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JP6195071B2 - 表皮一体樹脂成形装置 - Google Patents

表皮一体樹脂成形装置 Download PDF

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本発明は、表皮一体樹脂成形装置に関し、特に、表皮の周縁をフローティングコアによって保持する表皮一体樹脂成形装置に関する。
例えば、特許文献1には、スプリングによって上型側へ付勢されたフローティングコアを備え、該フローティングコアの上端面と上型とによって表皮の周縁部分を気密にシールするように構成したモールドプレス成形用金型が開示されている。このようなモールドプレス成形用金型では、フローティングコアに製品形状(成形面)の一部が形成されている場合、成形時の樹脂圧(樹脂に作用する成形圧力)によってフローティングコアがスプリングのばね力に抗して移動、すなわち、成形時の圧力によってフローティングコアが押し戻され、その結果、製品(成形品)にバリが発生したり、要求される寸法(板厚)精度が確保できないおそれがある。
そこで、成形時の圧力によってフローティングコアが押し戻されることを防止するため、スプリングのばね力(フローティングコアの付勢力)を高めると、より高いプレス能力(型締め圧)の設備が必要となり、設備の大型化、ならびに設備コストの増大を招く。
特開平7−117066号公報
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、フローティングコアに製品形状が形成されていても、設備を大型化させることなく、高い精度の製品を得ることが可能な表皮一体樹脂成形装置を提供することを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明の表皮一体樹脂成形装置は、一対の型と、前記一対の型間に配置された表皮の周縁を一方の型との間で挟持しつつ、成形キャビティの外周をシールするフローティングコアと、前記フローティングコアを前記一方の型へ向けて付勢する弾性部材と、を備え、前記成形キャビティ内に供給された溶融樹脂を前記表皮と一体に成形する表皮一体樹脂成形装置であって、前記弾性部材の収縮長さを制限して型閉じ状態での前記フローティングコアと前記一方の型との間の距離を確定する制限手段を備え、前記フローティングコアは、アンダーカット成形部が形成されるとともにコア本体に対して型開閉方向へ分割可能に装着されるコア分割体を有し、前記制限手段は、前記型閉じ状態で前記フローティングコアと他方の型との間に介在される当て座であることを特徴とする。
本発明によれば、フローティングコアに製品形状が形成されていても、設備を大型化させることなく、高い精度の製品を得ることが可能な表皮一体樹脂成形装置を提供することができる。
下型ベースおよび上型ベース(ダイセット)に取り付けられた金型の斜視図である。 下型ベースおよび上型ベース(ダイセット)に取り付けられた金型の断面図であって、特に、型閉じ前の状態を示す図である。 下型ベースおよび上型ベース(ダイセット)に取り付けられた金型の断面図であって、特に、型閉じ状態(型閉じ時)を示す図である。 図2における要部の拡大図である。 図3における要部の拡大図である。 製品の製造工程を説明するための図である。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
以下、表皮一体樹脂成形品(以下必要に応じて「製品」という)を低圧プレス成形するための装置、特に、該装置に使用される金型を説明する。なお、本実施形態において、製品は、平板形状の基部と、該基部に対して垂直に設けられる取付片と、該取付片に設けられる取付孔(アンダーカット部)と、を有する。
図1〜図3に示されるように、金型1は、下型2(一方の型)、上型3、およびフローティングコア11を有する。下型2は、低圧プレス成形装置の本体(以下「装置本体」という)の下部テーブルに固定される下型ベース4に取り付けられる。上型3は、装置本体の上部テーブル(ラム)に固定される上型ベース5に取り付けられる。下型2と上型3との相対位置決め、換言すると、下型2に対する上型3の位置決めは、図3に示される型閉じ状態で、下型ベース4に設けられた複数個(本実施形態では4個)のガイドピン6の凸部に上型ベース5に設けられた対応する各ガイドピン7の凹部を係合させることで成立する。なお、本実施形態において、装置本体には、汎用機が使用される。したがって、明細書の記載を簡潔にすることを目的に、装置本体の詳細な説明を省略する。
フローティングコア11は、矩形の枠体によって構成され、下型2と上型3との間の隙間(成形キャビティ9)に沿うように設けられる。フローティングコア11は、コア本体12と、該コア本体12に対して型開閉方向(図2、図3における上下方向)へ分割可能に取り付けられるコア分割体13と、を有する。コア分割体13は、フローティングコア11の下部、すなわち、下型2側(図4、図5における下側)の主要部を構成し、コア本体12とコア分割体13との双方に埋設された磁石(図示省略)によって、コア本体12に対して着脱可能に装着される。なお、コア分割体13の内周(図4、図5における左側面)には、製品の取付孔(アンダーカット部)を成形するためのアンダーカット成形部14を含む成形面(製品形状)の一部が形成される。
フローティングコア11は、図2に示される型閉じ前の状態で、上型3に垂設された(取り付けられた)複数個(図2には2個のみ示される)の吊持部材15によって上型3に吊持される。吊持部材15には、例えば、ボルト(以下必要に応じて「ボルト15」という)が適用される。この場合、フローティングコア11に形成された各ザグリ孔16にボルト15を挿入し、各ボルト15の軸部(ねじ部)の先端を、上型3に形成された各ねじ孔17に螺合させる。なお、吊持部材15(ボルト)の軸部の長さは、フローティングコア11(コア本体12)の内周面11Aの一部(図2における上側の部分)が上型3の外周3Aに摺動可能に接触される範囲内に設定される。
図4に示されるように、吊持部材15の軸部には、圧縮コイルばね19(弾性部材)が外装される。すなわち、圧縮コイルばね19は、フローティングコア11と上型3との間に介装され、フローティングコア11を下型2のパーティング面18へ向けて付勢する。圧縮コイルばね19は、下型2側の端部がフローティングコア11(コア本体12)の上型3側の端面11Bに形成されたばね受部20によって受けられるとともに、上型3側の端部が上3の後述する当て座の21の受圧面3Bによって受けられる。
フローティングコア11には、図5に示される型閉じ(型締め)状態で、フローティングコア11の上端面11Bと上型3の受圧面3Bとの間に介在される円筒形状の当て座21(制限手段)が設けられる。当て座21は、各吊持部材15および圧縮コイルばね19に対応して設けられ、下型2側の端部が、対応する圧縮コイルばね19のばね受部20の周囲に溶接等によって接合される。換言すると、当て座21は、対応する吊持部材15および圧縮コイルばね19を囲繞するようにして吊持部材15および圧縮コイルばね19に対して同一軸線上に設けられる。
図3、図5に示される型閉じ状態(型締め時)では、当て座21は、上型3側の端面21Aが上型3の受圧面3Bに当接し、これにより、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と上型3の受圧面3Bとの間の距離が確定される。すなわち、当て座21の端面21Aが上型3の受圧面3Bに当接した時点で、フローティングコア11と上型3とが一体で移動(下降)し、圧縮コイルばね19のそれ以上の収縮が制限(阻止)される。これにより、当て座21の端面21Aが上型3の受圧面3Bに当接した以降の、フローティングコア11のパーティング面22と上型3の受圧面3Bとの間の距離が確定する。その結果、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の表皮8の周縁8Aは、複数個の当て座21を介して上型3(ラム)によって押圧される。
前述したように、型閉じ状態(型締め時)で、フローティングコア11のパーティング面22と上型3の受圧面3Bとの間の距離は一定する。延いては、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1(図5参照)が確定される。本実施形態では、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1は、フローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の表皮8の周縁8Aが圧縮される距離、換言すると、表皮8の肉厚が押し潰れるような距離に設定される。これにより、金型1のパーティングライン、すなわち、フローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の隙間、換言すると、成形キャビティ9の外周は、表皮8の圧縮された(肉厚が押し潰された)周縁8Aによってシールされる。
なお、表皮8は、不織布、ファブリック、皮革、合成皮革等を適用することができる。そして、型閉じ状態(型締め時)におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1は、適用される表皮8の圧縮量(肉厚の押し潰し量)に基づき決定される。すなわち、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1は、型閉じ状態における圧縮コイルばね19(弾性部材)のばね力、装置本体のプレス能力を考慮して決定される。また、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1は、フローティングコア11と下型2との間で押し潰された表皮8の反力によって、型閉じを完了することができないことがない、すなわち、フローティングコア11および上型3が下型2に対して浮き上がることがないように設定される。
次に、本実施形態の作用を説明する。
ここでは、前述した金型1が装着された表皮一体樹脂成形装置を使用して、製品を低圧プレス成形する工程を説明する。
まず、図6(A)に示されるように、押出装置から供給された樹脂材料10(熱可塑性樹脂)をTダイ23(T型コートハンガーダイ)の内部で溶融させ、溶融された樹脂材料10を表皮8上に一定の厚さで載せる。次に、図6(B)に示されるように、溶融状態の樹脂材料10を載せた表皮8を、下型2と上型3との間にセットする。
次に、装置本体のラムを下降、延いては上型3を下型2(一方の型)へ向けて移動させ、図6(C)に示されるように、金型1を型閉じさせる。型閉じ後、金型1を一定の加圧力で型締め(プレス)し、樹脂材料10を金型1内部に形成された成形キャビティ9に充填させる。樹脂材料10の硬化後、図6(D)に示されるように、金型1を型開きし、表皮8が一体に成形された樹脂成形品(製品)を金型1から取り出す。なお、製品は、フローティングコア11のコア本体12からコア分割体13を分離させることで、コア分割体13とともに取り出すことができる。
ここで、図6(C)に示される金型1を型閉じする工程において、上型3が下降する過程で、図2、図4に示されるように、フローティングコア11のパーティング面22が下型2のパーティング面18上の表皮8の周縁8Aに当接された時点から、各圧縮コイルばね19(弾性部材)の収縮量に応じたばね力で、表皮8の周縁8Aがフローティングコア11と下型2とによって挟持される。なお、表皮8の周縁8Aには、フローティングコア11の自重も付加される。
そして、図3、図5に示される型閉じ状態(型締め時)において、各当て座21(制限手段)が上型3の受圧面3Bに当接され、その結果、フローティングコア11が各当て座21を介して上型3と一体化される。これにより、フローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1が確定し、フローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の表皮8の周縁8Aが、予め定められた量だけ押し潰されることにより、成形キャビティ10の外周がシールされる。
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、成形キャビティ9の外周をシールするフローティングコア11と下型2(一方の型)との間で、一対の型2,3間に配置された表皮8の周縁8Aを挟持する表皮一体樹脂成形装置において、型閉じ状態(型締め時)で、フローティングコア11と上型3との間に当て座21(制限手段)を介在させた。
これにより、フローティングコア11を下型2へ向けて付勢する圧縮コイルばね18(弾性部材)の収縮長さが予め定められた長さに制限され、その結果、フローティングコア11が当て座21を介して上型3に一体化される、フローティングコア11に作用する成形時の樹脂圧を、上型3の受圧面3Bによって受けることができる。したがって、成形時の樹脂圧によるフローティングコア11および上型3の移動(浮き上がり)を抑止するために圧縮コイルばね19のばね力を高める必要がなく、延いては装置本体のプレス能力を引き上げる必要がないので、設備コストの増大を抑制することができる。また、高い精度の成形キャビティ9を構成することが可能であり、フローティングコア11および上型3の浮き上がりに起因する製品の板厚のプラス側誤差、アンダーカット部の位置ずれ等を回避することができる。
また、本実施形態では、型閉じ状態(型締め時)にフローティングコア11が当て座21を介して上型3に一体化されるので、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1を確定することができる。そして、型閉じ状態におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1を、フローティングコア11と下型3とによって挟持された表皮8の周縁8Aが圧縮される、すなわち、肉厚が押し潰れる距離に設定したので、成形キャビティ9の外周のシール性を確保することができる。これにより、金型1のパーティング部、すなわち、フローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の隙間に樹脂材料10が流入することに起因するバリの発生を防止することができる。
さらに、型閉じ状態(型締め時)におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1を、フローティングコア11と下型2との間で圧縮された表皮8の反力によって、型閉じを完了することができない、すなわち、フローティングコア11および上型3が下型2に対して浮き上がることがないように設定したので、高い精度の成形キャビティ9を構成することが可能であり、製品の精度を確保することができる。
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成することができる。
装置本体は、低圧プレス成形の他、低圧射出成形、射出成形等、表皮を一体に樹脂成形のための装置に適用することができる。
本実施形態では、当て座21をフローティングコア11に設けて制限手段としたが、当て座21を上型3に設けて制限手段とすることができる。さらに、制限手段は、ばね受部20の深さ(ザグリ深さ)を調節することで、当て座21を使用しないで圧縮コイルばね19(弾性部材)の収縮長さを制限するように構成することができる。
金型1の上下を入れ替える、換言すると、金型1の上下を反転させた態様にも適用することができる。
金型1は、表皮8を使用しない、すなわち、樹脂材料10のみの成形に適用することができる。この場合、型閉じ状態(型締め時)におけるフローティングコア11のパーティング面22と下型2のパーティング面18との間の距離L1を0に設定する。
1 金型(一対の型)、2 下型(一方の型)、8 表皮、8A 周縁(表皮)、9 成形キャビティ、10 樹脂材料(溶融樹脂)、11 フローティングコア、12 コア本体、13 コア分割体、14 アンダーカット成形部、19 圧縮コイルばね(弾性部材)、21 当て座(制限手段)

Claims (2)

  1. 一対の型と、前記一対の型間に配置された表皮の周縁を一方の型との間で挟持しつつ、成形キャビティの外周をシールするフローティングコアと、前記フローティングコアを前記一方の型へ向けて付勢する弾性部材と、を備え、前記成形キャビティ内に供給された溶融樹脂を前記表皮と一体に成形する表皮一体樹脂成形装置であって、
    前記弾性部材の収縮長さを制限して型閉じ状態での前記フローティングコアと前記一方の型との間の距離を確定する制限手段を備え、
    前記フローティングコアは、アンダーカット成形部が形成されるとともにコア本体に対して型開閉方向へ分割可能に装着されるコア分割体を有し、
    前記制限手段は、前記型閉じ状態で前記フローティングコアと他方の型との間に介在される当て座であることを特徴とする表皮一体樹脂成形装置。
  2. 前記型閉じ状態での前記フローティングコアと前記一方の型との間の距離は、前記表皮の周縁が前記フローティングコアと前記一方の型との間で圧縮される距離に設定されることを特徴とする請求項1に記載された表皮一体樹脂成形装置。
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