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JP6155178B2 - 無端ベルトおよびその製造方法 - Google Patents

無端ベルトおよびその製造方法 Download PDF

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JP6155178B2 JP2013247554A JP2013247554A JP6155178B2 JP 6155178 B2 JP6155178 B2 JP 6155178B2 JP 2013247554 A JP2013247554 A JP 2013247554A JP 2013247554 A JP2013247554 A JP 2013247554A JP 6155178 B2 JP6155178 B2 JP 6155178B2
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Description

本発明は、無端ベルトおよびその製造方法に関する。
従来、様々な分野において、無端ベルトが使用されている。例えば、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、印刷機等の画像形成装置の分野では、複数の感光体によって色別に形成した各トナー像をベルト表面に一次転写して各色のトナー像を重ね合わせ、これを用紙等の転写材に二次転写するための中間転写ベルトとして、無端ベルトが用いられている。他にも、転写材(紙)に転写されたトナーを加熱により溶融固着させて画像を形成するための定着ベルトとして、無端ベルトが用いられている。
上記無端ベルトとしては、比較的剛性の高いポリアミドイミド樹脂を用いて形成された基層を有する無端ベルトが広く知られている。
また例えば、特許文献1には、ポリアミドイミド樹脂からなる海相中にシリコーンポリマーからなる島相をミクロ分散させてなる海−島構造を備えた基層を有する無端ベルトが開示されている。
また例えば、特許文献2には、芳香族イソシアネート化合物、芳香族系多価カルボン酸の無水物、シリコーンポリマーを共重合させてなる変成ポリアミドイミド樹脂を用いて形成された基層を有する無端ベルトが開示されている。
なお、本願に先行する特許文献3には、合成したポリアミドイミド樹脂に酸化防止剤を添加する技術が開示されている。また、本願に先行する特許文献4には、カプロラクタム、ポリオキシテトラメチレングリコール、無水トリメリット酸、ジフェニルメタンジイソシアネートを酸化防止剤と共に仕込み、加熱反応させることにより、ポリアミドイミドエラストマーを製造する技術が開示されている。
特許第4622584号公報 特開2006−47587号公報 特開平2−117957号公報 特公平8−5943号公報
しかしながら、従来知られる無端ベルトは、以下の点で改良の余地がある。すなわち、無端ベルトが組み込まれる画像形成装置の分野等では、装置の高耐久化に対する要請が大きい。そのため、これに用いられる無端ベルトもより一層の耐久性向上が要求されている。
しかし、従来技術のように、基層を構成するポリアミドイミド樹脂にシリコーンポリマーを分散させる手法は、シリコーンポリマーの添加量に限界があり、シリコーンポリマーの分散性が悪くなるとかえって耐久性が悪化するという問題がある。また、シリコーンポリマーの分散制御も難易度が高い。そのため、基層のさらなる耐久性向上を図るには限界がある。また、ポリアミドイミド樹脂中にシリコーンポリマーを共重合させる手法もあるが、この手法でもこれまで以上に基層の耐久性を向上させることは難しい。
上記以外の手法として、ポリアミドイミド樹脂の合成後に酸化防止剤を添加し、これをを無端ベルトの基層に用いる方法が考えられる。しかし、この手法では、ポリアミドイミド樹脂の合成時や基層形成時の加熱処理により、ポリアミドイミド樹脂が熱老化してしまう。そのため、この手法でも基層のより一層の耐久性向上を図ることは困難である。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、従来に比べ、さらなる耐久性向上を図ることが可能な基層を有する無端ベルトを提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、筒状に形成された基層を少なくとも有する無端ベルトであって、
上記基層は、以下の(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を用いて構成されていることを特徴とする無端ベルトにある。
(a)芳香族イソシアネート化合物
(b)芳香族系多価カルボン酸の無水物
(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤
本発明の他の態様は、以下の(a)〜(c)成分を有機溶媒中で加熱反応させて上記(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を合成し、該ポリアミドイミド樹脂と上記有機溶媒とを含有する基層形成用塗液を調製する塗液調製工程と、
上記基層形成用塗液を、円筒状または円柱状の金型の外周面に塗工した後、加熱処理することにより、筒状の基層を形成する基層形成工程と、
を有することを特徴とする無端ベルトの製造方法にある。
(a)芳香族イソシアネート化合物
(b)芳香族系多価カルボン酸の無水物
(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤
上記無端ベルトは、上記構成を有している。特に、上記無端ベルトは、基層を構成するポリアミドイミド樹脂が、(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤による重合単位を含む共重合体からなる。そのため、上記無端ベルトは、その製造の際におけるポリアミドイミド樹脂の合成時、および、合成したポリアミドイミド樹脂を含む基層形成用塗液を加熱処理して基層を形成する基層形成時に、ポリアミドイミド樹脂の熱劣化が抑制されて耐熱性が向上する。そのため、上記無端ベルトは、従来に比べ、基層のさらなる耐久性向上を図ることが可能となる。さらに、上記無端ベルトは、ポリアミドイミド樹脂の分子内に重合単位として酸化防止剤が組み込まれているので、相手部材を酸化防止剤で汚染し難い利点もある。
上記無端ベルトの製造方法は、上記塗液調製工程において、(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤による重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を合成する。そのため、上記無端ベルトの製造方法は、合成時の熱によるポリアミドイミド樹脂の熱劣化が抑制される。また、上記無端ベルトの製造方法は、上記基層形成工程において、分子内に上記(c)成分による重合単位を含むポリアミドイミド樹脂を含有する基層形成用塗液を加熱処理し、当該ポリアミドイミド樹脂より基層を形成する。そのため、上記無端ベルトの製造方法は、基層形成時の熱によるポリアミドイミド樹脂の熱劣化が抑制される。それ故、上記無端ベルトの製造方法は、ポリアミドイミド樹脂の熱劣化が抑制されて耐熱性が向上することにより、従来に比べ、さらなる耐久性向上が図られた基層を有する無端ベルトを製造することができる。
また、上記無端ベルトの製造方法は、シリコーンポリマーの分散によって主に耐久性の向上を図っているわけではないので、分散性悪化による耐久性低下もなく、難易度の高い分散制御も不要とすることができる。さらに、上記無端ベルトの製造方法は、ポリアミドイミド樹脂の合成後に酸化防止剤を後添加していないので、相手部材を酸化防止剤で汚染し難い無端ベルトを製造するのに有利である。
実施例の無端ベルトを模式的に示した説明図である。 図1のII−II断面を模式的に示した説明図である。
上記無端ベルト(シームレスベルト)において、基層は、上記(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を用いて構成されている。つまり、基層を構成するポリアミドイミド樹脂は、分子内に(a)成分に基づく重合単位と(b)成分に基づく重合単位と(c)成分に基づく重合単位とを少なくとも含んでいる。
上記(a)成分である芳香族イソシアネート化合物は、分子中に芳香族環を有するイソシアネート化合物である。芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等を例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。芳香族イソシアネート化合物としては、好ましくは、反応性、溶解性、コスト等の観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)を好適に用いることができる。
上記(b)成分である芳香族系多価カルボン酸の無水物は、具体的には、分子中に芳香族環を有し、(a)成分である芳香族イソシアネート化合物と縮合反応しうるものを用いることができる。芳香族系多価カルボン酸の無水物としては、例えば、芳香族系多価カルボン酸無水物、芳香族系多価カルボン酸二無水物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
上記芳香族系多価カルボン酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物(無水トリメリット酸)、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記芳香族系多価カルボン酸無水物としては、反応性、溶解性、コスト等の観点から、トリメリット酸無水物(無水トリメリット酸)を好適に用いることができる。
また、上記芳香族系多価カルボン酸二無水物としては、例えば、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物)、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,2′,3,3′−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記芳香族系多価カルボン酸二無水物としては、反応性、溶解性、コスト等の点から、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を好適に用いることができる。
上記(c)成分であるヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤は、基層のさらなる耐久性向上を図る上で重要な成分である。上記(c)成分は、基層のさらなる耐久性向上を図りやすい、反応性が最適であるなどの観点から、好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を好適に用いることができる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(2−ターシャリーブチル−5−メチルフェノール)、4,4’,4’’−[(2,4,6−トリ)メチルベンゼン−1,3,5−トリイル]トリス(メチレン)]トリス(2,6−ジ−ターシャリーブチルフェノール)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、反応性が良く、さらなる耐久性向上を確実なものとしやすいなどの観点から、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、4,4’,4’’−[(2,4,6−トリ)メチルベンゼン−1,3,5−トリイル]トリス(メチレン)]トリス(2,6−ジ−ターシャリーブチルフェノール)などを好適に用いることができる。
また、上記(c)成分は、リン系酸化防止剤(リン系加工安定剤)を併用して用いることも可能である。この場合は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤が補足したラジカルを、リン系酸化防止剤がさらに補足する効果があるため、MIT耐久性が向上し、無端ベルトにおける基層のさらなる耐久性向上を図りやすくなる利点がある。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)、3,9−ビス(2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン−トリフェノルホスファイト、オクタデシルホスファイトなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤やヒンダードアミン系酸化防止剤との併用による効果が大きいなどの観点から、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)、3,9−ビス(2,6−ジ−ターシャリーブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン−トリフェノルホスファイトなどを好適に用いることができる。
上記無端ベルトにおいて、ポリアミドイミド樹脂は、さらに(d)ポリジメチルシロキサン系化合物による重合単位を含む上記共重合体からなる、および/または、(d)ポリジメチルシロキサン系化合物を含有する構成とすることができる。つまり、ポリアミドイミド樹脂は、分子内に(d)成分に基づく重合単位をさらに含んでいてもよいし、ポリジメチルシロキサン系化合物が分散、混合されていてもよいし、その両方の構成とされていてもよい。
この場合は、基層に適度な応力緩和効果が付与され、基層のMIT耐久性が向上し、基層の耐屈曲性が向上する。そのため、この場合は、分子内に(c)成分による重合単位を含むこととの相乗効果により、無端ベルトにおける基層のさらなる耐久性向上を図りやすくなる利点がある。
上記ポリジメチルシロキサン系化合物としては、例えば、分子中にポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーンポリマーなどを用いることができる。上記ポリジメチルシロキサン系化合物としては、具体的には、ポリアミドイミド樹脂の合成時に分子中へ組み込まれやすくなる観点から、上記芳香族イソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する反応基を有するものなどを用いることができ、より具体的には、両末端に反応基を1個ずつ有するもの、片末端に反応基を2個有するものなどを好適に用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記反応基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基などを例示することができる。上記ポリジメチルシロキサン系化合物は、好ましくは、両末端にカルボキシル基を1個ずつ有するカルボン酸両末端シリコーンポリマー、片末端に水酸基を2個有する片末端2官能シリコーンポリマーなどを例示することができる。
上記無端ベルトにおいて、ポリアミドイミド樹脂は、さらに(e)カルボン酸両末端ポリマーによる重合単位を含む上記共重合体からなる構成とすることができる。つまり、ポリアミドイミド樹脂は、分子内に(e)成分に基づく重合単位をさらに含んでいてもよい。
この場合は、基層に適度な可撓性が付与され、基層のMIT耐久性が向上し、基層の耐屈曲性が向上する。そのため、この場合は、分子内に(e)成分による重合単位を含むこととの相乗効果により、無端ベルトにおける基層のさらなる耐久性向上を図りやすくなる利点がある。
上記カルボン酸両末端ポリマーとしては、例えば、ポリマーの末端にカルボン酸をそれぞれ1個有するものなどを用いることができる。上記カルボン酸両末端ポリマーとしては、具体的には、カルボン酸両末端ポリブタジエン、カルボン酸両末端水素添加ポリブタジエン、カルボン酸両末端ポリエステル、カルボン酸両末端ポリアミド、カルボン酸両末端ポリアクリロニトリル−ブタジエン共重合体などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。上記ポリマーの両末端にカルボン酸を導入するために用いるカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、シュウ酸、コハク酸、コルク酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の脂肪族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸等の芳香族カルボン酸などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
上記無端ベルトにおいて、ポリアミドイミド樹脂における(c)成分による重合単位は、0.0005モル%〜2.5モル%の範囲内とすることができる。
この場合は、ポリアミドイミド樹脂分子内への酸化防止剤の組み込み量が適度となり、ポリアミドイミド樹脂の合成時や基層形成時における熱劣化が効果的に抑制され、基層のさらなる耐久性向上を確実なものとしやすくなる。
ポリアミドイミド樹脂における(c)成分による重合単位は、耐久性向上を確実なものとするなどの観点から、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.002モル%以上、さらに好ましくは0.004モル%以上、さらにより好ましくは0.005モル%以上とすることができる。また、ポリアミドイミド樹脂における(c)成分による重合単位は、アミド結合、イミド結合以外の結合が過多になると耐久性が悪化する傾向が見られる観点から、好ましくは2.4モル%以下、より好ましくは2モル%以下、さらに好ましくは1.8モル%以下、さらにより好ましくは1モル%以下、さらにより一層好ましくは0.5モル%以下とすることができる。
上記無端ベルトにおいて、ポリアミドイミド樹脂が、(d)ポリジメチルシロキサン系化合物による重合単位をさらに含む上記共重合体からなる場合、ポリアミドイミド樹脂における(d)成分による重合単位は、さらなる耐久性向上に有利であるなどの観点から、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.03モル%以上、さらに好ましくは0.05モル%以上とすることができる。また、ポリアミドイミド樹脂における(d)成分による重合単位は、剛性確保などの観点から、好ましくは5モル%以下、より好ましくは4モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下、さらにより好ましくは1モル%以下とすることができる。
上記無端ベルトにおいて、ポリアミドイミド樹脂が(d)ポリジメチルシロキサン系化合物を含有する場合、ポリジメチルシロキサン系化合物の含有量は、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、0.5〜15質量部程度、好ましくは、2〜10質量部程度とすることができる。
上記無端ベルトにおいて、ポリアミドイミド樹脂が、(e)カルボン酸両末端ポリマーによる重合単位をさらに含む上記共重合体からなる場合、ポリアミドイミド樹脂における(e)成分による重合単位は、さらなる耐久性向上に有利であるなどの観点から、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.005モル%以上、さらに好ましくは0.01モル%以上とすることができる。また、ポリアミドイミド樹脂における(e)成分による重合単位は、剛性確保などの観点から、好ましくは3モル%以下、より好ましくは1モル%以下、さらに好ましくは0.5モル%以下とすることができる。
上記無端ベルトにおいて、基層は、ポリアミドイミド樹脂以外にも、例えば、基層に導電性を付与するため、導電剤を含むことができる。
導電剤は、電子導電剤、イオン導電剤のいずれであってもよく、双方を含むこともできる。電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等、粉末状、繊維状等の形状を呈する炭素系材料;アルミニウム粉末、ステンレス粉末等の金属粉末;導電性酸化亜鉛(c−ZnO)、導電性酸化チタン(c−TiO)、導電性酸化鉄(c−Fe)、導電性酸化錫(c−SnO)等の導電性金属酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。イオン導電剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩、リン酸エステル、スルホン酸塩、脂肪族多価アルコール、脂肪族アルコールサルフェート、イオン液体などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
また、基層は、導電剤以外にも、難燃剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レベリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。なお、基層の筒径、厚みは、用途(例えば、画像形成装置の機種、大きさ等)に応じて適宜決定することができる。基層の筒径は、例えば、120〜1000mm程度とすることができる。基層の厚みは、例えば、30〜200μm程度、好ましくは40〜130μm程度、より好ましくは60〜100μm程度とすることができる。
上記無端ベルトは、電子写真方式の画像形成装置に用いることができる。この場合は、画像形成装置の耐久性向上に寄与することができる。上記画像形成装置としては、例えば、帯電像を用いる電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、POD(Print On Demand)装置等を例示することができる。
上記無端ベルトは、上記基層を少なくとも有しておれば、単層あるいは二層以上の複数層から構成されていてもよい。上記無端ベルトは、具体的には、(1)基層単層からなる構成、(2)基層と、基層上に積層されたゴム弾性層とを有する構成、(3)基層と、基層上に積層された表層とを有する構成、(4)基層と、基層上に積層された導電層と、導電層上に積層されたゴム弾性層とを有する構成などとすることができる。上記(1)〜(3)の構成は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルトなどとして好適である。また、上記(4)の構成は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における定着ベルトなどとして好適である。
なお、上記中間転写ベルトは、潜像担持体に担持されたトナー像をベルト表面に一次転写させた後、このトナー像をベルト表面から用紙等の転写材へ二次転写させるために、画像形成装置に組み込まれる無端ベルトである。
上記ゴム弾性層に用いられるゴムとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴムなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
上記ゴム弾性層は、導電性を付与するため、上述した導電剤を含むことができる。ゴム弾性層は、導電剤以外にも、架橋剤、難燃剤、充填剤(炭酸カルシウム等)、レベリング剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有することができる。なお、ゴム弾性層の厚みは、柔軟性、難燃性、耐摩耗性、用途などを考慮して決定することができる。ゴム弾性層の厚みは、例えば、10〜1000μm程度、好ましくは20〜400μm程度、より好ましくは30〜300μm程度とすることができる。
上記ゴム弾性層の表面は、紫外線照射処理等による光照射処理や、含塩素化合物、含フッ素化合物、およびイソシアネートから選択される1種または2種以上を含む表面処理液等による表面処理を施すことができる。この場合は、トナー離型性が向上するため、トナーがゴム弾性層表面に固着し難くなり、耐フィルミング性を向上させることができる。そのため、この場合は、中間転写ベルトとして好適である。
なお、上記基層表面に表層を設ける場合、表層を構成するための主なポリマー材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の各種のポリマーを用いることが可能である。また、表層は、上述した導電剤や各種添加剤を含むことができる。また、表層の厚みは、例えば、0.05〜20μm程度、好ましくは0.1〜15μm程度、より好ましくは1〜10μm程度とすることができる。
次に、上記無端ベルトの製造方法について説明する。上記塗液調製工程において、上記ポリアミドイミド樹脂の合成は、例えば、反応容器中に、上記(a)〜(c)成分および有機溶媒、必要に応じて、(d)成分、(e)成分を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら、加熱反応させることにより行うことができる。この際、反応温度は、100〜190℃程度とすることができる。なお、(d)成分、(e)成分は、ポリアミドイミド樹脂の合成後に添加することもできる。このようにしてポリアミドイミド樹脂を合成後、上記導電剤等の各種添加剤を必要に応じて適宜配合し、基層形成用塗液を調製することができる。
ここで、上記有機溶媒としては、Nを含有する含窒素系有機溶媒を好適に用いることができる。
Nを含有する含窒素系有機溶媒は、求核性が高い。そのため、この場合は、上記ポリアミドイミド樹脂の合成時における反応性を向上させやすくなり、(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を合成しやすくなる利点がある。
上記含窒素系有機溶媒としては、沸点が160〜260℃、好ましくは170〜240℃の範囲にあるものを好適に用いることができる。基層形成工程において、基層形成時の加熱処理によって含窒素系有機溶媒を除去しやすいためである。
上記含窒素系有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:沸点203℃)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP:沸点218℃)、テトラメチル尿素(TMU:沸点177℃)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMP:沸点235℃)、ジメチルスルホキシド(DMSO:沸点189℃)、ニトロベンゼン(沸点210.9℃)、ベンゾニトリル(沸点191℃)、N,N−ジメチルアニリン(沸点194℃)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
次いで、上記基層形成工程では、具体的には、円筒状または円柱状の金型の表面に、基層形成用材料を塗工することができる。塗工方法は、特に限定されるものではなく、ディスペンサーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法等を例示することができる。好ましくは、均一な厚みとしやすい、ハンドリング性がよいなどの観点から、ディスペンサーコート法、スプレーコート法が好適である。塗工後の加熱処理は、具体的には、150℃〜300℃程度で1時間〜3時間程度保持するという条件とすることができる。また、上記加熱は、具体的には、金型を加熱することによって行うことができる。
基層形成後、基層と金型とを分離すれば、単層の無端ベルトが得られる。ゴム弾性層や表層をさらに積層する場合は、上記基層の形成後、引き続き、ゴム弾性層形成用塗液や表層形成用塗液を塗工し、最適条件にて加熱処理を施せばよい。そして、その後、基層と金型とを分離すれば、基層上にゴム弾性層あるいは表層を有する二層構造の無端ベルトを得ることができる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の無端ベルトおよびその製造方法について、図面を用いて説明する。
図1、図2に示すように、本例の無端ベルト1は、筒状に形成された基層2を少なくとも有している。基層2は、以下の(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を用いて構成されている。
(a)芳香族イソシアネート化合物
(b)芳香族系多価カルボン酸の無水物
(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤
本例では、基層2は、電子導電剤を含有することによって導電化されている。また、無端ベルト1は、具体的には、基層2の外周に表層3が積層されている。表層3を構成する主材料は、アクリル系樹脂であり、表層3は、電子導電剤を含有することによって導電化されている。無端ベルト1は、電子写真方式を採用するプリンター、複写機、複合機、POD(Print On Demand)装置等の画像形成装置における中間転写ベルトとして用いられる。
本例の無端ベルトの製造方法は、上記(a)〜(c)成分を有機溶媒中で加熱反応させて上記(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を合成し、このポリアミドイミド樹脂と上記有機溶媒とを含有する基層形成用塗液を調製する塗液調製工程と、
上記基層形成用塗液を、円筒状または円柱状の金型の外周面に塗工した後、加熱処理することにより、筒状の基層を形成する基層形成工程とを有している。
本例では、基層形成工程後、基層の外周に表層形成用塗液を塗工し、加熱処理することにより、表層を形成する表層形成工程をさらに有している。
以下、異なる構成を有する無端ベルトの試料を複数作製し、各種評価を行った。その実験例について説明する。
(実験例)
<材料の準備>
各試料の無端ベルトにおける基層に用いられるポリアミドイミド樹脂を合成するにあたり、以下の材料を準備した。
・ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(東京化成工業社製、試薬)
・トリジンジイソシアネート(TODI)(東京化成工業社製、試薬)
・トリメリット酸無水物(無水トリメリット酸、TMA)(東京化成工業社製、試薬)
・3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)(東京化成工業社製、試薬)
・ε−カプロラクタム(宇部興産社製、「UBEカプロラクタム」)
・ポリジメチルシロキサン系化合物(片末端カルビノール変成シリコーンオイル)(JNC社製、「FM−DA21」)
・カルボン酸両末端ポリマー(両末端COOH変性NBR)(CVC Thermoset Specialties社製、「CTBN1300×13Na」)
・ポリオキシテトラメチレングリコール(三菱化学社製、「PTMG1800」)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)])(BASF社製、「IRGANOX1098」)
・リン系酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト))(BASF社製、「IRGAFOS168」)
<基層形成用塗液の調製>
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、後述の表1および表2に示す配合割合(質量部)の各材料(<PAI合成時添加>と表記のあるもの)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を固形分26%となるように仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて160℃まで昇温し、そのまま160℃で約10時間反応させた後反応を停止し、試料1〜試料12の無端ベルト試料の作製に用いるポリアミドイミド(PAI)−NMP溶液(固形分濃度:26質量%)を調製した。
また、試料13の無端ベルト試料の作製に用いるポリアミドイミド(PAI)−NMP溶液については、次のように調製した。すなわち、後述の表2に示す配合割合(質量部)の各材料(<PAI合成時添加>と表記のあるもの)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を固形分26%となるように仕込み、窒素を50ml/分で流しながら、150℃で融解させた後、260℃で4時間重合反応させた後反応を停止し、試料13の無端ベルト試料の作製に用いるポリアミドイミド(PAI)−NMP溶液(固形分濃度:26質量%)を調製した。
次いで、各PAI−NMP溶液に、PAI100質量部に対して、必要に応じて、表1に示す各材料のうち<PAI合成後添加>と表記のあるものを所定質量部にて配合し、常温(25℃)で撹拌羽根で混合した。
次いで、各PAI−NMP溶液に、電子導電剤としてのカーボンブラック(昭和キャボット(株)製、「ショウブラックN220」)4質量部を配合し、常温(25℃)で撹拌羽根で混合した後、ボールミルを用いて分散させた。これにより、試料1〜13の無端ベルト試料の作製に用いる各基層形成用塗液を調製した。
<表層形成用塗液の調製>
アクリル系樹脂(根上工業社製、「パラクロンW−248E」)100質量部と、架橋剤(旭化成社製、「デュラネートTPA−B80E」)30質量部と、電子導電剤としてのカーボンブラック(三菱化学社製、「カーボンブラックMA−100」)10質量部と、トルエン500質量部とを配合し、撹拌羽根で混合することにより、試料1〜13の無端ベルト試料の作製に用いる表層形成用塗液を調製した。なお、作製した表層形成用塗液は1種類であり、各試料の無端ベルトの表層に共通して使用される。
<無端ベルトの作製>
上記調整した基層形成用塗液を、円筒状金型の外周面にスプレーコート法により塗工した後、常温(25℃)〜250℃まで2時間かけて昇温させ、250℃で1時間保持するという加熱処理を行い、筒状の基層を形成した。
次いで、この円筒状金型の外周面に形成された基層の表面に、上記調整した表層形成用塗液をディッピング法により塗工し、乾燥させ、表層を形成した。
次いで、基層と円筒状金型との間にエアーを吹き付けることにより、円筒状金型を抜き取った。これにより、筒状に形成された基層(厚み80μm)と、基層の外周に形成された表層(厚み6μm)とを有する二層構造の試料1〜13の無端ベルトを作製した。なお、無端ベルトの基層を構成するポリアミド樹脂における(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤、(d)ポリジメチルシロキサン系化合物、(e)カルボン酸両末端ポリマーによる重合単位のモル%は、配合割合から算出することができる。
<引張弾性率の測定>
上記基層形成用塗液の調製において、電子導電剤を添加する前の各組成物をポリイミドフィルムの表面にバーコート法により塗工した後、常温(25℃)〜250℃まで2時間かけて昇温させ、250℃で1時間保持するという加熱処理を行い、各塗膜サンプル(厚み80μm)を作製した。その後、JIS K7127に準拠し、各塗膜サンプルの引張弾性率を測定した。
<耐久性評価>
(1)MIT耐久試験
上記基層形成用塗液の調製において、電子導電剤を添加する前の各組成物をポリイミドフィルムの表面にバーコート法により塗工した後、常温(25℃)〜250℃まで2時間かけて昇温させ、250℃で1時間保持するという加熱処理を行い、各塗膜サンプル(厚み80μm)を作製した。各塗膜サンプルから短冊状試験片(15mm×115mm)を切り出し、25℃×45%RH環境下において、MIT耐折疲労試験機((株)東洋精機製作所製「MIT−DA」)を用いてMIT試験を行い、MIT回数を測定した。試験条件は、スプリング介在状態で荷重0.25kg、反復速度175サイクル/分、振り角90°とした。なお、MIT回数は、耐屈曲性の評価の指標となるものであり、このMIT回数が多い程、屈曲に対する耐久性に優れていることを示す。
(2)ベルト耐久試験
各無端ベルトを、電子写真方式を採用する市販のマルチファンクションプリンタ(富士ゼロックス(株)製、「DocuCentre−IV C2260」)の中間転写ベルトとして組み込み、カラー画像を5万枚印刷した。その後、各無端ベルトの損傷状態を調べた。亀裂が見られなかった場合をベルト耐久性に優れるとして「A」とした。また、亀裂がわずかに見られたが、許容範囲内であった場合をベルト耐久性が良好であるとして「B」とした。亀裂が多数見られた場合をベルト耐久性に劣るとして「C」とした。
<画像評価>
各無端ベルトを、上記マルチファンクションプリンタの中間転写ベルトとして組み込み、フルカラー画像出力を行った。初期画像において色ずれや色ムラの画像不良がなく、良好な画像が形成された場合を「A」、初期画像において色ずれや色ムラの画像不良が発生した場合を「C」とした。なお、本評価は、中間転写ベルトとしての有用性を確認するためのものである。
表1および表2に、各試料の無端ベルトの作製時の配合、評価結果等をまとめて示す。
Figure 0006155178
Figure 0006155178
表1および表2によれば、以下のことがわかる。すなわち、試料9〜11の無端ベルトは、基層を構成するポリアミドイミド樹脂が、(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤による重合単位を含んでいない。そのため、試料9〜11の無端ベルトは、ポリアミドイミド樹脂の合成時や基層形成時の加熱処理により、ポリアミドイミド樹脂が熱老化してしまい、基層のさらなる耐久性向上を図ることができなかった。また、試料10、11の無端ベルトは、ポリアミドイミド樹脂の合成時にポリジメチルシロキサン系化合物やカルボン酸両末端ポリマーを添加したものであるが、これらの手法では、基層のさらなる耐久性向上に限界があることがわかる。
試料12の無端ベルトは、ポリアミドイミド樹脂の合成後にヒンダードフェノール系酸化防止剤を後添加したものであり、基層を構成するポリアミドイミド樹脂が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤による重合単位を含んでいない。そのため、試料12の無端ベルトは、ポリアミドイミド樹脂の合成時や基層形成時の加熱処理により、ポリアミドイミド樹脂が熱老化してしまい、基層のさらなる耐久性向上を図ることができなかった。
試料13の無端ベルトは、ε−カプロラクタム、ポリオキシテトラメチレングリコール、トリメリット酸無水物、ジフェニルメタンジイソシアネートをヒンダードフェノール系酸化防止剤と共に仕込み、加熱反応させることによって基層を構成するポリアミドイミド樹脂を合成している。試料13の無端ベルトは、本願と成分系が異なっているため、基層のさらなる耐久性向上を図ることができていないことがわかる。これは、次の理由によるものと考えられる。試料13において、合成に用いた成分系に存在する反応基の求核性(反応性)の強さは、酸無水物<COOH基<NCO基<OH基<NH基の順となる。試料13では、最も求核性が強いNH基が系に過剰に存在し、OH基よりNCO基およびCOOH基に優先的に反応すると考えられる。また、NH基およびOH基は互いに求核性が強いため、この二つが反応する可能性も低い。そのため、試料13では、ポリアミドイミド樹脂の合成時にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加しても、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ポリアミドイミド樹脂の分子内に共重合成分として取り込まれ難いと考えられる。その結果、試料13の無端ベルトは、基層のさらなる耐久性向上を図ることができなかったものと推察される。
これらに対し、試料1〜8の無端ベルトは、本願で規定される構成を有している。特に、上記無端ベルトは、基層を構成するポリアミドイミド樹脂が、(c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤による重合単位を含む共重合体からなる。そのため、上記無端ベルトは、その製造の際におけるポリアミドイミド樹脂の合成時、および、合成したポリアミドイミド樹脂を含む基層形成用塗液を加熱処理して基層を形成する基層形成時に、ポリアミドイミド樹脂の熱劣化が抑制されて耐熱性が向上する。そのため、上記無端ベルトは、従来に比べ、基層のさらなる耐久性向上を図ることができた。これは、分子レベルでポリアミドイミド樹脂に(c)成分が分散、配置されたため、耐熱性の向上効果が大きくなり、熱劣化が効果的に抑制され、基層のさらなる耐久性向上につながったものと考えられる。また、上記無端ベルトは、ポリアミドイミド樹脂の分子内に重合単位として酸化防止剤が組み込まれているので、相手部材を酸化防止剤で汚染し難い利点もあるといえる。
また、試料1〜8の無端ベルト同士を比較すると、次のことがわかる。試料3〜5の無端ベルトの結果によれば、ポリアミドイミド樹脂の合成時にポリジメチルシロキサン系化合物を添加し、合成されたポリアミドイミド樹脂にポリジメチルシロキサン系化合物による重合単位を導入したり、ポリアミドイミド樹脂の合成時にカルボン酸両末端ポリマーを添加し、合成されたポリアミドイミド樹脂にカルボン酸両末端ポリマー成分による重合単位を導入したりすることにより、MIT耐久性が向上し、基層のさらなる耐久性向上を図りやすくなることがわかる。また、試料2の無端ベルトの結果によれば、(c)成分として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と併用してリン系酸化防止剤を用いた場合にも、MIT耐久性が向上し、基層のさらなる耐久性向上を図りやすくなることがわかる。
なお、試料8の無端ベルトは、試料1〜試料7の無端ベルトに比べ、ヒンダードフェノール酸化防止剤の添加量が多くされているため、ポリアミドイミド樹脂中におけるヒンダードフェノール酸化防止剤の重合単位のモル%が大きくなっている。そのため、試料8の無端ベルトは、アミド結合、イミド結合以外の結合が増え、試料1〜試料7の無端ベルトに比べ、耐久性がやや低下したものと考えられる。
また、上記無端ベルトの製造方法によれば、ポリアミドイミド樹脂の熱劣化が抑制されて耐熱性が向上し、従来に比べ、さらなる耐久性向上が図られた基層を有する無端ベルトを製造することができるといえる。
また、上記無端ベルトの製造方法は、シリコーンポリマーの分散によって主に耐久性の向上を図っているわけではないので、分散性悪化による耐久性低下もなく、難易度の高い分散制御も不要とすることができるといえる。さらに、上記無端ベルトの製造方法は、ポリアミドイミド樹脂の合成後に酸化防止剤を後添加していないので、相手部材を酸化防止剤で汚染し難い無端ベルトを製造するのに有利であるといえる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実験例では、(c)成分としてヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いたが、ヒンダードアミン系酸化防止剤を用いた場合でも、上記と同様にさらなる耐久性向上の効果が期待される。また、上記構成を有するポリアミドイミド樹脂の合成後にポリジメチルシロキサン系化合物を適量分散、混合させた場合にも、MIT耐久性が向上し、基層のさらなる耐久性向上が図られることが期待される。
1 無端ベルト
2 基層

Claims (8)

  1. 筒状に形成された基層を少なくとも有する無端ベルトであって、
    上記基層は、以下の(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を用いて構成されていることを特徴とする無端ベルト。
    (a)芳香族イソシアネート化合物
    (b)芳香族系多価カルボン酸の無水物
    (c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤
  2. 上記ポリアミドイミド樹脂は、さらに(d)ポリジメチルシロキサン系化合物による重合単位を含む上記共重合体からなる、および/または、(d)ポリジメチルシロキサン系化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト。
  3. 上記ポリアミドイミド樹脂は、さらに(e)カルボン酸両末端ポリマーによる重合単位を含む上記共重合体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の無端ベルト。
  4. 上記(c)成分は、さらにリン系酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無端ベルト。
  5. 上記ポリアミドイミド樹脂における上記(c)成分による重合単位は、0.0005モル%〜2.5モル%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無端ベルト。
  6. 電子写真方式の画像形成装置に用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無端ベルト。
  7. 以下の(a)〜(c)成分を有機溶媒中で加熱反応させて上記(a)〜(c)成分による各重合単位を含む共重合体からなるポリアミドイミド樹脂を合成し、該ポリアミドイミド樹脂と上記有機溶媒とを含有する基層形成用塗液を調製する塗液調製工程と、
    上記基層形成用塗液を、円筒状または円柱状の金型の外周面に塗工した後、加熱処理することにより、筒状の基層を形成する基層形成工程と、
    を有することを特徴とする無端ベルトの製造方法。
    (a)芳香族イソシアネート化合物
    (b)芳香族系多価カルボン酸の無水物
    (c)ヒンダードフェノール系酸化防止剤および/またはヒンダードアミン系酸化防止剤
  8. 上記有機溶媒は、Nを含有する含窒素系有機溶媒であることを特徴とする請求項7に記載の無端ベルトの製造方法。
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