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JP6117747B2 - 信号伝送回路 - Google Patents

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JP6117747B2
JP6117747B2 JP2014156242A JP2014156242A JP6117747B2 JP 6117747 B2 JP6117747 B2 JP 6117747B2 JP 2014156242 A JP2014156242 A JP 2014156242A JP 2014156242 A JP2014156242 A JP 2014156242A JP 6117747 B2 JP6117747 B2 JP 6117747B2
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Description

本発明は、有線通信においてリンギングを抑制する技術に関する。
一般に、有線通信では、データのハイ/ロウの切り替わりの立ち上がりおよび立ち下がりエッジでリンギングによる波形歪みが生じる。例えば、車載LANのCAN通信では、特に、レセッシブ送信時に、出力端がハイインピーダンスとなるため、大きなリンギングが発生し易くなる。そして、ビット判定タイミングまでに、ビットのハイ/ロウを判定する閾値電圧以上または以下にまで信号レベルが収束しないと、ビット誤判定を引き起こす原因となる。従って、リンギングの発生状況によって、通信システムの配索規模(ノード数、配線長、分岐数など)や通信速度が制限されることになる。
このようなリンギングを抑制するため、伝送線路の信号レベルの切り替わりを検知し、一定期間だけ伝送線路のインピーダンスを低下させることによって、リンギングを抑制する技術が知られている(特許文献1参照)。
特開2012−257205号公報
しかしながら従来技術では、伝送線路を低インピーダンスに保持する期間を、ビット判定タイミングより前で切りあげる必要があるため、リンギングを十分に抑制することができないという問題があった。即ち、伝送線路が低インピーダンスである場合、ドミナントの信号レベルを十分に発生させることができない可能性があり、ビット誤判定を引き起こす原因となるからである。
特に、CANの通信フレームにおいて、データ領域だけ通信速度を速めるCANFD(フレキシブルデータレート対応のCAN)では、データ領域での1ビット幅がより短くなることにより、低インピーダンスに設定できる期間が更に短くなるため、リンギング抑制効果が更に低下してしまうという問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、伝送線路を低インピーダンスに設定することで得られるリンギング抑制効果を、より向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明の信号伝送回路は、トランシーバと、インピーダンス調整回路と、第1制御回路と、第2制御回路とを備える。トランシーバは、送信データを符号化して伝送線路に送出すると共に、伝送線路から取り込んだ信号を復号して受信データを生成する。インピーダンス調整回路は、一対の信号線間に抵抗分を接続した低インピーダンス状態および抵抗分を切り離した通常状態を実現する。第1制御回路は、伝送線路上の信号レベルの変化を検出すると、1ビット幅より短く設定された一定期間だけ、低インピーダンス状態となるようにインピーダンス調整回路を制御する。第2制御回路は、送信データと受信データとの比較から調停勝ちを検出すると、その調停勝ちした通信フレームの送信が終了するまでの間、伝送線路上の信号レベルがレセッシブとなる全期間について低インピーダンス状態となるように、送信データに従ってインピーダンス調整回路を制御する。
このような構成によれば、第1制御回路による制御によって従来技術と同等の効果を得ることができる。更に、第2制御回路による制御によって、自回路が送信する通信フレームが調停勝ちした場合には、伝送線路上の信号レベルがレセッシブとなる全期間について伝送線路を低インピーダンスに設定することができるため、リンギング抑制効果を最大限に引き出すことができる。即ち、調停勝ちした場合は、自身が送信したレセッシブがドミナントに書き換えられることがなく、しかも、伝送線路上の信号レベルがレセッシブとなる期間を、送信データから特定することができるため、その全期間に渡って低インピーダンス状態となるようにインピーダンス調整回路を制御することができるのである。
特に、CANでは、データ領域の送受信時は常に第2制御回路によってインピーダンス調整回路が制御されることになるため、データ領域のみ高速化するCANFDでも、最大限にリンギング抑制効果を発揮させることができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
第1実施形態の信号伝送回路の構成を示すブロック図である。 第2制御回路の構成を示すブロック図である。 計時回路の構成を示すブロック図である。 調停勝ちした場合の動作を例示するタイミング図である。 調停負けした場合の動作を例示するタイミング図である。 信号伝送回路の効果を示す差動信号の波形図であり、(a)は標準ビットレートのアービトレーションフィールドおよび高ビットレートのデータフィールドを同じ時間スケールで示し、(b)はデータフィールドのみを拡大して示したものである。 第2実施形態のインピーダンス調整回路の構成を示す回路図である。 インピーダンス調整回路の他の構成例を示す回路図である。
以下に本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1.1.全体構成]
図1に示す信号伝送回路1は、CANコントローラ10から供給される送信データTXを差動信号に符号化して伝送線路11に出力すると共に、伝送線路11から取り込んだ差動信号を受信データRXに復号してCANコントローラ10に供給する。
CANコントローラ10は、周知のCANプロトコルに従って、通信フレーム(送信データTX/受信データRX)を送受信する。当然、自装置の送信中に調停負けを検知した場合は、直ちに送信を中止する機能を有する。但し、CANコントローラ10は、通信フレーム中で通信速度を変化させる、いわゆるCANFDを実現する。具体的には、図4,図5に示すように、通信フレームのSOF、アービトレーションフィールド、コントロールフィールドの前半、ACKフィールド、EOFは通常ビットレート(例えば1Mbps)で通信し、コントロールフィールドの後半、データフィールド、CRCフィールドは、高ビットレート(例えば2Mbps)で通信する。
図1に戻り、伝送線路11は、一対の信号線CAN−H,CAN−Lからなり、CANで規定された差動信号を伝送する。なお、両信号線CAN−H,CAN−Lの電位差が閾値以下である場合をレセッシブ、閾値より大きい場合をドミナントと称する。例えば、信号線CAN−Hは、レセッシブの場合に2.5V、ドミナントの場合に3.5V以上となるように駆動され、信号線CAN−Lは、レセッシブの場合に2.5V、ドミナントの場合に1.5V以下となるように駆動される。
[1.2信号伝送回路]
信号伝送回路1は、CANトランシーバ2、第1制御回路3、第2制御回路4、インピーダンス調整回路5を備える。
[1.2.1.CANトランシーバ]
CANトランシーバ2は、送信データTXから差動信号への符号化、差動信号から受信データRXへの復号を行う周知のものである。なお、送信データTXおよび受信データRXの信号レベルと差動信号とは、1とレセッシブ、0とドミナントがそれぞれ対応関係にある。また、伝送線路11の差動信号は、伝送線路11に接続された複数のCANトランシーバ2が、すべてレセッシブを出力している場合はレセッシブとなり、いずれか一つでもドミナントを出力している場合はドミナントとなる。
[1.2.2.第1制御回路]
第1制御回路3は、伝送線路11上の差動信号を監視し、ドミナントからレセッシブへの変化を検出すると、一定期間の間ハイレベルとなる第1制御信号C1を生成する。なお一定期間は、ビット境界からビットの信号レベルを判定するサンプリングポイントまでの期間(例えば1ビットの3/4)に基づき、その期間より短く設定されている。なお、第1制御回路3は、例えば、上述の特許文献1に記載されているものを用いることができる。また、一定期間は伝送速度に応じて可変設定される。
[1.2.3.第2制御回路]
第2制御回路4は、図2に示すように、リセット信号生成部41、EOF検知部42、データ領域開始検知部43、調停勝ち検知部44、出力部45を備える。
リセット信号生成部41は、抵抗器411、コンデンサ412、反転回路(NOT回路)413を備える。NOT回路413は、その入力端が抵抗器411を介して電源(5V)に接続されると共に、コンデンサ412を介して接地されている。そして、NOT回路413の出力がリセット信号Resetとなる。つまり、リセット信号生成部41は、電源が投入されてから、コンデンサ412の両端電圧がNOT回路413の閾値電圧を超えるまでの間ハイレベルとなるリセット信号Resetを出力する。
EOF検知部42は、NOT回路421、OR回路422、計時回路423、ラッチ回路424を備える。NOT回路421は受信データRXの信号レベルを反転させる。計時回路423は、NOT回路421の出力がハイレベル(受信データRXがロウレベル/ドミナント)の時に内部状態がリセットされ出力がロウレベルとなる。また、計時回路423は、NOT回路421の出力がロウレベル(受信データRXがハイレベル/レセッシブ)である状態が、通常ビットレートで7ビット幅以上継続した場合に、出力がハイレベルとなる。OR回路422は、NOT回路421の出力とリセット信号Resetを入力とし、受信データRXがロウレベルまたはリセット信号Resetがハイレベルの時に出力がハイレベルとなる。ラッチ回路424は、OR回路422の出力がハイレベルの時にリセットされ、計時回路423の出力がロウレベルからハイレベルに変化した時に、ロウレベルからハイレベルに変化するEOF検知信号EOF_Oを出力する。つまり、EOF検知信号EOF_Oは、受信データRXのハイレベル(レセッシブ)が7ビット以上連続して検出された場合、即ち、通信フレームの終了を表すEOFが検知された場合にハイレベルに変化し、その後、受信データRXのロウレベル、即ち、通信フレームの先頭を表すSOFが検知されるとロウレベルに変化する(図4,図5参照)。
データ領域開始検知部43は、NOT回路431、論理積回路(AND回路)432、OR回路433、ラッチ回路434、計時回路435を備える。NOT回路431は送信データTXを反転させる。AND回路432は、NOT回路431の出力およびEOF検知信号EOF_Oがいずれもハイレベルの時に出力がハイレベルに変化する。OR回路433は、リセット信号Resetおよび計時回路435の出力のいずれかがハイレベルの時に出力がハイレベルとなる。ラッチ回路434は、OR回路433の出力がハイレベルの時にリセットされ、リセット時には出力がハイレベルとなる。また、ラッチ回路434は、AND回路432の出力がロウレベルからハイレベルに変化すると、出力がロウレベルに変化する。以下では、ラッチ回路434の出力を基準時間信号STD_Oと称する。計時回路435は、基準時間信号STD_Oがハイレベルの時に内部状態がリセットされ出力がロウレベルとなる。また、計時回路435は、基準時間信号STD_Oがロウレベルに変化した後、即ち、SOFが検知された後、通常ビットレートで14ビット幅に相当する時間が経過すると出力がハイレベルに変化する。なお、計時回路435の出力がハイレベルに変化すると、ラッチ回路434がリセットされ、これに伴い、基準時間信号STD_Oはハイレベルに変化し、計時回路435の出力がロウレベルに変化する(図4,図5参照)。つまり、計時回路435が出力するハイレベルはパルス状となる。この計時回路435の出力が示すタイミングを、以下では、調停結果判定タイミングと称する。
調停勝ち検知部44は、遅延補償回路441、排他的論理和回路(XOR回路)442、OR回路443,444、計時回路445、ラッチ回路446を備える。遅延補償回路441は、送信データTXに対して受信データRXが遅れることから、両データのタイミングを一致させるために、送信データTXを遅延させて出力する。XOR回路442は、遅延させた送信データTXと受信データRXとが不一致である場合、即ち、自装置が送信中であり且つ調停負けした場合、または自装置が送信に成功してACKが返された場合に出力がハイレベルとなる。OR回路443は、基準時間信号STD_OおよびXOR回路442の出力がいずれもロウレベルの時に出力がロウレベルとなり、それ以外では出力がハイレベルとなる。計時回路445は、OR回路443の出力がハイレベルの時、内部状態がリセットされ出力がロウレベルとなる。また、計時回路445は、OR回路443の出力がロウレベルに変化した後、そのロウレベルが通常ビットレートで14ビット幅に相当する時間以上継続すると、出力がハイレベルに変化する。即ち、計時回路445は、基準時間信号STD_Oがロウレベルである期間(SOFが検知されてからデータ領域の開始が検知されるまでの間)だけ有効に動作し、その期間の間、調停勝ちし続けた場合に出力がハイレベルに変化する。OR回路444は、リセット信号ResetおよびXOR回路442の出力のいずれかがハイレベルの時に出力がハイレベルとなる。ラッチ回路446は、OR回路444の出力がハイレベルの時にリセットされ、リセット時には出力がロウレベルとなる。また、ラッチ回路446は、計時回路435の出力がロウレベルからハイレベルに変化するタイミング、即ち調停結果判定タイミングで、計時回路445の出力をラッチして出力する。つまり、ラッチ回路446は、自装置が送信を行い且つ調停勝ちした場合に、調停結果判定タイミングからACKが検知されるまでの間ハイレベルとなる許可信号ENを出力する。
出力部45は、許可信号ENおよび送信データTXがいずれもハイレベルの時に出力がハイレベルとなるAND回路により構成され、このAND回路の出力が第2制御信号C2となる。つまり、制御信号C2は、許可信号ENがロウレベルである間はロウレベルに保持され、許可信号ENがハイレベルである間は送信データTXと同じものとなる。
ここで、計時回路423,445,435の詳細について説明する。これらはいずれも同様の構成を有しているため、以下では、特に区別しない場合は、計時回路8と表記する。
計時回路8は、図3に示すように、定電流回路81、コンデンサ82、放電回路83、コンパレータ84を備える。定電流回路81は、予め設定された一定電流でコンデンサ82を充電する。放電回路83は、計時回路8への入力信号がハイレベルの時に、コンデンサ82の両端を短絡して充電電荷を放電する。コンパレータ84は、コンデンサ82の両端電圧を予め設定された閾値Vrefiと比較し、両端電圧が閾値Vrefiより大きい場合に出力がハイレベルとなる。このコンパレータ84の出力が計時回路8の出力となる。なお、閾値Vrefiは、計測対象となる時間の長さ、定電流回路81が流す一定電流の大きさ、コンデンサ82の容量に応じて適宜設定される。ここでは、計時回路423の閾値をVref1、計時回路445の閾値をVref2、計時回路435の閾値をVref3とする。
[1.2.4.第2制御回路の動作]
第2制御回路4の動作を、図4,図5を用いて説明する。
図4,図5に示すように、EOF検知部42において、計時回路423のコンデンサ電圧は、受信データRXがハイレベル(レセッシブ)である間、一定の割合で増大し、受信データRXがロウレベル(ドミナント)になるとリセット(ゼロクリア)される。そして、リセットされることなく、標準ビットレートで7ビット幅分の時間が経過すると、コンデンサ電圧が閾値Vref1を超えることによって、EOF検知信号EOF_Oがハイレベルに変化する。つまり、CANの規定上、通信フレーム中ではEOF以外にレセッシブが7ビット以上連続することはないため、このような方法によってEOFを検出することができる。
データ領域開始検知部43において、基準時間信号STD_Oは、EOF検出後のバスアイドル状態の時にはハイレベルであり、その後SOFが検出されるとロウレベルに変化する。計時回路435のコンデンサ電圧は、基準時間信号STD_Oがロウレベルの間、一定の割合で増大し、基準時間信号STD_Oがハイレベルになるとリセットされる。基準時間信号STD_Oがハイレベルからロウレベルに変化してから、標準ビットレートで14ビット幅分の時間が経過すると、コンデンサ電圧が閾値Vref2に達することによって、計時回路435の出力がハイレベルに変化し、それによって基準時間信号STD_Oがハイレベルに変化する。これにより、SOFから14ビット幅分の期間だけ、ロウレベルとなる基準時間信号STD_Oが生成されることになる。
調停勝ち検知部44において、計時回路445には、基準時間信号STD_Oと送信データTXおよび受信データRXが不一致である場合にハイレベルとなる一致信号との論理和が入力される。計時回路445のコンデンサ電圧は、入力信号がロウレベルの間、一定の割合で増大し、入力信号がハイレベルになるとリセットされる。
但し、計時回路445の入力信号は、自装置が調停勝ちした場合、図4に示すように、基準時間信号STD_Oと同じものとなる。計時回路445のコンデンサ電圧は、入力信号がロウレベルの間に、閾値Vref3に達することによって、計時回路445の出力がハイレベルに変化し、その結果、許可信号ENもハイレベルに変化する。この許可信号ENは、ACKが検知されるとロウレベルに変化する。
一方、計時回路445の入力信号は、自装置が調停負けした場合、図5に示すように、基準信号STD_Oがロウレベルの間であっても、送信データTXと受信データRXとの不一致が検出された区間がハイレベルとなり、その都度、計時回路445のコンデンサ電圧をリセットする。これにより、計時回路445のコンデンサ電圧は、基準時間開始信号STD_Oがロウレベルからハイレベルに変化するタイミングで、閾値Vref3に達することができず、その結果、許可信号ENはロウレベルに保持される。
[1.2.5.インピーダンス調整回路]
インピーダンス調整回路5は、図1に示すように、抵抗器51、スイッチ52、OR回路53を備える。抵抗器51は、一端が信号線CAN−Hに接続され、他端がスイッチ52を介して信号線CAN−Lに接続されている。OR回路53は、第1制御回路3が出力する第1制御信号C1および第2制御回路4が出力する第2制御信号C2を入力とし、両信号C1,C2のいずれかがハイレベルの時に出力がハイレベルとなる。このOR回路53の出力がハイレベルの時に、スイッチ52がオンすることによって、伝送線路11が低インピーダンスの状態となる。
[1.3.全体動作]
CANコントローラ10が送信データTXを出力していない場合、第2制御信号C2は常にロウレベルとなるため、スイッチ52は第1制御信号C1に従って動作する。つまり、伝送線路11上の差動信号がドミナントからレセッシブに変化した時に、1ビット幅より短い一定期間だけスイッチ52がオンし、伝送線路11が低インピーダンス状態に保持される。
CANコントローラ10が送信データTXを出力している場合、調停負けした時は、第2制御信号C2は常にロウレベルとなり、上述の送信データTXを出力していない場合と同様に動作する。一方、調停勝ちした時は、第2制御信号C2は、データ領域開始タイミングからACK受信タイミングまでの間、送信データTXと同じ信号レベルとなる。つまり、この間は、伝送線路11上の差動信号がレセッシブとなる全期間についてスイッチ52がオンし、伝送線路11が低インピーダンス状態に保持される。
[1.4.効果]
以上説明したように、信号伝送回路1では、第1制御回路3による制御によって従来技術と同等の効果を得ることができる。また、信号伝送回路1では、第2制御回路4による制御によって、自ノードのCANコントローラ10が送信データTXを出力し且つ調停勝ちした場合には、伝送線路11上の信号レベルがレセッシブとなる全期間について伝送線路11が低インピーダンスに設定されるため、リンギング抑制効果を最大限に引き出すことができる(図6参照)。即ち、調停勝ちした場合は、自ノードから出力されたレセッシブがドミナントに書き換えられることがなく、しかも、伝送線路11上の信号レベルがレセッシブとなる期間を、送信データTXから特定することができるため、その全期間に渡って伝送線路11が低インピーダンスに設定されるようにインピーダンス調整回路5を制御することができるのである。
[2.第2実施形態]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
[2.1.構成]
本実施形態ではインピーダンス調整回路5aが第1実施形態のものとは異なるだけであるため、この相違する構成について説明する。
図7に示すように、本実施形態におけるインピーダンス調整回路5aは、第1実施形態のインピーダンス調整回路5と比較すると、OR回路53が省略され、代わりに、抵抗器54,56、およびフォトカプラ55が設けられている。但し、スイッチ52は、第1制御信号C1に従ってオンオフ制御される。
抵抗器54は、一端が信号線CAN−Hに接続され、他端がフォトカプラ55のフォトトランジスタを介して信号線CAN−Lに接続されている。フォトカプラ55のフォトダイオードは、アノードに第2制御信号C2が印加され、カソードが抵抗器56を介して接地されている。
インピーダンス調整回路5aでは、第1制御信号C1がハイレベルの時に信号線CAN−H,CAN−L間に抵抗器51が接続され、第2制御信号C2がハイレベルの時に信号線CAN−H,CAN−L間に抵抗器54が接続され、伝送線路11のインピーダンスを低下させる。
[2.2.効果]
本実施形態によれば、前述した第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
[3.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。
(1)上記実施形態では、インピーダンス調整回路5,5aを用いているが、これに限定されるものではなく、インピーダンス調整回路5,5aの代わりに、図8(a)〜(c)に示すインピーダンス調整回路5b〜5cを用いてもよい。なお、インピーダンス調整回路5b〜5cは、抵抗器51の代わりにMOSトランジスタのオン抵抗を利用するものである。
図8(a)に示すインピーダンス調整回路5bは、NMOSトランジスタ61、抵抗器62、スイッチ63、NOR回路64を備える。NMOSトランジスタ61は、ドレインが信号線CAN−Hに、ソースが信号線CAN−Lに接続され、ゲートが抵抗器62を介して電源に接続されると共に、スイッチ63を介して信号線CAN−Lに接続されている。スイッチ63は、第1制御信号C1および第2制御信号C2を入力とするNOR回路64の出力により制御され、NOR回路64の出力がハイレベルの時にオンする。
この場合、スイッチ63がオンの時にNMOSトランジスタ61がオフすることによって、伝送線路11は通常インピーダンス状態となり、スイッチ63がオフの時に、NMOSトランジスタ61がオンすることによって、伝送線路11は低インピーダンス状態となる。
図8(b)に示すインピーダンス調整回路5cは、PMOSトランジスタ71、スイッチ72、抵抗器73、NOR回路74を備える。PMOSトランジスタ71は、ソースが信号線CAN−Hに、ドレインが信号線CAN−Lに接続され、ゲートがスイッチ72を介して信号線CAN−Hに接続されると共に、抵抗器73を介して接地されている。スイッチ72は、第1制御信号C1および第2制御信号C2を入力とするNOR回路74の出力により制御され、NOR回路74の出力がハイレベルの時にオンする。
この場合、スイッチ72がオンの時にPMOSトランジスタ71がオフすることによって、伝送線路11は通常インピーダンス状態となり、スイッチ72がオフの時に、PMOSトランジスタ71がオンすることによって、伝送線路11は低インピーダンス状態となる。
図8(c)に示すインピーダンス調整回路5dは、インピーダンス調整回路5bに、インピーダンス調整回路5cと同様のPMOSトランジスタ71、スイッチ72、抵抗器73を加えたものであり、スイッチ72は、NOR回路64の出力により制御される。
これらのインピーダンス調整回路5b〜5dを用いても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、グランド電位は、ノードによって異なる場合があるため、グランドや電源の電位を基準にしてMOSトランジスタ61,71をオンオフ制御すると、MOSトランジスタ61,71を十分にオンオフさせることができない可能性がある。これに対して、インピーダンス調整回路5cでは、グランド電位がどのようにずれたとしても、MOSトランジスタ61,71の一方は確実にオンするため、伝送線路11を確実に低インピーダンス状態にすることができる。
(2)上記実施形態における一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
(3)本発明は、上述した信号伝送回路の他、当該信号伝送回路を構成要素とするシステムなど、種々の形態で実現することもできる。
1…信号伝送回路 2…CANトランシーバ 3…第1制御回路 4…第2制御回路 5,5a〜5d…インピーダンス調整回路 8…計時回路 10…CANコントローラ 11…伝送線路 41…リセット信号生成部 42…EOF検知部 43…データ領域開始検知部 44…調停勝ち検知部 45…出力部 51,54,56,62,73…抵抗器 52,63,72…スイッチ 53…論理和(OR)回路 55…フォトカプラ 61…NMOSトランジスタ 64,74…否定論理和(NOR)回路 71…PMOSトランジスタ73…抵抗器 81…定電流回路 82…コンデンサ 83…放電回路 84…コンパレータ

Claims (9)

  1. 一対の信号線によりレセッシブおよびドミナントの2値レベルに変化する差動信号を伝送する伝送線路に接続される信号伝送回路(1)であって、
    送信データを符号化して前記伝送線路に送出すると共に、前記伝送線路から取り込んだ信号を復号して受信データを生成するトランシーバ(2)と、
    前記一対の信号線間に抵抗分を接続した低インピーダンス状態および前記抵抗分を切り離した通常状態を実現するインピーダンス調整回路(5,5a〜5d)と、
    前記伝送線路上の信号レベルのドミナントからレセッシブへの変化を検出すると、1ビット幅より短く設定された一定期間だけ、前記低インピーダンス状態となるように前記インピーダンス調整回路を制御する第1制御回路(3)と、
    前記送信データと前記受信データとの比較から調停勝ちを検出すると、該調停勝ちした通信フレームの送信が終了するまでの間、前記伝送線路上の信号レベルが前記レセッシブとなる全期間について前記低インピーダンス状態となるように、前記送信データに従って前記インピーダンス調整回路を制御する第2制御回路(4)と、
    を備えることを特徴とする信号伝送回路。
  2. 前記インピーダンス調整回路(5)は、
    抵抗器(51)と
    前記第1制御回路および前記第2制御回路のうち少なくとも一方から前記低インピーダンス状態に制御する指令を受けている間、前記抵抗器を前記一対の信号線間に接続された状態にするスイッチング回路(52,53)と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送回路。
  3. 前記インピーダンス調整回路(5b)は、
    ゲートが電源電位に接続され、ドレインが高電位側の信号線に、ソースが低電位側の信号線に接続されたNMOSトランジスタ(61)と、
    前記NMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第1制御回路および前記第2制御回路のうち少なくとも一方から前記低インピーダンス状態に制御する指令を受けている間、前記NMOSトランジスタをオン状態にするスイッチング回路(62〜64)と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送回路。
  4. 前記インピーダンス調整回路(5c)は、
    ゲートが電源電位に接続され、ドレインが低電位側の信号線に、ソースが高電位側の信号線に接続されたPMOSトランジスタ(71)と、
    前記PMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第1制御回路および前記第2制御回路のうち少なくとも一方から前記低インピーダンス状態に制御する指令を受けている間、前記PMOSトランジスタをオン状態にするスイッチング回路(72〜74)と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送回路。
  5. 前記インピーダンス調整回路(5d)は、
    ゲートが電源電位に接続され、ドレインが高電位側の信号線に、ソースが低電位側の信号線に接続されたNMOSトランジスタ(61)と、
    ゲートが電源電位に接続され、ドレインが低電位側の信号線に、ソースが高電位側の信号線に接続されたPMOSトランジスタ(71)と、
    前記NMOSトランジスタのゲートおよび前記PMOSトランジスタのゲートに接続され、前記第1制御回路および前記第2制御回路のうち少なくとも一方から前記低インピーダンス状態に制御する指令を受けている間、前記NMOSトランジスタおよび前記PMOSトランジスタをオン状態にするスイッチング回路(62〜64,72〜73)と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送回路。
  6. 前記スイッチング回路は、フォトカプラ(55)によって構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の信号伝送回路。
  7. 前記インピーダンス調整回路(5a)は、
    前記第1制御回路によって制御される第1調整回路(51,52)と、
    前記第2制御回路によって制御される第2調整回路(54〜56)と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の信号伝送回路。
  8. 前記第2制御回路は、
    前記通信フレームの前半に位置する調停領域の信号レベルを、前記送信データと前記受信データとで比較し、該信号レベルが一致した状態が予め設定された第1閾値時間以上継続した場合に調停勝ちと判断する調停判定部(44)と、
    前記通信フレームの前記調停領域に続くデータ領域の期間を検出するデータ領域検出部(42,43)と、
    前記調停判定部により調停勝ちと判断された場合に、前記データ領域検出部によって検出された期間の間、前記インピーダンス調整回路を制御する指令として、前記送信データを出力する出力部(45)と、
    を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の信号伝送回路。
  9. 前記データ領域検出部は、前記調停判定部により調停勝ちと判断されてから、受信に成功した通信相手によって信号レベルが書き換えられるACKビットが検出されるまでの期間を、前記データ領域の期間として検出することを特徴とする請求項8に記載の信号伝送回路。
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