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JP6155569B2 - 電源システム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば鉛蓄電池及びリチウムイオン蓄電池といった複数の蓄電池を用いた電源システムに関するものである。
例えば車両に搭載される車載電源システムとして、蓄電池と電気負荷との間に開閉手段として半導体スイッチング素子(MOSFET)を設け、その半導体スイッチング素子のオン/オフを操作することで、蓄電池からの電力供給(放電)を制御するものがある。また、蓄電池を複数備える構成も知られており、例えば鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池といった2つの蓄電池を用い、これら各蓄電池を使い分けながら車載の各種電気負荷に対して電力を供給する構成が知られている。具体的には、発電機及び鉛蓄電池に対して半導体スイッチング素子を介してリチウムイオン蓄電池を電気的に接続する構成とし、リチウムイオン蓄電池に対する充電時には半導体スイッチング素子をオンすることで、発電機又は鉛蓄電池からリチウムイオン蓄電池への電力供給を可能としている。また、充電時以外において半導体スイッチング素子をオフしておくことで、リチウムイオン蓄電池における過充電や過放電を抑制するとともに、半導体スイッチング素子に対してリチウムイオン蓄電池側に接続された電気負荷にリチウムイオン蓄電池から電力を供給するようにしている。
ここで、上記のように蓄電池や半導体スイッチング素子を有する電源システムでは、半導体スイッチング素子のオン/オフの状態や発電機の発電状態等を監視することが望まれており、状態監視用の回路として、例えば蓄電池と半導体スイッチング素子との間の電流経路に電流検出回路を設けたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2001−95138号公報
しかしながら、上記のごとく電流経路に電流検出回路を設けた構成では、半導体スイッチング素子をオフにした状態でも電流検出回路を介して電流(リーク電流)が流れることが考えられる。この場合、電源オフ状態でも暗電流が流れることとなり、それに起因して無駄な電力消費が生じるといった不都合が懸念される。
本発明は、複数の蓄電池と開閉手段としての半導体スイッチング素子とを備える電源システムにおいて、状態監視回路による状態監視機能を付与しつつも、その状態監視回路に流れる暗電流の低減を図ることができる電源システムを提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
発明では、発電機(11)と、その発電機に対してそれぞれ並列に接続される第1蓄電池(12)及び第2蓄電池(13)と、前記両蓄電池を電気的に接続する接続線(17)に設けられ、前記発電機及び前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との導通及び遮断を切り替える開閉手段と、前記開閉手段の切替を制御する制御手段(25)と、を備えている。そして、前記開閉手段は、対をなす2つの半導体スイッチング素子(21,22)を有し、当該2つの半導体スイッチング素子が、その半導体スイッチング素子に存在する寄生ダイオード(21a,22a)が互いに逆向きとなり、かつ前記寄生ダイオードのアノード同士が接続されるようにして直列に設けられており、前記2つの半導体スイッチング素子の間の中間位置に設けられ、前記中間位置で当該電源システムの状態を監視する状態監視回路(40,50)を備えていることを特徴とする。
上記構成では、第1蓄電池と第2蓄電池との間に、対をなす2つの半導体スイッチング素子が、寄生ダイオードが互いに逆向きになるよう直列に接続されている。そのため、これら両半導体スイッチング素子をオフにすれば、そのうち一方の半導体スイッチング素子について寄生ダイオードを通じて電流が流れたとしても、寄生ダイオードの向きが逆向きである他方の半導体スイッチング素子により通電が遮断されることとなる。よって、2つの半導体スイッチング素子を両方共にオフにした場合に、両蓄電池の間で電流が流れることを確実に防止でき、第2蓄電池(半導体スイッチング素子を挟んで発電機とは逆側に設けられる蓄電池)が意図せず過充電又は過放電の状態になることを抑制できる。
また、2つの半導体スイッチング素子の間の中間位置では、電源システムの状態に応じて電圧や電流が変化する。この点、上記の中間位置に状態監視回路が設けられているため、電源システムの状態を好適に監視できる。例えば、この中間位置での監視結果と半導体スイッチング素子の制御状態とを対比することで、半導体スイッチング素子における異常の有無を把握できる。
また特に、2つの半導体スイッチング素子は、各々に存在する寄生ダイオードのアノード同士が接続されるように設けられており、その2つの半導体スイッチング素子の間に状態監視回路が設けられているため、各半導体スイッチング素子がオフされている状況下において第1蓄電池側又は第2蓄電池側から状態監視回路に電流が流れ込むことが防止される。したがって、状態監視回路を介して流れる暗電流の低減を図ることができる。以上により、本発明では、状態監視回路を用いた状態監視機能を付与しつつも、状態監視回路を流れる暗電流の低減を実現することができる。
発明の実施の形態における電源システムの概略を示す構成図。 状態判定処理の手順を示すフローチャート。 状態判定処理の手順を示すフローチャート。 別の形態における電源システムの構成を示す図。 状態判定処理の手順を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電源システムは車両に搭載される車載電源システムであり、車両は、エンジン(内燃機関)を駆動源として走行するものである。エンジンの始動時にはスタータモータの駆動によりエンジンに初期回転が付与されるものとなっている。
まずは、電源システムの基本構成を図1により説明する。図1に示すように、本電源システムは、オルタネータ11(発電機)、鉛蓄電池12、リチウムイオン蓄電池13、各種の電気負荷14,15,16、2つのMOSスイッチ21,22、及び2つのSMRスイッチ23,24を備えている。本実施形態では、鉛蓄電池12が第1蓄電池に相当し、リチウムイオン蓄電池13が第2蓄電池に相当する。また、2つのMOSスイッチ21,22と、2つのSMRスイッチ23,24とがそれぞれ開閉手段に相当し、さらには2つのMOSスイッチ21,22が第1スイッチ部に、2つのSMRスイッチ23,24が第2スイッチ部に相当する。鉛蓄電池12、リチウムイオン蓄電池13及び電気負荷14〜16は、給電線17によりオルタネータ11に対して並列に電気接続されている。この給電線17により、上記の各電気要素について相互の給電経路が形成されている。
鉛蓄電池12は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池13は、鉛蓄電池12に比べて出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池13は、複数の単電池を直列に接続してなる組電池により構成されている。なお、鉛蓄電池12の蓄電容量は、リチウムイオン蓄電池13の蓄電容量よりも大きいものとなっている。
MOSスイッチ21,22は、MOSFET(電界効果トランジスタ)よりなり、対をなす2つの半導体スイッチング素子を構成するものであり、オルタネータ11及び鉛蓄電池12と、リチウムイオン蓄電池13との間に設けられている。MOSスイッチ21,22は、オルタネータ11及び鉛蓄電池12に対するリチウムイオン蓄電池13の導通(オン)と遮断(オフ)を切り替えるスイッチとして機能する。MOSスイッチ21,22は、電子制御装置からなる制御部25により制御され、制御部25によりMOSスイッチ21,22のオン作動(導通作動)とオフ作動(遮断作動)とが切り替えられる。
MOSスイッチ21,22は、その内部構造上必然的に整流手段を有していると言える。すなわち、MOSスイッチ21,22はそれぞれ、ゲート、ドレイン及びソースを有する半導体スイッチ部を有し、ドレイン−ソース間に寄生ダイオード21a,22a(整流手段)が形成されている。2つのMOSスイッチ21,22は、寄生ダイオード21a,22aが互いに逆向きで、かつアノード同士が接続されるようにして直列に接続されている。そのため、両MOSスイッチ21,22をオフ作動させた場合において、寄生ダイオード21a,22aを通じて電流が流れることを完全に遮断できる。よって、2つのMOSスイッチ21,22をオフ作動させれば、リチウムイオン蓄電池13から鉛蓄電池12の側に放電されること、及び鉛蓄電池12の側からリチウムイオン蓄電池13へ充電されることを回避できる。
また、SMRスイッチ23,24は、MOSスイッチ21,22と同様に、MOSFET(電界効果トランジスタ)よりなり、対をなす2つの半導体スイッチング素子を構成するものであり、MOSスイッチ22及び電気負荷16の接続点(図のX1)とリチウムイオン蓄電池13との間に設けられている。SMRスイッチ23,24は、MOSスイッチ21,22及び電気負荷16の接続点X1に対するリチウムイオン蓄電池13の導通及び遮断を切り替えるスイッチとして機能する。SMRスイッチ23,24は制御部25により制御され、制御部25によりSMRスイッチ23,24のオン作動(導通作動)とオフ作動(遮断作動)とが切り替えられる。
SMRスイッチ23,24は、MOSスイッチ21,22と同様に、その内部構造上必然的に整流手段を有している。すなわち、SMRスイッチ23,24はそれぞれ、ゲート、ドレイン及びソースを有する半導体スイッチ部を有し、ドレイン−ソース間に寄生ダイオード23a,24a(整流手段)が形成されている。2つのSMRスイッチ23,24は、MOSスイッチ21,22と同様に、寄生ダイオード23a,24aが互いに逆向きで、かつアノード同士が接続されるようにして直列に接続されている。そのため、両SMRスイッチ23,24をオフ作動させた場合において、寄生ダイオード23a,24aを通じて電流が流れることを完全に遮断できる。よって、両SMRスイッチ23,24をオフ作動させれば、リチウムイオン蓄電池13から鉛蓄電池12や電気負荷16の側に放電されること、及び鉛蓄電池12の側からリチウムイオン蓄電池13へ充電されることを回避できる。
SMRスイッチ23,24は非常時用の開閉手段でもあり、非常時でない通常時には、制御部25からオン信号が出力されることでオン状態に保持される。そして、以下に例示する非常時に、オン信号の出力が停止されてSMRスイッチ23,24がオフ作動される。このSMRスイッチ23,24のオフ作動により、リチウムイオン蓄電池13の過充電及び過放電の回避が図られている。例えば、オルタネータ11に設けられたレギュレータが故障して設定電圧Vregが異常に高くなる場合には、リチウムイオン蓄電池13が過充電の状態になることが懸念される。かかる場合にSMRスイッチ23,24がオフ作動される。また、オルタネータ11の故障やMOSスイッチ21,22の故障によりリチウムイオン蓄電池13への充電ができなくなる場合には、リチウムイオン蓄電池13が過放電になることが懸念される。かかる場合にもSMRスイッチ23,24がオフ作動される。
電気負荷14〜16のうち電気負荷14は、エンジンを始動させるためのスタータモータ(始動装置)であり、電気負荷15は、ヘッドライトやパワーウインドウモータ等の一般負荷である。また、電気負荷16は、供給電力の電圧が概ね一定、又は少なくとも所定範囲内で変動するよう安定であることが要求される定電圧要求電気負荷であり、具体例としてはナビゲーション装置やオーディオ装置が挙げられる。
また、給電線17には、MOSスイッチ21,22をバイパスするようにしてバイパス給電線31が接続されている。バイパス給電線31は、一方の端部が給電線17においてMOSスイッチ21,22よりも鉛蓄電池12の側に接続され、他方の端部が給電線17においてMOSスイッチ21,22よりも電気負荷16の側(リチウムイオン蓄電池13の側)に接続されている。そして、バイパス給電線31を介して、オルタネータ11及び鉛蓄電池12の少なくともいずれかから電気負荷16への電力供給が可能となっている。
バイパス給電線31には、常閉式の電磁リレーであるバイパスリレー32(バイパス切替手段)が設けられている。バイパスリレー32の作動は制御部25により制御される。バイパスリレー32は、MOSスイッチ21,22や制御部25に異常(故障)が発生した場合に使用される非常時通電手段であり、通常時(非故障時)は、制御部25から励磁電流が常時出力されることで開放状態となっている。そして、例えば制御部25に異常が発生してMOSスイッチ21,22をオンできなくなると、制御部25からの励磁電流の出力が停止され、常閉式であるバイパスリレー32が導通状態にされて、バイパス給電線31が導通されるようになっている。これにより、バイパス給電線31を介して、オルタネータ11及び鉛蓄電池12の少なくともいずれかから電気負荷16への電力供給が実施される。
リチウムイオン蓄電池13や、各スイッチ21〜24、制御部25、バイパスリレー32は筐体(収容ケース)に収容されることで一体化され、電池ユニットUとして構成されている。電池ユニットU内の制御部25は、電池ユニット外の図示しないECU(電子制御装置)に相互に通信可能に接続されている。
本実施形態の電源システムでは、電池ユニットUに、本電源システムの状態を監視する状態監視機能を持たせており、その状態監視機能について以下に説明する。
図1に示すように、2つのMOSスイッチ21,22の間の中間点X2には、当該中間点X2における電圧を監視する電圧検出回路40が設けられている。この電圧検出回路40が状態監視回路に相当し、本電源システムでは当該システムの状態に応じて中間点X2の電圧値が変化することを想定して電圧検出回路40により中間点X2の電圧値の検出を実施する。電圧検出回路40は、一対の抵抗41,42を有する分圧回路よりなり、その分圧回路(抵抗直列回路)の一端側が中間点X2に接続されるとともに、他端側が接地されている。そして、抵抗41,42の間の電圧(分圧電圧)が電圧検出信号として制御部25のA/D入力部に入力される。
ここで、例えばMOSスイッチ21,22がオンであれば、中間点X2の電圧はハイレベル(所定値以上)になる筈であり、その状態であるかどうかが電圧検出回路40により監視される。また、MOSスイッチ21,22がオフであれば、中間点X2の電圧はロウレベル(所定値未満)になる筈であり、その状態であるかどうかが電圧検出回路40により監視される。
この場合、制御部25は、電圧検出回路40の電圧検出結果に基づいて、各MOSスイッチ21,22の異常判定を実施する。例えば、MOSスイッチ21,22がオフで制御されている場合に、そのうち少なくともいずれかがオン状態になっていれば(オン故障が生じていれば)、電圧検出回路40の検出電圧が異常値(所定値以上)となる。このことから、制御部25が、MOSスイッチ21,22のいずれかでオン故障が生じていると判定する。なおこのとき、SMRスイッチ23,24=オフの状態で、電圧検出回路40の検出電圧が異常値(所定値以上)となっているのであれば、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21がオン故障になっているとの特定が可能である。
また、MOSスイッチ21,22がオンで、かつSMRスイッチ23,24がオフで制御されている場合に、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21がオフ状態になっていれば(オフ故障が生じていれば)、電圧検出回路40の検出電圧が異常値(所定値未満)となる。このことから、制御部25が、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21のオフ故障が生じていると判定する。
また、上記構成では、車両の電源オフ状態における暗電流の低減が図られている。つまり、車両の電源がオフされている場合(例えば駐車時)には、MOSスイッチ21,22がオフ状態になっており、各MOSスイッチ21,22の半導体スイッチ部を介して各蓄電池12,13から電圧検出回路40に電流が流れ込むことが防止されている。また、2つのMOSスイッチ21,22は、寄生ダイオード21a,22aのアノード同士が接続されるように設けられている。したがって、この寄生ダイオード21a,22aを介して各蓄電池12,13から電圧検出回路40に電流が流れ込むことも防止されている。
制御部25は、電圧検出回路40の検出値に基づいて、本電源システムにおける状態判定処理を実施する。図2は、状態判定処理の手順を示すフローチャートであり、本処理は、制御部25により所定時間ごとに繰り返し実施される。
図2において、ステップS11では、今現在、MOSスイッチ21,22に対してオフ指令が出されているか否かを判定する。そして、YESならステップS12に進み、電圧検出回路40により検出される電圧値Vaが所定値K1以上であるか否かを判定する。このとき、Va≧K1であれば、ステップS13に進み、MOSスイッチ21,22のいずれかでオン故障が生じている旨を判定する。Va<K1である場合には、そのまま本処理を一旦終了する。
また、ステップS11がNOである場合(MOSスイッチ21,22がオンの場合)に、ステップS14では、今現在、SMRスイッチ23,24に対してオフ指令が出されているか否かを判定する。そして、YESならステップS15に進み、電圧検出回路40により検出される電圧値Vaが所定値K2未満であるか否かを判定する。このとき、Va<K2であれば、ステップS16に進み、MOSスイッチ21,22のうち鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21でオフ故障が生じている旨を判定する。Va≧K2である場合には、そのまま本処理を一旦終了する。なお、所定値K1,K2は同じで値であってもよいし、異なる値であってもよい。
上記のステップS13又はS16で異常(故障)が生じているとの判定がなされた場合には、その旨の情報(ダイアグ情報)がバックアップ用のメモリに記憶される。また、フェイルセーフの処理として、MOSスイッチ21,22へのオン信号の出力が停止(禁止)されるとともに、バイパスリレー32への励磁信号の出力が停止される。これにより、バイパス給電線31を介して、オルタネータ11及び鉛蓄電池12の少なくともいずれかから電気負荷16への電力供給が実施されることとなる。
図示は省略するが、SMRスイッチ23,24の中間点にも同様の電圧検出回路が設けられているとよい。この場合、その電圧検出回路から出力される電圧検出信号が制御部25に入力され、制御部25では、同電圧検出回路からの電圧検出信号に基づいてSMRスイッチ23,24の状態判定などを実施する。例えば、SMRスイッチ23,24がオフで制御されている場合に、そのうち少なくともいずれかがオン状態になっていれば(オン故障が生じていれば)、電圧検出回路の検出電圧が異常値(所定値以上)となる。このことから、制御部25は、SMRスイッチ23,24のいずれかでオン故障が生じていると判定する。なおこのとき、MOSスイッチ21,22=オフの状態で、電圧検出回路の検出電圧が異常値(所定値以上)となっているのであれば、リチウムイオン蓄電池13側のSMRスイッチ24がオン故障になっているとの特定が可能である。
また、MOSスイッチ21,22がオフで、かつSMRスイッチ23,24がオンで制御されている場合に、リチウムイオン蓄電池13側のSMRスイッチ24がオフ状態になっていれば(オフ故障が生じていれば)、電圧検出回路の検出電圧が異常値(所定値未満)となる。このことから、制御部25が、リチウムイオン蓄電池13側のSMRスイッチ24のオフ故障が生じていると判定する。
また、車両の電源オフ状態(すなわち本電源システムのオフ状態)では、常閉式のバイパスリレー32が導通状態になっており、MOSスイッチ21,22からなる直列回路の両端にはそれぞれ正の電圧が印加されている。かかる状態において、制御部25が、MOSスイッチ21,22のうちいずれか一方を導通状態、他方を遮断状態に制御するとともに、こうしてMOSスイッチ21,22を1つずつ導通状態とした状態下で、電圧検出回路40からの電圧検出信号(監視情報)に基づいて、2つのMOSスイッチ21,22について個々に異常の有無を判定するとよい。その処理手順を図3に示す。この処理は、車両の電源オフ状態(イグニッションスイッチのオフ状態)、又は電源オン起動時において制御部25によりバイパスリレー32が開放動作される前(励磁出力前)に、制御部25により実施される。
図3において、ステップS21では、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21をオン、リチウムイオン蓄電池13側のMOSスイッチ22をオフとする。なおこの状態では、SMRスイッチ23,24はいずれもオフ状態である。続くステップS22では、電圧検出回路40により検出される電圧値Vaが所定値K3未満であるか否かを判定する。なお、MOSスイッチの制御の実施後、電圧検出までは所定時間の待ちが入るが、その処理は割愛している(後述のステップS25も同様)。そして、Va<K3であれば、ステップS23に進み、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21でオフ故障が生じている旨を判定する。Va≧K3である場合には、ステップS23を読み飛ばす。
また、ステップS24では、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21をオフ、リチウムイオン蓄電池13側のMOSスイッチ22をオンとする。そして、続くステップS25では、電圧検出回路40により検出される電圧値Vaが所定値K3未満であるか否かを判定する。このとき、Va<K3であれば、ステップS26に進み、リチウムイオン蓄電池13側のMOSスイッチ22でオフ故障が生じている旨を判定する。Va≧K3である場合には、そのまま処理を終了する。
なお、異常有り(故障有り)と判定された場合の処理は、上述の図2の処理と同様である。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
各蓄電池12,13の間に、対をなす2つのMOSスイッチ21,22が、寄生ダイオード21a,22aが互いに逆向きになるよう直列に接続されている。そのため、これら両MOSスイッチ21,22をオフにすれば、両蓄電池12,13の間で電流が流れることを確実に防止でき、リチウムイオン蓄電池13が意図せず過充電又は過放電の状態になることを抑制できる。
また、2つのMOSスイッチ21,22が寄生ダイオード21a,22aのアノード同士が接続されるように設けられる構成において、各MOSスイッチ21,22の間の中間点X2に電圧検出回路40が設けられているため、各MOSスイッチ21,22がオフされている状況下で鉛蓄電池12側又はリチウムイオン蓄電池13側から電圧検出回路40に電流が流れ込むことが防止される。したがって、電圧検出回路40を介して流れる暗電流の低減を図ることができる。以上により、電圧検出回路40を用いた状態監視機能を付与しつつも、電圧検出回路40を流れる暗電流の低減を実現することができる。
また、暗電流低減のための回路を別途設ける必要がないため、電池ユニットUにおいて制御用ICやスイッチング素子を実装する制御基板の小型化が可能となり、さらにコスト低減を図ることも可能となる。
また、電圧検出回路40の検出結果を制御部25に取り込むことで、MOSスイッチ21,22やSMRスイッチ23,24のオン故障やオフ故障を判定できる。これにより、電源システムの信頼性を高めることができる。
図3の状態判定処理では、MOSスイッチ21,22からなる直列回路の両端にそれぞれ正の電圧が印加された状態で、MOSスイッチ21,22を1つずつオンし、スイッチ異常が生じている場合にどちらが異常かを特定可能にした。この場合、異常発生後に異常解析を行う上で有益な情報を取得できる。
この場合特に、バイパスリレー32の導通状態(電源システムの電源遮断状態など)で、異常判定を実施するようにした。バイパスリレー32は、車両の起動直後や電源オフ時に導通状態になっており、それら車両の起動直後や電源オフ時に異常判定を実施する場合に好適なものとなる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・上記実施形態では、バイパスリレー32が導通状態である場合に、2つのMOSスイッチ21,22を1つずつオンさせて異常状態のMOSスイッチ21,22がいずれであるかを特定したが(図3)、これを以下のように変更してもよい。すなわち、SMRスイッチ23,24をオンさせることで、MOSスイッチ21,22からなる直列回路の両端にそれぞれ正の電圧が印加される状態とし、その状態下で、2つのMOSスイッチ21,22を1つずつオンさせて異常状態のMOSスイッチ21,22がいずれであるかを特定するようにしてもよい。
・状態監視回路を、図4のように構成してもよい。図4では、2つのMOSスイッチ21,22の間に状態監視回路として電流検出回路50を設けている。具体的には、2つのMOSスイッチ21,22の間にはシャント抵抗51(電流検出抵抗)が設けられ、そのシャント抵抗51の両端電圧がそれぞれ増幅回路52に入力されている。増幅回路52は、シャント抵抗51の両端電圧差を増幅して出力する。この場合、2つのMOSスイッチ21,22の間に流れる電流が電流検出回路50で検出され、その電流検出信号が制御部25のA/D入力部に入力される。
図4の構成においても、電流検出回路50の検出結果を用いることで、上記実施形態と同様に、MOSスイッチ21,22やSMRスイッチ24の異常検出を実施できる。この場合例えば、MOSスイッチ21,22が両方共にオフの筈なのに電流が流れていると検出されれば、MOSスイッチ21,22がオン故障している(又は少なくとも鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21がオン故障している)と判定できる。また、MOSスイッチ21,22が両方共にオンの筈なのに電流が流れていないと検出されれば、少なくとも鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21がオフ故障していると判定できる。これにより、電流検出回路50を用いた状態監視機能を付与しつつも、電流検出回路50を流れる暗電流の低減を実現することができる。
また、制御部25が、SMRスイッチ23,24をオンさせることで、MOSスイッチ21,22からなる直列回路の両端にそれぞれ正の電圧が印加される状態とし、その状態下で、2つのMOSスイッチ21,22を1つずつオンさせるようにする。そして、その状態で、電流検出回路50の電流検出値に基づいて、MOSスイッチ21,22のいずれかが異常である場合にその異常がいずれであるかを特定するようにしてもよい。この場合、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21をオン、リチウムイオン蓄電池13のMOSスイッチ22をオフさせた状態で電流検出されなければ(電流値<所定値であれば)、MOSスイッチ21がオフ故障していると判定される。また、鉛蓄電池12側のMOSスイッチ21をオフ、リチウムイオン蓄電池13のMOSスイッチ22をオンさせた状態で電流検出されれば(電流値≧所定値であれば)、MOSスイッチ21がオン故障していると判定される。
ここで、鉛蓄電池12とリチウムイオン蓄電池13とは、鉛蓄電池12の端子電圧がリチウムイオン蓄電池13の端子電圧よりも高く設定されており、電源システムが正常であれば、各スイッチがオン状態とされる場合に、鉛蓄電池12側からリチウムイオン蓄電池13側に電流(Pb→Liの向きの電流)が流れる筈である。そこで、電流検出回路50により検出される電流の向きに基づいて、電源システムの異常の有無を判定するようにしてもよい。その異常判定のための処理を図5に示す。この処理は制御部25により所定時間ごとに実施される。
図5において、ステップS31では、MOSスイッチ21,22とSMRスイッチ23,24とがいずれもオン状態であるか否かを判定し、YESであれば後続のステップS32に進む。ステップS32では、電流検出回路50により検出した電流値を取得し、続くステップS33ではその電流値が負の電流(すなわち、Li→Pbの向きで流れる電流)であるか否かを判定する。そして、YESであれば、ステップS34に進み、本電源システムにおいて何らかの異常(故障)が生じている旨を判定する。例えば、鉛蓄電池12の電圧低下が生じていることや、リチウムイオン蓄電池13の電圧が過上昇していること等の異常が判定される。ステップS33がNOであれば、そのまま処理を終了する。
・上記実施形態では、電源システムの状態監視機能として、MOSスイッチ21,22やSMRスイッチ23,24の異常の有無を判定する機能について説明したが、これ以外の機能を実現することも可能である。例えば、MOSスイッチ21,22をオンした状態で、電圧検出回路40の検出電圧に基づいて、鉛蓄電池12の端子電圧を算出する構成としてもよい。また、電圧検出回路40や電流検出回路50の検出信号に基づいて、オルタネータ11の発電状態を監視するようにしてもよい。例えば、MOSスイッチ21,22をオンにした状態で、発電停止状態から発電が開始された後の電圧変化や電流変化から、オルタネータ11が正常に発電しているか否かを判定するとよい。
・上記実施形態では、鉛蓄電池12とリチウムイオン蓄電池13との間において、半導体スイッチング素子として2つのMOSスイッチ21,22と2つのSMRスイッチ23,24とを設けたが、このうち2つのSMRスイッチ23,24に代えて、常開式の電磁リレーを設ける構成としてもよい。この場合、車両の電源オン状態では、リチウムイオン蓄電池13に接続された電磁リレーをオンすることで、リチウムイオン蓄電池13と、鉛蓄電池12や電気負荷16とが接続されるようになっている。
・第1蓄電池及び第2蓄電池の組み合わせは、鉛蓄電池12及びリチウムイオン蓄電池13の組み合わせ以外であってもよい。例えば、両方を鉛蓄電池としたり、第2蓄電池としてニカド蓄電池やニッケル水素蓄電池など、他の二次電池を用いたりしてもよい。
11…発電機、12…鉛蓄電池(第1蓄電池)、13…リチウムイオン蓄電池(第2蓄電池)、17…給電線(接続線)、21,22…MOSスイッチ(半導体スイッチング素子)、23,24…SMRスイッチ(半導体スイッチング素子)、21a〜24a…寄生ダイオード、25…制御部(制御手段)、40…電圧検出回路(状態監視回路)。

Claims (2)

  1. 発電機(11)と、
    その発電機に対してそれぞれ並列に接続される第1蓄電池(12)及び第2蓄電池(13)と、
    前記両蓄電池を電気的に接続する接続線(17)において互いに直列接続されて設けられ、前記発電機及び前記第1蓄電池と前記第2蓄電池との導通及び遮断を切り替える第1スイッチ部(21,22)及び第2スイッチ部(23,24)と、
    前記各スイッチ部の切替を制御する制御手段(25)と、
    を備え、前記第1スイッチ部及び前記第2スイッチ部の間の中間点に電気負荷(16)が接続されており、
    前記第1スイッチ部を迂回し、該第1スイッチ部を挟んで前記第1蓄電池の側と前記電気負荷の側とを接続するように設けられるバイパス線(31)に、常閉式のバイパスリレー(32)が設けられている電源システムであって、
    前記第1蓄電池及び前記第2蓄電池は、前記第1蓄電池の端子電圧が、前記第2蓄電池の端子電圧よりも高く設定されており、
    前記第1スイッチ部は、対をなす2つの半導体スイッチング素子(21,22)を有し、当該2つの半導体スイッチング素子が、その半導体スイッチング素子に存在する寄生ダイオード(21a,22a)が互いに逆向きとなり、かつ前記寄生ダイオードの各アノードが向き合うようにして直列に設けられており、
    前記2つの半導体スイッチング素子の間の中間位置に設けられ、前記中間位置で当該電源システムの状態を監視する状態監視回路(40,50)と、
    前記状態監視回路から得られる監視情報に基づいて、前記2つの半導体スイッチング素子について個々に異常の有無を判定する異常判定手段(25)と、
    を備え、
    前記制御手段は、当該電源システムの電源が遮断され、かつ前記2つの半導体スイッチング素子からなる直列回路の両端にそれぞれ正の電圧が印加された状態で、前記2つの半導体スイッチング素子の一方を導通状態、他方を遮断状態に制御し、
    前記異常判定手段は、前記制御手段により前記2つの半導体スイッチング素子を1つずつ導通状態とした状態下で、前記状態監視回路から得られる監視情報に基づいて、前記2つの半導体スイッチング素子について個々に異常の有無を判定することを特徴とする電源システム。
  2. 前記状態監視回路として、前記接続線において前記2つの半導体スイッチング素子の間の電圧を検出する電圧検出回路(40)を備えている請求項1に記載の電源システム。
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