(第1実施例)
(通信システム2の構成)
図1に示されるように、通信システム2は、AP(Access Pointの略)4と、PC(Personal Computerの略)6と、多機能機(以下では「MFP(Multi-Function Peripheralの略)」と呼ぶ)10と、複数個の携帯端末50,100と、を備える。
(MFP10の構成)
MFP10は、印刷機能及びスキャン機能を含む多機能を実行可能な周辺機器である。MFP10は、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、スキャン実行部18と、無線LANインターフェース(以下ではインターフェースのことを「I/F」と記載する)20と、制御部30と、を備える。各部12〜30は、バス線(符号省略)に接続されている。
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をMFP10に与えることができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構である。
無線LANI/F20は、無線通信を実行するためのインターフェースであり、物理的には1個のインターフェース(即ち1個のICチップ)である。ただし、無線LANI/F20には、WFD(Wi-Fi Directの略)方式に従った無線通信(以下では「WFD通信」と呼ぶ)で利用されるMACアドレス(以下では「WFDMAC」と呼ぶ)と、通常Wi−Fi方式に従った無線通信(以下では「通常Wi−Fi通信」と呼ぶ)で利用されるMACアドレス(以下では「通常Wi−FiMAC」と呼ぶ)と、の両方が割り当てられる。
具体的に言うと、無線LANI/F20には、通常Wi−FiMACが予め割り当てられている。制御部30は、通常Wi−FiMACを利用して、通常Wi−FiMACとは異なるWFDMACを生成して、WFDMACを無線LANI/F20に割り当てる。従って、制御部30は、通常Wi−FiMACを利用した通常Wi−Fi通信と、WFDMACを利用したWFD通信と、の両方を同時的に実行し得る。
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。メモリ34は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラムに従って、様々な処理(例えば後述の図2又は図3の各処理)を実行する。CPU32が上記のプログラムに従って処理を実行することによって、第1の接続部41、判断部44、及び、出力部45の各機能が実現される。なお、第1の接続部41は、参加部42と、通信部43と、を備える。また、出力部45は、第2の接続部46を備える。ただし、第2の接続部46は、後述の第2実施例で利用される構成であり、本実施例では省略されてもよい。
(WFDと通常Wi−Fi)
上述したように、MFP10によって利用されるMACアドレスという観点では、WFD通信、WFD方式は、それぞれ、WFDMACが利用される無線通信、無線通信方式である。また、通常Wi−Fi通信、通常Wi−Fi方式は、それぞれ、通常Wi−FiMACが利用される無線通信、無線通信方式である。
(WFD)
WFD方式は、Wi−Fi Allianceによって作成された規格書「Wi−Fi Peer−to−Peer(P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。WFD方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。
MFP10は、通常Wi−FiMACを利用する場合には、WFD方式に従って無線ネットワークに所属することができないが、WFDMACを利用する場合には、WFD方式に従って無線ネットワークに所属することができる。以下では、MFP10のように、WFD方式に従って無線ネットワークに所属することができる機器のことを「WFD対応機器」と呼ぶ。上記のWFDの規格書では、WFD対応機器の状態として、Group Owner状態(以下では「G/O状態」と呼ぶ)、クライアント状態(以下では「CL状態」と呼ぶ)、及び、デバイス状態の3つの状態が定義されている。WFD対応機器は、上記の3つの状態のうちの1つの状態で選択的に動作可能である。
デバイス状態の一対のWFD対応機器が無線ネットワークを新たに形成すべき際に、通常、当該一対のWFD対応機器は、G/Oネゴシエーションと呼ばれる無線通信を実行する。G/Oネゴシエーションでは、当該一対のWFD対応機器のうちの一方は、G/O状態(即ちG/O機器)になることを決定し、当該一対のWFD対応機器のうちの他方は、CL状態(即ちCL機器)になることを決定する。その後、当該一対のWFD対応機器は、接続を確立して、無線ネットワークを形成する。以下では、G/Oネゴシエーションの結果として形成される無線ネットワークのことを「WFDNW」と呼ぶ。
G/OネゴシエーションによってWFDNWが新たに形成された段階では、1個のG/O機器及び1個のCL機器のみがWFDNWに所属している。ただし、G/O機器は、他の機器と接続を確立して、当該他の機器をCL機器としてWFDNWに新たに参加させることができる。この場合、2個以上のCL機器がWFDNWに所属している状態になる。即ち、WFDNWでは、1個のG/O機器と1個以上のCL機器とが存在し得る。G/O機器は、1個以上のCL機器を管理する。具体的に言うと、G/O機器は、1個以上のCL機器のMACアドレスを、G/O機器のメモリ内の管理リストに登録する。また、G/O機器は、CL機器がWFDNWから離脱すると、CL機器のMACアドレスを管理リストから削除する。なお、G/O機器は、CL機器の数がゼロになると(即ち、管理リストに登録されているMACアドレスの数がゼロになると)、G/O状態からデバイス状態に移行して、WFDNWを消滅させる。
G/O機器は、管理リストに登録されているCL機器と、他の機器を介さずに、目的データの無線通信を実行可能である。目的データは、OSI参照モデルのネットワーク層の情報、及び、ネットワーク層よりも上位層(例えばアプリケーション層)の情報を含むデータであり、例えば、印刷データ、スキャンデータ等を含む。また、G/O機器は、複数個のCL機器の間の目的データの無線通信を中継可能である。換言すると、一対のCL機器は、G/O機器を介して、目的データの無線通信を実行可能である。
上述したように、WFDNWでは、目的データの送信元のWFD対応機器と、目的データの送信先のWFD対応機器と、の間で、これらのWFD対応機器とは別体に構成されているAP(例えばAP4)を介さずに、目的データの無線通信を実行することができる。即ち、WFD通信、WFD方式は、それぞれ、APを介さない無線通信、APが利用されない無線通信方式であると言える。なお、AP(例えばAP4)は、無線アクセスポイント、無線LANルータ等と呼ばれる通常のAPであり、WFD方式のG/O機器や通常Wi−Fi方式のいわゆるSoftAPとは異なる。
また、G/O機器は、目的データの無線通信をデバイス機器(即ちデバイス状態のWFD対応機器)と実行不可能であるが、接続を確立するための接続用データの無線通信をデバイス機器と実行可能である。即ち、G/O機器は、接続用データの無線通信をデバイス機器と実行することによって、デバイス機器と接続を確立して、デバイス機器をWFDNWに新たに参加させることができる。換言すると、デバイス機器は、接続用データの無線通信をG/O機器と実行することによって、G/O機器と接続を確立して、WFDNWに新たに参加することができる。この場合、デバイス機器は、デバイス状態からCL状態に移行する(即ち、CL機器としてWFDNWに参加する)。接続用データは、OSI参照モデルのネットワーク層よりも下位層(例えば、物理層、データリンク層)の情報を含むデータ(即ち、ネットワーク層の情報を含まないデータ)であり、例えば、Probe Request信号、Probe Response信号、Association Request信号、Association Response信号、Authentication Request信号、Authentication Response信号、4-Way Handshake信号等を含む。
また、G/O機器は、目的データの無線通信をWFD非対応機器と実行不可能であるが、接続用データの無線通信をWFD非対応機器と実行可能である。なお、WFD非対応機器は、WFD方式に従って無線ネットワークに所属することができないが、通常Wi−Fi方式に従って無線ネットワークに所属することができる機器である。G/O機器は、接続用データの無線通信をWFD非対応機器と実行することによって、WFD非対応機器と接続を確立して、WFD非対応機器をWFDNWに新たに参加させることができる。換言すると、WFD非対応機器は、接続用データの無線通信をG/O機器と実行することによって、G/O機器と接続を確立して、WFDNWに新たに参加することができる。WFD非対応機器は、3つの状態(即ち、G/O状態、CL状態、デバイス状態)のいずれかの状態で選択的に動作するものではないが、WFDNWに所属している間には、CL状態と同様の状態で動作する。
上述したように、G/O機器は、デバイス機器又はWFD非対応機器と接続を確立して、デバイス機器又はWFD非対応機器をWFDNWに新たに参加させることができる。しかしながら、CL機器は、G/O機器とは異なり、デバイス機器又はWFD非対応機器と接続を確立して、デバイス機器又はWFD非対応機器をWFDNWに新たに参加させることができない。
(通常Wi−Fi)
通常Wi−Fi方式は、Wi−Fi Allianceによって定められた無線通信方式であって、WFD方式とは異なる無線通信方式である。通常Wi−Fi方式は、WFD方式と同様に、IEEEの802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。
ただし、WFD方式は、G/Oネゴシエーションの仕組みを有する無線通信方式であるが、通常Wi−Fi方式は、当該仕組みを有さない無線通信方式である。また、WFD方式は、3つの状態(即ち、G/O状態、CL状態、デバイス状態)のいずれの状態で選択的に動作することを許容する無線通信方式であるが、通常Wi−Fi方式は、このような選択的な動作を許容しない無線通信方式である。これらの点において、WFD方式と通常Wi−Fi方式とは異なる。
通常Wi−Fi方式は、インフラストラクチャモード(以下では「インフラ」と簡単に呼ぶ)と、アドホックモード(以下では「アドホック」と簡単に呼ぶ)と、に分類される。一般的に言うと、インフラは、APが利用されるモードであり、アドホックは、APが利用されないモードである。通常Wi−Fi方式のアドホックについては、後述の第3実施例で説明する。ここでは、通常Wi−Fi方式のインフラについて説明する。
インフラの無線ネットワーク(以下では「通常Wi−FiNW」と呼ぶ)は、APによって形成される。例えば、AP4が通常Wi−FiNWを形成している状況を想定する。MFP10は、通常Wi−FiMACを利用して、AP4とMFP10との間に、通常Wi−Fi方式のインフラに従った接続を確立することができる。これにより、MFP10は、通常Wi−FiNWに新たに参加する。この過程において、MFP10は、G/Oネゴシエーションを実行しないし、G/O状態又はCL状態で動作することを選択的に決定しない。MFP10は、通常Wi−FiNWに所属する他の機器(例えばPC6)と、AP4を介して、目的データの無線通信を実行することができる。なお、AP4は、AP4自身に接続されている各機器のMACアドレスを、AP4の管理リストに登録する。
(MFP10が無線ネットワークに所属するための手法)
上述したように、MFP10は、WFD方式又は通常Wi−Fi方式に従って、無線ネットワークに所属することができる。ここでは、MFP10が無線ネットワークに所属するための手法について、まとめておく。
(第1の手法;G/Oネゴシエーション)
MFP10がWFDMACを利用して無線ネットワークに所属していない状況では、MFP10は、WFD方式のデバイス状態である。デバイス状態のMFP10の操作部12にWFD接続操作が加えられると、MFP10は、SLS(Scan Listen Searchの略)を実行する。なお、WFD接続操作は、MFP10と他装置(例えば携帯端末50,100)との間にWFD方式に従った接続を確立すべきことを、ユーザがMFP10に指示するための操作(例えば、表示部14に表示される複数個の項目(例えば、「WFDの無線接続」、「通常Wi−Fiの無線接続」)の中から「WFDの無線接続」を選択する操作)である。
SLSは、MFP10の周囲に存在する1個以上の機器(即ち、G/O機器、デバイス機器、及び、AP)を見つけるための無線通信であり、Scan処理と、Listen処理と、Search処理と、を含む。Scan処理は、Probe Request信号を送信してProbe Response信号を受信することによって、MFP10の周囲に存在するG/O機器及びAPを見つけるための処理である。Listen処理は、Probe Request信号を受信してProbe Response信号を送信することによって、MFP10の周囲に存在する機器にMFP10の存在を知らせるための処理である。Search処理は、Probe Request信号を送信してProbe Response信号を受信することによって、MFP10の周囲に存在するデバイス機器を見つけるための処理である。本手法のScan処理及びSearch処理では、Probe Request信号は、MFP10のWFDMACを送信元として含む。なお、SLSでは、通常、MFP10の周囲に存在するCL機器を見つけることはできない。
MFP10は、SLSで見つかった1個以上の機器に関する情報を示す機器リストを表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、機器リストの中からデバイス機器(以下では「対象デバイス機器」と呼ぶ)を選択する。この場合、MFP10は、WFDMACを送信元として含む接続要求(即ちAssociation Request信号)を対象デバイス機器に送信し、その後、対象デバイス機器とG/Oネゴシエーションを実行する。
G/Oネゴシエーションでは、MFP10は、MFP10のG/O優先度を示す情報を対象デバイス機器に送信すると共に、対象デバイス機器のG/O優先度を示す情報を対象デバイス機器から受信する。MFP10のG/O優先度は、MFP10がG/O状態になるべき程度を示す指標であり、MFP10において予め決められている。同様に、対象デバイス機器のG/O優先度は、対象デバイス機器がG/O状態になるべき程度を示す指標である。
MFP10は、MFP10のG/O優先度と対象デバイス機器のG/O優先度とを比較して、優先度が高い方の機器(MFP10又は対象デバイス機器)がG/O状態になることを決定し、優先度が低い方の機器(対象デバイス機器又はMFP10)がCL状態になることを決定する。対象デバイス機器は、MFP10と同じ手法を利用して、MFP10のG/O優先度と対象機器のG/O優先度とに基づいて、G/O状態及びCL状態を決定する。
G/Oネゴシエーションにおいて、MFP10がG/O状態になることが決定される場合には、MFP10は、対象デバイス機器と接続を確立してWFDNWを形成するが、それに先立って、当該WFDNWで利用されるべきWFD無線設定情報を準備して、WFD無線設定情報を対象デバイス機器に供給する。WFD無線設定情報は、認証方式、暗号化方式、パスワード、SSID(Service Set Identifierの略)、BSSID(Basic Service Set Identifierの略)等を含む。WFD無線設定情報に含まれる認証方式、暗号化方式、及び、パスワードは、WFDNWにおいて、認証及び暗号化のために利用される情報である。WFD無線設定情報に含まれるSSIDは、WFDNWを識別するためのネットワーク識別子である。WFD無線設定情報に含まれるBSSIDは、G/O機器のMACアドレスである。なお、以下では、無線設定情報のことを「WSI(Wireless Setting Informationの略)」と呼ぶ。
MFP10がG/O状態になることが決定される場合には、MFP10は、予め決められている認証方式及び暗号化方式を特定する。MFP10は、予め決められているパスワードを特定するか、あるいは、パスワードを新たに生成することによって、パスワードを準備する。MFP10は、予め決められているSSIDを特定するか、あるいは、SSIDを新たに生成することによって、SSIDを準備する。本実施例では、MFP10は、予め決められているWFDMACをBSSIDとして特定する。
MFP10がWFDWSIを対象デバイス機器に供給すれば、対象デバイス機器は、WFDWSIに従った認証の実行をMFP10に要求する(即ちAuthentication Request信号)。MFP10が認証を実行して、当該認証が成功すれば、MFP10と対象デバイス機器との間に接続が確立される。MFP10は、対象デバイス機器のMACアドレスを、MFP10の管理リストに登録する。これにより、MFP10は、G/O機器としてWFDNWに新たに所属し(即ち、WFDNWを新たに形成し)、対象デバイス機器は、CL機器としてWFDNWに新たに所属する。
一方において、G/Oネゴシエーションにおいて、MFP10がCL状態になることが決定される場合には、対象デバイス機器は、WFDWSIを準備して、WFDWSIをMFP10に供給する。MFP10は、対象デバイス機器からWFDWSIを取得して、WFDWSIに従った認証の実行を対象デバイス機器に要求する。対象デバイス機器が認証を実行して、当該認証が成功すれば、MFP10と対象デバイス機器との間に接続が確立される。対象デバイス機器は、MFP10のWFDMACを、対象デバイス機器の管理リストに登録する。これにより、対象デバイス機器は、G/O機器としてWFDNWに新たに所属し(即ち、WFDNWを新たに形成し)、MFP10は、CL機器としてWFDNWに新たに所属する。
(第2の手法;既存のWFDNWに参加する)
上述したように、デバイス状態のMFP10は、WFD接続操作が操作部12に加えられると、機器リストを表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、機器リストの中からG/O機器(以下では「対象G/O機器」と呼ぶ)を選択する。この場合、MFP10は、G/Oネゴシエーションを実行せずに、CL状態になることを決定する。
MFP10は、WFDMACを送信元として含む接続要求(即ちAssociation Request信号)を対象G/O機器に送信する。この結果、MFP10は、対象G/O機器から、WFDNWで現在利用されているWFDWSIを取得して、WFDWSIに従った認証の実行を対象G/O機器に要求する。対象G/O機器が認証を実行して、当該認証が成功すれば、MFP10と対象G/O機器との間に接続が確立される。対象G/O機器は、MFP10のWFDMACを、対象G/O機器の管理リストに登録する。これにより、MFP10は、WFDMACを利用して、CL機器として既存のWFDNWに新たに所属する(即ち参加する)。
(第3の手法;インフラの通常Wi−FiNWに参加する)
MFP10の操作部12に通常Wi−Fi接続操作が加えられると、MFP10は、上記のSLSのうちのScan処理のみを実行して(即ち、G/O機器及びAPを見つけるための処理を実行して)、機器リストを表示部14に表示させる。なお、通常Wi−Fi接続操作は、MFP10とAP4との間に通常Wi−Fi方式に従った接続を確立すべきことを、ユーザがMFP10に指示するための操作(例えば、表示部14に表示される複数個の項目の中から「通常Wi−Fiの無線接続」を選択する操作)である。本手法のScan処理では、Probe Request信号は、MFP10の通常Wi−FiMACを送信元として含む。ユーザは、操作部12を操作して、機器リストの中からAP(以下では「対象AP」と呼ぶ)を選択する。この場合、MFP10は、WFD接続操作が実行される上記の第1及び第2の手法とは異なり、MFP10の状態(即ちG/O状態又はCL状態)を選択的に決定しない。
MFP10は、通常Wi−FiMACを送信元として含む接続要求(即ちAssociation Request信号)を対象AP(例えばAP4)に送信する。この結果、MFP10は、対象APから、通常Wi−FiNWで現在利用されている通常Wi−FiWSIを取得して、通常Wi−FiWSIに従った認証の実行を対象APに要求する。対象APが認証を実行して、当該認証が成功すれば、MFP10と対象APとの間に接続が確立される。対象APは、MFP10の通常Wi−FiMACを、対象APの管理リストに登録する。これにより、MFP10は、通常Wi−FiMACを利用して、既存の通常Wi−FiNWに新たに所属する(即ち参加する)。
なお、通常Wi−FiWSIは、対象APによって準備される無線設定情報であり、WFDWSIと同様に、認証方式、暗号化方式、パスワード、SSID、BSSID等を含む。これらの各情報は、通常Wi−FiNWで利用される点を除くと、WFDWSIに含まれる各情報と同様である。なお、通常Wi−FiWSIに含まれるBSSIDは、APのMACアドレスである。
(多機能機10のメモリ34に記憶される情報)
多機能機10のメモリ34は、MFP10がWFDMACを利用して無線ネットワークに所属している場合(即ち上記の第1及び第2の手法)には、WFDMACに対応付けて、WFD状態値と、WFDWSIと、を格納する。WFD状態値は、WFD方式に関するMFP10の現在の状態(即ちG/O状態又はCL状態)を示す値である。
メモリ34は、さらに、MFP10が通常Wi−FiMACを利用して無線ネットワークに所属している場合(即ち上記の第3の手法)には、通常Wi−FiMACに対応付けて、通常Wi−FiWSIを格納する。
(携帯端末50,100の構成)
携帯端末50,100は、例えば、携帯電話(例えばスマートフォン)、PDA、ノートPC、タブレットPC、携帯型音楽再生装置、携帯型動画再生装置等の可搬型の端末装置である。携帯端末50,100のそれぞれは、MFP10と同様に、WFD通信と通常Wi−Fi通信とを実行可能である。
携帯端末50,100のそれぞれは、MFP10に機能(例えば印刷機能、スキャン機能等)を実行させるためのアプリケーション(以下では「MFP用アプリケーション」と呼ぶ)を格納している。MFP用アプリケーションは、例えば、MFP10のベンダによって提供されるサーバから携帯端末50,100にインストールされてもよいし、MFP10と共に出荷されるメディアから携帯端末50,100にインストールされてもよい。
(MFP10によって実行される処理)
続いて、MFP10によって実行される処理の内容を説明する。本実施例では、上記のWFD接続操作が加えられる場合の処理(図2)と、後述の接続要求が受信される場合の処理(図3)と、を中心に説明する。従って、例えば、上記の通常Wi−Fi接続操作が加えられる場合の処理については、説明を省略する。
(MFP10によって実行される操作監視処理;図2)
例えば、携帯端末(例えば50,100)のユーザが、携帯端末に格納されているデータによって表される画像の印刷を望む状況を想定する。この場合、ユーザは、携帯端末とMFP10との間に接続を確立させるために、上記のWFD接続操作をMFP10の操作部12に加える。以下では、MFP10と接続が確立されるべき携帯端末のことを「対象携帯端末」と呼ぶ。
S10では、MFP10の制御部30は、WFD接続操作が操作部12に加えられることを監視している。制御部30は、WFD接続操作が操作部12に加えられると、S10でYESと判断して、S12に進む。
S12では、判断部44は、MFP10の状態がデバイス状態であるのか否かを判断する。具体的に言うと、判断部44は、WFDMACに対応付けられているWFD状態値(即ちG/O状態を示す値又はCL状態を示す値)がメモリ34に格納されていない場合には、MFP10の状態がデバイス状態であると判断し(S12でYES)、S14に進む。一方において、判断部44は、WFDMACに対応付けられているWFD状態値がメモリ34に格納されている場合には、MFP10の状態がデバイス状態でないと判断し(S12でNO)、S20に進む。
S14では、第1の接続部41は、SLSを実行する。上述したように、第1の接続部41は、Probe Request信号を送信してProbe Response信号を受信することによって、MFP10の周囲に存在するG/O機器及びデバイス機器を見つけることができる。より具体的に言うと、Probe Response信号は、当該信号の送信元のMACアドレス、デバイス名等を含む。また、G/O機器から受信されるProbe Response信号は、さらに、G/O機器が形成しているWFDNWのSSIDを含む。
S14では、第1の接続部41は、さらに、SLSで見つかった各機器の情報(SSID、デバイス名、MACアドレス等)を示す機器リストを生成して、機器リストを表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、機器リストの中から対象携帯端末を選択する。第1の接続部41は、対象携帯端末が選択されると、S16に進む。
S16では、第1の接続部41は、対象携帯端末に接続要求(即ちAssociation Request信号)を送信する。当該接続要求は、MFP10のWFDMACを送信元として含み、S14のSLSで取得された対象携帯端末のMACアドレスを送信先として含む。
ユーザは、S14で表示される機器リストの中から対象携帯端末を選択した後に、さらに、対象携帯端末を操作してMFP用アプリケーションを起動させる。そして、ユーザは、MFP用アプリケーションによって実現される画面に従った印刷操作(以下では「接続印刷操作」と呼ぶ)を、対象携帯端末に加える。対象携帯端末は、接続印刷操作が加えられると、MFP10から接続要求を受信して、接続可能であることを示す情報を含む応答(即ちAssociation Response信号)をMFP10に送信する。
S16では、第1の接続部41は、さらに、対象携帯端末から応答を受信すると、対象携帯端末の状態に応じた処理を実行する。例えば、対象携帯端末がデバイス状態である場合には、第1の接続部41は、G/Oネゴシエーションを対象携帯端末と実行して、MFP10がG/O状態になるのかCL状態になるのかを決定する。
第1の接続部41は、MFP10がG/O状態になることを決定する場合には、WFDWSIを準備する。WFDWSIを準備する手法は、上述のとおりである(例えば、MFP10のWFDMACをBSSIDとして準備する)。そして、第1の接続部41は、WPS(Wi-Fi Protected Setup)のいわゆるプッシュボタン方式(即ちPBC方式)に従った無線通信(即ちWPS通信)を対象携帯端末と実行して、WFDWSIを対象携帯端末に供給する。プッシュボタン方式は、いわゆるPINコード方式とは異なる方式であり、一対のデバイスのそれぞれに予め決められた操作が実行される場合に、当該一対のデバイスにおいてPINコードの表示及び入力がなされなくても、一方のデバイスから他方のデバイスにWSIを供給する(即ちWPS通信を実行する)ための方式である。本実施例では、上記の予め決められた操作は、MFP10でのWFD接続操作と、対象携帯端末での接続印刷操作と、に対応する。
なお、変形例では、WPSのPBC方式を採用せずに、AOSS(登録商標)、AOSS2、SES(Secure Easy Setupの略;登録商標)等を採用してもよい。これらのいずれも、WPSのPBC方式と同様の方式である。また、別の変形例では、WPSのPINコード方式が採用されてもよい。PINコード方式は、一方のデバイスにおいてPINコードが表示され、かつ、他方のデバイスに上記のPINコードが入力される場合に、一方(又は他方)のデバイスから他方(又は一方)のデバイスにWSIを供給する(即ちWPS通信を実行する)ための方式である。
次いで、第1の接続部41は、対象携帯端末から受信される認証要求(即ちAuthentication Request信号)に応じて、認証通信(即ち4-Way Handshake信号等の通信)を実行して、対象携帯端末の認証を実行する。これにより、第1の接続部41は、MFP10と対象携帯端末との間に、WFD方式に従った接続を確立する。そして、第1の接続部41は、対象携帯端末のMACアドレスを、MFP10の管理リストに登録する。これにより、MFP10は、WFDNWを新たに形成することができる。なお、第1の接続部41は、さらに、WFDMACに対応付けて、G/O状態を示すWFD状態値と、準備済みのWFDWSIと、をメモリ34に格納する。これらの各処理が終了すると、S40に進む。
一方において、第1の接続部41は、MFP10がCL状態になることを決定する場合には、WPS通信を実行して、対象携帯端末からWFDWSIを取得する。次いで、第1の接続部41は、認証要求(即ちAuthentication Request信号)を対象携帯端末に送信して、認証通信を実行する。この結果、第1の接続部41は、MFP10と対象携帯端末との間に、WFD方式に従った接続を確立する。そして、対象携帯端末の管理リストにWFDMACが登録される。これにより、MFP10は、対象携帯端末によって新たに形成されるWFDNWに所属することができる。なお、第1の接続部41は、さらに、WFDMACに対応付けて、CL状態を示すWFD状態値と、取得済みのWFDWSIと、をメモリ34に格納する。これらの各処理が終了すると、S40に進む。
また、S16が開始される時点で、対象携帯端末が既にG/O状態である場合には、第1の接続部41は、G/Oネゴシエーションを実行せずに、MFP10がCL状態になることを決定する。そして、第1の接続部41は、WPS通信を実行して、対象携帯端末からWFDWSIを取得し、次いで、認証通信を実行する。この結果、第1の接続部41は、MFP10と対象携帯端末との間に、WFD方式に従った接続を確立する。これにより、対象携帯端末の管理リストにWFDMACが登録される。MFP10は、対象携帯端末が形成している既存のWFDNWに所属(即ち参加)することができる。なお、第1の接続部41は、さらに、WFDMACに対応付けて、CL状態を示すWFD状態値と、取得済みのWFDWSIと、をメモリ34に格納する。これらの各処理を終えると、S40に進む。
一方において、S20では、判断部44は、MFP10の状態がCL状態であるのか否かを判断する。具体的に言うと、判断部44は、メモリ34内のWFD状態値がCL状態を示す値である場合には、MFP10の状態がCL状態であると判断し(S20でYES)、S22に進む。一方において、判断部44は、メモリ34内のWFD状態値がG/O状態を示す値である場合には、MFP10の状態がCL状態でない(即ちG/O状態である)と判断し(S20でNO)、S30に進む。
MFP10の状態がG/O状態である場合(S20でNO)には、MFP10は、G/O機器としてWFDNW(以下では「WFDNW(MFP=G/O)」と呼ぶ)に所属しており、対象携帯端末をWFDNW(MFP=G/O)に新たに参加させることができる。従って、後述のS30において、MFP10は、対象携帯端末をWFDNW(MFP=G/O)に新たに参加させるための処理を実行する。
一方において、MFP10の状態がCL状態である場合(S20でYES)には、MFP10は、CL機器としてWFDNW(以下では「WFDNW(MFP=CL)」と呼ぶ)に所属しており、対象携帯端末をWFDNW(MFP=CL)に新たに参加させることができない。WFDNW(MFP=CL)に対象携帯端末を新たに参加させる権限は、WFDNW(MFP=CL)を形成しているG/O機器(以下では「特定のG/O機器」と呼ぶ)のみに与えられるからである。このために、MFP10は、次のS22の処理を実行する。
S22では、出力部45は、WFDNW(MFP=CL)で現在利用されているWFDWSIに含まれるSSID(以下では「特定のSSID」と呼ぶ)を、表示部14に表示させる。MFP10のメモリ34は、WFDMACに対応付けられているWFDWSI(即ち、WFDNW(MFP=CL)で現在利用されているWFDWSI)を格納している。従って、出力部45は、メモリ34内のWFDWSIに含まれる特定のSSIDを取得して、特定のSSIDを表示部14に表示させることができる。
S22において、特定のSSIDが表示部14に表示されるために、対象携帯端末のユーザは、表示部14を見ることによって、特定のSSIDを知ることができる。即ち、ユーザは、特定のSSIDによって識別されるWFDNW(MFP=CL)に対象携帯端末を参加させるべきことを知ることができる。そして、ユーザは、対象携帯端末を操作してMFP用アプリケーションを起動させ、対象携帯端末に接続印刷操作を加える。この場合、対象携帯端末は、SLSを実行して、機器リストを表示させる。当該機器リストは、WFDNW(MFP=CL)を形成している特定のG/O機器に関する情報(即ち特定のSSID)を含む。
ユーザは、機器リストから特定のG/O機器(即ち特定のSSID)を選択する。これにより、対象携帯端末は、特定のG/O機器に接続要求(即ちAssociation Request信号)を送信する。対象携帯端末及び特定のG/O機器は、WPS通信及び認証通信を実行する。この結果、特定のG/O機器と対象携帯端末との間に、WFD方式に従った接続が確立される。これにより、特定のG/O機器の管理リストに対象携帯端末のMACアドレスが登録される。従って、対象携帯端末は、WFDNW(MFP=CL)に所属(即ち参加)することができる。即ち、MFP10及び対象携帯端末は、特定のG/O機器によって形成されている同じ無線ネットワーク(即ちWFDNW(MFP=CL))に所属することができる。S22が終了すると、S40に進む。
一方において、MFP10の状態がG/O状態である場合(S20でNO)には、S30が実行される。ユーザは、MFP10の操作部12にWFD接続操作(S10)を加えた後に、対象携帯端末に接続印刷操作を加える。この場合、対象携帯端末は、SLSを実行して、機器リストを表示させる。当該機器リストは、G/O機器であるMFP10に関する情報を含む。ユーザは、機器リストからMFP10を選択する。これにより、対象携帯端末は、MFP10に接続要求(即ちAssociation Request信号)を送信する。
S30では、参加部42は、対象携帯端末から接続要求を受信して、接続可能であることを示す情報を含む応答(即ちAssociation Response信号)を対象携帯端末に送信する。そして、参加部42は、WPS通信を対象携帯端末と実行して、WFDNW(MFP=G/O)で現在利用されているWFDWSI(即ち、WFDMACに対応付けられているメモリ34内のWFDWSI)を対象携帯端末に供給する。次いで、参加部42は、認証通信を実行して、対象携帯端末の認証を実行する。この結果、参加部42は、MFP10と対象携帯端末との間に、WFD方式に従った接続を確立する。そして、参加部42は、対象携帯端末のMACアドレスを、MFP10の管理リストに登録する。これにより、MFP10は、対象携帯端末をWFDNW(MFP=G/O)に参加させることができる。これらの各処理が終了すると、S40に進む。
S40では、通信部43は、対象携帯端末から印刷データを受信する。なお、印刷データは、対象携帯端末に格納されているデータ(例えば、画像データ、ウェブデータ等)であって、ユーザによって印刷対象として指定されるデータである。
S16又はS30を経由する場合には、MFP10及び対象携帯端末のうちの一方がG/O機器として動作し、他方がCL機器として動作する。この状態では、MFP10及び対象携帯端末は、他装置を介さずに、印刷データの無線通信を実行することができる。従って、S16又はS30を経由するS40では、通信部43は、WFDNWを利用して(即ち、S16又はS30で確立された接続を利用して)、他装置を介さずに、対象携帯端末から印刷データを受信する。
一方において、S22を経由する場合には、MFP10及び対象携帯端末の両方が、特定のG/O機器によって形成されているWFDNW(MFP=CL)のCL機器として動作する。従って、MFP10及び対象携帯端末は、特定のG/O機器を介して、印刷データの無線通信を実行することができる。従って、S22を経由するS40では、通信部43は、WFDNW(MFP=CL)を利用して、特定のG/O機器を介して、対象携帯端末から印刷データを受信する。
次いで、S42では、制御部30は、印刷データを印刷実行部16に供給する。これにより、印刷実行部16は、印刷データによって表される画像を印刷媒体に印刷する。対象携帯端末のユーザは、印刷済みの印刷媒体を取得することができる。S42が終了すると、図2のS10に戻る。
(MFP10によって実行される受信監視処理;図3)
図2のフローチャートでは、対象携帯端末に接続印刷操作が加えられる前に、MFP10にWFD接続操作が加えられる状況を想定している。これに対し、図3のフローチャートでは、MFP10にWFD接続操作が加えられる前に、対象携帯端末に接続印刷操作が加えられる状況を想定している。
対象携帯端末のユーザは、MFP10にWFD接続操作を加える前に、デバイス状態の対象携帯端末に接続印刷操作を加える。この場合、対象携帯端末は、SLSを実行して、MFP10に関する情報を含む機器リストを表示させる。上述したように、SLSでは、通常、G/O機器、デバイス機器、及び、APを見つけることができるが、CL機器を見つけることができない。ただし、対象携帯端末(即ちMFP用アプリケーション)は、CL機器を見つけることができる。即ち、対象携帯端末は、G/O機器を見つけることができると、当該G/O機器が管理しているCL機器に関する情報(MACアドレス、デバイス名等)を供給するように、当該G/O機器に要求する。対象携帯端末は、当該G/O機器からCL機器に関する情報を取得することによって、CL機器を見つけることができる。従って、仮に、MFP10がCL機器としてWFDNW(MFP=CL)に所属している状況でも、対象携帯端末は、MFP10を見つけることができる(即ち、MFP10のWFDMACを取得することができる)。
ユーザは、対象携帯端末に表示される機器リストから、MFP10を選択する。この場合、対象携帯端末は、MFP10に接続要求(即ちAssociation Request信号)を送信する。当該接続要求は、対象携帯端末のMACアドレスを送信元として含み、MFP10のWFDMACを送信先として含む。
S110では、MFP10の制御部30は、MFP10のWFDMACを送信先として含む接続要求を受信することを監視している。制御部30は、接続要求を受信すると、S110でYESと判断して、S112に進む。
S112及びS120は、図2のS12及びS20と同様である。MFP10の状態がデバイス状態である場合(S112でYES)には、S116において、第1の接続部41は、MFP10の操作部12にWFD接続操作が加えられるまで待機する。そして、第1の接続部41は、WFD接続操作が加えられると、接続可能であることを示す情報を含む応答(即ちAssociation Response信号)を対象携帯端末に送信する。その後、G/Oネゴシエーション、WPS通信、及び、認証通信が実行される点は、図2のS16と同様である。S116が終了すると、S140に進む。
MFP10の状態がCL状態である場合(S120でYES)には、出力部45は、図2のS22と同様に、WFDNW(MFP=CL)で現在利用されているWFDWSIに含まれる特定のSSIDを、表示部14に表示させる。対象携帯端末のユーザは、表示部14を見ることによって、特定のSSIDを知ることができる。ユーザは、対象携帯端末に表示される機器リストから、MFP10の代わりに、特定のG/O機器(即ち特定のSSID)を選択する。機器リストから特定のG/O機器が選択された後の動作、即ち、対象携帯端末がWFDNW(MFP=CL)に所属(即ち参加)するまでの動作は、図2のS22で説明した動作と同様である。S122が終了すると、S140に進む。
MFP10の状態がG/O状態である場合(S120でNO)には、S130において、第1の接続部41は、MFP10の操作部12にWFD接続操作が加えられるまで待機する。そして、第1の接続部41は、WFD接続操作が加えられると、接続可能であることを示す情報を含む応答を対象携帯端末に送信する。その後、WPS通信及び認証通信が実行される点は、図2のS30と同様である。S130が終了すると、S140に進む。
S140及びS142は、図2のS40及びS42と同様である。S142が終了すると、S110に戻る。
(具体例)
続いて、図4〜図7を参照して、MFP10及び携帯端末50,100によって実現される具体例を説明する。図4〜図7は、MFP10が図2及び図3の各処理を実行することによって実現される。
(図4;G/Oネゴシエーション)
図4の初期状態では、MFP10及び携帯端末50,100は、それぞれ、デバイス状態である。携帯端末50のユーザは、MFP10に印刷を実行させることを望む場合に、MFP10の操作部12にWFD接続操作を加える(図2のS10でYES)。この場合、MFP10は、SLSを実行して、機器リストを表示させる(S12でYES、S14)。
ユーザは、MFP10の操作部12を操作して、機器リストから携帯端末50を選択する。この場合、MFP10は、接続要求を携帯端末50に送信する(S16)。当該接続要求は、MFP10のWFDMACを送信元として含み、携帯端末50のMACアドレス(以下では「MAC50」と呼ぶ)を送信先として含む。MFP10は、上記のSLSの過程でMAC50を取得しているために、MAC50を送信先として含む接続要求を送信することができる。
ユーザは、さらに、携帯端末50に接続印刷操作を加える。この場合、携帯端末50は、MFP10から接続要求を受信して、接続可能であることを示す応答をMFP10に送信する。この結果、MFP10は、G/Oネゴシエーションを携帯端末50と実行する(S16)。
図4のケースAは、G/Oネゴシエーションの結果として、MFP10がCL状態になると共に携帯端末50がG/O状態になるケースである。携帯端末50は、SSID「a1」、パスワード「b1」等を含むWFDWSIを準備する(S16)。MFP10は、WPS通信を実行して、携帯端末50からWFDWSIを取得する(S16)。次いで、MFP10は、認証通信を携帯端末50と実行して、WFD方式に従った接続C1を確立する(S16)。これにより、G/O状態の携帯端末50が無線ネットワーク(以下では「NW1」と呼ぶ)を形成し、CL状態のMFP10がNW1に参加する。そして、MFP10は、NW1を利用して(即ち、接続C1を利用して)、他装置を介さずに、携帯端末50から印刷データPD1を受信し(S40)、印刷データPD1に従って印刷処理を実行する(S42)。
図4のケースBは、G/Oネゴシエーションの結果として、MFP10がG/O状態になると共に携帯端末50がCL状態になるケースである。MFP10は、SSID「a2」、パスワード「b2」等を含むWFDWSIを準備する(S16)。MFP10は、WPS通信を実行して、WFDWSIを携帯端末50に供給する。次いで、MFP10は、認証通信を携帯端末50と実行して、WFD方式に従った接続C1’を確立する(S16)。これにより、G/O状態のMFP10がNW1を形成し、CL状態の携帯端末50がNW1に参加する。そして、MFP10は、NW1を利用して(即ち、接続C1’を利用して)、他装置を介さずに、携帯端末50から印刷データPD1を受信し(S40)、印刷データPD1に従って印刷処理を実行する(S42)。
(図5;図4のケースAの続き)
上述したように、図4のケースAでは、MFP10と携帯端末50との間にWFD方式に従った接続C1が確立される(即ちNW1が形成される)。NW1では、MFP10がCL状態であり、携帯端末50がG/O状態である。この状況において、携帯端末100のユーザは、MFP10に印刷を実行させることを望む場合に、MFP10の操作部12にWFD接続操作を加える(図2のS10でYES)。この場合、MFP10は、NW1の状態が、MFP10がCL機器として動作し、かつ、携帯端末50がG/O機器として動作する状態であると判断する(S20でYES)。従って、MFP10は、NW1のSSID「a1」を表示部14に表示させる(S22)。
携帯端末100のユーザは、MFP10に印刷を実行させることを望んでいる。従って、ユーザは、MFP10によって印刷される印刷媒体を取得するために、MFP10に近づくことが予想される。このために、ユーザは、MFP10の表示部14に表示されるSSID「a1」を見ることができ、この結果、SSID「a1」によって識別されるNW1に携帯端末100を参加させるべきことを知ることができる。ユーザは、さらに、携帯端末100に接続印刷操作を加える。この場合、携帯端末100は、SLSを実行して、機器リストを表示させる。当該機器リストは、携帯端末50に関する情報(即ち、SSID「a1」、デバイス名等)を含む。
ユーザは、携帯端末100に表示される機器リストから、携帯端末50(即ちSSID「a1」)を選択する。携帯端末50がG/O機器であるために、携帯端末100は、CL状態になることを決定する。そして、携帯端末100は、接続要求を携帯端末50に送信する。当該接続要求は、携帯端末100のMACアドレス(以下では「MAC100」と呼ぶ)を送信元として含み、MAC50を送信先として含む。携帯端末100は、上記のSLSの過程でMAC50を取得しているために、MAC50を送信先として含む接続要求を送信することができる。
携帯端末100のユーザは、携帯端末50,100の間でWPS通信を実行させるために、さらに、携帯端末50にWFD接続操作を加える必要がある。上述したように、携帯端末50に加えられる接続印刷操作は、MFP用アプリケーションの画面に従った操作である。これに対し、携帯端末50に加えられるWFD接続操作は、MFP用アプリケーションによって実現される画面に従った操作ではなく、携帯端末50のOSプログラムによって実現される画面に従った操作である。即ち、携帯端末50は、WFD接続操作が加えられる場合には、携帯端末50内の印刷データをMFP10に送信するという目的でなくても、携帯端末50と他装置(例えば携帯端末100)との間にWFD方式に従った接続を確立することができる。
携帯端末50と携帯端末100とは、通常、異なるユーザによって所有される。このために、携帯端末100のユーザは、WFD接続操作を携帯端末50に加えることを、携帯端末50のユーザに依頼する必要がある。携帯端末100のユーザは、携帯端末100に表示される機器リストから、携帯端末50のデバイス名を知ることができ、当該デバイス名が携帯端末50のユーザを示すものである場合(例えば、当該デバイス名が携帯端末50のユーザ名を含む場合)には、携帯端末50のユーザを知ることができる。従って、携帯端末100のユーザは、携帯端末50のユーザに上記の依頼を行なうことができる。例えば、MFP10が特定の会社内に設置されており、携帯端末50,100の各ユーザが当該特定の会社の社員である状況では、携帯端末100のユーザは、携帯端末50のユーザに上記の依頼を行なうことができる。
また、図5のケースでは、WFDNW(MFP=CL)(即ちNW1)を形成しているG/O機器は、個人によって所有される携帯端末50である。ただし、変形例では、G/O機器は、携帯端末50ではなく、例えば、MFP、プリンタ、スキャナ、サーバ等のように、複数のユーザによって共用される共用機器であってもよい。この場合、携帯端末100のユーザは、他人に依頼しなくても、WFD接続操作を共用機器に加えることができる。なお、本変形例の状況では、携帯端末50と携帯端末100との間で実行される後述の各通信(WPS通信、認証通信、印刷データの通信等)と同様の各通信が、共用機器と携帯端末100との間で実行される。
携帯端末100に接続印刷操作が加えられ、かつ、携帯端末50にWFD接続操作が加えられると、携帯端末50,100がWPS通信を実行するための条件(即ち、WPSのPBC方式の条件)が満たされる。従って、携帯端末50は、携帯端末100から接続要求を受信して、接続可能であることを示す情報を含む応答を携帯端末100に送信する。この結果、携帯端末50,100がWPS通信を実行して、NW1で現在利用されているWFDWSI(即ち、SSID「a1」、パスワード「b1」等(図4参照))が、携帯端末50から携帯端末100に供給される。次いで、携帯端末50,100は、認証通信を実行して、WFD方式に従った接続C4を確立する。これにより、CL状態の携帯端末100がNW1に参加する。
MFP10は、NW1を利用して(即ち、接続C1及び接続C4を利用して)、携帯端末50を介して、携帯端末100から印刷データPD2を受信し(S40)、印刷データPD2に従って印刷処理を実行する(S42)。
(図6;図4のケースAの続き)
上述したように、図5のケースは、携帯端末100に接続印刷操作が加えられる前に、MFP10にWFD接続操作が加えられるケースである。これに対し、図6のケースは、MFP10にWFD接続操作が加えられずに、携帯端末100に接続印刷操作が加えられるケースである。
ユーザは、携帯端末100に接続印刷操作を加える。この場合、携帯端末100は、SLSを実行して、機器リストを表示させる。ユーザは、携帯端末100に表示される機器リストからMFP10を選択する。この場合、携帯端末100は、接続要求をMFP10に送信する。当該接続要求は、MAC100を送信元として含み、MFP10のWFDMACを送信先として含む。携帯端末100は、上記のSLSの過程で、NW1のG/O機器である携帯端末50から、MFP10に関する情報(即ち、MFP10のデバイス名、WFDMAC等)を取得しているために、WFDMACを送信先として含む接続要求を送信することができる。
MFP10は、携帯端末100から接続要求を受信する(図3のS110でYES)。この場合、MFP10は、NW1の状態が、MFP10がCL機器として動作し、かつ、携帯端末50がG/O機器として動作する状態であると判断する(S120でYES)。従って、MFP10は、NW1のSSID「a1」を表示部14に表示させる(S122)。
携帯端末100のユーザは、機器リストからMFP10を選択済みであるが、MFP10にSSID「a1」が表示されるために、SSID「a1」によって識別されるNW1に携帯端末100を参加させるべきことを知ることができる。従って、ユーザは、機器リストから、MFP10に代えて、携帯端末50(即ちSSID「a1」)を選択する。この場合、携帯端末100は、図5のケースと同様に、接続要求を携帯端末50に送信する。この後の各通信は、図5のケースと同様である。即ち、MFP10は、NW1を利用して、携帯端末50を介して、携帯端末100から印刷データPD2を受信し(S140)、印刷データPD2に従って印刷処理を実行する(S142)。
(図7;図4のケースBの続き)
上述したように、図4のケースBでは、MFP10と携帯端末50との間にWFD方式に従った接続C1’が確立される(即ちNW1が形成される)。NW1では、MFP10がG/O状態であり、携帯端末50がCL状態である。この状況において、携帯端末100のユーザは、MFP10に印刷を実行させることを望む場合に、MFP10の操作部12にWFD接続操作を加える(図2のS10でYES)。この場合、MFP10は、NW1の状態が、MFP10がG/O機器として動作し、かつ、携帯端末50がCL機器として動作する状態であると判断する(S20でNO)。従って、MFP10は、WFDMACを送信先として含む接続要求を受信するまで待機する(S30)。
ユーザは、さらに、携帯端末100に接続印刷操作を加える。この場合、携帯端末100は、SLSを実行して、機器リストを表示させる。ユーザは、携帯端末100に表示される機器リストから、MFP10を選択する。この場合、携帯端末100は、接続要求をMFP10に送信する。当該接続要求は、MAC100を送信元として含み、MFP10のWFDMACを送信先として含む。
MFP10は、携帯端末100から接続要求を受信して、接続可能であることを示す応答を携帯端末100に送信する(S30)。図7のケースでは、図6のケースとは異なり、表示処理(S122)が実行されない。MFP10は、WPS通信を実行して、NW1のWFDWSI(即ち、SSID「a2」、パスワード「b2」等(図4参照))を携帯端末100に供給する(S30)。次いで、MFP10は、認証通信を携帯端末100と実行して、WFD方式に従った接続C2を確立する(S30)。これにより、携帯端末100がNW1に参加する。そして、MFP10は、NW1を利用して(即ち、接続C2を利用して)、他装置を介さずに、携帯端末100から印刷データPD2を受信し(S40)、印刷データPD2に従って印刷処理を実行する(S42)。
(本実施例の効果)
CL状態のMFP10にWFD接続操作が加えられたり(図2のS20でYES)、CL状態のMFP10が接続要求を受信したり(図3のS120でYES)すると、図5及び図6に示されるように、MFP10は、MFP10が所属しているNW1のSSID「a1」を、表示部14に表示させる(図2のS22、図3のS122)。これにより、携帯端末100のユーザは、携帯端末100をNW1に参加させる。換言すると、MFP10は、SSID「a1」を表示部14に表示させることによって、携帯端末100をNW1に参加させる。従って、MFP10は、NW1を利用して、携帯端末50を介して、携帯端末100から印刷データPD2を受信することができる(図2のS40、図3のS140)。
一方において、G/O状態のMFP10にWFD接続操作が加えられたり(図2のS20でNO)、G/O状態のMFP10が接続要求を受信したりすると(図3のS120でNO)、図7に示すように、MFP10は、WPS通信及び認証通信を実行して、携帯端末100をNW1に参加させる(図2のS30、図3のS130)。従って、MFP10は、NW1を利用して、他装置を介さずに、携帯端末100から印刷データPD2を受信することができる(図2のS40、図3のS140)。
上述したように、MFP10は、MFP10が所属しているNW1の状態が、MFP10がCL機器として動作する状態(図2のS20でYES、図3のS120でYES)であるのか、MFP10がG/O機器として動作する状態(図2のS20でNO、図3のS120でNO)であるのか、に応じた適切な処理(図2のS22又はS30、図3のS122又はS130)を実行することができる。この結果、MFP10は、携帯端末100をNW1に適切に参加させることができ、携帯端末100から印刷データPD2を適切に受信することができる。
(対応関係)
MFP10、携帯端末50、携帯端末100が、それぞれ、「無線通信装置」、「第1の外部装置」、「第2の外部装置」の一例である。WFD方式が、「第1の無線通信方式」の一例である。MFP10に加えられるWFD接続操作、及び、WFDMACを送信先として含む接続要求が、「特定の指示」の一例である。WFD接続操作が、「特定の操作」の一例である。印刷データが、「対象データ」の一例である。G/O機器、CL機器が、それぞれ、「親局」、「子局」の一例である。G/Oネゴシエーションが、「親局及び子局を決定するための無線通信」の一例である。
図5又は図6に示されるNW1の状態、即ち、MFP10がCL機器であり、かつ、携帯端末50がG/O機器である状態が、「第1の状態」の一例である。図7に示されるNW1の状態、即ち、MFP10がG/O機器であり、かつ、携帯端末50がCL機器である状態が、「第2の状態」の一例である。図2のS20でYES(又は図3のS120でYES)の場合、図2のS20でNO(又は図3のS120でNO)の場合が、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」の一例である。NW1が、「第1の無線ネットワーク」の一例である。また、図4の接続C1(又は接続C1’)、図7の接続C2が、それぞれ、「第1の接続」、「第2の接続」の一例である。図2のS22(又は図3のS122)で表示されるSSIDが、「参加情報」及び「識別情報」の一例である。
(第2実施例)
本実施例では、図3のS122の処理が第1実施例とは異なる。即ち、第1実施例では、S122において、出力部45は、WFDNW(MFP=CL)のSSIDを表示部14に表示させることによって、対象携帯端末のユーザにWFDNW(MFP=CL)のSSIDを認識させ、対象携帯端末をWFDNW(MFP=CL)に参加させる。これに対し、本実施例では、S122において、出力部45の第2の接続部46は、MFP10と対象携帯端末との間に、通常Wi−Fi方式に従った接続を確立する。そして、第2の接続部46は、WFDNW(MFP=CL)で現在利用されているWFDWSIを、通常Wi−Fi方式に従って対象携帯端末に送信することによって、対象携帯端末をWFDNW(MFP=CL)に参加させる。
(通常Wi−Fi方式のSoftAPモード)
本実施例のS122の処理を説明する前に、通常Wi−Fi方式のSoftAPモードについて説明する。上述したように、インフラの無線ネットワークでは、無線アクセスポイント、無線LANルータ等と呼ばれる通常のAPが利用されるのが一般的である。ただし、通常のAPが利用されなくても、インフラの無線ネットワークが形成され得る。即ち、いわゆるSoftAPモードを搭載している機器(例えばMFP10)は、通常のAPと同様の動作を実行することが可能である。このような機器は、通常のAPが存在しなくても、SoftAPモードに従って動作することによって、インフラの無線ネットワークを形成することができる。
上述したように、インフラの無線ネットワークは、通常のAPによって形成される場合もあるし、SoftAPモードを搭載している機器によって形成される場合もある。ただし、どちらの場合でも、インフラの無線ネットワークは、APが利用される無線ネットワークであることには変わりない。即ち、通常Wi−Fi方式のインフラは、APを介して無線通信を実行するための無線通信方式である。これに対し、WFD方式は、APを介さない無線通信を実行するための無線通信方式である。この点において、通常Wi−Fi方式のインフラとWFD方式とは異なる。
(図3のS122の処理)
上述したように、MFP10がCL状態である場合には、図3のS120でYESと判断され、S122に進む。S122では、第2の接続部46は、まず、MFP10が通常Wi−FiNWに現在所属しているのか否かを判断する。具体的に言うと、第2の接続部46は、通常Wi−FiMACに対応付けられている通常Wi−FiWSIがメモリ34に格納されている場合には、MFP10が通常Wi−FiNWに現在所属していると判断し、通常Wi−FiWSIがメモリ34に格納されていない場合には、MFP10が通常Wi−FiNWに現在所属していないと判断する。
第2の接続部46は、MFP10が通常Wi−FiNWに現在所属していると判断する場合には、当該通常Wi−FiNWを形成しているAP4に離脱信号を送信する。これにより、第2の接続部46は、MFP10とAP4との間の通常Wi−Fi方式に従った接続を切断する。この結果、MFP10は、通常Wi−FiNWから離脱する。第2の接続部46は、さらに、通常Wi−FiMACに対応付けられているメモリ34内の通常Wi−FiWSI(以下では「過去のWSI」と呼ぶ)を、メモリ34内の所定の記憶領域に退避させる。これにより、第2の接続部46は、後処理において、上記の過去のWSIを利用して、通常Wi−Fi方式に従った接続を再び確立することができる。
次いで、第2の接続部46は、MFP10が通常Wi−FiNWに所属していない状態で、MFP10のSoftAPモードをOFFからONに切り替える。この際に、第2の接続部46は、MFP10がAPとして動作する通常Wi−FiNWで利用されるべき通常Wi−FiWSI(以下では「SoftAPのWSI」と呼ぶ)を準備する。SoftAPのWSIを準備する手法は、WFDWSIを準備する手法と同様である。ただし、第2の接続部46は、MFP10の通常Wi−FiMACをBSSIDとして準備する。第2の接続部46は、さらに、通常Wi−FiMACに対応付けて、SoftAPのWSIをメモリ34に格納する。
続いて、第2の接続部46は、S110で受信された接続要求に含まれる対象携帯端末のMACアドレスを送信先として、SoftAPのWSIを対象携帯端末に供給する。次いで、第2の接続部46は、認証通信を実行して、対象携帯端末の認証を実行する。これにより、第2の接続部46は、MFP10と対象携帯端末との間に、通常Wi−Fi方式に従った接続を確立し、SoftAPモードに従った通常Wi−FiNW(以下では「SoftAPのNW」と呼ぶ)を形成する。
次いで、第2の接続部46は、WFDMACに対応付けられているメモリ34内のWFDWSIを取得する。そして、第2の接続部46は、SoftAPのNWを利用して(即ち、通常Wi−Fi方式に従った接続を利用して)、他装置を介さずに、取得済みのWFDWSIを対象携帯端末に送信する。
第2の接続部46は、WFDWSIを対象携帯端末に送信すると、MFP10のSoftAPモードをONからOFFに切り替えて、SoftAPのNWを消滅させる。第2の接続部46は、さらに、通常Wi−FiMACに対応付けられているメモリ34内のSoftAPのWSIを削除する。次いで、第2の接続部46は、メモリ34内の所定の記憶領域に上記の過去のWSIが退避されている場合には、上記の過去のWSIを利用して、MFP10とAP4との間に、通常Wi−Fi方式に従った接続を再び確立する。これにより、MFP10は、AP4によって形成されている通常Wi−FiNWに再び所属(即ち参加)することができる。
対象携帯端末は、MFP10からWFDWSIを受信すると、WFDNW(MFP=CL)を形成している特定のG/O機器と認証通信を実行して、特定のG/O機器と対象携帯端末との間に、WFD方式に従った接続を確立する。なお、対象携帯端末は、MFP10からWFDWSIを取得済みであるために、特定のG/O機器からWFDWSIを取得せずに済む。即ち、対象携帯端末は、特定のG/O機とWPS通信を実行せずに済む。特定のG/O機器の管理リストに対象携帯端末のMACアドレスが登録される。これにより、対象携帯端末は、WFDNW(MFP=CL)に所属(即ち参加)することができる。
なお、図3のS122では、MFP10は、対象携帯端末から接続要求を受信しているので(S110でYES)、対象携帯端末のMACアドレスを取得済みである。このために、MFP10は、対象携帯端末のMACアドレスを送信先として、SoftAPのWSIを対象携帯端末に送信することができる。これに対し、図2のS22では、MFP10は、対象携帯端末のMACアドレスを取得していない。従って、MFP10は、SoftAPのWSIを対象携帯端末に送信することができない。このために、S22では、MFP10は、第1実施例と同様に、表示処理を実行する(換言すれば、S22では、第2実施例の構成が採用されない)。
(具体例;図8)
図8を参照して、本実施例の具体例を説明する。図8は、図4のケースAの続きのシーケンス図を示す。従って、MFP10がCL状態であり、携帯端末50がG/O状態である。また、MFP10とAP4との間に、通常Wi−Fi方式に従った接続C5が確立されている。この状況において、携帯端末100のユーザは、携帯端末100に接続印刷操作を加える。この場合、携帯端末100は、SLSを実行して、機器リストを表示させる。ユーザは、携帯端末100に表示される機器リストから、MFP10を選択する。この場合、携帯端末100は、接続要求をMFP10に送信する。当該接続要求は、MAC100を送信元として含み、MFP10のWFDMACを送信先として含む。
MFP10は、携帯端末100から接続要求を受信する(図3のS110でYES)。この場合、MFP10は、NW1の状態が、MFP10がCL機器として動作し、かつ、携帯端末50がG/O機器として動作する状態であると判断する(S120でYES)。従って、MFP10は、まず、AP4に離脱信号を送信して、接続C5を切断する(S122)。次いで、MFP10は、接続C1が確立されている状態を維持しながら(即ち、NW1を維持しながら)、SoftAPモードをOFFからONに切り替えて、SoftAPのWSIを携帯端末100に送信する(S122)。この結果、MFP10と携帯端末100との間に、通常Wi−Fi方式に従った接続C3が確立される。これにより、SoftAPのNW(以下では「NW2」と呼ぶ)が形成される。
次いで、MFP10は、NW2を利用して(即ち、接続C3を利用して)、NW1のWFDWSIを携帯端末100に送信する。続いて、MFP10は、接続C3を切断して、NW2を消滅させる。そして、MFP10は、通常Wi−Fi方式に従った接続C5をAP4と再び確立する。
携帯端末100は、MFP10からNW1のWFDWSIを受信すると、接続要求を携帯端末50に送信する。当該接続要求は、MAC100を送信元として含み、MAC50を送信先として含む。携帯端末100は、MFP10からNW1のWFDWSIを取得済みであるために、MAC50(即ち、NW1のWFDWSIに含まれるBSSID)を送信先として含む接続要求を送信することができる。
携帯端末100は、MFP10からNW1のWFDWSIを取得済みであるために、携帯端末50からNW1のWFDWSIを取得せずに済む。即ち、携帯端末100は、WPS通信を実行せずに済む。このような状況では、WPSのPBC方式に従った操作(例えば図6のWFD接続操作)が携帯端末50に加えられなくても、携帯端末50,100は、認証通信を実行して、WFD方式に従った接続C4を確立することができる。これにより、CL状態の携帯端末100がNW1に参加する。
MFP10は、図5及び図6と同様に、NW1を利用して、携帯端末50を介して、携帯端末100から印刷データPD2を受信し(S140)、印刷データPD2に従って印刷処理を実行する(S142)。
(本実施例の効果)
MFP10は、MFP10が所属しているWFDNWの状態が、MFP10がCL機器として動作する状態である場合(図3のS120でYES)に、適切な処理(図3のS122)を実行することができる。この結果、図8に示されるように、MFP10は、携帯端末100をNW1に適切に参加させることができ、携帯端末100から印刷データPD2を適切に受信することができる。
また、第1実施例の図6のケースでは、携帯端末100のユーザが、携帯端末100に表示される機器リストから携帯端末50を選択する必要があり、さらに、携帯端末50にWFD接続操作を加える必要がある。これに対し、本実施例では、図8に示されるように、MFP10は、接続C3を利用して、NW1のWFDWSIを携帯端末100に送信する。このために、携帯端末100は、携帯端末100に表示される機器リストから携帯端末50が選択されなくても、接続要求を携帯端末50に送信することができる。また、携帯端末50,100は、携帯端末50にWFD接続操作が加えられなくても、認証通信を適切に実行して、接続C4を確立することができる。このために、携帯端末100のユーザは、携帯端末100をNW1に容易に参加させることができる。
なお、本実施例では、MFP10が、接続C3を利用して、携帯端末100にNW1のWFDWSIを送信するが、これに代えて、MFP10が、接続C3を利用して、携帯端末100から印刷データを受信する構成(以下では「比較例の構成」と呼ぶ)を採用することが考えられる。しかしながら、MFP10は、接続C3を確立する前に、MFP10とAP4との間に確立されている接続C5を一時的に切断して、通常Wi−FiNWから離脱しなければならない。この場合、MFP10は、AP4を介して、他装置と目的データの無線通信を実行することができない。例えば、MFP10は、AP4を介して、PC6から印刷データを受信することができない。画像データ等を含み得る印刷データは、通常、無線設定情報(例えばNW1のWFDWSI)と比べて、大きいデータサイズを有する。従って、比較例の構成を採用すると、接続C3を利用した通信時間が長くなってしまう。このために、接続C5が切断されている期間が長くなり、この結果、MFP10がAP4を介した無線通信を実行不可能な期間が長くなる。
本実施例では、MFP10が、接続C3を利用して、比較的に小さいデータサイズを有するNW1のWFDWSIを携帯端末100に送信する構成を採用している。従って、接続C5が切断されている期間が短くなり、この結果、MFP10がAP4を介した無線通信を実行不可能な期間が短くなる。このために、MFP10は、AP4を介した無線通信を適切に実行することができる。
なお、本実施例では、図3のS122において、第2の接続部46は、MFP10が通常Wi−FiNWに所属しているのか否かに関わらず、SoftAPモードに従った接続(例えば図8の接続C3)を利用して、WFDWSIを対象携帯端末(例えば携帯端末100)に送信する。これに代えて、変形例では、第2の接続部46は、MFP10が通常Wi−FiNWに所属している場合には、AP4を介した無線通信を実行不可能な期間が長くなるのを抑制するために、第2実施例と同様に、SoftAPモードに従った接続(例えば図8の接続C3)を利用して、WFDWSIを対象携帯端末(例えば携帯端末100)に送信してもよい。一方において、MFP10は、MFP10が通常Wi−FiNWに所属していない場合には、AP4を介した無線通信を実行不可能な期間が長くなるという問題が発生しないために、SoftAPモードに従った接続(例えば図8の接続C3)を利用して、対象携帯端末(例えば携帯端末100)から印刷データを受信してもよい。
(対応関係)
通常Wi−Fi方式(即ちSoftAPモード)が、「第2の無線通信方式」の一例である。NW2が、「第2の無線ネットワーク」の一例である。接続C3が、「第3の接続」の一例である。図3のS122で送信されるWFDWSIが「参加情報」の一例であり、当該WFDWSIに含まれるSSIDが「識別情報」の一例である。WFDMAC、通常Wi−FiMACが、それぞれ、「第1のMACアドレス」、「第2のMACアドレス」の一例である。
(第3実施例)
上述したように、第2実施例では、図3のS122において、第2の接続部46は、MFP10と対象携帯端末との間に、通常Wi−Fi方式のSoftAPモードに従った接続を確立して、WFDNW(MFP=CL)で現在利用されているWFDWSIを対象携帯端末に送信する。これに代えて、本実施例では、S122において、第2の接続部46は、MFP10と対象携帯端末との間に、通常Wi−Fi方式のアドホックに従った接続を確立して、WFDWSIを対象携帯端末に送信する。
(通常Wi−Fi方式のアドホック)
アドホックの無線ネットワークは、APとは異なる一対の機器によって形成される。具体的に言うと、一方の機器は、アドホックの無線ネットワークで利用されるべき通常Wi−FiWSIを準備して、通常Wi−FiWSIを他方の機器に供給する。これにより、一対の機器は、認証通信を実行して、アドホックに従った接続を確立することができる。即ち、一対の機器は、通常のAPやSoftAPモードを利用せずに、通常Wi−FiNWに所属することができる。この過程において、一対の機器は、G/Oネゴシエーションを実行しないし、G/O状態又はCL状態で動作することを選択的に決定しない。この点において、通常Wi−Fi方式のアドホックは、WFD方式とは異なる。
(図3のS122の処理)
S122では、第2の接続部46は、アドホックの無線ネットワークで利用されるべき通常Wi−FiWSI(以下では「アドホックのWSI」と呼ぶ)を準備する。アドホックのWSIを準備する手法は、WFDWSIを準備する手法と同様である。ただし、第2の接続部46は、MFP10の通常Wi−FiMACをBSSIDとして準備する。そして、第2の接続部46は、アドホックのWSIを対象携帯端末に送信する。これにより、第2の接続部46は、アドホックの通常Wi−FiNWを形成することができ、アドホックの通常Wi−FiNWを利用して(即ち、通常Wi−Fi方式に従った接続を利用して)、他装置を介さずに、WFDWSIを対象携帯端末に送信することができる。その他の点は、第2実施例と同様である。
本実施例でも、第2実施例と同様の効果を得ることができる。本実施例では、通常Wi−Fi方式(即ちアドホックモード)が、「第2の無線通信方式」の一例である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(変形例1)「対象データ」は、印刷データではなく、スキャンデータであってもよい。本変形例では、例えば、図5において、接続印刷操作の代わりに接続スキャン操作が携帯端末100に加えられる。そして、通信部43は、スキャン実行部18にスキャンを実行させてスキャンデータを生成し、NW1を利用して、携帯端末50を介して、スキャンデータを携帯端末100に送信する。なお、「対象データ」は、印刷データ及びスキャンデータとは異なる種類のデータ(例えば音声データ、動画データ等)であってもよい。
(変形例2)「親局」は、WFDのG/O機器に限られず、無線ネットワークに属する各機器を管理する機器(例えば、無線ネットワークに属する各機器の間の無線通信を中継可能な機器)であれば、どのような機器であってもよい。また、「子局」は、WFDのCL機器に限られず、無線ネットワークの親局から管理される状態であれば、どのような機器であってもよい。
(変形例3)「第1の無線通信方式」は、WFD方式でなくてもよく、一対の機器が無線ネットワークの親局及び子局を決定するための無線通信を実行する仕組みを有する方式であれば、どのような方式であってもよい。また、「第2の無線通信方式」は、通常Wi−Fi方式に限られない。例えば、図3のS122において、出力部45は、赤外線通信方式、NFC(Near Field Communicationの略)方式、BlueTooth(登録商標)方式、又は、TransferJet方式に従って、WFDNW(MFP=CL)で現在利用されているWFDWSIを対象携帯端末に送信してもよい。一般的に言うと、「第1の無線通信方式」と「第2の無線通信方式」とは、異なる方式であればよい。
(変形例4)図2のS22又は図3のS122では、出力部45は、WFDNW(MFP=CL)のSSIDを表示させずに、WFDNW(MFP=CL)のBSSIDをMFP10の表示部14に表示させてもよい。この構成では、対象携帯端末のユーザは、MFP10の表示部14に表示されるBSSIDを知ることができる。そして、ユーザは、対象携帯端末に表示される機器リストから、当該BSSIDを選択することによって、WFDNW(MFP=CL)を形成している特定のG/O機器を選択することができる。一般的に言うと、「参加情報」は、第2の外部装置が第1の無線ネットワークに参加するための情報であればよい。
(変形例5)「無線通信装置」は、MFP10に限られず、他の通信装置(例えば、プリンタ、スキャナ、FAX装置、コピー機、電話機、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、サーバ、携帯電話、PDA端末等)であってもよい。また、「第1(又は第2)の外部装置」は、携帯端末50(又は100)に限られず、他の通信装置(例えば、MFP、プリンタ、スキャナ、FAX装置、コピー機、電話機、デスクトップPC等)であってもよい。
(変形例6)上記の実施例では、MFP10のCPU32がメモリ34内のプログラム(即ちソフトウェア)を実行することによって、各部41〜46が実現される。これに代えて、各部41〜46のうちの少なくとも1つは、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。