JP6116884B2 - 改良Fc結合性タンパク質およびその製造方法 - Google Patents
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Description
配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列において以下の(1)から(42)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質である。
(1)配列番号13の37番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(2)配列番号13の38番目のプロリンがセリンに置換
(3)配列番号13の53番目のロイシンがグルタミンに置換
(4)配列番号13の62番目のグルタミン酸がバリンに置換
(5)配列番号13の63番目のバリンがアラニンまたはグルタミン酸に置換
(6)配列番号13の66番目のロイシンがグルタミンまたはプロリンに置換
(7)配列番号13の67番目のセリンがプロリンに置換
(8)配列番号13の69番目のアラニンがバリンまたはスレオニンに置換
(9)配列番号13の71番目のセリンがスレオニンまたはロイシンに置換
(10)配列番号13の78番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(11)配列番号13の81番目のイソロイシンがバリンに置換
(12)配列番号13の84番目のセリンがスレオニンに置換
(13)配列番号13の88番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号13の95番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号13の119番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(16)配列番号13の127番目のバリンがアラニンに置換
(17)配列番号13の146番目のアルギニンがリジンに置換
(18)配列番号13の147番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号13の151番目のヒスチジンがチロシンに置換
(20)配列番号13の178番目のスレオニンがアラニンに置換
(21)配列番号13の191番目のアルギニンがリジンに置換
(22)配列番号13の199番目のスレオニンがアラニンに置換
(23)配列番号13の200番目のロイシンがメチオニンに置換
(24)配列番号13の213番目のスレオニンがアラニンに置換
(25)配列番号13の216番目のバリンがアラニンに置換
(26)配列番号13の221番目のロイシンがアルギニンに置換
(27)配列番号13の229番目のセリンがアスパラギンに置換
(28)配列番号13の236番目のイソロイシンがリジンに置換
(29)配列番号13の244番目のチロシンがヒスチジンに置換
(30)配列番号13の253番目のスレオニンがアラニンに置換
(31)配列番号13の290番目のアルギニンがグルタミンに置換
(32)配列番号13の293番目のリジンがアスパラギンに置換
(33)配列番号13の297番目のリジンがグルタミン酸に置換
(34)配列番号13の306番目のプロリンがスレオニンに置換
(35)配列番号13の34番目のグルタミンがアルギニンに置換
(36)配列番号13の45番目のグルタミンがリジンに置換
(37)配列番号13の82番目のグルタミンがプロリンに置換
(38)配列番号13の177番目のアスパラギンがアスパラギン酸に置換
(39)配列番号13の213番目のスレオニンがセリンに置換
(40)配列番号13の242番目のグルタミンがアルギニンに置換
(41)配列番号13の253番目のスレオニンがセリンに置換
(42)配列番号13の271番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
また本発明の第二の態様は、前記34番目から307番目までのアミノ酸配列において、少なくとも以下の(A)から(C)に記載のアミノ酸置換が生じている、前記第一の態様に記載のFc結合性タンパク質である。
(A)配列番号13の63番目のバリンがグルタミン酸に置換
(B)配列番号13の69番目のアラニンがバリンに置換
(C)配列番号13の95番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
また本発明の第三の態様は、配列番号18、配列番号22、配列番号30、配列番号32、配列番号38、配列番号45、配列番号49、配列番号53、配列番号57、配列番号61、配列番号64、配列番号68、配列番号72および配列番号74のうちいずれか1つに記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含む、前記第二の態様に記載のFc結合性タンパク質である。
(1)配列番号1の20番目のスレオニンがプロリンに置換
(2)配列番号1の25番目のスレオニンがリジンに置換
(3)配列番号1の35番目のグルタミンがロイシンに置換
(4)配列番号1の36番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(5)配列番号1の38番目のスレオニンがセリンに置換
(6)配列番号1の41番目のロイシンがメチオニンに置換
(7)配列番号1の42番目のヒスチジンがロイシンに置換
(8)配列番号1の46番目のロイシンがプロリンに置換
(9)配列番号1の49番目のプロリンがセリンに置換
(10)配列番号1の51番目のセリンがアラニンに置換
(11)配列番号1の52番目のセリンがグリシンに置換
(12)配列番号1の58番目のロイシンがアルギニンに置換
(13)配列番号1の60番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(14)配列番号1の63番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(15)配列番号1の65番目のスレオニンがアラニンに置換
(16)配列番号1の69番目のセリンがスレオニンに置換
(17)配列番号1の70番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(18)配列番号1の71番目のアルギニンがヒスチジンに置換
(19)配列番号1の73番目のスレオニンがアラニンに置換
(20)配列番号1の77番目のバリンがグルタミン酸に置換
(21)配列番号1の78番目のアスパラギンがアスパラギン酸に置換
(22)配列番号1の97番目のグルタミンがロイシンに置換
(23)配列番号1の100番目のイソロイシンがバリンに置換
(24)配列番号1の111番目のセリンがアラニンに置換
(25)配列番号1の114番目のフェニルアラニンがロイシンに置換
(26)配列番号1の115番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(27)配列番号1の121番目のアラニンがバリンに置換
(28)配列番号1の128番目のリジンがアルギニンに置換
(29)配列番号1の133番目のチロシンがヒスチジンに置換
(30)配列番号1の137番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(31)配列番号1の139番目のアルギニンがヒスチジンに置換
(32)配列番号1の149番目のトリプトファンがアルギニンに置換
(33)配列番号1の151番目のセリンがスレオニンに置換
(34)配列番号1の152番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(35)配列番号1の156番目のロイシンがプロリンに置換
(36)配列番号1の157番目のリジンがアルギニンに置換
(37)配列番号1の160番目のイソロイシンがスレオニンに置換
(38)配列番号1の163番目のアスパラギンがセリンに置換
(39)配列番号1の165番目のスレオニンがメチオニンに置換
(40)配列番号1の173番目のリジンがアルギニンに置換
(41)配列番号1の181番目のイソロイシンがスレオニンに置換
(42)配列番号1の182番目のセリンがロイシンに置換
(43)配列番号1の184番目のスレオニンがセリンに置換
(44)配列番号1の195番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(45)配列番号1の199番目のスレオニンがアラニンに置換
(46)配列番号1の206番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(47)配列番号1の207番目のロイシンがプロリンに置換
(48)配列番号1の213番目のグルタミン酸がバリンに置換
(49)配列番号1の217番目のロイシンがグルタミンに置換
(50)配列番号1の218番目のロイシンがイソロイシンに置換
(51)配列番号1の230番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(52)配列番号1の231番目のメチオニンがリジンに置換
(53)配列番号1の233番目のセリンがグリシンに置換
(54)配列番号1の234番目のリジンがグルタミン酸に置換
(55)配列番号1の240番目のアスパラギンがアスパラギン酸に置換
(56)配列番号1の249番目のスレオニンがアラニンに置換
(57)配列番号1の270番目のロイシンがバリンに置換
(58)配列番号1の283番目のロイシンがヒスチジンに置換
(59)配列番号1の285番目のロイシンがグルタミンに置換
(60)配列番号1の289番目のバリンがアスパラギン酸に置換
本発明のFc結合性タンパク質は、前述した配列番号13に記載のFc結合性タンパク質FcRm64のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列において少なくとも特定位置におけるアミノ酸置換が1つ以上生じている、Fc結合性タンパク質である。なお本発明のFc結合性タンパク質は、配列番号13に記載のFc結合性タンパク質FcRm64の34番目から307番目まで(配列番号1においては16番目から289番目まで)のアミノ酸配列に相当する領域を少なくとも含んでいればよく、細胞外領域(EC)のN末端側にあるシグナルペプチド領域(SS)のすべてまたは一部を含んでもよいし、細胞外領域のC末端側にある細胞膜貫通領域(TM)または細胞内領域(C)を含んでもよい。
(a)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてVal63Glu、Ala69ValおよびGlu95Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号18に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(b)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてVal63Glu、Ala69Val、Ser71LeuおよびGlu95Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号22に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(c)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser84Thr、Glu95AspおよびThr199Alaのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号30に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(d)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95AspおよびThr199Alaのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号32に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(e)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Leu66Pro、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、His119GlnおよびThr199Alaのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号38に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(f)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、Thr199Ala、Gln242ArgおよびGlu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号45に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、(g)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、Thr199Ala、Thr213Ser、Gln242ArgおよびGlu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号49に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(h)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Leu66Pro、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、Thr199Ala、Gln242ArgおよびGlu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号53に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(i)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Gln45Lys、Val63Glu、Leu66Pro、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、Thr199Ala、Gln242ArgおよびGlu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号57に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(j)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてGln34Arg、Thr37Ile、Gln45Lys、Val63Glu、Leu66Pro、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、Thr199Ala、Gln242Argおよび Glu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号61に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(k)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、Asn177Asp、Thr199Ala、Thr213Ser、Gln242ArgおよびGlu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号64に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(l)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser71Leu、Gln82Pro、Ser84Thr、Glu95Asp、Asn177Asp、Thr199Ala、Thr213Ser、Gln242Argおよび Glu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号68に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(m)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser71Leu、Ser84Thr、Glu95Asp、Asn177Asp、Thr199Ala、Thr213Ser、Gln242Arg、Thr253Serおよび Glu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号72に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
(n)配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列においてThr37Ile、Val63Glu、Ala69Val、Ser71Leu、Gln82Pro、Ser84Thr、Glu95Asp、Asn177Asp、Thr199Ala、Thr213Ser、Gln242Arg、Thr253SerおよびGlu271Aspのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(配列番号74に記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)、
があげられる。
(I)本発明のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換し、当該ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを人工的に合成する方法や、
(II)ヒトFcγRIの全体または部分配列を含むポリヌクレオチドを直接人工的に、またはヒトFcγRIのcDNA等からPCR法といったDNA増幅法を用いて調製し、調製した当該ポリヌクレオチドを適当な方法で連結する方法、が例示できる。
前記(I)の方法において、アミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換する際、形質転換させる宿主におけるコドンの使用頻度を考慮して変換するのが好ましい。一例として、宿主が大腸菌(Escherichia coli)の場合は、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないため(いわゆるレアコドンであるため)、それらのコドンを避けるように変換すればよい。コドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Databaseなど)を利用することによっても可能である。
(1)以下に示す方法で、PelBシグナルペプチド(アミノ酸配列:MKYLLPTAAAGLLLLAAQPAMA、配列番号40)をコードするポリヌクレオチドを発現ベクターpTrc99a(GEヘルスケア社製)に挿入することで、発現ベクターpTrcpelを作製した。
(1−1)配列番号3(5’―CATGAAATACCTGCTGCCGACCGCTGCTGCTGGTCTGCTGCTCCTCGCTGCCCAGCCGGCGATGGC―3’)および配列番号4(5’―CATGGCCATCGCCGGCTGGGCAGCGAGGAGCAGCAGACCAGCAGCAGCGGTCGGCAGCAGGTATTT―3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを等量混合し、95℃で5分間加熱後、15℃になるまで1分間で1℃毎に温度を下げることで、二本鎖オリゴヌクレオチドPelBp1を調製した。なお、PelBp1は使用時まで15℃で保持した。
(1−2)(1−1)で調製したPelBp1を、あらかじめ制限酵素NcoIで消化した発現ベクターpTrc99aに、DNA Ligation kit(タカラバイオ社製)を用いてライゲーションし、これを用いて大腸菌JM109株(タカラバイオ社製)を形質転換した。
(1−3)得られた形質転換体を100μg/mLのカルベニシリン(タカラバイオ社製)を含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて、発現ベクターpTrcpelを抽出した。
(2)以下に示す方法で、特開2011−206046号公報で開示されているFc結合性タンパク質であるFcRm60c(配列番号2)に対して、292番目のプロリンをリジンに、293番目のグルタミン酸をリジンに、297番目のグルタミンをリジンに、301番目のヒスチジンをリジンに、304番目のプロリンをリジンに、それぞれアミノ酸置換し、かつそのC末端に配列番号41に記載のアミノ酸配列(GSGGCG、以下これをシステインタグとする)を導入したFc結合性タンパク質(FcRm64)をコードするポリヌクレオチドを調製した。
(2−1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm60c(特開2011−206046号公報)を鋳型とし、配列番号5(5’−AACATGCCATGGATATCGGAATTAATTCGGATCCCACCAAGGCTGTGATTAAGCTGCAA−3’)および配列番号6(5’−GTCCGGGGTCTTCTGTTGTTTACCCAGTACTTTCAACTCAAGTTTTTTGCTCCGTTTAACCACATTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表1に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃に10秒間の第1ステップ、60℃に5秒間の第2ステップ、および72℃に1分間の第3ステップからなるサイクルを30回繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm60cpK5p1と命名した。
(2−4)精製したPCR産物m60cpK5p2を制限酵素NcoIおよびHindIIIで消化した後、あらかじめ制限酵素NcoIおよびHindIIIで消化した(1)で調製した発現ベクターpTrcpelにライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(2−5)得られた形質転換体を100μg/mLのカルベニシリン(タカラバイオ社製)を含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて、発現べクターを抽出した。得られた発現べクターに挿入されているFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるFc結合性タンパク質(FcRm60c)のうち、40番目のアラニンから307番目のアスパラギン酸までの領域からなるFc結合性タンパク質であって、292番目のプロリンがリジンに、293番目のグルタミン酸がリジンに、297番目のグルタミンがリジンに、301番目のヒスチジンがリジンに、304番目のプロリンがリジンにそれぞれアミノ酸置換がなされ、さらにC末端にシステインタグを挿入したFc結合性タンパク質FcRm60cpK5CGをコードするポリヌクレオチドである。ここで得られた発現ベクターをpTrcFcRm60cpK5CGと命名した。
(2−6)発現ベクターpETFcRm60c(特開2011−206046号公報)を鋳型とし、配列番号8(5’−TAATACGACTCACTATAGGG−3’)および配列番号9(5’−AGCAATGGTACATCCCGCTGTGGGA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm64p1と命名した。
(2−8)PCR産物m64p1およびm64p2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(2−9)精製したPCR産物m64p1およびm64p2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm64p3と命名した。
(3)得られたFcRm64をコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(4)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて、FcRm64をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm64を抽出した。
(5)発現ベクターpETFcRm64のうち、FcRm64をコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS read Reaction kit(PEアプライドバイオシステム社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(PEアプライドバイオシステム社製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号8または配列番号12(5’−TATGCTAGTTATTGCTCAG−3’)に記載からなるオリゴヌクレオチドのいずれかをシークエンス用プライマーとして使用した。
(1)エラープローンPCRを用いて、実施例1で作製したFc結合性タンパク質であるFcRm64をコードするポリヌクレオチドへランダムに変異を導入した。鋳型DNAとして実施例1に記載の発現ベクターpETFcRm64を、PCRプライマーとして配列番号15(5’−TCAGCCATGGGACAAGTAGATACCCCCAAAGCTGTGATTA−3’)および配列番号11に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。エラープローンPCRは、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB寒天培地でコロニー形成させることで、Fc結合性タンパク質FcRm64のランダム変異体ライブラリーを作製した。
(1)実施例2で作製したFcRm64のランダム変異体ライブラリーを、50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地(16g/LのTryptone、10g/LのYeast extract、5g/LのNaCl)200μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、37℃で好気的に一晩振とう培養した。
(2)培養後、50μLの培養液を500μLの2YT液体培地(0.05mMのIPTG、0.3%のグリシン、および50μg/mLのカナマイシンを含む)に植え継ぎ、96穴ディープウェルプレートを用いて、さらに20℃で好気的に一晩振とう培養した。
(3)培養後、遠心操作により得られる培養上清(当該上清には発現したFc結合性タンパク質が含まれる)を400mMの水酸化ナトリウム水溶液と等量混合し、37℃で180分間放置するアルカリ処理を行ない、処理後は1.25Mの塩化ナトリウムを含んだ1MのTris−HCl緩衝液(pH7.4)をアルカリ処理液に対し4倍量添加することでpHを中性領域に戻した。なお対照(アルカリ処理を行なわない系)として、400mMの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのMES緩衝液(pH6.0)を用いて、前記アルカリ処理と同様の処理を行なった。
(4)アルカリ処理を行なったとき、およびアルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を下記に示すELISA法を用いてそれぞれ測定し、アルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性をアルカリ処理を行わなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性割合を算出した。
(4−1)ヒト抗体であるガンマグロブリン製剤(化学及血清療法研究所製)を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellの濃度で固定化し(4℃で18時間)、固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(BD社製)を含んだ20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(4−2)洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween 20と150mMのNaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4))で洗浄後、調製したFc結合性タンパク質を含む溶液を固定化ガンマグロブリンと反応させた(30℃で1時間)。
(4−3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、50ng/mLに希釈したAnti−FcγRI抗体(R&D Systems社製)を100μL/wellで添加した。
(4−4)30℃で1時間反応後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、50ng/mLに希釈したHorse radish Peroxidase(HRP)標識のAnti−mouse−IgG抗体(BETHYL社製)を100μL/wellで添加した。
(4−5)30℃で1時間反応後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を添加し450nmの吸光度を測定した。
(5)(4)の測定を実施した約2700株の形質転換体の中から、Fc結合性タンパク質FcRm64と比較しアルカリ安定性または発現量が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。前記選択した形質転換体を培養し、QIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いて発現ベクターを得た。
(6)得られた発現ベクターのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を、配列番号8または配列番号12に記載の配列からなるシーケンスプライマーを用いて、実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析した。
実施例3で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val63Glu、Ala69ValおよびGlu95Aspを選択し、それらのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm64に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm65を作製した。
(1)実施例3で得られたアルカリ安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現可能な形質転換体のうち、FcRm64に対してさらにVal63GluとGlu95Aspのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質を発現可能な形質転換体を培養し、発現ベクターを調製した。
(2)以下に示すPCRを実施し、Ala69Valのアミノ酸置換をさらに導入した。
(2−1)鋳型として(1)で調製した発現ベクターを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号16(5’−ATTGGGTTGATCCTACCCCAGACAGGT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm65p1と命名した。
(2−2)鋳型として(1)で調製した発現ベクターを、PCRプライマーとして配列番号17(5’−ACCTGTCTGGGGTAGGATCAACCCAAT−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm65p2と命名した。
(2−3)PCR産物m65p1およびm65p2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(2−4)精製したPCR産物m65p1およびm65p2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm65p3と命名した。
(2−5)PCR産物m65p3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm65をコードするポリヌクレオチドを得た。
(3)FcRm65をコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(4)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm65をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm65を得た。
(5)発現ベクターpETFcRm65のうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例3で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val63Glu、Ala69Val、Ser71LeuおよびGlu95Aspを選択し、それらのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm64に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm66を作製した。
(1)実施例4(1)で調製した発現ベクターを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Ala69ValおよびSer71Leuのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型として実施例4(1)で調製した発現ベクターを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号20(5’−AACCATTGGGTTAATCCTACCCCAGACAGGT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm66p1と命名した。
(1−2)鋳型として実施例4(1)で調製した発現ベクターを、PCRプライマーとして配列番号21(5’−ACCTGTCTGGGGTAGGATTAACCCAATGGTT−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm66p2と命名した。
(1−3)PCR産物m66p1およびm66p2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−4)精製したPCR産物m66p1およびm66p2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm66p3と命名した。
(1−5)PCR産物m66p3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm66をコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm66をコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm66をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm66を得た。
(4)発現ベクターpETFcRm66のうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例3で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Thr37Ile、Ser84ThrおよびThr199Alaを選択し、それらのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm65(実施例4)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm67を作製した。
(1)実施例4(4)で調製した発現ベクターpETFcRm65を鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Thr37Ile、Ser84ThrおよびThr199Alaのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm65を、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号24(5’−ACAGCTTTGGGGATATCTACTTGTCCCA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm67p1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm65を、PCRプライマーとして配列番号25(5’−TGGGACAAGTAGATATCCCCAAAGCTGT−3’)および配列番号26(5’−TGGAAAGTCGGGGTGGTGGCCTGGAT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm67p2と命名した。
(1−3)鋳型としてpETFcRm65を、PCRプライマーとして配列番号27(5’−ATCCAGGCCACCACCCCGACTTTCCA−3’)および配列番号28(5’−TTTGACGGAGACCAAGGCTCCCGCCGA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm67p3と命名した。
(1−4)鋳型としてpETFcRm65を、PCRプライマーとして配列番号29(5’−TCGGCGGGAGCCTTGGTCTCCGTCAAA−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm67p4と命名した。
(1−5)PCR産物m67p1、m67p2、m67p3およびm67p4を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−6)精製したPCR産物m67p1、m67p2、m67p3およびm67p4を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm67p5と命名した。
(1−7)PCR産物m67p5を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm67をコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm67をコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm67をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm67を得た。
(4)発現ベクターpETFcRm67のうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例3で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Thr37Ile、Ser84ThrおよびThr199Alaを選択し、それらのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm66(実施例5)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm68を作製した。
(1)実施例5(3)で調製した発現ベクターpETFcRm66を鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Thr37Ile、Ser84ThrおよびThr199Alaのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm66を用いた他は、実施例6(1−1)と同様のPCRを実施した。得られたPCR産物はm68p1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm66を用いた他は、実施例6(1−2)と同様のPCRを実施した。得られたPCR産物はm68p2と命名した。
(1−3)鋳型としてpETFcRm66を用いた他は、実施例6(1−3)と同様のPCRを実施した。得られたPCR産物はm68p3と命名した。
(1−4)鋳型としてpETFcRm66を用いた他は、実施例6(1−4)と同様のPCRを実施した。得られたPCR産物はm68p4と命名した。
(1−5)PCR産物m68p1、m68p2、m68p3およびm68p4を、実施例6(1−5)と同様な方法で精製した。
(1−6)精製したPCR産物m68p1、m68p2、m68p3およびm68p4を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm68p5と命名した。
(1−7)PCR産物m68p5を鋳型とした他は、実施例6(1−7)と同様のPCRを実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm68をコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm68をコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm68をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm68を得た。
(4)発現ベクターpETFcRm68のうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例3で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Leu66ProおよびHis119Glnを選択し、それらのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm68(実施例7)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm70を作製した。
(1)実施例7(3)で調製した発現ベクターpETFcRm68を鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Leu66ProおよびHis119Glnのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm68を、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号34(5’−CCCCAGACGGGTGCGGTTCTTCGCAGA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm70p1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm68を、PCRプライマーとして配列番号35(5’−TCTGCGAAGAACCGCACCCGTCTGGGG−3’)および配列番号36(5’−AGCCAGCCACGTTGAACTTCAAGTA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm70p2と命名した。
(1−3)鋳型としてpETFcRm68を、PCRプライマーとして配列番号37(5’−TACTTGAAGTTCAACGTGGCTGGCT−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm70p3と命名した。
(1−4)PCR産物m70p1、m70p2およびm70p3を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−6)精製したPCR産物m70p1、m70p2およびm70p3を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm70p4と命名した。
(1−7)PCR産物m70p4を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm70をコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm70をコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm70をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm70を得た。
(4)発現ベクターpETFcRm70のうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
(1)下記(I)から(IX)に記載のFc結合性タンパク質を発現可能な形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加した2YT液体培地に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(I)FcRm60c(配列番号2)(特開2011−206046号公報)
(II)FcRm61(配列番号42)(特開2011−206046号公報)
(III)FcRm62(配列番号43)(特開2011−206046号公報)
(IV)FcRm64(配列番号13)(実施例1)
(V)FcRm65(配列番号18)(実施例4)
(VI)FcRm66(配列番号22)(実施例5)
(VII)FcRm67(配列番号30)(実施例6)
(VIII)FcRm68(配列番号32)(実施例7)
(IX)FcRm70(配列番号38)(実施例8)
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した20mLの2YT液体培地に前培養液を200μL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始1.5時間後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養後、終濃度0.01mMとなるようIPTGを添加し、引き続き20℃で一晩、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、BugBuster Protein extraction kit(タカラバイオ社製)を用いてタンパク質抽出液を調製した。
(5)(4)で調製したタンパク質抽出液中のFc結合性タンパク質の濃度を、実施例3(4)に記載のELISA法を用いて抗体結合活性を測定し、既知濃度のFc結合性タンパク質における値と比較して測定した。
(6)Fc結合性タンパク質としての濃度が0.5μg/mLとなるように、(4)で調製したタンパク質抽出液を純水で希釈した後、等量の400mMの水酸化ナトリウム水溶液を加え、30℃で180分間アルカリ処理を行なった。処理後は1.25Mの塩化ナトリウムを含んだ1MのTris−HCl緩衝液(pH7.4)をアルカリ処理液に対し4倍量添加することでpHを中性領域に戻した。なお対照(アルカリ処理を行なわない系)として、400mMの水酸化ナトリウム水溶液の代わりに150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのMES緩衝液(pH6.0)を用いて、前記アルカリ処理と同様の処理を行なった。
(7)アルカリ処理を行なったとき、およびアルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を実施例3(4)に記載のELISA法を用いてそれぞれ測定し、アルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性をアルカリ処理を行わなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性割合を算出した。
(1)鋳型DNAとして実施例7(3)に記載の発現ベクターpETFcRm68を、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号44(5’−CCGGAAGCTTAGCCGCAGTCCGGGGTCTTCTGTTGTTTACCCAGTAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。エラープローンPCRは、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。
(2)得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いてエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB寒天培地でコロニー形成させることで、Fc結合性タンパク質FcRm68のランダム変異体ライブラリーを作製した。
(1)実施例10で作製したFcRm68のランダム変異体ライブラリーを、実施例3(1)から(2)に記載と同様な方法で培養を行なった。
(2)培養後、遠心操作により得られる培養上清(当該上清には発現したFc結合性タンパク質が含まれる)を純水で2倍希釈した後、実施例3(3)に記載の方法でアルカリ処理を行ない、実施例3(4)に記載の方法でFc結合性タンパク質の残存活性割合を算出した。
(3)(2)の測定を実施した約2700株の形質転換体の中から、FcRm68と比較しアルカリ安定性または発現量が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。前記選択した形質転換体を培養し、QIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いて発現ベクターを得た。
(4)得られた発現ベクターのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を、配列番号8または配列番号12に記載の配列からなるシーケンスプライマーを用いて、実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析した。
実施例11で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Thr213Serを選択し、そのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm70b(実施例11)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm70cを作製した。
(1)実施例11で調製した発現ベクターpETFcRm70bを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Thr213Serのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm70bを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号47(5’−TTGCCACACTCGCAGACAGCACGGGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm70cp1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm70bを、PCRプライマーとして配列番号48(5’−GCCCGTGCTGTCTGCGAGTGTGGCAA−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm70cp2と命名した。
(1−3)PCR産物m70cp1およびm70cp2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−4)精製したPCR産物m70cp1およびm70cp2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm70cp3と命名した。
(1−5)PCR産物m70cp3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm70cをコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm70cをコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm70cをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm70cを得た。
(4)発現ベクターpETFcRm70cのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例11で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Leu66Proを選択し、そのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm70b(実施例11)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm71aを作製した。
(1)実施例11で調製した発現ベクターpETFcRm70bを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Leu66Proのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm70bを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号51(5’−TTAATCCTACCCCAGACGGGTGCGGTTCT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm71ap1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm70bを、PCRプライマーとして配列番号52(5’−AGAACCGCACCCGTCTGGGGTAGGATTAA−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm71ap2と命名した。
(1−3)PCR産物m71ap1およびm71ap2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−4)精製したPCR産物m71ap1およびm71ap2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm71ap3と命名した。
(1−5)PCR産物m71ap3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm71aをコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm71aをコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm71aをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm71aを得た。
(4)発現ベクターpETFcRm71aのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例11で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Gln45Lysを選択し、そのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm71a(実施例13)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm72aを作製した。
(1)実施例13(3)で調製した発現ベクターpETFcRm71aを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Gln45Lysのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm71aを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号55(5’−ACCCACGGTGGTTTCAGCTTAATCACA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm72ap1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm71aを、PCRプライマーとして配列番号56(5’−TGTGATTAAGCTGAAACCACCGTGGGT−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm72ap2と命名した。
(1−3)PCR産物m72ap1およびm72ap2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−4)精製したPCR産物m72ap1およびm72ap2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm72ap3と命名した。
(1−5)PCR産物m72ap3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm72aをコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm72aをコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm72aをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm72aを得た。
(4)発現ベクターpETFcRm72aのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例11で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Gln34Argを選択し、そのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm72a(実施例14)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm73aを作製した。
(1)実施例14(3)で調製した発現ベクターpETFcRm72aを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Gln34Argのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm72aを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号59(5’−ATATCTACTCGTCCCATGGCGAGAGCCGA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm73ap1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm72aを、PCRプライマーとして配列番号60(5’−TCGGCTCTCGCCATGGGACGAGTAGATAT−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm73ap2と命名した。
(1−3)PCR産物m73ap1およびm73ap2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−4)精製したPCR産物m73ap1およびm73ap2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm73ap3と命名した。
(1−5)PCR産物m73ap3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm73aをコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm73aをコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm73aをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm73aを得た。
(4)発現ベクターpETFcRm73aのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
下記(I)、(VIII)および(X)から(XIV)に記載のFc結合性タンパク質をそれぞれ発現可能な形質転換体を用いて、実施例9に記載の方法と同様の方法で、Fc結合性タンパク質の調製、アルカリ処理および残存活性割合の算出を行なうことにより、各Fc結合性タンパク質のアルカリ安定性の評価を行なった。
(I)FcRm64(配列番号13)(実施例1)
(VIII)FcRm68(配列番号32)(実施例7)
(X)FcRm70b(配列番号45)(実施例11)
(XI)FcRm70c(配列番号49)(実施例12)
(XII)FcRm71a(配列番号53)(実施例13)
(XIII)FcRm72a(配列番号57)(実施例14)
(XIV)FcRm73a(配列番号61)(実施例15)
各Fc結合性タンパク質のアルカリに対する安定性を比較した結果を表9に示す。実施例11から15で作製したFc結合性タンパク質(FcRm70b、FcRm70c、FcRm71a、FcRm72aおよびFcRm73a)は、Fc結合性タンパク質FcRm64(実施例1)と比較し、いずれもアルカリ安定性が向上していることがわかる。さらに実施例11から15で作製したFc結合性タンパク質は、Fc結合性タンパク質FcRm68(実施例7)と比較しても、いずれもアルカリ安定性が向上していることがわかる。
(1)鋳型DNAとして実施例12(3)に記載の発現ベクターpETFcRm70cを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号63(5’−CCAAGCTTAGCCGCAGTCCGGGGT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。エラープローンPCRは、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。
(2)得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いてエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB寒天培地でコロニー形成させることで、Fc結合性タンパク質FcRm70cのランダム変異体ライブラリーを作製した。
(1)実施例17で作製したFcRm70cのランダム変異体ライブラリーを、実施例3(1)から(2)に記載と同様の方法で培養を行なった。
(2)培養後、遠心操作により得られる培養上清(当該上清には発現したFc結合性タンパク質が含まれる)を純水で4倍希釈した後、実施例3(3)に記載の方法でアルカリ処理を行ない、実施例3(4)に記載の方法でFc結合性タンパク質の残存活性割合を算出した。
(3)(2)の測定を実施した約2700株の形質転換体の中から、Fc結合性タンパク質FcRm70cと比較しアルカリ安定性または発現量が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。前記選択した形質転換体を培養し、QIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いて発現ベクターを得た。
(4)得られた発現ベクターのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を、配列番号8または配列番号12に記載の配列からなるシーケンスプライマーを用いて、実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析した。
実施例18で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Gln82Proを選択し、そのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm71c(実施例18)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm72cを作製した。
(1)実施例18で調製した発現ベクターpETFcRm71cを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Gln82Proのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm71cを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号66(5’−TCGGGGTGGTGGCCGGGATCGCGGTGTCATT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm72cp1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm71cを、PCRプライマーとして配列番号67(5’−AATGACACCGCGATCCCGGCCACCACCCCGA−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm72cp2と命名した。
(1−3)PCR産物m72cp1およびm72cp2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−4)精製したPCR産物m72cp1およびm72cp2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm72cp3と命名した。
(1−5)PCR産物m72cp3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm72cをコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm72cをコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm72cをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm72cを得た。
(4)発現ベクターpETFcRm72cのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例18で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Thr253Serを選択し、そのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm71c(実施例18)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm72dを作製した。
(1)実施例18で調製した発現ベクターpETFcRm71cを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Thr253Serのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm71cを、PCRプライマーとして配列番号8および配列番号70(5’−TCCGCGCAGGGATTCGCCGCCCTTAAA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm72dp1と命名した。
(1−2)鋳型としてpETFcRm71cを、PCRプライマーとして配列番号71(5’−TTTAAGGGCGGCGAATCCCTGCGCGGA−3’)および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm72dp2と命名した。
(1−3)PCR産物m72dp1およびm72dp2を、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−4)精製したPCR産物m72dp1およびm72dp2を混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm72dp3と命名した。
(1−5)PCR産物m72dp3を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm72dをコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm72dをコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm72dをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm72dを得た。
(4)発現ベクターpETFcRm72dのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
実施例18で判明した、アルカリ安定性の向上に関与するアミノ酸置換の中から、Gln82ProおよびThr253Serを選択し、それらのアミノ酸置換をFc結合性タンパク質FcRm71c(実施例18)に対して行なうことで、Fc結合性タンパク質FcRm73bを作製した。
(1)実施例18で調製した発現ベクターpETFcRm71cを鋳型として以下に示すPCRを実施することで、Gln82ProおよびThr253Serのアミノ酸置換をさらに導入した。
(1−1)鋳型としてpETFcRm71cを、PCRプライマーとして配列番号67および配列番号70に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物をm73bp1と命名した。
(1−2)PCR産物m73bp1を、アガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した。
(1−3)精製したPCR産物m73bp1を、実施例19(1−1)で調製したPCR産物m72cp1および実施例20(1−2)で調製したPCR産物m72dp2とともに混合後、表4に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル繰り返すことでPCRを実施した。得られたPCR産物をm73bp2と命名した。
(1−4)PCR産物m73bp2を鋳型とし、配列番号8および配列番号12に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で10秒間の第1ステップ、50℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。得られたPCR産物を精製することで、Fc結合性タンパク質FcRm73bをコードするポリヌクレオチドを得た。
(2)FcRm73bをコードするポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、発現ベクターを抽出することで、Fc結合性タンパク質FcRm73bをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターpETFcRm73bを得た。
(4)発現ベクターpETFcRm73bのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法により行なった。
下記(I)、(VIII)、(XI)および(XV)から(XVII)に記載のFc結合性タンパク質をそれぞれ発現可能な形質転換体を用いて、実施例9に記載の方法と同様の方法で、Fc結合性タンパク質の調製、アルカリ処理および残存活性割合の算出を行なうことにより、各Fc結合性タンパク質のアルカリ安定性の評価を行なった。
(I)FcRm64(配列番号13)(実施例1)
(VIII)FcRm68(配列番号32)(実施例7)
(XI)FcRm70c(配列番号49)(実施例12)
(XV)FcRm72c(配列番号68)(実施例19)
(XVI)FcRm72d(配列番号72)(実施例20)
(XVII)FcRm73b(配列番号74)(実施例21)
各Fc結合性タンパク質のアルカリに対する安定性を比較した結果を表11に示す。実施例19から21で作製したFc結合性タンパク質(FcRm72c、FcRm72dおよびFcRm73b)は、Fc結合性タンパク質FcRm64(実施例1)と比較し、いずれもアルカリ安定性が向上していることがわかる。さらに実施例19から21で作製したFc結合性タンパク質は、Fc結合性タンパク質FcRm68(実施例7)やFcRm70c(実施例12)と比較しても、いずれもアルカリ安定性が向上していることがわかる。
Claims (7)
- 配列番号13に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列において少なくとも以下の(A)から(C)に記載のアミノ酸置換が生じており、
(A)配列番号13の63番目のバリンがグルタミン酸に置換
(B)配列番号13の69番目のアラニンがバリンに置換
(C)配列番号13の95番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
かつ、配列番号18、配列番号22、配列番号30、配列番号32、配列番号38、配列番号45、配列番号49、配列番号53、配列番号57、配列番号61、配列番号64、配列番号68、配列番号72および配列番号74のうちいずれか1つに記載のアミノ酸配列における34番目から307番目までのアミノ酸配列を含む、Fc結合性タンパク質。 - 配列番号18、配列番号22、配列番号30、配列番号32、配列番号38、配列番号45、配列番号49、配列番号53、配列番号57、配列番号61、配列番号64、配列番号68、配列番号72および配列番号74のうちいずれか1つに記載のアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のFc結合性タンパク質。
- 請求項1または2に記載のFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
- 請求項3に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
- 請求項4に記載の発現ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体。
- 宿主が大腸菌である、請求項5に記載の形質転換体。
- 請求項5または6に記載の形質転換体を培養することによりFc結合性タンパク質を生産させ、得られた培養物から生産されたFc結合性タンパク質を回収する、Fc結合性タンパク質の製造方法。
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