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JP6120152B2 - インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置 Download PDF

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JP6120152B2 JP2013073973A JP2013073973A JP6120152B2 JP 6120152 B2 JP6120152 B2 JP 6120152B2 JP 2013073973 A JP2013073973 A JP 2013073973A JP 2013073973 A JP2013073973 A JP 2013073973A JP 6120152 B2 JP6120152 B2 JP 6120152B2
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Description

本発明は、インクジェット記録用水性インク、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置に関する。
従来から、顔料を用いたインクジェット記録用水性インク(以下、「水性顔料インク」と言うことがある。)に特有の濃淡ムラを抑制するために、グリコールエーテルが用いられてきた(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2012−167227号公報 特開2012−213950号公報
近年、記録速度の高速化が求められており、その方法として、低解像度で記録動作を実行することが検討されている。しかし、単にグリコールエーテルを用いるのみで低解像度で記録動作を実行したときの水性顔料インクの濃淡ムラを充分に抑制することは、困難であった。
そこで、本発明は、濃淡ムラによる印字品質の低下を抑制可能な顔料を用いたインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用水性インクは、
顔料及び水を含むインクジェット記録用水性インクであって、
さらに、前記水性インクが、トリプロピレングリコール及び炭素原子数が8〜10の1,2−ジオールを含み、
前記水性インク全量に対するトリプロピレングリコールの配合量が、28重量%以下であり、
前記水性インクにおけるトリプロピレングリコール(X)と前記1,2−ジオール(Y)との重量比(X:Y)が、X:Y=50:1〜2.4:1であることを特徴とする。
本発明によれば、水性顔料インクにおいて、トリプロピレングリコールの配合量を28重量%以下とし、かつ、トリプロピレングリコール及び炭素原子数が8〜10の1,2−ジオールを前記特定の比率で併用したことで、濃淡ムラによる印字品質の低下を抑制可能である。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す概略斜視図である。
本発明者らは、種々検討を行った結果、水性顔料インクにトリプロピレングリコール(以下、「TPG」と言う。)を添加することで、濃淡ムラによる印字品質の低下を抑制可能であることを見出した。しかしながら、印字品質低下の抑制をTPGのみで行おうとすると、必要量のTPGの添加により、水性顔料インクの吐出安定性が低下する。そこで、炭素原子数が8〜10の1,2−ジオールを前記特定の比率でTPGと併用することで、溶解性、印字品質低下の抑制及び吐出安定性の全てを満足する水性顔料インクを得るに至った。なお、後述の実施例及び比較例に示すように、印字品質低下の抑制は、TPGと炭素原子数が8〜10の1,2−ジオールとを併用した場合に特有の効果であり、TPGと類似するジプロピレングリコール(以下、「DPG」と言う。)又はトリエチレングリコール(以下、「TEG」と言う。)と炭素原子数が8〜10の1,2−ジオールとの併用、及びTPGと炭素原子数が8〜10の1,2−ジオールに類似する1,2−ブタンジオールとの併用では、印字品質の低下を抑制できない。
本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、「水性インク」又は「インク」と言うことがある。)について説明する。本発明の水性インクは、顔料及び水を含む。
本発明において、前記顔料は、限定されず、例えば、カーボンブラック、無機顔料及び有機顔料等があげられる。前記カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等があげられる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系及びカーボンブラック系等をあげることができる。前記有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料等があげられる。また、その他の顔料であっても水相に分散可能なものであれば使用できる。これらの顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6及び7;C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、15、16、17、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、114、128、129、138、150、151、154、180、185及び194;C.I.ピグメントオレンジ31及び43;C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、12、15、16、48、48:1、53:1、57、57:1、112、122、123、139、144、146、149、166、168、175、176、177、178、184、185、190、202、221、222、224及び238;C.I.ピグメントバイオレット196;C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、22及び60;C.I.ピグメントグリーン7及び36等があげられる。本発明の水性インクは、前記顔料を分散剤で水に分散させたものであってもよい。前記分散剤としては、例えば、一般的な高分子分散剤等を用いてよい。また、本発明の水性インクにおいて、前記顔料は、高分子によりカプセル化されたものであってもよい。
前記顔料は、自己分散型顔料であってもよい。前記自己分散型顔料は、例えば、顔料粒子にカルボニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の親水性官能基及びそれらの塩の少なくとも一種が、直接又は他の基を介して化学結合により導入されていることによって、分散剤を使用しなくても水に分散可能なものである。前記自己分散型顔料は、例えば、特開平8−3498号公報、特表2000−513396号公報、特表2008−524400号公報、特表2009−515007号公報等に記載の方法によって顔料が処理されたものを用いることができる。前記自己分散型顔料の原料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。また、前記処理を行うのに適した顔料としては、例えば、三菱化学(株)製の「MA8」及び「MA100」等のカーボンブラックがあげられる。前記自己分散型顔料は、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「CAB−O−JET(登録商標)200」、「CAB−O−JET(登録商標)250C」、「CAB−O−JET(登録商標)260M」、「CAB−O−JET(登録商標)270Y」、「CAB−O−JET(登録商標)300」、「CAB−O−JET(登録商標)400」、「CAB−O−JET(登録商標)450C」、「CAB−O−JET(登録商標)465M」及び「CAB−O−JET(登録商標)470Y」;オリエント化学工業(株)製の「BONJET(登録商標)BLACK CW−2」及び「BONJET(登録商標)BLACK CW−3」;東洋インキ製造(株)製の「LIOJET(登録商標)WD BLACK 002C」;等があげられる。
前記水性インク全量に対する前記顔料の固形分配合量(顔料固形分量)は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度又は色彩等により、適宜決定できる。前記顔料固形分量は、例えば、0.1重量%〜20重量%であり、好ましくは、1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、2重量%〜10重量%である。
前記水性インクは、顔料以外の着色剤を含んでもよい。前記顔料以外の着色剤としては、例えば、染料等があげられる。
前記水は、イオン交換水又は純水であることが好ましい。前記水性インク全量に対する前記水の配合量(水割合)は、例えば、10重量%〜90重量%であり、好ましくは、40重量%〜80重量%である。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前述のとおり、前記水性インクは、さらに、TPG及び炭素原子数が8〜10の1,2−ジオールを含む。前記水性インク全量に対するTPGの配合量(TPG割合)は、28重量%以下である。また、前記水性インクにおけるTPG(X)と前記1,2−ジオール(Y)との重量比(X:Y)は、X:Y=50:1〜2.4:1である。前述のとおり、TPGの配合量を28重量%以下とし、かつ、TPG及び前記1,2−ジオールを前記特定の比率で併用したことで、溶解性、印字品質低下の抑制及び吐出安定性の全てを満足する水性インクを得ることが可能である。
前記TPG割合の下限値は、前記重量比(X:Y)を満足するものであれば特に限定されないが、例えば、10重量%である。前記TPG割合は、12重量%〜20重量%であることが好ましい。前記TPG割合を12重量%〜20重量%とすることで、溶解性、印字品質低下の抑制及び吐出安定性に特に優れた水性インクを得ることができる。
前記1,2−ジオールは、直鎖であってもよいし、分岐鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましく、1,2−オクタンジオール及び1,2−デカンジオールの少なくとも一方であることが特に好ましい。前記1,2−ジオールを直鎖、特に1,2−オクタンジオール及び1,2−デカンジオールの少なくとも一方とすることで、印字品質低下の抑制効果をさらに高めることができる。前記1,2−ジオールが1,2−デカンジオールである場合には、前記重量比(X:Y)は、X:Y=50:1〜5:1であることが好ましい。
前記水性インク全量に対する前記1,2−ジオールの配合量は、前記重量比(X:Y)を満足するものであれば特に限定されないが、例えば、0.3重量%〜5重量%であり、好ましくは、0.4重量%〜5重量%である。
前記水性インクは、さらに、TPG及び前記1,2−ジオール以外の水溶性有機溶剤を含んでもよい。前記水溶性有機溶剤としては、例えば、インクジェットヘッドのノズル先端部における水性インクの乾燥を防止する湿潤剤及び記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤があげられる。
前記湿潤剤は、特に限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール等のポリエーテル;アルキレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中で、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。
前記水性インク全量に対する前記湿潤剤の配合量は、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、5重量%〜80重量%であり、より好ましくは、5重量%〜50重量%である。
前記浸透剤は、例えば、グリコールエーテルがあげられる。水性顔料インクに前記グリコールエーテルを多量に用いると、インクジェット記録装置内のゴム部材等に由来する化合物が水性顔料インク中に溶出することがあり、また、前記グリコールエーテルの揮発の問題もあることから、その配合量は、これらの問題が生じない範囲とすることが好ましい。前記グリコールエーテルは、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル及びトリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記水性インク全量に対する前記浸透剤の配合量は、0重量%〜2重量%であることが好ましい。
前記水性インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
前記水性インクは、例えば、顔料、水、TPG及び前記オクタンジオールと、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
つぎに、本発明のインクカートリッジについて説明する。本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、本発明のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とする。前記インクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
つぎに、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に水性インクをインクジェット方式により吐出して記録するインクジェット記録方法であって、前記水性インクとして、本発明のインクジェット記録用水性インクを用いることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、例えば、本発明のインクジェット記録装置を用いて実施可能である。前記記録は、印字、印画、印刷等を含む。
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インク吐出手段(インクジェットヘッド)3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成要素として含む。
4つのインクカートリッジ2は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色の水性インクを、それぞれ1色ずつ含む。例えば、前記水性イエローインク、前記水性マゼンタインク及び前記水性シアンインクが、本発明のインクジェット記録用水性インクである。前記水性ブラックインクは、一般的な水性ブラックインクを用いてよい。ヘッドユニット4に設置されたインクジェットヘッド3は、記録媒体(例えば、記録用紙)Pに記録を行う。キャリッジ5には、4つのインクカートリッジ2及びヘッドユニット4が搭載される。駆動ユニット6は、キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。駆動ユニット6としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。プラテンローラ7は、キャリッジ5の往復方向に延び、インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
パージ装置8は、インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。パージ装置8としては、例えば、従来公知のものを使用できる(例えば、特開2008−246821号公報参照)。
パージ装置8のプラテンローラ7側には、パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。ワイパ部材20は、へら状に形成されており、キャリッジ5の移動に伴って、インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図1において、キャップ18は、水性インクの乾燥を防止するため、記録が終了するとリセット位置に戻されるインクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
本例のインクジェット記録装置1においては、4つのインクカートリッジ2は、ヘッドユニット4と共に、1つのキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置において、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、ヘッドユニット4とは別のキャリッジに搭載されていてもよい。また、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジは、キャリッジ5には搭載されず、インクジェット記録装置内に配置、固定されていてもよい。これらの態様においては、例えば、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジと、キャリッジ5に搭載されたヘッドユニット4とが、チューブ等により連結され、4つのインクカートリッジ2の各カートリッジからヘッドユニット4に前記水性インクが供給される。
このインクジェット記録装置1を用いたインクジェット記録は、例えば、つぎのようにして実施される。まず、記録用紙Pが、インクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。記録用紙Pは、インクジェットヘッド3と、プラテンローラ7との間に導入される。導入された記録用紙Pに、インクジェットヘッド3から吐出される水性インクにより所定の記録がされる。本発明の水性インクは、インクジェットヘッド3からの安定した吐出が可能である。記録後の記録用紙Pは、インクジェット記録装置1から排紙される。本発明の水性インクによれば、印字品質の低下が抑制された記録物を得ることができる。図1においては、記録用紙Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
図1に示す装置では、シリアル型インクジェットヘッドを採用するが、本発明は、これに限定されない。前記インクジェット記録装置は、ライン型インクジェットヘッドを採用する装置であってもよい。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例及び比較例により限定及び制限されない。
[実施例1〜21及び比較例1〜19]
インク組成(表1又は表2)における、自己分散型顔料を除く成分を、均一に混合しインク溶媒を得た。つぎに、水に分散させた自己分散型顔料に前記インク溶媒を加え、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径3.00μm)でろ過することで、実施例1〜21及び比較例1〜19のインクジェット記録用水性インクを得た。
実施例及び比較例の水性インクについて、(a)インク観察評価、(b)印字品質評価、(c)吐出安定性評価及び(d)総合評価を、下記方法により実施した。
(a)インク観察評価
実施例及び比較例の水性インクを調製後、分離していないかを目視にて観察し、下記評価基準に従って評価した。
インク観察評価 評価基準
A:分離していなかった。
C:分離していた。
(b)印字品質評価
ブラザー工業(株)製のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機DCP−J525Nを用いて、普通紙(Ricoh社製のMy Paper)上に、実施例及び比較例の水性インクを用いて解像度600dpi×300dpiで画像を記録し、評価サンプルを作成した。前記評価サンプルのベタ部を目視にて観察し、画像の濃度ムラを、下記評価基準に従って評価した。
印字品質評価 評価基準
A:濃度ムラが無かった。
B:僅かに濃度ムラがあったが、実用上問題ないレベルであった。
C:濃度ムラがあった。
(c)吐出安定性評価
前記インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機DCP−J525Nにおいて、温度40℃、相対湿度20%の環境下で、インクカートリッジ交換後にパージ(ポンプによるインクの吸引)を行い、キャップをしない状態で7秒間放置した後、実施例及び比較例の水性インクの吐出により、前記普通紙上に1ドットの縦罫線を10本記録し、前記放置なしの連続記録で形成した縦罫線(リファレンス)との比較により、水性インクをアンキャップ状態のインクジェットヘッドに放置したときの吐出安定性を、下記評価基準に従って評価した。
吐出安定性評価 評価基準
A:1〜5本目の縦罫線でドットの記録遅れ及び不吐出がなく、リファレンスと同等であった。
B:6〜10本目の縦罫線でドットの記録遅れ及び不吐出がなく、リファレンスと同等であった。
C:10本目の縦罫線でドットの記録遅れ及び不吐出があり、リファレンスより悪かった。
(d)総合評価
各水性インクについて、前記(a)〜(c)の結果から、下記評価基準に従って総合評価を行った。
総合評価 評価基準
G :(a)〜(c)の評価結果が全てA又はBであった。
NG:(a)〜(c)の評価結果のいずれかがCであった。
実施例の水性インクのインク組成及び評価結果を、表1に示す。また、比較例の水性インクのインク組成及び評価結果を、表2に示す。
Figure 0006120152
Figure 0006120152
表1に示すとおり、実施例1〜21では、インク観察評価、印字品質評価及び吐出安定性評価の結果の全てが良好であった。特に、TPGの配合量を12重量%〜20重量%とした実施例1〜3、6〜13及び16〜21では、インク観察評価、印字品質評価及び吐出安定性評価の結果の全てが極めて良好であった。
一方、表2に示すとおり、炭素原子数8〜10の1,2−ジオールを用いなかった比較例1、11及び18、TPGに代えてDPG、TEG又はポリエチレングリコール200を用いた比較例4、6、7及び15、炭素原子数8〜10の1,2−ジオールに代えて1,2−ブタンジオールを用いた比較例10及び17では、印字品質評価の結果が悪かった。また、TPGの配合量を32.0重量%とした比較例2、8、12、14及び19では、吐出安定性評価の結果が悪かった。さらに、前記重量比(X:Y)を2:1とした比較例3及び13、TPGに代えてポリプロピレングリコールを用いた比較例5、炭素原子数8〜10の1,2−ジオールに代えて1,2−テトラデカンジオールを用いた比較例9及び16では、インク観察評価の結果が悪かった。
以上のように、本発明の水性インクは、濃淡ムラによる印字品質の低下を抑制可能なものである。本発明の水性インクの用途は、特に限定されず、各種のインクジェット記録に広く適用可能である。
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ
3 インク吐出手段(インクジェットヘッド)
4 ヘッドユニット
5 キャリッジ
6 駆動ユニット
7 プラテンローラ
8 パージ装置

Claims (4)

  1. 顔料及び水を含むインクジェット記録用水性インクであって、
    さらに、前記水性インクが、トリプロピレングリコール及び1,2−デカンジオールを含み、
    前記水性インク全量に対するトリプロピレングリコールの配合量が、28重量%以下であり、
    前記水性インクにおけるトリプロピレングリコール(X)と1,2−デカンジオール(Y)との重量比(X:Y)が、X:Y=50:1〜10:1であることを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
  2. 前記水性インク全量に対するトリプロピレングリコールの配合量が、12重量%〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性インク
  3. インクジェット記録用水性インクを含むインクカートリッジであって、前記水性インクが、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  4. インク収容部及びインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段によって吐出するインクジェット記録装置であって、
    前記インク収容部に、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性インクが収容されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
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