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JP6147326B1 - 吸収性物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収性物品の装着快適性を損なうことなく、吸収体の少なくとも一部に伸縮性を付与する。【解決手段】吸収体を搬送方向に搬送しながら吸収性物品を製造する方法であって、吸収体P1の一部の領域に伸縮性部材CS2を貼り付ける貼り付け工程と、前記吸収体P2の一部の領域に切れ目を形成する切れ目形成工程と、前記伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とが少なくとも一部で重なり合った前記吸収体P3の一方の面に液非透過性の裏面シートが対面し、前記吸収体の他方の面に液透過性の表面シートが対面するように、前記裏面シートと前記表面シートとで前記吸収体を挟む工程と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は吸収性物品の製造方法に関する。
生理用ナプキンのような吸収性物品では、装着快適性は重要な特性の一つである。その装着快適性を向上させる観点から、吸収性物品が身体に馴染み易くなるように吸収性物品に伸縮性を付与するようにした吸収性物品が望まれている。吸収性物品に伸縮性を付与しようとする場合、吸収性物品を構成する部材やシートに伸縮性を付与する方法が考えられる。
部材やシートに伸縮性を付与する方法としては、例えば、特許文献1の方法が考えられる。その特許文献1には、長手方向に伸縮性を有する複合シートを用いた吸収性物品(使い捨ておむつ)の製造方法が開示されている。この吸収性物品の製造方法では、使い捨ておむつの外装材に伸縮性を有する複合シートが用いられている。その複合シートは第1のシート及び第2のシートから成る。第1のシートは伸長性繊維及び伸縮性繊維を混合して成り、ギア延伸処理を施されて伸縮性を付与される一方、第2のシートは伸縮性をほとんど有さない。複合シートの製造では、第1のシートを伸長させた状態で第2のシートと接合し、その後に第1のシートの伸長状態を開放する。その結果、第1のシートの収縮に応じて第2のシートも収縮して全体として伸縮可能な複合シートを形成する。
特開2010−94879号公報
吸収性物品を構成する部材やシートに伸縮性を付与する方法として、吸収体に伸縮性を付与することが考えられる。しかし、吸収体に伸縮性を付与しようとすると、吸収体は繊維間の結合力が弱いため、吸収体に伸縮性を発現することは極めて困難である。例えば、上記特許文献1の技術から、ギア延伸処理で吸収体に伸縮性を付与することが考えられる。しかし、吸収体をギア延伸処理で蛇腹状又は襞状に形成しても吸収体に伸縮性を付与することは困難である。また、ギア延伸処理されたシートを伸長状態で吸収体に接合し、その後にシートの伸長状態を開放することにより、シートの収縮で吸収体を収縮させて全体として伸縮可能な吸収体を形成することも考えられる。しかし、シートの伸長状態を開放したとき、吸収体が蛇腹状又は襞状などに変形して、安定した形状の吸収体を形成できないおそれがある。
本発明の目的は、吸収体の少なくとも一部に適切な伸縮性を付与することが可能な吸収性物品の製造方法を提供することにある。
本発明の吸収性物品の製造方法は次のとおりである。
(1)吸収体を搬送方向に搬送しながら吸収性物品を製造する方法であって、前記吸収体の一部の領域に伸縮性部材を貼り付ける貼り付け工程と、前記吸収体の一部の領域に切れ目を形成する切れ目形成工程と、前記伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とが少なくとも一部で重なり合った前記吸収体の一方の面に液非透過性の裏面シートが対面し、前記吸収体の他方の面に液透過性の表面シートが対面するように、前記裏面シートと前記表面シートとで前記吸収体を挟む工程と、を備える、吸収性物品の製造方法。
本請求項の吸収性物品の製造方法では、吸収体の少なくとも一部に伸縮性を付与させるべく、吸収体に切れ目を形成している。それにより、切れ目と交差する方向に伸縮可能である吸収体を作製することができる。ただし、吸収体に切れ目を入れると、搬送中に吸収体が塑性的に伸びたり千切れたりすることがあり得る。そこで、本製造方法では、吸収体で切れ目が形成される領域を伸縮性部材で補強している。それにより、搬送中に吸収体が伸びたとしても収縮して元の状態に回復させることができ、伸び過ぎずに千切れないようにできる。それに加えて、伸縮性部材で補強することで吸収体の伸縮性を補強することができる。それにより、切れ目と交差する方向に伸縮可能である吸収体を確実に作製することができる。
(2)前記貼り付け工程は、前記吸収体の一部の領域の一方の面に前記伸縮性部材を貼り付ける工程を含み、前記切れ目形成工程は、前記貼り付け工程の後に、前記吸収体の一部の領域の他方の面の側から、前記伸縮性部材を切らないようにしつつ、前記吸収体に前記切れ目を形成する工程を含む、上記(1)に記載の吸収性物品の製造方法。
切れ目を形成するために切断刃を吸収体に侵入させるとき、切断刃の侵入状態によっては吸収体の切れ目の周辺部分が型崩れなどを起こすおそれがある。そこで本請求項の吸収性物品の製造方法では、吸収体に切れ目を形成する前に、伸縮性部材を貼り付けることにより吸収体を固定し、かつ、伸縮性部材を切らないようにしつつ切れ目を形成する。それにより、切れ目を形成するときに、吸収体の切れ目の周辺部分が伸縮性部材で固定されるため、切れ目の周辺部分が型崩れなどを起こさずに伸縮のための切れ目を伸縮性部材に適切に形成できる。それゆえ、伸縮可能である吸収体を確実に作製することができる。
(3)前記切れ目形成工程は、前記吸収体の一部の領域の一方の面の側から、前記吸収体に前記切れ目を形成する工程を含み、前記貼り付け工程は、前記切れ目形成工程の後に、前記吸収体の一部の領域の一方の面又は他方の面の少なくとも一方の側から前記伸縮性部材を貼り付ける工程を含む、上記(1)に記載の吸収性物品の製造方法。
吸収体を補強するための伸縮性部材に切れ目が入ると伸縮性部材の機能が低下するおそれがある。そこで本請求項の吸収性物品の製造方法では、伸縮性部材を貼り付ける前に、吸収体に切れ目を形成する。そのため、吸収体を補強するための伸縮性部材を切断するおそれが無くなる。すなわち、伸縮性部材に切れ目を生じさせることなく、吸収体に切れ目を形成できる。それにより、伸縮性部材で伸縮可能である吸収体を確実に作製することができる。
(4)前記吸収体は、前記切れ目の伸び得る方向と交差する方向を前記搬送方向として搬送される、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
吸収体の切れ目の伸び得る方向と搬送方向とが同じであると、切れ目が塑性的に伸びて吸収体が変形したり千切れたりすることや、吸収体が塑性的に伸びてしまい吸収体を加工し難くなるなどの不都合が生じるおそれがある。そこで本請求項の吸収性物品の製造方法では、切れ目の伸び得る方向と交差する方向を搬送方向とする。それにより、搬送中に吸収体が塑性的に伸びたり千切れたりすることを確実に防止できるとともに、吸収体が加工し難くなることを防止でき、伸縮可能である吸収体を確実に作製することができる。
(5)前記貼り付け工程は、前記吸収体における前記伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とが重なり合った領域において、前記吸収体と前記伸縮性部材と間を接着剤で貼り付ける工程を含む、上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
吸収体において伸縮性部材が貼り付けられた領域と切れ目が形成された領域との接合が弱いと、搬送中に両者が互いに離れて、切れ目が形成された領域が塑性的に伸びたり千切れたりするおそれがある。そこで本請求項の吸収性物品の製造方法では、伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とを接着剤により接合している。そのため、吸収体と伸縮性部材とがより確実に接合され、搬送中であっても吸収体の切れ目がある領域が伸縮性部材から離れることはなく、切れ目を適正な形状で維持することができる。それにより、伸縮可能である吸収体を確実に作製することができる。
(6)前記吸収体における前記伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とが重なり合った領域を、前記切れ目の延びる方向と交差する方向に拡幅する工程を更に備える、上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
吸収体における切れ目が形成された領域には、吸収体が完全には切れていない部分や、一度は切れたが繊維同士が再び絡み合い弱い結合が生じている部分が存在する可能性がある。そうなると、吸収体に適正な伸縮性を付与できないおそれがある。そこで本請求項の吸収性物品の製造方法では、伸縮性部材が貼り付けられた領域と切れ目が形成された領域とが重なり合った領域を、切れ目の延びる方向と交差する方向に拡幅している。それにより、完全には切れていない切れ目や一度は切れたが繊維同士が再び絡み合い弱い結合が総じている部分を確実に切れた状態にすることができる。このとき、切れ目が形成された領域が、伸縮性部材が貼り付けられた領域により補強されているので、切れ目が塑性的に変形することはない。このようにして、吸収体を確実に伸長させることができるようになり、その結果、伸縮可能である吸収体を確実に作製することができる。
(7)前記切れ目形成工程は、前記吸収体に、前記吸収体の厚み方向の一方の側から他方の側に向かって途中まで切れ目を入れる工程を含み、前記拡幅する工程は、前記厚み方向の途中まで入った切れ目が前記厚み方向の他方の側に達するように拡幅する工程を含む、上記(6)に記載の吸収性物品の製造方法。
本請求項の吸収性物品の製造方法では、吸収体に、吸収体の厚み方向の一方の側から他方の側に向かって途中まで切れ目を入れている。すなわち厚み方向の他方の側に到達しない、不完全な切れ目、いわゆるハーフカットな切れ目にしている。そのため、搬送中では切れ目が不完全であり切れ目の両側がつながっているために、吸収体が塑性的に伸びたり千切れたりすることをより確実に防止できる。そして、その後、切れ目を拡幅することにより、不完全な切れ目を完全な切れ目にしている。それにより、吸収体を確実に伸長させることができるようになり、その結果、伸縮可能である吸収体をより確実に作製することができる。
本発明により、吸収体の少なくとも一部に適切な伸縮性を付与することが可能となる。
実施の形態に係る吸収性物品を示す図である。 実施の形態に係る吸収性物品を示す図である。 実施の形態に係る吸収性物品を示す図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造装置の概略全体図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造装置の概略全体図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造装置の概略全体図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。 実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。 実施の形態に係る吸収性物品の切れ目の構成例を示す平面図及び部分断面面図である。 実施の形態に係る吸収性物品の切れ目を形成する工程の一例を示す部分断面図である。
まず、本実施の形態に係る吸収性物品について説明する。図1、図2及び図3は吸収性物品2を示す図であり、具体的には吸収性物品2の個包装体1を展開(開封)した状態での平面図、底面図及び分解斜視図をそれぞれ示している。図1、図2及び図3を参照すると、個包装体1は、吸収性物品2と包装シート3とから構成され、吸収性物品2は略矩形状の包装シート3に取り外し可能に固定されている。吸収性物品2は長手方向L、幅方向W及び厚み方向Hを有しており、図1及び図2において向って上方が吸収性物品2の前方であり、向って下方が吸収性物品2の後方である。吸収性物品2の長手方向L及び幅方向Wと包装シート3の長手方向及び幅方向とは一致するので、以下では、吸収性物品2及び包装シート3に共通に長手方向L及び幅方向Wを用いることとする。
吸収性物品2は、本実施の形態では生理用ナプキンであり、長手方向Lに伸長性を有している。言い換えると、長手方向Lの伸長性が幅方向Wの伸長性よりも高くなっている。ここでは、伸長性とは、ある物に引っ張り力が印加されると、その物の形状がその方向に伸びる性質をいう。この場合、引っ張り力が消失したとき、その物の形状がほぼ元の形状に戻ってもよいし、元の状態に近づくが元の状態に戻りきらなくてもよい。また、吸収性物品2は、長手方向Lに伸縮性を有していてもよい。伸縮性とは、ある物に引っ張り力が印加されると、その物の形状がその方向に伸び、引っ張り力が消失したとき、その物の形状がほぼ元の形状に戻る性質をいう。弾性を有するともいうことができる。伸長性及び伸縮性は材料の特性として発現させてもよいし、材料の形状や他の材料との組み合わせで発現させてもよい。また伸長性や伸縮性における伸びの程度については、例えば引張伸度(破断伸度)が少なくとも3%以上であるものをいうものとする。
吸収性物品2は、長手方向Lに延びる本体部2aと、本体部2aの両側に延出する一対のフラップ部2b、2bとを有している。本体部2aには、長手方向Lの中央やや前方寄りで幅方向Wの中央において、吸収体材料の嵩が周囲の領域よりも高い領域、又は、吸収性物品2の厚みが周囲の領域よりも厚い領域が設けられており、そこに排泄口に当接する領域、すなわち排泄口当接域が設定されており、以下では吸収機能の中心となる領域として吸収中心域STAという。排泄口は、本実施の形態では膣口である。本体部2aには、吸収中心域STAを囲むように形成された圧搾部26が更に形成されている。本実施の形態では、吸収中心域STAに重なりつつ後方にやや拡がった領域に点在する複数の開口状に形成された中央圧搾部26aと、中央圧搾部26aを幅方向Wの両側で挟むように形成された側部圧搾部26bと、中央圧搾部26aのやや前方に形成された前部圧搾部26cと、中央圧搾部26aの後方に形成された後部圧搾部26dとが形成されている。一対のフラップ部2b、2bは、吸収中心域STAの長手方向Lについて、概ね同じ位置に形成されている。すなわち、一対のフラップ部2b、2bは、長手方向Lにおいて、一対のフラップ部2b、2bの両端部(付け根)及び中央部の位置が吸収中心域STAの両端部及び中央部の位置とほぼ重なるように形成されている。
また、吸収性物品2は、液透過性の表面シート21と、液不透過性の裏面シート22と、表面シート21と裏面シート22との間に配設された吸収体20とを備えている。圧搾部26は、表面シート21及び吸収体20を圧搾して形成されている。本実施の形態では、表面シート21、裏面シート22及び吸収体20がほぼ一体で伸長可能に形成されている。
表面シート21は、吸収中心域STA(又はフラップ部2b、2b)の長手方向Lの中央部を通って幅方向Wに伸びる中心線WCLを境界として、前方側の部分21aと後方側の部分21bとを有している。前方側の部分21aは長手方向L及び幅方向Wの伸長性がほとんどない部分である。後方側の部分21bは長手方向Lの伸長性が幅方向Wの伸長性よりも高い部分であり、本実施の形態では長手方向Lの伸長性が高く、幅方向Wの伸長性がほとんどない部分である。したがって、前方側の部分21aは伸長性を有さず、後方側の部分21bは長手方向Lに伸長性を有し、幅方向Wに伸長性を有さない。なお、前方側の部分21aは後方側の部分21bと同様に長手方向Lの伸長性が幅方向Wの伸長性よりも高くてよい。また、後方側の部分21bは伸長性に加えて、伸縮性を有してもよい。伸長性を付与する方法としては例えばギア延伸処理が挙げられ、その場合には伸縮性も付与することができる。本実施の形態では、表面シート21は、後方側の部分21bにおいて伸長性を有するだけでなく伸縮性も有する。
また裏面シート22は、中心線WCLを境界として、前方側の部分22aと後方側の部分22bとを有している。前方側の部分22aは長手方向L及び幅方向Wの伸長性がほとんどない部分である。後方側の部分22bは長手方向Lの伸長性が幅方向Wの伸長性よりも高い部分であり、本実施の形態では長手方向Lの伸長性が比較的高く、幅方向Wの伸長性がほとんどない部分である。したがって、前方側の部分22aは伸長性を有さず、後方側の部分22bは長手方向Lに伸長性を有し、幅方向Wに伸長性を有さない。なお、前方側の部分22aは後方側の部分22bと同様に長手方向Lの伸長性が幅方向Wの伸長性よりも高い部分であってもよい。また、後方側の部分22bは伸長性に加えて、伸縮性又は弾性を有してもよい。伸長性を付与する方法としては例えばギア延伸処理が挙げられ、その場合には伸縮性も付与することができる。本実施の形態では、裏面シート22は、後方側の部分22bにおいて伸長性を有するだけでなく伸縮性も有する。
また、吸収体20は、吸収体本体部20mと、吸収体本体部20mにおける裏面シート22側の面に接合されたキャリアシート20nとを備えている。吸収体本体部20mは、中心線WCLを境界として、前方側の部分20maと後方側の部分20mbとを有しており、前方側の部分20maと後方側の部分20mbとに跨って吸収中心域STAと概ね重なる領域にその周囲部分と比較して嵩が高くなっている嵩高部20Kを有している。前方側の部分20ma及び嵩高部20Kは長手方向L及び幅方向Wの伸長性がほとんどない部分である。嵩高部20Kを除く後方側の部分20mbは長手方向Lの伸長性が幅方向Wの伸長性よりも高い部分であり、本実施の形態では長手方向Lの伸長性が比較的高く、幅方向Wの伸長性がほとんどない部分である。したがって、前方側の部分20ma及び嵩高部20Kは伸長性を有さず、嵩高部20Kを除く後方側の部分20mbは長手方向Lに伸長性を有し、幅方向Wに伸長性を有さない。伸長性を付与する方法としては、吸収体本体部20mに幅方向Wに延びる切れ目20Sを複数個長手方向Lに沿って並ぶように形成する方法が挙げられる。それにより、吸収体本体部20mが長手方向Lの後方に張力を印加されたとき、それら切れ目20Sが長手方向Lに拡がることにより伸長性が発現される。切れ目20Sの形状としては、直線状(本実施の形態)や、波線状などが挙げられる。切れ目20Sの配置としては、後方側の部分20mb内で個々の切れ目20Sを千鳥配置することや、仮想的な菱形状の小領域内に個々の切れ目20Sを千鳥配置し、かつ、その菱形状の小領域を後方側の部分20mb内に千鳥配置すること(本実施の形態)などが挙げられる。また、切れ目20Sとして、円形や楕円形(好ましくは幅方向Wに長径を有する)の開口部のような隙間を有している形状であってもよい。
図11は、切れ目20Sの構成例を示す平面図及び部分断面図である。吸収性物品2(完成品)の切れ目20Sの近傍では、裏面シート22の後方側の部分22b、キャリアシート20nの後方側の部分20nb、切れ目20Sを有する吸収体本体部20mの後方側の部分20mb、及び、表面シート21の後方側の部分21bがこの順に配置されている。このとき、切れ目20Sは吸収体本体部20mの後方側の部分20mbに形成され、他の部分には形成されていない。ただし、表面シート21と吸収体20との間に補助シートを配置する場合には、補助シートにも切れ目20Sが形成される。このような切れ目20Sにより伸長性を付与すると、切れ目20が長手方向Lに弾性的に拡がり得る範囲に関しては、切れ目20が形成された領域に伸縮性が付与されている、と見ることができる。
またキャリアシート20nは、中心線WCLを境界として、前方側の部分20naと後方側の部分20nbとを有している。前方側の部分20naは長手方向L及び幅方向Wの伸長性及び伸縮性がほとんどない部分である。後方側の部分20nbは長手方向Lの伸縮性が幅方向Wの伸縮性よりも高い部分であり、本実施の形態では長手方向Lの伸縮性が比較的高く、幅方向Wの伸縮性がほとんどない部分である。したがって、前方側の部分20naは伸長性及び伸縮性を有さず、後方側の部分20nbは長手方向Lに伸縮性を有し、幅方向Wに伸長性及び伸縮性を有さない。なお、前方側の部分20naは後方側の部分20nbと同様に長手方向Lの伸縮性が幅方向Wの伸縮性よりも高い部分であってもよい。伸縮性を付与する方法としては例えば所定方向に伸縮性を有し、その所定方向と直交する方向に伸縮性を有さないシートを後方側の部分20nbとして用いる方法が挙げられる。また、前方側の部分20naと後方側の部分20nbとは同一のシートの前方部分及び後方部分であってもよいし、伸縮性の異なる二種類のシートで形成してもよい。本実施の形態では、キャリアシート20nの前方側の部分20naとしてはいずれの方向にも伸長性及び伸縮性を有さないシートを用い、キャリアシート20nの後方側の部分20nbとして所定方向に伸縮性を有し、その所定方向と直交する方向に伸縮性を有さないシートを用いる。
したがって、吸収体20は、吸収体本体部20mとキャリアシート20nとが非伸長な状態で重なり合って接合されて、吸収性物品2の後方側の部分(平面視で嵩高部20Kのある領域を除く)において伸縮性を発現できる。ここで、吸収体本体部20mは複数の切れ目20Sだけで伸縮性を発現しているが、必ずしも十分ではない。そこで、伸縮性を有するキャリアシート20nを吸収体本体部20mに貼り付けることで、吸収体20に十分な伸縮性を付与している。キャリアシート20nは、また、吸収体本体部20mに切れ目20Sを形成するとき、伸縮性により切断刃に切断され難いので、吸収体材料が型崩れしないように補強する機能も有している。
また、吸収性物品2は、伸長性シートである表面シート21及び裏面シート22と伸縮性の吸収体20とが非伸長な状態で重なり合って接合されて、吸収性物品2の後方側の部分(平面視で嵩高部20Kのある領域を除く)において少なくとも伸長性(好ましくは伸縮性)を発現できる。それにより、後述されるように、吸収性物品2の装着感を向上させることができる。特に、本実施の形態では、吸収性物品2は、表面シート21、裏面シート22及び吸収体20が伸縮性を有することにより、吸収性物品2の後方側の部分(平面視で嵩高部20Kのある領域を除く)において、伸縮性を発現できる。それにより、吸収性物品2の装着感をより向上させることができる。ただし、本発明はその例に限定されるものでは無く、吸収体20(後方側の部分20mb+20nb)が伸縮性を有し、表面シート21(後方側の部分21b)及び裏面シート22(後方側の部分22b)の少なくとも一方が少なくとも伸長性(好ましくは伸縮性)を有し、互いに重なり合って、全体として吸収性物品2の所定の領域に伸長性(好ましくは伸縮性)を発現していてもよい。
吸収性物品2の本体部2aは、その着衣当接面、具体的には裏面シート22の着衣当接面に固定された複数の固定部6を備えている。複数の固定部6はそれぞれ吸収性物品2の幅方向Wに延び、吸収性物品2の長手方向Lに所定の間隔で配置されている。また、吸収性物品2の各フラップ部2bは、その着衣当接面、具体的には裏面シート22の着衣当接面に固定された固定部4を備えている。固定部4における幅方向W外側の外縁端部4eは、各フラップ部2bの幅方向Wの外縁端部22eの一部と重なっている。
吸収性物品2は、複数の固定部6及び一対の固定部4、4を介して包装シート3に固定されている。ただし、包装シート3は、複数の固定部6及び一対の固定部4と接する部分には、それぞれ剥離シート7及び一対の剥離シート5、5を有しており、吸収性物品2は包装シート3に剥離可能に固定されている。それにより吸収性物品2は、使用時に包装シート3から剥離され、複数の固定部6及び一対の固定部4により着用者の着衣に再固定される。剥離シート5における幅方向W外側の外縁端部5eは、各フラップ部2bの幅方向Wの外縁端部22eの一部と重なり、よって固定部4における幅方向W外側の外縁端部4eとも重なっている。
吸収性物品2と包装シート3とは、吸収性物品2が包装シート3に固定された状態で、幅方向Wに平行に延びる複数の折れ線FLVの位置で、吸収性物品2を内側にして折り畳まれる。複数の折れ線FLVは長手方向Lに所定の間隔で配置されている。本実施の形態では、複数の折れ線FLVは吸収性物品2の後方側から順に三本の折れ線FLV1、FLV2、FLV3であり、折れ線FLV1の位置、折れ線FLV2の位置、折れ線FLV3の位置の順に折り畳まれる。
吸収性物品2と包装シート3とは、吸収性物品2が包装シート3に固定された状態で、例えば幅方向Wに平行な複数の折れ線FLVの位置で折り畳まれた後に、長手方向Lに平行に延びる複数の折れ線FLTの位置で、更に折り畳まれている。複数の折れ線FLTは幅方向Wに所定の間隔で配置されている。本実施の形態では、複数折れ線FLTは二本の折れ線FLT1、FLT2であり、折れ線FLT1の位置、折れ線FLT2の位置の順に折り畳まれる。
ここで、複数の折れ線FLVや複数の折れ線FLTが吸収中心域STAの内部を通過しないように、例えば複数の折れ線FLV及び複数の折れ線FLTや吸収性物品2の位置が設定されている。本実施の形態では、折れ線FLV2、FLV3及び折れ線FLT1、FLT2で囲まれる領域内に吸収中心域STAが配置されるように設定されている。それにより、吸収中心域STAの吸収体等が折られることによる液体の吸収力の低下や、液体の外部への漏洩を防止できる。
吸収性物品2と包装シート3とが折れ線FLV1、FLV2、FLV3の位置で折り畳まれた後、包装シート3における折れ線FLV2、FLV3の幅方向Wの両端部付近が熱シールされて接合部が形成される。それにより吸収性物品2と包装シート3とが折り畳まれた状態が固定される。図1や図2に示すように折り畳まれた状態を展開すると、包装シート3における折れ線FLV2の幅方向Wの両端部であって、折れ線FLV2を挟んで長手方向Lの両側の部分が一対の接合部31、31である。包装シート3における折れ線FLV3の幅方向Wの両端部であり、折れ線FLV3を挟んで長手方向Lの両側の部分が一対の接合部32、32である。包装シート3における長手方向Lの一方の外縁端部3T1の幅方向Wの両端の部分が一対の接合部33、33である。一対の接合部33、33は一対の接合部31、31と重なる。
更に、包装シート3における長手方向Lの一方の外縁端部3T1には、吸収性物品2の側に粘着部30が配設されている。吸収性物品2と包装シート3とが、折れ線FLV1、FLV2、FLV3の位置で、吸収性物品2を内側にして折り畳まれたとき、粘着部30が、対面する包装シート3に貼り付けられて、折り畳んだ形態が更に固定される。
長手方向Lの前方側において、吸収性物品2の一方の端部2T1は、包装シート3の一方の外縁端部3T1よりも、所定の長さだけ小さく形成されている。吸収性物品2と包装シート3とを折り畳むとき、吸収性物品2の端部2T1を包装シート3の外縁端部3T1よりも外側にはみ出さないようにできる。一方、長手方向Lの後方側において、吸収性物品2の他方の端部2T2は、包装シート3の他方の外縁端部3T2よりも、所定の長さだけ大きく形成されている。吸収性物品2と包装シート3とを折り畳むとき、包装シート3の使用量を削減できる。このとき、吸収性物品2の端部2T2は、内側に包み込まれるため、包装シート3の外側にはみ出すことはない。
表面シート21と吸収体20との間に液体の拡散を補助する補助シート(図示されず)を更に備えていてもよい。その場合、補助シートには、吸収体本体部20mと同様の外形及び切れ目20Sを有しており、その切れ目20Sにより長手方向Lに伸長が可能である。
表面シート21、吸収体本体部20m、キャリアシート20n、裏面シート22、固定部4、6及び剥離シート5、7の材料としては、吸収性物品2で一般的に使用される公知の材料を用いることができる。例えば、表面シート21の材料としては、不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートが挙げられる。不織布としては、例えば天然繊維、再生繊維、無機繊維、合成樹脂繊維等が挙げられる。吸収体本体部20mの材料としては、パルプ繊維、合成繊維、吸収性ポリマが挙げられる。補助シートの材料としては、不織布、パルプ繊維、合成繊維が挙げられる。キャリアシート20nとしては、一軸方向に伸縮性を備えた合成樹脂フィルムが挙げられる。特に、一軸方向には伸縮性を有するがその一軸方向に直交する他軸方向には伸縮性を有さない合成樹脂フィルムが好ましい。裏面シート22の材料としては、防水処理を施した不織布、合成樹脂フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート、SMS不織布等が挙げられる。固定部4、6の材料としては、スチレン−ブタジエン共重合体のような粘着剤を用いることができる。剥離シート5、7の材料としては、紙や樹脂シートの基材にシリコーン樹脂系の剥離材を塗工したものが挙げられる。また、表面シート21、(補助シート、)吸収体本体部20m、キャリアシート20n及び裏面シート22の間の接合に用いられる接着剤は、吸収性物品2で一般的に使用される公知の材料を用いることができ、例えば熱可塑性接着剤を用いることができる。また、包装シート3の材料としては、吸収性物品2を包装するために一般的に使用される公知の材料を用いることができる。例えば、樹脂フィルムや紙、不織布が挙げられる。
本実施の形態の吸収性物品2は、(中心線WCLよりも)前方側の領域及び平面視で嵩高部の領域、すなわち吸収中心域STAにおいて伸長性を有さず、吸収中心域STAを除く(中心線WCLよりも)後方側の領域において伸長性を有するようにしている。すなわち、一つの吸収性物品2の中で、概ね前方側の領域と後方側の領域とで伸長性を変えている。そのため、吸収性物品2をフラップ部2b、2bの固定部4、4により下着に固定したとき、吸収性物品2における前方側の領域及び吸収中心域STAを下着装着者の身体に接触させた状態を維持させつつ、吸収中心域STAを除く後方側の領域を身体の動きと共に伸長させることができる。具体的には、下着装着者が歩行したとき、両足の動きに伴い吸収性物品2にかかる荷重を、吸収中心域STAを除く後方側の領域が伸長して変形することにより逃がしたり、吸収したりすることができる。そのとき、吸収中心域STA及び前方側の領域は伸長しないので、下着装着者の身体に安定して密着することができ、吸収中心域STAは排泄口(膣口)に安定して密着することができる。その理由は、前方側の領域や吸収中心域STAが伸長性を有さないことにより、後方側の領域のよじれなどの変形が前方側の領域にはほとんど伝達されないからである。加えて、前方側の領域は元々両足の動きの影響が少ないため身体に安定的に密着し易く、それゆえそのような前方側の領域に伸長性を有さない領域を広く確保していることにより、後方側の領域からの変形の伝達を阻止する能力を高くできるためである。特に、吸収中心域STAの幅方向Wの両外側であって中心線WCLまで、伸長可能な後方側の領域が延在しているので、その部分がより後方側のよじれの支点のように機能して、支点の直ぐ傍らの吸収中心域STAへ変形が伝達し難くなっている。このように、吸収性物品2では前方側の領域と後方側の領域とで下着装着者の動きに合せて、互いに異なる挙動をとることができ、それにより吸収性と装着性とを両立させることができる。なお、上記議論は、各部材が伸長性ではなく伸縮性を有している場合にも同様に適用可能である。なお、本実施の形態では、吸収性物品は生理用ナプキンであるが、パンティライナーや失禁パッドのような他の吸収性物品であってもよい。
次に、本実施の形態に係る吸収性物品の製造装置について説明する。図4、図5及び図6は、吸収性物品2を含む個包装体1の製造装置400の構成の一例を示している。製造装置400は、包装シート3で包装された吸収性物品2の製造装置と見ることもできる。図4〜図6を参照すると、製造装置400は、吸収体形成ユニット400Aと、第1の半製品形成ユニット400Bと、第2の半製品形成ユニット400Cと、吸収性物品形成ユニット400Dと、包装ユニット400Eとを具備する。
製造装置400は、吸収性物品2やそれを構成する資材などの搬送に関し、搬送方向(MD方向)、搬送方向に直交し搬送面に沿う横断方向(CD方向)及び搬送方向と横断方向とに直交する上下方向(TD方向)を有する。「搬送方向の上流側」、「搬送方向の下流側」を単に「上流側」、「下流側」とも称し、「上下方向の上側」、「上下方向の下側」を単に「上側」、「下側」とも称する。
製造装置400は、吸収性物品2やそれを構成する部材(例示:吸収体、表面シート、裏面シート)の搬送を以下のように行う。吸収性物品2については、吸収性物品2の幅方向Wが搬送方向(MD方向)に沿い、長手方向Lが横断方向(CD方向)に沿うように搬送する。吸収性物品2を構成する部材については、吸収性物品2の幅方向Wに対応する幅対応方向(吸収性物品2が完成したとき幅方向Wになる方向)が搬送方向(MD方向)に沿い、吸収性物品2の長手方向Lに対応する長手対応方向(吸収性物品2が完成したとき長手方向Lになる方向)が横断方向(CD方向)に沿うように搬送する。
以下では、吸収性物品2の搬送中では、搬送方向、横断方向、及び上下方向はそれぞれ幅方向W・幅対応方向、長手方向L・長手対応方向、及び厚さ方向H・厚み対応方向と重なるので、幅方向W・幅対応方向、長手方向L・長手対応方向、及び厚さ方向H・厚み対応方向としてそれぞれ搬送方向、横断方向及び上下方向も用いることとする。
図4を参照すると、吸収体形成ユニット400Aは、吸収体を連続的に形成する装置等であり、積繊装置110と、キャリアシート供給装置120と、押圧装置130と、切れ目形成装置140と、切断装置150と、搬送ベルト133、143とを備えている。
積繊装置110は、繊維材料を積層させた積繊体を形成する装置であり、回転ドラム111と、回転ドラム111の外周面に着脱可能に保持されたパターンプレート112と、パターンプレート112に積繊材料を供給する材料供給器113と、形成された積繊体を搬送する搬送ベルト115とを備えている。
回転ドラム111の内部空間には負圧が印加される負圧室111N及び正圧が印加される正圧室111Pが形成されている。また、回転ドラム111の外周面には負圧室111N及び正圧室111Pに連通する複数の貫通孔(図示されず)が形成されている。パターンプレート112は、外周面に沿って連続的に形成された複数の溝(図示されず)を有している。その溝は、吸収体20と略同一形状を有しており、その溝の長手方向及び幅方向はそれぞれ回転ドラム111の外周面の幅方向(横断方向)及び周方向(搬送方向)に平行である。その溝は、通気性を有しており、パターンプレート112の回転により負圧室111N又は正圧室111Pと連通可能である。その溝は、積繊材料を受容可能であり、それにより吸収体の外形を有する積繊体を形成可能である。その溝における吸収体20の吸収中心域STAに対応する領域は、その溝の他の領域と比較してより深くなっており、それにより吸収体20の吸収中心域STAの部分の嵩が高くなるようになっている。材料供給器113は、パルプ繊維、合成繊維、吸収性樹脂のような積繊材料を飛散状態で回転ドラム111のパターンプレート112上に供給し、パターンプレート112上の溝内に積繊材料を堆積させて、それにより溝内に積繊体を形成する。
また、ロールWR1は、連続シート状の連続補助シートSSを有しており、下流側の搬送ロール117などで連続補助シートSSが巻き戻されることで、連続補助シートSSを搬送ベルト115に供給している。接着装置114は、搬送ベルト115に供給される前の連続補助シートSSの一方の面に接着剤(例示:熱可塑性樹脂)を塗布する。搬送ベルト115は、連続補助シートSSと積繊体とが積層された積層体(吸収体部材P1)をサクション装置116で一体に吸引しながら一体に搬送する。
キャリアシート供給装置120では、ロールWR2aは、キャリアシート20nの後方側の部分20nbになる、伸長性且つ伸縮性の連続シート状の連続キャリアシートCS1を有しており、下流側の搬送ロール122などで連続キャリアシートCS1が巻き戻されることで、連続キャリアシートCS1を搬送ベルト115に供給する。ただし、連続キャリアシートCS1はギア延伸処理で伸縮性を付与してもよい。ロールWR2bは、キャリアシート20nの前方側の部分20naになる、連続シート状の連続キャリアシートCS2を有しており、下流側の搬送ロール122などで連続キャリアシートCS2が巻き戻されることで、連続キャリアシートCS2を搬送ベルト115に供給する。接着装置121は、搬送ベルト115に供給される前の連続キャリアシートCS1、CS2の一方の面に接着剤(例示:熱可塑性樹脂)を塗布する。搬送ロール122は、搬送ベルト115で搬送中の吸収体部材P1に連続キャリアシートCS1、CS2の一方の面を押し付けて貼り付ける。搬送ベルト115は、吸収体部材P1に連続キャリアシートCS1、CS2を積層された積層体(吸収体部材P2)を搬送する。
押圧装置130は、互いに対面配置された押圧ロール131及びアンビルロール132を備えている。押圧ロール131の外周面には、吸収体20の吸収中心域STAに対応する領域を除いて、その外周面を覆うように多数の凸部が周期的に形成されている。押圧ロール131及びアンビルロール132は、吸収体部材P2を挟んで多数の凸部で押圧して、吸収体部材P2を所望の厚みに成形する。ただし、吸収体の20吸収中心域STAに対応する部分については相対的に嵩高(肉厚)に成形する。搬送ベルト133は、成形された吸収体部材P2を切れ目形成装置140に搬送する。
切れ目形成装置140は、互いに対面配置されたアンビルロール141及びカットロール142を備えている。カットロール142の外周面における、吸収体本体部20mの吸収中心域STAを除く後方側の部分20mbに対応する所定領域に、吸収体の切れ目20Sを形成するための複数の刃が形成されている。その一つの刃は、カットロール142の周方向に沿う線状の形状を有している。その複数の刃は、上記の所定領域に、カットロール142の周方向及び幅方向に分散されて配置されている。本実施の形態では、周方向に伸びる直線状の複数の刃が仮想的な菱形状の小領域に千鳥配置され、その菱形状の領域が、上記所定領域内で周方向及び幅方向に千鳥配置されている。アンビルロール141及びカットロール142は、吸収体部材P2を挟むことにより、複数の刃で、吸収体部材P2の連続補助シートSS側から、吸収体部材P2の所定領域に所望の複数の切れ目20Sを形成して、吸収体部材P3を形成する。このとき、切れ目形成装置140は、連続キャリアシートCS1、CS2には切れ目Sは形成しない。搬送ベルト143は、吸収体部材P3を切断装置150に搬送する。
切断装置150は、互いに対面配置されたカッターロール151及びアンビルロール152を備えている。カッターロール151及びアンビルロール152は、吸収体部材P3が供給されると、吸収体部材P3を、アンビルロール152の外周面に吸引しつつ搬送しながら、カッターロール151の切断刃により横断方向に切断して、吸収体20の形状に個々に分離された吸収体部材P3を形成する。吸収体部材P3は実質的には吸収体ということができる。切断装置150は、個々に分離された吸収体部材P3をアンビルロール152から搬送ロール164に受け渡す。
第1の半製品形成ユニット400Bは、第1の半製品を形成する装置等であり、搬送ロール164と、搬送ベルト165と、ギア延伸装置160と、圧搾装置170と、とを備えている。
ロールWR3は表面シート21になる連続シート状の連続表面シートTSを有しており、下流側のギア延伸装置160などで連続表面シートTSが巻き戻されることで、連続表面シートTSをギア延伸装置160に供給する。ギア延伸装置160は、互いに対面配置された一対のギアロール161、162を備えている。一対のギアロール161、162の外周面には周方向に沿って所定のピッチで波状の歯が形成されている。ただし、本実施の形態では、一対のギアロール161、162の外周面のうち、表面シート21の後方側の部分21bに対応する領域のみに歯が形成され、表面シート21の前方側の部分21aに対応する領域には歯が形成されていない。ギアロール161とギアロール162とが同一の周速度で回転しつつ互いの歯を噛み合わせて、これら噛み合った歯の間に連続表面シートTSを通すことにより、連続表面シートTSを延伸して(ギア延伸処理)、伸長性且つ伸縮性の連続シートに成形する。それにより、延伸後の連続表面シートTSにおける、表面シート21の後方側の部分21bに対応する部分TS1に伸縮性が発現する。なお、前方側の部分21aに対応する部分TS2には伸縮性は発現しない。接着装置163は、延伸後の伸長性且つ伸縮性の連続シートである連続表面シートTSの一方の面に接着剤(例示:熱可塑性樹脂)を塗布する。
搬送ベルト165は、ギア延伸装置160から供給され、一方の面に接着剤を塗布された延伸後の連続表面シートTSを搬送方向に搬送する。搬送ロール164は、個々に分離された吸収体部材P3を、アンビルロール152から受け渡され、搬送ベルト165上の連続表面シートTSの一方の面に押し付けて貼り付けて、連続表面シートTS付き吸収体部材P3、すなわち第1の半製品P4を形成する。搬送ベルト165は、第1の半製品P4を圧搾装置170に搬送する。
圧搾装置170は、互いに対面配置された圧搾ロール171及びアンビルロール172を備えている。圧搾ロール171の外周面には、吸収体20の圧搾部26に対応した形状を有する凸部が形成されている。圧搾ロール171及びアンビルロール172は、第1の半製品P4を挟んで圧搾部の形状を有する凸部で押圧することにより、第1の半製品P4に圧搾部26を成形する。圧搾装置170は、圧搾された第1の半製品P4を第2の半製品形成ユニット400Cに搬送する。
第2の半製品形成ユニット400Cは、第2の半製品を形成する装置等であり、ギア延伸装置180と、一対の搬送ロール185、186と、搬送ベルト184、187と、を備えている。
ロールWR4は裏面シート22になる連続シート状の連続裏面シートBSを有しており、下流側のギア延伸装置180などで連続裏面シートBSが巻き戻されることで、連続裏面シートBSをギア延伸装置180に供給している。ギア延伸装置180は、互いに対面配置された一対のギアロール181、182を備えている。一対のギアロール181、182の外周面には周方向に沿って所定のピッチで波状の歯が形成されている。ただし、本実施の形態では、一対のギアロール181、182の外周面のうち、裏面シート22の後方側の部分22bに対応する領域のみに歯が形成され、裏面シート22の前方側の部分22aに対応する領域には歯が形成されていない。ギアロール181とギアロール182とが同一の周速度で回転しつつ互いの歯を噛み合わせて、これら噛み合った歯の間に連続裏面シートBSを通すことにより、連続裏面シートBSを延伸して(ギア延伸処理)、伸長性且つ伸縮性の連続シートに成形する。それにより、延伸後の連続裏面シートBSにおける、裏面シート22の後方側の部分22bに対応する部分BS1に伸縮性が発現する。なお、前方側の部分22aに対応する部分BS2には伸縮性は発現しない。
搬送ベルト184は、圧搾装置170から供給された第1の半製品P4を一対の搬送ロール185、186の間に搬送する。接着装置183は、搬送ベルト184で搬送される第1の半製品P4の上側の面に接着剤を塗布する。一対の搬送ロール185、186は、互いに対面配置されており、一方の面に接着剤を塗布された第1の半製品P4上側の面に、ギア延伸装置180から供給された連続裏面シートBSを押し付けて貼り付け、連続表面シートTS及び連続裏面シートBS付き吸収体部材、すなわち第2の半製品P5を形成する。搬送ベルト187は第2の半製品P5を吸収性物品形成ユニット400Dへ搬送する。
吸収性物品形成ユニット400Dは、吸収性物品2を形成する装置等であり、裏面固定部形成装置190と、周囲封止装置200と、拡幅装置210と、フラップ固定部形成装置220と、周囲切断装置230と、搬送ベルト194、213、224を備えている。
ロールWR5は、剥離シート7になる連続シート状の連続剥離シートCTを有しており、下流側の裏面固定部形成装置190などで連続剥離シートCTが巻き戻されることで、連続剥離シートCTを裏面固定部形成装置190に供給する。接着装置195は、裏面固定部形成装置190に供給される前の連続剥離シートCTの一方の面に、複数の固定部6を形成するように接着剤を塗布する。裏面固定部形成装置190は、互いに対面配置されたカッターロール191及びアンビルロール192と、アンビルロール192に更に対面配置された押圧ロール193とを備えている。裏面固定部形成装置190は、カッターロール191及びアンビルロール192との間に接着剤を塗布された連続剥離シートCTを供給されると、連続剥離シートCTを、アンビルロール192の外周面に吸引しつつ搬送しながら、カッターロール191の切断刃によって切断して、それにより複数の固定部6を有する剥離シート7を形成する。裏面固定部形成装置190は、アンビルロール192と押圧ロール193との間に第2の半製品P5を挟んで搬送方向に搬送しつつ、第2の半製品P5の上側に剥離シート7を押し付けて貼り付けて、剥離シート7付き第2の半製品P5、すなわち第2の半製品P6を形成する。搬送ベルト194は、第2の半製品P6を周囲封止装置200へ搬送する。
周囲封止装置200は、互いに対面配置された加熱ロール201とアンビルロール202とを備えている。加熱ロール201は、外周面を加熱可能であり、その外周面には吸収性物品2の外形よりもやや小さいは相似形を有する凹部が形成されている。そのため、外周面に第2の半製品P6が接したとき、第2の半製品P6における凹部に対面する部分は外周面に接しないので加熱されず、第2の半製品P6における凹部の外側に対面する部分は外周面に接するので加熱される。それにより、周囲封止装置200は、加熱ロール201とアンビルロール202との間に第2の半製品P6が供給されると、凹部以外の外周面で第2の半製品P6を加熱し、それにより第2の半製品P6の外縁端部を吸収性物品2の形状で縁取るように熱シール、熱シールされた第2の半製品P6を形成する。
拡幅装置210は、互いに対面配置された複数組の一対の拡幅ロール211、212を備えている。本実施の形態では、3組の一対の拡幅ロール211、212を備え、それら拡幅ロール211、212が搬送方向に並んでいる。一対の拡幅ロール211、212は、主に第2の半製品P6における切れ目20Sを有する部分を横断方向に拡幅する。すなわち、一対の拡幅ロール211、212は、第2の半製品P6における、表面シート21の後方側の部分21b、吸収体本体部20mの後方側の部分20mb、及びキャリアシート20nの後方側の部分20nbに対応する部分を主に横断方向に拡幅する。拡幅の程度は、切れ目20Sが僅かに開く程度である。拡幅を行うのは、切れ目20Sを刃で形成した直後では、切れ目20Sはきちんと切れているものと、部分的に切れていないものとがある可能性があり、切れ目20Sをきちんと切れた状態にするためである。複数の一対の拡幅ロール211、212を用いるのは、少しずつ拡幅を行い、切れ目が広がり過ぎたり裂けたりしないように、かつ、複数の切れ目20Sを全体的にバランスよく拡幅するためである。
ロールWR6は、剥離シート5になる連続シート状の連続剥離シートFTを有しており、下流側のフラップ固定部形成装置220などで連続剥離シートFTが巻き戻されることで、連続剥離シートFTをフラップ固定部形成装置220に供給する。接着装置225は、フラップ固定部形成装置220に供給される前の連続剥離シートFTの一方の面に、二つ分の固定部4を形成するように接着剤を塗布する。フラップ固定部形成装置220は、互いに対面配置されたカッターロール221及びアンビルロール222と、アンビルロール222に更に対面配置された押圧ロール223とを備えている。フラップ固定部形成装置220は、カッターロール221及びアンビルロール222との間に接着剤を塗布された連続剥離シートFTを供給されると、連続剥離シートFTを、アンビルロール222の外周面に吸引しつつ搬送しながら、カッターロール221の切断刃によって切断して、それにより二つ分の固定部4を有する剥離シート5を形成する。具体的には一枚の剥離シート5に形成された一つの固定部が、隣接する二つの吸収性物品の隣接する二つのフラップ部として略半分ずつ利用される。フラップ固定部形成装置220は、アンビルロール222と押圧ロール223との間に第2の半製品P6を挟んで搬送方向に搬送しつつ、第2の半製品P6の上側に剥離シート5を押し付けて貼り付けて、剥離シート5付きの第2の半製品P6、すなわち第2の半製品P7を形成する。搬送ベルト224は、第2の半製品P7を周囲切断装置230へ搬送する。
周囲切断装置230は、互いに対面配置されたカッターロール231及びアンビルロール232を備えている。周囲切断装置230は、カッターロール231及びアンビルロール232との間に第2の半製品P7が供給されると、第2の半製品P7を、アンビルロール232の外周面に吸引しつつ搬送しながら、カッターロール231の切断刃によって切断して、それにより個々に分離された吸収性物品を形成する。周囲切断装置230は、個々に分離された吸吸収物品をアンビルロール232から転写装置240に受け渡す。
包装ユニット400Eは、個包装体1を形成する装置等であり、転写装置240と、折り畳み装置250、260、270と、横シール装置280と、横切断装置290と、方向転換装置300と、折り畳み装置310と、封止装置320と、を備えている。
また、ロールWR7は、包装シート3になる連続シート状の連続包装シート3Aを有しており、下流側の搬送ロール245などで連続包装シート3Aが巻き戻されることで、連続包装シート3Aを転写ロール242に供給している。接着装置244は、転写ロール242に供給される前の連続包装シート3Aの一方の面に接着剤(例示:熱可塑性樹脂)を塗布する。転写装置240は、互いに対面配置された一対の転写ロール241、242を備えている。転写ロール241は、周囲切断装置230から吸収性物品を外周面に吸引しつつ搬送して、転写ロール242に受け渡す。このとき、転写ロール241は吸収性物品の形状以外の周囲の部分を吸引せずに、取り除いて(黒矢印)廃棄処理する。転写ロール242は、吸収体物品を外周面に吸引しつつ搬送し、かつ、吸収体物品の外側が連続包装シート3Aの一方の面に接するように、吸収体物品の外側から連続包装シート3Aを巻き込んで連続包装シート3A付き吸収体物品、すなわち個包装体部材P8を形成する。転写ロール242は、その個包装体部材P8を搬送ベルト243へ受け渡す。搬送ベルト243は、個包装体部材P8を折り畳み装置250へ搬送する。
折り畳み装置250は、個包装体部材P8を搬送ベルト251で搬送しながら、個包装体部材P8を個包装体1における折れ線FLV1に沿うように折り畳んで個包装体部材P8を形成する。具体的には、個包装体部材P8における横断方向の中央部及び奥側(図6の紙面に垂直に紙面に向かう方向の側)の部分を保持ロール253で押さえつつ、個包装体部材P8における横断方向の手前側(図6の紙面に垂直に紙面から離れる方向の側)の部分を折り曲げ部材252(セーラー)により、折れ線FLV1に沿うように折り畳む。
折り畳み装置260は、個包装体部材P9を搬送ベルト261で搬送しながら、個包装体部材P9を個包装体1における折れ線FLV2に沿うように折り畳んで個包装体部材P10を形成する。具体的には、個包装体部材P9における横断方向の中央寄りの奥側の部分を保持ロール263で押さえつつ、個包装体部材P9における横断方向の中央寄りの手前側の部分を折り曲げ部材262(セーラー)により、折れ線FLV2に沿うように折り畳む。
折り畳み装置270は、個包装体部材P10を搬送ベルト271で搬送しながら、個包装体部材P10を個包装体1における折れ線FLV3に沿うように折り畳んで個包装体部材P11を形成する。具体的には、個包装体部材P10における横断方向の中央寄りの手前側の部分を保持ロール273で押さえつつ、個包装体部材P10における横断方向の中央寄りの奥側の部分を折り曲げ部材272(セーラー)により、折れ線FLV3に沿うように折り畳む。
横シール装置280は、互いに対面配置された一対の押圧ロール281、282を含んでいる。折り畳み装置270から連続的に搬送されてくる複数の個包装体部材P11は、搬送方向に並んだ複数の吸収性物品が内包された筒状の連続包装シート3Aと見ることができる。一対の押圧ロール281、282は、筒状の連続包装シート3Aにおける隣り合う二つの吸収性物品間の部分を横断方向にシールして、接合部31〜33(図1)を形成する。このとき、搬送方向に隣接する二つの個包装体部材P11に関して、前方にある個包装体部材P11用の後ろ接合部31〜33と、後方にある個包装体部材用の前の接合部31〜33とを同時に形成する。すなわち、2回のシールにより、吸収性物品の前後に接合部31〜33(図1)を形成する。シール方法は加熱による熱融着が挙げられる。
横切断装置290は、互いに対面配置されたカッターロール291及びアンビルロール292を含み、カッターロール291及びアンビルロール292は個包装体部材P11を挟んで、複数の吸収性物品が内包された筒状の連続包装シート3Aを接合部31〜33で切断して、個包装体部材P11が個別に独立した個包装体部材P12を形成する。
方向転換装置300は一対の搬送ベルト301、302と、下押し装置304と、搬送ベルト305とを備えている。一対の搬送ベルト301、302は互いに対面配置されており、上側の搬送ベルト302の方は搬送方向により長く延びている。一対の搬送ベルト301、302は、個包装体部材P12を一対の搬送ベルト301、302の間に把持しつつ搬送方向に搬送し、途中から上側の搬送ベルト302のみが個包装体部材P12をサクション装置303で吸引しながら下押し装置304まで搬送する。下押し装置304は、上側の搬送ベルト302の端部に到達した個包装体部材P12を、その下方に配置された搬送ベルト305上に押して落とす。搬送ベルト305以降は搬送方向が90度転向している。
折り畳み装置310は、搬送ベルト311と、折り曲げ部材312(セーラー)と、折り曲げ部材313(セーラー)と、を備えている。搬送ベルト311は個包装体部材P12を搬送する。折り曲げ部材312は、搬送中の個包装体部材P12における横断方向の奥側(図6の紙面に垂直に紙面に向かう方向の側)の部分を、個包装体1における折れ線FLT1に沿うように折り畳んで、個包装体部材P13を形成する。折り曲げ部材313は、折り曲げ部材312で折り畳まれた(又は折り畳まれつつある)搬送中の個包装体部材P13における横断方向の手前側(図6の紙面に垂直に紙面から離れる方向の側)の部分を、個包装体1における折れ線FLT2に沿うように折り畳んで、個包装体部材P14を形成する。
封止装置320は、一対の搬送ベルト323、324と、カッターロール321及びアンビルロール322と、を備えている。
ロールWR8は、リードテープ9用の連続シート状の連続テープTPを有しており、下流側のカッターロール321及びアンビルロール322などで連続テープTPが巻き戻されることで、連続テープTPをカッターロール321及びアンビルロール322に供給している。一対の搬送ベルト323、324は互いに対面配置されており、下側の搬送ベルト324の方は搬送方向により長く延びている。一対の搬送ベルト323、324は、個包装体部材P14を一対の搬送ベルト323、324の間に把持しつつ搬送方向に搬送し、途中から下側の搬送ベルト324のみがその端部まで搬送する。カッターロール321及びアンビルロール322は、連続テープTPを、アンビルロール322の外周面に吸引しつつ搬送しながら、カッターロール321の切断刃によって切断して、アンビルロール322の外周面上にリードテープ9を形成する。そして、アンビルロール322の外周面のリードテープ9を搬送ベルト324上の個包装体部材P14の上面の所定の位置に押し付けて個包装体P15を形成する。
次に、本実施の形態に係る個包装体1の製造方法について図4〜図6、図7〜図10、図12を参照して説明する。ここで、個包装体1は包装シート3で包装された吸収性物品2であるから、本製造方法は包装された吸収性物品2の製造方法ということもできる。
図4〜図6を参照すると、本製造方法は、吸収体形成工程と、第1の半製品形成工程と、第2の半製品形成工程と、吸収性物品形成工程と、包装工程と、を備えている。
まず、図4及び図7(A)〜図7(C)、図12(A)〜図12(B)を参照し、吸収体形成工程について説明する。積繊装置110において、回転ドラム111が駆動機構(図示されず)によって矢印の方向に回転されつつ材料供給器113から積繊材料が供給されると、パターンプレート112における負圧室111Nに連通した溝内に積繊材料が堆積し、溝内に積繊体50が形成される。積繊体50は単一の吸収体が周方向に連続的に連なった形状を有しているから実質的には吸収体である。吸収体20の吸収中心域STAに対応する部分50aはその周囲部分よりも嵩が高く、肉厚に形成される。次いで、パターンプレート112が積繊体50と共に正圧室111Pに到達すると、積繊体50がパターンプレート112から離脱される。
一方、ロールWR1から連続シート状の連続補助シートSSが巻き戻され、搬送ベルト115によって搬送方向に張力がかかった状態で搬送される。連続補助シートSSの一方の面には接着剤が塗布されている。パターンプレート112から離脱された積繊体50は、搬送ベルト115上の連続補助シートSSの一方の面の上に貼り付けられる。それにより、図7(A)に示すように、積繊体50が連続補助シートSSに積層された、吸収体部材P1が形成される。吸収体部材P1は、実質的には吸収体である。吸収体部材P1は、搬送ベルト115で吸引されつつ、搬送方向に、特に連続補助シートSSに張力がかかった状態で搬送される。
続いて、キャリアシート供給装置120において、ロールWR2a、WR2bから連続シート状の連続キャリアシートCS1(伸縮性あり)、CS2(伸縮性なし)が巻き戻され、搬送ベルト115に搬送方向に張力がかかった状態で供給される。このとき、搬送方向は伸縮可能な方向とは直交しているので搬送中に連続キャリアシートCS1が伸長することはない。連続キャリアシートCS1、CS2の一方の面には接着剤が塗布されている。その連続キャリアシートCS1、CS2の一方の面が、搬送ベルト115により搬送中の吸収体部材P1の上側の面に押し付けられることにより、連続キャリアシートCS1、CS2が吸収体部材P1に貼り付けられる。このとき、連続キャリアシートCS1は非伸長状態でそのまま貼り付けられる。それにより、図7(B)に示すように、連続キャリアシートCS1、CS2が吸収体部材P1に積層された、吸収体部材P2が形成される。吸収体部材P2は、実質的には吸収体である。このとき、図12(A)に示すように、吸収体部材P2は連続補助シートSSと積繊体50と連続キャリアシートCS1と(、補助シートと吸収体本体部20mとキャリアシート20nとに対応)がこの準で搬送ベルト115上に積層されている。この連続キャリアシートCS1が吸収体部材P1に接合される工程は、吸収体(吸収体部材P1)の一部の領域に伸縮性部材(連続キャリアシートCS1)を貼り付ける貼り付け工程と見ることができる。吸収体部材P2は、搬送ベルト115で搬送方向に張力がかかった状態で搬送され、押圧装置130に供給される。
次に、押圧装置130において、搬送ベルト115で搬送された吸収体部材P2は押圧ロール131及びアンビルロール132に挟まれて押圧される。それにより、吸収体部材P2は、所望の厚みに成形されて、所望の繊維密度(所望の嵩)に調整される。ただし、吸収体の吸収中心域に対応する部分は吸収力が低くなり過ぎないように嵩高(肉厚)に成形される。押圧された吸収体部材P2は、搬送ベルト133で搬送方向に張力がかかった状態で搬送され、切れ目形成装置140に供給される。
続いて、切れ目形成装置140において、搬送ベルト133で搬送された吸収体部材P2はアンビルロール141及びカットロール142により挟まれて、複数の切れ目20Sを形成される。吸収体部材P3は実質的には吸収体である。それにより、図7(C)示すように、複数の切れ目20Sを有する吸収体部材P3となる。このとき、複数の切れ目20Sは、吸収体部材P1(積繊体50+連続補助シートSS)における、吸収体本体部20mの吸収中心域STAを除く後方側の部分20mbに対応する領域に形成される。すなわち、図12(B)に示すように、吸収体部材P3の後方側の部分では、切れ目形成装置140により、連続補助シートSSの側から切断刃が入れられて、連続補助シートSS及び積繊体50に切れ目20Sが形成される。この吸収体部材P3に切れ目20Sが形成される工程は、吸収体(吸収体部材P3)の一部の領域に切れ目(切れ目20S)を形成する切れ目形成工程と見ることができる。ただし、連続キャリアシートCS1、CS2には切れ目が形成されないようになっている。吸収体部材P3は、搬送ベルト143で搬送方向に張力がかかった状態で搬送され、切断装置150に供給される。このとき、連続キャリアシートCS1、積繊体50及び連続補助シートSSの伸長可能な方向と搬送方向とは直交しているので搬送中に連続キャリアシートCS1、積繊体50及び連続補助シートSSが伸長することはない。
本実施の形態では、吸収体部材P2(実質的に吸収体)に切れ目20Sを形成するとき、吸収体部材P2の一部の領域の一方の面に連続キャリアシートCS1(伸縮性部材)を貼り付けてから、吸収体部材P2の一部の領域の他方の面の側から、連続キャリアシートCS1を切らないようにしつつ、連続補助シートSS及び吸収体部材P2に切れ目20Sを形成する。ここで、切れ目20Sを形成するために切れ目形成装置140の切断刃を吸収体部材P2に侵入させるとき、切断刃の侵入状態によっては吸収体部材P2の切れ目20Sの周辺部分が型崩れなどを起こすおそれがある。しかし、上述されているように本実施の形態では、吸収体部材P2に切れ目20Sを形成する前に、連続キャリアシートCS1を貼り付けることにより吸収体部材P2を固定し、かつ、連続キャリアシートCS1を切らないようにしつつ切れ目20Sを形成する。それにより、切れ目20Sを形成するときに、吸収体部材P2の切れ目20Sの周辺部分が連続キャリアシートCS1で固定されるため、切れ目20Sの周辺部分が型崩れなどを起こさずに伸縮のための切れ目20Sを吸収体部材P2に適切に形成できる。それゆえ、伸縮可能である吸収体20を確実に作製することができる。
また、本実施の形態では、切れ目20Sは搬送方向に延びる線状に形成されるので、吸収体部材P3(実質的に吸収体)は横断方向に伸長性を有する、すなわち横断方向に伸び得ることになる。言い換えれば、吸収体部材P3は、切れ目20Sの伸び得る方向(横断方向)と交差する方向を搬送方向として搬送される。
ここで、吸収体部材P3の切れ目20Sの伸び得る方向と搬送方向とが同じであると、切れ目20Sが塑性的に伸びて吸収体部材P3が変形したり千切れたりすることや、吸収体部材P3が塑性的に伸びてしまい吸収体部材P3を加工し難くなるなどの不都合が生じるおそれがある。しかし、上述された容易に本実施の形態によれば、切れ目20Sの伸び得る方向と交差する方向を搬送方向としている。それにより、搬送中に吸収体部材P3が塑性的に伸びたり千切れたりすることを確実に防止できるとともに、吸収体部材P3が加工し難くなることを防止できる。それにより、伸縮可能である吸収体20を確実に作製することができる。
更に、本実施の形態では、吸収体部材P3(実質的に吸収体)における連続キャリアシートCS1(伸縮性部材)が貼り付けられた領域と切れ目20Sが形成された領域とが重なり合った領域において、吸収体部材P1と連続キャリアシートCS1との間が接着剤で貼り付けている。この接着剤は、連続キャリアシートCS1の一方の面には接着剤が塗布され、その連続キャリアシートCS1の一方の面が、吸収体部材P1の上側の面に押し付けられることにより、連続キャリアシートCS1が吸収体部材P1に貼り付けられたときのものである。
ここで、吸収体部材P3において連続キャリアシートCS1が貼り付けられた領域と切れ目20Sが形成された領域との接合方法としては、(熱)圧着や接着など種々の方法があり得る。いずれの方法にしても、その接合が弱いと、搬送中に両者が互いに離れて、切れ目20Sが形成された領域が塑性的に伸びたり千切れたりするおそれがある。したがって、本実施の形態では、連続キャリアシートCS1が貼り付けられた領域と切れ目20Sが形成された領域とを接着剤により接合している。そのため、吸収体部材P3と連続キャリアシートCS1とがより確実に接合され、搬送中であっても吸収体部材P3の切れ目20Sがある領域が連続キャリアシートCS1から離れることはなく、切れ目20Sを適正な形状で維持することができる。それにより、伸縮可能である吸収体20を確実に作製することができる。
次に、切断装置150において、搬送ベルト143で搬送された吸収体部材P3は、アンビルロール152の外周面に吸引されつつ搬送されながら、カッターロール151の切断刃によって個々に切断されて、吸収体20の形状に分離した吸収体部材P3となる。その吸収体部材P3は吸収体であり、搬送ロール164へ受け渡される。
次に、図4〜図5及び図7(D)を参照して、第1の半製品形成工程について説明する。ギア延伸装置160において、ロールWR3から連続シート状の連続表面シートTSが巻き戻され、ギア延伸装置160によりギア延伸処理が施されて、伸長性且つ伸縮性の連続シートに成形される。ロールWR3から巻き戻された直後の連続表面シートTSは、伸長性等の連続表面シートTSを形成するための原料連続シートということができる。連続表面シートTSでは、表面シート21の後方側の部分21bに対応する部分TS1に伸縮性が発現し、前方側の部分21aに対応する部分TS2には伸縮性が発現しない。延伸後の連続表面シートTSは、一方の面に接着剤を塗布されて搬送ベルト165に搬送方向に張力がかかった状態で供給される。このとき、搬送方向は伸縮可能な方向とは直交しているので搬送中に連続表面シートTSが伸長することはない。搬送ベルト165上では、非伸長状態の連続表面シートTSの一方の面に、搬送ロール164から供給される個々の吸収体部材P3の連続補助シートSS側の面が押し付けられて、非伸長状態の連続表面シートTSに個々の吸収体部材P3が貼り付けられる。それにより、図7(D)に示すように、連続表面シートTS付き吸収体部材P3、すなわち第1の半製品PA4が形成される。第1の半製品P4は、搬送ベルト165で搬送方向に張力がかかった状態で搬送され、圧搾装置170に供給される。ただし、「第1の半製品」とは、吸収体部材P3(吸収体)に連続表面シートTSが接合されたものをいい、圧搾のような他の加工を施されていてもよい。
次に、圧搾装置170において、搬送ベルト165で搬送された第1の半製品P4は、圧搾ロール171及びアンビルロール172により挟まれて、圧搾部26を成形される。それにより、圧搾部26を有する第1の半製品P4が形成される。第1の半製品は、搬送ベルト184で搬送方向に張力がかかった状態で搬送され、第2の半製品形成ユニット400Cに供給される。
次に、図5及び図8(A)を参照して、第2の半製品形成工程について説明する。ギア延伸装置180において、ロールWR4から巻き戻された連続裏面シートBSが、一対のギアロール181、182によりギア延伸処理が施されて、伸長性且つ伸縮性の連続シートに成形される。ロールWR4から巻き戻された直後の連続裏面シートBSは、伸長性等の連続裏面シートBSを形成するための原料連続シートということができる。連続裏面シートBSでは、裏面シート22の後方側の部分22bに対応する部分BS1に伸縮性が発現し、前方側の部分22aに対応する部分BS2には伸縮性が発現しない。延伸後の連続裏面シートBSは一対の搬送ロール185、186の間に搬送方向に張力がかかった状態で供給される。このとき、搬送方向は伸縮可能な方向とは直交しているので搬送中に連続裏面シートBSが伸長することはない。一対の搬送ロール185、186の間には、搬送ベルト184から、上側の面に接着剤を塗布された第1の半製品P4が供給される。そして、一対の搬送ロール185、186の間で、第1の半製品P4の上側の面に、連続裏面シートBSが非伸長状態で押し付けられて、第1の半製品P4に連続裏面シートBSが非伸長状態で貼り付けられる。それにより、図8(A)に示すように、連続裏面シートBS付きの第2の半製品P5が形成される。ただし図8(A)以降の図において圧搾部26の記載は省略される。第2の半製品P5は、搬送ベルト187で搬送方向に張力がかかった状態で搬送され、吸収性物品形成ユニット400Dに供給される。ただし、「第2の半製品」とは、第1の半製品に連続裏面シートBSが接合されたものをいい、剥離シートを貼付されたり熱シールのような他の加工を施されたりしてもよい。
連続表面シートTSに吸収体部材P3を貼り付ける工程及び第1の半製品P4(吸収体部材P3を含む)に連続裏面シートBSを貼り付ける工程は、併せると伸縮性部材(キャリアシートCS1)が貼り付けられた領域と切れ目(切れ目20S)が形成された領域とが少なくとも一部で重なり合った吸収体部材P3の一方の面に液非透過性の裏面シート(連続裏面シートBS)が対面し、吸収体部材P3の他方の面に液透過性の表面シート(連続表面シートTS)が対面するように、裏面シートと表面シートとで吸収体を挟む工程ということができる。
次に、図5及び図8(B)〜図8(C)を参照して、吸収性物品形成工程について説明する。裏面固定部形成装置190において、ロールWR5から巻き戻された連続剥離シートCTが、一方の面に所定形状に接着剤を塗布されて、カッターロール191とアンビルロール192により所定の大きさに切断されて剥離シート7になる。剥離シート7はアンビルロール192と押圧ロール193との間に供給される。アンビルロール192と押圧ロール193との間には、搬送ベルト187から第2の半製品P5が供給される。そして、アンビルロール192と押圧ロール193との間で、第2の半製品P5の上側の面に、剥離シート7が押し付けられて、第2の半製品P5に、剥離シート7が貼り付けられる。それにより、図8(B)に示すように、剥離シート7付きの第2の半製品P5、すなわち第2の半製品P6が形成される。ただし図8(B)以降の図において剥離シート7の記載は省略し、剥離シート7に塗布された接着剤の固定部6のみ記載する。第2の半製品P6は、搬送ベルト194で搬送方向に張力がかかった状態で搬送され、周囲封止装置200に供給される。
周囲封止装置200において、搬送ベルト194で搬送された第2の半製品P6は、加熱ロール201とアンビルロール202との間に供給され、加熱ロール201により加熱されて、吸収性物品2の形状で縁取るように熱シールされる。それにより熱シールされた第2の半製品P6が形成される。この熱シールの内部には、吸収体が収まっている。熱シールされた第2の半製品P6は拡幅装置210に搬送方向に張力がかかった状態で搬送される。
拡幅装置210において、周囲封止装置200から搬送された第2の半製品P6は、複数組の一対の拡幅ロール211、212の間に供給され、複数組の一対の拡幅ロール211、212のそれぞれに、複数の切れ目20が形成された領域を少しずつ横断方向に拡幅されて、切れ目20Sをきちんと切れた状態にされる。それにより、第2の半製品P6の滑らかな伸縮が確実に可能になる。第2の半製品P6は、搬送ベルト213によりフラップ固定部形成装置220へ搬送方向に張力がかかった状態で搬送される。
このように、本実施の形態では、拡幅装置210により、第2の半製品P6中の吸収体部材P3(実質的に吸収体)における連続キャリアシートCS1(伸縮性部材)が貼り付けられた領域と切れ目20Sが形成された領域とが重なり合った領域が、切れ目20Sの延びる搬送方向と交差する横断方向に拡幅される。
ここで、第2の半製品P6中の吸収体部材P3における切れ目20Sが形成された領域には、吸収体部材P3が完全には切れていない部分や、一度は切れたが繊維同士が再び絡み合い弱い結合が生じている部分が存在する可能性がある。そうなると、吸収体部材P3に適正な伸縮性を付与できないおそれがある。しかし、本実施の形態、では、連続キャリアシートCS1が貼り付けられた領域と切れ目20Sが形成された領域とが重なり合った領域を、切れ目20Sの延びる搬送方向と交差する横断方向に拡幅している。それにより、完全には切れていない切れ目20Sや一度は切れたが繊維同士が再び絡み合い弱い結合が総じている部分を確実に切れた状態にすることができる。このとき、切れ目20Sが形成された領域が、連続キャリアシートCS1が貼り付けられた領域により補強されているので、切れ目20Sが塑性的に変形することはない。このようにして、吸収体部材P3を確実に伸長させることができるようになる。その結果、伸縮可能である吸収体20を確実に作製することができる。
フラップ固定部形成装置220において、ロールWR6から巻き戻された連続シート状の連続剥離シートFTが、一方の面に接着剤を塗布されて、カッターロール221及びアンビルロール222により所定の大きさに切断されて剥離シート5になる。剥離シート5は、アンビルロール222と押圧ロール223との間に供給される。アンビルロール222と押圧ロール223との間には、搬送ベルト213から第2の半製品P6が搬送される。そして、アンビルロール222と押圧ロール223との間で、第2の半製品P6の上側の面に、剥離シート5が押し付けられて、第2の半製品P6に、剥離シート5が貼り付けられる。それにより、図8(C)に示すように、剥離シート5付きの第2の半製品P7が形成される。第2の半製品P7は、搬送ベルト224で周囲切断装置230に搬送方向に張力がかかった状態で搬送される。
周囲切断装置230において、搬送ベルト224で搬送された第2の半製品P7は、アンビルロール232の外周面に吸引されつつ搬送されながら、カッターロール231の切断刃によって個々に切断されて、吸収性物品2の形状に分離された第2の半製品P7、すなわち吸収性物品となる。その吸収性物品は、アンビルロール232から転写装置240へ受け渡される。この工程は、積層された吸収体部材及び伸長性連続シートを切り出して、吸収体及び伸長性シートを形成する切り出し工程ということができる。
次に、図5〜図6及び図8(D)〜図10を参照して、包装工程について説明する。転写装置240において、ロールWR7から巻き戻された連続シート状の連続包装シート3Aが、一方の面に接着剤を塗布されて転写ロール242に巻き込まれる。一方、周囲切断装置230から搬送される吸収性物品が転写ロール241の外周面に吸引されつつ搬送されて転写ロール242に受け渡される。そして、転写ロール242上では、吸収性物品の上面に連続包装シート3Aの一方の面が押し付けられて、吸収性物品53(=吸収性物品2)に連続包装シート3Aが貼り付けられる。それにより、図8(D)に示すように、連続包装シート3A付き吸収性物品、すなわち個包装体部材P8が形成される。個包装体部材P8は、搬送ベルト243で搬送方向に折り畳み装置250へ搬送される。
折り畳み装置250において、搬送ベルト243で搬送方向に搬送された図9(A)に示す個包装体部材P8は、搬送ベルト251で搬送されつつ、個包装体1における折れ線FLV1に沿うように折り畳まれて、図9(B)に示すように、個包装体部材P9を形成する。ただし、図9(A)以降の図において、吸収性物品53の細部は省略している。
次に、折り畳み装置260において、搬送ベルト251で搬送方向に搬送された個包装体部材P9は、搬送ベルト261で搬送されつつ、個包装体1における折れ線FLV2に沿うように折り畳まれて、図9(C)に示すように個包装体部材P10を形成する。
続いて、折り畳み装置270において、搬送ベルト261で搬送方向に搬送された個包装体部材P10は、搬送ベルト271で搬送されつつ、個包装体1における折れ線FLV3に沿うように折り畳まれて、図9(D)に示すように個包装体部材P11を形成する。
上記の折り畳み装置250、260は、吸収性物品2の吸収体20、表面シート21及び裏面シート22における伸長性が高い部分で折り畳みを行っている。伸長性が高い部分は剛性が低く曲げやすいため、吸収体20、表面シート21及び裏面シート22を折り畳むときに、折り畳み装置250、260は容易に確実に折り曲げることができる。その結果、折り曲げ位置がずれる等の不具合を抑制することができ、最終的に吸収性物品が完成したとき製品が歪んだり、寸法ばらつきが生じたりするなどの事態を防止できる。
横シール装置280において、筒状の連続包装シート3Aにおける互いに隣り合う吸収性物品同士の間の部分が、横シール装置280の一対の押圧ロール281、282により横断方向にシールされて、個包装体部材P11の接合部31〜33(図1)が形成される。ただし、吸収性物品の搬送方向の前方及び後方のそれぞれのために2回のシールを行う。
横切断装置290において、横シール装置280から搬送された個包装体部材P11は、接合部31〜33を横断方向に切断される。それにより、図10(A)に示すように、個包装体部材P12が形成される。
方向転換装置300において、横切断装置290で切断された個包装体部材P12は、一対の搬送ベルト301、302の間に把持されつつ搬送方向に搬送され、途中から上側の搬送ベルト302のみでその端部まで搬送される。上側の搬送ベルト302の端部に到達した個包装体部材P12は、下押し装置304によりその下方に配置された搬送ベルト305上に押されて落とされる。搬送ベルト305は、個包装体部材P12を折り畳み装置310へ搬送する。このとき、搬送方向が90度転向して、吸収性物品2の長手方向に搬送される。この場合、吸収性物品2は包装シート3に包装されているので、伸長性の部材が搬送中に引き伸ばされるおそれはない。
折り畳み装置310において、搬送ベルト311で搬送方向に搬送された個包装体部材P12は、搬送ベルト311で搬送されつつ、個包装体1における折れ線FLT1に沿うように折り畳まれて、個包装体部材P13となる。すなわち、図10(B)に示すように、個包装体部材P12において、折れ線FLT1、FLT2により区画された、横断方向に並んだ3つの部分3a、3b、3cに関して、部分3aが部分3bに重なり、個包装体部材P12横断方向の一方の端部3e1が部分3b上に位置するようになる。更に、個包装体部材P13は、個包装体1における折れ線FLT2に沿うように折り畳まれて、個包装体部材P14となる。すなわち、図10(C)に示すように、個包装体部材P13において、部分3cが部分3b上の部分3aに重なり、個包装体部材P13横断方向の他の端部3e2が部分3a上に位置するようになる。
封止装置320において、個包装体部材P14は搬送ベルト323、324で把持されつつ搬送される。ロールWR8から巻き戻された連続テープTPが、カッターロール321及びアンビルロール322により所定の大きさに切断されてリードテープ9になる。リードテープ9は搬送ベルト324上の個包装体部材P14に供給される。個包装体部材P14は、その上面の所定の位置にアンビルロール322からリードテープ9を貼り付けられて、図10(D)に示すように個包装体P15となる。
以上のようにして、包装された吸収性物品が製造される。
本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法では、吸収性物品2が完成したときに吸収性物品2の幅方向Wになる方向(伸長性を相対的に低くする方向)を、積繊体50や連続キャリアシートCSのような吸収体部材及び連続表面シートTSや連続裏面シートBSのような伸長性連続シートにおける伸長性が低い方向とし、その方向を搬送方向として、吸収体部材及び伸長性連続シートを搬送することとしている。それにより、吸収体部材及び伸長性連続シートは搬送方向に相対的に低い伸長性を有するので、各吸収体部材及び伸長性連続シートが搬送中に搬送方向に引っ張られたときに伸長することを抑制できる。その結果、吸収体部材及び伸長性連続シートの加工工程において、搬送方向の加工位置を安定させることができ、最終的に吸収性物品が完成したとき製品が歪んだり、寸法ばらつきが生じたりするなどの事態を防止できる。
本実施の形態では、吸収体20の少なくとも一部、例えば中心線WCLよりも長手方向Lの後方側の部分に伸縮性を付与させるべく、切れ目20Sを形成して主に伸長性を付与した吸収体本体部20mの後方側の部分20mbと、伸縮性を有する部材で形成したキャリアシート20nの後方側の部分20nbとを重ね合わせることにより、装着快適性を損なうことなく、少なくとも一部で伸縮可能な吸収体20を得ることができる。ただし、そのような吸収体20を形成するとき、図7(C)に示すように吸収体(吸収体部材P2)に切れ目20Sを入れて吸収体(吸収体部材P3)にすると、その後の工程において、吸収体(吸収体部材P3)を搬送中に吸収体(吸収体部材P3)が塑性的に伸びたり千切れたりすることがある。そこで、吸収体(吸収体部材P3)で切れ目20Sを形成する領域を、伸縮性部材である連続キャリアシートCS1で補強している。そのため、搬送中に吸収体(吸収体部材P3)が伸びたとしても収縮して元の状態に回復させることができ、伸び過ぎずに千切れないようにできる。それに加えて、連続キャリアシートCS1で補強することで吸収体(吸収体部材P3)の伸縮性を補強することができる。それにより、切れ目20Sと交差する方向に伸縮可能である吸収体を確実に作製することができる。すなわち、吸収体の少なくとも一部に、吸収体として使用可能な適切な伸縮性を付与することが可能となる。
また、本実施の形態では他の好ましい態様として、吸収体部材P2(実質的に吸収体)に切れ目20Sを形成するとき、吸収体部材P2一部の領域の一方の面の側から、吸収体部材P2に切れ目20Sを形成してから、吸収体部材P2の一部の領域の一方の面又は他方の面の少なくとも一方の側から連続キャリアシートCS1(伸縮性部材)を貼り付けてもよい。この場合、キャリアシート供給装置120を切れ目形成装置140よりも搬送方向の下流側に配置する。
ここで、吸収体部材P2を補強するための連続キャリアシートCS1に切れ目が入ると連続キャリアシートCS1の機能が低下するおそれがある。しかし、上述の好ましい形態では、連続キャリアシートCS1を貼り付ける前に、吸収体部材P2に切れ目を形成する。そのため、吸収体部材P2を補強するための連続キャリアシートCS1を切断するおそれが無くなる。すなわち、連続キャリアシートCS1に切れ目を生じさせることなく、吸収体部材P2に切れ目20Sを形成できる。それにより、キャリアシートCS1で伸縮可能である吸収体20を確実に作製することができる。
また、本実施の形態では他の好ましい態様として、まず、切れ目20Sを形成する工程において、切れ目形成装置140により、吸収体部材P2の厚み方向の一方の側から他方の側に向かって途中まで切れ目20Sを入れて不完全な切れ目を有する吸収体部材P3を形成する。その後、拡幅する工程において、拡幅装置210により、第2の半製品P6に含まれる吸収体部材P3の厚み方向の途中まで入った不完全な切れ目が厚み方向の他方の側に達して完全な切れ目20Sになるように吸収体部材P3を拡幅する。
このように本実施の形態では、切れ目形成装置140により吸収体部材P2に、吸収体部材P2の厚み方向の一方の側から他方の側に向かって途中まで切れ目20Sを入れている。すなわち厚み方向の他方の側に到達しない、不完全な切れ目、いわゆるハーフカットな切れ目にしている。そのため、搬送中では切れ目20Sが不完全であり切れ目20Sの両側がつながっているために、吸収体部材P3が塑性的に伸びたり千切れたりすることをより確実に防止できる。そして、その後、切れ20S目を拡幅することにより、不完全な切れ目を完全な切れ目20Sにしている。それにより、吸収体本体20mを確実に伸長させることができるようになる。その結果、伸縮可能である吸収体20をより確実に作製することができる。
また、本実施の形態では好ましい態様として、積繊体50に連続キャリアシートCS1を非伸長状態で貼り付けたり、吸収体部材P3と連続表面シートTSとを横断方向において非伸長状態で貼り付けたり、第1の半製品P4と連続裏面シートBSを横断方向において非伸長状態で貼り付けたりするなど、吸収体と伸長性の連続シートとを横断方向において非伸長状態で接合している。その場合には、伸長状態で接合する場合のような、接合した後に収縮した後での搬送方向や横断方向の寸法ずれの調整や形状の変形の調整が不要である。すなわち、吸収体の少なくとも一部に、吸収体として適切な伸縮性を付与することが可能となる。
なお、本発明は、上記の連続キャリアシートCS1に吸収体部材P1を貼り付ける工程、吸収体部材P3の一部の領域に切れ目20Sを形成する工程、及び、連続表面シートTSに吸収体部材P3を貼り付け、且つ、吸収体部材P3に連続裏面シートBSを貼り付ける工程を備えていれば、それらの装置や、それ以外の工程及びそれらの装置については、上述された製造装置400やそれに基づく製造方法に限定されるものではない。また、吸収性物品2の具体的な構成については、例えば上述された切れ目20Sの構成を有していれば、特に限定されるものでは無い。
400 製造装置
400A 吸収体形成ユニット
400B 第1の半製品形成ユニット
400C 第2の半製品形成ユニット
400D 吸収性物品形成ユニット
400E 包装ユニット
SS 連続補助シート
CS1 連続キャリアシート
CS2 連続キャリアシート
TS 連続表面シート
BS 連続裏面シート
CT 連続剥離シート
FT 連続剥離シート
TP 連続テープ
P1〜P3 吸収体部材
P4 第1の半製品
P5〜P7 第2の半製品
P8〜P14 個包装体部材
P15 個包装体

Claims (7)

  1. 吸収体を搬送方向に搬送しながら吸収性物品を製造する方法であって、
    前記吸収体の一部の領域に伸縮性部材を貼り付ける貼り付け工程と、
    前記吸収体の一部の領域に切れ目を形成する切れ目形成工程と、
    前記伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とが少なくとも一部で重なり合った前記吸収体の一方の面に液非透過性の裏面シートが対面し、前記吸収体の他方の面に液透過性の表面シートが対面するように、前記裏面シートと前記表面シートとで前記吸収体を挟む工程と、
    を備える、
    吸収性物品の製造方法。
  2. 前記貼り付け工程は、前記吸収体の一部の領域の一方の面に前記伸縮性部材を貼り付ける工程を含み、
    前記切れ目形成工程は、前記貼り付け工程の後に、前記吸収体の一部の領域の他方の面の側から、前記伸縮性部材を切らないようにしつつ、前記吸収体に前記切れ目を形成する工程を含む、
    請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
  3. 前記切れ目形成工程は、前記吸収体の一部の領域の一方の面の側から、前記吸収体に前記切れ目を形成する工程を含み、
    前記貼り付け工程は、前記切れ目形成工程の後に、前記吸収体の一部の領域の一方の面又は他方の面の少なくとも一方の側から前記伸縮性部材を貼り付ける工程を含む、
    請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
  4. 前記吸収体は、前記切れ目の伸び得る方向と交差する方向を前記搬送方向として搬送される、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  5. 前記貼り付け工程は、前記吸収体における前記伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とが重なり合った領域において、前記吸収体と前記伸縮性部材と間を接着剤で貼り付ける工程を含む、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  6. 前記吸収体における前記伸縮性部材が貼り付けられた領域と前記切れ目が形成された領域とが重なり合った領域を、前記切れ目の延びる方向と交差する方向に拡幅する工程を更に備える、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
  7. 前記切れ目形成工程は、前記吸収体に、前記吸収体の厚み方向の一方の側から他方の側に向かって途中まで切れ目を入れる工程を含み、
    前記拡幅する工程は、前記厚み方向の途中まで入った切れ目が前記厚み方向の他方の側に達するように拡幅する工程を含む、
    請求項6に記載の吸収性物品の製造方法。
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