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JP6137095B2 - 車両の側部車体構造 - Google Patents

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JP6137095B2 JP2014190788A JP2014190788A JP6137095B2 JP 6137095 B2 JP6137095 B2 JP 6137095B2 JP 2014190788 A JP2014190788 A JP 2014190788A JP 2014190788 A JP2014190788 A JP 2014190788A JP 6137095 B2 JP6137095 B2 JP 6137095B2
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Description

本発明は、車両の側部車体構造に関し、特にドアヒンジをヒンジピラーレインフォースメントに取り付けるためのヒンジ取付部を備えた車両の側部車体構造に関する。
従来より、車両の車体側部には、前後方向に延びるルーフサイドレールの前端部(フロントヘッダの側端部)と前後方向に延びるサイドシルの前端部とを上下方向に連結するヒンジピラー及びこのヒンジピラーの上端に連なるフロントピラーが設けられている。
ヒンジピラーは乗員乗降口の周縁部の前側部分を構成しているため、フロントドアを乗員乗降口に対して開閉自在に枢支するための上下1対のドアヒンジがヒンジピラーレインフォースメント(以下、ヒンジピラーレインと略す)に取り付けられている。
ヒンジピラーは、前輪に対して前後方向後側に対向するように配設されている。
それ故、車体前方の衝突が発生した際、衝突荷重によって前輪が後退するため、後退した前輪を介して衝撃緩和されていない衝突荷重が車体側に作用することがある。
スモールオーバーラップ衝突(以下、SOL衝突と略す)では、衝突物とフロントサイドフレームとがオーバーラップしていないため、後退した前輪がヒンジピラーに干渉したとき、前輪から入力した衝突荷重によりヒンジピラー等の乗員周りの車室空間が変形する虞があった。特に、設計要件により、車幅増加が必要な場合、ヒンジピラーが通常よりも車幅方向外側に配設されるため、衝突時、前輪がヒンジピラーに干渉する傾向が高くなる。そこで、前輪からの衝突荷重による車室空間の変形を防止する技術が提案されている。
特許文献1の車両の側部車体構造は、前壁面を含むピラーアウタパネルとこのピラーアウタパネルと協働して上下方向に延びる閉断面を構成するピラーインナパネルとを有するヒンジピラーと、閉断面内に配設された傾斜面を含むヒンジピラーレインと、衝突時に前輪を車体後方外側にガイドするガイド手段とを備え、ガイド手段が、傾斜面と側壁面とがなす角度を前壁面と側壁面とがなす角度よりも小さく設定するように構成されている。これにより、SOL衝突時、前輪を車幅方向内側から外側に向かってガイドすることができ、衝突荷重を車幅方向外側に逃すことができる。
特開2013−141928号公報
特許文献1の車両の側部車体構造は、前輪をガイド手段に沿って車幅方向外側にスライドさせるため、前輪との干渉に起因したヒンジピラーの変形量を抑制することができる。
しかし、特許文献1の車両の側部車体構造では、ヒンジピラーレインと一体的に形成されたガイド手段の傾斜面に前輪を後退させる案内機能を持たせるため、傾斜面を含むヒンジピラーレイン自体に衝突荷重に耐え得る高い強度が要求され、ヒンジピラーレインの総重量が増加する虞がある。
本発明の目的は、軽量化を図りつつ前輪との干渉に起因したヒンジピラーの変形量を抑制することができる車両の側部車体構造等を提供することである。
請求項1の車両の側部車体構造は、アウタパネルとこのアウタパネルと協働して上下方向に延びる閉断面を構成するインナパネルとを有するヒンジピラーと、前記閉断面内に配設されたヒンジピラーレインフォースメントと、前記ヒンジピラーに上下1対のドアヒンジを介して開閉自在に取り付けられるフロントドアとを備えた車両の側部車体構造において、前記ヒンジピラーレインフォースメントを車幅方向外側に膨出して形成された下側ヒンジ取付部であって、前輪に対して前後方向に対向するように配設された下側ヒンジ取付部を備え、前記ヒンジピラーにおける下側ヒンジ取付部の近傍部位が下側ヒンジ取付部の上側部位よりも低強度に構成され、前記ヒンジピラーレインフォースメントの側壁部の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端側近傍位置に設けられ且つヒンジピラーレインフォースメントの前壁部の車幅方向内側部分の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端部よりも上方位置に設けられたことを特徴としている。
この車両の側部車体構造では、ヒンジピラーにおける下側ヒンジ取付部の近傍部位が下側ヒンジ取付部の上側部位よりも低強度に構成されたため、下側ヒンジ取付部の近傍部位を含めてヒンジピラーレインフォースメントを衝突荷重に耐え得る高い強度に構成する必要がなく、ヒンジピラーレインフォースメントの軽量化を図ることができる。
また、下側ヒンジ取付部が前輪からの衝突荷重により変形可能であるため、前輪からの衝突荷重入力時、他の部位の変形を抑制しつつ、下側ヒンジ取付部を変形させて後退する前輪を車幅方向外側に案内することができる。
しかも、簡単な構成で下側ヒンジ取付部の変形を促進でき、後退する前輪を確実に車幅方向外側へ案内することができる。
請求項2の車両の側部車体構造は、アウタパネルとこのアウタパネルと協働して上下方向に延びる閉断面を構成するインナパネルとを有するヒンジピラーと、前記閉断面内に配設されたヒンジピラーレインフォースメントと、前記ヒンジピラーに上下1対のドアヒンジを介して開閉自在に取り付けられるフロントドアとを備えた車両の側部車体構造において、前記ヒンジピラーレインフォースメントを車幅方向外側に膨出して形成された下側ヒンジ取付部であって、前輪に対して前後方向に対向するように配設された下側ヒンジ取付部を備え、前記ヒンジピラーにおける下側ヒンジ取付部の近傍部位が下側ヒンジ取付部の上側部位よりも低強度に構成され、前記下側ヒンジ取付部の前壁部が、前記前輪の上半部に前後方向に対向するように配設され且つ側面視にて下側程後方に移行するように傾斜状に形成されたことを特徴としている。
この車両の側部車体構造では、下側ヒンジ取付部の近傍部位を含めてヒンジピラーレインフォースメントを衝突荷重に耐え得る高い強度に構成する必要がなく、ヒンジピラーレインフォースメントの軽量化を図ることができ、前輪からの衝突荷重入力時、他の部位の変形を抑制しつつ、下側ヒンジ取付部を変形させて後退する前輪を車幅方向外側に案内することができる。また、前壁部が前輪の傾斜部分と大きな面積の当接部を形成して荷重伝達効率を増加できるため、簡単な構成で後退する前輪の車幅方向外側への案内を促進することができる。
請求項の発明は、請求項の発明において、前記下側ヒンジ取付部の近傍部位が、前記前輪から衝突荷重入力時、前記衝突荷重によって変形させられることを特徴としている。
これにより、簡単な構成で後退する前輪を容易に車幅方向外側へ案内することができる。
請求項の発明は、請求項の発明において、前記ヒンジピラーレインフォースメントの側壁部の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端側近傍位置に設けられ且つヒンジピラーレインフォースメントの前壁部の車幅方向内側部分の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端部よりも上方位置に設けられたことを特徴としている。
この構成により、簡単な構成で下側ヒンジ取付部の変形を促進でき、後退する前輪を確実に車幅方向外側へ案内することができる。
本発明の車両の側部車体構造によれば、軽量化を図りつつ前輪との干渉に起因したヒンジピラーの変形量を抑制することができる。
実施例1に係る車両の左側から視た車体前部の側面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 アウタパネルを省略した図1の要部斜視図である。 図4のヒンジピラーレインを省略した図である。 図5の下側ヒンジガセットを省略した図である。 図6のヒンジピラーレインロアを省略した図である。 上側ヒンジガセットとヒンジピラーレインと下側ヒンジガセットの正面図である。 ヒンジピラーレインの説明図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は平面図である。 下側ヒンジ取付部の側面図である。 下側ヒンジ取付部が潰れ変形したときの横断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。また、図中、矢印F方向を、前方とし、矢印L方向を、左方として説明する。
以下、本発明の実施例1について図1〜図11に基づいて説明する。
図1に示すように、車両Vは、車体上端部の左右両端位置を前後方向に夫々延びる左右1対の閉断面状のルーフサイドレール1と、これら1対のルーフサイドレール1の前端部を車幅方向に連結する閉断面状のフロントヘッダ2と、車体下端部の左右両端位置を前後方向に夫々延びる左右1対の閉断面状のサイドシル3と、左右1対のフロントドア(図示略)によって夫々開閉可能な左右1対のフロントドア用開口部4と、左右1対のリヤドア(図示略)によって夫々開閉可能な左右1対のリヤドア用開口部5等を備えている。
尚、左右1対の各構成部材は、何れも左右対称の構造であるため、以下、左側の構成部材について主に説明する。
フロントドア用開口部4は、前縁を形成するフロントピラー6及びヒンジピラー10と、後縁を形成するセンタピラー7と、フロントピラー6の上端部とセンタピラー10の上端部を連結するルーフサイドレール1の前端側部分と、ヒンジピラー10の下端部とセンタピラー7の下端部を連結するサイドシル3の前端側部分とにより区画されている。
フロントピラー6は、フロントピラーアウタとフロントピラーインナとによって下側程前方に移行するように傾斜状に延びる閉断面を構成している。
次に、ヒンジピラー10について詳細に説明する。
ヒンジピラー10は、下端側部分が前輪9に対して前後方向に対向するように配設され、上下1対のドアヒンジ8a,8bを介してフロントドアを開閉自在に支持している。
ヒンジピラー10の上端部をフロントピラー6の下端部に接合して両ピラー6,10の閉断面を上下方向に連続させている。これにより、フロントピラー6の閉断面とルーフサイドレール1及びフロントヘッダ2の閉断面が連続され、ヒンジピラー10の閉断面Cとサイドシル3の閉断面が連続されているため、フロントドア用開口部4の周囲に環状の閉断面構造が形成されている。
図1〜図7に示すように、フロントピラー6の下端部から略鉛直下方に延びるヒンジピラー10は、アウタパネル10aと、このアウタパネル10aと協働して上下方向に延びる閉断面Cを構成するインナパネル10bと、ヒンジピラー10の下端側部分を除く部分の剛性を補強するためのヒンジピラーレインフォースメント(以下、ヒンジピラーレインと略す)11と、ヒンジピラー10の下端側部分の剛性を補強するためのヒンジピラーレインフォースメントロア(以下、ヒンジピラーレインロアと略す)12と、上側ドアヒンジ8aの支持剛性を補強するための上側ヒンジガセット13と、下側ドアヒンジ8bの支持剛性を補強するための下側ヒンジガセット14等を備えている。
図2に示すように、アウタパネル10aは、車体外壁を形成するサイドパネルアウタの前端側部分の一部で構成されている。このアウタパネル10aは、前輪9が直進状態のとき、左端に形成された側壁部が前輪9の車幅方向中心よりも左側且つ前輪9の左端部よりも右側に位置するように左側へ突出した断面略ハット状に形成されている。
アウタパネル10aには、両ドアヒンジ8a,8bに夫々対応するように側壁部の上端側部分と下端側部分とに前後1対の上側ボルト穴と前後1対の下側ボルト穴(何れも図示略)が夫々設けられている。これら上側ボルト穴と下側ボルト穴は、正面視にて同じ車幅方向位置(同一鉛直面上)に形成されている。
図2に示すように、インナパネル10bは、前輪9が直進状態のとき、右端に形成された側壁部が前輪9の右端部よりも左側に位置するように右側へ僅かに突出した断面略ハット状に形成されている。インナパネル10bの前端部と後端部とに形成された前後両フランジ部が、アウタパネル10aの前端部と後端部とに形成された前後両フランジ部に夫々接合されて上下に延びる閉断面Cが形成される。
次に、ヒンジピラーレイン11について説明する。
ヒンジピラーレイン11は、所定引張強度以上のハイテン鋼を左方に突出させた断面略ハット状にプレス成形することにより形成されている。
図2〜図4,図8〜図10に示すように、ヒンジピラーレイン11は、アウタパネル10aの上側ボルト穴の上方位置から下側ボルト穴の下方位置に亙って上下方向に延びる側壁部11aと、この側壁部11aの前端部から右方に延びる前壁部11bと、側壁部11aの後端部から右方に延びる後壁部11cと、前壁部11bの右端から前方に延びる前側フランジ部11dと、後壁部11cの右端から後方に延びる後側フランジ部11eとを備えている。
側壁部11aには、1対のボルト(図示略)を用いて上側ドアヒンジ8aを装着するための上側ヒンジ取付部15と、1対のボルト(図示略)を用いて下側ドアヒンジ8bを装着するための下側ヒンジ取付部16とが一体的に形成されている。
上側ヒンジ取付部15は、側壁部11aを左方に膨出するように形成され、アウタパネル10aの上側ボルト穴に対応して前後に隣接した1対のボルト穴15sが設けられている。下側ヒンジ取付部16は、側壁部11aを左方に膨出するように形成され、その下端部が側壁部11aの下端部近傍位置に形成されている。
ここで、下側ヒンジ取付部16について説明する。
図10に示すように、下側ヒンジ取付部16は、ヒンジ取付壁部16aと、前後1対の縦壁部16b(前壁部),16cと、上下1対の横壁部16d,16eを備えている。
ヒンジ取付壁部16aは、アウタパネル10aに面当接するように構成され、アウタパネル10aの下側ボルト穴に対応するように前後に隣接した1対のボルト穴16sが形成されている。
前側縦壁部16bは、前輪9の上半部に前後方向後側に対向するように配設されている。
この前側縦壁部16bは、ヒンジ取付壁部16aの前端部から右側前方に延び、側面視にて下側程後方に移行するように傾斜状に形成され且つ平面視にて左側程後方に移行するように傾斜状に形成されている。これにより、車輪9におけるスポーク9aの上半部の周壁部が左側程後方に移行するように傾斜状に形成されているため、衝突荷重によって後退した前輪9のスポーク9aの周壁部が前側縦壁部16bに衝突する際、スポーク9aと前壁部15aとがアウタパネル10aを介して大きな当接面積を確保することができる。
尚、アウタパネル10aは極めて薄く、強度面で殆ど影響を生じないため、以下、説明の便宜上、アウタパネル10aを介した衝突、当接、変形を、単に衝突、当接、変形として説明する。
後側縦壁部16cは、ヒンジ取付壁部16aの後端部から右側後方に延び、平面視にて左側程前方に移行するように傾斜状に形成されている。
上側横壁部16dは、ヒンジ取付壁部16aの上端部から右側上方に延びるように傾斜状に形成され、下側横壁部16eは、ヒンジ取付壁部16aの下端部から右側下方に延びるように傾斜状に形成されている。
前壁部11bは、左側部分の下端部が下側ヒンジ取付部16の下端部の下側近傍位置に設けられ、右側部分の下端部が下側ヒンジ取付部16の下端部よりも上方位置、具体的には1対のボルト穴16sと略同じ高さ位置に設けられている。これにより、前方から作用する衝突荷重に対するヒンジピラーレイン11の下端側部分の強度を低下させている。
これにより、車体前方からの衝突荷重に対して、簡単な構成で下側ヒンジ取付部16の変形を促進することができる。
前側フランジ部11d及び後側フランジ部11eは、アウタパネル10aとインナパネル10bの各々の前後両フランジ部に溶接にて挟着されている。
次に、ヒンジピラーレインロア12について説明する。
ヒンジピラーレインロア12は、所定引張強度以上のハイテン鋼を左方に突出させた断面略ハット状にプレス成形することにより形成されている。
図2,図3,図6に示すように、ヒンジピラーレインロア12は、下側ヒンジ取付部16の上端近傍位置からサイドシル3の下端近傍位置に亙って上下方向に延びる側壁部12aと、この側壁部12aの前端部から右方に延びる前壁部12bと、側壁部12aの後端部から右方に延びる後壁部12cと、前壁部12bの右端から前方に延びる前側フランジ部12dと、後壁部12cの右端から後方に延びる後側フランジ部12eとを備えている。
側壁部12aは、側壁部11aから所定距離右方へ離隔するように配設されている。側壁部12aの下端側部分は、サイドシルレインフォースメント3aに接合されている。これにより、ヒンジピラーレイン11の下端側部分の強度を低下させている。
前壁部12b及び後壁部12cの上端側部分は、前壁部11b及び後壁部11cの下端側部分に夫々溶接にて接合されている。
前側フランジ部12d及び後側フランジ部12eは、アウタパネル10aとインナパネル10bの各々の前後両フランジ部に溶接にて挟着されている。
次に、上側ヒンジガセット13及び下側ヒンジガセット14について説明する。
上側ヒンジガセット13及び下側ヒンジガセット14は、ハイテン鋼をプレス成形することにより形成されている。
図5〜図8に示すように、上側ヒンジガセット13は、上側ヒンジ取付部15に対応するように配設され、ヒンジピラーレイン11とフロントピラーレイン、ダッシュクロスメンバ(何れも図示略)及びエプロンレイン等に連結されている。
下側ヒンジガセット14は、断面略コ字状に形成され、下側ヒンジ取付部16に対応するようにヒンジピラーレイン11とヒンジピラーレインロア12との間に配設されている。
図2〜図5,図8に示すように、下側ヒンジガセット14は、側壁部14aと、この側壁部14aの前端から右方に延びる前壁部14bと、側壁部14aの後端から右方に延びる後壁部14cを備えている。
側壁部14aは、上端側部分が下側ヒンジ取付部16よりも上側の側壁部11aの裏面に接合され、下端側部分がサイドシルレインフォースメント3aの左側側壁部に接合されている。これにより、側壁部14aは、上側程左方に移行するように形成されている。
前壁部14bは前壁部11bの下端部と前壁部12bの上端側部分に挟着され、後壁部14cは後壁部11cの下端部と後壁部12cの上端側部分に挟着されている。
次に、上記車両Vの側部車体構造の作用・効果について説明する。
例えば、スモールオーバーラップ(SOL)衝突における初期段階では、前輪9に衝突荷重が作用してロアアーム(図示略)が後側に湾曲するため、前輪9が後退を始め、スポーク9aの上半部の周壁部が前側縦壁部16bに衝突する。
スポーク9aの周壁部は、左側程後方に移行するように傾斜状に形成されているため、平面視にて前側縦壁部16bの傾斜面に略沿うように当接する。
スポーク9aの後退に伴って下側ヒンジ取付部16が右側に潰れ変形するため、スポーク9aと前側縦壁部16bとの当接部が除々に左側後方へ移行し、スポーク9aが後方移行に伴って左方移行しながら当接部を中心にして前輪9が反時計回りに回動を開始する。
図11に示すように、衝突初期段階では、下側ヒンジ取付部16の近傍部位が下側ヒンジ取付部16の上側部位よりも低強度であるため、他の部位に比べて、下側ヒンジ取付部16が優先的に変形して衝突荷重の吸収が行われる。
衝突中期段階では、リム9bとヒンジピラーレイン11とが衝突してヒンジピラーレイン11が変形を開始する。
前輪9とヒンジピラーレイン11との当接部が除々に後方へ移行し、この後方移行した当接部を中心にして前輪9が更に反時計回りに回動する。
衝突後期段階では、前輪9が車体側から離脱し、前輪9とヒンジピラーレイン11との当接状態が解除される。これにより、前輪9との干渉に起因したヒンジピラー10の変形量を抑制し、前輪9を介した衝突荷重による車室空間の変形を防止している。
この車両Vの側部車体構造によれば、ヒンジピラー10における下側ヒンジ取付部16の近傍部位が下側ヒンジ取付部16の上側部位よりも低強度に構成されたため、下側ヒンジ取付部16の近傍部位を含めてヒンジピラーレイン11を衝突荷重に耐え得る高い強度に構成する必要がなく、ヒンジピラーレイン11の軽量化を図ることができる。
また、下側ヒンジ取付部16が前輪9からの衝突荷重により変形可能であるため、前輪9からの衝突荷重入力時、他の部位の変形を抑制しつつ、下側ヒンジ取付部16を変形させて後退する前輪9を車幅方向外側に案内することができる。
下側ヒンジ取付部16の近傍部位が、前輪9から衝突荷重入力時、衝突荷重によって変形させられるため、簡単な構成で後退する前輪9を容易に車幅方向外側へ案内することができる。
ヒンジピラーレイン11の側壁部11aの下端部が下側ヒンジ取付部16の下端側近傍位置に設けられ且つヒンジピラーレイン11の前壁部11bの右側部分の下端部が下側ヒンジ取付部16の下端部よりも上方位置に設けられたため、簡単な構成で下側ヒンジ取付部16の変形を促進でき、後退する前輪9を確実に車幅方向外側へ案内することができる。
下側ヒンジ取付部16の前側縦壁部16bが、前輪9の上半部に前後方向に対向するように配設され且つ側面視にて下側程後方に移行するように傾斜状に形成されたため、前側縦壁部16bが前輪9の傾斜部分と大きな面積の当接部を形成して荷重伝達効率を増加でき、簡単な構成で後退する前輪9の車幅方向外側への案内を促進することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、ヒンジピラーレインとヒンジピラーレインロアが別体に形成された例を説明したが、ヒンジピラーレインとヒンジピラーレインロアとを単一のヒンジピラーレインとして一体形成しても良い。
この場合、下側ヒンジ取付部を含むヒンジピラーレインをプレス加工した後、下側ヒンジ取付部及びその近傍部分に所定の熱処理を施すことで、下側ヒンジ取付部及びその近傍部分の組成を変更し、下側ヒンジ取付部及びその近傍部分の強度をその他の部分の強度よりも低下させる。
2〕前記実施形態においては、ヒンジピラーレインがハイテン鋼で形成された例を説明したが、少なくとも、下側ヒンジ取付部の近傍部位が下側ヒンジ取付部の上側部位よりも低強度に構成されれば良く、ヒンジピラーレインの素材は任意に選択可能である。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
V 車両
8a 上側ドアヒンジ
8b 下側ドアヒンジ
9 前輪
10 ヒンジピラー
10a アウタパネル
10b インナパネル
11 ヒンジピラーレイン
11a 側壁部
11b 前壁部
16 下側ヒンジ取付部
16b 前側縦壁部
C 閉断面

Claims (4)

  1. アウタパネルとこのアウタパネルと協働して上下方向に延びる閉断面を構成するインナパネルとを有するヒンジピラーと、前記閉断面内に配設されたヒンジピラーレインフォースメントと、前記ヒンジピラーに上下1対のドアヒンジを介して開閉自在に取り付けられるフロントドアとを備えた車両の側部車体構造において、
    前記ヒンジピラーレインフォースメントを車幅方向外側に膨出して形成された下側ヒンジ取付部であって、前輪に対して前後方向に対向するように配設された下側ヒンジ取付部を備え、
    前記ヒンジピラーにおける下側ヒンジ取付部の近傍部位が下側ヒンジ取付部の上側部位よりも低強度に構成され
    前記ヒンジピラーレインフォースメントの側壁部の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端側近傍位置に設けられ且つヒンジピラーレインフォースメントの前壁部の車幅方向内側部分の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端部よりも上方位置に設けられたことを特徴とする車両の側部車体構造。
  2. アウタパネルとこのアウタパネルと協働して上下方向に延びる閉断面を構成するインナパネルとを有するヒンジピラーと、前記閉断面内に配設されたヒンジピラーレインフォースメントと、前記ヒンジピラーに上下1対のドアヒンジを介して開閉自在に取り付けられるフロントドアとを備えた車両の側部車体構造において、
    前記ヒンジピラーレインフォースメントを車幅方向外側に膨出して形成された下側ヒンジ取付部であって、前輪に対して前後方向に対向するように配設された下側ヒンジ取付部を備え、
    前記ヒンジピラーにおける下側ヒンジ取付部の近傍部位が下側ヒンジ取付部の上側部位よりも低強度に構成され、
    前記下側ヒンジ取付部の前壁部が、前記前輪の上半部に前後方向に対向するように配設され且つ側面視にて下側程後方に移行するように傾斜状に形成されたことを特徴とする車両の側部車体構造。
  3. 前記下側ヒンジ取付部の近傍部位が、前記前輪から衝突荷重入力時、前記衝突荷重によって変形させられることを特徴とする請求項に記載の車両の側部車体構造。
  4. 前記ヒンジピラーレインフォースメントの側壁部の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端側近傍位置に設けられ且つヒンジピラーレインフォースメントの前壁部の車幅方向内側部分の下端部が前記下側ヒンジ取付部の下端部よりも上方位置に設けられたことを特徴とする請求項に記載の車両の側部車体構造。
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