JP2003027345A - 生分解性釣糸およびその製造方法 - Google Patents
生分解性釣糸およびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 糸ぐせが付きにくく、釣糸として要求される
性能と生分解性とを兼ね備えた生分解性釣糸およびこの
生分解性釣糸を効率的に製造する方法の提供。 【解決手段】 生分解性合成樹脂のモノフィラメントか
らなる釣糸であって、引張強度が500MPa以上、結
節強度が350MPa以上、屈曲回復率が60%以上で
あることを特徴とする生分解性釣糸。生分解性樹脂を溶
融紡糸、冷却、延伸、熱固定して一旦巻き取ったモノフ
ィラメントを綛状にリワインドした後、この綛を35〜
65℃の温水中で3〜60分間弛緩処理する。
性能と生分解性とを兼ね備えた生分解性釣糸およびこの
生分解性釣糸を効率的に製造する方法の提供。 【解決手段】 生分解性合成樹脂のモノフィラメントか
らなる釣糸であって、引張強度が500MPa以上、結
節強度が350MPa以上、屈曲回復率が60%以上で
あることを特徴とする生分解性釣糸。生分解性樹脂を溶
融紡糸、冷却、延伸、熱固定して一旦巻き取ったモノフ
ィラメントを綛状にリワインドした後、この綛を35〜
65℃の温水中で3〜60分間弛緩処理する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸ぐせが付きにく
く、釣糸としての基本的な性能と生分解性とを兼ね備え
た生分解性釣糸およびその効率的な製造方法に関するも
のである。
く、釣糸としての基本的な性能と生分解性とを兼ね備え
た生分解性釣糸およびその効率的な製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の釣糸素材としては、その力学的な
要求特性から、主としてポリアミド、ポリエステル、ポ
リオレフィンおよびポリ弗化ビニリデンなどからなる合
成樹脂が用いられてきた。しかしながら、これらの合成
樹脂を素材としする合成繊維からなる釣糸は、自然の環
境下ではほとんど分解しないため、使用後に捨てられた
り、放置されたりした場合には、そのまま半永久的に自
然界に残存することになるため、これが環境衛生上の大
きな問題となっていた。
要求特性から、主としてポリアミド、ポリエステル、ポ
リオレフィンおよびポリ弗化ビニリデンなどからなる合
成樹脂が用いられてきた。しかしながら、これらの合成
樹脂を素材としする合成繊維からなる釣糸は、自然の環
境下ではほとんど分解しないため、使用後に捨てられた
り、放置されたりした場合には、そのまま半永久的に自
然界に残存することになるため、これが環境衛生上の大
きな問題となっていた。
【0003】すなわち、捨てられた廃棄釣糸が海底に林
立して魚類の繁殖を妨害したり、またこれらの廃棄釣糸
が鳥や海洋生物に絡み付いて殺傷したりする事態が頻発
しており、環境保護および自然保護の両面からその改善
が強く望まれていた。
立して魚類の繁殖を妨害したり、またこれらの廃棄釣糸
が鳥や海洋生物に絡み付いて殺傷したりする事態が頻発
しており、環境保護および自然保護の両面からその改善
が強く望まれていた。
【0004】そこで、最近では、実用後に自然界の菌類
や微生物によって自然消滅する釣糸、つまり生分解性釣
糸の開発が盛んになっている。
や微生物によって自然消滅する釣糸、つまり生分解性釣
糸の開発が盛んになっている。
【0005】そして、これら生分解性釣糸に関する従来
技術としては、(A)ポリラクチドを素材とした釣糸
(特開平3−183428号公報)(B)ポリグリコー
ル酸を素材とした釣糸(特開平3−259029号公
報)、(C)ポリカプロラクトンモノフィラメントから
なる釣糸(特開平5−59611号公報)、および
(D)釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度を
兼ね備えた釣糸(特開平9−74961号公報)などが
すでに提案されている。
技術としては、(A)ポリラクチドを素材とした釣糸
(特開平3−183428号公報)(B)ポリグリコー
ル酸を素材とした釣糸(特開平3−259029号公
報)、(C)ポリカプロラクトンモノフィラメントから
なる釣糸(特開平5−59611号公報)、および
(D)釣糸としての基本的な性能と適度な生分解速度を
兼ね備えた釣糸(特開平9−74961号公報)などが
すでに提案されている。
【0006】しかるに、上記(A)および(B)の生分
解性釣糸は、いずれも素材的に硬くて脆く、結節強度が
低いため、釣糸としての基本的な性能を満足しているも
のであるとはいい難い。また、上記(C)の生分解性釣
糸は、融点が約60℃と低いため、擦過によるキズやチ
ヂレが発生しやすいという欠点を有しており、さらに、
上記(D)の生分解性釣糸は、強度などの釣糸としての
基本的な性能と適度な生分解性を兼ね備える点では一定
の改善効果は認められるものの、釣糸の他の重要特性の
一つである糸ぐせに関しては難点があり、糸ぐせが発現
しやすいことから、キャスティングや巻き取り時の操作
性が劣るという問題があった。
解性釣糸は、いずれも素材的に硬くて脆く、結節強度が
低いため、釣糸としての基本的な性能を満足しているも
のであるとはいい難い。また、上記(C)の生分解性釣
糸は、融点が約60℃と低いため、擦過によるキズやチ
ヂレが発生しやすいという欠点を有しており、さらに、
上記(D)の生分解性釣糸は、強度などの釣糸としての
基本的な性能と適度な生分解性を兼ね備える点では一定
の改善効果は認められるものの、釣糸の他の重要特性の
一つである糸ぐせに関しては難点があり、糸ぐせが発現
しやすいことから、キャスティングや巻き取り時の操作
性が劣るという問題があった。
【0007】したがって、従来の生分解性釣糸は、糸ぐ
せや力学的性質などの釣糸として要求される性能と生分
解性とを兼ね備えるという点では、いずれもその改善効
果が必ずしも満足できるものとはいい難いものであり、
その改良が強く望まれているのが実状であった。
せや力学的性質などの釣糸として要求される性能と生分
解性とを兼ね備えるという点では、いずれもその改善効
果が必ずしも満足できるものとはいい難いものであり、
その改良が強く望まれているのが実状であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結
果、達成されたものである。
来技術における問題点の解決を課題として検討した結
果、達成されたものである。
【0009】したがって、本発明の目的は、糸ぐせが付
きにくく、釣糸として要求される性能と生分解性とを兼
ね備えた生分解性釣糸およびこの生分解性釣糸を効率的
に製造する方法を提供することにある。
きにくく、釣糸として要求される性能と生分解性とを兼
ね備えた生分解性釣糸およびこの生分解性釣糸を効率的
に製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の生分解性釣糸は、生分解性合成樹脂のモ
ノフィラメントからなる釣糸であって、JISL101
3の規定に準じて測定した引張強度が500MPa以
上、同じく結節強度が350MPa以上、且つモノフィ
ラメント試料から交差させた2本1組のループを作り、
上方ループを止め金に固定し、下方ループに荷重(モノ
フィラメントの繊度[デニール]の1/2の荷重[g]
の重り)を3分間かけた後、ループの交差点で形成され
た1対の松葉状に屈曲したサンプルを長さ約3cmにカ
ットして採取し、これを60分間放置した後測定した開
角度(θ)から、式(θ/180)×100で算出した
屈曲回復率が60%以上であることを特徴とすることを
特徴とする。
めに、本発明の生分解性釣糸は、生分解性合成樹脂のモ
ノフィラメントからなる釣糸であって、JISL101
3の規定に準じて測定した引張強度が500MPa以
上、同じく結節強度が350MPa以上、且つモノフィ
ラメント試料から交差させた2本1組のループを作り、
上方ループを止め金に固定し、下方ループに荷重(モノ
フィラメントの繊度[デニール]の1/2の荷重[g]
の重り)を3分間かけた後、ループの交差点で形成され
た1対の松葉状に屈曲したサンプルを長さ約3cmにカ
ットして採取し、これを60分間放置した後測定した開
角度(θ)から、式(θ/180)×100で算出した
屈曲回復率が60%以上であることを特徴とすることを
特徴とする。
【0011】なお、本発明の生分解性釣糸においては、
下記(1)〜(4)が好ましい条件であり、これらの条
件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待す
ることができる。
下記(1)〜(4)が好ましい条件であり、これらの条
件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待す
ることができる。
【0012】(1)前記生分解性合成樹脂が脂肪族ポリ
エステルであること、(2)前記脂肪族ポリエステルが
ポリアルキレンジカルボキシレート類、ポリ乳酸および
ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類から選ばれた
少なくとも一種であること、(3)前記脂肪族ポリエス
テルが融点70℃以上のポリアルキレンジカルボキシレ
ート類の少なくとも一種であること、(4)前記融点が
70℃以上のポリアルキレンジカルボキシレートが、ポ
リブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートお
よびポリブチレン(サクシネート/アジペート)から選
ばれた少なくとも一種であること。
エステルであること、(2)前記脂肪族ポリエステルが
ポリアルキレンジカルボキシレート類、ポリ乳酸および
ポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類から選ばれた
少なくとも一種であること、(3)前記脂肪族ポリエス
テルが融点70℃以上のポリアルキレンジカルボキシレ
ート類の少なくとも一種であること、(4)前記融点が
70℃以上のポリアルキレンジカルボキシレートが、ポ
リブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートお
よびポリブチレン(サクシネート/アジペート)から選
ばれた少なくとも一種であること。
【0013】また、本発明の生分解性釣糸の製造方法
は、生分解性樹脂を溶融紡糸、冷却、延伸、熱固定して
一旦巻き取ったモノフィラメントを綛状にリワインドし
た後、この綛を35〜65℃の温水中で3〜60分間弛
緩処理することを特徴とする。
は、生分解性樹脂を溶融紡糸、冷却、延伸、熱固定して
一旦巻き取ったモノフィラメントを綛状にリワインドし
た後、この綛を35〜65℃の温水中で3〜60分間弛
緩処理することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。
する。
【0015】まず、本発明で用いる生分解性合成樹脂と
は、ポリアルキレンジカルボキシレート類、ポリ乳酸お
よびポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類に代表さ
れる脂肪族ポリエステルが好適であるが、強度などの釣
糸としての性能を十分に発揮し得る生分解性樹脂(例え
ばポリブチレンサクシネート/テレフタレートなどの半
芳香族ポリエステルなど)であってもよく、必ずしもこ
れらに限定されるものではない。
は、ポリアルキレンジカルボキシレート類、ポリ乳酸お
よびポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)類に代表さ
れる脂肪族ポリエステルが好適であるが、強度などの釣
糸としての性能を十分に発揮し得る生分解性樹脂(例え
ばポリブチレンサクシネート/テレフタレートなどの半
芳香族ポリエステルなど)であってもよく、必ずしもこ
れらに限定されるものではない。
【0016】なお、本発明で使用する脂肪族ポリエステ
ルにあっては、なかでも190℃、荷重2.16Kgの
条件で測定したメルトインデックス(以下MIという)
が10g/分以下、融点が70℃以上の脂肪族ポリエス
テルが特に好適である。ここで、MIが10g/分を上
回ると、釣糸として必要な強度が発現し難く、また融点
が70℃を下回ると、釣糸が夏場の車中などに放置され
た場合などの耐熱性に問題が生ずることになるからであ
る。
ルにあっては、なかでも190℃、荷重2.16Kgの
条件で測定したメルトインデックス(以下MIという)
が10g/分以下、融点が70℃以上の脂肪族ポリエス
テルが特に好適である。ここで、MIが10g/分を上
回ると、釣糸として必要な強度が発現し難く、また融点
が70℃を下回ると、釣糸が夏場の車中などに放置され
た場合などの耐熱性に問題が生ずることになるからであ
る。
【0017】上記ポリアルキレンジカルボキシレート類
の具体例としては、ポリブチレンサクシネート、ポリエ
チレンサクシネートおよびポリブチレンサクシネート/
アジペート)などが挙げられるが、これに限定されるも
のではない。
の具体例としては、ポリブチレンサクシネート、ポリエ
チレンサクシネートおよびポリブチレンサクシネート/
アジペート)などが挙げられるが、これに限定されるも
のではない。
【0018】また、上記ポリ乳酸としては、ポリ−L−
乳酸、ポリ−D−乳酸、およびL−乳酸/D−乳酸/ラ
セミ体乳酸の混合物をモノマーとする共重合ポリマーな
どが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
乳酸、ポリ−D−乳酸、およびL−乳酸/D−乳酸/ラ
セミ体乳酸の混合物をモノマーとする共重合ポリマーな
どが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】さらに、上記ポリ(β−ヒドロキシアルカ
ノエート)類としては、ポリ−3−ヒドロキシブチレー
ト、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、およびポリ−3
−ヒドロキシ(ブチレート/バリレート)などが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
ノエート)類としては、ポリ−3−ヒドロキシブチレー
ト、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、およびポリ−3
−ヒドロキシ(ブチレート/バリレート)などが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。
【0020】なお、本発明で用いる上記各ポリマーに
は、例えば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、結晶化抑制剤、および可塑剤などの各種添加剤
を、目的とする性能を阻害しない範囲で、その重合行
程、重合後あるいは紡糸直前に添加することができる。
は、例えば顔料、染料、耐光剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、結晶化抑制剤、および可塑剤などの各種添加剤
を、目的とする性能を阻害しない範囲で、その重合行
程、重合後あるいは紡糸直前に添加することができる。
【0021】上記生分解性合成樹脂のモノフィラメント
からなる本発明の生分解性釣糸は、JISL1013の
規定に準じて測定した引張強度が500MPa以上、特
に600MPa以上、同じく結節強度が350MPa以
上、特に450MPa以上であり、且つモノフィラメン
ト試料から交差させた2本1組のループを作り、上方ル
ープを止め金に固定し、下方ループに荷重(モノフィラ
メントの繊度[デニール]の1/2の荷重[g]の重
り)を3分間かけた後、ループの交差点で形成された1
対の松葉状に屈曲したサンプルを長さ約3cmにカット
して採取し、これを60分間放置した後測定した開角度
(θ)から、式(θ/180)×100で算出した屈曲
回復率が60%以上、特に65%以上の特性を有するこ
とが重要である。
からなる本発明の生分解性釣糸は、JISL1013の
規定に準じて測定した引張強度が500MPa以上、特
に600MPa以上、同じく結節強度が350MPa以
上、特に450MPa以上であり、且つモノフィラメン
ト試料から交差させた2本1組のループを作り、上方ル
ープを止め金に固定し、下方ループに荷重(モノフィラ
メントの繊度[デニール]の1/2の荷重[g]の重
り)を3分間かけた後、ループの交差点で形成された1
対の松葉状に屈曲したサンプルを長さ約3cmにカット
して採取し、これを60分間放置した後測定した開角度
(θ)から、式(θ/180)×100で算出した屈曲
回復率が60%以上、特に65%以上の特性を有するこ
とが重要である。
【0022】ここで、上記引張強度および結節強度は、
釣糸に魚が掛かった時に加わる力に耐え得る耐力にとっ
て重要な特性であり、引張強度および結節強度が上記の
範囲未満では、釣糸として要求される力学的性質を十分
満足せず、高切れ(直線部分での糸切れ)や結び目部分
での糸切れなどの不具合を生じ易い釣糸となってしま
う。
釣糸に魚が掛かった時に加わる力に耐え得る耐力にとっ
て重要な特性であり、引張強度および結節強度が上記の
範囲未満では、釣糸として要求される力学的性質を十分
満足せず、高切れ(直線部分での糸切れ)や結び目部分
での糸切れなどの不具合を生じ易い釣糸となってしま
う。
【0023】また、上記屈曲回復率は、釣糸の糸ぐせに
関し重要な特性であり、屈曲回復率が上記の範囲未満で
は、糸ぐせが発現しやすく、キャスティングや巻き取り
時の操作性が劣る釣糸となってしまう。
関し重要な特性であり、屈曲回復率が上記の範囲未満で
は、糸ぐせが発現しやすく、キャスティングや巻き取り
時の操作性が劣る釣糸となってしまう。
【0024】すなわち、従来の生分解性樹脂からなる釣
糸は、高強度化を目的として高度に延伸することから高
配向高結晶化した繊維構造となり、そのことによって延
伸歪みに起因する糸ぐせが発生しやすいものであった。
ここで、釣糸に関する糸ぐせとは、ガイドや岩などの障
害物との擦過によって発生するちぢれ、駒などの巻具に
巻いた後解除した時に発現する巻ぐせ、およびリールか
らのキャスティングを行い糸に繰り返し伸長を与えるこ
とによって発生するカールなどを意味する。そして、こ
れらの糸ぐせの一因が延伸歪みにあることは一般的に良
く知られた事実であり、この延伸歪みを除去する方法と
しては、1段乃至多段延伸後に、連続して適度な定長、
弛緩熱固定が行われている。
糸は、高強度化を目的として高度に延伸することから高
配向高結晶化した繊維構造となり、そのことによって延
伸歪みに起因する糸ぐせが発生しやすいものであった。
ここで、釣糸に関する糸ぐせとは、ガイドや岩などの障
害物との擦過によって発生するちぢれ、駒などの巻具に
巻いた後解除した時に発現する巻ぐせ、およびリールか
らのキャスティングを行い糸に繰り返し伸長を与えるこ
とによって発生するカールなどを意味する。そして、こ
れらの糸ぐせの一因が延伸歪みにあることは一般的に良
く知られた事実であり、この延伸歪みを除去する方法と
しては、1段乃至多段延伸後に、連続して適度な定長、
弛緩熱固定が行われている。
【0025】しかしながら、ポリアルキレンジカルボキ
シレート類を代表とする生分解性合成樹脂から得られる
釣糸は、既存のポリアミド製釣糸やフロロカーボン製釣
糸に比べると融点が低いことや素材的に糸ぐせが発現し
やすいことから、従来の方法によっては、糸ぐせが満足
すべき改良レベルには到達していなかったため、キャス
ティングや巻き取り時の操作性に難点がある生分解性釣
糸しか得られていなかったのである。
シレート類を代表とする生分解性合成樹脂から得られる
釣糸は、既存のポリアミド製釣糸やフロロカーボン製釣
糸に比べると融点が低いことや素材的に糸ぐせが発現し
やすいことから、従来の方法によっては、糸ぐせが満足
すべき改良レベルには到達していなかったため、キャス
ティングや巻き取り時の操作性に難点がある生分解性釣
糸しか得られていなかったのである。
【0026】しかるに、本発明によれば、生分解性釣糸
の糸ぐせの評価が、屈曲回復率によって的確に表される
ことが見出され、この屈曲回復率と上記引張強度および
結節強度とが、いずれも上記の範囲を満たすことによっ
て、糸ぐせや力学的性質などの釣糸として要求される性
能と生分解性とを兼ね備えた生分解性釣糸の実現が可能
となったのである。
の糸ぐせの評価が、屈曲回復率によって的確に表される
ことが見出され、この屈曲回復率と上記引張強度および
結節強度とが、いずれも上記の範囲を満たすことによっ
て、糸ぐせや力学的性質などの釣糸として要求される性
能と生分解性とを兼ね備えた生分解性釣糸の実現が可能
となったのである。
【0027】そして、上記の特性を具備した本発明の生
分解性釣糸は、以下に説明する方法により効率的に製造
することができる。
分解性釣糸は、以下に説明する方法により効率的に製造
することができる。
【0028】まず、生分解性合成樹脂を溶融紡糸するに
際しては、押出紡糸機を用いる通常の条件を採用するこ
とができ、例えばポリマー温度170〜240℃、押出
圧力10〜500Kg/cm2 、口金孔径0.1〜5m
m、紡糸速度0.3〜100m/分などの条件を適宜選
択することができる。
際しては、押出紡糸機を用いる通常の条件を採用するこ
とができ、例えばポリマー温度170〜240℃、押出
圧力10〜500Kg/cm2 、口金孔径0.1〜5m
m、紡糸速度0.3〜100m/分などの条件を適宜選
択することができる。
【0029】押出機の口金から紡出されたモノフィラメ
ントは、短い気体ゾーンを通過した後、冷却浴中で冷却
されるが、ここにおける冷却媒体としては、ポリマーに
不活性な液体、通常は水が用いられる。また、冷却温度
は60℃以下とする必要があり、それを越える温度で冷
却されると、次の延伸行程での延伸性が阻害される場合
がある。
ントは、短い気体ゾーンを通過した後、冷却浴中で冷却
されるが、ここにおける冷却媒体としては、ポリマーに
不活性な液体、通常は水が用いられる。また、冷却温度
は60℃以下とする必要があり、それを越える温度で冷
却されると、次の延伸行程での延伸性が阻害される場合
がある。
【0030】冷却固化されたモノフィラメントは、引き
続き1段目の延伸行程に送られるが、延伸および熱固定
の雰囲気(浴)としては、温水、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、およびシリコンオイルなどの加熱した
熱媒浴、乾熱気体浴、および水蒸気浴などが用いられ
る。
続き1段目の延伸行程に送られるが、延伸および熱固定
の雰囲気(浴)としては、温水、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、およびシリコンオイルなどの加熱した
熱媒浴、乾熱気体浴、および水蒸気浴などが用いられ
る。
【0031】次いで、延伸を行うに際しての条件は、モ
ノフィラメントを構成するポリマーによって異なるが、
通常は先ず1段目延伸を2.5〜5.0倍の倍率に設定
し、その後全延伸倍率が5.0倍以上(好ましくは5.
5倍以上)となる延伸倍率で2段目または2〜3段目の
多段延伸を行う。
ノフィラメントを構成するポリマーによって異なるが、
通常は先ず1段目延伸を2.5〜5.0倍の倍率に設定
し、その後全延伸倍率が5.0倍以上(好ましくは5.
5倍以上)となる延伸倍率で2段目または2〜3段目の
多段延伸を行う。
【0032】多段延伸後には、必要に応じて延伸歪みを
除去することなどを目的として適度な定長、弛緩熱固定
を行うこともできる。
除去することなどを目的として適度な定長、弛緩熱固定
を行うこともできる。
【0033】次に、本発明においては、このようにして
得られたモノフィラメントを一旦綛状にリワインドした
後、この綛を35〜65℃、より好ましくは40〜60
℃の温水中で、3〜60分間、より好ましくは10〜3
0分間弛緩処理することが重要である。処理温度が35
℃を下回ったり処理時間が3分未満では、本発明が目的
とする糸ぐせの改善が不十分であり、また処理温度が6
5℃を上回ったり処理時間が60分を越えると、釣糸と
して要求される強度が著しく低下するため好ましくな
い。また、綛の形状には特に制約はないが、通常は周長
150cm程度、全長2000m程度とするのが一般的
である。
得られたモノフィラメントを一旦綛状にリワインドした
後、この綛を35〜65℃、より好ましくは40〜60
℃の温水中で、3〜60分間、より好ましくは10〜3
0分間弛緩処理することが重要である。処理温度が35
℃を下回ったり処理時間が3分未満では、本発明が目的
とする糸ぐせの改善が不十分であり、また処理温度が6
5℃を上回ったり処理時間が60分を越えると、釣糸と
して要求される強度が著しく低下するため好ましくな
い。また、綛の形状には特に制約はないが、通常は周長
150cm程度、全長2000m程度とするのが一般的
である。
【0034】このように、釣糸を綛状にした完全弛緩状
態で、比較的低い温度での適度な温水処理を施すことに
よって、強度低下をほとんど引き起こすことなく、糸ぐ
せを満足すべきレベルまで改善することができる。
態で、比較的低い温度での適度な温水処理を施すことに
よって、強度低下をほとんど引き起こすことなく、糸ぐ
せを満足すべきレベルまで改善することができる。
【0035】このようにして得られた本発明の生分解性
釣糸は、釣糸として要求される引張強度および結節強度
を十分に満足すると共に、生分解性釣糸の難点であった
糸ぐせが飛躍的に改善されたものでり、しかも生分解性
を有しており、環境保護および自然保護の両面にとって
も望ましいことから、種々の釣用途に対し極めて有用で
ある。
釣糸は、釣糸として要求される引張強度および結節強度
を十分に満足すると共に、生分解性釣糸の難点であった
糸ぐせが飛躍的に改善されたものでり、しかも生分解性
を有しており、環境保護および自然保護の両面にとって
も望ましいことから、種々の釣用途に対し極めて有用で
ある。
【0036】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて説明する
が、実施例における釣糸の評価は以下の方法に準じて行
った。 [引張強度および結節強度]:JISL1013の規定
に準じて測定した。 [屈曲回復率]:モノフィラメントから交差させた2本
1組のループを作り、上方ループを止め金に固定し、下
方ループに荷重(繊維の繊度[デニール]の1/2の荷
重[g]の重り)を3分間かける。次に、ループの交差
点で形成された1対の松葉状に屈曲したサンプルを長さ
約3cmにカットして採取し、60分間放置した後、開
角度(θ)を測定し、次式で屈曲回復率を計算した。
が、実施例における釣糸の評価は以下の方法に準じて行
った。 [引張強度および結節強度]:JISL1013の規定
に準じて測定した。 [屈曲回復率]:モノフィラメントから交差させた2本
1組のループを作り、上方ループを止め金に固定し、下
方ループに荷重(繊維の繊度[デニール]の1/2の荷
重[g]の重り)を3分間かける。次に、ループの交差
点で形成された1対の松葉状に屈曲したサンプルを長さ
約3cmにカットして採取し、60分間放置した後、開
角度(θ)を測定し、次式で屈曲回復率を計算した。
【0037】
屈曲回復率(%)=(θ/180)×100
測定回数は4回とし、その平均値で示した。数値が大き
いほど屈曲回復性が優れている。
いほど屈曲回復性が優れている。
【0038】[実施例1]コハク酸/アジピン酸(80
/20モル%)および1.4ブタンジオールとのランダ
ムコポリマー(MI:1.0g/10分、融点95℃…
ポリマーA1)を、エクストルーダー型紡糸機で230
℃で溶融し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さ
らに20℃の水浴中で冷却した。
/20モル%)および1.4ブタンジオールとのランダ
ムコポリマー(MI:1.0g/10分、融点95℃…
ポリマーA1)を、エクストルーダー型紡糸機で230
℃で溶融し、孔径1.5mmの口金を通して紡糸し、さ
らに20℃の水浴中で冷却した。
【0039】次に、この未延伸糸を70℃の温水1段目
延伸浴中で4.3倍(E1)に延伸し、引続いて85℃
の2段目乾熱浴中で2.21倍(E2)に延伸し、全延
伸倍率(E1×E2)が9.5倍のモノフィラメントを
得た。続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で
通過させ熱固定を施してボビンに一旦巻き取った。
延伸浴中で4.3倍(E1)に延伸し、引続いて85℃
の2段目乾熱浴中で2.21倍(E2)に延伸し、全延
伸倍率(E1×E2)が9.5倍のモノフィラメントを
得た。続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で
通過させ熱固定を施してボビンに一旦巻き取った。
【0040】次いで、このモノフィラメントを周長15
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、この綛
を完全弛緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した
後、取り出した綛を風乾することにより、直径0.22
mmの釣糸を得た。
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、この綛
を完全弛緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した
後、取り出した綛を風乾することにより、直径0.22
mmの釣糸を得た。
【0041】[実施例2]ポリブチレンサクシネート
(MI:1.2g/10分、融点:114℃…ポリマー
B1)を、実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸
を得た。
(MI:1.2g/10分、融点:114℃…ポリマー
B1)を、実施例1と同様に溶融紡糸、冷却し未延伸糸
を得た。
【0042】次に、この未延伸糸を80℃の温水1段目
延伸浴中で3.7倍(E1)に延伸し、引続いて95℃
の2段目乾熱浴中で2.03倍(E2)に延伸し、全延
伸倍率(E1×E2)が7.5倍のモノフィラメントを
得た。続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で
通過させ熱固定を施してボビンに一旦巻き取った。
延伸浴中で3.7倍(E1)に延伸し、引続いて95℃
の2段目乾熱浴中で2.03倍(E2)に延伸し、全延
伸倍率(E1×E2)が7.5倍のモノフィラメントを
得た。続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で
通過させ熱固定を施してボビンに一旦巻き取った。
【0043】次いで、このモノフィラメントを周長15
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、この綛
を完全弛緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した
後、取り出した綛を風乾することにより、直径0.22
mmの釣糸を得た。
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、この綛
を完全弛緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した
後、取り出した綛を風乾することにより、直径0.22
mmの釣糸を得た。
【0044】[実施例3]コハク酸/アジピン酸(80
/20モル%)および1.4ブタンジオールとのランダ
ムコポリマー(MI:0.5g/10分、融点:95℃
…ポリマーA2)と、融点が114℃のポリブチレンサ
クシネート(ポリマーB2)との50/50(重量部)
のブレンドポリマー(混合組成物の溶融時MI:0.5
g/10分)を、実施例1と同様に溶融紡糸、冷却する
ことにより未延伸糸を得た。
/20モル%)および1.4ブタンジオールとのランダ
ムコポリマー(MI:0.5g/10分、融点:95℃
…ポリマーA2)と、融点が114℃のポリブチレンサ
クシネート(ポリマーB2)との50/50(重量部)
のブレンドポリマー(混合組成物の溶融時MI:0.5
g/10分)を、実施例1と同様に溶融紡糸、冷却する
ことにより未延伸糸を得た。
【0045】次に、この未延伸糸を80℃の温水1段目
延伸浴中で3.7倍(E1)に延伸し、引続いて95℃
の2段目乾熱浴中で2.11倍(E2)に延伸し、全延
伸倍率(E1×E2)が7.8倍のモノフィラメントを
得た。続いて、80℃中の乾熱浴中に処理倍率0.8倍
で通過させ熱固定を施して一旦ボビンに巻き取った。
延伸浴中で3.7倍(E1)に延伸し、引続いて95℃
の2段目乾熱浴中で2.11倍(E2)に延伸し、全延
伸倍率(E1×E2)が7.8倍のモノフィラメントを
得た。続いて、80℃中の乾熱浴中に処理倍率0.8倍
で通過させ熱固定を施して一旦ボビンに巻き取った。
【0046】次いで、このモノフィラメントを周長15
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、完全弛
緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した後、取り
出した綛を風乾することにより直径0.22mmの釣糸
を得た。
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、完全弛
緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した後、取り
出した綛を風乾することにより直径0.22mmの釣糸
を得た。
【0047】[実施例4]実施例3で用いたポリマーA
2と融点が104℃のポリエチレンサクシネート(ポリ
マーC1)の50/50(重量部)のブレンドポリマー
(混合組成物の溶融時MI:0.5g/10分)を、実
施例1と同様に溶融紡糸、冷却することにより未延伸糸
を得た。
2と融点が104℃のポリエチレンサクシネート(ポリ
マーC1)の50/50(重量部)のブレンドポリマー
(混合組成物の溶融時MI:0.5g/10分)を、実
施例1と同様に溶融紡糸、冷却することにより未延伸糸
を得た。
【0048】次に、この未延伸糸を75℃の温水1段目
浴中で4.3倍(E1)に延伸し、引続いて90℃の2
段目乾熱浴中で1.98倍(E2)に延伸し、全延伸倍
率(E1×E2)が8.5倍のモノフィラメントを得
た。続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通
過させ熱固定を施してボビンに一旦巻き取った。
浴中で4.3倍(E1)に延伸し、引続いて90℃の2
段目乾熱浴中で1.98倍(E2)に延伸し、全延伸倍
率(E1×E2)が8.5倍のモノフィラメントを得
た。続いて、80℃の乾熱浴中に処理倍率0.9倍で通
過させ熱固定を施してボビンに一旦巻き取った。
【0049】次いて、このモノフィラメントを周長15
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、この綛
を完全弛緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した
後、取り出した綛を風乾することにより、直径0.22
mmの釣糸を得た。
0cm、全長2000mの綛状にリワインドし、この綛
を完全弛緩状態で50℃の温水浴中に15分間浸漬した
後、取り出した綛を風乾することにより、直径0.22
mmの釣糸を得た。
【0050】[比較例1]実施例1において、綛状にし
ての温水処理を省略した以外は、同様にして直径0.2
2mmの釣糸を得た。
ての温水処理を省略した以外は、同様にして直径0.2
2mmの釣糸を得た。
【0051】[比較例2]実施例2において、綛状にし
ての温水処理を省略した以外は、同様にして直径0.2
2mmの釣糸を得た。
ての温水処理を省略した以外は、同様にして直径0.2
2mmの釣糸を得た。
【0052】[比較例3]実施例1において、綛状にし
て温水処理を施す条件を、70℃、15分に変更した以
外は、同様にし、直径0.22mmの釣糸を得た。
て温水処理を施す条件を、70℃、15分に変更した以
外は、同様にし、直径0.22mmの釣糸を得た。
【0053】[比較例4]実施例1において、綛状にし
て温水処理を施す条件を、30℃、15分に変更した以
外は、同様にして直径0.22mmの釣糸を得た。
て温水処理を施す条件を、30℃、15分に変更した以
外は、同様にして直径0.22mmの釣糸を得た。
【0054】[比較例5]実施例1において、綛状にし
て温水処理を施す条件を、50℃、1分に変更した以外
は、同様にして直径0.22mmの釣糸を得た。
て温水処理を施す条件を、50℃、1分に変更した以外
は、同様にして直径0.22mmの釣糸を得た。
【0055】[比較例6]実施例1において、綛状にし
て温水処理を施す条件を、50℃、120分に変更した
以外は、同様にして直径0.22mmの釣糸を得た。
て温水処理を施す条件を、50℃、120分に変更した
以外は、同様にして直径0.22mmの釣糸を得た。
【0056】上記実施例1〜4および比較例1〜6で得
られた各釣糸について、それぞれの特性を評価した結果
を表1に併せて示す。
られた各釣糸について、それぞれの特性を評価した結果
を表1に併せて示す。
【0057】
【表1】
表1の結果から明らかなように、本発明の生分解性釣糸
(実施例1〜4)は、いずれも釣糸として要求される高
い引張強度と結節強度とを有する共に、屈曲回復率が飛
躍的に向上し、従来の生分解性釣糸の難点であった糸ぐ
せが著しく改善された優れた性能を有する。
(実施例1〜4)は、いずれも釣糸として要求される高
い引張強度と結節強度とを有する共に、屈曲回復率が飛
躍的に向上し、従来の生分解性釣糸の難点であった糸ぐ
せが著しく改善された優れた性能を有する。
【0058】一方、本発明の温水処理を施さなかった生
分解性釣糸(比較例1および2)は、屈曲回復率が不十
分であり、また本発明の製造方法の条件範囲から外れた
方法により得られた生分解性釣糸(比較例3、4、5お
よび6)は、引張強度、結節強度および屈曲回復率のい
ずれかが不十分であり、本発明が目的とする効果を十分
に満たすものではなかった。
分解性釣糸(比較例1および2)は、屈曲回復率が不十
分であり、また本発明の製造方法の条件範囲から外れた
方法により得られた生分解性釣糸(比較例3、4、5お
よび6)は、引張強度、結節強度および屈曲回復率のい
ずれかが不十分であり、本発明が目的とする効果を十分
に満たすものではなかった。
【0059】[実施例5]実施例1の生分解性釣糸と、
比較例1の生分解性釣糸を、実際にルアーフィッシング
用ラインとして使用し、数10回のキャスティングを繰
り返した後の釣糸の状態を比較観察したところ、実施例
1の生分解性釣糸は比較例1の生分解性釣糸に比べて糸
ぐせ(カール)が極めて軽微であった。
比較例1の生分解性釣糸を、実際にルアーフィッシング
用ラインとして使用し、数10回のキャスティングを繰
り返した後の釣糸の状態を比較観察したところ、実施例
1の生分解性釣糸は比較例1の生分解性釣糸に比べて糸
ぐせ(カール)が極めて軽微であった。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の生分解性
釣糸は、釣糸として要求される引張強度および結節強度
を十分に満足すると共に、生分解性釣糸の難点であった
糸ぐせが飛躍的に改善されたものでり、しかも生分解性
を有しており、環境保護および自然保護の両面にとって
も望ましいことから、種々の釣用途に対し極めて有用で
ある。
釣糸は、釣糸として要求される引張強度および結節強度
を十分に満足すると共に、生分解性釣糸の難点であった
糸ぐせが飛躍的に改善されたものでり、しかも生分解性
を有しており、環境保護および自然保護の両面にとって
も望ましいことから、種々の釣用途に対し極めて有用で
ある。
【0061】また、本発明の生分解性釣糸の製造方法に
よれば、釣糸を綛状にして温水処理を施すという簡単な
手段を加味するにより、上記のすぐれた特性を具備した
生分解性釣糸を効率的に製造することができる。
よれば、釣糸を綛状にして温水処理を施すという簡単な
手段を加味するにより、上記のすぐれた特性を具備した
生分解性釣糸を効率的に製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 2B107 CA01 CA20
4L035 BB31 CC07 DD14 EE08 EE20
FF02
4L036 MA05 MA34 PA19 UA07 UA25
Claims (6)
- 【請求項1】 生分解性合成樹脂のモノフィラメントか
らなる釣糸であって、JISL1013の規定に準じて
測定した引張強度が500MPa以上、同じく結節強度
が350MPa以上、且つモノフィラメント試料から交
差させた2本1組のループを作り、上方ループを止め金
に固定し、下方ループに荷重(モノフィラメントの繊度
[デニール]の1/2の荷重[g]の重り)を3分間か
けた後、ループの交差点で形成された1対の松葉状に屈
曲したサンプルを長さ約3cmにカットして採取し、こ
れを60分間放置した後測定した開角度(θ)から、式
(θ/180)×100で算出した屈曲回復率が60%
以上であることを特徴とする生分解性釣糸。 - 【請求項2】 前記生分解性合成樹脂が脂肪族ポリエス
テルであることを特徴とする請求項1に記載の生分解性
釣糸。 - 【請求項3】 前記脂肪族ポリエステルがポリアルキレ
ンジカルボキシレート類、ポリ乳酸およびポリ(β−ヒ
ドロキシアルカノエート)類から選ばれた少なくとも一
種であることを特徴とする請求項1または2に記載の生
分解性釣糸。 - 【請求項4】 前記脂肪族ポリエステルが融点70℃以
上のポリアルキレンジカルボキシレート類の少なくとも
一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
項に記載の生分解性釣糸。 - 【請求項5】 融点が70℃以上のポリアルキレンジカ
ルボキシレート類が、ポリブチレンサクシネート、ポリ
エチレンサクシネートおよびポリブチレン(サクシネー
ト/アジペート)から選ばれた少なくとも一種であるこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生
分解性釣糸。 - 【請求項6】 生分解性樹脂を溶融紡糸、冷却、延伸、
熱固定して一旦巻き取ったモノフィラメントを綛状にリ
ワインドした後、この綛を35〜65℃の温水中で3〜
60分間弛緩処理することを特徴とする請求項1〜5の
いずれか1項に記載の生分解性釣糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001211967A JP2003027345A (ja) | 2001-07-12 | 2001-07-12 | 生分解性釣糸およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001211967A JP2003027345A (ja) | 2001-07-12 | 2001-07-12 | 生分解性釣糸およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003027345A true JP2003027345A (ja) | 2003-01-29 |
Family
ID=19047202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001211967A Pending JP2003027345A (ja) | 2001-07-12 | 2001-07-12 | 生分解性釣糸およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003027345A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2005090657A1 (ja) * | 2004-03-18 | 2005-09-29 | Kureha Corporation | ポリグリコール酸系樹脂フィラメントおよびその製造方法 |
JP2007077558A (ja) * | 2005-09-16 | 2007-03-29 | Kureha Corp | 生分解性の制御された生分解性樹脂フィラメント及びその製造方法 |
KR101531316B1 (ko) * | 2014-08-20 | 2015-06-24 | 대한민국 | 수중침지 열처리 장치 및 이를 이용한 그물감 제조방법 |
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JP2015198608A (ja) * | 2014-04-08 | 2015-11-12 | 株式会社シマノ | 釣用仕掛け |
-
2001
- 2001-07-12 JP JP2001211967A patent/JP2003027345A/ja active Pending
Cited By (9)
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