効範囲である。なお、図11では、“RAT”がWi−Fiであることを示している。また、“ID”は、個々のWi−FiAPのIDを表している。図11に示す例では、“Radius”の単位は“m”である
接続可否判定部130は、接続プロファイルデータベース11に保存された接続プロファイルと、無線基地局データベース12に保存された無線基地局データとに基づいて、どのRANに属する無線基地局へ接続するかを判定する。そして、電源制御部14は、接続先と判定したRANに対応する通信インタフェースの電源をオンにする。
本例では、無線通信端末1の位置が無線基地局の有効範囲内であることも、接続すると判定するための条件となる。その条件を含め、接続プロファイルで規定されている各条件を満たす無線基地局が存在している場合、接続可否判定部130は、その無線基地局が属するRANに接続すると判定する。そして、電源制御部14は、その無線基地局が属するRANに対応する通信インタフェースの電源をオンにする。
本例では、接続プロファイルに記述された“RAT”と無線基地局データに記述された“RAT”とが合致し、接続プロファイルに記述された無線通信端末1の位置が、無線基地局データに記述された無線基地局の有効範囲内に存在する場合、接続可否判定部130は、その無線基地局が属するRANに接続すると判定する。そして、電源制御部14が、そのRANに対応する通信インタフェースの電源をオンにする。
図10に例示する接続プロファイルと、図11に例示する無線基地局データとに基づいて接続可否判定部130が判定を行う場合を例にして説明する。接続プロファイルでは、“RAN ID” の指定はなく、接続プロファイルで指定された“RAT”と無線基地局データで記述された“RAT”はともにWi−Fiであり、合致している。また、接続プロファイルに記述された無線通信端末1の位置は、Wi−FiAP“Wi-Fi-2-3-BS2”の有効範囲内である。従って、無線基地局データは接続プロファイルで規定された条件を満たしている。よって、接続可否判定部130は、Wi−Fiに対応する通信インタフェース103でWi−Fiスポットへ接続すると判定し、電源制御部14が、通信インタフェース103の電源をオンにする。
本実施形態では、更新部131(図9参照)は、第1の実施形態と同様の動作に加え、接続プロファイルの内容(特に、無線通信端末の位置)の更新も制御する。更新部131は、一定時間毎に、接続プロファイルの更新を測位部15に指示してもよい。また、更新部131は、無線通信端末1のユーザが接続プロファイルの更新操作を行ったときに、接続プロファイルの更新を測位部15に指示してもよい。また、更新部131は、無線通信端末1が一定距離移動したときに、接続プロファイルの更新を測位部15に指示してもよい。測位部15は、更新部13から更新指示を受けると、その時点における無線通信端末1の位置で、接続プロファイル内に記述されていた位置を書き換える。
第2の実施形態の処理経過は、図8に示すフローチャートと同様に表すことができる。ただし、ステップS103では、上述のように、時間経過に伴い変化する接続プロファイル内の値(本例では、無線通信端末の位置)に関しても無線基地局データと照合し、RANへ接続するか否かを判定する。その他に関しては、第1の実施形態の処理経過と同様であり説明を省略する。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、第2の実施形態では、無線通信端末1において時間経過とともに変化する値も用いて、通信インタフェースの電源のオン/オフを制御することができる。例えば、上記のように、無線基地局があり、その有効範囲内に無線通信端末が存在している場合に、その無線基地局が属するRANに対応する通信インタフェースの電源のみをオンとすることで、消費電力を抑制できる。
実施形態3.
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様に、時間経過に伴い変化する値を接続プロファイル内に記述する。第3の実施形態では、時間経過に伴い変化する値の例として、無線通信端末1を動作させるプログラムが必要とするネットワーク環境を表す値を用いる場合を例にして説明する。この値も、無線通信端末がRANに接続されるための条件を表す。
無線通信端末1を動作させるプログラムが必要とするネットワーク環境を条件として設定する単位は、プログラム単位であってもよい。無線通信端末1に多数のプログラムが搭載される場合には、プログラム単位に条件を設定することが困難であることもあるので、セッションやフロー単位に条件を設定することが好ましい。
図12は、第3の実施形態における無線通信端末の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の要素については、図2と同一の符号を付し、説明を省略する。第3の実施形態の無線通信端末1は、第1の実施形態の無線通信端末1(図2参照)の要素に加えて、制御部13にパケット監視部132が設けられる。
また、説明を簡単にするため、図12では、無線通信端末1を動作させるプログラムとして、1つのプログラム133のみを示す。
また、制御部13がプログラム133に従って動作するが、ここでは説明を簡単にするためにプログラム133の動作として説明する。
パケット監視部132は、プログラム133と通信インタフェース101〜10nとの間のパケットの転送を監視し、そのパケットを解析する。そして、パケット監視部132は、セッションの開始および終了や、各種パラメータを監視する。監視対象のパラメータの例を以下に示す。セッションに関する監視対象パラメータの例として、例えば、プロトコルの種別等がある。フローに関する監視対象パラメータの例として、例えば、アドレス種別、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、プロトコル種別、送信元ポート番号、宛先ポート番号、QoS、ドメイン名等がある。
アドレス種別の値として、例えば、IPv4,IPv6等がある。
また、プロトコル種別の値として、例えば、IANA(Internet Assigned Number Authority)
パケット監視部132は、例えば、OpenFlowのコントローラおよびスイッチを無線通信端末1に実装することで容易に実現することができる。
また、パケット監視部132は、例えば、プログラムに従って動作するCPUによって実現されていてもよい。
図13は、第3の実施形態における接続プロファイルの例を示す説明図である。図13では、接続プロファイルには、パケット監視部132の監視対象となるパラメータ(本例では宛先ポート番号)に関する条件を記述する項目が含まれている。
図13に示す例では、RATがWiMAXであることという条件と、宛先ポート番号が80番であることという条件を示している。また、RAN IDは任意の値でよいことを示している。
更新部131は、時間経過によって、フローやセッションが開始したり終了したりすることに伴い、接続プロファイルに記述されるパラメータの値を、フローやセッションで指定される値に更新する。
第3の実施形態では、無線基地局データベース12に保存される無線基地局データは、接続プロファイルに記述されたパラメータの項目と同じ項目を含む。本例では、宛先ポート番号の記述を含む。図14は、第3の実施形態における無線基地局データの例を示す説明図である。図14に示す無線基地局データは、項目として、“ID”および“RAT”の他に、“Destination Port Number ”を含む。図14では、“Destination Port Number ”が80番であり、“RAT”がWiMAXであることを示している。
接続可否判定部130は、接続プロファイルデータベース11に保存された接続プロファイルと、無線基地局データベース12に保存された無線基地局データとに基づいて、どのRANに属する無線基地局へ接続するかを判定する。そして、電源制御部14は、接続先と判定されたRANに対応する通信インタフェースの電源をオンにする。
本例では、無線基地局データに記述されたセッションやフローのパラメータが、接続プロファイルに記述されたセッションやフローのパラメータに関する条件を満たしていることも、接続すると判定するための必要条件となる。
図13に例示する接続プロファイルと、図14に例示する無線基地局データとに基づいて接続可否判定部130が判定を行う場合を例にして説明する。接続プロファイルでは、“RAN ID” の指定はない。そして、接続プロファイルで指定された“RAT”と無線基地局データで記述された“RAT”はともにWiMAXであり、合致している。さらに、接続プロファイルで指定された“Destination Port Number ”と、無線基地局データで記述された“Destination Port Number ”はともに80番であり、合致している。無線基地局データは接続プロファイルで規定された条件を満たしている。よって、接続可否判定部130は、WiMAXに対応する通信インタフェース104でWiMAXへ接続すると判定する。そして、電源制御部14が、通信インタフェース104の電源をオンにする。
第3の実施形態の処理経過は、図8に示すフローチャートと同様に表すことができる。ただし、ステップS103では、上述のように、時間経過に伴い変化する接続プロファイル内の値(本例では、宛先ポート番号)に関しても無線基地局データと照合し、RANへ接続するか否かを判定する。その他に関しては、第1の実施形態の処理経過と同様であり説明を省略する。
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、第3の実施形態では、セッションやフロー単位で指定された無線基地局/RANに無線通信端末1を接続させるときにのみ、その無線基地局/RANに無点通信端末1を接続させるための通信インタフェースの電源のみをオンにすることで、消費電力を抑制できる。
第3の実施形態では、無線通信端末1を動作させるプログラムが必要とするネットワーク環境の条件を設定する単位として、セッションやフローを単位とする場合を例にして説明した。無線通信端末1に搭載されるプログラムが限られている場合には、プログラム単位に条件を設定してもよい。この場合、パケットを監視するパケット監視部132の代わりに、プログラムの起動を管理するプログラムランチャ(図示略)がプログラムのIDを取得し、このIDを接続プロファイル等に記述してもよい。
実施形態4.
第4の実施形態では、無線基地局データが、定常的な値だけでなく、時間経過に伴い変化する値も含む。時間経過に伴い変化する値の例として、例えば、RAN21〜25に属する無線基地局と無線通信端末(無線通信端末1を含む。)とのQoSや帯域、無線基地局の残り空きチャネル数等が挙げられる。
無線基地局と無線通信端末とのQoSに関しては、Wi−Fiの場合、IEEE802.11uで標準化されており、Wi−FiAPがビーコンとしてQoSの値を配信している。ビーコンで配信される内容をサーバ等で収集できることは、当業者には明らかである。
IEEE802.11uで、QoSは、DSCP(Differentiated Services Code Point)で表現される。QoSに属する個々の要素、例えば、遅延やMSDU(MAC Service Data Unit ;MACフレーム)のロス率などは、符号で表現される。
以下の説明では、時間経過に伴い変化するネットワーク環境の値として、MSDUのロス率を例にして説明する。
図15は、第4の実施形態におけるサーバの構成およびネットワーク、RAN、無線通信端末との関連を示す説明図である。第4の実施形態におけるサーバ4は、RAN2に属する無線基地局を管理するサーバである。そして、サーバ4は、無線基地局データ更新部40に加えて、データ収集部41を備える。
データ収集部41は、RAN2に属する個々の無線基地局が提供するネットワーク環境のデータを収集する。
個々の無線基地局が提供するネットワーク環境のデータの中でも、上述のQoS、帯域、無線基地局の残り空きチャネル数等は、リアルタイムに変化する値であり、個々の無線基地局から収集しなければ得ることができないデータである。
図15に示す例では、サーバ4が、Wi−Fiスポット23に属するWi−FiAP231〜23nをサーバ4が管理する。そして、データ収集部41が、Wi−Fiスポット23に属するWi−FiAP231〜23nが提供するネットワーク環境のデータを収集する。そして、データ収集部41は、Wi−FiAP231〜23nの無線基地局データとして、それらのアクセスポイントから収集したデータを含む無線基地局データを生成する。この結果、無線基地局データには、時間経過とともに変化する値が変化する項目が含まれ、データの収集タイミングによって、その項目の値は変化する。
上記の例では、データ収集部41が、ネットワーク環境のデータを収集し、そのデータを含む無線基地局データを生成する場合を例に説明したが、ネットワーク環境のデータを含む無線基地局データ自体をデータ収集部41が収集してもよい。
無線基地局データ更新部40は、ネットワーク3およびUTRAN21を介して、Wi−Fiスポット23に属するWi−FiAP231〜23nの無線基地局データを無線通信端末1に配信する。無線通信端末1の更新部131は、その無線基地局データを無線基地局データベース12に保存する。
無線通信端末1は、この無線基地局データと、自身が保持している接続プロファイルとに基づいて、Wi−Fiに対応する通信インタフェース103の電源のオン/オフの制御を行う。
なお、RAN21〜25と一対一に対応するようにデータ収集部41を複数設ける必要はなく、1つのデータ収集部41が複数のRANや複数の無線基地局を管理してよい。
図16は、第4の実施形態における接続プロファイルの例を示す説明図である。第4の実施形態の接続プロファイルは、データ収集部41が収集するネットワーク環境のデータに関する条件が記述される。図16に示す例では、MSDUのロス率(“MSDU Loss ”)に関する条件が記載されている。具体的には、MSDUのロス率が0.1%未満であることという条件を示している。
また、図16では、RATがWi−Fiであることという条件も示しており、RAN IDは任意の値でよいことを示している。この点は、図10に例示する接続プロファイルと同様である。
図17は、第4の実施形態における無線基地局データの例を示す説明図である。図17に示す例では、無線基地局データにMSDUのロス率が記述されている。“ID”および“RAT”に関しては、図11に例示する無線基地局データと同様である。
接続可否判定部130は、接続プロファイルデータベース11に保存された接続プロファイルと、無線基地局データベース12に保存された無線基地局データとに基づいて、どのRANに属する無線基地局へ接続するかを判定する。そして、電源制御部14は、接続可否判定部130が接続先と判定したRANに対応する通信インタフェースの電源をオンにする。
本例では、無線基地局データに記述されているMSDUのロス率が、接続プロファイルで規定されているMSDUのロス率より低いことも、接続すると判定するための条件となる。その条件を含め、接続プロファイルで規定されている各条件を満たす無線基地局が存在している場合、接続可否判定部130は、その無線基地局が属するRANに接続すると判定する。そして、電源制御部14が、そのRANに対応する通信インタフェースの電源をオンにする。
図16に例示する接続プロファイルと、図17に例示する無線基地局データとに基づいて接続可否判定部130が判定を行う場合を例にして説明する。接続プロファイルでは、“RAN ID” の指定はなく、接続プロファイルで指定された“RAT”と無線基地局データで記述された“RAT”はともにWi−Fiであり、合致している。また、Wi−FiAP“Wi-Fi-2-3-BS2”でのMSDUのロス率(0.05%)は、接続プロファイルで規定されている0.1%よりも低い。従って、接続可否判定部130は、無線基地局データが接続プロファイルで規定される要件を満たしていると判定する。そして、電源制御部14が、Wi−FiAP“Wi-Fi-2-3-BS2” が属するRAN(WiFiスポット23)に対応する通信インタフェースの電源をオンにする。
次に、動作について説明する。
第4の実施形態の更新モードの概要は、第1の実施形態における更新モード(図7参照)と同様である。ただし、第4の実施形態では、データ収集部41が、無線基地局からネットワークに関するデータを収集する処理が追加される。
例えば、データ収集部41が、サーバ4が管理しているRANに属する無線基地局のネットワーク環境のデータを含む無線基地局データを、その無線基地局から収集する。
その後、無線基地局データ更新部40は、その無線基地局データを無線通信端末1に配信する。無線通信端末1がこの無線基地局データを受信すると、その無線基地局データを無線基地局データベース12に保存することによって、無線基地局データベース12に保持される無線基地局データを更新する。
データ収集部41によるデータ収集動作は、繰り返し実行されることが好ましい。データ収集部41は、例えば、一定時間毎にデータ収集を実行してもよい。また、データ収集部41は、RANを管理するサービス提供者が指定したときに、データ収集を実行してもよい。
また、第4の実施形態の制御モードは、図8に示すフローチャートと同様に表すことができる。なお、ステップS103では、上述のように、ネットワーク環境を表すデータに対しても、接続プロファイルで規定された条件と照合し、RANへ接続するか否かを判定する。その他に関しては、第1の実施形態の処理経過と同様であり説明を省略する。
第4の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。無線基地局が提供するネットワーク環境のデータが時間経過により変化する場合であっても、そのデータが接続プロファイルで規定された条件を満たす場合にのみ、その無線基地局が属するRANに対応する通信インタフェースの電源のみをオンにする。従って、より消費電力を抑制することができる。
上記の第2の実施形態および第3の実施形態のいずれか一方または両方と、第4の実施形態とを組み合わせてもよい。すなわち、第2の実施形態や第3の実施形態と同様に、無線通信端末1がRANに接続されるための条件として、時間経過に伴い変化する値を接続プロファイル内に含め、第4の実施形態と同様に、時間経過に伴い変化する値を無線基地局データに含める構成としてもよい。このような構成は、例えば、無線通信端末1を動作させるプログラム毎に、現時点での無線通信端末1のおかれたネットワーク環境の中から、適切なRANを選択し、そのRANに対応した通信インタフェースの電源のみをオンとする場合等に有効である。
実施形態5.
第5の実施形態は、前述の各実施形態において、接続プロファイルに記述された条件を無線基地局データが満たしていることによって、複数の通信インタフェースに対して接続すると判定されたときでも、それらの通信インタフェースの優先順位を定めることが可能な実施形態である。
このような優先順位を定める方法として、例えば、接続プロファイル内で優先順位を定めておく方法がある。図18は、第5の実施形態における接続プロファイルの例を示す説明図である。図18では、通信インタフェース毎に条件(本例では、“RAN ID”および“RAT”に関する条件)を記述するとともに、各通信インタフェース毎に、接続すると判定された場合の優先順位を記述する場合を例示している。本例では、通信インタフェース103の優先順位が“1”であり、通信インタフェース104の優先順位が“2”である(図18参照)。
例えば、図18に示す接続プロファイルと無線基地局データとを照合した結果、通信インタフェース103,104に対して定められた条件がいずれも満たされていると判定した場合、接続可否判定部130は、優先順位が最も高い通信インタフェース103で接続すると判定してRANへの接続を試み、接続できなかった場合に、次に優先順位の高い通信インタフェース104で接続すると判定する。
また、通信インタフェースの優先順位を定める他の方法として、例えば、無線基地局データ内で優先順位を定めておく方法がある。図19は、第5の実施形態における無線基地局データの例を示す説明図である。図19では、RANのID毎に優先順位を接続する場合を例示している。本例では、“Wi−Fiスポット23”の優先順位が“1”であり、“WiMAX24”の優先順位が“2”である。
例えば、接続プロファイルと、図19に示す無線基地局情報とを照合した場合、“Wi−Fiスポット23”に対応する通信インタフェースおよび“WiMAX24”に対応する通信インタフェースのいずれに対しても接続すると判定した場合、接続可否判定部130は、優先順位が最も高い“Wi−Fiスポット23”に対応する通信インタフェースで接続すると判定してWi−Fiスポット23への接続を試みる。そして、接続できなかった場合に、接続可否判定部130は、次に優先順位の高い“WiMAX24”に対応する通信インタフェースで接続すると判定する。
なお、第5の実施形態において、接続プロファイルと無線基地局データの少なくとも一方で、通信インタフェースを順位付けするための優先順位が定められていればよい。また、接続プロファイルおよび無線基地局データの両方で優先順位が定められていてもよい。
本実施形態でも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、接続プロファイルと無線基地局データとの照合の結果、複数の通信インタフェースでRANへ接続すると判定した場合であっても、それらの通信インタフェースの優先順位に従って、通信インタフェースの電源をオンにするので、無線通信端末の消費電力をより抑制することができる。
実施形態6.
第6の実施形態は、ANDSF(Access Network Discovery and Selection Function )に基づいて、無線基地局データを配信する実施形態である。ANDSFは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化が進められている標準規格である。ANDSFで記述されたポリシは、一般に、通信事業者が管理するサーバから配信される。そして、このポリシを受信した端末(UE:User Equipment)が、使用するRANを決定する。この場合、第1から第5までの各実施形態のサーバ4がANDSFサーバとなる。なお、既に述べたように、ANDSFについて記載した文献として、非特許文献1がある。
以下、無線基地局ファイルをANDSFの形式に準拠させる場合を例にして説明する。
例えば、第1や第2の実施形態では、図20に示すANDSF MO(Management Object )のDiscoveryInformation形式に準拠させ、AccessNetworkArea以下のRATに関するエントリや、RAT以下の個々の無線基地局に関するエントリを追加したり、削除したりすることで、RAN2が提供するRANや無線基地局の有無を表現できる。これによって、ANDSFサーバであるサーバ4から、UEである無線基地局1の通信インタフェース101〜10nの電源のオン/オフを制御できる。
さらに、通信インタフェース101〜10nの電源のオン/オフ制御をANDSF MOの中で明確に記述するのであれば、例えば、図21に示すように各RATエントリに、通信インタフェースのオン/オフ制御に関する項目(ここでは、Power と表記している。)を追加することができる。あるいは、図22に示すように、各無線基地局のエントリに、通信インタフェースのオン/オフ制御に関する項目(Power )を追加してもよい。この場合、RATや無線基地局のエントリを削除することなく、通信インタフェースのオン/オフ制御について記述することができる。なお、Power には、オン/オフをブール値で表現した値が設定される。
また、例えば、第3の実施形態では、図23に示すANDSF MOのISRP(Inter-System Routing Policy )形式を基に、図24に示すISRP以下のForFlowBasedエントリや、図25に示すForServiceBased エントリのRoutingRule エントリに、RATへのオン/オフ制御に関する項目(Power )を追加する。例えば、ForFlowBasedであれば、図26に示すように、RoutingRule 以下の各RATエントリに、通信インタフェースのオン/オフ制御に関する項目(Power )を追加することもできる。また、同様に、ForServiceであれば、図27のようにPower 項目を追加することもできる。
また、例えば、第4の実施形態では、図20に示すANDSF MOのDiscoveryInformation形式に、時間経過とともに変化する無線基地局やRANの値も追記する。例えば、図28に示すように、各RATエントリに、RANや無線基地局のQoSに関する項目(ここでは、QoS と表記している。)を追加することもできる。また、図29に示すように、QoSに関する項目を追加することもできる。なお、これに加えて、上記のPower の項目を追加してもよい。
また、第2の実施形態および第3の実施形態のいずれか一方または両方と、第4の実施形態とを組み合わせる場合、上記のANDSF MOのDiscoveryInformation形式への追記と、ISRP形式への追記とを組み合わせればよい。
また、第6の実施形態では、例えば、ANDSF MOのISMP形式に記載のPrioritizedAccess 以下に記載されたエントリや、または、ISRP形式に記載のRoutingRule 以下のエントリを使用することで、優先順位を表現することができる。
第6の実施形態では、無線基地局毎に、その無線基地局のアクセス方式に対応した通信インタフェースへの電力供給制御のための項目を含んだポリシ(本例では、ANDSFで記述されたデータ)として、無線基地局データを作成しているということもできる。そして、無線基地局データベース12は、そのような無線基地局データを保持する。
また、接続プロファイルをANDSFの形式に準拠させてもよい。すなわち、無線アクセス方式毎に、その無線アクセス方式に対応する通信インタフェースへの電力供給制御のための条件を含んだポリシ(本例では、ANDSFで記述されたデータ)として、接続プロファイルを作成し、そのような接続プロファイルを接続プロファイルデータベース11に保持させてもよい。
次に、本発明の主要部について説明する。図30は、本発明の無線通信端末の主要部を示すブロック図である。本発明の無線通信端末90は、複数のアクセス方式の少なくとも1つに対応する通信インタフェース95(例えば、通信インタフェース101〜10n)を複数備える。
また、無線通信端末90は、無線基地局データ記憶部91と、接続プロファイル記憶部92と、判定部93と、電力供給制御部94とを備える。
無線基地局データ記憶部91(例えば、無線基地局データベース12)は、複数の通信インタフェースに対応する無線ネットワークに属する無線基地局のネットワーク環境を記述した無線基地局データを記憶する。
接続プロファイル記憶部92(例えば、接続プロファイルデータベース11)は、無線通信端末90が無線ネットワークに接続されるための条件を記述したデータである接続プロファイルを記憶する
判定部93(例えば、接続可否判定部130)は、無線基地局データと接続プロファイルとに基づいて、無線通信端末90の接続先となる無線ネットワークを判定する。
電力供給制御部94(例えば、電源制御部14)は、無線通信端末90の接続先と判定された通信ネットワークに対応する通信インタフェースに電力を供給し、当該無線通信端末の接続先と判定されなかった通信ネットワークに対応する通信インタフェースへの電力供給を遮断する。
そのような構成により、RANが提供するネットワーク環境と、無線通信端末側で定められている条件とを比較して、適切な通信インタフェースを選択することで、無線通信端末の通信インタフェースの動作による消費電力の増加を抑制しつつ、接続可能なRANの選択肢を減らさないようにすることができる。
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下に限定されるわけではない。
(付記1)複数のアクセス方式の少なくとも1つに対応する通信インタフェースを複数備えた無線通信端末であって、前記複数の通信インタフェースに対応する無線ネットワークに属する無線基地局のネットワーク環境を記述した無線基地局データを記憶する無線基地局データ記憶手段と、当該無線通信端末が無線ネットワークに接続されるための条件を記述したデータである接続プロファイルを記憶する接続プロファイル記憶手段と、前記無線基地局データと前記接続プロファイルとに基づいて、当該無線通信端末の接続先となる無線ネットワークを判定する判定手段と、当該無線通信端末の接続先と判定された通信ネットワークに対応する通信インタフェースに電力を供給し、当該無線通信端末の接続先と判定されなかった通信ネットワークに対応する通信インタフェースへの電力供給を遮断する電力供給制御手段とを備えることを特徴とする無線通信端末。
(付記2)無線通信端末の位置を測定し、前記位置を接続プロファイルに記述することにより、無線通信端末の位置に関する条件を更新する位置測定手段を備える付記1に記載の無線通信端末。
(付記3)無線通信端末を動作させるプログラムが必要とするネットワーク環境を表すパラメータの値を、当該無線通信端末の動作状況に応じて接続プロファイルに記述することにより、当該無線通信端末の動作状況に応じて必要とされる条件を規定するパラメータ規定手段を備える付記1または付記2に記載の無線通信端末。
(付記4)無線基地局データ記憶手段は、時間経過に伴って変化するネットワーク環境の項目を記述した無線基地局データを記憶する付記1から付記3のうちのいずれかに記載の無線通信端末。
(付記5)接続プロファイル記憶手段は、無線アクセス方式毎に、当該無線アクセス方式に対応する通信インタフェースへの電力供給制御のための条件を含んだポリシとして作成された接続プロファイルを記憶する付記1から付記4のうちのいずれかに記載の無線通信端末。
(付記6)無線基地局データ記憶手段は、無線基地局毎に、当該無線基地局のアクセス方式に対応した通信インタフェースへの電力供給制御のための項目を含んだポリシとして作成された無線基地局データを記憶する付記1から付記5のうちのいずれかに記載の無線通信端末。
(付記7)複数のアクセス方式の少なくとも1つに対応する通信インタフェースを複数含む無線通信端末と、サーバ装置とを備えた通信システムであって、前記サーバ装置は、前記複数の通信インタフェースに対応する無線ネットワークに属する無線基地局のネットワーク環境を記述した無線基地局データを、前記無線通信端末に配信するデータ配信手段を含み、前記無線通信端末は、前記サーバ装置から受信した前記無線基地局データを記憶する無線基地局データ記憶手段と、当該無線通信端末が無線ネットワークに接続されるための条件を記述したデータである接続プロファイルを記憶する接続プロファイル記憶手段と、前記無線基地局データと前記接続プロファイルとに基づいて、当該無線通信端末の接続先となる無線ネットワークを判定する判定手段と、当該無線通信端末の接続先と判定された通信ネットワークに対応する通信インタフェースに電力を供給し、当該無線通信端末の接続先と判定されなかった通信ネットワークに対応する通信インタフェースへの電力供給を遮断する電力供給制御手段とを含むことを特徴とする通信システム。
(付記8)無線通信端末は、当該無線通信端末の位置を測定し、前記位置を接続プロファイルに記述することにより、無線通信端末の位置に関する条件を更新する位置測定手段を含む付記7に記載の通信システム。
(付記9)無線通信端末は、当該無線通信端末を動作させるプログラムが必要とするネットワーク環境を表すパラメータの値を、当該無線通信端末の動作状況に応じて接続プロファイルに記述することにより、当該無線通信端末の動作状況に応じて必要とされる条件を規定するパラメータ規定手段を含む付記7または付記8に記載の通信システム。
(付記10)データ配信手段は、時間経過に伴って変化するネットワーク環境の項目を記述した無線基地局データを無線通信端末に配信する付記7から付記9のうちのいずれかに記載の通信システム。
(付記11)接続プロファイル記憶手段は、無線アクセス方式毎に、当該無線アクセス方式に対応する通信インタフェースへの電力供給制御のための条件を含んだポリシとして作成された接続プロファイルを記憶する付記7から付記10のうちのいずれかに記載の通信システム。
(付記12)データ配信手段は、無線基地局毎に、当該無線基地局のアクセス方式に対応した通信インタフェースへの電力供給制御のための項目を含んだポリシとして作成された無線基地局データを無線通信端末に配信する付記7から付記11のうちのいずれかに記載の通信システム。