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JP6153308B2 - 振動式部品搬送装置 - Google Patents

振動式部品搬送装置 Download PDF

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JP6153308B2
JP6153308B2 JP2012225121A JP2012225121A JP6153308B2 JP 6153308 B2 JP6153308 B2 JP 6153308B2 JP 2012225121 A JP2012225121 A JP 2012225121A JP 2012225121 A JP2012225121 A JP 2012225121A JP 6153308 B2 JP6153308 B2 JP 6153308B2
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Description

本発明は、加振機構の駆動により部品搬送部材を振動させて部品を搬送する振動式部品搬送装置に関する。
振動式部品搬送装置には、部品搬送部材に対して部品搬送に最適な振動を付与することを目的として、鉛直方向に向けた水平振動用板ばねで床上に設置される基台と中間振動体とを連結し、水平方向に向けた鉛直振動用板ばねで部品搬送部材と中間振動体とを連結して、部品搬送部材の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整できる構成とした複合振動式のものがある。
ところで、このような複合振動式の部品搬送装置では、部品搬送部材(これに取り付けられる上部振動体等も含む)の重心Gまわりの回転運動(以下、「ピッチング運動」と称する。)が生じて部品搬送が不安定になることがあり、このピッチング運動を防止するために、鉛直振動用板ばねを2枚1組とし、部品搬送部材および中間振動体とともにラーメン構造を構成するように配置することが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1で提案された鉛直振動用板ばねの配置をとっても、搬送する部品の性状や部品供給相手の構造等によって部品搬送部材が長くなったり質量が増加したりした場合には、部品搬送部材の重心Gまわりのモーメントが大きくなるため、ピッチング運動が発生することがある。また、部品搬送部材が非対称な形状となり、その重心Gの位置が加振機構を構成する電磁石の吸引位置からずれた場合は、その吸引力が重心Gからずれた位置に作用するため、その吸引力によって重心Gまわりのモーメントが生じ、ピッチング運動が発生する。
これに対し、本出願人は、部品搬送部材のピッチング運動が、部品搬送部材の基台に対する相対的なピッチング運動(以下、単に「相対的ピッチング運動」とも称する。)と、これと逆位相の基台のピッチング運動とを合成したものとなると考えて、基台に錘を設け、基台のピッチング運動の振幅が部品搬送部材の相対的ピッチング運動の振幅に近づくように基台の質量を調整することにより部品搬送部材のピッチング運動を抑制する技術を開発し、これを本願に先立って出願した(特願2011−243393)。
特開2003−40418号公報
上記先行出願においては、部品搬送部材に作用する慣性モーメントが大きい場合(部品搬送部材が長い場合や質量が大きい場合)には、部品搬送部材の相対的ピッチング運動の振幅が大きくなるため、基台の質量を増やして基台のピッチング運動の振幅を大きくすればよいとしている。ところが、この場合、部品搬送部材だけでなく基台の質量も増加するため、部品搬送方向と同一方向である水平方向の固有振動数が低下する。そして、通常は、大きな振幅が必要な水平方向の振動変位が効率良く得られるように、電磁石に与える電源電圧波形の周波数(駆動周波数)をこの水平方向の固有振動数付近の周波数に設定して共振振動を発生させるので、水平方向の固有振動数が低下すると駆動周波数も低下し、部品搬送速度が遅くなってしまう。
そこで、本発明は、複合振動式の部品搬送装置において、部品搬送速度を維持しながら部品搬送部材のピッチング運動を抑制できるようにすることを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、部品搬送路が形成された部品搬送部材と、前記部品搬送部材が取り付けられる上部振動体と、床上に設置される基台と、前記上部振動体と基台との間に設けられる中間振動体と、前記中間振動体と基台とを連結する第1の弾性部材と、前記上部振動体と中間振動体とを連結する第2の弾性部材とを備え、前記第1の弾性部材と第2の弾性部材のうちの一方を水平振動用弾性部材、他方を鉛直振動用弾性部材とし、前記水平振動用弾性部材と第1の加振機構とで部品搬送部材に水平方向の振動を付与し、前記鉛直振動用弾性部材と第2の加振機構とで部品搬送部材に鉛直方向の振動を付与するようにした振動式部品搬送装置において、前記中間振動体および基台に発生する回転振動の固有振動数を、前記部品搬送部材および上部振動体に発生する回転振動の固有振動数よりも大きくした構成を採用した。以下に、本発明がこの構成を採用した理由を説明する。
一般的な振動式部品搬送装置においては、並進振動するモードと回転振動するモードの2つが存在する。ピッチング運動の要因となっているのは後者の回転振動モードであり、その固有振動数は並進振動モードの固有振動数近辺にある。そして、複合振動式のものでは、水平方向と鉛直方向に振動可能となっているため、それぞれの振動方向に対し並進振動モードと回転振動モードが存在する。
図7は複合振動式の部品搬送装置の簡易モデルを示す。この簡易モデルにおける上部剛体Aは、部品搬送部材(上部振動体を含む)に相当する。また、ばねKaは鉛直振動用弾性部材に、下部剛体Bは中間振動体および基台に、ばねKbは下部剛体Bと床面Fとの間に設けられる防振部材にそれぞれ相当する。そして、重心Gaは上部剛体Aの重心を、重心Gbは下部剛体Bの重心を表している。なお、実際には中間振動体と基台とは水平振動用弾性部材で連結されているが、水平振動用弾性部材は鉛直方向には作用しないため、この簡易モデルでは考慮しない。
上記簡易モデルにおいて、下部剛体Bの重心Gbまわりのピッチング運動が水平方向振動の回転振動モード、上部剛体Aの重心Gaまわりのピッチング運動が鉛直方向振動の回転振動モードとなる。一方、電磁石の駆動周波数は、前述のように、水平方向振動における並進振動モードの固有振動数付近となる。
水平方向振動の並進振動モードの固有振動数は、下部剛体Bの質量、ばねKbの構成を変えることで調整できる。同様に、鉛直方向振動の並進振動モードの固有振動数も、上部剛体Aの質量、ばねKaの構成を変えることで調整できる。なお、各回転振動モードの固有振動数は、並進振動モードの固有振動数に追従するが、慣性モーメントを変化させることで並進振動モードの固有振動数との関係を調整できる。ただし、慣性モーメントを変化させるには端部の質量を変えることで行うのが一般的であるため、並進振動モードと回転振動モードの固有振動数の差の調整には限界がある。
ここで、水平方向振動の回転振動モード(下部剛体Bに発生する回転振動)の固有振動数を、鉛直方向振動の回転振動モード(上部剛体Aに発生する回転振動)の固有振動数よりも小さくした場合、その振動数と振動レベルおよび位相の関係は図8のようになる。図8中の水平方向振動の回転振動モードの振動レベルは図7における床上から見たB1点のピッチング運動、鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルは図7においてB1点から見たA1点の相対的なピッチング運動をそれぞれ示している。なお、簡略化のため、鉛直方向振動の並進振動モードは図示していない。また、電磁石の駆動周波数は、水平方向振動における並進振動モードの固有振動数付近となるため、水平方向振動の回転振動モードと鉛直方向振動の回転振動モードの振動波形の位相はほぼ同じになる。したがって、部品搬送部材のピッチング運動(床上から見たA1点の絶対的なピッチング運動)は、水平方向振動の回転振動モードの振動レベルと鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルの和となる。
いま、図8中の実線の状態のときに、部品搬送部材のピッチング運動が抑制されているとする。この状態で部品搬送部材を質量および慣性モーメントが大きいものと交換した場合、鉛直方向振動の並進および回転振動モードの固有振動数が低くなる(図8中の破線)。なお、実際には水平方向振動の並進および回転振動モードの固有振動数も低下するが、ここでは無視する。このとき、駆動周波数における鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルが大きくなるため、部品搬送部材のピッチング運動が大きくなる。
上記のピッチング運動の増幅を抑えるには、水平方向振動の回転振動モードの固有振動数を上げて、駆動周波数における水平方向振動の回転振動モードの振動レベルを低下させるか、あるいは水平方向振動の並進振動モードの固有振動数(電磁石の駆動周波数)を下げて、鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルを低下させることが考えられる。
前者の場合は、水平方向振動の回転振動モードの固有振動数を上げるために、下部剛体Bの質量を減らして慣性モーメントを小さくすることになるが、前述のとおり、並進振動モードと回転振動モードの固有振動数を大きく離すことは難しい。したがって、水平方向振動の並進振動モードの固有振動数も上がってしまい、これに伴って電磁石の駆動周波数も上がるので、鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルがさらに大きくなり、ピッチング運動を抑制することは困難である。
一方、後者の場合、水平方向振動の並進振動モードの固有振動数を下げるために、下部剛体Bの質量を増やして慣性モーメントを大きくすることになる。このときには、図9の破線で示すように、水平方向振動の回転振動モードの固有振動数も下がり、その振動レベルはほとんど変わらないが、鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルが低下するため、ピッチング運動の抑制が可能である。ただし、この場合には、電磁石の駆動周波数が低くなるため部品搬送速度が低下してしまう。
次に、水平方向振動の回転振動モードの固有振動数を、鉛直方向振動の回転振動モードの固有振動数よりも大きくした場合について説明する。この場合の振動数と振動レベルおよび位相の関係を図10に示す。このとき、電磁石の駆動周波数における水平方向振動の回転振動モードと鉛直方向振動の回転振動モードの振動波形は逆位相になる。したがって、部品搬送部材のピッチング運動は、水平方向振動の回転振動モードの振動レベルと鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルの差で表されることになる。
図10中の実線の状態では、駆動周波数における水平方向振動の回転振動モードの振動レベルと鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルが同じであるため、部品搬送部材のピッチング運動は発生しない。この状態で部品搬送部材を質量および慣性モーメントが大きいものと交換した場合、鉛直方向振動の並進および回転振動モードの固有振動数が低くなる(図10中の破線)。なお、実際には水平方向振動の並進および回転振動モードの固有振動数も低下するが、ここでは無視する。このとき、駆動周波数における水平方向振動の回転振動モードの振動レベルと鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルに差が生じるため、部品搬送部材のピッチング運動が発生する。
上記のピッチング運動を抑制するには、図11中の破線で示すように、水平方向振動の回転振動モードの固有振動数を上げて、電磁石の駆動周波数における水平方向振動の回転振動モードの振動レベルと鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルとを同じレベルにすればよい。このとき、水平方向振動の並進振動モードの固有振動数も上がることになるが、前述のとおり並進振動モードと回転振動モードの固有振動数の関係は多少変えられるので、水平方向振動と鉛直方向振動の回転振動モードの振動レベルを同レベルとして、ピッチング運動を抑制することが可能である。しかも、この場合は、水平方向振動の並進振動モードの固有振動数、つまり電磁石の駆動周波数が低くならないため、部品搬送速度を維持することができる。
以上のことから、本発明では、水平方向振動の回転振動モード(図7における下部剛体Bすなわち中間振動体および基台に発生する回転振動)の固有振動数を、鉛直方向振動の回転振動モード(図7における上部剛体Aすなわち部品搬送部材および上部振動体に発生する回転振動)の固有振動数よりも大きくすることにより、部品搬送速度を維持しながら部品搬送部材のピッチング運動を抑制することを可能としたのである。
上記の構成においては、前記基台に錘を設けることが望ましい。錘の質量を変えることにより、中間振動体および基台に発生する回転振動の固有振動数の調整を容易に行えるからである。
前記基台と床面との間に防振部材を設けている場合は、前記基台のピッチング運動の振幅が前記部品搬送部材の基台に対する相対的なピッチング運動の振幅に近づくように基台の質量を調整すればよい。
ここで、前記錘は、複数の錘片からなり、その錘片の数を増減することにより質量調整が可能なものとするとよく、前記基台の端部に設けることが望ましい。基台の質量を変化させる部位が重心から遠いほど、質量の増減によるピッチング運動の振幅への影響が大きくなり、質量調整が容易になるからである。
また、前記錘は複数箇所に設けることが望ましい。基台の1箇所のみ質量を変化させると基台の重心が移動し、ピッチング運動の中心がずれて調整が困難になるが、錘の設置箇所を複数にすれば、基台の重心が移動しないように錘の質量を調整できるからである。逆に、複数箇所に設けた錘の質量を調整して基台の重心の位置を装置中心付近に移動させることにより、搬送挙動の安定化を図ることもできる。また、前記錘の設置位置を鉛直方向に調整可能としても、基台の重心を装置中心付近に移動させて安定した搬送挙動が得られるようにすることができる。
前記水平振動用弾性部材は、前記中間振動体への固定位置と前記基台または上部振動体への固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように配置するとよい。このようにすれば、水平振動用弾性部材の水平方向の変形が鉛直方向の変位につながらなくなり、水平方向の振動に起因する鉛直方向の振動の発生が抑えられる。このとき、前記水平振動用弾性部材を、部品搬送方向に複数設け、それぞれの前記中間振動体への固定位置と前記基台または上部振動体への固定位置の位置関係が部品搬送方向で交互に入れ替わるように配置すれば、水平面内で部品搬送方向と直交する方向の振動も抑制できるので、搬送挙動をさらに安定させることができる。
一方、前記鉛直振動用弾性部材は、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したり、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したりすればよい。
前記各加振機構を電磁石と可動鉄心とで構成し、そのうちの一方の電磁石への印加電圧設定回路に、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段と、前記基準波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設け、他方の電磁石への印加電圧設定回路には、前記基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段と、位相差調整手段で発生した波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設けて、各電磁石への印加電圧の波形、周期、位相差および振幅を自在に制御できるようにすれば、水平方向の振動と鉛直方向の振動を容易に所望の振動に近づけることができる。
また、前記各加振機構の電磁石への印加電圧設定回路に、それぞれの前記波形振幅調整手段で振幅を調整された波形をPWM(Pulse Width Modulation)信号に変換するPWM信号発生手段を設けて、PWM方式で各加振機構を駆動することができる。
本発明の振動式部品搬送装置は、上述したように、中間振動体および基台に発生する回転振動の固有振動数を、部品搬送部材および上部振動体に発生する回転振動の固有振動数よりも大きくしたものであるから、部品搬送速度を維持しながら、床上から見た部品搬送部材のピッチング運動を抑制でき、ひいては部品搬送部材に所望の振動を容易に付与することができ、安定した部品搬送を実現できる。
実施形態の部品搬送装置の一部切欠き正面図 図1のトラフを除いた上面図 図1の側面図 図1の部品搬送装置の各加振機構の印加電圧設定回路の概略図 図1の鉛直振動用板ばねの配置の変形例を示す一部切欠き正面図 図5のトラフを除いた上面図 本発明の作用を説明するための部品搬送装置の簡易モデルの正面図 一般的な部品搬送装置のピッチング運動の増幅挙動を説明するグラフ 図8のピッチング運動の抑制方法を説明するグラフ 本発明の部品搬送装置のピッチング運動の発生挙動を説明するグラフ 図10のピッチング運動の抑制方法を説明するグラフ
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この振動式部品搬送装置は、図1乃至図3に示すように、直線状の搬送路1aが形成されたトラフ(部品搬送部材)1を上部振動体2の上面に取り付け、上部振動体2と床上に設置される基台3との間に中間振動体4を設け、中間振動体4と基台3とを2つの第1の弾性部材としての板ばね5で連結し、上部振動体2と中間振動体4とを4つの第2の弾性部材としての板ばね6で連結し、中間振動体4と基台3の間に水平方向(部品搬送方向、図中のX方向)の振動を発生させる第1の加振機構7を設け、上部振動体2と基台3の間に鉛直方向(図中のZ方向)の振動を発生させる第2の加振機構8を設けたものである。
前記基台3は、矩形状に形成され、その対角の二隅に柱状の板ばね取付部3aが立設されており、床面Fに固定された防振ゴム(防振部材)18に支持されている。なお、防振部材にはコイルばね等を用いてもよい。
また、基台3の部品搬送方向の両端には、それぞれ錘19が設けられている。これらの各錘19は、脱着可能な複数の錘片19aからなり、その錘片19aの数を増減することにより質量調整が可能なものとなっている。ここで、図示は省略するが、錘19の基台3への取付方法は、各錘片19aに通し孔を設け、ボルト等でねじ止めする方法とすることができる。このとき、基台3に設けるねじ穴を高さ方向に複数配置して、錘19の基台3への取付位置を鉛直方向に調整可能とすることにより、搬送挙動の安定化を図るために基台3の重心の位置を装置中心付近に移動させたり、錘19と他の機器との干渉を避けたりすることが容易にできるようになる。なお、この実施形態では錘19を複数の錘片19aで構成したが、単体で所望の質量となっている錘を用いてもよい。
前記中間振動体4は、矩形枠形状に形成され、その対角の二隅が外周側で基台3の板ばね取付部3aの上端部と対向し、内周面が上部振動体2の下部と対向するように配置されている。また、その外周面には、基台3の板ばね取付部3aと対向しない対角の二隅から部品搬送方向(X方向)に突出する板ばね取付部4aが設けられている。
前記第1の板ばね5は、表裏面を部品搬送方向に向けられ、両端の固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように、一端部を基台3の板ばね取付部3aに他端部を中間振動体4の板ばね取付部4aにそれぞれ固定されて、中間振動体4を水平方向に振動可能に支持する水平振動用板ばね(水平振動用弾性部材)となっている。ここで、基台3の2つの板ばね取付部3aと、中間振動体4の2つの板ばね取付部4aとは、同じ取付部の設置位置どうしを結んだ直線が平面視で交差するように設けられているため、2つの水平振動用板ばね5は、それぞれの2箇所の固定位置の位置関係が部品搬送方向で入れ替わるように配置されることになる。
一方、前記第2の板ばね6は、表裏面を鉛直方向に向けられ、両端の固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように、一端部を上部振動体2の下部に他端部を中間振動体4の長手方向縁部にそれぞれ固定されて、上部振動体2を鉛直方向に振動可能に支持する鉛直振動用板ばね(鉛直振動用弾性部材)となっている。
また、前記第1の加振機構7は、基台3上に設置される交流電磁石9と、この電磁石9と所定の間隔をおいて対向するように中間振動体4に取り付けられる可動鉄心10とで構成されている。なお、可動鉄心10は、この例では中間振動体4に取り付けたが、上部振動体2に取り付けるようにしてもよい。一方、前記第2の加振機構8は、基台3上に設置される交流電磁石11と、この電磁石11と所定の間隔をおいて対向するように上部振動体2に取り付けられる可動鉄心12とで構成されている。
第1の加振機構7の電磁石9に通電すると、電磁石9と可動鉄心10との間に断続的な電磁吸引力が作用し、この電磁吸引力と水平振動用板ばね5の復元力により、中間振動体4に水平方向の振動が発生し、この振動が鉛直振動用板ばね6を介して上部振動体2およびトラフ1に伝わる。また、第2の加振機構8の電磁石11に通電すると、電磁石11と可動鉄心12との間に断続的な電磁吸引力が作用し、この電磁吸引力と鉛直振動用板ばね6の復元力により、上部振動体2およびトラフ1に鉛直方向の振動が発生する。そして、この水平方向の振動と鉛直方向の振動により、トラフ1に供給された部品が直線状搬送路1aに沿って搬送される。
したがって、各加振機構7、8の電磁石9、11への印加電圧を別々に設定することにより、トラフ1の水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整することができる。
図4は各加振機構7、8の電磁石9、11へ印加電圧を設定する回路を示す。第1の加振機構7の回路には、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段13が設けられている。基準波形発生手段13では、波形の種類(例えば、正弦波)とその波形の周期(周波数)の設定値に応じた基準波形を発生させる。一方、第2の加振機構8の回路には、基準波形発生手段13で発生した基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段14が設けられている。
そして、各加振機構7、8の回路において、基準波形発生手段13または位相差調整手段14で発生した波形を、波形振幅調整手段15で所定の振幅に調整して、PWM信号発生手段16でPWM信号に変換した後、電圧増幅手段17で昇圧し、それぞれの電磁石9、11へ印加するようになっている。これにより、各電磁石9、11への印加電圧の波形、周期、位相差および振幅を自在に制御して、水平方向の振動と鉛直方向の振動をそれぞれ調整することができる。なお、PWM方式で各加振機構を駆動しない場合は、PWM信号発生手段16は不要となる。
また、装置全体としては、前記中間振動体4および基台3に発生する回転振動(水平方向振動の回転振動モード)の固有振動数が、前記トラフ1および上部振動体2に発生する回転振動(鉛直方向振動の回転振動モード)の固有振動数よりも大きくなるように調整されている。その水平方向振動の回転振動モードの固有振動数は、水平振動用板ばね5の固定長、厚さ、枚数や、基台3および中間振動体4の慣性モーメントを変化させることにより調整する。一方、鉛直方向振動の回転振動モードの固有振動数は、鉛直振動用板ばね6の固定長、厚さ、枚数や、トラフ1および上部振動体2の慣性モーメントを変化させることにより調整する。
なお、実際には、客先でトラフ1が搭載されることが多く、そこで各板ばね5、6の仕様や上部振動体2等の各部材の慣性モーメントを変化させることは困難である。したがって、出荷前に、客先での搭載が想定されるトラフ1の質量および慣性モーメントの範囲において上記の調整を行い、客先では搭載するトラフ1に合わせて基台3に設置する錘19の調整のみでピッチング運動の抑制が可能な状態としておくことが望ましい。
この振動式部品搬送装置は、上記の構成であり、第1の加振機構7の駆動によって中間振動体4に振動が発生するとき、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定された水平振動用板ばね5は、水平方向にのみ変形して元の状態に戻る動作を繰り返す。これにより、中間振動体4に発生する振動は、鉛直方向の振動をほとんど含まず、ほぼ水平方向のみの振動となる。しかも、2つの水平振動用板ばね5の固定位置の位置関係が部品搬送方向で入れ替わるように配置されているので、水平面内で部品搬送方向と直交する方向(図2、3におけるY方向)の振動も抑制できる。
そして、基台3と床面Fとの間に防振ゴム18を設け、基台3に複数の錘片19aからなる錘19を設けるとともに、中間振動体4および基台3に発生する回転振動の固有振動数を、トラフ1および上部振動体2に発生する回転振動の固有振動数よりも大きくしているので、基台3のピッチング運動の振幅がこれと逆位相となるトラフ1の基台3に対する相対的なピッチング運動の振幅に近づくように、錘片19aの数を増減して基台3の質量を調整することにより、床上から見たトラフ1のピッチング運動を確実に抑えることができ、安定した部品搬送を実現することができる。しかも、このようにトラフ1のピッチング運動を抑制するために基台3の質量を調整するときも、部品搬送速度を維持することができる(図11参照)。
図5および図6は上述した実施形態の鉛直振動用板ばね6の配置の変形例を示す。この変形例では、鉛直振動用板ばね6を、部品搬送方向(図中のX方向)と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で、上部振動体2と中間振動体4の短手方向縁部に固定している。
上述した実施形態では、中間振動体と基台とを連結する第1の板ばねを水平振動用板ばねとし、上部振動体と中間振動体とを連結する第2の板ばねを鉛直振動用板ばねとしたが、これとは逆に、第1の板ばねが鉛直振動用板ばね、第2の板ばねが水平振動用板ばねとなるように構成してもよい。また、板ばねは各箇所に1枚ずつ配置したが、2枚以上重ねたものを1つとして使用してもよい。
また、水平振動用板ばねは2箇所に配置したが、3箇所以上で構成してもよく、その場合もそれぞれの中間振動体への固定位置と基台への固定位置との位置関係が部品搬送方向で交互に入れ替わるように配置すればよい。一方、鉛直振動用板ばねは4箇所に配置したが、2箇所以上で構成してもよい。
さらに、実施形態では、水平振動用弾性部材および鉛直振動用弾性部材に板ばねを使用しているが、板ばね以外の弾性部材ももちろん用いることができる。また、各加振機構は、電磁石と可動鉄心とからなるものを使用しているが、これに限らず、同様の加振力を発生させることができるアクチュエータであればよい。
1 トラフ(部品搬送部材)
2 上部振動体
3 基台
4 中間振動体
5 第1の板ばね(水平振動用板ばね)
6 第2の板ばね(鉛直振動用板ばね)
7 第1の加振機構
8 第2の加振機構
9、11 電磁石
10、12 可動鉄心
18 防振ゴム(防振部材)
19 錘
19a 錘片

Claims (9)

  1. 部品搬送路が形成された部品搬送部材と、前記部品搬送部材が取り付けられる上部振動体と、床上に設置される基台と、前記上部振動体と基台との間に設けられる中間振動体と、前記中間振動体と基台とを連結する第1の弾性部材と、前記上部振動体と中間振動体とを連結する第2の弾性部材とを備え、前記第1の弾性部材を水平振動用弾性部材、第2の弾性部材を鉛直振動用弾性部材とし、前記水平振動用弾性部材と第1の加振機構とで部品搬送部材に水平方向の振動を付与し、前記鉛直振動用弾性部材と第2の加振機構とで部品搬送部材に鉛直方向の振動を付与するようにした振動式部品搬送装置において、前記中間振動体および基台に発生する回転振動の固有振動数を、前記部品搬送部材および上部振動体に発生する回転振動の固有振動数よりも大きくしたことを特徴とする振動式部品搬送装置。
  2. 前記基台に錘を設けたことを特徴とする請求項1に記載の振動式部品搬送装置。
  3. 前記基台と床面との間に防振部材を設け、前記基台のピッチング運動の振幅が前記部品搬送部材の基台に対する相対的なピッチング運動の振幅に近づくように基台の質量を調整したことを特徴とする請求項1または2に記載の振動式部品搬送装置。
  4. 前記水平振動用弾性部材は、前記中間振動体への固定位置と前記基台または上部振動体への固定位置が部品搬送方向と直交する同一水平線上に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
  5. 前記水平振動用弾性部材は、部品搬送方向に複数設けられ、それぞれの前記中間振動体への固定位置と前記基台または上部振動体への固定位置の位置関係が部品搬送方向で交互に入れ替わるように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の振動式部品搬送装置。
  6. 前記鉛直振動用弾性部材を、部品搬送方向と直交する同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
  7. 前記鉛直振動用弾性部材を、部品搬送方向と平行な同一水平線上の2箇所の固定位置で固定したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
  8. 前記各加振機構を電磁石と可動鉄心とで構成し、そのうちの一方の電磁石への印加電圧設定回路に、印加電圧の基準波形を発生させる基準波形発生手段と、前記基準波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設け、他方の電磁石への印加電圧設定回路には、前記基準波形に対して所定の位相差をもつ波形を発生させる位相差調整手段と、位相差調整手段で発生した波形に対して振幅を調整する波形振幅調整手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の振動式部品搬送装置。
  9. 前記各加振機構の電磁石への印加電圧設定回路に、それぞれの前記波形振幅調整手段で振幅を調整された波形をPWM信号に変換するPWM信号発生手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載の振動式部品搬送装置。
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