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JP6155600B2 - 透明樹脂積層体とその製造方法、ならびに熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液 - Google Patents

透明樹脂積層体とその製造方法、ならびに熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液 Download PDF

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Description

本発明は、透明樹脂積層体とその製造方法、ならびに熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液に関し、さらには、透明樹脂基材の少なくとも片方の表面に、熱線遮蔽微粒子と、密着性付与剤と、(メタ)アクリル系樹脂を含有する熱線遮蔽機能を有するプライマー層とが積層され、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層上にシリコーン系樹脂層が積層された透明樹脂積層体とその製造方法、ならびに、前記熱線遮蔽機能を有するプライマー層を形成するためのプライマー液に関する。
ポリカーボネート樹脂等をはじめとする透明樹脂基材は、軽量、かつ、透明性耐衝撃性等に優れることからガラスに代わる部材として車両や建築物などの窓材として用いられる。しかし、透明樹脂基材は、ガラスと比較して耐擦傷性、耐候性等の機械的特性に劣ることから、表面特性の改良が求められている。
透明樹脂基材における表面の機械的特性を改良する手段としては、当該基材表面にポリオルガノシロキサン系(シリコーン系)や、メラミン系等の熱硬化性樹脂をコーティングする方法や多官能アクリル系の光硬化性樹脂を積層する方法が提案されている。中でも、高い耐候性と耐摩耗性が要求される車両向けグレージング用途等では、シリコーン系樹脂を積層する方法が適用されている。
しかし、シリコーン系樹脂は透明樹脂基材との密着性が悪く、従来大きな問題となっていた。当該問題解決の為、通常は、シリコーン系樹脂層と透明樹脂基材との間にアクリル系樹脂層を介在させることで、シリコーン系樹脂層と透明樹脂基材との密着性の改善を図り、透明樹脂基材の表面改質を行なう方法が採られている。
他方、上述した車両や建築物などの窓材を透過して、車内や室内に進入する近赤外線は、当該車内や室内の温度を過度に上昇させる原因となっている。当該過度の温度上昇を解消するために、上述した窓材として、温度上昇を抑制する熱線遮蔽機能を付与した透明樹脂積層体の提供が強く求められている。
このような要請に応える方法として、透明樹脂基材自体に熱線遮蔽機能を有する材料を配合する方法が挙げられる。例えば、特許文献1および2には、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂又は塩化ビニル樹脂へ、熱線遮蔽機能を有する材料であるフタロシアニン化合物を配合した熱線遮蔽材が開示されている。
また、特許文献3、4および5には、ポリカーボネート樹脂にタングステン酸化物或いは6ホウ化物を配合した熱線遮蔽材が開示されている。
一方、特許文献6には、透明樹脂基材の表面に複合タングステン酸化物微粒子を分散したメタクリル酸メチル樹脂を塗布し、熱硬化させて熱線遮蔽層を積層し、その上にシリコーン系樹脂塗料を塗布し、熱硬化させてシリコーン系樹脂層を積層した熱線遮蔽材が開示されている。
特許文献1:特開平06−240146号公報
特許文献2:特開平06−264050号公報
特許文献3:特開2005−179504号公報
特許文献4:特開2007−211213号公報
特許文献5:特開2008−044609号公報
特許文献6:特開2009−256413号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1および2の方法では、十分な熱線遮蔽機能を得る為には、透明樹脂基材へ多量のフタロシアニン化合物を配合しなければならない。ところが、多量のフタロシアニン化合物を配合することは、透明樹脂基材の耐熱性の低下をもたらし着色の問題が生じる上、耐候性も不十分なものとなる。
これに対し、特許文献3、4及び5に開示された技術は、少ない添加量で、透明樹脂基材へ十分な熱線遮蔽特性を付与することができる。さらに、熱線遮蔽機能を有する透明樹脂基材の製造の際、関与する設備が多い。従って、透明樹脂基材を大量に生産する場合にはコストパフォーマンスが良い製造方法である。しかしながら、熱線遮蔽を有する透明樹脂基材の光学的特性や機械的特性について顧客仕様にきめ細かく対応する為には、多品種少量生産が求められる。しかし、特許文献3、4及び5に開示された技術にて、当該顧客仕様に対応しようとすると、関与する多数の設備の調整が求められる。結局、当該技術は、多品種少量生産には適していない。
特許文献6は、透明樹脂基材の表面に複合タングステン酸化物微粒子を分散したメタクリル酸メチル樹脂を塗布し、これを熱硬化させて熱線遮蔽機能を有するプライマー層とし、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層上へシリコーン系樹脂塗料を塗布し、これを熱硬化させてシリコーン系樹脂層が積層した熱線遮透明蔽材を製造するものである。当該製造方法によれば、顧客仕様にきめ細かく対応する為には、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層の検討をすれば良いので、多品種少量生産の要求に対し、柔軟に対応することが出来る。
しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献6に提案された熱線遮蔽機能を有する透明樹脂基材は、優れた熱線遮蔽特性を有し、多品種少量生産に柔軟に対応することが出来るものの、光学的特性と機械的特性とに課題があるものであった。具体的には、熱線遮蔽機能を有する透明樹脂基材の光学的特性上の課題であるヘイズ値と、機械的特性上の課題である透明樹脂基材とシリコーン系樹脂層との密着性とに課題を残していた。
即ち、熱線遮蔽機能を有するプライマー層を形成する際、乾燥温度が高い場合は、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層とシリコーン系樹脂層との密着性が悪くなる。一方、乾燥温度が低い場合は、製造された熱線遮蔽機能を有する透明樹脂積層体のヘイズ値が高くなり意匠性が損なわれる。結局のところ、光学的特性と機械的特性とが両立が困難な為、狙いの品質を有する透明樹脂積層体を製造することが困難であった。
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、透明樹脂積層体を製造するためのプライマー液であって、優れた生産性を保つため広域な乾燥温度範囲下において、ヘイズ値が低く意匠性に優れ且つシリコーン系樹脂層との密着性も良好で優れた熱線遮蔽機能を有するプライマー層を有する透明樹脂積層体とその製造方法、並びに、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層を形成するためのプライマー液を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、プライマー液へ所定の構造を持つシラン化合物を添加することで、優れた熱線遮蔽機能を有し、ヘイズが低く意匠性に優れ、且つプライマー層とシリコーン系樹脂層との密着性も良好な、透明樹脂積層体を得ることが出来ることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、上記の課題を解決する第1の発明は、
透明樹脂基材の少なくとも片方の表面に、熱線遮蔽機能を有する微粒子と、密着性付与剤と、分散剤と、(メタ)アクリル系樹脂とを含有する熱線遮蔽機能を有するプライマー層とが積層され、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層上にシリコーン系樹脂層が積層された透明樹脂積層体であって、
前記熱線遮蔽機能を有する微粒子が、一般式MWO(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、かつ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記分散剤が、官能基としてアミンを含有する基を有し、分子量Mw2000〜200000、アミン価5〜100mgKOH/gであるアクリル系分散剤であり、前記分散剤の添加量が、前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し10重量部〜1000重量部であり、
前記密着性付与剤が、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択される1種以上であり、前記密着性付与剤の添加量が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部であることを特徴とする透明樹脂積層体である。
第2の発明は、
前記熱線遮蔽機能を有する微粒子の添加量が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、1重量〜100重量部であることを特徴とする第1の発明に記載の透明樹脂積層体である。
第3の発明は、
前記熱線遮蔽微粒子が、平均粒径1nm〜800nmの微粒子であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の透明樹脂積層体である。
第4の発明は、
前記熱線遮蔽機能を有するプライマー層の膜厚が、1μm〜20μmであることを特徴とする第1〜第3の発明のいずれかに記載の透明樹脂積層体である。
第5の発明は、
前記シリコーン系樹脂層の膜厚が、1μm〜20μmであることを特徴とする第1〜第4の発明のいずれかに記載の透明樹脂積層体である。
第6の発明は、
前記透明樹脂基材が、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする第1〜第5の発明のいずれかに記載の透明樹脂積層体である。
第7の発明は、
第1〜第6の発明のいずれかに記載の透明樹脂積層体であって、当該透明樹脂積層体の可視光透過率を50%以上に設定したときのヘイズが5%以下であることを特徴とする透明樹脂積層体である。
第8の発明は、
第1〜第7の発明のいずれかに記載の透明樹脂積層体における熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液であって、
前記熱線遮蔽微粒子と、前記密着性付与剤と、前記(メタ)アクリル系樹脂と、沸点120℃以下の有機溶剤と、前記アクリル系分散剤とを、含むことを特徴とする熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液である。
第9の発明は、
前記透明樹脂基材の少なくとも片方の表面に、前記熱線遮蔽微粒子と、前記密着性付与剤と、前記(メタ)アクリル系樹脂と、沸点120℃以下の有機溶剤と、前記アクリル系分散剤とを、含むプライマー液を塗布し、温度90℃〜140℃の下で熱硬化させて熱線遮蔽機能を有するプライマー層を形成する第1の工程と、
前記熱線遮蔽機能を有するプライマー層上に前記シリコーン系樹脂を含む塗液を塗布し、熱硬化させる第2の工程を具備することを特徴とする第1〜第7の発明のいずれかに記載の透明樹脂積層体の製造方法である。
本発明に係る透明樹脂積層体は、優れた生産性を保ちながら容易に製造可能で、優れた熱線遮蔽機能を有し、ヘイズが低く意匠性に優れ、且つプライマー層とシリコーン系樹脂層との密着性も良好であった。本発明に係る透明樹脂積層体の製造方法によれば、優れた熱線遮蔽機能を有し、ヘイズが低く意匠性に優れ、且つプライマー層とシリコーン系樹脂層との密着性も良好な透明樹脂積層体を、温度90℃〜140℃という広域な乾燥温度範囲下において優れた生産性を保ちながら容易に製造することが出来た。また、本発明に係るプライマー液を透明樹脂基材上に塗布してプライマー層を形成し、その上にシリコーン系樹脂層を設けることで、優れた熱線遮蔽機能を有し、ヘイズが低く意匠性に優れ、且つプライマー層とシリコーン系樹脂層との密着性も良好な透明樹脂積層体を温度80℃〜140℃という広域な乾燥温度範囲下において、優れた生産性を保ちながら容易に製造することが出来た。
本発明に係る透明樹脂積層体は、透明樹脂基材の少なくとも片方の表面に、熱線遮蔽機能を有する微粒子(A)と、密着性付与剤(B)と、(メタ)アクリル系樹脂(C)を含有する熱線遮蔽機能を有するプライマー層を積層し、更にその上にシリコーン系樹脂(D)層を積層した透明樹脂積層体である。
当該透明樹脂積層体において、熱線遮蔽機能を有するプライマー層は、熱線遮蔽機能を有する微粒子(A)と密着性付与剤(B)と(メタ)アクリル系樹脂(C)を含む熱線遮蔽膜形成用のプライマー液を、透明樹脂基材に塗布し硬化させることで形成される。
さらに当該熱線遮蔽膜形成用のプライマー液は、熱線遮蔽機能を有する微粒子分散液(本発明において「熱線遮蔽微粒子含有分散液」と記載する場合がある。)に密着性付与剤(B)と、(メタ)アクリル系樹脂(C)を添加し混合することで得られる。
以下、本発明の実施の形態について、[1]熱線遮蔽微粒子含有分散液、[2]熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液、[3]透明樹脂積層体、の順で詳細に説明する。
[1]熱線遮蔽微粒子含有分散液
本発明に係る熱線遮蔽微粒子含有分散液について、(1)熱線遮蔽機能を有する微粒子、(2)分散剤、(3)有機溶剤、さらに(4)熱線遮蔽微粒子含有分散液の製造方法、の順で詳細に説明する。
(1)熱線遮蔽機能を有する微粒子
本発明に係る熱線遮蔽微粒子含有分散液に用いられる熱線遮蔽機能を有する微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子である。
当該複合タングステン酸化物微粒子は、近赤外線領域、特に波長1000nm以上の光を大きく吸収するため、その透過色調はブルー系の色調となるものが多い。
複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MyWO(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、かつ六方晶の結晶構造を有しているものであることが好ましい。
当該複合タングステン酸化物微粒子の粒子径は、熱線遮蔽膜の使用目的によって適宜選定することができる。例えば、熱線遮蔽膜を透明性が求められる用途に使用する場合は、当該複合タングステン酸化物微粒子が40nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。当該複合タングステン酸化物微粒子が40nmよりも小さい分散粒子径を有していれば、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光領域の視認性を保持し、同時に効率よく透明性を保持することが出来るからである。
本発明に係る熱線遮蔽膜や熱線遮蔽合わせ透明基材を、例えば自動車のフロントガラスのように、特に可視光領域の透明性を重視する用途に適用する場合は、さらに複合タングステン酸化物微粒子による散乱低減を考慮することが好ましい。当該散乱低減を重視するときには、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は30nm以下、好ましくは25nm以下とするのが良い。
この理由は、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱またはミー散乱による、波長400nm〜780nmの可視光線領域における光の散乱が低減されるからである。当該光の散乱が低減することで、強い光が照射されたときに熱線遮蔽膜が曇りガラスのように外観になり、鮮明な透明性が失われる事態を回避できるからである。これは、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が40nm以下になると、上記幾何学散乱またはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる為である。レイリー散乱領域では、散乱光が粒子径の6乗に反比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。さらに、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が25nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。
以上、説明したように、光の散乱を回避する観点からは、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は小さい方が好ましい。一方、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が1nm以上であれば、工業的な製造は容易である。
以上説明した複合タングステン酸化物微粒子について、〈1−1〉複合タングステン酸化物微粒子の成分、〈1−2〉複合タングステン酸化物微粒子の製造方法、〈1−3〉表面被覆された複合タングステン酸化物微粒子、の順でさらに説明する。
〈1−1〉複合タングステン酸化物微粒子の成分
好ましい複合タングステン酸化物微粒子の成分例としては、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることが出来る。尤も、y、zの値が上記の範囲に収まるものであれば、有用な熱線遮蔽特性を得ることができる。添加元素Mの添加量は、0.1以上0.5以下が好ましく、さらに好ましくは0.33付近である。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出される値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。また、Zの範囲については、2.2≦z≦3.0が好ましい。これは、MyWOで表記される複合タングステン酸化物材料においても、上述したWOで表記されるタングステン酸化物材料と同様の機構が働くのに加え、z≦3.0においても、上述した元素Mの添加による自由電子の供給があるためである。尤も、光学特性の観点から、より好ましくは2.45≦z≦3.00である。
〈1−2〉複合タングステン酸化物微粒子の製造方法
一般式MWO表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
まず、タングステン化合物出発原料について説明する。
タングステン化合物出発原料は、三酸化タングステン粉末、ニ酸化タングステン粉末、酸化タングステンの水和物粉末、六塩化タングステン粉末、タングステン酸アンモニウム粉末、または、六塩化タングステン粉末をアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、タングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末、から選ばれたいずれか1種類以上であって、さらに元素Mを、元素単体または化合物の形態で含有するタングステン化合物を出発原料とすることが好ましい。
ここで、各成分が分子レベルで均一混合した出発原料を製造するためには、各原料を溶液の形で混合することが好ましく、元素Mを含むタングステン化合物出発原料が、水や有機溶媒等の溶媒に溶解可能なものであることが好ましい。例えば、元素Mを含有するタングステン酸塩、塩化物塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酸化物、炭酸塩、水酸化物等が挙げられるが、これらに限定されず、溶液状になるものであれば好ましい。
次に、不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中における熱処理について説明する。
まず、不活性ガス雰囲気中における熱処理条件としては、650℃以上が好ましい。650℃以上で熱処理された出発原料は、十分な近赤外線吸収力を有し熱線遮蔽微粒子として効率が良い。不活性ガスとしてはAr、N等の不活性ガスを用いることがよい。
また、還元性雰囲気中における熱処理条件としては、出発原料を、まず還元性ガス雰囲気中にて100℃以上650℃以下で熱処理し、次いで不活性ガス雰囲気中にて650℃以上1200℃以下の温度で熱処理することが良い。この時の還元性ガスは、特に限定されないが、Hが好ましい。そして、還元性ガスとしてHを用いる場合は、還元性雰囲気の組成として、例えば、Ar、N等の不活性ガスにHを体積比で0.1%以上を混合することが好ましく、さらに好ましくは0.2%以上混合したものである。Hが体積比で0.1%以上であれば効率よく還元を進めることができる。
水素で還元された出発原料粉末は、マグネリ相を含み、良好な熱線遮蔽特性を示す。従って、この状態でも熱線遮蔽微粒子として使用可能である。
〈1−3〉表面被覆した複合タングステン酸化物微粒子
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子が表面処理され、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上を含有する化合物、好ましくは酸化物で被覆されていることは、耐候性向上の観点から好ましい。当該表面処理を行うには、Si、Ti、Zr、Alから選択される1種類以上を含有する有機化合物を用いて、公知の表面処理を行えばよい。例えば、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを混合し、加水分解処理を行えばよい。
また、後述する熱線遮蔽膜の光学的特性を向上させる観点から、複合タングステン酸化物微粒子の粉体色が、国際照明委員会(CIE)が推奨しているL表色系(JISZ8729−2004)における粉体色において、Lが25〜80、aが−10〜10、bが−15〜15である条件を満たすことが望ましい。当該粉体色を有する複合タングステン酸化物微粒子を用いることで、優れた光学特性を有する熱線遮蔽膜を得ることが出来る。
(2)分散剤
本発明に係る分散剤は、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を、熱線遮蔽微粒子含有分散液中、および後述する熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液中、さらには後述する熱線遮蔽機能を有するプライマー層中において均一に分散させる機能を発揮するものである。
本発明に係る分散剤は、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有する分散剤であることが好ましい。これらの官能基は、複合タングステン酸化物微粒子の表面に吸着し、複合タングステン酸化物微粒子の凝集を防ぎ、熱線遮蔽微粒子含有分散液中でも当該微粒子を均一に分散させる効果を持つ。
具体的には、カルボキシル基を官能基として有するアクリル−スチレン共重合体系分散剤、アミンを含有する基を官能基として有するアクリル系分散剤が例として挙げられる。官能基にアミンを含有する基を有する分散剤は、分子量Mw2000〜200000、アミン価5〜100mgKOH/gのものが好ましい。また、カルボキシル基を有する分散剤では、分子量Mw2000〜200000、酸価1〜50mgKOH/gのものが好ましい。
当該分散剤の添加量は、複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し10重量部〜1000重量部の範囲であることが望ましく、より好ましくは30重量部〜400重量部の範囲である。分散剤の添加量が上記範囲にあれば、複合タングステン酸化物微粒子が、熱線遮蔽微粒子含有分散液中、および後述する熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液中、さらには後述する熱線遮蔽機能を有するプライマー層中において均一に分散すると伴に、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層の物性に悪影響を及ぼすことがないからである。
(3)有機溶剤
本発明に係る有機溶剤は、上述した分散剤を溶解出来、熱線遮蔽機能を有する微粒子を均一分散出来るものであって、透明樹脂基材を溶解しないものであれば良い。但し、後述する熱線遮蔽膜を形成する際における熱硬化の工程中に、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層からの除去効率を考慮すると、沸点が120℃以下であることが好ましい。
具体的にはトルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、エタノールが挙げられる。
当該有機溶媒の添加量は、複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し、100〜3000重量部の範囲とすることが望ましい。有機溶剤量が100重量部以上あれば、熱線遮蔽微粒子分散液における熱線遮蔽微粒子の分散性を確保できる。一方、有機溶剤量が3000重量部以下であれば、プライマー液に含まれる有機溶剤の過剰を回避でき、除去するべき有機溶媒が過剰となる事態を回避できる。
また、本発明に係る熱線遮蔽微粒子含有分散液へ、後述するアクリル樹脂や密着性付与剤を添加することで、本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液が製造される。従って、上述したように、有機溶剤は、透明基材樹脂を溶解しないものであることに留意する。熱線遮蔽機能を有するプライマー層の形成中に有機溶剤が透明基材樹脂を侵食し、透明樹脂積層体の外観の不具合につながる事態を回避する為である。
(4)熱線遮蔽微粒子含有分散液の製造方法
本発明に係る熱線遮蔽微粒子含有分散液は、上述した、熱線遮蔽機能を有する微粒子、分散剤及び有機溶剤を添加混合し、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波ホモジナイザーなど、微粒子を分散する際に用いられる一般的な方法を適用することで製造することが出来る。
当該熱線遮蔽微粒子含有分散液中に含まれる熱線遮蔽機能を有する微粒子の濃度は、50質量%以下であることが好ましい。50質量%以下であれば、微粒子の凝集が起こり難く、分散が容易であるとともに、急激な粘度の上昇も回避することができ、取り扱いが容易だからである
[2]熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液
本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液は、上述した熱線遮蔽微粒子含有分散液、密着性付与剤、およびアクリル系樹脂を含む溶液である。
熱線遮蔽微粒子含有分散液に関しては既に説明した通りである。
ここでは、(1)アクリル系樹脂、(2)密着性付与剤、の順に説明し、さらに(3)熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液の製造方法について説明する。
(1)アクリル系樹脂
本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液にて用いることができるアクリル系樹脂は、透明樹脂基材とシリコーン系樹脂の密着性に優れているものであれば、何でも使用することができ、特に制限されるものではない。
尤も、本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液では熱硬化性のアクリル樹脂が望ましい。具体的には、複合タングステン酸化物微粒子の分散性、材料自体の透明性、加工性、耐久性等を考慮すると、アクリル酸アルキルエステルモノマーまたはメタクリル酸アルキルエステルモノマーを重合させて得られる(メタ)アクリル系樹脂であることが望ましい。
これらモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルが挙げられる。これらは、単独もしくは混合し重合することができる。
また、共重合可能な他のモノマーとしては、殊に接着性あるいは耐候性等の耐久性の面で、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの誘導体が好ましく使用される。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドも用いることができる。
また、本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層に用いることができるアクリル樹脂は、熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液中では予め重合し有機溶剤に溶解しているもの、または、熱線遮蔽機能を有するプライマー層の形成時の熱処理で上述のモノマーが重合するもの、または、重合した樹脂とモノマーが混合され加熱処理でモノマーが重合するもの、のいずれも用いることができる。
本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液に含まれるアクリル系樹脂と、熱線遮蔽機能を有する微粒子との割合は、アクリル系樹脂100重量部に対して、熱線遮蔽機能を有する微粒子の添加量が1〜100重量部であることが好ましい。より好ましくは、5〜70重量部である。熱線遮蔽微粒子の添加量が、1重量部以上あれば、透明樹脂積層体に所望の熱線遮蔽機能を担保することが出来好ましい。一方、100重量部以下であれば、熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用塗布液の粘度が著しく高くなり、透明樹脂基材に塗布することが難しくなる事態を回避できるため好ましい。
(2)密着性付与剤
本発明に係る密着性付与剤は、透明樹脂基材の少なくとも片方の面に積層した熱線遮蔽機能を有するプライマー層と、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層の上に形成されるシリコーン系樹脂層との層間密着性を改善する目的で、プライマー液へ添加するものである。
熱線遮蔽機能を有するプライマー層とシリコーン系樹脂層との層間密着性の観点のみからすれば、密着性付与剤には、エポキシ系架橋剤や各種シラン化合物やその他同等の効果を有する化合物を用いることも考えられる。
それにも拘らず、本発明者らは、アルコキシ基を少なくとも1個以上と、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基から選択される有機官能基を少なくとも1個以上有するシラン化合物を知見し、これらのシラン化合物を、密着性付与剤としてプライマー液へ添加する構成に想到した。
そして、当該構成を有する本発明に係るプライマー液は、温度90℃〜140℃という広域な乾燥温度範囲下において、本発明に係る透明樹脂積層体における熱線遮蔽機能を有するプライマー層を、ヘイズが低く意匠性に優れ且つシリコーン系樹脂層との密着性も良好で優れた熱線遮蔽機能を有するプライマー層として形成出来るものである。即ち、熱線遮蔽機能を有するプライマー層とシリコーン系樹脂層との層間密着性担保に加えて、熱線遮蔽機能を有するプライマー層におけるヘイズ値の抑制を、優れた生産性を保ちながら達成出来るものである。
当該密着性付与剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、4−トリメトキシシリルプロピルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等や、これらの加水分解縮重合物を挙げることができる。
例えば、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE9007、信越化学株式会社)等を例示することができる。
当該密着性付与剤(B)の添加量は、上述したアクリル系樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜15重量部である。密着性付与剤(B)の添加量が0.1重量部以上あれば、熱線遮蔽機能を有するプライマー層とシリコーン系樹脂層との密着性が十分となり好ましい。一方、密着性付与剤(B)の添加量が30重量部以下であれば、熱線遮蔽機能を有するプライマー層中で複合タングステン酸化物微粒子が凝集体を形成するのを回避出来、得られる透明積層体のヘイズ値を抑制出来、意匠性を保つことが出来るので好ましい。
(3)熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液の製造方法
本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液は、熱線遮蔽微粒子含有分散液、アクリル系樹脂を含む溶液、および密着性付与剤を添加混合することで製造することができる。混合方法は、熱線遮蔽微粒子含有分散液と、アクリル系樹脂を含む溶液と、密着性付与剤とを均一に混合できる方法であれば良く、特に制限はない。例えば、攪拌混合法や超音波混合法などを挙げることができる。
尚、所望により当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液へ、後述する透明樹脂積層体の耐久性や強度の向上を目的として、有機紫外線吸収剤、無機紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、酸化防止剤、色調調整剤等を添加混合しても良い。
[3]透明樹脂積層体
上述したように、本発明に係る透明樹脂積層体は、透明樹脂基材の少なくとも片方の面に積層した熱線遮蔽機能を有するプライマー層と、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層の上に形成されるシリコーン系樹脂層とを有する。
ここで、(1)透明樹脂基材、(2)熱線遮蔽機能を有するプライマー層、(3)シリコーン系樹脂層の順で説明し、さらに(4)透明樹脂積層体の製造方法について説明する。
(1)透明樹脂基材
本発明に係る透明樹脂積層体の透明樹脂基材としては、可視光領域の光線透過率が高い透明な樹脂基材であれば使用出来、特に限定されるものではない。
具体的には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、アセチルセルロース樹脂、含硫ウレタン樹脂または架橋(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。特に、機械的強度や耐熱性、耐久性に優れる観点からポリカーボネート樹脂が好ましい。
(2)熱線遮蔽機能を有するプライマー層
本発明に係る透明樹脂積層体の熱線遮蔽機能を有するプライマー層は、上述した本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を用いて、透明樹脂基材の少なくとも片方の面に積層した熱線遮蔽機能を有するプライマー層である。
熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液に関しては既に説明した通りである。また、透明樹脂基材上への、熱線遮蔽機能を有するプライマー層の積層方法については後述する。
(3)シリコーン系樹脂
本発明に係る透明樹脂積層体のシリコーン系樹脂は、ポリシロキサン結合を有するケイ素化合物であり、例えば、無機シラン系化合物および/またはポリオルガノシロキサン系化合物を主成分とする、ハードコート層を形成するシリコーン系樹脂を挙げることができる。
当該無機シラン系化合物やポリオルガノシロキサン系化合物、あるいはこれらの混合系は、例えば、(式1)で表されるアルコキシシラン化合物を、塩酸や硫酸、硝酸、酢酸等の触媒を用いて加水分解し、重縮合させることで得ることが出来る。
R1Si(OR2)4−n・・・・(式1)
[但し、上記一般式中のR1は非加水分解性基であって、アルキル基、置換アルキル基(置換基:ハロゲン原子、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基等)、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基、R2は低級アルキル基であり、nは0または1〜3の整数である。R1およびOR2がそれぞれ複数ある場合、複数のR1は同一でも、異なっていてもよく、また複数のOR2も同一でも、異なっていてもよい。]
この場合、n=0の化合物、すなわちテトラアルコキシシランを加水分解すれば無機シラン系のバインダーが得られ、部分加水分解すれば、ポリオルガノシロキサン系バインダーまたは無機シラン系とポリオルガノシロキサン系との混合系バインダーが得られる。一方、n=1〜3の化合物では、非加水分解性基を有するため、部分または完全加水分解により、ポリオルガノシロキサン系バインダーが得られる。上記の際、加水分解反応を制御する目的で適当な有機溶媒を用いてもよい。
上記(式1)で表されるアルコキシシラン化合物の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン等を例示することができる。
(4)透明樹脂積層体の製造方法
本発明に係る透明樹脂積層体は、透明樹脂基材の少なくとも片方の面へ、上述した本発明に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を塗布し熱硬化することで、熱線遮蔽機能を有するプライマー層を積層した後、さらに、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層上にシリコーン系樹脂からなる塗液を塗布、熱硬化しシリコーン系樹脂層を積層することで製造出来る。
以下、〈4−1〉熱線遮蔽機能を有するプライマー層の積層方法、〈4−2〉シリコーン系樹脂層の積層方法の順で説明する。
〈4−1〉熱線遮蔽機能を有するプライマー層の積層方法
上述した熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液をバーコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スピンコート法等適宜な方法で、透明樹脂基材上へ塗布する。次に、当該透明樹脂基材上の塗布層を、90℃〜140℃、10分〜3時間加熱して乾燥し、上記アクリル系樹脂を熱硬化させる方法で熱線遮蔽機能を有するプライマー層を得る。
プライマー層と後述するシリコーン系樹脂膜との密着性から検討する。乾燥温度が80℃以上あれば、アクリル系樹脂が十分に熱硬化したプライマー層が形成可能である。一方、乾燥温度が150℃未満であれば、熱線遮蔽機能を有するプライマー層と、シリコーン系樹脂膜との密着性を担保出来るからである。当該観点から、より好ましい乾燥温度は、80℃〜140℃の範囲である。
また、プライマー層の意匠性から検討すると、乾燥温度が90℃以上であれば、プライマー層において低いヘイズ値を担保出来る。そこで、当該意匠性の観点も加えると、最も好ましい乾燥温度は90〜140℃の範囲である。
また、好ましい乾燥時間は20分〜2時間、最も好ましくは30分〜1時間30分間である。
当該乾燥処理により、熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液中の有機溶剤が除去され、熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液中のアクリル樹脂モノマーの重合が行われる。
また、熱線遮蔽機能を有するプライマー層の膜厚は特に制限されないが1μm〜20μm、さらに好ましくは1μm〜10μmとするのが良い。
上記膜厚が1μm以上あれば、本発明に係る透明樹脂積層体において所望の熱線遮蔽特性を得るために、上記熱線遮蔽機能を有するプライマー層に存在すべき複合タングステン酸化物微粒子の配合量が過剰となることが回避出来、結果として当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層がプライマー層としての十分な密着強度を発揮することが出来るためである。一方、膜厚が20μm以下であれば、ヘイズ値の増加を抑制出来、且つ、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層の硬化収縮により上層のシリコーン系樹脂層の割れや剥がれが生じ易くなる事態も回避出来る。
〈4−2〉シリコーン系樹脂層の積層方法
シリコーン系樹脂層は、シリコーン系樹脂からなる塗液をバーコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スピンコート法等適宜な方法で塗布し、塗布層を室温〜150℃、10分〜2時間加熱し、上記シリコーン系樹脂を硬化させる方法で積層することができる。下限温度、加熱時間、加熱雰囲気(真空を含む)は、溶媒が蒸発し、塗布層(塗膜)が硬化する条件であればよく、特に限定されない。
使用するシリコーン系樹脂の種類により変動はあるが、より好ましい加熱時間は、80℃〜140℃の範囲、最も好ましくは110〜130℃の範囲であり、より好ましい加熱時間は20分〜2時間、最も好ましくは30分間〜1時間30分間である。また、シリコーン系樹脂層の膜厚は特に制限されないが、1〜20μm、特に1〜10μmとすることが好ましい。シリコーン系樹脂層の厚みがかかる範囲であると、熱硬化時に発生する応力のためにシリコーン系樹脂層にクラックが発生したり、シリコーン系樹脂層と基材との密着性が低下したりすることがなく、十分な耐摩耗性や密着性を有するシリコーン系樹脂層が得られることとなる。
尚、上述したシリコーン系樹脂からなる塗液へ、透明樹脂積層体の耐久性や強度の向上を目的として、有機紫外線吸収剤、無機紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、酸化防止剤、色調調整剤、コロイダルシリカ等を添加混合しても良い。
以下、本発明について実施例を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら制限されることはない。
(実施例1)
〈熱線遮蔽微粒子含有分散液の製造〉
熱線遮蔽機能を有する微粒子であるCs0.33WO粒子100重量部へ、有機溶媒としてメチルイソブチルケトン500重量部と、官能基としてアミンを含有する基を有するアクリル系分散剤(アミン価44mgKOH/g)50重量部とを加え混合物とした。当該混合物を媒体攪拌ミルに装填し、Cs0.33WO粒子を粉砕して分散させた、実施例1に係る熱線遮蔽微粒子含有分散液を製造した。このとき、当該熱線遮蔽微粒子含有分散液中のCs0.33WO微粒子の分散粒径は21nmであり、Cs0.33WO微粒子含量は18.5重量%であった。尚、Cs0.33WO微粒子の分散粒径は、日機装製マイクロトラック粒度分布計にて測定した。
〈熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液の製造〉
アクリル樹脂を含む塗液として、モメンティブ社製PH−91を準備した。
密着性付与剤として、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−9007/)B−1を準備した。
そして、実施例1に係るアクリル系樹脂を含む溶液、実施例1に係る熱線遮蔽微粒子含有分散液、密着性付与剤であるイソシアネートプロピルトリエトキシシランを、アクリル系樹脂:Cs0.33WO微粒子:密着性付与剤=100重量部:5.75重量部:5重量部となるように配合して混合物とした。そして、熱線遮蔽微粒子含有分散液とアクリル系樹脂を含む溶液と密着性付与剤とを均一に混合し、実施例1に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
〈熱透明樹脂積層体の製造(熱線遮蔽機能を有するプライマー層の積層)〉
実施例1に係るプライマー液を、3枚のポリカーボネート樹脂プレートの表面にディップコートした。そして、当該3枚のポリカーボネート樹脂プレートを、各々85℃、115℃、120℃、125℃、130℃の温度で、1時間乾燥し、熱線遮蔽機能を有するプライマー層を積層した。当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層の膜厚は、全て8.5μmであった。
〈熱透明樹脂積層体の製造(シリコーン系樹脂層の積層)〉
シリコーン系樹脂を含む塗液として、モメンティブ社製トスガード510を準備した。
上記3種類の実施例1に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層上へ、シリコーン系樹脂を含む塗液をディップコートし、120℃で1時間乾燥することでシリコーン系樹脂層を積層し、実施例1に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。当該3種類のシリコーン系樹脂層の膜厚は、全て5.2μmであった。
〈熱透明樹脂積層体の評価(光学的特性)〉
得られた実施例1に係る3種類の透明樹脂積層体の光学特性:可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)、ヘイズH(単位:%)、を評価した。なお、可視光透過率T(単位:%)、日射透過率ST(単位:%)に関しては、分光光度計U−4000(日立製作所製)を使用して評価し、ヘイズH(単位:%)は、ヘイズメーター(村上色彩研究所製)を使用しJISK7136に準拠して評価した。評価結果を表1に示す。
〈熱透明樹脂積層体の評価(機械的特性)〉
得られた3種類の透明樹脂積層体の機械的特性(密着性)を評価した。
具体的には、積層した塗膜にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作り、ニチバン製粘着テープ(商品名セロテープ(登録商標))を圧着した後、垂直に強く引き剥がしたとき、塗膜が剥離せずに残存した碁盤目の数Xで評価した。評価結果は、X/100で示した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
密着性付与剤であるイソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−9007/)B−1の添加量を、アクリル系樹脂:Cs0.33WO微粒子:密着性付与剤=100重量部:5.75重量部:0.1重量部となるように配合して混合物とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例2に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例2に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例2に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(実施例3)
密着性付与剤であるイソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−9007/)B−1の添加量を、アクリル系樹脂:Cs0.33WO微粒子:密着性付与剤=100重量部:5.75重量部:30重量部となるように配合して混合物とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例3に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例3に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例3に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(実施例4)
密着性付与剤を、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−903)B−2へ代替した以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例4に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例4に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例4に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(実施例5)
密着性付与剤を、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−403)B−3へ代替した以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例5に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例5に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例5に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(実施例6)
密着性付与剤を、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−803)B−4へ代替した以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例6に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例6に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例6に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(実施例7)
密着性付与剤を、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製:KBM−5103)B−5へ代替した以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例7に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例7に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例7に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(実施例8)
密着性付与剤を、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−503)B−6へ代替した以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例8に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例8に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例8に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(実施例9)
密着性付与剤を、ビニルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−1003)B−7へ代替した以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
実施例9に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、実施例9に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した実施例9に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(比較例1)
密着性付与剤を添加せず、アクリル系樹脂:Cs0.33WO微粒子=100重量部:5.75重量部となるように配合して混合物とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
比較例1に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、比較例1に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した比較例1に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(比較例2)
密着性付与剤であるイソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−9007/)B−1の添加量を、アクリル系樹脂:Cs0.33WO微粒子:密着性付与剤=100重量部:5.75重量部:0.05重量部となるように配合して混合物とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
比較例2に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、比較例2に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した比較例2に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(比較例3)
密着性付与剤であるイソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学製:KBE−9007/)B−1の添加量を、アクリル系樹脂:Cs0.33WO微粒子:密着性付与剤=100重量部:5.75重量部:35重量部となるように配合して混合物とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
比較例3に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、比較例3に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した比較例3に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(比較例4)
密着性付与剤を、テトラエトキシシラン(信越化学製:KBE−04)B−8へ代替した以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
比較例4に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、比較例4に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した比較例4に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(比較例5)
密着性付与剤を、イソシアネート系架橋剤(旭化成株式会社製:MF−K60X)B−9へ代替した以外は、実施例1と同様にして、比較例5に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
比較例5に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、比較例5に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した比較例5に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
(比較例6)
密着性付与剤を、エポキシ系架橋剤(綜研化学株式会社製:E−AX)B−10へ代替した以外は、実施例1と同様にして、比較例6に係る熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液を製造した。
比較例6に係るプライマー液を用い、実施例1と同様にして、比較例6に係る3種類の透明樹脂積層体を製造した。
製造した比較例6に係る3種類の透明樹脂積層体の光学的特性および機械的特性を、実施例1と同様に評価し、評価結果を表1に記載した。
Figure 0006155600

Claims (9)

  1. 透明樹脂基材の少なくとも片方の表面に、熱線遮蔽機能を有する微粒子と、密着性付与剤と、分散剤と、(メタ)アクリル系樹脂とを含有する熱線遮蔽機能を有するプライマー層とが積層され、当該熱線遮蔽機能を有するプライマー層上にシリコーン系樹脂層が積層された透明樹脂積層体であって、
    前記熱線遮蔽機能を有する微粒子が、一般式MWO(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuから選択される1種類以上の元素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、かつ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子であり、
    前記分散剤が、官能基としてアミンを含有する基を有し、分子量Mw2000〜200000、アミン価5〜100mgKOH/gであるアクリル系分散剤であり、前記分散剤の添加量が、前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し10重量部〜1000重量部であり、
    前記密着性付与剤が、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択される1種以上であり、前記密着性付与剤の添加量が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部である透明樹脂積層体。
  2. 前記熱線遮蔽機能を有する微粒子の添加量が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して、1重量〜100重量部であることを特徴とする請求項1に記載の透明樹脂積層体。
  3. 前記熱線遮蔽微粒子が、平均粒径1nm〜800nmの微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明樹脂積層体。
  4. 前記熱線遮蔽機能を有するプライマー層の膜厚が、1μm〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明樹脂積層体。
  5. 前記シリコーン系樹脂層の膜厚が、1μm〜20μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明樹脂積層体。
  6. 前記透明樹脂基材が、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明樹脂積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の透明樹脂積層体であって、当該透明樹脂積層体の可視光透過率を50%以上に設定したときのヘイズが5%以下であることを特徴とする透明樹脂積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の透明樹脂積層体における熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液であって、
    前記熱線遮蔽微粒子と、前記密着性付与剤と、前記(メタ)アクリル系樹脂と、沸点120℃以下の有機溶剤と、前記アクリル系分散剤とを、含むことを特徴とする熱線遮蔽機能を有するプライマー層形成用のプライマー液。
  9. 前記透明樹脂基材の少なくとも片方の表面に、前記熱線遮蔽微粒子と、前記密着性付与剤と、前記(メタ)アクリル系樹脂と、沸点120℃以下の有機溶剤と、前記アクリル系分散剤とを、含むプライマー液を塗布し、温度90℃〜140℃の下で熱硬化させて熱線遮蔽機能を有するプライマー層を形成する第1の工程と、
    前記熱線遮蔽機能を有するプライマー層上に前記シリコーン系樹脂を含む塗液を塗布し、熱硬化させる第2の工程を具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明樹脂積層体の製造方法。
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