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JP6186164B2 - 楽器用弦 - Google Patents

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Description

本発明は、楽器用弦に関する。
従来、楽器用弦として、例えば、合成樹脂製の弦が知られている。本出願人は、フッ化ビニリデン系樹脂製モノフィラメントからなる楽器用弦を提案している(例えば、特許文献1を参照。)。また、2本以上のフッ化ビニリデン系樹脂製マルチフィラメントの撚糸からなる芯材に、金属線を密着巻回して成る楽器用弦を提案している(例えば、特許文献2を参照。)。
特開昭63−11996号公報 特開平6−242774号公報
音質の更に優れた楽器用弦が求められている。
本発明の目的は、従来の楽器弦よりも音質の優れた音を奏でることができる楽器用弦を提供することである。
本発明に係る楽器用弦は、モノフィラメントからなる楽器用弦において、前記モノフィラメントは、インヘレント粘度が相対的に高い芯部とインヘレント粘度が相対的に低い鞘部とを含む芯鞘構造を有し、前記芯部のインヘレント粘度は1.45以下であり、前記鞘部のインヘレント粘度と前記芯部のインヘレント粘度との差は0.1以上0.4以下であることを特徴とする。
本発明に係る楽器用弦では、前記芯部及び前記鞘部が、いずれもポリフッ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。経時変化が少ないため、音質の優れた音をより安定して再現することができる。
本発明は、従来の楽器弦よりも音質の優れた音を奏でることができる楽器用弦を提供することができる。
実施例1の周波数スペクトルである。 実施例2の周波数スペクトルである。 実施例3の周波数スペクトルである。 実施例4の周波数スペクトルである。 比較例1の周波数スペクトルである。 比較例2の周波数スペクトルである。 比較例3の周波数スペクトルである。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係る楽器用弦は、モノフィラメントからなる楽器用弦において、モノフィラメントは、インヘレント粘度が相対的に高い芯部とインヘレント粘度が相対的に低い鞘部とを含む芯鞘構造を有する。
芯部及び鞘部は、合成樹脂からなることが好ましい。合成樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂である。芯部と鞘部とは同種の樹脂であることが好ましく、例えば、芯部及び鞘部がいずれもポリフッ化ビニリデン系樹脂である形態、芯部及び鞘部がいずれもポリアミド系樹脂である形態である。このうち、本実施形態に係る楽器用弦では、音質の優れた音をより安定して再現することができる点で、芯部及び鞘部がいずれもポリフッ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンモノマーの単独重合体を好ましく使用できる。また、これに限られるものではなく、他のポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンモノマー及びこれと共重合可能なモノマーの一種又は二種以上との共重合体、或いは、この共重合体とフッ化ビニリデンモノマーの単独重合体との混合物などが挙げられる。フッ化ビニリデンモノマーと共重合可能なモノマーとしては、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニルなどが例示され、これら単独で又は二種以上混合して用いることができる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂中のポリフッ化ビニリデン樹脂の含有率は、50mol%以上であることが好ましく、60mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることが特に好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂には、その性質を損なわない範囲で各種有機顔料等の添加剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、フラバントロンで代表される核剤、或いは、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル、アクリル酸メチル‐イソブチレン共重合体などのフッ化ビニリデン樹脂との相溶性が良好な樹脂を混合して成る組成物などが含まれていてもよい。このような組成物中のポリフッ化ビニリデン系樹脂の含有率としては、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。また、上述の可塑剤としては、繰り返し単位組成が炭素数2〜4のジアルコールと炭素数4〜6のジカルボン酸とのエステルから成り、末端基が炭素数1〜3の一価の酸基若しくは一価のアルコール残基から成り、かつ、分子量が1500〜4000のポリエステルが好ましく用いられる。
モノフィラメントでは、鞘部の体積が、モノフィラメント全体の体積に対して5体積%以上75体積%以下であることが好ましく、10体積%以上50体積%以下であることがより好ましく、15体積%以上30体積%以下であることが更に好ましい。5体積%未満では、鞘部が芯部を均一に被覆できない場合がある。75体積%を超えると糸断面内で芯部が中心からズレる偏心又は長手方向(繊維軸方向)での芯部の蛇行が発生する。このため、音質の優れた音が出ない場合がある。
芯部のインヘレント粘度は、鞘部のインヘレント粘度よりも高い。芯部のインヘレント粘度は、1.55dl/g以下であることが好ましく、1.5dl/g以下であることがより好ましく、1.45dl/g以下であることが特に好ましい。芯部のインヘレント粘度が1.55dl/gを超えると、音質の優れた音が出ない場合がある。また、芯部のインヘレント粘度の下限は、特に制限はないが、1.15dl/gを超えることが好ましく、1.25dl/g以上であることが好ましい。芯部のインヘレント粘度が1.15dl/g以下では、モノフィラメント全体での機械的強度が不足する場合がある。
鞘部のインヘレント粘度は、1.4dl/g以下であることが好ましく、1.35dl/g以下であることがより好ましく、1.25dl/g以下であることがより好ましい。鞘部のインヘレント粘度が1.4dl/gを超えると、音質の優れた音が出ない場合がある。また、鞘部のインヘレント粘度の下限は、特に制限はないが、生産性及び強度の点で0.85dl/g以上であることが好ましく、0.9dl/g以上であることがより好ましい。
芯部及び鞘部の各インヘレント粘度の好ましい組合せ例としては、芯部のインヘレント粘度が1.25dl/g以上1.55dl/g以下であり、かつ、鞘部のインヘレント粘度が0.9dl/g以上1.35dl/g以下である。より好ましくは、芯部のインヘレント粘度が1.28dl/g以上1.5dl/g以下であり、かつ、鞘部のインヘレント粘度が0.95dl/g以上1.3dl/g以下である。特に好ましくは、芯部のインヘレント粘度が1.30dl/g以上1.40dl/g以下であり、かつ、鞘部のインヘレント粘度が1.0dl/g以上1.20dl/g以下である。芯部及び鞘部の各インヘレント粘度をこれらの範囲にすることで、より音質の優れた音を奏でることができる。
芯部のインヘレント粘度と鞘部のインヘレント粘度との差は、0.1〜0.65dl/gであることが好ましく、0.1〜0.4dl/gであることがより好ましい。
インヘレント粘度とは、樹脂4gを1リットルのN,N‐ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度をいう。
モノフィラメントの真円度は、95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。モノフィラメントの真円度をこの範囲にすることで、芯部と鞘部とが略同心円状に形成され、音程が安定した良い音が得られる。本明細書において、真円度とは、1本の弦について、10cmおきに8〜10箇所の各横断面を顕微鏡で観察した画像から、その各横断面の長径と短径とをそれぞれ求め、数1により個々に求めた値から得られた平均値をいう。
Figure 0006186164
モノフィラメントの糸径(直径)は、楽器弦として必要な音程が出れば特に制限はないが、例えば0.4〜1.5mmであることが好ましく、0.6〜1.0mmであることがより好ましい。
モノフィラメントの製造方法は、特に制限はないが、製造方法の一例を説明する。まず、芯部の原料及び鞘部の原料を、それぞれ溶融押出ししてペレット状にする。芯部原料のペレット及び鞘部原料のペレットを、所定径(例えば、φ20〜50mm)の溶融押出機二台を用い、所定の樹脂温度(例えば240〜320℃)で複合ノズルを用いて溶融紡糸する。続いて、溶融紡糸したモノフィラメントを冷媒浴(例えば、温度30〜90℃の水浴)中で冷却して未延伸のモノフィラメントを得る。
次に、得られた未延伸のモノフィラメントを、引き続き、熱媒浴(例えば、温度150〜170℃のグリセリン浴)中で、例えば、5〜6倍程度に延伸する(一段目延伸)。これを、さらに熱媒浴(例えば、温度160〜175℃のグリセリン浴)中で、例えば、1〜1.3倍程度に延伸する(二段目延伸)。このように、一段目延伸と二段目延伸とから、延伸工程が構成されていることが好ましい。この延伸工程における最終的な延伸倍率は、特に限定されるものではないが、5.5倍以上であることが好ましく、5.7倍以上であることがより好ましい。
次いで、延伸後のモノフィラメントを、加熱油浴(例えば、温度140〜175℃)中で、極短時間での高温緩和熱処理に付す。高温緩和熱処理の時間は、0.05〜1.0秒であることが好ましく、0.1〜0.8秒であることがより好ましく、0.2〜0.6秒であることが更に好ましい。この際の緩和率(長さ収縮率)は、特に限定されるものではないが、1〜14%であることが好ましく、3〜12%であることがより好ましい。加熱油浴を構成する熱媒としては、グリセリンが簡便に用いられるほか、シリコーン油など140〜175℃の加熱温度において化学的に安定で過大な蒸気圧を示さない任意の熱媒が用いられる。加熱処理後のモノフィラメントは、スプールに巻取られ、保存、流通、使用に供される。
楽器弦は、例えば、ギターの弦の他、バイオリンの弦、ビオラの弦として使用できる。
本発明者らは、「音質の優れた音」を解析した結果、周波数(横軸)と時間(縦軸)との関係を示した音の周波数スペクトルにおいて、次の要件(1)〜(4)のうち該当する要件の数が多いほど、音質の優れた音と感じられる傾向にあることを見出した。
要件(1)は、「基音の周波数以上1.6KHz以下の範囲にある倍音が、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して85%以上であるという関係を満たすこと(ただし、nは0又は正の整数であり、nが0のときを基音とする。)。」である。要件(1)に関し、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して85%未満となるものが一つでもあると、音質が悪いと感じられる。
要件(2)は、「基音の周波数以上1.6KHz以下の範囲にある倍音のうち、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが2個以下であること(ただし、nは0又は正の整数であり、nが0のときを基音とする。)。」である。要件(2)に関し、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが3個以上あると、音質が悪いと感じられる。要件(1)及び要件(2)を満たすことで、基音の周波数以上1.6KHz以下の範囲にある倍音は、高次になるにつれてピークがほぼ順次小さくなる。
要件(3)は、「1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音のピークが、基音のピークに対して55%以下であること。」である。要件(3)に関し、1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音のピークが、基音のピークに対して55%を超えると、音質が悪いと感じられる。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音が複数あるときは、それらのすべてが要件(3)を満たす必要がある。
要件(4)は、「2kHzに最も近い周波数の倍音のピークが、基音のピークに対して40%以下であること。」である。要件(4)に関し、2kHzに最も近い周波数の倍音のピークが、基音のピークに対して40%を超えると、音質が悪いと感じられる。
本実施形態に係る楽器弦では、4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測され、かつ、これらの倍音のピークが、いずれも基音のピークに対して0.1%以上であることが好ましい(要件(5))。より好ましくは0.2%以上である。要件(5)は、より深みのある音の要件である。要件(5)は、主として音色の嗜好に影響するものであって、音質とは関係がない要件である。一方、4kHz以上12kHz以下の範囲にある倍音の数が少ないほど澄んだ音と感じられる。
次に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
層構成が、芯部(ポリフッ化ビニリデン系樹脂、インヘレント粘度1.3dl/g)/鞘部(ポリフッ化ビニリデン系樹脂、インヘレント粘度1.1dl/g)であるモノフィラメントを形成した。すなわち、芯部の原料及び鞘部の原料を、φ35mmの押出機とφ25mmの押出機を一台ずつ合計二台、押出温度280℃(ノズル部の温度)、φ4mm複合ノズルを用いて、複合比率(体積比)が、芯部:鞘部=85:15にて紡糸した後、冷却温度80℃(クエンチバスの設定温度)の水中に於いてクエンチ(急冷)し、次いで166℃のグリセリン浴中で5.6倍に延伸(一段延伸)し、次いで172℃のグリセリン浴中で更に1.04倍に延伸(二段延伸)して、トータル5.8倍に延伸し、これを次いで165℃のグリセリン浴中で、滞浴時間0.48秒、緩和率7%で緩和熱処理を行い、直径0.86mmのモノフィラメントを得た。モノフィラメントの真円度は99%であった。このモノフィラメントを、クラシックギターの第3弦として取り付け、評価を行った。
(実施例2)
複合ノズルの径をφ3.5mmに変更し、一段延伸の倍率を5.65倍、二段延伸の倍率を1.05倍に変更してトータル5.9倍延伸し、熱緩和処理の滞浴時間を0.41秒に変更し、モノフィラメントの直径0.69mmに変更した以外は実施例1と同様にしてモノフィラメントを得た。モノフィラメントの真円度は99%であった。このモノフィラメントを、クラシックギターの第2弦として取り付け、評価を行った。
(実施例3)
複合ノズルの径をφ3mmに変更し、一段延伸の倍率を5.7倍、二段延伸の倍率を1.05倍に変更してトータル6.0倍延伸し、熱緩和処理の滞浴時間を0.46秒に変更し、モノフィラメントの直径0.62mmに変更した以外は実施例1と同様にしてモノフィラメントを得た。モノフィラメントの真円度は99%であった。このモノフィラメントを、クラシックギターの第1弦として取り付け、評価を行った。
(実施例4)
芯部:鞘部=50:50に変更した以外は実施例1と同様にしてモノフィラメントを得た。モノフィラメントの真円度は97%であった。このモノフィラメントを、クラシックギターの第3弦として取り付け、評価を行った。
(比較例1)
層構成が、一層構成(ポリアミド系樹脂、インヘレント粘度1.6dl/g)であるモノフィラメントを形成した。すなわち、原料を、φ35mmの押出機、押出温度260℃、φ3.5mmノズルを用いて紡糸した後、冷却温度5℃の水中に於いてクエンチ(急冷)し、次いで90℃の温水浴中で3.6倍に延伸し、次いで190℃の乾熱浴中で更に1.55倍、トータル5.58倍に延伸し、これを次いで190℃の乾熱浴中で、緩和率10%で緩和熱処理を行い、直径0.86mmのモノフィラメントを得た。モノフィラメントの真円度は93%であった。このモノフィラメントを、クラシックギターの第3弦として取り付け、評価を行った。
(比較例2)
ノズルの径をφ3mmに変更し、モノフィラメントの直径0.70mmに変更した以外は比較例1と同様にしてモノフィラメントを得た。モノフィラメントの真円度は94%であった。このモノフィラメントを、クラシックギターの第2弦として取り付け、評価を行った。
(比較例3)
ノズルの径をφ2.5mmに変更し、モノフィラメントの直径0.60mmに変更した以外は比較例1と同様にしてモノフィラメントを得た。モノフィラメントの真円度は94%であった。このモノフィラメントを、クラシックギターの第1弦として取り付け、評価を行った。
評価は次のとおり行った。
(倍音エンベロープ)
各モノフィラメントを、同一のクラシックギターにそれぞれ取り付け、指弾したときの音を、クラシックギターから1.5m離れたところにマイクロホンを設置し、このマイクロホンに録音機を接続して音を録音した。そして、FFTアナライザー(小野測器社製、DS−3000)を用いて収録した音をリアルタイムオクターブ解析し、周波数スペクトルを得た。周波数スペクトルを図1〜図7に示す。各周波数スペクトルについて、倍音エンベロープを作製した。図1〜図7において、横軸は周波数(単位Hz)であり、左に行くほど周波数が高くなる。また、縦軸は時間(任意単位)であり、ピークの高さが高いほど長時間振動が続いていることを示す。
各例の倍音エンベロープについて、要件(1)〜(5)を確認したところ次の結果であった。
実施例1は、基音の周波数(330Hz)以上1.6KHz以下の範囲にある倍音について観察すると、図1に示すように、すべて第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して85%以上であり、要件(1)を満たしていた。さらに、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが1個(第2次倍音)であり、要件(2)を満たしていた。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音(第4次倍音、第5次倍音)のピークが、基音のピークに対して、それぞれ28.8%、26.8%であり、要件(3)を満たしていた。2kHzに最も近い周波数の倍音(第8次倍音)のピークが、基音のピークに対して11.6%であり、要件(4)を満たしていた。4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測され、かつ、4kHz以上12kHz以下の範囲にある倍音のピークが、基音のピークに対して0.25〜2.5%であり、要件(5)を満たしていた。
実施例2は、基音の周波数(247Hz)以上1.6KHz以下の範囲にある倍音について観察すると、図2に示すように、すべて第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して85%以上であり、要件(1)を満たしていた。さらに、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが0個であり、要件(2)を満たしていた。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音(第4次倍音、第5次倍音)のピークが、基音のピークに対して、それぞれ40.3%、30.2%であり、要件(3)を満たしていた。2kHzに最も近い周波数の倍音(第7次倍音)のピークが、基音のピークに対して14.8%であり、要件(4)を満たしていた。4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測され、かつ、4kHz以上12kHz以下の範囲にある倍音のピークが、基音のピークに対して0.67〜8.1%であり、要件(5)を満たしていた。
実施例3は、基音の周波数(330Hz)以上1.6KHz以下の範囲にある倍音について観察すると、図3に示すように、すべて第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して85%以上であり、要件(1)を満たしていた。さらに、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが0個であり、要件(2)を満たしていた。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音(第3次倍音、第4次倍音)のピークが、基音のピークに対して、それぞれ49.5%、46.5%であり、要件(3)を満たしていた。2kHzに最も近い周波数の倍音(第5次倍音)のピークが、基音のピークに対して36.4%であり、要件(4)を満たしていた。4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測され、かつ、4kHz以上12kHz以下の範囲にある倍音のピークが、基音のピークに対して0.5〜12.1%であり、要件(5)を満たしていた。
実施例4は、基音の周波数(330Hz)以上1.6KHz以下の範囲にある倍音について観察すると、図4に示すように、第2次倍音のピークが第3次倍音のピークに対して49.3%であり、要件(1)を満たさなかった。また、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが1個(第2次倍音)であり、要件(2)を満たしていた。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音(第4次倍音、第5次倍音、第6次倍音)のピークが、基音のピークに対して、それぞれ28.9%、17.9%、3.2%であり、要件(3)を満たしていた。2kHzに最も近い周波数の倍音(第8次倍音)のピークが、基音のピークに対して7.3%であり、要件(4)を満たしていた。4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測されず、要件(5)を満たさなかった。
比較例1は、基音の周波数(330Hz)以上1.6KHz以下の範囲にある倍音について観察すると、図5に示すように、第2次倍音のピークが第3次倍音のピークに対して79.6%であり、要件(1)を満たさなかった。また、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが2個(第2次倍音、第3次倍音)であり、要件(2)を満たしていた。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音(第4次倍音、第5次倍音)のピークが、基音のピークに対して、それぞれ32.5%、29.0%であり、要件(3)を満たしていた。2kHzに最も近い周波数の倍音(第8次倍音)のピークが、基音のピークに対して15.7%であり、要件(4)を満たしていた。4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測されず、要件(5)を満たさなかった。
比較例2は、基音の周波数(247Hz)以上1.6KHz以下の範囲にある倍音について観察すると、図6に示すように、第3次倍音のピークが第4次倍音のピークに対して54.8%であり、要件(1)を満たさなかった。また、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが1個(第3次倍音)であり、要件(2)を満たしていた。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音(第4次倍音、第5次倍音)のピークが、基音のピークに対して、それぞれ39.5%、28.0%であり、要件(3)を満たしていた。2kHzに最も近い周波数の倍音(第7次倍音)のピークが、基音のピークに対して12.7%であり、要件(4)を満たしていた。4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測されず、要件(5)を満たさなかった。
比較例3は、基音の周波数(330Hz)以上1.6KHz以下の範囲にある倍音について観察すると、図7に示すように、すべて第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して85%以上であり、要件(1)を満たしていた。さらに、第n次倍音のピークが第(n+1)次倍音のピークに対して100%未満となるものが0個であり、要件(2)を満たしていた。1.2KHz以上1.6KHz以下の範囲にある倍音(第3次倍音、第4次倍音)のピークが、基音のピークに対して、それぞれ62.6%、45.8%であり、要件(3)を満たしていなかった。2kHzに最も近い周波数の倍音(第5次倍音)のピークが、基音のピークに対して50.6%であり、要件(4)を満たさなかった。4kHz以上12kHz以下の範囲の全体にわたって倍音が観測され、かつ、4kHz以上12kHz以下の範囲にある倍音のピークが、基音のピークに対して0.6〜14.4%であり、要件(5)を満たしていた。
各実施例の音色と各比較例の音色とを比較したところ、各実施例の音質の方がより優れていると感じられた。実施例1〜3は、要件(5)を満たしていたため、より深みのある音に感じられた。また、実施例4は、実施例1〜3と比較すると音質は若干劣るものの、4kHz以上12kHz以下の範囲にある倍音の数が他のいずれの実施例及び比較例よりも少なかったため、より澄んだ音に感じられた。

Claims (2)

  1. モノフィラメントからなる楽器用弦において、
    前記モノフィラメントは、インヘレント粘度が相対的に高い芯部とインヘレント粘度が相対的に低い鞘部とを含む芯鞘構造を有し、
    前記芯部のインヘレント粘度は1.30以上1.4以下であり、
    前記鞘部のインヘレント粘度は1.0以上1.20以下であり、
    前記鞘部のインヘレント粘度と前記芯部のインヘレント粘度との差は0.1以上0.4以下である
    ことを特徴とする楽器用弦。
  2. 前記芯部及び前記鞘部が、いずれもポリフッ化ビニリデン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の楽器用弦。
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