以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、アクリル系モノマーとは、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくとも一方を有するモノマーであり、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種のアクリル系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
(偏光板用接着剤組成物)
本発明の偏光板用接着剤組成物(以下、「接着剤組成物」と記載することがある。)は、アクリル系樹脂(A)、およびアクリル系モノマー(B)を含有してなり、アクリル系樹脂(A)およびアクリル系モノマー(B)の少なくともアクリル系樹脂(A)が水酸基を含有し、かつ組成物中の固形分全体の水酸基価が50mgKOH/g以上である組成物である。
本発明の接着剤組成物の水酸基価は、50mgKOH/g以上であることが必要であり、好ましくは80mgKOH/g以上、特に好ましくは100mgKOH/g以上、更に好ましくは120mgKOH/g以上である。
かかる水酸基価の上限としては、通常500mgKOH/g、好ましくは495mgKOH/g、特に好ましくは490mgKOH/g、更に好ましくは485mgKOH/gである。
かかる水酸基価が低すぎると、PVA系偏光子に対する接着性が低下し、保護フィルムと偏光子を強固に貼り合わせることができなくなる。
本発明における組成物中の固形分全体の水酸基価とは、計算により求めた値である。
具体的には、組成物がn種類の固形分を含有する場合は、以下の式(1)で求めた値である。
OHV=OHV1×(W1/100)+OHV2×(W2/100)+…+OHVn×(Wn/100) …(1)
・OHV:組成物中の固形分全体の水酸基価(mgKOH/g):
・OHVn:各固形分の水酸基価(mgKOH/g)
・Wn:各固形分の組成物中の含有割合(重量%)
なお、固形分が、モノマーや低分子化合物の場合、その水酸基価は、以下の式(2)で求めた値である。
水酸基価(mgKOH/g)=(f×56,110)/M …(2)
・f:1分子中の水酸基数
・M:分子量
また、固形分が、樹脂(重合物)である場合、その水酸基価は、構成モノマーの水酸基価を上記(2)で求めた後、加重平均(構成モノマーの水酸基価に重量比を掛け合わせ合計する)をとって求めた値である。
本発明の接着剤組成物中の固形分全体の水酸基価を上記範囲とするためには、接着剤組成物の構成成分であるアクリル系樹脂(A)またはアクリル系モノマー(B)の一方、あるいはアクリル系樹脂(A)およびアクリル系モノマー(B)の両方に、水酸基を含有する樹脂・モノマーを使用し、それらの使用量を調整すればよい。
即ち、
[I]アクリル系樹脂(A)、アクリル系モノマー(B)の両方が水酸基を含有する場合
[II]アクリル系樹脂(A)が水酸基を含有し、アクリル系モノマー(B)は水酸基を含有しない場合
[III]アクリル系樹脂(A)が水酸基を含有せず、アクリル系モノマー(B)は水酸基を含有する場合
の3つの場合について、それぞれ種類・使用量等を調整すればよい。
ただし、本発明においては、少なくともアクリル系樹脂(A)が水酸基を含有することが必要であり、上記[I]および[II]の場合について、それぞれ種類・使用量等を調整すればよい。
本発明において、上記[I]〜[III]を考慮した共通的な各数値範囲は以下の通りである。
本発明におけるアクリル系樹脂(A)とアクリル系モノマー(B)の含有割合((A):(B))としては、好ましくは(A):(B)=80:20〜5:95、特に好ましくは(A):(B)=70:30〜10:90、更に好ましくは(A):(B)=60:40〜10:90、殊に好ましくは(A):(B)=55:45〜10:90である。
かかるアクリル系樹脂(A)の含有割合が多すぎると耐久性能が低下する傾向があり、アクリル系樹脂(A)の含有割合が少なすぎると硬化収縮が大きくなり接着性能が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、通常1,000〜500万、好ましくは5,000〜100万、特に好ましくは1万〜50万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると、接着剤層の耐久性能が低下する傾向があり、大きすぎると接着剤組成物の粘度が高くなり塗工性が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には15以下が好ましく、更には10以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると接着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、−80〜100℃、特には−70〜50℃、更には−60〜60℃であることが好ましく、かかるガラス転移温度が高すぎると接着性能が低下する傾向があり、低すぎると耐久性能が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10
7、分離範囲:100〜2×10
7、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いることができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。またガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
上記アクリル系樹脂(A)の固形分としては、好ましくは5〜95%、特に好ましくは10〜80%、更に好ましくは15〜70%である。
かかる固形分が低すぎると溶剤の使用量が多くなり乾燥適正が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなり塗工性が低下する傾向がある。
次に、上記[I]〜[III]の場合をそれぞれ説明する。
『[I]アクリル系樹脂(A)、およびアクリル系モノマー(B)の両方が水酸基を含有する場合』
<アクリル系樹脂(A)>
水酸基を含有するアクリル系樹脂(A)を水酸基含有アクリル系樹脂(A1)として説明する。
水酸基含有アクリル系樹脂(A1)は、水酸基含有モノマー(a1)を必須成分として含有し、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)、水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)、(a1)〜(a3)以外のその他の共重合性モノマー(a4)を含有する単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基の炭素数1〜20(好ましくは2〜4)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−プロパン(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミドモノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、重合時の反応性に優れる点で、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリルアミドモノマーが好ましく、特に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−プロパン(メタ)アクリルアミドである。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマーとしては、不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることも好ましく、更に0.3%以下、殊には0.2%以下のものを使用することが好ましく、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)としては、例えば、アルキル基の炭素数が、通常1〜20、特には1〜12、更には1〜10、殊には1〜8であることが好ましく、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、更に好ましくは相溶性や耐久性に優れる点でメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが用いられる。
上記水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられ、これらの中でも、効率的に架橋反応ができる点で、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これら水酸基以外の官能基含有モノマー(a3)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
(a1)〜(a3)以外のその他共重合性モノマー(a4)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、スチレン、α―メチルスチレン等の1つの芳香環を含有するモノマー;
ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン基を含有するモノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
上記水酸基含有モノマー(a1)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは20〜100重量%、特に好ましくは40〜100重量%、更に好ましくは60〜100重量%、殊に好ましくは80〜100重量%であり、かかる水酸基含有モノマー(a1)の含有量が少なすぎると接着性能が低下する傾向がある。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜80重量%、特に好ましくは0〜60重量%、更に好ましくは0〜40重量%、殊に好ましくは0〜20重量%であり、かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の含有量が多すぎると接着性能が低下する傾向がある。
水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜50重量%、特に好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは0〜30重量%、殊に好ましくは0〜20重量%であり、かかる水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)の含有量が多すぎると樹脂の保存安定性が低下する傾向がある。
(a1)〜(a3)以外のその他共重合性モノマー(a4)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%、殊に好ましくは0〜3重量%であり、かかるその他共重合性モノマー(a4)の含有量が多すぎると接着剤層の耐久性能が低下する傾向がある。
上記モノマーを重合して水酸基含有アクリル系樹脂(A1)を製造するにあたっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行なうことができるが、溶液ラジカル重合により製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成で水酸基含有アクリル系樹脂(A1)を製造できる点で好ましい。
かかる溶液ラジカル重合では、例えば、溶媒中に、モノマー(a1)〜(a4)、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜98℃で0.1〜20時間重合すればよい。
かかる溶媒としては、通常アクリル系樹脂の製造において一般に用いられる有機溶媒や水を用いればよく、有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられる。
また、特に水酸基含有モノマー(a1)の含有量が多いアクリル系樹脂(A1)を製造する場合、好ましくは水酸基含有モノマー(a1)を50重量%以上含有するアクリル系樹脂(A1)を製造する場合には、アルコール、水、ケトン等の極性溶媒を用いることが好ましく、特に好ましくはメタノール、エタノール、(イソ)プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、水等のプロトン性極性溶媒が好ましい。
上記極性溶媒の、全溶媒中における割合としては、10〜100重量%が好ましく、特に好ましくは30〜100重量%、更に好ましくは50〜100重量%である。
上記極性溶媒は、適宜配合すればよく、例えば、モノマー滴下前に敷液として配合したり、モノマー滴下中にモノマーと同時に配合したり、モノマー滴下後、重合反応終了後に希釈溶媒として配合したりすることができるが、モノマー滴下前の敷液として使用することが重合安定性・相溶性に優れる点で好ましい。
かかる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が具体例として挙げられる。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)の水酸基価としては、好ましくは100mgKOH/g以上、特に好ましくは200〜500mgKOH/g、更に好ましくは300〜490mgKOH/g、殊に好ましくは400〜485mgKOH/gである。
かかる水酸基価が高すぎると耐水性が低下する傾向があり、低すぎると偏光子との接着が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)の重量平均分子量は、通常1,000〜500万、好ましくは5,000〜100万、特に好ましくは1万〜50万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると、接着剤層の耐久性能が低下する傾向があり、大きすぎると接着剤組成物の粘度が高くなり塗工性が低下する傾向がある。
また、上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には15以下が好ましく、更には10以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると接着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
更に、上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)のガラス転移温度は、−80〜100℃、特には−70〜80℃、更には−35〜60℃であることが好ましく、かかるガラス転移温度が高すぎると接着性能が低下する傾向があり、低すぎると耐久性能が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度は、上述の方法により測定すればよい。
かかる[I]の場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系樹脂(A)として、水酸基含有アクリル系樹脂(A1)に加えて水酸基非含有のアクリル系樹脂を併用してもよいし、また、異なる種類の水酸基含有アクリル系樹脂(A1)を2種以上併用してもよい。
<アクリル系モノマー(B)>
水酸基を含有するアクリル系モノマー(B)を、水酸基含有アクリル系モノマー(B1)として説明する。
水酸基含有アクリル系モノマー(B1)としては、エチレン性不飽和基を1つ含有する水酸基含有アクリル系単官能モノマーであってもよいし、エチレン性不飽和基を2つ以上含有する水酸基含有アクリル系多官能モノマーであってもよい。
上記水酸基含有アクリル系単官能モノマーとしては、例えば、上述した水酸基含有モノマー(a1)と同じものを挙げることができる。なかでも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリルアミドモノマーが好ましく、アクリル樹脂との相溶性に優れる点や、偏光子や保護フィルムとの接着性に優れる点で特に好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル基の炭素数1〜10(好ましくは2〜8)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール−N−プロパン(メタ)アクリルアミドである。
上記水酸基含有アクリル系多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマーや、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、等の3官能以上のモノマーが挙げられる。中でも、アクリル樹脂との相溶性に優れる点や、初期接着力に優れる点で好ましくはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートである。
上記水酸基含有アクリル系モノマー(B1)の含有する水酸基数としては、通常1〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
かかる水酸基数が多すぎると初期接着力が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系モノマー(B1)の分子量としては、通常50〜2000、好ましくは80〜1000、特に好ましくは100〜600である。
かかる分子量が高すぎるとアクリル樹脂との相溶性が低下する傾向があり、低すぎると初期接着力が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系モノマー(B1)をホモポリマーとした際のガラス転移温度(Tg)としては、通常−70〜200℃、好ましくは−50〜180℃、特に好ましくは−35℃〜160℃である。
かかるTgが高すぎると初期接着力が低下する傾向があり、低すぎると接着剤層の耐久性が低下する傾向がある。
かかる[I]の場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系モノマー(B)として、水酸基含有アクリル系モノマー(B1)に加えて水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)を併用してもよいし、また、異なる種類の水酸基含有アクリル系モノマー(B1)を2種以上併用してもよい。
上記水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)としては、[II]において後述する水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)と同様のものを用いればよく、好ましくはN−アクリロイルモルホリン、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等である。
上記水酸基含有アクリル系モノマー(B1)と水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)を併用する場合において、(B1)と(B2)の合計量に対する(B1)の含有割合は好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜80重量%、殊に好ましくは50〜80重量%である。
かかる[I]の場合におけるアクリル系樹脂(A)とアクリル系モノマー(B)の含有割合(重量比)((A):(B))としては、好ましくは(A):(B)=80:20〜5:95、特に好ましくは(A):(B)=70:30〜10:90、更に好ましくは(A):(B)=60:40〜10:90、殊に好ましくは(A):(B)=55:45〜10:90である。
かかるアクリル系樹脂(A)の含有割合が多すぎると耐久性能が低下する傾向があり、アクリル系樹脂(A)の含有割合が少なすぎると接着性能が低下する傾向がある。
『[II]アクリル系樹脂(A)が水酸基を含有し、アクリル系モノマー(B)は水酸基を含有しない場合』
<アクリル系樹脂(A)>
水酸基を含有するアクリル系樹脂(A)を水酸基含有アクリル系樹脂(A1)として説明する。
水酸基含有アクリル系樹脂(A1)は、水酸基含有モノマー(a1)を必須成分として含有し、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)、水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)、(a1)〜(a3)以外のその他の共重合性モノマー(a4)を含有する単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。
かかるモノマー(a1)〜(a4)の種類については、[I]に場合に説明した各モノマーと同様のものを用いればよい。
上記水酸基含有モノマー(a1)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは30〜100重量%、特に好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは70〜100重量%、殊に好ましくは80〜100重量%であり、かかる水酸基含有モノマー(a1)の含有量が少なすぎると接着性能が低下する傾向がある。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜70重量%、特に好ましくは0〜50重量%、更に好ましくは0〜30重量%、殊に好ましくは0〜20重量%であり、かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の含有量が多すぎると接着性能が低下する傾向がある。
水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜50重量%、特に好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは0〜30重量%、殊に好ましくは0〜20重量%であり、かかる水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)の含有量が多すぎると樹脂の保存安定性が低下する傾向がある。
(a1)〜(a3)以外のその他共重合性モノマー(a4)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%、殊に好ましくは0〜3重量%であり、かかるその他共重合性モノマー(a4)の含有量が多すぎると接着剤層の耐久性能が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)の製造方法については、上述した[I]の場合と同様の方法で製造すればよい。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)の水酸基価としては、好ましくは100mgKOH/g以上、特に好ましくは200〜500mgKOH/g、更に好ましくは300〜490mgKOH/g、殊に好ましくは400〜485mgKOH/gである。
かかる水酸基価が高すぎると耐水性が低下する傾向があり、低すぎると偏光子との接着性が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)の重量平均分子量は、通常1,000〜500万、好ましくは5,000〜100万、特に好ましくは1万〜50万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると、接着剤層の耐久性能が低下する傾向があり、大きすぎると接着剤組成物の粘度が高くなり塗工性が低下する傾向がある。
また、上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には15以下が好ましく、更には10以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると接着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
更に、上記水酸基含有アクリル系樹脂(A1)のガラス転移温度は、−80〜100℃、特には−50〜70℃、更には−35〜60℃であることが好ましく、かかるガラス転移温度が高すぎると接着性能が低下する傾向があり、低すぎると耐久性能が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度は、上述の方法により測定すればよい。
かかる[II]の場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系樹脂(A)として、水酸基含有アクリル系樹脂(A1)に加えて水酸基非含有のアクリル系樹脂を併用してもよいし、また、異なる種類の水酸基含有アクリル系樹脂(A1)を2種以上併用してもよい。
<アクリル系モノマー(B)>
水酸基を含有しないアクリル系モノマー(B)を、水酸基非含有アクリル系モノマー(B2)として説明する。
かかる水酸基非含有アクリル系モノマー(B2)としては、活性エネルギー線照射で硬化する公知一般のアクリル系モノマーを使用すればよく、例えば、以下の単官能モノマー、2官能モノマー、3官能モノマーを使用すればよい。
上記単官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を1つ含有するモノマーであればよく、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフエステル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等があげられる。
上記エチレン性不飽和モノマーとして、上記の他にアクリル酸のミカエル付加物あるいは2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルもあげられ、上記アクリル酸のミカエル付加物としては、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等があげられる。また、特定の置換基をもつカルボン酸である上記2−アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、例えば2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等があげられる。さらに、オリゴエステルアクリレートもあげられる。
上記2官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を2つ含有するモノマーであればよく、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等があげられる。
上記3官能以上のモノマーとしては、エチレン性不飽和基を3つ以上含有するモノマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、等があげられる。
また、窒素原子を含有するアクリル系モノマーを使用することも、紫外線硬化性や偏光子や保護フィルムの接着性に優れる点で好ましく、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジンが挙げられ、特に好ましくはN−アクリロイルモルホリン、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドである。
かかる[II]の場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系モノマー(B)として、異なる種類の水酸基非含有アクリル系モノマー(B2)を2種以上併用してもよい。
かかる[II]の場合におけるアクリル系樹脂(A)とアクリル系モノマー(B)の含有割合(重量比)((A):(B))としては、好ましくは(A):(B)=80:20〜5:95、特に好ましくは(A):(B)=70:30〜10:90、更に好ましくは(A):(B)=60:40〜10:90、殊に好ましくは(A):(B)=55:45〜10:90である。
かかるアクリル系樹脂(A)の含有割合が多すぎると耐久性能が低下する傾向があり、アクリル系樹脂(A)の含有割合が少なすぎると接着性能が低下する傾向がある。
『[III]アクリル系樹脂(A)が水酸基を含有せず、アクリル系モノマー(B)は水酸基を含有する場合』
<アクリル系樹脂(A)>
水酸基を含有しないアクリル系樹脂(A)を水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)として説明する。
水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)、水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)、(a1)〜(a3)以外のその他の共重合性モノマー(a4)を含有する単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。
かかるモノマー(a2)〜(a4)の種類については、[I]の場合に説明した各モノマーと同様のものを用いればよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは20〜100重量%、特に好ましくは40〜99重量%、更に好ましくは60〜95重量%であり、かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a2)の含有量が少なすぎると打ち抜き時の割れの発生のしにくさ等の偏光板加工性が低下したり保護フィルムの種類によっては接着性が低下する傾向がある。
水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜80重量%、特に好ましくは1〜60重量%、更に好ましくは5〜40重量%、殊に好ましくは0〜20重量%であり、かかる水酸基以外の官能基を有するモノマー(a3)の含有量が多すぎると重合時や保存時の樹脂の安定性が低くなる傾向にあり、低すぎるとモノマーとの相溶性が低下する傾向がある。
(a1)〜(a3)以外のその他共重合性モノマー(a4)の単量体成分中における含有量としては、好ましくは0〜20重量%、特に好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%、殊に好ましくは0〜3重量%であり、かかるその他共重合性モノマー(a4)の含有量が多すぎると接着剤層の耐久性能が低下する傾向がある。
上記モノマーを重合して水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)を製造するにあたっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行なうことができるが、溶液ラジカル重合により製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成で水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)を製造できる点で好ましい。
かかる溶液ラジカル重合では、例えば、溶媒中に、モノマー(a2)〜(a4)、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜98℃で0.1〜20時間重合すればよい。
かかる溶媒としては、通常アクリル系樹脂の製造において一般に用いられる有機溶媒や水を用いればよく、有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられる。
かかる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が具体例として挙げられる。
上記水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)の重量平均分子量は、通常1,000〜500万、好ましくは5,000〜100万、特に好ましくは1万〜50万である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると、接着剤層の耐久性能が低下する傾向があり、大きすぎると接着剤組成物の粘度が高くなり塗工性が低下する傾向がある。
また、上記水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には15以下が好ましく、更には10以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると接着剤層の耐久性能が低下し、発泡等が発生しやすくなる傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
更に、上記水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)のガラス転移温度は、−80〜100℃、特には−60〜80℃、更には−60〜60℃であることが好ましく、かかるガラス転移温度が高すぎると接着性能が低下する傾向があり、低すぎると耐久性能が低下する傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度は、上述の方法により測定すればよい。
かかる[III]の場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、異なる種類の水酸基非含有アクリル系樹脂(A2)を2種以上併用してもよい。
<アクリル系モノマー(B)>
水酸基を含有するアクリル系モノマー(B)を、水酸基含有アクリル系モノマー(B1)として説明する。
水酸基含有アクリル系モノマー(B1)の種類については、上記[I]の場合に説明したモノマーと同様のものを用いればよい。
上記水酸基含有アクリル系モノマー(B1)の含有する水酸基数としては、通常1〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
かかる水酸基数が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系モノマー(B1)の分子量としては、通常50〜2000、好ましくは80〜1000、特に好ましくは100〜600である。
かかる分子量が低すぎるとアクリル樹脂との相溶性が低下する傾向があり、高すぎると不飽和基濃度が低下するために偏光子や保護フィルムに対する反応性が低下する傾向にある。
かかる[III]の場合においては、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系モノマー(B)として、水酸基含有アクリル系モノマー(B1)に加えて水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)を併用してもよいし、また、異なる種類の水酸基含有アクリル系モノマー(B1)を2種以上併用してもよい。
上記水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)としては、[II]において上述した水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)と同様のものを用いればよく、好ましくはN−アクリロイルモルホリン、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等である。
上記水酸基含有アクリル系モノマー(B1)と水酸基非含有のアクリル系モノマー(B2)を併用する場合において、(B1)と(B2)の合計量に対する(B1)の含有割合は好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜80重量%、殊に好ましくは50〜80重量%である。
かかる[III]の場合におけるアクリル系樹脂(A)とアクリル系モノマー(B)の含有割合(重量比)((A):(B))としては、好ましくは(A):(B)=80:20〜5:95、特に好ましくは(A):(B)=70:30〜10:90、更に好ましくは(A):(B)=60:40〜10:90、殊に好ましくは(A):(B)=55:45〜10:90である。
かかるアクリル系樹脂(A)の含有割合が多すぎると耐久性能が低下する傾向があり、アクリル系樹脂(A)の含有割合が少なすぎると接着性能が低下する傾向がある。
本発明の偏光板用接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、重合開始剤(C)、架橋剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、その他のアクリル系接着剤、その他の接着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、ポリオールなどの可塑剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の従来公知の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができるが、これら添加剤の配合量は、組成物全体の30重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量%以下である。
また、上記添加剤の他にも、接着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであっても良い。
本発明においては、アクリル系樹脂(A)およびアクリル系モノマー(B)を含有させることにより偏光板用接着剤組成物となるが、更に、上記の重合開始剤(C)を含有させ、接着剤組成物を硬化させることが好ましい。
上記重合開始剤(C)としては、例えば、光重合開始剤(c1)、熱重合開始剤(c2)等の種々の重合開始剤を用いることが可能であるが、特には光重合開始剤(c1)を使用することが、ごく短時間の紫外線等の活性エネルギー線照射により硬化させることが可能となる点で好ましい。
また、上記光重合開始剤(c1)を用いるときは、活性エネルギー線照射により接着剤組成物を硬化させ、熱重合開始剤(c2)を用いるときは、加熱により接着剤組成物を硬化させるのであるが、必要に応じて、両方を併用することも好ましい。
上記光重合開始剤(c1)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等が挙げられる。なお、これら光重合開始剤(c1)は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
また、上記熱重合開始剤(c2)としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノオエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメトルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤;2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドリドクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2′−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤;等が挙げられる。なお、これらの熱重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤(C)の含有量については、上記アクリル系モノマー(B)100重量部に対して、0.5〜20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.8〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部ある。上記重合開始剤(C)の含有量が少なすぎると、硬化性に乏しく物性が安定しなくなる傾向がみられ、多すぎると低分子量成分が多くなり架橋密度が低下し耐水性や耐熱性などが低下する傾向がある。
また、耐久性向上の点で上記の架橋剤を含有させてもよく、かかる架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等があげられる。架橋剤の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜30重量部であることが好ましい。
かくして本発明の偏光板用接着剤組成物が得られる。本発明の偏光板用接着剤組成物は、好ましくは活性エネルギー線照射により硬化することにより、接着剤として機能するものであり、偏光子と保護フィルムを強固に貼り合わせるための偏光板用接着剤として好適に用いることができるものである。
また、本発明の偏光板用接着剤組成物は溶剤を含んでいてもよいし、無溶剤型の組成物として用いてもよいが、接着性能に優れる点で、無用剤型の組成物として用いた方が好ましい。
(偏光子)
上記偏光子としては、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。
例えば、(i)PVA系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン−ビニルアルコール系樹脂フィルム、等のビニルアルコール系樹脂フィルムに、ヨウ素や二色性色素などの二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの(例えば、特開2001−296427号公報、特開平7−333426号公報参照。)、(ii)(i)において二色性材料とともに液晶性を有する複屈折材料をビニルアルコール系樹脂フィルム中に有するもの(例えば、特開2007−72203号公報参照。)、(iii)二色性材料を含有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムを一軸延伸したもの(例えば、特開2001−356213号公報参照。)、(iv)PVA系樹脂やエチレン−ビニルアルコール系樹脂を脱水あるいは脱酢酸して連続するポリエン構造を導入し、これを延伸して得られるポリエン系フィルム(例えば、特開2007−17845号公報参照。)、などを挙げることができる。
中でも、偏光特性が優れる点から、PVA系フィルムにヨウ素が吸着された一軸延伸フィルムが好適である。
かかる偏光子の厚さは、通常0.1〜100μmであり、特に0.5〜80μm、さらに1〜60μmのものが好適に用いられる。
(保護フィルム)
上記保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面、望ましくは両面に貼り合わせることで、偏光子の問題点である高湿度下での耐久性不足を補うものである。
さらに、本発明で用いられる保護フィルムに求められる特性としては、透明性、機械強度、熱安定性、水分遮蔽性、光学的等方性などを挙げることができる。
かかる保護フィルムの材料としては、光学特性や耐久性などの点から、セルロースエステル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂が好適に用いられる。
また、その他の材料として、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、(含フッ素)ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
上記セルロースエステル系樹脂フィルムに用いられるセルロースエステル系樹脂としては、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースが代表的であるが、その他にもセルロースの低級脂肪酸エステルや、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートなどの混合脂肪酸エステルを用いることができる。
上記環状オレフィン系樹脂フィルムに用いられる環状オレフィン系樹脂としてはノルボルネン系樹脂を挙げることができる。かかるノルボルネン系樹脂には、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体、ノルボルネンモノマーを付加重合させた樹脂、ノルボルネン系モノマーとエチレンやα−オレフィンなどのオレフィン系モノマーと付加共重合させた樹脂などを包含するものである。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二量体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエンなどの三環体;テトラシクロペンタジエンなどの七環体;これらのメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル、ビニルなどのアルケニル、エチリデンなどのアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチルなどのアリールなどの置換体;さらにこれらのエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン、アルコキシカルボニル基、ピリジル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミノ基、無水酸基、シリル基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの炭素、水素以外の元素を含有する基を有する置換体などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂フィルムの市販品としては、JSR社製「ARTON」、日本ゼオン社製「ZEONOR」、「ZEONEX」、日立化成工業社製「OPTOREZ」、三井化学社製「APEL」などを挙げることができる。
上記(メタ)アクリル系樹脂フィルムに用いられる(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高ガラス転移温度の(メタ)アクリル系樹脂、ゴム−アクリル系グラフト型コアシェルポリマーなどが挙げられる。
かかる(メタ)アクリル系樹脂フィルムの市販品としては、三菱レイヨン社製「アクリペットVRL20A」、「アクリペットIRD−70」、UMGABS社製「MUX−60」などが挙げられる。
なお、上記保護フィルムは、必要に応じて、セルロースエステル系樹脂からなるフィルムに対するアルカリ液によるケン化処理や、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムに対するコロナ放電処理やプラズマ処理などの表面親水化処理を施したものであってもよい。
また、保護フィルム表面の接着剤との親和性を高めるために、親水化以外の各種表面処理を行うことも可能であり、保護フィルムの表面に(メタ)アクリル酸エステル系ラテックスやスチレン系ラテックス、ポリエチレンイミン、ポリウレタン/ポリエステル共重合体などを含有する易接着層やアンカーコート層を設けたり、シランカップリング剤やチタンカップリング剤などのカップリング剤による表面処理方法などを挙げることができる。なお、上述の各種表面処理法を併用することも可能である。
また、帯電防止剤を保護フィルム表面に塗布あるいはフィルム中に含有させたものも好ましく用いられる。
かかる保護フィルムの厚みは特に限定されないが、通常は偏光子よりも厚いものが用いられ、偏光子の基材として強度付与の機能をもつものであり、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
また、かかる保護フィルムは、偏光子と積層されない面にハードコート層を設けたり、スティッキング防止、反射防止、アンチグレアなどの各種処理を施すことも可能である。さらに、位相差板や視野角拡大フィルムなどの、各種光学機能フィルムを、積層することも可能である。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光板用接着剤を介して上記の偏光子と保護フィルムが貼り合わされてなるものである。詳しくは、偏光子の少なくとも一方の面、好ましくは両面に、本発明の偏光板用接着剤を用いて保護フィルムを貼り合わせてなるものであり、通常は、液状とした偏光板接着剤組成物を偏光子あるいは保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせ、圧着し、活性エネルギー線照射を行なうことで偏光板が形成される。
かかる接着剤組成物を偏光子あるいは保護フィルム上に塗工するにあたっては、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等を用いたり、デイッピング方式による塗工を行なうことができる。
かかる貼り合わせ、および圧着には、例えばロールラミネーターなどを用いることができ、その圧力は0.1〜10MPaの範囲から選択される。
かかる活性エネルギー線照射には、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。なお、電子線照射を行なう場合は、上記光重合開始剤(c1)を用いなくても硬化可能である。
かかる紫外線照射を行なう時の光源としては、高圧水銀灯、無電極ランプ、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト等が用いられる。
かかる紫外線照射は、2〜3000mJ/cm2、好ましくは10〜2000mJ/cm2の条件で行われる。
特に上記高圧水銀ランプの場合は、例えば、5〜3000mJ/cm2、好ましくは50〜2000mJ/cm2の条件で行われる。
また、上記無電極ランプの場合は、例えば、2〜2000mJ/cm2、好ましくは10〜1000mJ/cm2の条件で行われる。
そして、照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、塗工厚、その他の条件によっても異なるが、通常は、数秒〜数十秒、場合によっては数分の1秒でもよい。一方、上記電子線照射の場合には、例えば、50〜1000Kevの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜50Mradの照射量とするのがよい。
かかる活性エネルギー線(電子線、紫外線等)の照射方向は、任意の適切な方向から照射することができるが、偏光子の劣化を防げる点で、透明保護フィルム側から照射することが好ましい。
上記により得られる本発明の偏光板における接着剤層の厚さは、通常0.01〜10μm、好ましくは0.01〜5μm、特に好ましくは0.01〜2μm、更に好ましくは0.01〜1μmである。
かかる厚さが薄すぎると接着力自体の凝集力が得られず、接着強度が得られない傾向があり、厚すぎると打ち抜き加工時の割れ等の偏光板の加工性が低下する傾向がある。
本発明の偏光板用接着剤組成物は、初期および経時での接着力に優れる接着剤となるため、種々の偏光板用保護フィルムと偏光子、特にはTAC以外の保護フィルムと偏光子の貼り合せに好適に用いることができ、更に乾燥工程が必要なく偏光板の生産効率にも優れたものである。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
なお、接着剤組成物中の固形分全体の水酸基価は以下の方法により計算した。
具体的には、組成物がn種類の固形分を含有する場合は、以下の式(1)で求めた値である。
OHV=OHV1×(W1/100)+OHV2×(W2/100)+…+OHVn×(Wn/100) …(1)
・OHV:組成物中の固形分全体の水酸基価(mgKOH/g):
・OHVn:各固形分の水酸基価(mgKOH/g)
・Wn:各固形分の組成物中の含有割合(重量%)
なお、固形分が、モノマーや低分子化合物の場合、その水酸基価は、以下の式(2)で求めた値である。
水酸基価(mgKOH/g)=(f×56,110)/M …(2)
・fは1分子中の水酸基数
・Mは分子量
また、固形分が、樹脂(重合物)である場合、その水酸基価は、構成モノマーの水酸基価を上記(2)で求めた後、加重平均をとって(構成モノマーの水酸基価に重量比を掛け合わせ合計する)求めた値である。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂(A)溶液を調製した。
なお、固形分濃度の測定に関しては、アルミ箔にアクリル系樹脂(A)溶液1〜2gを取り、ケット(赤外線乾燥機、185W、高さ5cm)で45分間加熱乾燥し、乾燥前後の重量変化により測定し、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
〔アクリル系樹脂(A)溶液の調製〕
[アクリル系樹脂(A−1)]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール160部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.12部を加え、メタノール還流温度に達した後、2−ヒドロキシエチルアクリレート100部を滴下しながら7時間反応させた。反応終了後、メタノールにて希釈し、アクリル系樹脂(A−1)メタノール溶液[ガラス転移温度(Tg)−15℃;固形分濃度29%、粘度2,000Pa・s(25℃)]を得た。
アクリル系樹脂(A−1)の水酸基価は(1×56,110)/116=483mgKOH/gである。
[アクリル系モノマー(B)]
アクリル系モノマー(B)として、以下のものを用意した。
・(B−1):2−ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒製、商品名「BHEA」)
(水酸基価:483mgKOH/g 分子量116 1分子当たりの水酸基の数1)
・(B−2):2−アクリロイルモルホリン(興人社製、商品名「ACMO」)
(水酸基価:0 分子量141 1分子当たりの水酸基の数0)
・(B−3):N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製、商品名「HEAA」)
(水酸基価:487mgKOH/g 分子量115 1分子当たりの水酸基の数1)
[光重合開始剤(C)]
・C−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、「イルガキュア184」)
・C−2:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、「ルシリンTPO」)
〔実施例1〕偏光板用接着剤組成物の調製方法
調整用フラスコにアクリル系樹脂(A−1)を50部(固形分)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(B−1)50部、イルガキュア184(C−1)1.5部、ルシリンTPO(C−2)1.5部を同時に仕込み、固形分が50%になるようにメタノールで調整し、混合することで偏光板用接着剤組成物を得た。この時の組成物中の固形分全体における水酸基価は483mgKOH/gであった。
〔実施例2〜3、比較例1〜2〕
上記のようにして調製,準備した各配合成分を、下記の表1示す割合で配合すること以外は実施例1と同様にして偏光板用接着剤組成物を調製した。
〔実施例4〕
還流冷却器、撹拌器、温度計を備えた4ツ口丸底フラスコにアクリル系樹脂(A−1)を100部(樹脂分)入れて、還流温度で7時間、蒸発乾燥した。その後、下表1に示す割合で配合し、充分に撹拌混合することで、固形分100%の接着剤組成物を得た。
(偏光板試験片の作成)
まず、60μmのPVA系フィルムを、水温30℃の水槽に浸漬しつつ、1.5倍に延伸した。次に、ヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム15g/Lよりなる染色槽(30℃)にて240秒浸漬しつつ1.3倍に延伸し、さらにホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成のホウ酸処理槽(50℃)に浸漬するとともに、同時に3.08倍に一軸延伸しつつ5分間にわたってホウ酸処理を行った。その後、乾燥して総延伸倍率6倍の偏光子を製造した。
次いで、大きさ200mm×50mm、厚み75μmアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、商品名「アクリプレン」)に上記で得られた偏光板用接着剤組成物をバーコーター(No.10)で膜厚5μmとなるように塗工した接着剤付きアクリルフィルムを2枚作製した後、大きさ150mm×30mmの上記偏光子の両面に重ね合わせ、ロール機を用いてニップ圧0.3mPaで貼り合わせ、積層フィルムを得た。
次いで、積層フィルムのアクリルフィルム側の両側から、高圧水銀ランプの取り付けられた紫外線照射装置にてピーク照度:130mW/cm2、積算露光量:900mJ/cm2(365nm)で紫外線照射を行ない、接着剤組成物を硬化させ、実施例1〜3は80℃で3分乾燥させ、実施例4と比較例1,2は乾燥せずに得られた積層フィルムを120mm×25mmにカットし偏光板試験片とした。
上記で得られた偏光板試験片を用いて、接着性を評価した。これらの結果を下記の表2に併せて示した。
[接着性]
偏光板試験片の2枚のアクリルフィルムに180°方向の応力をかけた際のアクリルフィルムと偏光子の接着具合を下記基準で評価した。
(評価基準)
○…強固に接着している
△…軟弱に接着している
×…接着していない
※表中( )内の数字は重量部を表す。
また、――は配合しなかったことを表す。
アクリル系樹脂(A)、およびアクリル系モノマー(B)を含有してなり、水酸基価が50mgKOH/g以上である実施例1〜4の偏光板用接着剤組成物は、偏光子と保護フィルムを強固に貼り合せることが可能である。
これは、アクリル系樹脂の配合により、アクリル系モノマーをラジカル重合させる際の硬化収縮を抑制できるため、高い初期接着力を示すことができ、また、アクリル系樹脂、およびアクリル系モノマーの水酸基含有量を最適化することにより、偏光子への優れた接着性も得ることができたものである。
一方、水酸基価は50mgKOH/g以上であるがアクリル系樹脂(A)を含有しない比較例1および2の偏光板用接着剤組成物は、充分な接着力を示すことができないことがわかる。