この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
なお、図中、矢印(F)は車体前方、矢印(U)は車体上方を示し、矢印(IN)は車体内方、矢印(OUT)は車体外方を示す。
図面は本実施形態の車両Vの下部車体構造を示し、図1は本車両の下部車体構造の平面から視た斜視図を示し、図2は本車両の下部車体構造の底面図を示し、図3は本車両の下部車体構造の底面図を示し、図4は図3中のA−A線矢視を上下反転させた断面図を示し、図5は、本車両の下部車体構造の上下方向における所定箇所を水平面で切断した断面図を示す。
図6は図3中のB−B線矢視を上下反転させた断面図を示し、図7は本実施例及び他の実施例の前側トンネルメンバの車体への取付構造の説明図であり、詳しくは、図7(a)は図6中の領域Z2の拡大図を示し、図7(b)は図7(a)に対応して示した他の実施例の説明図であり、図7(c)は図7(a)に対応して示したさらに他の実施例の説明図である。図8は前側トンネルメンバを下方から視た斜視図を示し、図9(a)は本実施例の前側トンネルメンバの底面図を示し、図9(b)、(c)、(d)は夫々他の実施例の前側トンネルメンバの底面図を示す。図10(a)は、本車両の下部車体構造の車幅方向左側前部の底面図であり、図10(b)は図10(a)中のC−C線矢視を上下反転させた断面図を示す。図11は本車両の下部車体構造において、各メンバの配置に着目した説明図を示し、図12(a)(b)は、本車両の下部車体構造における前突、側突の夫々の場合の各メンバに伝わる荷重に着目した作用説明図を示し、図13(a)は本車両の下部車体構造における前突時の他の作用説明図を示し、図13(b)は本車両の下部車体構造における図5に対応して示した作用説明図を示す。
また、図3、図11、及び図12(a)、(b)は、車両の下部車体構造を底面から視た状態においてフロアパネル2を図示省略している。
本実施形態に係る車両Vは、図1〜図3に示すように、エンジンルームEと車室(図示省略)とを仕切るダッシュパネル1と、上記車室の底面を形成するフロアパネル2とを備えており、ダッシュパネル1は、フロアパネル2の前端から立ち上がるように配設されている。車両Vは、フロアパネル2の車幅方向の両外側に、車両前後方向に延設された一対のサイドシル3,3を備えている。
サイドシル3は、図4に示すように、所定の閉断面構造を有し、車両Vの車幅方向両側の縁部で夫々車両前後方向に延びている。車幅方向の両側のサイドシル3には、フロアパネル2を連結している(図1、図2、及び図4参照)。詳しくは、サイドシル3は断面コ字状のインナパネル3n、及びアウタパネル3uを有し、これらパネル3n,3uの上下両端部同士が接合されて閉断面が形成され、サイドシル3のインナパネル3nの内方壁面の下部にフロアパネル2の車幅方向の外端部を接合している(図4参照)。
車両Vには、図1、及び図4に示すように、上述のサイドシル3の前部位置から上方に延びるヒンジピラー4と、サイドシル3の前後方向中間位置から上方に延びるセンターピラー5とを設けている。
ヒンジピラー4は、ヒンジピラーアウタ4uとヒンジピラーインナ4nとを備えて、上下方向に延びるヒンジピラー閉断面を構成し、図示しないフロントドアを開閉可能に支持する車体剛性部材であって、このヒンジピラー4はルーフサイドレール6とサイドシル3との間に立設固定されており、必要に応じてヒンジピラーアウタ4uとヒンジピラーインナ4nとの間には、ヒンジピラーレインフォースメント4r,4sが設けられる(図4参照)。
なお、ヒンジピラー4のサイドシル3への結合部位(ヒンジピラー4の裾部)は、該ヒンジピラー4の下端部に進むに従ってサイドシル3の前端から徐々に車両後方向に幅を有するように形成している(図1参照)。
また、センターピラー5は、センターピラーアウタ5uとセンターピラーインナ5nとを備えて、上下方向に延びるセンターピラー閉断面を構成し、図示しないリヤドアを開閉可能に支持する車体剛性部材であって、このセンターピラー5はルーフサイドレール6とサイドシル3との間に立設固定されている(図1、図4参照)。
なお、センターピラー5のサイドシル3への結合部位(センターピラー5の裾部)は、センターピラー5の下端部に進むに従って徐々にサイドシル3の略中間位置に対して車両前後方向に幅を有するように形成している(図1参照)。
ここで、上述のヒンジピラー4と、サイドシル3と、センターピラー5と、ルーフサイドレール6とで囲繞された空間部を、前席乗員の乗降口50F(ドア開口部)に設定すると共に、センターピラー5と、サイドシル3と、クオータピラー(図示省略)と、ルーフサイドレール6とで囲繞された空間部を、後席乗員の乗降口50R(ドア開口部)に設定している(図1参照)。
また、図1〜図3に示すように、車両Vは、ダッシュパネル1の前部におけるエンジンルームEの側方にて夫々車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム7を有する。フロントサイドフレーム7は、断面ロ字状の閉断面構造を有している(図示省略)。図2、及び図3に示すように、フロントサイドフレーム7の後方側の部分は、ダッシュパネル1の下部に結合されている。このフロントサイドフレーム7の後端部には、該後端部から連続して後方側程車幅方向内側に延びて後述するトンネルサイドフレーム9の前部と接続するフロントサイドフレーム延長部11をフロアパネル2の下部に備えている。
フロントサイドフレーム延長部11は、図2、図3、及び図5に示すように、フロアトンネル8の下面部(裏面)との間でフロントサイドフレーム延長部閉断面部11Sを構成するようにフロアパネル2の下面部(裏面)に取り付けられている。
このフロアパネル2における車幅方向中央部には、図1〜図4に示すように、車体前後方向に延びるとともに上方(車室側)に向かって膨出したフロアトンネル8を備えている。このフロアトンネル8の前端部はダッシュパネル1に接続されている。
図2、図3、及び図4に示すように、フロアトンネル8の下部の両縁部には、フロアトンネル8を補強する左右一対のトンネルサイドフレーム9が取り付けられている。詳しくは、車幅方向の両側のトンネルサイドフレーム9,9は、フロアパネル2と、フロアトンネル8の車幅方向両外側の平坦部との境界領域に、車両前後方向に直線状に延びてフロアトンネル8の車幅方向寸法に略等しい間隔を有して互いに略平行に配設されている。
トンネルサイドフレーム9は、図4〜図7(a)に示すように、車両前後方向に垂直な断面において上方開口の略コ字状(断面ハット状)のコ字状部9aを有し、該コ字状部9aは、底面部91と外面部92と内面部93とから形成し、フロアトンネル8の下面部(裏面)との間でトンネルサイドフレーム閉断面部9Sを構成するようにフロアトンネル8の下面部における、フロアトンネル8とフロアパネル2との境界部分の下面部に取り付けられている。
また、図1に示すように、フロアトンネル8の後端部は、フロアパネル2から斜め上方に向けて立ち上がるキックアップ部12(キックアップパネル12)に接続されている。
上述のフロアパネル2の後端部には、キックアップ部12を介してリヤフロアパネル13が連接されている。
さらに、上述のリヤフロアパネル13の車幅方向両外側には、車両Vの前後方向に延びるサイドシルリヤ14を接合固定し、これら左右一対のサイドシルリヤ14,14の前端部をサイドシル3の後端部に夫々連接している(図1参照)。
また、図2、及び図3に示すように、車幅方向の各側のフロントサイドフレーム7の後部には、該後部から後方側程車幅方向外側に延びるトルクボックス15を配設している。これらのトルクボックス15は、車体の剛性を高める車体剛性部材であるとともにフロントサイドフレーム7に加わる荷重をサイドシル3に有効に伝達する閉断面15Sを有するようにその車幅方向外方端部がサイドシル3の前端に直接的に結合されている。
また、フロアパネル2の上面部には、図1、図3及び図4に示すように、該上面部との間で閉断面を構成するように後方側程車幅方向外側に傾斜して車両前後方向に延びる左右一対の前後メンバ16(フロアフレーム16)が配設されている。
この左右一対の前後メンバ16は、フロントサイドフレーム7の後部においてフロアパネル2の下面部に配設したトルクボックス15とフロントサイドフレーム延長部11との分岐部Dに平面視で重なる位置に配設されている(図1〜図3参照)。
前後メンバ16の後部は、後述するフロア上傾斜メンバ32の略中間部、詳しくは、フロア上傾斜メンバ32の中間部よりも車幅方向の外側部分に接続されている(図1、図3参照)。
また、車両Vの下部には、図1中に仮想線で示したように、乗車用シートとしてのフロントシート(図示省略)を取り付ける車両用シート構成部材としてのレール状のシートブラケット60を備えている。
詳しくは、レール状のシートブラケット60は、フロアパネル2の車幅方向のフロアトンネル8の左右各側において、車幅方向の内側と外側との夫々に互いに略平行に前後方向に沿って一対ずつ配設されている。
なお、図1中においては、フロアトンネル8に対して右側に備えたフロアパネル2に配設した一対のシートブラケット60,60のみを図示している。
これら一対のシートブラケット60,60のうち、車幅方向の外側に配置したシートブラケット60の前端部はシート支持部材17によって支持されている。
シート支持部材17は、図1、及び図3に示すように、サイドシル3から車幅方向内方に突出するようにフロアパネル2の上面部においてフロア上傾斜メンバ32の前方に配設され、該シート支持部材17の車幅方向内端は、上記前後メンバ16に結合されている。
なお、本実施例において、シート支持部材17は、車両用シート構成部材としてのレール状のシートブラケット60を支持する構成としたが、この構成に限らず、車両用シート構成部材を乗車用シートとし、該乗車用シートをシートブラケット60を介さずに直接支持する構成としてもよい。
また、図1〜図3に示すように、車両Vの前部においてフロントサイドフレーム7に対して平面視で略平行であるとともに、車幅方向外方、且つ上方に離間した位置には、左右一対のエプロンレインフォースメント18(以下、「エプロンレイン18」と略記する。)が車体前後方向に延びている。
エプロンレイン18は、その後端部が、ヒンジピラー4の上端部に接合され、車両前後方向に延びるエプロンレイン閉断面を備えた車体剛性部材である。
また、図1、及び図3に示すように、フロアパネル2の上部には、センターピラー5と車両前後方向の略同位置で略車幅方向に直線状に延びてサイドシル3とフロアトンネル8とに接続するクロスメンバ30(No.2.5クロスメンバ30)を備えている。
クロスメンバ30は、フロアトンネル8の上面部との間でクロスメンバ閉断面部30Sを構成するようにフロアパネル2の上面部に取り付けられている(図3参照)。
さらに、車両Vの下部には、図3に示すように、サイドシル3とヒンジピラー4との結合部位近傍CFr,CFlと、該結合部位CFr,CFlの車幅方向の反対側のサイドシル3とセンターピラー5との結合部位近傍CRl,CRrとをつなぐ傾斜メンバ20,31,32が設けられている。傾斜メンバ20,31,32は、前側トンネルメンバ20とフロア下傾斜メンバ31とフロア上傾斜メンバ32とで、車両平面視略X字状をなすように構成している。
前側トンネルメンバ20は、車両底面視でX字状の傾斜メンバ20,31,32における交差部分に相当するメンバであり、車両前後方向において、トンネルサイドフレーム9にフロア下傾斜メンバ31が接続された位置と略同位置であるとともに(図2、図3参照)、車両前後方向においてトンネルサイドフレーム9にフロア上傾斜メンバ32がオーバーラップする位置と略同位置に配置されている(図1、図3参照)。
前側トンネルメンバ20は、図2、図3、図8、図9(a)に示すように、車両平面視略X字状のX字状部21を有して構成し、フロアトンネル8を跨いでフロアパネル2におけるフロアトンネル8の下部の車幅方向両側を連結するように配設され、これにより、フロア上傾斜メンバ32からの荷重、又はフロア下傾斜メンバ31からの荷重をフロアトンネル8の下部で車両幅方向の反対側へ伝えるものである。
X字状部21は、車両平面視で、フロア下傾斜メンバ31およびフロア上傾斜メンバ32の夫々と略直線状に連続するとともに、互いに略X字状にクロスする稜線部22(傾斜部)を備えている(同図参照)。
なお、X字状部21の交差部分の下面には、下方へ突状に形成するとともに、平面視X字状に形成したビード21aを備えている(図2、図3、図6、図8、図9(a)参照)。
図6、及び図7(a)に示すように、前側トンネルメンバ20は、トンネルサイドフレーム9(トンネルサイドメンバ9)の上記底面部91に近接して対向するように車幅方向に延びる第1面部261と、第1面部261の車幅方向内端から上方にトンネルサイドフレーム9の上記内面部93に近接して対向するように延びる第2面部262と、該第2面部262の上端から車幅方向内方に延びる第3面部263とを有している。
また、前側トンネルメンバ20は、車両底面視で車幅方向の両側において、第1面部261とX字状部21とで囲まれた部分に、上下方向に貫通する貫通孔29を形成するとともに(図2、図3、図8、図9(a)参照)、下側パネル23と、該下側パネル23よりも上側に位置する上側パネル24とを備えている(図4、図6参照)。
下側パネル23は、図4、図6、及び図8に示すように、稜線部22に相当する箇所を、第1面部261と略面一なるように第3面部263に相当する部分に対して、すなわち、X字状部21の前後各縁部、及び貫通孔29の周縁部に対して、下方に平面視略X字状に凹んだ凹形状に形成している。
上側パネル24は、車両平面視で下側パネル23と略同一形状に形成し、また上側パネル24の第1面部261は、全体を平坦状に形成した第3面部263に対して下方に位置するように上下方向に延びる第2面部262を介して段状に形成している(同図参照)。
前側トンネルメンバ20は、図4、及び図6に示すように、X字状部21に閉断面部20S(以下、「前側トンネルメンバ閉断面部20S」という。)が構成されるように、上述した上側パネル24と下側パネル23とを上下各側で対向させた状態でフロアトンネル8の下部に配置している。
このとき、前側トンネルメンバ20の第1面部261とトンネルサイドフレーム9の底面部91とが対向するとともに、前側トンネルメンバ20の第2面部262とトンネルサイドフレーム9の内面部93とが対向する(図4、図6、図7(a)、図8参照)。
前側トンネルメンバ20は、図2、図3、図6、図7(a)、図8、図9(a)に示すように、フロアパネル2におけるフロアトンネル8の車幅方向の両外縁に複数箇所に渡ってボルトB、及びナットNにより締結されている。前側トンネルメンバ20は、これら締結部25(25u,25n)において、ボルトB、及びナットNにより上側パネル24と下側パネル23とが共締めにより一体化した状態でトンネルサイドフレーム9に締結されている。
詳しくは、図7(a)に示すように、ボルトB、及びナットNにより、前側トンネルメンバ20は、第1面部261をトンネルサイドフレーム9の底面部91に締結するとともに、第3面部263をフロアトンネル8にブラケット19を介して締結することにより、車体に取り付けている。
ここで、図6、図7(a)、図8、及び図9に示すように、第1面部261をトンネルサイドフレーム9の底面部91に締結した締結部25を外側締結部25uに設定するとともに、第3面部263をフロアトンネル8に締結した締結部25を内側締結部25nに設定する。
このとき、図2、図3、図8、及び図9(a)に示すように、前側トンネルメンバ20は、車幅方向の両側において、前端部、中間部、後端部において外側締結部25uと内側締結部25nとを夫々一対ずつ配置しており、これら一対の外側締結部25uと内側締結部25nとは、夫々車両前後方向の略同一に取り付けられている。
詳しくは、図8、及び図9(a)に示すように、前側トンネルメンバ20の車幅方向の両側において、前側トンネルメンバ20の前端部、略中間部、後端部の各外側締結部25uを、夫々外側前端締結部25uf、外側中間締結部25um、外側後端締結部25urに設定するとともに、前側トンネルメンバ20の前端部、略中間部、後端部の各内側締結部25nを、夫々内側前端締結部25nf、内側中間締結部25nm、内側後端締結部25nrに設定する。外側前端締結部25ufと内側前端締結部25nfとは、前側トンネルメンバ20の前端位置に車両前後方向において略同一に取り付けられ、外側中間締結部25umと内側中間締結部25nmとは、前側トンネルメンバ20の車両前後方向の中間位置に車両前後方向において略同一に取り付けられ、外側後端締結部25urと内側後端締結部25nrとは、前側トンネルメンバ20の後端位置に車両前後方向において略同一に取り付けられている(同図参照)。
なお、内側締結部25nに着目すると、内側締結部25nのうち内側前端締結部25nfは、前側トンネルメンバ閉断面部20Sを有するX字状部21の前端部を締結するとともに、内側後端締結部25nrは、X字状部21の後端部を締結し、また、内側中間締結部25nmは、X字状部21を構成する一対の稜線部22,22の車両前後方向の間部分を締結している(図8、及び図9(a)参照)。
また、上述した前側トンネルメンバ20は、図5に示すように、X字状の前側トンネルメンバ閉断面部20Sにおける車両前後方向の略下半分に、車両平面視で車両後方側が開口する略V字状の閉断面部20Sv(以下、「前側トンネルメンバV字状閉断面部20Sv」という。)を有し、該前側トンネルメンバV字状閉断面部20Svは、フロア上傾斜メンバ32に連続するように形成されている(図3、図4参照)。
続いて、上述したフロア下傾斜メンバ31について図2、及び図3を用いて説明する。
フロア下傾斜メンバ31は、車両底面視でX字状の傾斜メンバ20,31,32における交差部よりも車両前側に相当するメンバであり、フロアパネル2におけるフロアトンネル8に対して車幅方向両外側に一対備えるとともに、サイドシル3とヒンジピラー4との結合部位近傍CFr,CFlから後方側程車幅方向内側に傾斜して延びるようにフロアパネル2の下部に配設している。
フロア下傾斜メンバ31は、図4、及び図5に示すように、上方開口のコ字状部を有するとともに、開口側端部から車幅方向の両外側に延設されたフランジ部を有して構成し、これらフランジ部をフロアパネル2の下面部に接合することで、フロアパネル2の下面部との間に閉断面部31S(以下、「フロア下傾斜メンバ閉断面部31S」という。)を構成している。
フロア下傾斜メンバ31の前端は、図2、図3及び図10(a)に示すように、サイドシル3前端にトルクボックス15を介して結合されている。
すなわち、図10(b)中の特に領域Z3に示すように、サイドシル3前端において、車両上方からサイドシル3前端下部、トルクボックス15、フロア下傾斜メンバ31の順で接合されている。
なお、図10(b)中の符号52は補強部材である。
一方、フロア下傾斜メンバ31の後部は、図2、図3及び図10(a)に示すように、フロントサイドフレーム延長部11の後部と結合して一体となり、トンネルサイドフレーム9の前端に接合されている。さらに、このような車幅方向の両側のフロア下傾斜メンバ31の少なくとも1つの稜線部31U(上面部31U)と、前側トンネルメンバ20のX字状部21の少なくとも1つの稜線部22とは、平面視で略直線上に位置するように形成し、荷重伝達性能をさらに高めている。
また、図1、及び図3に示すように、上述のフロア上傾斜メンバ32(傾斜No.2クロス32)は、車両底面視でX字状の傾斜メンバ20,31,32における交差部分よりも後側に相当するメンバであり、フロアトンネル8に対して車幅方向両外側のフロアパネル2に一対備えている。フロア上傾斜メンバ32の外側後部は、サイドシル3とセンターピラー5との結合部位近傍CRl,CRrに接合され、該結合部位近傍CRl,CRrから、換言すると、サイドシル3におけるクロスメンバ30の接合部位近傍C30(図3参照)の前方位置から上記の前後メンバ16の後方で前方側程車幅方向内側に傾斜しながら前方へ延びるようにフロアパネル2の上面部に配設している(同図参照)。
フロア上傾斜メンバ32は、図1、及び図4に示すように、下方開口のコ字状部を有するとともに、開口側端部から車幅方向の両外側に延設したフランジ部を有して構成し、これらフランジ部をフロアパネル2の上面部に接合することで、フロアパネル2の上面部との間に閉断面部32S(以下、「フロア上傾斜メンバ閉断面部32S」という。)を構成している。
フロア上傾斜メンバ32の前端部は、図1、及び図3に示すように、フロアトンネル8の車幅方向両側の縁部における前側トンネルメンバ20の後端に相当する位置に接合し、上述したように、X字状部21の稜線部22と直線状に連続するように接合している。なお、前側トンネルメンバ20の後端位置と、シート支持部材17の配設位置とは車両前後方向において略同じ位置に相当する(図3参照)。
また、図4に示すように、フロア上傾斜メンバ32の前端部のフロアトンネル8の車幅方向両側の縁部への接合箇所については、フロア上傾斜メンバ閉断面部32Sと前側トンネルメンバ閉断面部20Sとが、車両正面視で車幅方向に重なりを有するように形成されている。
ところで、図2中に仮想線で示したフレーム構造L1に示すように、フロア下傾斜メンバ31とフロントサイドフレーム延長部11とトンネルサイドフレーム9とは、いずれもフロアパネル2の下面部に配設され、車両平面視で略Y字状をなしている。
さらに、図5中に仮想線で示したフレーム構造L2に示すように、前側トンネルメンバ閉断面部20Sと、トンネルサイドフレーム閉断面部9Sと、フロントサイドフレーム延長部閉断面部11Sと、フロア下傾斜メンバ閉断面部31Sとで、車両平面視で略X字状をなし、これらの閉断面部20S,9S,11S,31Sの少なくとも一部が同じ平面内に形成されている。
本実施例においては、これら閉断面部20S,9S,11S,31Sにトルクボックス閉断面部15S(図2、図3参照)も含めた全てが同じ平面内に形成されている。
さらにまた、トルクボックス15も含めたフレーム構造に着目すると、図11中に仮想線で示したフレーム構造L31に示すように、フロア下傾斜メンバ31とフロントサイドフレーム延長部11とトルクボックス15で、車両平面視三角形状に形成している。一方、前側トンネルメンバ20も含めたフレーム構造に着目すると、図11中に仮想線で示したフレーム構造L32に示すように、前側トンネルメンバ20のX字状部21のその交差部分を含めた車幅方向の片側半分とトンネルサイドフレーム9とで車両平面視三角形状に形成することで、車体下部には、車両平面視で互いの頂点が突き合わさった一対の三角形状のフレーム構造L31,L32が構成される。
また、図2、及び図3に示すように、フロアトンネル8の前側トンネルメンバ20よりも後側位置、詳しくは、フロアトンネル8におけるクロスメンバ30が配設された位置と車両前後方向の同位置には、フロアトンネル8を跨いでフロアパネル2のフロアトンネル8の下面の車幅方向両側を連結する直線状の後側トンネルメンバ40が配設されている。後側トンネルメンバ40は、車両平面視で、車幅方向に延びるクロスメンバ30と略直線状に連続して配設されている(図3参照)。
後側トンネルメンバ40は、上側パネル(図示省略)と下側パネル40Dとで構成するとともに、これらパネルを互いに上下に接合した状態で内部に車幅方向に沿って直線状の後側トンネルメンバ閉断面部40Sを有している(図2、図3参照)。
ここで、図11中に仮想線で示したフレーム構造L4に示すように、フロア上傾斜メンバ閉断面部32Sと、クロスメンバ閉断面部30Sと、前側トンネルメンバV字状閉断面部20Svと、後側トンネルメンバ閉断面部40Sとは、車両平面視で略三角形状を成している。
以上詳述した本実施例の車両Vの下部車体構造は、以下のような作用効果を奏することができる。
本実施例の車両Vの下部車体構造は、車体の車幅方向外側で車両前後方向に延びる左右のサイドシル3,3と、該左右のサイドシル3,3に連結されたフロアパネル2と、該フロアパネル2の中央部で上方に膨出したフロアトンネル8と、フロアパネル2の前部から上方へ延びるダッシュパネル1と、該ダッシュパネル1の前部で車両前後方向へ延びる左右のフロントサイドフレーム7,7と、フロアトンネル8の車幅方向両側に沿って車両前後方向に延びるトンネルサイドフレーム9,9と、を備えた車両の下部車体構造であって、フロアパネル2の下部に配設され、フロントサイドフレーム7の後部とトンネルサイドフレーム9の前部とをつなぐフロントサイドフレーム延長部11と、フロアパネル2の下部に配設され、サイドシル3とヒンジピラー4との結合部位近傍CFr,CFlとトンネルサイドフレーム9の前部とをつなぐフロア下傾斜メンバ31と、トンネルサイドフレーム9とが、車両平面視で略Y字状をなすものである(図2中の仮想線で示したL1参照)。
上記構成によれば、図13(a)に示すように、前突荷重Ffをサイドシル3とフロア下傾斜メンバ31とで分散伝達するとともに(荷重Ff1,Ff2参照)、荷重が減少する後方側では、フロア下傾斜メンバ31とフロントサイドフレーム延長部11とで伝達される荷重Ff2,Ff3をトンネルサイドフレーム9に集約して伝達することにより(荷重Ff4参照)、軽量な構造で効率的に荷重伝達することができる。
この発明の態様によれば、フロアトンネル8の左右の下部を連結するトンネルメンバとしての前側トンネルメンバ20を備え、該前側トンネルメンバ20が、車両平面視で、車両前後方向に対して傾斜して前後に延びる閉断面部としての前側トンネルメンバ閉断面部20Sを有し、前側トンネルメンバ閉断面部20Sと、トンネルサイドフレーム9とフロアパネル2とで形成される閉断面部としてのトンネルサイドフレーム閉断面部9Sと、フロントサイドフレーム延長部11とフロアパネル2とで形成される閉断面部としてのフロントサイドフレーム延長部閉断面部11Sと、フロア下傾斜メンバ31とフロアパネル2とで形成される閉断面部としてのフロア下傾斜メンバ閉断面部31Sとで、車両平面視で略X字状をなし、これらの閉断面部20S,9S,11S,31Sが同じ平面内に形成されたものである(図5中の仮想線で示したL2参照)。
上記構成によれば、図13(b)に示すように、閉断面部20S,9S,11S,31Sが連続的に同じ平面内に形成されていることにより、前突荷重Ff2,Ff3入力時に車幅方向の反対側に荷重伝達するなど(荷重Ff5参照)、効率的に荷重分散することができる(図13(b)中の荷重Ff2〜Ff5参照)。
また、本実施例の車両Vの下部車体構造は、車体の車幅方向外側で車両前後方向に延びる左右のサイドシル3,3と、左右のサイドシル3,3の夫々の前部位置から上方に延びるヒンジピラー4,4と、左右のサイドシル3,3の夫々の車体前後方向中間位置から上方に延びるセンターピラー5,5と、左右のサイドシル3,3に連結されたフロアパネル2と、該フロアパネル2の中央部で上方に膨出したフロアトンネル8と、を備えた車両の下部車体構造であって、フロアパネル2の上部または下部に配設され、サイドシル3とヒンジピラー4との結合部位近傍CFr,CFlと、該結合部位CFr,CFlの車幅方向の反対側のサイドシル3とセンターピラー5との結合部位近傍CRl,CRrとをつなぐ左右一対の傾斜メンバ20,31,32が設けられ、該左右一対の傾斜メンバ20,31,32が車両平面視で略X字状をなすことを特徴とする(図1〜図3の特に、図3中の荷重F参照)。
上記構成によれば、SOL衝突時および側突時に、サイドシル3前端に有するヒンジピラー4と車幅方向の反対側のサイドシル3に有するセンターピラー5との間における荷重伝達が可能となる。
詳しくは、前突時に、フロア下傾斜メンバ31は、サイドシル3からトンネルサイドフレーム9に荷重を伝えるととともに、フロア上傾斜メンバ32は、トンネルサイドフレーム9からサイドシル3に荷重を伝えることができる。側突時に、フロア上傾斜メンバ32は、サイドシル3からトンネルサイドフレーム9に荷重を伝えるととともに、フロア下傾斜メンバ31は、トンネルサイドフレーム9からサイドシル3に荷重を伝えることができる。
この発明の態様によれば、左右一対の傾斜メンバ20,31,32が、フロアパネル2の下部に配設され、サイドシル3とヒンジピラー4との結合部位近傍CFr,CFlから後方側程車幅方向内側に傾斜して延びるフロア下傾斜メンバ31と、フロアパネル2の上部に配設され、サイドシル3とセンターピラー5との結合部位近傍CRl,CRrから前方側程車幅方向内側に傾斜して延びるフロア上傾斜メンバ32と、車両平面視X字状のX字状部21を有するトンネルメンバとしての前側トンネルメンバ20と、から形成されたものである(図1〜図3参照)。
上記構成によれば、SOL衝突時および側突時に、軽量な構造でサイドシル3前端に有するヒンジピラー4と反対側サイドシル3に有するセンターピラー5との間における荷重伝達が可能となる(図3中の荷重F参照)。
またこの発明の態様によれば、前側トンネルメンバ20のX字状部21の内部が閉断面部20Sであり(図4、図5参照)、前側トンネルメンバ20の略X字状部21の閉断面部20Sとしての前側トンネルメンバ閉断面部20Sと、フロア上傾斜メンバ32とフロアパネル2とで形成される閉断面部としてのフロア上傾斜メンバ閉断面部32Sと、が車両正面視で車幅方向に重なりを有するよう形成されたものである(図4参照)。
上記構成によれば、閉断面部20S,32Sが車両正面視で車幅方向に重なりを有することにより、特定部分に応力が集中して座屈等を生じることなく荷重を伝達できるため、SOL衝突時および側突時に、ヒンジピラー4と車幅方向の反対側のセンターピラー5との間における荷重伝達性能を向上させることができるという上述した効果をより一層高めることができる。
また、本実施例の車両Vの下部車体構造は、車体の車幅方向外側で車両前後方向に延びる左右のサイドシル3,3と、左右のサイドシル3,3の夫々の車体前後方向中間位置から上方に延びるピラーとしてのセンターピラー5と、該左右のサイドシル3,3に連結されたフロアパネル2と、該フロアパネル2の中央部で上方に膨出したフロアトンネル8と、センターピラー5と車両前後方向の略同位置で略車幅方向に延びてサイドシル3とフロアトンネル8とに接続するクロスメンバ30と、を備えた車両の下部車体構造であって、フロアパネル2の上部に配設され、サイドシル3におけるクロスメンバ30の接続部位近傍C30の前方位置から前方側程車幅方向内側に傾斜して延びてフロアトンネル8に接続されるフロア上傾斜メンバ32を有することを特徴とする(図1、及び図3参照)。
上記構成によれば、図12(b)に示すように、側突時に、センターピラー5下部に入力された荷重Fsをクロスメンバ30や傾斜クロスメンバ30などの複数のロードパスによって効率的に荷重伝達することができる(図12(b)中の荷重Fs1,Fs2参照)。
この発明の態様によれば、フロアトンネル8のフロア上傾斜メンバ32が接続された位置と車両前後方向の略同位置に、フロアトンネル8の左右の下部を連結する前側トンネルメンバ20が配設されたものである(図3参照)。
上記構成によれば、側突時に、センターピラー5下部に入力された荷重を車幅方向の反対側に効率的に荷重伝達することができる(図3中の荷重F参照)。
またこの発明の態様によれば、フロアトンネル8のクロスメンバ30が接続された位置に、フロアトンネル8の左右の下部を連結する後側トンネルメンバ40が配設され(図2、図3参照)、前側トンネルメンバ20が、フロア上傾斜メンバ32に連続するように形成された車両平面視で車両後方側が開口する略V字状の閉断面部としての前側トンネルメンバV字状閉断面部20Svを有し(図5参照)、フロア上傾斜メンバ32とフロアパネル2とで形成される閉断面部としてのフロア上傾斜メンバ閉断面部32Sと(図4参照)、クロスメンバ30とフロアパネル2とで形成される閉断面部としてのクロスメンバ閉断面部30Sと、上記前側トンネルメンバV字状閉断面部20Svと、後側トンネルメンバ40の閉断面部としての後側トンネルメンバ閉断面部40Sとが、車両平面視で略三角形状をなすものである(図11参照)。
上記構成によれば、これら閉断面部20Sv,30S,32S,40Sにより車両平面視で三角形状(トラス形状)を構成することにより、側突時の強度を高め、側突時に、センターピラー5下部に入力された荷重を複数のロードパスで効率的に荷重伝達することができるという上述した効果をより一層高めることができる。
また、本実施例の車両Vの下部車体構造は、車体の車幅方向外側で車両前後方向に延びる左右のサイドシル3,3と、該左右のサイドシル3,3に連結されたフロアパネル2と、該フロアパネル2の中央部で上方に膨出したフロアトンネル8と、フロアパネル2の前部から上方へ延びるダッシュパネル1と、該ダッシュパネル1の前部で車両前後方向へ延びる左右のフロントサイドフレーム7,7と、フロントサイドフレーム7の後部から後方側程車幅方向外側に延びてサイドシル3の前部と接続するトルクボックス15と、フロアパネル2の下部でフロアトンネル8の車幅方向両側に沿って車両前後方向に延びるトンネルサイドフレーム9,9と、フロントサイドフレーム7,7の後部から後方側程車幅方向内側に延びてトンネルサイドフレーム9の前部と接続するフロントサイドフレーム延長部11と、を備えた車両の下部車体構造であって、前端部がフロントサイドフレーム7の後部におけるトルクボックス15とフロントサイドフレーム延長部11との分岐部Dに平面視で重なるように配設され、後方側程車幅方向外側に傾斜して延びる前後メンバ16が設けられたものである(図1、図3参照)。
上記構成によれば、図12(a)に示すように、前突荷重Ffをトルクボックス15に沿った荷重Ff1とフロントサイドフレーム延長部11に沿った荷重Ff2と前後メンバ16に沿った荷重Ff3との3方向へ分散伝達することで前突時における荷重伝達効率の向上を図ることができる。
またこの発明の態様によれば、前後メンバ16がフロアパネル2の上部に配設され、前後メンバ16の後方で左右のサイドシル3から前方側程車幅方向内側に傾斜して延びてフロアトンネル8に接続されるフロア上傾斜メンバ32が、フロアパネル2の上部に配設され、前後メンバ16の後部が、フロア上傾斜メンバ32の中間部に接続されたものである(図1、図3、図4参照)。
上記構成によれば、前突荷重Ffを3方向へ分散伝達することで前突時における荷重伝達効率の向上を図ることができる(図12(a)中の荷重Ff1,Ff2,Ff3参照)。
またこの発明の態様によれば、フロア上傾斜メンバ32の前方で、車両用シート構成部材としてのシートブラケット60を支持するシート支持部材17がサイドシル3から車幅方向内方に突出するように配設され、前後メンバ16が車両用シート支持部材17に結合されたものである(図1、図3参照)。
上記構成により、前突荷重Ffを前後メンバ16に沿った荷重Ff3からさらに、車両用シート支持部材17に沿った荷重Ff4に分散伝達することができ(図12(a)参照)、また、シートブラケット60の支持剛性の向上も図ることができる。
また、本実施例の車両Vの下部車体構造は、車体の車幅方向外側で車両前後方向に延びる左右のサイドシル3,3と、該左右のサイドシル3,3に連結されたフロアパネル2と、該フロアパネル2の中央部で上方に膨出したフロアトンネル8と、フロアトンネル8の車幅方向両側に沿って車両前後方向に延びるトンネルサイドフレーム9,9と、フロアトンネル8の左右の下部を連結するトンネルメンバとしての前側トンネルメンバ20と、を備えた車両の下部車体構造であって、トンネルサイドフレーム9は、車両前後方向に垂直な断面において上方開口の略コ字状のコ字状部9aを有し、該コ字状部9aは、底面部91と外面部92と内面部93とから形成され(図4、図6、図7(a)参照)、前側トンネルメンバ20は、トンネルサイドフレーム9の底面部91に対向する第1面部261と、トンネルサイドフレーム9の内面部93に対向する第2面部262と、該第2面部262の上端から車幅方向内方に延びる第3面部263とを有し(同図参照)、前側トンネルメンバ20は、第1面部261をトンネルサイドフレーム9の底面部91に、第3面部263をフロアトンネル8にブラケット19を介して、夫々取り付けられることにより、車体に取り付けられたものである(同図参照)。
上記構成によれば、衝突荷重入力時に前側トンネルメンバ20とトンネルサイドフレーム9における対向面部としての底面部91と第1面部261、及び内面部93と第2面部262がずれることなく当接し、フロアトンネル8下部における円滑な荷重伝達が可能となる。
またこの発明の態様によれば、第1面部261をトンネルサイドフレーム9の底面部91にボルトB及びナットNにより直接、締結した外側締結部25uと、第3面部263をフロアトンネル8にボルトB及びナットNによりブラケット19を介して締結した内側締結部25nとは、車両前後方向の略同位置に取り付けたものである(図2、図3、図6、図7(a)、図8、図9(a)参照)。
上記構成によれば、外側締結部25uと内側締結部25nは、前端位置、略中間位置、及び後端位置の各位置に、車両前後方向において略同位置に取り付けているため、衝突時において大荷重が加わっても捩じれたりせず、車両前後方向において異なる位置に取り付けた場合と比較して取り付け強度を高めることができる。
従って、フロアトンネル8下部における荷重伝達性能の向上を図ることができるという上述した効果をさらに高めることができる。
また本実施例においては、左右のサイドシル3,3の夫々の車体前後方向中間位置から上方に延びる1対のセンターピラー5,5を有し、フロア上傾斜メンバ32が、サイドシル3とセンターピラー5との結合部位近傍CRl,CRrに結合したものである(図1、図3、図4参照)。
上記構成によれば、センターピラー5からフロア上傾斜メンバ32への荷重伝達性能が向上し、センターピラー5からの側突荷重Fsを効率的に伝達することが可能となる(図12(b)中の荷重Fs1,Fs2参照)。
また本実施例においては、フロアパネル2の下部に配設され、左右のサイドシル3,3夫々の前部から後方側程車幅方向内側に傾斜して延びる左右のフロア下傾斜メンバ31,31を有し、前側トンネルメンバ20が、車両平面視X字状のX字状部21を有し、フロア下傾斜メンバ31の少なくとも1つの上面部31U(稜線部)(図2参照)と、前側トンネルメンバ20のX字状部21の少なくとも1つの稜線部22とが、平面視で略直線上に位置するように形成したものである(図2〜図5参照)。
上記構成により、荷重伝達性能をさらに高めることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、トンネルメンバは、前側トンネルメンバ20に対応し、
以下、同様に、
トンネルサイドフレームとフロアパネルとで形成される閉断面部は、トンネルメンバX字状閉断面部S20に対応し、
フロントサイドフレーム延長部とフロアパネルとで形成される閉断面部は、フロントサイドフレーム延長部閉断面部S11に対応し、
フロア下傾斜メンバと前記フロアパネルとで形成される閉断面部は、フロア下傾斜メンバ閉断面部S31に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、車両Vの下部車体構造は、以下のように様々な実施形態で形成することができ、これら上述した実施例とは異なる一実施例について図14〜図17を用いて説明する。
なお、図14はブリッジを備えた他の実施例の車両の下部車体構造の説明図であり、詳しくは、図14(a)は、図2中の領域Z1においてブリッジを備えた実施例を示す斜視図であり、図14(b)は図14(a)中のD−D線矢視を上下反転させた断面図を示す。図15は、他の実施例の車両の下部車体構造の底面図を示し、図16は、トルクボックスと前側傾斜フレームの上下関係を上述した実施例とは逆にした他の実施例の説明図であり、詳しくは、図16(a)は、他の実施例の車両の下部車体構造の車幅方向左側前部の底面図であり、図16(b)は図16(a)中のE−E線矢視を上下反転させた断面図を示す。図17は、他の実施例の車両の下部車体構造を示す車両前側の底面図を示す。
例えば、図14(a)、(b)に示すように、トンネルサイドフレーム9の下面とフロアパネル2の下面とを連結する連結部材80(ブリッジ)を平面視でフロア上傾斜メンバ32と少なくとも一部が重なるよう設けてもよい。
具体的には、連結部材80は、トンネルサイドフレーム接合片81とフロアパネル接合片82と連結部83とで一体に形成している。
トンネルサイドフレーム接合片81は、トンネルサイドフレーム9の底面部91(下面)に当接可能な面状に形成している。
フロアパネル接合片82は、フロアパネル2の下面に当接可能な面状に形成し、車両平面視で、トンネルサイドフレーム9の外面部92から車幅方向の外側へ傾斜しながら車両後方へ延びている(図14(a)参照)。
連結部83は、トンネルサイドフレーム接合片81とフロアパネル接合片82とを連結し、図14(a)、(b)に示すように車両後方程下方、及び車幅方向外側へ傾斜する傾斜連結面84と、該傾斜連結面84の幅方向の両側の側面を形成する壁面85と、トンネルサイドフレーム9の外面部92に当接可能に、傾斜連結面84よりも幅方向の外側においてトンネルサイドフレーム接合片81とフロアパネル接合片82とを上下方向に連結する連結片86とで形成している。
連結部材80は、トンネルサイドフレーム接合片81をトンネルサイドフレーム9の底面部91に溶接等で接合するとともに、フロアパネル接合片82をフロアパネル2の下面やトンネルサイドフレーム9のフランジ部(上面)に溶接等で接合している。
上記構成によれば、連結部材80は、フロアパネル接合片82がフロアパネル2の上面部に配設したフロア上傾斜メンバ32と少なくとも一部が平面視で重なるようにトンネルサイドフレーム9の下面とフロアパネル2の下面とを連結することで、正面視でトンネルサイドフレーム閉断面部9Sとフロア上傾斜メンバ閉断面部32Sとが上下にオフセットする部位の荷重伝達性能を向上させることが可能となる。
また、上述した実施例では、フロアパネル2の前側トンネルメンバ20よりも前側において、サイドシル3とヒンジピラー4との結合部位近傍CFr,CFlから後方側程車幅方向内側に傾斜して延びる左右のフロア前側傾斜メンバを、フロアパネル2の下部に配設したフロア下傾斜メンバ31に設定するとともに、フロアパネル2の前側トンネルメンバ20よりも後側において、サイドシル3とセンターピラー5との結合部位近傍CRl,CRrから前方側程車幅方向内側に傾斜して延びる左右のフロア後側傾斜メンバを、フロアパネル2の上部に配設したフロア上傾斜メンバ31に設定したが、これに限らず、他の実施形態で構成してもよい。
例えば、図示省略するが、フロア前側傾斜メンバとフロア後側傾斜メンバとの双方をフロアパネル2の上部に配設してもよく、又は、フロア前側傾斜メンバとフロア後側傾斜メンバとの双方をフロアパネル2の下部に配設してもよい。
或いは、上述した実施例とは逆に、図15に示すように、フロア前側傾斜メンバを、フロアパネル2の上部に配設したフロア上傾斜メンバ310とするとともに、フロア後側傾斜メンバを、フロアパネル2の下部に配設したフロア下傾斜メンバ320としてもよい。
上記構成においても、上述した実施例と同様に、SOL衝突時および側突時に、軽量な構造でサイドシル3前端に有するヒンジピラー4と反対側サイドシル3に有するヒンジピラー4との間における荷重伝達が可能となる。
さらに、このように、フロア前側傾斜メンバをフロア上傾斜メンバ310とするとともに、フロア後側傾斜メンバをフロア下傾斜メンバ320とした上記構成においても、トンネルサイドフレーム9の下面とフロアパネル2の下面を連結する連結部材を、図示省略するが車両平面視でフロアパネル2の上部に配設したフロア上傾斜メンバ310(フロア前側傾斜メンバ)と少なくとも一部が重なるように設けてもよい。
さらにまた、図示省略するが上述したように、フロア前側傾斜メンバをフロア上傾斜メンバ310とするとともに、フロア後側傾斜メンバをフロア下傾斜メンバ320とした上記構成においても、前側トンネルメンバ閉断面部20Sと、フロア上傾斜メンバ310(フロア前側傾斜メンバ)とフロアパネル2とで形成されるフロア上傾斜メンバ閉断面部310Sと、が車両正面視で車幅方向に重なりを有するよう形成してもよい。
他の実施例として、前側トンネルメンバ20は、上述したように、第1面部261をトンネルサイドフレーム9の底面部91に、第3面部263をフロアトンネル8に、夫々取り付けた構成に限らず、例えば、図7(b)に示すように、第2面部262をトンネルサイドフレーム9の内面部93にボルトB及びナットNにより締結した締結部25(「中間締結部25s(25sf,25sm,25sr)」という。)によって車体に取り付けた構成とすることができる。
上記構成においてもフロアトンネル8下部における荷重伝達性能の向上を図ることができる。
また他の実施例として、前側トンネルメンバ20は、上述した中間締結部25sに加えて、さらに図7(c)に示すように、第1面部261をトンネルサイドフレーム9の底面部91にボルトB及びナットNにより締結した外側締結部25uによって車体に取り付けることが好ましい。
上記構成によれば、フロアトンネル8下部における荷重伝達性能の向上を図ることができるという上述した効果をさらに高めることができる。
なお、外側締結部25uと内側締結部25nとを車両前後方向の略同位置に取り付けた上述した実施例と同様に(図7(a)参照)、この実施例においても、外側締結部25uと中間締結部25sとを、車両前後方向の略同位置に取り付けた構成が好ましい(図7(c)参照)。
上記構成においても、上述した実施例と同様に、取り付け強度を高めることができるため、フロアトンネル8下部における荷重伝達性能の向上を図ることができる。
また、本発明の略X字状部は、図9(a)に示す上述した実施例のような車両平面視でX字状に形成したX字状部21に限らず、車両平面視X字状に変形を加えた略X字形状であってもよい。
本発明の略X字状部は、例えば、図9(b)に示す略X字状部21Aのように、車両後方へ向けて開口する車両後方部分の一対の稜線部22r,22rの開口角度θrが、車両前方へ向けて開口する車両前方部分の一対の稜線部22f,22fの開口角度θfよりも大きくなるように形成してもよく、逆に、図示しないが、車両後方部分の一対の稜線部22r,22rの開口角度θrが、車両前方へ向けて開口する車両前方部分の一対の稜線部22f,22fの開口角度θfよりも小さくなるように形成してもよい。
また、本発明の略X字状部は、図9(c)に示す略X字状部21Bのように、車幅方向の一方へ向けて開口する一対の稜線部22r,22rと、車幅方向の他方へ向けて開口する一対の稜線部22l,22lとの間に、これら車幅方向の各側の一対の稜線部22r,22l同士を連結する車幅向に延びる直線部27Wを介在させた形状で形成することができる。
或いは、本発明の略X字状部は、図9(d)に示す略X字状部21Cのように、車両後方へ向けて開口する車両後方部分の一対の稜線部22r,22rと、車両前方へ向けて開口する車両前方部分の一対の稜線部22f,22fとの間に、これら車両前後各側の一対の稜線部22r,22f同士を連結する車両前後方向に延びる直線部27Lを介在させた形状で形成することができる。
また、上述した実施例によれば、図10(a)、(b)に示すように、サイドシル3前端においては、車両上方からサイドシル3前端下部、トルクボックス15、フロア下傾斜メンバ31の順で接合したものである(図10(b)中の領域Z3参照)。
上記構成により、トルクボックス15をサイドシル3前端下部に直接、接合することで、トルクボックス15の有する車体剛性を高める剛性部材としての効果よりも荷重伝達効果をより優先的に活かすことができる。
但し、上述した実施例に限定せず、図16(a)、(b)に示すように、サイドシル3前端においては、車両上方からサイドシル3前端下部、フロア下傾斜メンバ31、トルクボックス15の順で接合してもよい(図16(b)中の領域Z4参照)。
上記構成によれば、サイドシル3前端下部にフロア下傾斜メンバ31を直接、接合したため、サイドシル3とヒンジピラー4との結合部位(CFr,CFl)からフロア下傾斜メンバ31への荷重伝達性能を向上させることができる。
そして、トルクボックス15を、フロア下傾斜メンバ31を介してサイドシル3前端下部に接合することで、トルクボックス15の有する、荷重伝達効果よりも車体剛性を高める剛性部材としての効果をより優先的に活かすことができる。
このように、トルクボックス15の有する車体剛性を高める効果と荷重伝達効果とのバランスを考慮しながら、フロア下傾斜メンバ31とトルクボックス15とをいずれの順で車両上方からサイドシル3前端下部に接合するかを決定することができる。
また、フロントサイドフレーム延長部11は、上述したように、フロアパネル2の下面においてフロントサイドフレーム7の後部から後方側程車幅方向内側に延びてトンネルサイドフレーム9の前部と接続しているが、他の実施例として図17に示すように、フロントサイドフレーム延長部110を、フロントサイドフレーム7の後部とトンネルサイドフレーム9の前部とを略直線状に連結するよう略直線状に形成するとともに、前側トンネルメンバ200を、その車幅方向の両端部が平面視で車両前側ほど幅方向へ互いに離れるように拡幅形成することができる。
すなわち、後方側程車幅方向内側に延びるフロントサイドフレーム延長部110と、車両前側程、車幅方向外側に延びる前側トンネルメンバ200のトンネルサイドフレーム9への取付け部(第1面部261)とは、車両平面視で略同一直線上に位置するように車両前後各側に配置されている(同図参照)。
なお、このように拡幅形成した前側トンネルメンバ200は、車両前方へ向けて開口する車両前方部分の一対の稜線部22f,22fの開口角度が、車両後方へ向けて開口する車両後方部分の一対の稜線部22r,22rの開口角度よりも大きくなるようにX字状部210を形成している(同図参照)。
このように、前側トンネルメンバ200の前部を拡幅形成することにより、前側トンネルメンバ200は、前部を拡幅形成していない上述した実施例の前側トンネルメンバ20と比較して、トンネルサイドフレーム9への取付け部(第1面部261)と、X字状部210を構成する稜線部220とが、フロントサイドフレーム延長部110のできるだけ前部側で分岐する分岐形状とすることができる。
これにより、フロントサイドフレーム7からの入力荷重の分散伝達特性を高めることができる。
さらに、図17に示すように、フロントサイドフレーム延長部110と前側トンネルメンバ200の取付け部(第1面部261)とを直線状に連続させることができるため、フロントサイドフレーム7からの入力荷重Ffをフロントサイドフレーム延長部110から車両後方へより効率的に伝達することができる。