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JP6196928B2 - 回転電機のステータ - Google Patents

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JP6196928B2 JP2014072867A JP2014072867A JP6196928B2 JP 6196928 B2 JP6196928 B2 JP 6196928B2 JP 2014072867 A JP2014072867 A JP 2014072867A JP 2014072867 A JP2014072867 A JP 2014072867A JP 6196928 B2 JP6196928 B2 JP 6196928B2
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Description

本発明は、電気自動車、ハイブリッド自動車等に搭載可能な回転電機のステータに関する。
従来より、ステータコアのティースに巻線を巻回してコイルを製作した回転電機のステータが知られている。例えば、特許文献1においては、スロットに挿入される巻線の占積率を高めるとともに渦電流の発生を抑制するため、一本のコイル自体を複数の導線で構成することが記載されている。
また、近年では、他の回転電機のステータとして、セグメントコイルを用いた回転電機が提案されている。例えば、特許文献2においては、ステータコアのスロットに配置されるスロットコイルとステータコアの外側に配置される渡り部となるコネクトコイルとをかしめて結合することでコイルループを形成している。
特開2013−187076号公報 特許第5389109号公報
しかしながら、特許文献2に記載の回転電機のステータでは、スロットコイルを用いることでスロット内におけるコイルの占積率を高めることができるが、ロータ側からの錯交磁束の生じるスロット内コイル部分において、漏れ磁束によるコイル渦損が発生してしまう虞がある。
一方で特許文献1に記載の回転電機のステータでは、一本のコイル自体を複数の導線で構成したものであるため、ロータ側からの錯交磁束の生じるスロット内コイル部分以外の渡り部においても、当該コイルが複数の導線で構成されてしまうため、漏れ磁束によるコイル渦損の発生しにくい渡り部においてもコイル断面積が低減されてしまい、抵抗の増加により損失が増加してしまう。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コイル渦損を抑制しつつ、渡り部の断面積を確保可能な回転電機のステータを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
複数のスロット(例えば、後述の実施形態のスロット23)を有するステータコア(例えば、後述の実施形態のステータコア21)と、
前記ステータコアに取付けられるコイル(例えば、後述の実施形態のコイル50)と、を備えた回転電機のステータ(例えば、後述の実施形態のステータ10)であって、
前記コイルは、前記スロットに挿入される複数のスロットコイル(例えば、後述の実施形態のスロットコイル25)と、前記ステータコアの軸方向端面(例えば、後述の実施形態の端面21a、21b)よりも軸方向外側において、前記スロットコイル間を接続する複数の接続コイル(例えば、後述の実施形態の接続コイル40)と、を有し、前記スロットコイルと前記接続コイルとは当接部(例えば、後述の実施形態の当接面P2、P3)において結合されており、
前記スロットコイルの前記スロット内に位置する部分には、前記スロットコイルを貫通するとともに、軸方向一端側から他端側に向かって延びるスリット(例えば、後述の実施形態のスリット27d)が形成されており、
前記当接部は、前記スロットコイルの軸方向における所定位置に設けられ、
前記スリットは、前記当接部の少なくとも一部を除いた部分に形成されている。
請求項2に記載の発明は、
複数のスロット(例えば、後述の実施形態のスロット23)を有するステータコア(例えば、後述の実施形態のステータコア21)と、
前記ステータコアに取付けられるコイル(例えば、後述の実施形態のコイル50)と、を備えた回転電機のステータ(例えば、後述の実施形態のステータ10)であって、
前記コイルは、前記スロットに挿入される複数のスロットコイル(例えば、後述の実施形態のスロットコイル25)と、前記ステータコアの軸方向端面(例えば、後述の実施形態の端面21a、21b)よりも軸方向外側において、前記スロットコイル間を接続する複数の接続コイル(例えば、後述の実施形態の接続コイル40)と、を有し、前記スロットコイルと前記接続コイルとは当接部(例えば、後述の実施形態の当接面P2、P3)において結合されており、
前記スロットコイルの前記スロット内に位置する部分には、前記スロットコイルを貫通するとともに、軸方向一端側から他端側に向かって延びるスリット(例えば、後述の実施形態のスリット27d)が形成されており、
前記スロットコイルは、分割スロットコイル片(例えば、後述の実施形態の内径側分割スロットコイル片27A、27B、27C)から構成されたスロットコイルを含み、
前記スリットは、軸方向の一方側から他方側に向かって延びる分割スロットコイル片の合わせ面(例えば、後述の実施形態の合わせ面27e)の軸方向における所定位置に形成されている。
請求項3に記載の発明は、
複数のスロット(例えば、後述の実施形態のスロット23)を有するステータコア(例えば、後述の実施形態のステータコア21)と、
前記ステータコアに取付けられるコイル(例えば、後述の実施形態のコイル50)と、を備えた回転電機のステータ(例えば、後述の実施形態のステータ10)であって、
前記コイルは、前記スロットに挿入される複数のスロットコイル(例えば、後述の実施形態のスロットコイル25)と、前記ステータコアの軸方向端面(例えば、後述の実施形態の端面21a、21b)よりも軸方向外側において、前記スロットコイル間を接続する複数の接続コイル(例えば、後述の実施形態の接続コイル40)と、を有し、前記スロットコイルと前記接続コイルとは当接部(例えば、後述の実施形態の当接面P2、P3)において結合されており、
前記スロットコイルの前記スロット内に位置する部分には、前記スロットコイルを貫通するとともに、軸方向一端側から他端側に向かって延びるスリット(例えば、後述の実施形態のスリット27d)が形成されており、
前記スロットには、前記スロットコイルが径方向に沿って少なくとも2本配列されており、
径方向においてロータに一番近い側のスロットコイル(例えば、後述の実施形態の内径側スロットコイル27)に前記スリットが形成されるとともに、他のスロットコイル(例えば、後述の実施形態の外径側スロットコイル26)には前記スリットが形成されていない。
請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、
前記スリットは、前記ステータコアの軸方向両端面に跨るように形成されている。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発明において、
前記スロットコイルは、板状導体によって構成されており、
前記スリットは、前記板状導体の板厚方向に貫通するように形成されている。
請求項1の発明によれば、スロットコイルと接続コイルとが別体に形成される構成であるため、漏れ磁束によるコイル渦損が特に発生しやすいスロットコイルに対して、スリットを容易に形成することができ、コイルで発生する渦電流による損失(以下、コイル渦損と呼ぶ。)を抑制できる。
また、漏れ磁束によるコイル渦損が発生しにくい接続コイルに対してはスリットを形成せずにスロットコイルにのみスリットを形成することもできるため、スリットの不要な部位に対してはスリットを形成しないことで、コイル断面積の減少を抑制して抵抗の増加を抑制できる。
また、スロットコイルに対してコイル渦損を抑制しつつ、当接部においてはスリットが形成されていない部分が存在するため、スロットコイルと接続コイルを結合する際においても、スロットコイルがスリットで分割されている場合に比べてスロットコイルの保持や位置決めが容易になり、製造効率の低下を抑制できる。
請求項2の発明によれば、スロットコイルと接続コイルとが別体に形成される構成であるため、漏れ磁束によるコイル渦損が特に発生しやすいスロットコイルに対して、スリットを容易に形成することができ、コイルで発生する渦電流による損失(以下、コイル渦損と呼ぶ。)を抑制できる。
また、漏れ磁束によるコイル渦損が発生しにくい接続コイルに対してはスリットを形成せずにスロットコイルにのみスリットを形成することもできるため、スリットの不要な部位に対してはスリットを形成しないことで、コイル断面積の減少を抑制して抵抗の増加を抑制できる。
また、スロットコイルに貫通孔状のスリットを設ける場合、スロットコイルの厚みによって貫通孔の幅に製造上の制約が生じてしまうため、幅の狭い貫通孔を形成することが困難となってしまうところ、合わせ面において少なくとも一方の分割スロットコイル片に例えば段差状の凹みを形成しておくことで、分割スロットコイル片を突き合わせた状態においてスリットを構成することができ、幅の狭いスリットであっても容易に形成できる。
請求項3の発明によれば、スロットコイルと接続コイルとが別体に形成される構成であるため、漏れ磁束によるコイル渦損が特に発生しやすいスロットコイルに対して、スリットを容易に形成することができ、コイルで発生する渦電流による損失(以下、コイル渦損と呼ぶ。)を抑制できる。
また、漏れ磁束によるコイル渦損が発生しにくい接続コイルに対してはスリットを形成せずにスロットコイルにのみスリットを形成することもできるため、スリットの不要な部位に対してはスリットを形成しないことで、コイル断面積の減少を抑制して抵抗の増加を抑制できる。
また、ロータ側からの錯交磁束の比較的多い、ロータ側のスロットコイルに対してはスリットを形成するとともに、ロータ側からの錯交磁束の比較的少ない、ロータ側とは反対側のスロットコイルに対してはスリットを形成しないことにより、コイル渦損を効率的に抑制しつつ、コイル断面積の減少を抑制して抵抗の増加を抑制できる。
請求項の発明によれば、ロータ側からの錯交磁束の生じる、スロット内全域に亘ってコイル渦損を抑制できるため、効果的にコイル渦損を抑制できる。
請求項の発明によれば、プレス加工等によって所望の位置にスリットの形成されたスロットコイルを容易に製造することができる。
本発明に係る回転電機のステータの斜視図である。 図1に示すステータの分解斜視図である。 図2に示す一方のベースプレート組立体の分解斜視図である。 図2に示す他方のベースプレート組立体の分解斜視図である。 スロットコイルの斜視図である。 スロットコイルの分解斜視図である。 図1に示すステータの一部を示す縦断面図である。 図3及び図4に示すベースプレート組立体の一部を示す正面図である。 図4に示すベースプレート組立体の一部を示す正面図である。 複数相のコイルの斜視図である。 図8の正面図である。 図8に示す複数相のコイルから1相分のコイルを抜き出して示す斜視図である。 U相のコイルの結線態様を示す展開図である。 U相、V相、W相のコイルの結線態様を示す模式図である。 外側接続コイル延出部と内側接続コイル延出部との接合を説明するための斜視図である。 外側接続コイルの内径側端部と外径側スロットコイルの段差部との接合及び内側接続コイルの内径側端部と内径側スロットコイルの段差部との接合を説明するための斜視図である。 図5Bに示す内径側スロットコイルの斜視図である。 第1変形例の内径側スロットコイルの斜視図である。 第2変形例の内径側スロットコイルの斜視図である。 第3変形例の内径側スロットコイルの斜視図である。 第4変形例の内径側スロットコイルの斜視図である。 第5変形例の内径側スロットコイルの斜視図である。
以下、本発明の回転電機のステータの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
[ステータ]
図1及び図2に示すように、本実施形態の回転電機のステータ10は、ステータコア組立体20と、一対のベースプレート組立体30L、30Rと、を備え、ベースプレート組立体30L、30Rが、ステータコア組立体20の両側に配置されて組み付けられている。ステータコア組立体20とベースプレート組立体30L、30Rとの間には、例えば、シリコンシートなどの絶縁シート65が配置され、ステータコア組立体20とベースプレート組立体30L、30Rとを絶縁している。
[1 ステータコア組立体]
ステータコア組立体20は、ステータコア21と、複数(図に示す実施形態では108個)のスロットコイル25と、を備える。
[1−1 ステータコア]
ステータコア21は、例えば、プレス抜きされた複数枚の珪素鋼板が積層されて構成され、その径方向内側に、複数(図に示す実施形態では108個)のティース22と、隣接するティース22間に形成される複数(図に示す実施形態では108個)のスロット23とを備える。スロット23は、ステータコア21の軸方向に貫通して形成され、軸方向から見てステータコア21の径方向に長い略長円形状に形成され、開口部24がステータコア21の内周面に開口している。
[1−2 スロットコイル]
各スロット23に挿入されるスロットコイル25は、図5A、図5B及び図6も参照して、断面長方形状の板状導体である外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27とを有し、外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27の軸方向両端部を除く周囲が射出成形された樹脂などの断面長方形状の絶縁材28で被覆されて一体に形成されている。具体的に、外径側スロットコイル26は、ステータコア21の軸方向幅L1と後述する接続コイル40の4枚分の軸方向幅(4×L2)の和と略等しい長さ(L1+4×L2)に設定され、軸方向両端部がそれぞれ接続コイル40の2枚分の軸方向幅と略等しい長さ(2×L2)だけ絶縁材28から露出している。さらに、外径側スロットコイル26の軸方向一端部は、接続コイル40の1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)分だけ周方向一方を向く面が段状に切り欠かれて板厚が薄くなることで段差部26aが形成され、外径側スロットコイル26の軸方向他端部は、接続コイル40の1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)分だけ周方向他方を向く面が段状に切り欠かれて板厚が薄くなることで段差部26aが形成されている。
内径側スロットコイル27は、ステータコア21の軸方向幅(L1)と後述する接続コイル40の2枚分の軸方向幅(2×L2)の和と略等しい長さ(L1+2×L2)に設定され、軸方向両端部がそれぞれ接続コイル40の1枚分の軸方向幅と略等しい長さ(L2)だけ絶縁材28から露出している。さらに、内径側スロットコイル27の軸方向一端部は、接続コイル40の1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)分だけ周方向他方を向く面が段状に切り欠かれて板厚が薄くなることで段差部27aが形成され、内径側スロットコイル27の軸方向他端部は、接続コイル40の1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)分だけ周方向一方を向く面が段状に切り欠かれて板厚が薄くなることで段差部27aが形成されている。
言い換えると、スロットコイル25は、外径側スロットコイル26が接続コイル40の2枚分の軸方向幅と略等しい長さ(2×L2)分だけ軸方向両側にそれぞれ絶縁材28から露出するとともに、内径側スロットコイル27が接続コイル40の1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)分だけ軸方向両側にそれぞれ絶縁材28から露出し、外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27の両先端部にはそれぞれ接続コイル40の1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)分だけ段差部26a、27aが周方向で反対側を向くように形成されている。また、軸方向一端部と軸方向他端部では、外径側スロットコイル26の段差部26a同士と内径側スロットコイル27の段差部27a同士がそれぞれ周方向で反対側を向くように形成されている。
また、内径側スロットコイル27には、周方向一方を向く面と周方向他方を向く面を貫通するスリット27dが、径方向幅の中心を通り且つ軸方向一方側から軸方向他方側に向かって段差部27aに跨って一直線上に形成されている。即ち、スリット27dの軸方向長さはステータコア21の軸方向幅(L1)よりも長く、僅かに段差部27aにも形成されている。
外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27からなる複数(図に示す実施形態では108個)のスロットコイル25は、外径側スロットコイル26が径方向外側となり内径側スロットコイル27が径方向内側となるようにステータコア21の径方向に配置される。各スロットコイル25は、ステータコア21の複数のスロット23にそれぞれ挿入されてステータコア21の周方向に並べられ、ステータコア組立体20を構成する。
外径側スロットコイル26は、接続コイル40の略2枚分の軸方向幅と略等しい長さ(2×L2)分だけ先端部がステータコア21の両方の端面21a、21bからそれぞれ突出するようにスロット23に挿入され、内径側スロットコイル27は、接続コイル40の略1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)分だけ先端部がステータコア21の両方の端面21a、21bからそれぞれ突出するようにスロット23に挿入されている。内径側スロットコイル27のスリット27dは、ステータコア21の両方の端面21a、21bに跨って、両方の端面21a、21bからそれぞれ僅かに突出している。
また、外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27と、ステータコア21のスロット23と、の間には、両スロットコイル26、27を被覆する絶縁材28が介在してステータコア21との絶縁が確保されている。
外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27を被覆する絶縁材28は、スロット23よりも僅かに大きくスロット23と略同一形状を有しており、圧入によってスロット23へ容易に固定できる。また、外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27は、従来の巻回された巻線からなるコイルと比較して太いので、スロット23への占積率が向上する効果も有する。
[2 ベースプレート組立体]
ステータコア組立体20の両側にそれぞれ配置されるベースプレート組立体30L、30Rは、図3及び図4に示すように、ベースプレート31L、31Rと、複数の接続コイル40と、を備える。
[2−1 ベースプレート]
ベースプレート31L、31Rは、絶縁性を有する樹脂(非磁性材)等によって成形され、ステータコア21と略等しい内外径を有する略円環状部材である。
ベースプレート31Rの内径側には、図3に示すように、ステータコア21のスロット23に挿入された各スロットコイル25の外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27にそれぞれ対応して、複数(図に示す実施形態では108個)の外径側貫通孔32及び複数(図に示す実施形態では108個)の内径側貫通孔33が、それぞれ等間隔にベースプレート31Rを貫通して外側面35と内側面36とを連通するように形成されている。ステータコア組立体20にベースプレート組立体30Rを組み付けることで、ベースプレート31Rの外径側貫通孔32には、ステータコア21のスロット23に挿入されステータコア21の端面21a、21bから突出する外径側スロットコイル26の先端部が配置され、ベースプレート31Rの内径側貫通孔33には、ステータコア21のスロット23に挿入されステータコア21の端面21a、21bから突出する内径側スロットコイル27の先端部が配置される。なお、外径側貫通孔32に関しては、内側面36の開口部が外側面35の開口部よりも小さくなっており、外径側スロットコイル26の先端部が通る部分のみベースプレート31Rを貫通している。
ベースプレート31Rの外径側には、さらに複数(図に示す実施形態では108個)の外周側孔34が等間隔にベースプレート31Rを貫通して外側面35と内側面36とを連通するように形成されている。ベースプレート31Rの外側面35及び内側面36には、図7Aに示すように、それぞれ外側面35及び内側面36に開口する断面略コの字型の複数(図に示す実施形態ではいずれも108個、108個)の外側面溝37及び内側面溝38が、インボリュート曲線に沿って円周方向に近接して形成されている。
ベースプレート31Lも、基本的にはベースプレート31Rと同様の構造を有し、内径側には、ステータコア21のスロット23に挿入された各スロットコイル25の外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27にそれぞれ対応して、複数(図に示す実施形態では108個)の外径側貫通孔32及び複数(図に示す実施形態では108個)の内径側貫通孔33が、それぞれ等間隔にベースプレート31Lを貫通して外側面35と内側面36とを連通するように形成されている。
一方で、ベースプレート31Lの外径側には、図中上方部分に径方向外側に扇状に延びる展開部31aが設けられており、展開部31a以外の部分では、複数の外周側孔34が等間隔にベースプレート31Lを貫通して外側面35と内側面36とを連通するように形成されている。展開部31aにおいては、他の外周側孔34より僅かに大きな開口面積を有する外周側孔34aが6つの外周側孔34を挟むようにU、V、W相の各相2つを一組として2組ずつ形成されるとともに、入力端子用切欠部34cが各相1つずつ等間隔に形成されている。入力端子用切欠部34cには入力端子部43が一体に形成された後述する3つの内側接続コイル42bの入力端子部43が配置される。
ベースプレート31Lの展開部31aの内径側には、各相2つを一組として一組のバスバー用切欠部(不図示)が内周側に形成された外径側貫通孔32aが8つの外径側貫通孔32を挟んで形成され、さらに各相1つずつの中点バスバー用切欠部(不図示)が内周側に形成された内径側貫通孔33aが11個の内径側貫通孔33を挟んで形成されている。バスバー用切欠部には、同相のコイル同士を接続するバスバー61U、61V、61Wのバスバー接続部が配置され、中点バスバー用切欠部には、U、V、W相のコイル同士を接続する中点バスバー62の中点バスバー接続部が配置される。
ベースプレート31L、31Rの外周側孔34、34aには、後述する外側接続コイル41の外径側端部112と内側接続コイル42の外径側端部123とが配置される。外径側貫通孔32、32a、内径側貫通孔33、33a及び外周側孔34、34aは、軸方向から見て矩形形状を呈し、これらの内部に配置されるコイル部材よりも大きな空間を有している。
また、ベースプレート31Lの外側面35と内側面36にも、それぞれ外側面35及び内側面36に開口する断面略コの字型の複数(図に示す実施形態では外側面35に102個、内側面36に102個)の外側面溝37及び内側面溝38が、インボリュート曲線に沿って円周方向に近接して形成されている。ベースプレート31Lの展開部31aには、外側面35に他の外側面溝37よりも僅かに長く形成された外側面溝37aが各相4個ずつ合計で12個形成されるとともに、内側面36に他の内側面溝38よりも僅かに長く形成された内側面溝38aが各相5個ずつ合計で15個形成されている。外側面溝37、37aの数は、ベースプレート31Rに形成される外側面溝37よりも各相2本ずつ合わせて6本分少なくなるとともに、内側面溝38、38aの数は、ベースプレート31Rに形成される内側面溝38よりも各相1本ずつ合わせて3本分少なくなっており、代わりにバスバー61U、61V、61Wによって同相のコイル同士が接続されるとともに中点バスバー62によって異相のコイル同士が接続されるようになっている。これらベースプレート31L、31Rにおいては、図6に示すように、互いに隣接する各外側面溝37、37a間、及び各内側面溝38、38a間は、ベースプレート31Lから立設する壁31bによって隔離され、また、軸方向において対向する外側面溝37、37aと内側面溝38、38aとは隔壁31cによって隔離され、それぞれ電気的に絶縁される。
また、ベースプレート31L、31Rは、内径側貫通孔33が形成される最内径部39が、接続コイル40の1枚分の軸方向幅と等しい長さ(L2)に設定されており、外径側貫通孔32及び外周側孔34が形成される最内径部39以外の領域が、接続コイル40の2枚分の軸方向幅(2×L2)と隔壁31cの厚さ(L3)との合計に略等しい軸方向幅(2×L2+L3)に設定されている。
ベースプレート組立体30L、30Rでは、図7Aに示すように、ベースプレート31L、31Rの各外側面溝37は、正面視において、外周側孔34と、この外周側孔34から反時計方向に所定の角度離間した外径側貫通孔32とを接続するように、インボリュート曲線に沿って湾曲して形成されている。但し、図7Bに示すように、ベースプレート31Lの複数の外側面溝37の内、展開部31aに向かって延びる12個の外側面溝37aは、外周側孔34aと、この外周側孔34aから反時計方向に前記所定の角度を僅かに超えて離間した外径側貫通孔32とを接続するようにインボリュート曲線に沿って湾曲して形成されている。なお、図7A及び図7Bでは、外側面溝37及び内側面溝38に後述する外側接続コイル41及び内側接続コイル42を収容した状態を示している。
また、ベースプレート31L、31Rの各内側面溝38は、正面視において、外周側孔34と、この外周側孔34から反時計方向に(図7A側から見て時計方向に)所定の角度離間した内径側貫通孔33とを、外径側貫通孔32を避けて屈曲しながら接続するように形成されている。但し、図7Bに示すように、ベースプレート31Lの複数の内側面溝38の内、ベースプレート31Lの展開部31aに向かって延びる12個の内側面溝38aは、外周側孔34aと、この外周側孔34aから反時計方向に前記所定の角度を僅かに超えて離間した内径側貫通孔33とを接続するようにインボリュート曲線に沿って湾曲して形成されている。15個の内側面溝38aのうち残り3個の内側面溝38aは、入力端子用切欠部34cと連通する。
即ち、図7に示すように、外径側貫通孔32と内径側貫通孔33とは、外側面溝37及び内側面溝38が共通に連続する外周側孔34、又は外側面溝37a及び内側面溝38aが共通に連続する外周側孔34aを介して接続されている。
[2−2 接続コイル]
接続コイル40は、銅などの導電材料によって板状に形成されており、外側面溝37、37aにそれぞれ挿入される外側接続コイル41(41a、41b)と、内側面溝38にそれぞれ挿入される内側接続コイル42(42a、42b)とに分けることができる。なお、ここで言う外側接続コイル41とは、ステータコア組立体20とベースプレート組立体30L、30Rとが組み付けられたとき、ステータ10の軸方向外側となる接続コイル40のことであり、内側接続コイル42とは、ステータ10の軸方向内側となる接続コイル40のことである。
外側接続コイル41aは、一様厚を有する断面長方形状の板状導体であって、外側面溝37と同一形状のインボリュート曲線に沿って形成された外側接続コイル本体110から内径側端部111が径方向に屈曲するとともに、外径側端部112も外側接続コイル本体110から径方向に屈曲している。外側接続コイル41aの外径側端部112には軸方向内側に延出するように外側接続コイル延出部113が形成されている。外側接続コイル本体110及び内径側端部111の軸方向幅(L2)は、外側面溝37の溝深さと等しくなっており、外側接続コイル延出部113の軸方向幅(L4)は、外側面溝37と内側面溝38との各溝深さと隔壁31cの厚さ(L3)との合計に等しい軸方向幅(2×L2+L3)に設定されている。また、12個の外側接続コイル41bは、外側接続コイル本体110が外側面溝37aと同一形状に湾曲して形成されている以外、外側接続コイル41aと同様の構成を有している。
内側接続コイル42aは、一様厚を有する断面長方形状の板状導体であって、内側面溝38と同一形状のインボリュート曲線に沿って形成された内側接続コイル本体120から外径側貫通孔32を迂回するように形成された迂回部121を経由して内径側端部122が径方向に屈曲するとともに、外径側端部123も内側接続コイル本体120から径方向に屈曲している。内側接続コイル42aの外径側端部123には、軸方向外側に延出するように内側接続コイル延出部124が形成されている。内側接続コイル本体120及び内径側端部122の軸方向幅(L2)は、内側面溝38の溝深さと等しくなっており、内側接続コイル延出部124の軸方向幅(L4)は、外側面溝37と内側面溝38との各溝深さと隔壁31cの厚さとの合計に等しい軸方向幅(2×L2+L3)に設定されている。また、内側面溝38aに挿入される15個の内側接続コイル42bは、内側接続コイル本体120が内側面溝38aと同一形状に湾曲して形成されている以外、基本的に内側接続コイル42aと同様の構成を有しているが、15個の内側接続コイル42bのうち、入力端子用切欠部34cに対応する位置に配置される3個の内側接続コイル42bには、外部機器などに接続するための入力端子部43が入力端子用切欠部34cに嵌るように外径側端部123に一体に形成されている。
外側接続コイル41及び内側接続コイル42は同一の板厚を有し、この外側接続コイル41及び内側接続コイル42の板厚は、同じく同一の板厚を有する外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27と同じ板厚に設定されている。この外側接続コイル41及び内側接続コイル42の板厚は、外側接続コイル41及び内側接続コイル42(外側接続コイル本体110及び内側接続コイル本体120)の軸方向幅(L2)より小さくなっている。なお、上記した「接続コイル40のx(x=1、2、4)枚分の軸方向幅」は、外側接続コイル本体110及び内側接続コイル本体120の軸方向幅を意味している。また、「略等しい」とは、隔壁31c分の誤差を含む表現である。絶縁シート65の厚さについては考慮しないものとした。
外側接続コイル41、内側接続コイル42、及びスロットコイル25は、所定の板厚を有する金属板(例えば銅板)からプレス打抜等の加工を行うことにより、所望の軸方向幅及び所望の平面形状に形成することができる。さらに、外側接続コイル41については、打抜かれた板状導体を曲げ成形することにより、外側面溝37、37aと同一形状のインボリュート曲線に沿って形成された外側接続コイル本体110と、外側接続コイル本体110から屈曲するように接続された内径側端部111、外径側端部112とを形成することができる。同様に、内側接続コイル42についても、打抜かれた板状導体を曲げ成形することにより、内側面溝38、38aと同一形状のインボリュート曲線に沿って形成された内側接続コイル本体120と、内側接続コイル本体120から屈曲するように接続された内径側端部122、外径側端部123とを形成することができる。
外側接続コイル41a、41bは、ベースプレート31L、31Rの外側面溝37、37aに挿入される。外側接続コイル41の内径側端部111は外径側貫通孔32に配置され、図14に示すように、ステータコア組立体20とベースプレート組立体30L、30Rとの組み付けの際に同じくステータコア21のスロット23に挿入されて外径側貫通孔32に配置される外径側スロットコイル26の段差部26aと当接する。
内側接続コイル42a、42bは、ベースプレート31L、31Rの内側面溝38、38aに挿入される。内側接続コイル42a、42bの内径側端部122は内径側貫通孔33に配置され、図14に示すように、ステータコア組立体20とベースプレート組立体30L、30Rとの組み付けの際に同じくステータコア21のスロット23に挿入されて内径側貫通孔33に配置される内径側スロットコイル27の段差部27aと当接する。
外側接続コイル41a、41bの外径側端部112と内側接続コイル42a、42bの外径側端部123とは、図13に示すように、いずれも外周側孔34に配置され、外側接続コイル延出部113の周方向一方を向く側面113aと内側接続コイル延出部124の周方向他方を向く側面124aとが径方向及び軸方向全面に亘って当接する。
[3 接合]
互いに当接する、外側接続コイル41の内径側端部111と外径側スロットコイル26の段差部26a、内側接続コイル42の内径側端部122と内径側スロットコイル27の段差部27a、及び、外側接続コイル41の外側接続コイル延出部113と内側接続コイル42の内側接続コイル延出部124は、いずれも板厚方向に対して交差する平面状の板表面同士が溶接により、好ましくはレーザー溶接により接合される。以下の説明ではレーザー溶接により接合する場合を例に説明する。
図13に示すように、外側接続コイル延出部113と内側接続コイル延出部124とは、いずれも板厚方向に対して交差し軸方向に沿う平面状の板表面である、外側接続コイル延出部113の周方向一方を向く側面113aと内側接続コイル延出部124の周方向他方を向く側面124aとを対向させて当接させることで互いの板表面が径方向及び軸方向全面に亘って面接触する。両方の側面113a、124aを面接触させた状態で、外周側孔34の軸方向外側から径方向に延びる当接面P1に沿ってレーザー溶接することで当接面P1において接合される。これにより、同じ外周側孔34に位置する外側接続コイル41の外径側端部112と内側接続コイル42の外径側端部123とが電気的に接続され、ベースプレート組立体30L、30Rが構成される。なお、図13においては、ベースプレート31L、31Rを省略している。図14についても同様である。
図14に示すように、ステータコア組立体20とベースプレート組立体30L、30Rとの組み付けにおいては、絶縁シート65を介在させて互いの周方向の相対位置をあわせて軸方向に組み付けることで、外側接続コイル41の内径側端部111と外径側スロットコイル26の段差部26aとが当接し、内側接続コイル42の内径側端部122と内径側スロットコイル27の段差部27aとが当接することで、両者が位置決めされる。
外径側スロットコイル26の段差部26aと当接する外側接続コイル41の内径側端部111は、平面状の板表面である周方向他方を向く側面111aが段差部26aの側面26b全面に亘って当接するとともに、底面111bが段差部26aの底面26c全面に亘って当接する。板厚方向に対して交差し軸方向に沿う平面状の両側面111a、26bを面接触させた状態で、外径側貫通孔32の軸方向外側から径方向に延びる当接面P2に沿ってレーザー溶接することで当接面P2において接合される。
内径側スロットコイル27の段差部27aと当接する内側接続コイル42の内径側端部122は、平面状の板表面である周方向一方を向く側面122aが段差部27aの側面27b全面に亘って当接するとともに、底面122bが段差部27aの底面27c全面に亘って当接する。板厚方向に対して交差し軸方向に沿う平面状の両側面122a、27bを面接触させた状態で、内径側貫通孔33の軸方向外側から径方向に延びる当接面P3に沿ってレーザー溶接することで当接面P3において接合される。
同様に、バスバー用切欠部が形成された外径側貫通孔32aに配置された外径側スロットコイル26の段差部26aとバスバー用切欠部に配置されるバスバー61U、61V、61Wのバスバー接続部とをレーザー溶接し、中点バスバー用切欠部が形成された内径側貫通孔33aに配置された内径側スロットコイル27の段差部27aと中点バスバー62の中点バスバー接続部とをレーザー溶接することでバスバー61U、61V、61W及び中点バスバー62が外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27にそれぞれ接合される。
外径側貫通孔32、32a、内径側貫通孔33、33a及び外周側孔34は、軸方向から見て矩形形状を呈し、これらの内部に配置されるコイル部材よりも大きな空間を有しているので、即ち、レーザー光の照射部分とベースプレート31L、31R間には隙間が設けられているので、レーザー光によるベースプレート31L、31Rの損傷を防止できる。
このように接合することで、ステータコア21のスロット23に挿入された外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27とが、外側接続コイル41及び内側接続コイル42を介して電気的に接続された状態でステータコア組立体20にベースプレート組立体30L、30Rが組み付けられる。外側接続コイル41及び内側接続コイル42は、同相(例えば、U相)のスロットコイル25同士を接続してコイル50の渡り部を構成する。
従って、例えば図10に示すように、同一のスロット23に配置された外径側スロットコイル26及び内径側スロットコイル27に関して、外径側スロットコイル26の一端側(図中手前側)で接続された外側接続コイル41は、径方向外側、且つ、時計回りに延びて同相の内側接続コイル42に接続され、外径側スロットコイル26の他端側(図中奥側)で接続された外側接続コイル41は、径方向外側、且つ、反時計回りに延びて同相の内側接続コイル42に接続される。また、内径側スロットコイル27の一端側(図中手前側)で接続された内側接続コイル42は、径方向外側、且つ、反時計回りに延びて同相の外側接続コイル41に接続され、内径側スロットコイル27の他端側(図中奥側)で接続された内側接続コイル42は、径方向外側、且つ、時計回りに延びて同相の外側接続コイル41に接続される。
このようにステータ10は、ステータコア組立体20の両側に一対のベースプレート組立体30L、30Rを組みつけることで構成され、これによりセグメント化されたコイル50が、同一構造を有する各相6つのコイルループ(U相コイル50U、V相コイル50V、及びW相コイル50W)を形成する。この各相6つのコイルループ(U相コイル50U、V相コイル50V、及びW相コイル50W)は、2つのコイルループを1組として3組のU相コイル50U、3組のV相コイル50V、及び3組のW相コイル50Wが、反時計方向にこの順で波巻きされる(図11参照)。図8は、理解を容易にするためステータ10からセグメント化された複数相(UVW相)のコイルを抜き出して示す複数相のコイルの斜視図、図9は、図8の正面図、図10は、更に一相分(例えば、U相)のコイルを抜き出して示す斜視図、図11は、U相のコイルの結線態様を示す展開図、図12は、U相、V相、W相のコイルの結線態様を示す模式図である。
U相コイルを例に各相の結線態様について図11を参照しながらより詳細に説明すると、U相コイルを構成する6つのコイルループは、3つのコイルループ(Uループ)が連続して時計方向に波巻きされるとともに3つのコイルループ(ループ)が連続して反時計方向に波巻きされ、Uループとループが直列にバスバー61Uで結線されている。1つのスロット23内に配置される、絶縁材28で被覆された外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27とは、Uループを構成するコイルとループを構成するコイルとからなっており、電流の流れ方向が同一方向となっている。
例えば、1つのUループに着目すると、図11に示すように、U相のスロット23に配置された外径側スロットコイル26の軸方向一端(図の右手側)から、外側接続コイル41、内側接続コイル42の順に接続されて、次のU相のスロット23における、内径側スロットコイル27に接続される。その後、内径側スロットコイル27の軸方向他端(図の左手側)から、内側接続コイル42、外側接続コイル41の順に接続されて、さらに次のU相のスロット23における、外径側スロットコイル26に接続される。以降、この接続構成を繰り返してUループが形成されている。
同様に、他の2相、即ち、V相コイル(W相コイル)を構成する6つのコイルループも、反対方向に波巻きされた3つのVループ(Wループ)と3つのループ(ループ)が直列にバスバー61U(バスバー61W)で結線され、1つのスロット23内に配置される外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27とはVループ(Wループ)を構成するコイルとループ(ループ)を構成するコイルとからなっており、電流の流れ方向が同一方向となっている。これらU相コイル50U、V相コイル50V、及びW相コイル50Wは、図12に示すように、中点バスバー62でスター結線されている。
ステータ10では、外側接続コイル41と内側接続コイル42とが、ステータコア21を軸方向に投影した領域内に配置されると共に、軸方向に異なる位置に配置される。また、ステータ10の軸方向外側に配置される複数の外側接続コイル41a、41bの外側面は、ベースプレート31L、31Rの端面と面一となっている。
以上説明したように、本実施形態の回転電機のステータ10によれば、スロットコイル25と接続コイル40とが別体に形成される構成(組立コイル)であるため、スロットコイル25にのみスリット27dを設け、接続コイル40にはスリットを設けない構成とすることができる。このように、スロットコイル25を貫通するとともに、軸方向一端側から他端側に向かって延びるスリット27dをスロットコイル25に設けることで、漏れ磁束によるコイル渦損の発生を抑制することができる。また、漏れ磁束によるコイル渦損の発生しにくい接続コイル40に対しては接続コイル40にはスリットを設けていないので、コイル断面積の減少を抑制して抵抗の増加を抑制できる。
また、スロットコイル25と接続コイル40とが別体に形成される構成(組立コイル)であるため、スロットコイル25を形成する際にスリット27dを形成する加工を行うことにより、予め複数の導線で構成されたコイルを製造する場合に比べて、製造上の工数の増加を抑制できる。
なお、上記実施形態では、スロットコイル25を構成する外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27とのうち、内径側スロットコイル27にのみスリット27dを設けたが、外径側スロットコイル26にのみスリット27dを設けてもよく、外径側スロットコイル26と内径側スロットコイル27の両方にスリット27dを設けてもよい。ただし、ロータ側からの錯交磁束の比較的多い、ロータ側のスロットコイル25である内径側スロットコイル27に対してスリット27dを形成することが好ましく、ロータ側からの錯交磁束の比較的少ない、ロータ側とは反対側の外径側スロットコイル26に対してスリットを形成しないことにより、コイル渦損を効率的に抑制しつつ、コイル断面積の減少を抑制して抵抗の増加を抑制できる。なお、スリット27dは、一本でもよく、二本以上形成してもよく、その太さも目標性能によって適宜調整可能である。
また、図15Aに拡大して示すように、内径側スロットコイル27のスリット27dは、ステータコア21の両方の端面21a、21bに跨るように段差部27aにも形成されているので、ロータ側からの錯交磁束の生じる、スロット23内全域に亘ってコイル渦損を抑制できるため、効果的にコイル渦損を抑制できる。なお、スリット27dの軸方向長さは、ステータコア21の軸方向幅と同じ若しくはステータコア21の軸方向幅より短くてもコイル渦損を抑制できる。また、図15Bの第1変形例に示すように、スリット27dを、連結部27fを残して段差部27aの大部分に形成してもよい。図15A及び図15Bに記載の構成ように、スリット27dが、当接面P3となる段差部27aの少なくとも一部を除いた部分に形成されている、即ち、当接面P3となる段差部27aにおいてはスリット27dが形成されていない部分が存在することで、スロットコイル25と接続コイル40を結合する際においても、スロットコイル25がスリット27dで分割されている場合に比べてスロットコイル25の保持や位置決めが容易になり、製造効率の低下を抑制できる。
上記実施形態では、スリット27dを一枚の板状導体である内径側スロットコイル27に設け、内側接続コイル42の内径側端部122と接合する、内径側スロットコイル27の段差部27aにスリットを設けない領域を残したが、図16Aに示す第2変形例のように、内径側スロットコイル27を二枚の板状導体、即ち、内径側分割スロットコイル片27A、27Bから構成し、内径側分割スロットコイル片27A、27Bの合わせ面27eの軸方向における所定位置にスリット27dを形成してもよい。軸方向の所定位置は、ステータコア21の軸方向幅と同じ若しくはステータコア21の軸方向幅より短くても長くてもよい。
図16Bは、内径側スロットコイル27を三枚の板状導体、即ち、内径側分割スロットコイル片27A、27B、27Cから構成し、内径側分割スロットコイル片27A、27B、27Cの合わせ面27eの軸方向における所定位置にスリット27dを形成した第3変形例を示している。
スロットコイル25に貫通孔状のスリットを設ける場合、スロットコイル25の厚みによって貫通孔の幅に製造上の制約が生じてしまうため、幅の狭い貫通孔を形成することが困難となってしまうところ、図16A及び図16Bに記載の構成のように、合わせ面27eにおいて少なくとも一方の内径側分割スロットコイル片27A、27B(27C)に例えば段差状の凹みを形成しておくことで、内径側分割スロットコイル片27A、27B(27C)を突き合わせた状態においてスリット27dを構成することができ、幅の狭いスリットであっても容易に形成できる。また、スリット27dの幅を狭くすることで、スリット27dを設けることによるコイル断面積の減少を抑制することもできる。
また、スロットコイル25を分割スロットコイル片から構成する場合、即ち、第2変形例(図16A)及び第3変形例(図16B)の場合、必ずしも貫通孔状のスリット27dを形成しなくても、分割スロットコイル片同士の間に絶縁被膜等の絶縁材が介在することで絶縁されている、或いは高抵抗となっていれば、漏れ磁束によるコイル渦損の発生を抑制することができる。
図17Aは、内径側スロットコイル27を二枚の板状導体、即ち、内径側分割スロットコイル片27A、27Bから構成し、内径側分割スロットコイル片27A、27Bの合わせ面27eを内径側スロットコイル27の軸方向一端側から他端側に連続するように形成した第4変形例を示している。図17Bは、内径側スロットコイル27を三枚の板状導体、即ち、内径側分割スロットコイル片27A、27B、27Cから構成し、内径側分割スロットコイル片27A、27B、27Cの合わせ面27eを内径側スロットコイル27の軸方向一端側から他端側に連続するように形成した第5変形例を示している。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、円周方向に隣接する3つのスロット毎に同相のコイルが配置されるトリプルスロットタイプのステータを例示したが、これに限らず、円周方向の1つのスロット毎に各相のコイルが配置されるシングルスロットタイプ、円周方向に隣接する2つのスロット毎に同相のコイルが配置されるダブルスロットタイプのステータを用いてもよい。
また、コイルの結線については、上記実施形態に限らず、任意の仕様を選択でき、直列結線及び並列結線も適宜選択できる。
また、スロットコイル25は、断面長方形状の板状導体に限らず、断面円形状の円柱状導体、断面多角形状の柱状導体であってもよく、スロットコイル25と接続コイル40の結合は、溶接による接合に限らず、かしめによる締結等が含まれる。ただし、スロットコイルを板状導体とすることで、プレス加工等により所望の位置にスリットが形成されたスロットコイルを容易に製造できる。
また、一対のベースプレート組立体30L、30Rの軸方向外側に絶縁性のカバーを配置してもよく、樹脂等で被覆してもよい。
10 回転電機のステータ
20 ステータコア組立体
21 ステータコア
21a、21b ステータコアの軸方向端面
23 スロット
25 スロットコイル
26 外径側スロットコイル
26a 段差部
26b 側面
27 内径側スロットコイル
27a 段差部
27b 側面
28 絶縁材
30L、30R ベースプレート組立体
31L、31R ベースプレート
40 接続コイル
41、41a、41b 外側接続コイル
42、42a、42b 内側接続コイル
50 コイル
111a 側面
113 外側接続コイル延出部
122a 側面
124 内側接続コイル延出部
P2、P3 当接面(当接部)

Claims (5)

  1. 複数のスロットを有するステータコアと、
    前記ステータコアに取付けられるコイルと、を備えた回転電機のステータであって、
    前記コイルは、前記スロットに挿入される複数のスロットコイルと、前記ステータコアの軸方向端面よりも軸方向外側において、前記スロットコイル間を接続する複数の接続コイルと、を有し、前記スロットコイルと前記接続コイルとは当接部において結合されており、
    前記スロットコイルの前記スロット内に位置する部分には、前記スロットコイルを貫通するとともに、軸方向一端側から他端側に向かって延びるスリットが形成されており、
    前記当接部は、前記スロットコイルの軸方向における所定位置に設けられ、
    前記スリットは、前記当接部の少なくとも一部を除いた部分に形成されている、回転電機のステータ。
  2. 複数のスロットを有するステータコアと、
    前記ステータコアに取付けられるコイルと、を備えた回転電機のステータであって、
    前記コイルは、前記スロットに挿入される複数のスロットコイルと、前記ステータコアの軸方向端面よりも軸方向外側において、前記スロットコイル間を接続する複数の接続コイルと、を有し、前記スロットコイルと前記接続コイルとは当接部において結合されており、
    前記スロットコイルの前記スロット内に位置する部分には、前記スロットコイルを貫通するとともに、軸方向一端側から他端側に向かって延びるスリットが形成されており、
    前記スロットコイルは、分割スロットコイル片から構成されたスロットコイルを含み、
    前記スリットは、軸方向の一方側から他方側に向かって延びる分割スロットコイル片の合わせ面の軸方向における所定位置に形成されている、回転電機のステータ。
  3. 複数のスロットを有するステータコアと、
    前記ステータコアに取付けられるコイルと、を備えた回転電機のステータであって、
    前記コイルは、前記スロットに挿入される複数のスロットコイルと、前記ステータコアの軸方向端面よりも軸方向外側において、前記スロットコイル間を接続する複数の接続コイルと、を有し、前記スロットコイルと前記接続コイルとは当接部において結合されており、
    前記スロットコイルの前記スロット内に位置する部分には、前記スロットコイルを貫通するとともに、軸方向一端側から他端側に向かって延びるスリットが形成されており、
    前記スロットには、前記スロットコイルが径方向に沿って少なくとも2本配列されており、
    径方向においてロータに一番近い側のスロットコイルに前記スリットが形成されるとともに、他のスロットコイルには前記スリットが形成されていない、
    回転電機のステータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転電機のステータであって、
    前記スリットは、前記ステータコアの軸方向両端面に跨るように形成されている、回転電機のステータ。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の回転電機のステータであって、
    前記スロットコイルは、板状導体によって構成されており、
    前記スリットは、前記板状導体の板厚方向に貫通するように形成されている、回転電機
    のステータ。
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