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JP2009086087A - 電子写真機器用無端ベルト - Google Patents

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JP2009086087A JP2007253143A JP2007253143A JP2009086087A JP 2009086087 A JP2009086087 A JP 2009086087A JP 2007253143 A JP2007253143 A JP 2007253143A JP 2007253143 A JP2007253143 A JP 2007253143A JP 2009086087 A JP2009086087 A JP 2009086087A
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Seiki Kanda
成輝 神田
Shoji Arimura
昭二 有村
Yosuke Hayashi
洋介 林
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

【課題】機械特性、電気特性が均一で、剛性、屈曲耐久性および靱性にも優れた、高品質の電子写真機器用無端ベルトを提供する。
【解決手段】電子写真機器用無端ベルトの基層1が、ポリアミドイミド樹脂溶液またはポリイミド樹脂の前駆体溶液中に非シリコーン系ゴム粒子を分散含有させた分散液を塗膜化してなる、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂を海相とし上記非シリコーン系ゴム粒子を島相とする海−島構造体によって形成されており、上記海−島構造体における海相と島相の、ユニバーサル硬度計によって測定されるユニバーサル硬度の比が、海相/島相≧10.0に設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真機器用無端ベルトに関するものであり、詳しくはフルカラーLBP(レーザービームプリンター)やフルカラーPPC(プレーンペーパーコピア)等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、中間転写ベルトや紙転写搬送ベルト等に用い−れる電子写真機器用無端ベルトに関するものである。
一般に、フルカラーLBPやフルカラーPPC等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、トナー像の転写用,紙転写搬送用,感光体基体用等の用途に、無端ベルト(シームレスベルト)が多用されている。このような無端ベルトとしては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素系樹脂に、導電性カーボンブラックを配合したものを筒状フィルムに成形したものが用いられている。
しかしながら、従来の無端ベルトには、ベルト内において電気抵抗値がばらつきやすいという問題や、張力をかけた状態で繰り返し使用するとベルトに経時的に伸びが発生するという問題、さらには、ベルトの機械的耐久性が不充分なため、経時的に亀裂や割れが発生しやすいという問題がある。
そこで、これらの問題を改善するために、例えば、熱可塑性樹脂をマトリックス(海相)とし、導電性が付与されたゴム粒子をドメイン(島相)としてなる海−島構造の基材を有する半導電性ベルト(特許文献1参照)や、熱可塑性樹脂のなかでも特に、アクリル樹脂をマトリックスとし、ゴム粒子をドメインとしてなる海−島構造の部材を用いた電子写真装置用エンドレスベルト(特許文献2参照)が提案されている。また、剛性に優れ、かつ、屈曲耐久性および靱性にも優れた無端ベルトとして、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂からなる海相と、ポリシロキサン化合物からなる島相とを組み合わせてなる海−島構造の基層を有するもの(特許文献3参照)が提案されている。
特開2001−254022公報 特開2005−164673公報 特開2006−243146公報
しかしながら、上記特許文献1、2のものは、得られる基層(基材層)の電気特性が、従来のものよりは幾分改善されるものの、マトリックスとなる熱可塑性樹脂にゴム粒子を均一に分散させることが容易でないため、依然として電気特性がばらつく傾向にあるという問題がある。また、どちらのものも、押出成型、インフレーション成型、インジェクション成型といった溶融成型によって基層を成形するものであるため、表面平滑性や厚みの均一性に限界があるとともに、ウェルドラインの形成により、その部分に物性や電気特性の差異が生じやすいという問題がある。
一方、上記特許文献3には、海−島構造をつくるための材料を、溶液として調製し、これを金型にスプレーコーティングする等して基層を得る方法が開示されており、この方法によれば、非常に優れた島相の均一分散を実現することができ、また溶融成型に伴う問題も回避することができるとの期待が大きい。
しかし、上記特許文献3に記載された方法を詳細に検討した結果、上記島相の粒径制御や均一分散性等において、なお改善の余地があることが判明した。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、機械特性、電気特性が均一で、剛性、屈曲耐久性および靱性にも優れた、高品質の電子写真機器用無端ベルトの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、基層のみからなる単層、もしくは基層を含む複数層からなる電子写真機器用無端ベルトであって、上記基層が、ポリアミドイミド樹脂溶液またはポリイミド樹脂の前駆体溶液中に非シリコーン系ゴム粒子を分散含有させた分散液を塗膜化してなる、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂を海相とし上記非シリコーン系ゴム粒子を島相とする海−島構造体によって形成されており、上記海−島構造体における海相と島相の、ユニバーサル硬度計によって測定されるユニバーサル硬度(以下、単に「硬度」と略す)の比が、海相/島相≧10.0に設定されているという構成をとる。
すなわち、本発明者らは、機械特性、電気特性が均一で、剛性、屈曲耐久性および靱性にも優れた電子写真機器用無端ベルトを得るため、溶融成型によらず、塗膜化によって得られる海−島構造の基層(ベース層)について鋭意研究を重ねた。その結果、ポリアミドイミド樹脂溶液またはポリイミド樹脂の前駆体溶液中に非シリコーン系ゴム粒子を分散含有させた分散液を塗膜化してなる、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂を海相とし上記非シリコーン系ゴム粒子を島相とする海−島構造体であって、その海−島構造体における海相と島相の、ユニバーサル硬度計によって測定される硬度の比を、海相/島相≧10.0に設定するようにすると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
このように、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、その基層が、塗膜化によって得られる海−島構造体によって形成されたものであり、特に、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂からなる海相中に非シリコーン系ゴム粒子からなる島相が分散し、かつ、その海相と島相の硬度比が特定の割合となるよう設定されたものである。したがって、この構成によれば、上記非シリコーン系ゴム粒子からなる島相が、非常に均一に分散し、それによって、優れた応力緩和効果と、屈曲耐久性や靱性(ベンチ耐久性等)の向上効果とを奏することができる。そして、その結果、電子写真機器用無端ベルトの高耐久化と高剛性化とを両立することができ、しかもその物性が、非常に安定して得られるという利点を有する。
そして、本発明の電子写真機器用無端ベルトのなかでも、特に、上記島相が、アクリル酸変性加硫ゴムまたはカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴムによって構成されているものは、上記島相による応力緩和効果と、海相による屈曲耐久性や靱性(ベンチ耐久性等)の向上効果とのバランスが、極めて良好である。
また、同様に、特に、上記海−島構造体における島相の平均粒径が0.1〜10μmの範囲内に設定されているもの、さらには、上記海−島構造体における海相と島相との割合が、島相/(島相+海相)=0.1〜30体積%となるよう設定されているものも、それぞれ、上記島相による応力緩和効果と、海相による屈曲耐久性や靱性(ベンチ耐久性等)の向上効果とのバランスが、極めて良好である。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の電子写真機器用無端ベルト(以下「無端ベルト」と略す)は、例えば図1に示すように、基層1の外周面に表層2が直接形成された2層構造のベルト材によって構成されている。そして、上記基層1は、図2に模式的に示すように、マトリックス成分(連続相)からなる海相3に、ドメイン成分(分散相)からなる島相4が分散含有された、いわゆる海−島構造体によって形成されている。
上記海相3を構成するマトリックス成分としては、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂が用いられる。これらのうち、上記ポリアミドイミド樹脂(以下「PAI樹脂」という)としては、特に限定はなく、例えば、脂肪族PAI樹脂、芳香族PAI樹脂等があげられる。そして、なかでも、フィルム機械特性に優れる点で、芳香族PAI樹脂が好適に用いられる。
このようなPAI樹脂としては、例えば、下記の一般式(1)で表される繰り返し構造(すなわち、ベンゼン環とイミド基とアミド基との組み合わせによる分子構造)を有するものがあげられる。
Figure 2009086087
上記PAI樹脂は、例えば、トリメリット酸,その無水物,酸塩化物等の酸成分と、ジアミンまたはジイソシアネートとを、N,N′−ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の極性溶剤中、所定温度(通常、60〜200℃程度)に加熱しながら撹拌することにより製造することができる。
上記PAI樹脂の製造に用いる酸成分としては、例えば、トリメリット酸およびその無水物または酸塩化物の他、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸(ピロメリット酸),ビフェニルテトラカルボン酸,ビフェニルスルホンテトラカルボン酸,ベンゾフェノンテトラカルボン酸,ビフェニルエーテルテトラカルボン酸,エチレングリコールビストリメリテート,プロピレングリコールビストリメリテート等のテトラカルボン酸およびこれらの無水物、シュウ酸,アジピン酸,マロン酸,セバチン酸,アゼライン酸,ドデカンジカルボン酸,ジカルボキシポリブタジエン,ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン),ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸,1,3−シクロヘキサンジカルボン酸,4,4′−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸,ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸,イソフタル酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェニルエーテルジカルボン酸,ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、反応性、耐熱性、溶解性等の点から、トリメリット酸無水物が好適に用いられる。
また、上記PAI樹脂の製造に用いるジアミンまたはジイソシアネートとしては、例えば、エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンおよびこれらのジイソシアネートや、1,4−シクロヘキサンジアミン,1,3−シクロヘキサンジアミン,イソホロンジアミン,4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミンおよびこれらのジイソシアネートや、m−フェニレンジアミン,p−フェニレンジアミン,4,4′−ジアミノジフェニルメタン,4,4′−ジアミノジフェニルエーテル,4,4′−ジアミノジフェニルスルホン,ベンジジン,o−トリジン,2,4−トリレンジアミン,2,6−トリレンジアミン,キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンおよびこれらのジイソシアネート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐熱性、機械的特性,溶解性等の点から、4,4′−ジアミノジフェニルメタンおよびそのジイソシアネート、2,4−トリレンジアミンおよびそのジイソシアネート、o−トリジンおよびそのジイソシアネート、イソホロンジアミンおよびそのジイソシアネートが好適に用いられる。
また、上記PAI樹脂の数平均分子量(Mn)は、5,000〜100,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは10,000〜50,000の範囲内である。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
つぎに、同じく、前記海相3を構成するマトリッスク成分として用いることのできるポリイミド樹脂(以下「PI樹脂」という)としては、下記の一般式(2)で表される繰り返し構造(すなわち、ベンゼン環とイミド基との組み合わせによる分子構造)を有するものであれば特に限定されるものではない。
Figure 2009086087
上記一般式(2)において、Rで表される2価の有機基としては、例えば、エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンや、1,4−シクロヘキサンジアミン,1,3−シクロヘキサンジアミン,イソホロンジアミン,4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミンや、m−フェニレンジアミン,p−フェニレンジアミン,4,4′−ジアミノジフェニルメタン,4,4′−ジアミノジフェニルエーテル,4,4′−ジアミノジフェニルスルホン,ベンジジン,o−トリジン,2,4−トリレンジアミン,2,6−トリレンジアミン,キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン残基等があげられる。
上記PI樹脂は、上記一般式(2)で表される繰り返し構造中のR(2価の有機基)の種類により、熱可塑性PI樹脂と熱硬化性PI樹脂とに分類されるが、構造が剛直でフスィルム機械特性に優れる点で、熱硬化性PI樹脂が好適に用いられる。
上記PI樹脂は、例えば、酸ジ無水物と、ジアミンとを、N,N′−ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の極性溶剤中、イミド化しない程度の低温(約25℃以下)で撹拌しながら重縮合反応させることにより、全芳香族ポリアミド酸等のポリイミド前駆体を得た後、さらにこれをイミド化して得ることができる。
上記酸ジ無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPTA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、上記ジアミンとしては、前述のPAI樹脂に関する記載で例示したものと同様のものが用いられる。
一方、前記島相4を構成するドメイン成分としては、非シリコーン系ゴム粒子が用いられる。上記非シリコーン系ゴム粒子とは、シリコーン系ゴム以外のゴムからなる粒子であれば、特に限定するものではないが、そのゴム粒子を構成するゴム成分の硬度と、前記海相3を構成する樹脂成分の硬度の比が、海相/島相≧10.0となるよう設定しなければならない。すなわち、海相3の硬度と島相4の硬度の差が、上記の割合より小さいと、せっかく島相4が均一に分散されていても、島相4による応力緩和効果や屈曲耐久性・靱性の向上効果が充分に発現しないからである。
上記ゴム成分の材料としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のジエン系ゴムおよびその水添化物、エチレン−プロピレンゴム(EPDM、EPM)、、ブチルゴム(IIR)、イソブチレン−芳香族ビニルまたはジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体の臭化物(BIMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、ポリスルフィドゴム、フッ素ゴム等、あるいは、これらのアクリル酸変性物、マレイン酸変性物、カルボキシ変性物等があげられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。そして、これらのなかでも特に、アクリル酸変性加硫ゴム、カルボキシ変性NBRゴム等が好適に用いられる。
なお、前記基層1(図1参照)には、任意成分として、導電性充填剤やリン含有ポリエステル系樹脂等を含有させることができる。また、これらの成分とともに、N,N−ジメチルホルムアルデヒド(DMF)、トルエン,アセトン等の有機溶剤や、炭酸カルシウム等の通常の充填剤を、必要に応じて含有させることも可能である。
上記導電性充填剤としては、特に限定はないが、例えば、カーボンブラック,グラファイト等の導電性粉末、アルミニウム粉末,ステンレス粉末等の金属粉末、導電性酸化亜鉛(c−ZnO),導電性酸化チタン(c−TiO2 ),導電性酸化鉄(c−Fe3 4 ),導電性酸化錫(c−SnO2 )等の導電性金属酸化物、四級アンモニウム塩,リン酸エステル,スルホン酸塩,脂肪族多価アルコール,脂肪族アルコールサルフェート塩のようなイオン性導電剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記リン含有ポリエステル系樹脂としては、リン含有量がリン含有ポリエステル系樹脂全体の3〜15重量%の範囲内にあるものが好ましく、特に好ましくはリン含有量が5〜10重量%の範囲内にあるものである。上記リン含有量がこのような範囲内にあると、難燃性が向上するため好ましい。
つぎに、上記表層2の形成に用いる材料(表層用材料)としては、特に限定はなく、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、作業性を考慮して、液状または溶剤可溶タイプのものが好適に用いられる。また、汚れ防止、塗膜強度、あるいは密着性を向上させる目的で、前記樹脂材料を変性したものを用いてもよく、例えば、変性アクリル系樹脂があげられる。この変性アクリル系樹脂としては、アクリル樹脂の分子構造を母体とし、他の樹脂ないし樹脂成分で変性されたものであれば特に限定はないが、なかでも、シリコーン変性アクリル系樹脂が好適に用いられる。
上記シリコーン変性アクリル系樹脂としては、例えば、シリコーングラフトアクリル系樹脂があげられる。このシリコーングラフトアクリル系樹脂としては、アクリル系樹脂(主鎖)にシリコーン系樹脂がグラフト重合したものであれば特に限定するものではない。このシリコーングラフトアクリル系樹脂の具体例としては、東亞合成社製のサイマックUS−350等があげられる。
なお、上記表層用材料において、上記樹脂材料に対して、イソシアネート樹脂,アミノ樹脂,フェノール樹脂,キシレン樹脂等の樹脂架橋剤を用いて、樹脂架橋を施した材料や、感光性モノマーまたはポリマーに光重合開始剤を混合した紫外線硬化型材料を用いても差し支えない。
図1に示す無端ベルトは、これらの材料を用い、例えばつぎのようにして製造することができる。なお、この例は、基層1の海相3を構成するマトリックス成分として、PAI樹脂を用いた例である。
〔基層用材料溶液の調製−PAI樹脂を用いる場合〕
まず、撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器を準備し、トリメリット酸無水物等の酸成分と、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネートとを所定量配合し、NMP等の極性溶剤を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら所定時間(好ましくは、1〜3時間)かけて所定温度(好ましくは、130〜150℃)まで昇温する。つぎに、所定温度(好ましくは、130〜150℃)で所定時間(好ましくは、約3〜5時間)反応させた後、反応を停止することにより、PAI樹脂溶液を調製する。つぎに、上記PAI樹脂溶液に、非シリコーン系ゴム粒子を所定量添加し、常温(通常、25℃程度)下で、羽根撹拌で混合する。つづいて、この溶液に、カーボンブラック等を適宜配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散することにより、基層用材料を調製する。
〔基層1の形成〕
そして、上記基層用材料を、金型(円筒形基体)の表面にスプレーコーティングした後、この塗膜を、所定温度(好ましくは、150〜300℃)で所定時間(好ましくは、3〜6時間)乾燥することにより、金型の外周面に、基層1(図1参照)を形成する。なお、得られた基層1は、図2に示すように、PAI樹脂からなる海相3中に、非シリコーン系ゴム粒子からなる島相4が均一に分散してなる海−島構造体によって形成されている。
〔表層用材料溶液の調製〕
一方、表層用材料を、例えば、変性アクリル系樹脂と、DMF,トルエン,アセトン等の有機溶剤とを適宜に配合し、撹拌羽根で混合することにより、表層用材料溶液を調製する。ただし、隣接する層の形成材料に用いる有機溶剤は、互いに異なった種類のものを使用することが好ましいことから、表層用材料に用いる有機溶剤と、基層用材料に用いる有機溶剤とは、互いに異なった種類のものを使用することが好ましい。
〔表層2の形成〕
そして、上記円筒形基体の外周面に形成された基層1の表面に、上記表層用材料溶液を、ディッピング法によりコーティングし所定条件で乾燥することにより、表層2(図1参照)を形成する。
〔脱型〕
そして、上記表層2が積層された基層1と、円筒形基体との間に、エアを吹き込んで円筒形基体から基層1と表層2の積層体を剥がし、上記円筒形基体を抜き取ることにより、基層1と表層2の2層構造の無端ベルトを得る。
このようにして得られた無端ベルトは、その基層が、塗膜化によって得られる、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂からなる海相中に非シリコーン系ゴム粒子からなる島相が分散してなる海−島構造体によって形成され、かつ、その海相と島相の硬度比が特定の割合となるよう設定されたものである。したがって、この構成によれば、上記非シリコーン系ゴム粒子からなる島相が、溶融成型等によって得られるものに比べて、非常に均一に分散し、それによって、優れた応力緩和効果と、屈曲耐久性や靱性(ベンチ耐久性等)の向上効果とを奏することができる。そして、その結果、電子写真機器用無端ベルトの高耐久化と高剛性化とを両立することができ、しかもその物性が、非常に安定しているという利点を有する。
なお、上記の製法において、海層3(図2参照)を構成するマトリックス成分としてPI樹脂を用いる場合は、基層用材料溶液を、例えばつぎのようにして調製することができる。それ以外の工程は、上記の製法と同様である。
〔基層用材料溶液の調製−PI樹脂を用いる場合〕
まず、撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器を準備し、ピロメリット酸二無水物(PMDA)等の酸ジ無水物と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)等のジアミンとを所定量配合し、NMP等の極性溶剤を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら、常温(通常、25℃程度)以下の温度で、所定時間(通常、3時間程度)反応させた後、反応を停止することにより、PIの前駆体であるポリアミド酸溶液を調製する。この場合、常温を超える温度で反応を行うと、イミド化が進行し、NMP等の極性溶剤に不溶となる傾向がみられるため、常温以下の温度で反応を行うことが好ましい。つぎに、上記ポリアミド酸溶液に、非シリコーン系ゴム粒子を所定量添加し、常温(通常、25℃程度)下で、羽根撹拌で混合する。つづいて、この溶液に、カーボンブラック等を適宜配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散することにより基層用材料を調製する。
また、上記の製法において、基層1を形成するための基層用材料溶液の塗工は、上記スプレーコーティングの他、ディッピンク、遠心成型等、溶液を塗膜状に塗工する方法であれば、特に限定するものではないが、なかでも、特許第3855896号公報に記載された垂直方向らせん状のスプレーコーティングを採用することが好適である。すなわち、この方法でスプレーコーティングを行う場合は、図3(a)に示すように、周方向に回転しうる円筒形基体10と、その外周面に近接する位置で上記円筒形基体10の軸方向に沿って移動しうるノズル11とを準備する。そして、上記円筒形基体10を垂直にした状態で周方向に回転させ、その状態で、上記ノズル11から、上記基層用材料12を、円筒形基体10の外周面に向かって吐出させながら軸方向に移動させることにより、円筒形基体10の外周面にらせん状に塗布することにより、図3(b)に示すように、円筒形基体10の外周面を覆う塗膜を得ることができる。
この方法によれば、本発明の基層1を形成する際、基層用材料における非シリコーン系ゴム粒子の均一分散が損なわれないため、本発明の基層の特徴的構成と相俟って、非常に優れた機械特性、電気特性を供えた無端ベルトを得ることができる。
そして、本発明において、上記基層1の島相4の平均粒径は0.1〜10μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜5μmの範囲内である。すなわち、島相4の平均粒径が0.1μm未満であると、応力緩和部位が少なすぎるため、強度アップ効果が乏しくなる傾向がみられ、逆に島相4の平均粒径が10μmを超えると、剛性(引張弾性率)が低下する傾向がみられるからである。
なお、上記島相4の平均粒径の測定法は、特に限定はないが、例えば、走査形電子顕微鏡(SEM)や走査形プローブ顕微鏡(SPM)等により、各島相4を観察してその径を測定し、それら粒径の平均値を求めることによって算出することができる。
また、本発明において、基層1の海相3と島相4との割合は、島相/(島相+海相)=0.1〜30体積%となるよう設定することが好ましく、特に好ましくは0.5〜10体積%の範囲内である。すなわち、島相4の割合が、上記の範囲より少ないと、島相4による応力緩和部位が少なすぎるため、強度アップ効果が乏しくなる傾向がみられ、逆に、島相4の割合が、上記の範囲より多いと、基層1の剛性が低下する傾向がみられるからである。
なお、上記海相3と島相4との割合を体積基準で求める方法としては、例えば、マイクロスコープを用いて上記海相3と島相4の構成部分を二値化する等の方法をあげることができる。
また、上記の製法において、表層2の形成方法も、上記ディッピング法に限定されるものではなく、基層1の形成方法と同様、スプレーコーティングや、遠心成型等、適宜の方法を選択することができる。
そして、本発明の無端ベルトの各層の厚みは、ベルトの用途に応じて適宜に設定されるが、基層1の厚みは、通常、30〜300μmの範囲内であり、好ましくは50〜200μmの範囲内である。また、表層2の厚みは、0.1〜10μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜5μmの範囲内である。
また、本発明の無端ベルトは、内周長が90〜1500mmで、幅が100〜500mm程度のものが好ましい。すなわち、上記寸法の範囲内に設定すると、電子写真複写機等に組み込んで使用するのに適した大きさとなるからである。
なお、本発明の無端ベルトは、前記図1に示したような、基層1の外周面に表層2を直接形成した2層構造に限定されるものではない。例えば、基層1のみからなる単層構造、基層1と表層2との間に、熱可塑性樹脂層もしくはゴム弾性層を介在させた3層構造、基層1と表層2との間に、熱可塑性樹脂層およびゴム弾性層の双方を介在させた4層構造等であっても差し支えない。ただし、これらの場合においても、基層1は、前述の海−島構造体で形成されていなければならない。
上記基層1と表層2との間に介在させることのできる熱可塑性樹脂層用材料としては、特に限定はないが、熱可塑性樹脂とともに、必要に応じて、メチルエチルケトン(MEK),トルエン等の溶剤等が用いられる。なお、この熱可塑性樹脂層用材料中にも、先に述べたような、導電性充填剤を配合しても差し支えない。
また、上記熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)系樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、難燃性に優れる点で、PVDF等のフッ素系樹脂を用いることが好ましい。
さらに、上記基層1と表層2との間に介在させることのできるゴム弾性層用材料としては、ゴム材および加硫剤とともに、必要に応じて、加硫促進剤、溶剤、加工助剤、老化防止剤等が用いられる。なお、このゴム弾性層用材料中にも、先に述べたような、導電性充填剤を配合しても差し支えない。
上記ゴム材としては、特に限定はないが、難燃性の観点から、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)、クロロプレンゴム(CR)等が用いられる。これらのなかで、電子写真機器用無端ベルトに要求される電気特性、弾力性、耐久性に合わせて最適材料が選定される。
そして、本発明の無端ベルトは、フルカラーLBPやフルカラーPPC等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、トナー像の転写用,紙転写搬送用,感光体基体用等の用途に好適に用いられるが、これに限定するものではなく、例えば、フルカラーではない、単色の電子写真複写機の転写ベルト等にも使用することができる。
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記の材料を準備した。
<PAI樹脂材料>
・トリメリット酸無水物(TMA)
Mn:192.12
・ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
日本ポリウレタン社製、ミリオネートMT(Mn:250.26)
<PI樹脂材料>
・ピロメリット酸二無水物(PMDA)
ダイセル化学工業社製(Mn:218)
・4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)
和歌山精化工業社製(Mn:200.2)
<非シリコーン系ゴム粒子>
・アクリル酸変性加硫ゴム1
平均粒子径:1.0μm 中国石化社製、Narpow VP−301の分級品
・アクリル酸変性加硫ゴム2
平均粒子径:0.1μm、中国石化社製、Narpow VP−301の分級品
・アクリル酸変性加硫ゴム3
平均粒子径:10.0μm、中国石化社製、Narpow VP−301の分級品
・アクリル酸変性加硫ゴム4
平均粒子径:1.0μm、上記アクリル酸変性加硫ゴム1を、300℃×20時間加熱 し、硬化(劣化)させたもの。
・アクリル酸変性加硫ゴム5
平均粒子径:1.0μm、上記アクリル酸変性加硫ゴム1を、350℃×20時間加熱 し、硬化(劣化)させたもの。
・カルボキシ変性NBRゴム
平均粒子径:1.0μm、中国石化社製、Narpow VP−502の分級品
・カルボキシ化SBRゴム
平均粒子径:1.0μm、中国石化社製、Narpow VP−201の分級品
<導電性充填剤>
・カーボンブラック
昭和キャボット社製、ショウブラックN220
〔実施例1〕
(1)基層用材料溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、トリメリット酸無水物(TMA)38重量部(以下「部」と略す)と、MDI50部と、NMP溶剤200部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。つぎに、このPAI−NMP溶液100部に対し、アクリル酸変性加硫ゴム1を3部の割合で添加し、常温(25℃)下で、羽根撹拌で混合した。つづいて、この溶液に、カーボンブラック10部を配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料溶液を調製した。
(2)無端ベルトの作製
金型(円筒形基体)を準備し、この表面に、図3(a)および(b)に示すらせん状スプレーコーティングの方法(特許第3855896号公報参照)により、上記基層用材料溶液をスプレーコーティングした。そして、常温〜250℃まで2時間かけて昇温させた後、250℃で1時間加熱処理をした。つぎに、基層と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。なお、得られた基層における海相を構成するPAI樹脂の硬度は123、同じく島相を構成するアクリル酸変性加硫ゴム1の硬度は1.4であり、その硬度比(海相/島相)は、90である。
〔実施例2〜9〕
非シリコーン系ゴム粒子の種類や材料組成を、後記の表1および表2に示すように変更した。それ以外は、上記実施例1と同様にして、基層用材料溶液を調製し、得られた基層用材料溶液を用いて、上記実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。なお、上記基層において、アクリル酸変性加硫ゴム2、3を用いたものは、それらの硬度が、上記アクリル酸変性加硫ゴム1と同一であり、海相/島相の硬度比は、実施例1と同一である。一方、カルボキシ変性NBRゴムの硬度は1.8、カルボキシ化SBRゴムの硬度は2.0であることから、実施例2、実施例3における海相/島相の硬度比は、それぞれ70、60である。
〔実施例10〕
(1)基層用材料溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)44部と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)40部と、NMP溶剤200部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら、常温(25℃)以下の温度で、約3時間反応させた後、反応を停止することにより、PIの前駆体であるポリアミド酸−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。つぎに、このポリアミド酸−NMP溶液に、ジメチルシリコーンオイル0.1部を添加し、常温下で羽根撹拌により混合した。つづいて、この溶液に、カーボンブラック10部を配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料溶液を調製した。
(2)無端ベルトの作製
金型(円筒形基体)を準備し、この表面に、図3(a)および(b)に示すらせん状スプレーコーティングの方法(特許第3855896号公報参照)により、上記基層用材料溶液をスプレーコーティングした。そして、常温〜300℃まで2時間かけて昇温させた後、300℃で1時間加熱処理をした。つぎに、基層と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。なお、上記基層において海相を構成するPI樹脂の硬度は160、同じく島相を構成するアクリル酸変性加硫ゴム1の硬度は1.4であり、その硬度比(海相/島相)は、110である。
〔実施例11〜14〕
材料組成を、後記の表3に示すように変更した。それ以外は、上記実施例10と同様にして、基層用材料溶液を調製し、得られた基層用材料溶液を用いて、上記実施例10と同様にして、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。
〔実施例15〕
基層用材料溶液の調製において、ゴム粒子として、前記アクリル酸変性加硫ゴム4を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。この基層の島相を構成するアクリル酸変性加硫ゴム4の硬度は12であり、海相/島相の硬度比は、10であった。
〔実施例16〕
(1)基層用材料溶液の調製
前記実施例1と同様にして、基層用材料溶液を調製した。
(2)表層用材料溶液の調製
シリコーングラフトアクリル系樹脂(東亞合成社製、サイマックUS−350)100部と、トルエン溶剤500部とを配合し、撹拌羽根で混合して、表層用材料溶液を調製した。
(3)無端ベルトの作製
金型(円筒形基体)を準備し、この表面に、前記実施例1と同様にして基層を形成した後、その表面に、上記表層用材料溶液をディッピング法にてコーティングし。そして、乾燥した後、基層と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造の無端ベルトを作製した。
〔実施例17〕
スプレーコーティングの方法を、垂直方向らせん状スプレーコーティングではなく、金型(円筒形基体)の回転軸を水平方向にして塗工を行う、一般的なスプレーコーティングによって行った。それ以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。
〔比較例1〕
基層用材料溶液の調製において、非シリコーン系ゴム粒子として、前記アクリル酸変性加硫ゴム5を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。この基層の島相を構成するアクリル酸変性加硫ゴム5の硬度は15であり、海相/島相の硬度比は、8である。
〔比較例2、3〕
材料組成を、後記の表5に示すように変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、基層用材料溶液を調製し、得られた基層用材料溶液を用いて、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。
〔比較例4〕
基層用材料溶液の調製において、非シリコーン系ゴム粒子に代えて、後記の表5に示すジメチルシリコーンオイルを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)のみからなる単層構造の無端ベルトを作製した。
このようにして得られた実施例および比較例の無端ベルトの海−島構造体の、下記の示す特性を、下記の方法で測定するとともに、下記の基準に従って評価した。これらの結果を、後記の表1〜表5に併せて示した。
〔海相/島相の硬度比〕
各相を構成する樹脂もしくはゴム単独の硬度をユニバーサル硬度計によって測定し、その硬度比を算出した。
〔島相/(島相+海相)の割合(体積%)〕
マイクロスコープを用いて海相と島相の構成部分を二値化して算出した。
〔島相の平均粒径〕
無端ベルトの基層の海−島構造につき、SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、S−3000N)を用いて、島相の平均粒径を測定した。
〔引張弾性率、破断歪み〕
JIS K7127に準じて、引張弾性率および破断歪みを測定した。なお、引張速度は、毎分10±2.0mmとした。
〔MIT回数(耐屈曲性)〕
各無端ベルトを15mm×150mmの短冊状に切り出し、ラボ環境(25℃×45%RH)下において、MIT耐揉疲労試験機(東洋精機製作所社製、Folding Endurancetester MIT−D)を用いてMIT試験を行い、MIT回数を測定した。試験条件は、スプリング介在状態で荷重1.0kg、反復速度175サイクル/分、振り角135°(左右とも)とした。なお、MIT回数は、耐屈曲性の評価の指標となるものであり、このMIT回数が多い程、耐屈曲性に優れていることを示す。
〔ベンチ耐久試験〕
直径13mmの金属製ローラーを2本準備し、2本の金属製ローラー間に無端ベルト(幅150mm)を張架した状態で、一方の金属製ローラーをテーブル上に固定した。ついで、テーブルに固定していない他方の金属製ローラーがテーブルの端部になるように配置し、この金属製ローラーの両端にオモリを2kgずつ吊り下げ(総荷重4kg)、ラボ環境(25℃×40%RH)下で、無端ベルトを回転駆動させた。そして、無端ベルトに亀裂が確認できるまでの累積回転数を測定した。
Figure 2009086087
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Figure 2009086087
Figure 2009086087
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上記の結果から、いずれの実施例品も、ポリアミドイミド樹脂もしくはポリイミド樹脂を海相3とし、非シリコーン系ゴム粒子を島相4とし、両者の硬度比(海相/島相)が10.0以上の、特殊な構成の基層1を、塗工によって形成したものであるため、上記特殊な島相4が均一に分散し、優れた品質を備えている。ただし、基層1を、水平方向らせん状スプレーコーティングによって形成したもの(実施例17品)は、垂直方向らせん時イヴスプレーコーティングによって形成したものに対し、やや品質が劣っている。
これに対し、比較例1品は、海相3と島相4の硬度比が、本発明の範囲を外れているため、応力緩和効果等が小さく、従来品、例えば比較例4品に比べて品質が優れているとはいえない。また、比較例2品は、基層1がPAI樹脂のみから形成されて海−島構造を形成しておらず、実施例1品に比べて、耐屈曲性およびベンチ耐久性が劣り、比較例3品は、基層1がPI樹脂のみから形成されて海−島構造を形成しておらず、実施例10品に比べて、ベンチ耐久性が劣っている。さらに、比較例4品は、実施例品と同様、塗工によって基層1を形成したものであるが、海−島構造体の構成が異なるため、その品質が実施例品に比べて劣っている。
本発明の電子写真機器用無端ベルトは、フルカラーLBP(レーザービームプリンター)やフルカラーPPC(プレーンペーパーコピア)等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、中間転写ベルトや紙転写搬送ベルト等に好適に用いられる。
本発明の電子写真機器用無端ベルトの一例を示す部分断面図である。 本発明の基層を構成する海−島構造体の模式的な説明図である。 (a),(b)は、いずれも本発明の基層を形成するのに適したスプレーコーティングの説明図である。
符号の説明
1 基層
2 表層

Claims (4)

  1. 基層のみからなる単層、もしくは基層を含む複数層からなる電子写真機器用無端ベルトであって、上記基層が、ポリアミドイミド樹脂溶液またはポリイミド樹脂の前駆体溶液中に非シリコーン系ゴム粒子を分散含有させた分散液を塗膜化してなる、ポリアミドイミド樹脂またはポリイミド樹脂を海相とし上記非シリコーン系ゴム粒子を島相とする海−島構造体によって形成されており、上記海−島構造体における海相と島相の、ユニバーサル硬度計によって測定されるユニバーサル硬度の比が、海相/島相≧10.0に設定されていることを特徴とする電子写真機器用無端ベルト。
  2. 上記島相が、アクリル酸変性加硫ゴムまたはカルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴムによって構成されている請求項1記載の電子写真機器用無端ベルト。
  3. 上記海−島構造体における島相の平均粒径が、0.1〜10μmの範囲内に設定されている請求項1または2記載の電子写真機器用無端ベルト。
  4. 上記海−島構造体における海相と島相との割合が、島相/(島相+海相)=0.1〜30体積%となるよう設定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真機器用無端ベルト。
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