JP6176365B2 - 振動片、発振器および電子機器 - Google Patents
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ここで、バイ・メサ型の水晶基板を形成する方法としては、たとえば、板状の水晶基板をフォトリソグラフィー技法とエッチング技法によりパターニングする方法が挙げられる。
図14に示す形状にて有効振動領域53の幅W1’を求めるには、種々の方法があるが、比較的簡単な方法として、例えば、水晶振動片の全幅W2’と、第1凸部51の主面511の−Z’軸側の端A2’と水晶振動片の−Z’軸側の端B2’との離間距離L1’と、第2凸部52の主面521の+Z’軸側の端A4’と水晶振動片の+Z’軸側の端B1’との離間距離L2とを求め、W1’=W2’−(L1’+L2’)なる公式に代入することにより、有効振動領域53の幅W1’を求めることができる。
以上のように、従来の水晶振動片の製造方法では、有効振動領域の幅を正確に計測できず、振動特性(品質)の管理が困難な水晶振動片が製造されてしまうという問題があった。
[適用例1]
本適用例の振動片は、Y’軸方向の一方側に突出しており、Z’軸方向に沿った第1主面を備えている第1凸部と、
前記Y’軸方向の他方側に突出しており、前記Z’軸方向に沿った第2主面を備えている第2凸部と、
平面視で前記第1凸部および前記第2凸部の外縁に沿って配置されており、前記Y’軸方向の一方側に第3主面および前記Y’軸方向の他方側に第4主面を備え、前記第3主面と前記第4主面とで規定される厚さが前記第1主面と前記第2主面とで規定される厚さよりも薄い薄肉部と、
を含む回転Yカットの水晶基板を備え、
平面視で、前記第1主面の前記Z’軸方向の一方側の端は、前記第2主面の前記Z’軸方向の一方側の端よりも前記Z’軸方向の他方側にあり、
平面視における、前記第1主面の前記Z’軸方向の一方側の端と前記第2主面の前記Z’軸方向の一方側の端との距離をD1とし、
前記第1主面の前記第3主面からの高さと、前記第2主面の前記第4主面からの高さとの和をtとしたとき、
前記D1と前記tとの関係は、0<D1≦t/2を満足することを特徴とする。
これにより、振動部の有効振動領域の幅を簡単かつ正確に計測でき、振動特性の管理が容易な振動片を製造することができる。また、有効振動領域の大きさを比較的大きく保つことができる。
本適用例の振動片では、平面視で、前記第1主面の前記Z’軸方向の他方側の端は、前記第2主面の前記Z’軸方向の他方側の端よりも前記Z’軸方向の他方側にあり、
平面視における、前記第1主面の前記Z’軸方向の他方側の端と前記第2主面の前記Z’軸方向の他方側の端との距離をD2としたとき、
前記D2と前記tとの関係は、0<D2≦t/2を満足することが好ましい。
これにより、有効振動領域の大きさを比較的大きく保つことができる。
本適用例の振動片では、前記第1凸部は、前記第1主面の前記Z’軸方向の一方側の端と前記第3主面とを連結しており、前記第1主面に対して垂直な側面を備え、
前記第2凸部は、前記第2主面の前記Z’軸方向の他方側の端と前記第4主面とを連結しており、前記第2主面に対して垂直な側面を備えていることが好ましい。
これにより、振動部の有効振動領域の幅をより正確に計測することができる。
本適用例の振動片では、前記水晶基板は、ATカット水晶基板であることが好ましい。
これにより、優れた周波数特性を有する振動片を製造することができる。
本適用例の振動子は、上記適用例の振動片と、
前記振動片が収容されているパッケージと、を備えていることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する振動子が得られる。
[適用例6]
本適用例の発振器は、上記適用例の振動片と、
前記振動片と電気的に接続されている発振回路と、を備えていることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する発振器が得られる。
本適用例の電子機器は、上記適用例の振動片を備えていることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を有する電子機器が得られる。
まず、本発明の振動片を適用した振動子(本発明の振動子)について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる振動子の平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示す振動子が有する振動片の平面図であり、(a)が上面図、(b)が下面図、図4は、図1中のB−B線断面図、図5は、図1に示す振動子が有する振動片の部分拡大図であり、(a)が上面拡大図、(b)が下面拡大図、図6および図7は、図3に示す振動片の製造方法を説明するための断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図2中の上側を「上」と言い、下側を「下」と言う。
図1および図2に示す振動子1は、振動片2(本発明の振動片)と、振動片2を収納するパッケージ9とを有している。以下、振動片2およびパッケージ9について、順次詳細に説明する。
(パッケージ)
パッケージ9は、上面に開放する凹部911を有する箱状のベース91と、凹部911の開口を塞ぐようにベース91に接合されている板状のリッド92とを有している。このようなパッケージ9は、凹部911がリッド92にて塞がれることにより形成された収納空間Sを有しており、この収納空間Sに、振動片2が気密的に収納、設置されている。なお、収納空間S内は、例えば、減圧(好ましくは真空)状態となっていてもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入されていてもよい。これにより、振動片2の振動特性が向上する。
また、第1接続端子95は、図示しないビアを介してパッケージ9の底面に形成された外部端子(実装端子)94に電気的に接続されており、第1接続端子96は、図示しないビアを介してパッケージ9の底面に形成された外部端子(実装端子)97に電気的に接続されている。
第1、第2接続端子95、96および外部端子94の構成としては、それぞれ、導電性を有していれば、特に限定されないが、例えば、Cr(クロム)、W(タングステン)などのメタライズ層(下地層)に、Ni(ニッケル)、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)などの各被膜を積層した金属被膜で構成することができる。
図1ないし図3に示すように、本実施形態の振動片2は、水晶基板3と、水晶基板3上に形成された導体パターン4とで構成されている。
水晶基板3は、所謂、振動モードが厚みすべり振動で振動する回転Yカット水晶基板であって、例えば、ATカット水晶基板で構成されている。これにより、優れた周波数特性を発揮することのできる振動片2となる。なお、回転Yカット水晶基板とは、水晶の結晶軸であるX軸(電気軸)とZ軸(光学軸)とを含む平面(Y面)をX軸回りにZ軸から反時計方向(−Y軸(機械軸)方向)に所定の角度αだけ回転させて得られる主面(X軸とZ’軸とを含む主面)を有するように切り出された水晶基板である。このような構成の水晶基板3では、水晶基板3の長手方向をX軸、短手方向をZ’軸、さらに厚さ方向をY’軸と定めることができる。ATカット水晶基板の場合は、前記角度αは約35度15分である。
また、周縁部32の下面には、第1接続電極421と、第2接続電極422とが並んで形成されている。第1励振電極411は、水晶基板3の上面および側面に形成された第1接続配線431を介して第1接続電極421と電気的に接続されており、第2励振電極412は、水晶基板3の下面に形成された第2接続配線432を介して第2接続電極422と電気的に接続されている。
これら第1励振電極411、第2励振電極412、第1接続電極421、第2接続電極422、第1接続配線431および第2接続配線432により導体パターン4が構成されている。
このような振動片2は、導電性固定部材71、72によって、パッケージ9に支持されている。具体的には、前述したように、第1接続電極421が導電性固定部材71を介して第1接続端子95に固定されており、第1接続電極422が導電性固定部材72を介して第2接続端子96に固定されている。
図4に示すように、第1凸部35は、主面351と、主面351に対して+Z’軸側に位置する側面352と、主面351に対して−Z’軸側に位置する側面353とを有している。側面352は、水晶の第1の結晶面であり、主面351に対してほぼ垂直な面(すなわち、Y’軸とほぼ平行な面)である。一方、側面353は、水晶の第2の結晶面であり、主面351に対して傾斜した面である。
なお、側面353が主面351に対してほぼ垂直とは、主面351と側面353とのなす角θが85°≦θ≦95°の範囲にあるものを含むことを意味する。同様に、側面373が主面371に対してほぼ垂直とは、主面371と側面373とのなす角θが85°≦θ≦95°の範囲にあるものを含むことを意味する。
以上のように、振動片2によれば、L1、L2を正確に測定することができ、そのため、幅W1について正確に求めることができる。そのため、幅W1の値に基づく高精度な品質管理を容易に行うことができる。
また、本実施形態のように、水晶基板3のZ’方向の中心O1に対して、第1凸部37の主面371の端A1が+Z’軸側に位置し、第2凸部37の主面371の端A3が−Z’軸側に位置していることにより、有効振動領域39を、水晶基板3のZ’軸方向の中央部にバランスよく形成することができる。そのため、振動部31バランスよく振動させることができる。
次に、振動片2の製造方法(本発明の製造方法)について図6および図7に基づいて説明する。
振動片2の製造方法は、ATカットの水晶基板30を用意する第1工程と、水晶基板30に、振動部31と周縁部32とを形成し水晶基板3を得る第2工程と、水晶基板3に導体パターン4を形成する第3工程とを有している。また、第2工程は、水晶基板30の+Y’軸側の主面に第1凸部35に対応する第1マスクM1を形成するとともに、−Y’軸側の主面に第2凸部37に対応する第2マスクM2を形成するマスク形成工程と、第1マスクM1および第2マスクM2を介して水晶基板30をエッチングするエッチング工程とを有している。
[第1工程]
まず、図6(a)に示すように、ATカットで切り出された板状の水晶基板30を用意する。水晶基板30は、後述する加工を経て水晶基板3となる部材である。
[第2工程]
(マスク形成工程)
まず、図6(b)に示すように、フォトリソグラフィー法などを用いて、水晶基板30の上面に第1マスクM1を形成するとともに、下面に第2マスクM2を形成する。第1マスクM1は、振動部31が有する第1凸部35に対応して形成され、第2マスクM2は、第2凸部37に対応して形成される。なお、第1マスクM1および第2マスクM2は、互いに同じ形状(大きさを含む)をなしている。
また、第1マスクM1は、そのZ’軸方向の中心O2が水晶基板30のZ’軸方向の中心O1に対して−Z’軸側に位置するように形成され、第2マスクM2は、そのZ’軸方向の中心O3が中心O1に対して+Z’軸側に位置するように形成されている。
次いで、水晶基板30を第1、第2マスクM1、M2を介してエッチングする。エッチング方法としては、特に限定されず、ウェットエッチング法を用いることができる。これにより、図6(c)に示すように、第1凸部35および第2凸部37を有する振動部31と、振動部31の周囲に形成された周縁部32とを有する水晶基板3が得られる。
また、端A3は、端A1に対して−Z’軸側に離間して位置している。また、端A1は、水晶基板30(水晶基板3)の中心O1に対して+Z’軸側に位置しており、端A3は、中心O1に対して−Z’軸側に位置している。
第1、第2マスクM1、M2を除去した後、図7に示すように、水晶基板3上に導体パターン4(第1、第2励振電極411、412、第1、第2接続電極421、422および第1、第2接続配線431、432)を形成する。具体的には、導体パターン4は、例えば、まず、Cr(クロム)、Au(金)をこの順に、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、PVD、CVDなどの気相成膜法を用いて水晶基板3上に成膜し、次いで、フォトリソグラフィー法などを用いて膜上に導体パターン4に対応するマスクを形成し、ドライエッチング法などを用いて膜をパターニングした後、マスクを除去することにより形成することができる。
以上の工程によって、振動片2が得られる。
次に、本発明の振動子の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態にかかる振動子の断面図である。
以下、第2実施形態の振動子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8に示すように、パッケージ9Aは、板状(平板状)のベース91Aと、下面に開放する凹部921を有するキャップ状のリッド92Aとを有している。このようなパッケージ9Aは、凹部921の開口をベース91Aによって塞ぐことにより、収納空間Sを形成し、収納空間Sに振動片2を気密的に収納している。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次に、本発明の振動子の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態にかかる振動子の断面図である。
以下、第3実施形態の振動子について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態の振動子1では、振動片2と、振動片2を収納するパッケージ9と、振動片2の温度を検出する感温部品(電子部品)6とを有している。
感温部品6は、例えば、温度変化に応じて物理量、例えば電気抵抗が変わるサーミスターを用いることができる。そして、サーミスターの電気抵抗を外部回路で検出し、サーミスターの検出温度が測定できる。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
次いで、本発明の振動片を適用した発振器(本発明の発振器)について説明する。
図10に示す発振器10は、振動子1と、振動片2を駆動するためのICチップ(チップ部品)8とを有している。以下、発振器10について、前述した振動子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
ベース91の凹部911は、ベース91の上面に開放する第1凹部911aと、第1凹部911aの底面の中央部に開放する第2凹部911bと、第2凹部911bの底面の中央部に開放する第3凹部911cとを有している。
また、第2凹部911bの底面には、ワイヤーを介してICチップ8と電気的に接続された複数の内部端子93が形成されている。これら複数の内部端子93には、ベース91に形成された図示しないビアを介してパッケージ9の底面に形成された外部端子(実装端子)94に電気的に接続された端子と、図示しないビアやワイヤーを介して第1接続端子95に電気的に接続された端子と、図示しないビアやワイヤーを介して第2接続端子95に電気的に接続された端子とが含まれている。
なお、図10の構成では、ICチップ8が収納空間S内に配置されている構成について説明したが、ICチップ8の配置は、特に限定されず、例えば、パッケージ9の外側(ベースの底面)に配置されていてもよい。
次いで、本発明の振動片を適用した電子機器(本発明の電子機器)について、図11〜図13に基づき、詳細に説明する。
図11は、本発明の振動片を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動子1が内蔵されている。
Claims (7)
- Y’軸方向の一方側に突出しており、Z’軸方向に沿った第1主面を備えている第1凸部と、
前記Y’軸方向の他方側に突出しており、前記Z’軸方向に沿った第2主面を備えている第2凸部と、
平面視で前記第1凸部および前記第2凸部の外縁に沿って配置されており、前記Y’軸方向の一方側に第3主面および前記Y’軸方向の他方側に第4主面を備え、前記第3主面と前記第4主面とで規定される厚さが前記第1主面と前記第2主面とで規定される厚さよりも薄い薄肉部と、
を含む回転Yカットの水晶基板を備え、
平面視で、前記第1主面の前記Z’軸方向の一方側の端は、前記第2主面の前記Z’軸方向の一方側の端よりも前記Z’軸方向の他方側にあり、
平面視における、前記第1主面の前記Z’軸方向の一方側の端と前記第2主面の前記Z’軸方向の一方側の端との距離をD1とし、
前記第1主面の前記第3主面からの高さと、前記第2主面の前記第4主面からの高さとの和をtとしたとき、
前記D1と前記tとの関係は、0<D1≦t/2を満足することを特徴とする振動片。 - 請求項1において、
平面視で、前記第1主面の前記Z’軸方向の他方側の端は、前記第2主面の前記Z’軸方向の他方側の端よりも前記Z’軸方向の他方側にあり、
平面視における、前記第1主面の前記Z’軸方向の他方側の端と前記第2主面の前記Z’軸方向の他方側の端との距離をD2としたとき、
前記D2と前記tとの関係は、0<D2≦t/2を満足することを特徴とする振動片。 - 請求項1または2において、
前記第1凸部は、前記第1主面の前記Z’軸方向の一方側の端と前記第3主面とを連結しており、前記第1主面に対して垂直な側面を備え、
前記第2凸部は、前記第2主面の前記Z’軸方向の他方側の端と前記第4主面とを連結しており、前記第2主面に対して垂直な側面を備えていることを特徴とする振動片。 - 請求項1ないし3のいずれか一項において、
前記水晶基板は、ATカット水晶基板であることを特徴とする振動片。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片が収容されているパッケージと、を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片と電気的に接続されている発振回路と、を備えていることを特徴とする発振器。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の振動片を備えていることを特徴とする電子機器。
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