以下、本発明の一実施の形態に係る光学式表面形状検出システムについて図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、本発明に係る光学式表面形状検出システムの一例として、共焦点顕微鏡システムについて説明する。
(1)共焦点顕微鏡システムの基本構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る共焦点顕微鏡システム500の構成を示すブロック図である。図1に示すように、共焦点顕微鏡システム500は、測定部100、PC(パーソナルコンピュータ)200、操作部250、制御部300および表示部400を備える。測定部100は、レーザ光源10、X−Yスキャン光学系20、受光素子30、照明用白色光源40、カラーCCD(電荷結合素子)カメラ50およびステージ60を含む。ステージ60上には、観察対象物Sが載置される。
レーザ光源10は、例えば半導体レーザである。レーザ光源10から出射されたレーザ光は、レンズ1により平行光に変換された後、ハーフミラー4を透過してX−Yスキャン光学系20に入射する。なお、レーザ光源10に代えて水銀ランプ等の他の光源が用いられてもよい。この場合、水銀ランプ等の光源とX−Yスキャン光学系20との間に帯域通過フィルタが配置される。水銀ランプ等の光源から出射された光は、帯域通過フィルタを通過することにより単色光となり、X−Yスキャン光学系20に入射する。
X−Yスキャン光学系20は、例えばガルバノミラーである。X−Yスキャン光学系20は、ステージ60上の観察対象物Sの表面上においてレーザ光をX方向およびY方向に走査する機能を有する。X方向、Y方向およびZ方向の定義については後述する。X−Yスキャン光学系20により走査されたレーザ光は、ハーフミラー5により反射された後、ハーフミラー6を透過し、対物レンズ3によりステージ60上の観察対象物Sに集光される。なお、ハーフミラー4〜6に代えて偏光ビームスプリッタが用いられてもよい。
観察対象物Sにより反射されたレーザ光は、対物レンズ3およびハーフミラー6を透過した後、ハーフミラー5により反射され、X−Yスキャン光学系20を透過する。X−Yスキャン光学系20を透過したレーザ光は、ハーフミラー4により反射され、レンズ2により集光され、ピンホール部材7のピンホールおよびND(Neutral Density)フィルタ8を透過して受光素子30に入射する。このように、本実施の形態においては反射型の共焦点顕微鏡システム500が用いられるが、観察対象物Sが細胞等の透明体である場合には、透過型の共焦点顕微鏡システムが用いられてもよい。
ピンホール部材7のピンホールは、レンズ2の焦点位置に配置される。NDフィルタ8は、受光素子30に入射するレーザ光の強度を減衰させるために用いられる。そのため、レーザ光の強度が十分減衰されている場合には、NDフィルタ8は設けられなくてもよい。
本実施の形態では、受光素子30は光電子増倍管である。受光素子30としてフォトダイオードおよび増幅器を用いてもよい。受光素子30は、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ)を出力する。制御部300は、2つのA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)、FIFO(First In First Out)メモリおよびCPU(中央演算処理装置)を含む。受光素子30から出力される受光信号は、制御部300の1つのA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次PC200に転送される。
照明用白色光源40は、例えばハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。照明用白色光源40により発生された白色光は、ハーフミラー6により反射された後、対物レンズ3によりステージ60上の観察対象物Sに集光される。
観察対象物Sにより反射された白色光は、対物レンズ3、ハーフミラー6およびハーフミラー5を透過してカラーCCDカメラ50に入射する。カラーCCDカメラ50に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。カラーCCDカメラ50は、受光量に対応する電気信号を出力する。カラーCCDカメラ50の出力信号は、制御部300の他の1つのA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、カメラデータとして順次PC200に転送される。
制御部300は、画素データおよびカメラデータをPC200に与えるとともに、PC200からの指令に基づいて受光素子30の受光感度(ゲイン)およびカラーCCDカメラ50を制御する。また、制御部300は、PC200からの指令に基づいてX−Yスキャン光学系20を制御することによりレーザ光を観察対象物S上でX方向およびY方向に走査させる。
対物レンズ3は、レンズ駆動部63によりZ方向に移動可能に設けられる。制御部300は、PC200からの指令に基づいてレンズ駆動部63を制御することにより対物レンズ3をZ方向に移動させることができる。これにより、対物レンズ3に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置を変化させることができる。
PC200は、CPU(中央演算処理装置)210、ROM(リードオンリメモリ)220、作業用メモリ230および記憶装置240を含む。ROM220には、システムプログラムが記憶される。作業用メモリ230は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、表面形状検出プログラムが記憶される。また、記憶装置240は、制御部300から与えられる画素データおよびカメラデータ等の種々のデータを保存するために用いられる。表面形状検出プログラムの詳細は後述する。
CPU210は、制御部300から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。以下、画素データに基づいて生成される画像データを共焦点画像データと呼ぶ。また、共焦点画像データに基づいて表示される画像を共焦点画像と呼ぶ。
CPU210は、制御部300から与えられるカメラデータに基づいて画像データを生成する。以下、カメラデータに基づいて生成される画像データをカメラ画像データと呼ぶ。また、カメラ画像データに基づいて表示される画像をカメラ画像と呼ぶ。
CPU210は、生成した共焦点画像データおよびカメラ画像データに作業用メモリ230を用いて各種処理を行うとともに、共焦点画像データに基づく共焦点画像およびカメラ画像データに基づくカメラ画像を表示部400に表示させる。また、CPU210は、後述するステージ駆動部62に駆動パルスを与える。
操作部250は、例えばキーボードおよびマウスにより構成される。表示部400は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
ステージ60は、X方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構を有する。X方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構には、ステッピングモータが用いられる。
ステージ60のX方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構は、ステージ操作部61およびステージ駆動部62により駆動される。使用者は、ステージ操作部61を手動で操作することにより、ステージ60を対物レンズ3に対して相対的にX方向、Y方向およびZ方向に移動させることができる。
ステージ駆動部62は、PC200より与えられる駆動パルスに基づいて、ステージ60のステッピングモータに電流を供給することにより、ステージ60を対物レンズ3に相対的にX方向、Y方向およびZ方向に移動させることができる。
(2)共焦点画像、超深度画像および高さ画像
共焦点顕微鏡システム500の一動作例について説明する。図2は、X方向、Y方向およびZ方向を定義するための図である。図2に示すように、対物レンズ3により集光されたレーザ光が観察対象物Sに照射される。本実施の形態においては、対物レンズ3の光軸の方向をZ方向と定義する。また、Z方向と直交する面において、互いに直交する二方向をそれぞれX方向およびY方向と定義する。X方向、Y方向およびZ方向を矢印X,Y,Zでそれぞれ示す。
Z方向において対物レンズ3に対する観察対象物Sの表面の相対的な位置を観察対象物SのZ方向の位置と呼ぶ。共焦点画像データの生成は、単位領域ごとに行なわれる。単位領域は対物レンズ3の倍率により定まる。
観察対象物SのZ方向の位置が一定の状態で、X−Yスキャン光学系20により単位領域内のY方向の端部でレーザ光がX方向に走査される。X方向の走査が終了すると、レーザ光がX−Yスキャン光学系20によりY方向に一定の間隔変移される。この状態でレーザ光がX方向に走査される。このように、各単位領域において、X方向に平行な複数の測定ライン(走査線)上でレーザ光が走査される。次に、対物レンズ3がZ方向に移動される。それにより、対物レンズ3のZ方向の位置が前回と異なる一定の状態で、単位領域のX方向およびY方向の走査が行なわれる。観察対象物SのZ方向の複数の位置で単位領域のX方向およびY方向の走査が行なわれる。
観察対象物SのZ方向の位置ごとにX方向およびY方向の走査により共焦点画像データが生成される。これにより、単位領域内でZ方向の位置が異なる複数の共焦点画像データが生成される。
ここで、共焦点画像データのX方向の画素数は、X−Yスキャン光学系20によるレーザ光のX方向の走査速度と制御部300のサンプリング周期とにより定まる。1回のX方向の走査(1本の走査線)におけるサンプリング数がX方向の画素数となる。また、単位領域の共焦点画像データのY方向の画素数は、X方向の走査の終了ごとのX−Yスキャン光学系20によるレーザ光のY方向の変移量により定まる。Y方向における走査線の数がY方向の画素数となる。さらに、単位領域の共焦点画像データの数は、観察対象物SのZ方向の移動回数により定まる。単位領域の複数の共焦点画像データに基づいて、後述する方法で超深度画像データおよび高さ画像データが生成される。
図2の例では、まず、ステージ60の最初の位置で単位領域s1における観察対象物Sの複数の共焦点画像データが生成されるとともに単位領域s1の超深度画像データおよび高さ画像データが生成される。続いて、ステージ60が順次移動することにより単位領域s2〜s4における観察対象物Sの複数の共焦点画像データが生成されるとともに単位領域s2〜s4の超深度画像データおよび高さ画像データが生成される。この場合、隣接する単位領域の一部が互いに重なるように、単位領域s1〜s4が設定されてもよい。それにより、パターンマッチングを行うことにより、複数の単位領域s1〜s4の超深度画像データおよび高さ画像データを高い精度で連結することができる。特に、複数の単位領域の合計の面積が後述する画素データの取得範囲よりも大きい場合には、取得範囲からはみ出す部分の面積に相当する部分が重なり部分として設定される。
図3は、1つの画素において観察対象物SのZ方向の位置と受光素子30の受光強度との関係を示す図である。図1に示したように、ピンホール部材7のピンホールはレンズ2の焦点位置に配置される。そのため、観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置にあるときに、観察対象物Sにより反射されたレーザ光がピンホール部材7のピンホールの位置に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたレーザ光の大部分がピンホール部材7のピンホールを通過して受光素子30に入射する。この場合、受光素子30の受光強度は最大になる。それにより、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は最大となる。
一方、観察対象物Sが対物レンズ3の焦点位置が外れた位置にあるときには、観察対象物Sにより反射されたレーザ光はピンホール部材7のピンホールの前または後の位置に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたレーザ光の多くはピンホール部材7のピンホールの周囲の部分で遮られ、受光素子30の受光強度は低下する。それにより、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は低下する。
このように、観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置にある状態で受光素子30の受光強度分布にピークが現れる。各単位領域の複数の共焦点画像データから、画素ごとにZ方向における受光強度分布が得られる。それにより、画素ごとに受光強度分布のピーク位置とピーク強度(ピークの受光強度)とが得られる。
各単位領域の複数の画素についてのZ方向におけるピーク位置を表すデータを高さ画像データと呼び、高さ画像データに基づいて表示される画像を高さ画像と呼ぶ。高さ画像は、観察対象物Sの表面形状を表す。また、各単位領域の複数の画素についてのピーク強度を表すデータを超深度画像データと呼び、超深度画像データに基づいて表される画像を超深度画像と呼ぶ。超深度画像は、観察対象物Sの表面のすべての部分にピントが合った状態で得られる画像である。PC200は、制御部300から与えられる単位領域の複数の画素データに基づいて単位領域の複数の共焦点画像データを生成し、複数の共焦点画像データに基づいて単位領域の高さ画像データおよび超深度画像データを生成する。
(3)断面曲線
図4は、観察対象物Sの表面形状を示す図である。図4(a)に示すように、観察対象物Sの表面は、起伏が連続する形状を有する。観察対象物Sの表面上を垂直な平面(本例では、XZ平面)で切断したとき、その切断面に現れる観察対象物Sの表面上の曲線を断面曲線と呼ぶ。また、断面曲線を表すデータを断面曲線データと呼ぶ。
図4(b)に示すように、観察対象物Sの表面において、起伏の周期が比較的短く、起伏の深さに比べて起伏の間隔が比較的小さい断面形状を粗さと呼ぶ。断面曲線から所定のカットオフ波長λcよりも短い波長を有する成分を抽出することにより得られる曲線を粗さ曲線と呼ぶ。図4(c)に示すように、観察対象物Sの表面において、粗さの起伏の周期よりも長い起伏の周期を有する断面形状をうねりと呼ぶ。断面曲線から所定のカットオフ波長λcよりも長い波長を有する成分を抽出することにより得られる曲線をうねり曲線と呼ぶ。
図4(b)の粗さ曲線および図4(c)のうねり曲線は、断面曲線データに基づいて生成されてもよく、後述のスタイラス検出データに基づいて生成されてもよい。
なお、表面形状とは、図4(b)に示されるような表面の粗さを意味してもよく、図4(c)に示されるような表面のうねりを意味してもよい。あるいは、表面形状とは、図4(a)に示されるような粗さおよびうねりの両方を含む形状を意味してもよい。
(4)断面曲線データの生成
断面曲線データの生成時における共焦点顕微鏡システム500の動作例について説明する。図5は、断面曲線データの生成時におけるレーザ光の走査方法を示す図である。図6は、複数の帯状領域における断面曲線データの連結方法を示す図である。
図5に示すように、断面曲線データの生成時には、X方向に沿って連続する複数(図5では3つ)の帯状領域s10が画素データの取得範囲として設定される。例えば、観察対象物Sのカメラ画像が表示部400(図1)の画面上に表示され、その画像上で使用者により画素データの取得範囲が設定される。
各帯状領域s10では、X方向に平行な複数の測定ライン上でレーザ光が走査される。それにより、PC200は、複数の測定ラインに基づく画素データを制御部300から取得する。各帯状領域s10の幅は、上記の単位領域のY方向の幅より短くてもよく、または単位領域のY方向の幅と等しくてもよい。各帯状領域s10の幅が単位領域のY方向の幅より短い場合、各帯状領域s10に含まれる測定ライン数は、図2の単位領域に含まれる測定ライン数よりも少ない。各帯状領域s10に含まれる測定ラインの数および各測定ラインの長さは、それぞれ予め定められた一定の値であってもよく、または使用者により適宜設定されてもよい。
複数の帯状領域s10の全体の長さ(以下、評価長さと呼ぶ)は使用者により設定される。各帯状領域s10の測定ライン数および評価長さに応じて、帯状領域s10の数が決定される。
各帯状領域s10において、Z方向の位置が異なる複数の画素データが取得される。取得された複数の画素データに基づいて、各測定ラインのピーク位置が取得される。取得された各測定ラインのピーク位置に基づいて、各測定ラインの断面曲線データが生成される。
図6に示すように、複数(図6では3つ)の帯状領域s10の断面曲線データが互いに連結される。具体的には、複数の帯状領域s10間で、Y方向における位置が一致する複数の測定ラインの断面曲線データが連結される。これにより、複数の帯状領域s10を含む範囲において、測定ライン数分の断面曲線データが生成される。図6においては、断面曲線データを視覚的に表現するために、各帯状領域s10の断面曲線データに基づいて表示される断面曲線が実線で図示される。
なお、本例では、X方向に一列に並ぶ複数の帯状領域s10が画素データの取得範囲として設定されるが、これに限らず、X方向に複数列に並ぶ複数の帯状領域s10が画素データの取得範囲として設定されてもよい。
(5)スタイラス検出データ
触針式の粗さ計では、触針(スタイラス)が観察対象物Sの表面上で走査され、その触針の動きが検出されることにより、観察対象物Sの表面形状を表すデータが得られる。本実施の形態では、上記の断面曲線データに基づいて、触針式の粗さ計により得られるデータと等価のデータ(以下、スタイラス検出データと呼ぶ)が生成される。
ここで、スタイラス検出データについて説明する。図7〜図11は、断面曲線データにより表される断面曲線(以下、光学断面曲線と呼ぶ)と触針との関係とを示す図である。図7〜図11において、実線は光学断面曲線を示し、一点鎖線は仮想的に設定される触針を示す。図7〜図11の光学断面曲線は、後述のフィルタリング処理後の断面曲線データにより表される光学断面曲線であり、観察対象物Sの実際の断面曲線と高い精度で一致する。図12は、スタイラス断面曲線を示す図である。図12において、実線はスタイラス断面曲線を示し、点線は光学断面曲線を示す。
図7に示すように、触針STの先端部には、下方に向かって漸次小さくなる直径を有するテーパ部TA、およびそのテーパ部TAの下端部に設けられる球面形状の接触部TEが設けられる。なお、図7〜図11では、接触部TEが円形で示される。接触部TEの下端中央に基準点SSが設定される。本実施の形態では、2次元(XZ平面上)での触針STの形状(断面形状)が設定される。触針STの形状は、例えば、テーパ部TAがなす角度(以下、テーパ角と呼ぶ)θおよび接触部TEの曲率半径(以下、先端半径と呼ぶ)TRを含む。設定された触針STの形状は、触針データとして図1の作業用メモリ230または記憶装置240に記憶される。
スタイラス断面曲線SC(図12)は、触針STが観察対象物Sの表面に接触しつつ移動する場合の基準点SSの軌跡に相当する。この場合、テーパ部TAの中心および接触部TEの中心を通る触針STの中心線CLは、Z方向に一致するように設定される。
基準点SSが観察対象物Sの表面に接触する場合、その表面の部分を表すスタイラス断面曲線SC(図12)は、光学断面曲線DCと一致する。一方、基準点SSが観察対象物Sの表面に接触せずに、接触部TEの他の部分またはテーパ部TAが観察対象物Sの表面に接触する場合、その表面の部分を表すスタイラス断面曲線SCは、光学断面曲線DCと一致しない。この場合、基準点SSが観察対象物Sの上方に位置するので、スタイラス断面曲線SCが光学断面曲線DCの上側に位置する。
図7〜図11の例では、光学断面曲線DCが、Z方向に垂直な平坦部51、傾斜部52a,52bを有する凸部52、および矩形状の凹部53を含む。図7に示すように、触針STが平坦部51上を移動する場合、触針STの基準点SSが平坦部51に接触する。それにより、図12に示すように、平坦部51を表すスタイラス断面曲線SCの部分は光学断面曲線DCと一致する。
図8に示すように、触針STが凸部52の傾斜部52a上を斜め上方に向かって移動する場合、基準点SSが傾斜部52aから離間する。図9に示すように、触針STが凸部52の上端部(傾斜部52aと傾斜部52bとの境界部)に達すると、基準点SSが凸部52の上端部に接触する。図10に示すように、触針STが凸部52の傾斜部52b上を斜め下方に向かって移動する場合、基準点SSが傾斜部52aから離間する。
これにより、図12に示すように、凸部52の傾斜部52a,52bを表すスタイラス断面曲線SCの部分は、光学断面曲線DCと一致せず、凸部52の上端部を表すスタイラス断面曲線SCの部分は、光学断面曲線DCと一致する。また、接触部TEが球面形状を有するので、凸部52の上端部を表す光学断面曲線DCの部分が、角をなすように不連続に変化するのに対して、凸部52の上端部を表すスタイラス断面曲線SCの部分は、円弧を描くように滑らかに変化する。
図11に示すように、触針STが凹部53上を移動する場合、接触部TEの一方側におけるテーパ部TAの部分および接触部TEの他方側におけるテーパ部TAの部分が凹部53の一方の縁部および他方の縁部にそれぞれ接触する。それにより、触針STのZ方向の移動が妨げられ、基準点SSが凹部53の底部53aに到達しない。したがって、凹部53を表すスタイラス断面曲線SCの部分は、光学断面曲線DCと一致しない。
このように、光学断面曲線DCの細部はスタイラス断面曲線SCに反映されない。また、上記のように、凹部53内への接触部TEの進入が妨げられる場合があるので、Z方向におけるスタイラス断面曲線SCの変位は、Z方向における光学断面曲線DCの変位よりも小さくなる。スタイラス断面曲線SCの精度は、触針STの形状によって異なる。
スタイラス断面曲線SCと触針STの形状との関係について説明する。図13は、触針STの形状を表す関数g(x)について説明するための図である。図13において、x軸はX方向に対応し、z軸はZ方向に対応する。x軸とz軸との交点が基準点SSに設定され、g(0)=0である。関数g(x)に関して、xは有限であってもよく、無限であってもよい。xが無限の場合、テーパ部TAが無限に延びるように設定されてもよい。
光学断面曲線DCを表す関数をf(x)とすると、スタイラス断面曲線SCは、次式で表される。
z(x)=max{f(x+τ)−g(τ)}…(1)
式(1)において、xは、XZ平面におけるX方向の位置(座標)を示し、z(x)は、X方向の位置xにおけるZ方向の位置(座標)を示す。maxは、図13の関数g(x)におけるxの定義域を変数τに与えた場合に取りうる最大値を示す。
図14および図15は、式(1)について説明するための図である。図14において、X方向における触針STの基準点SSの位置はx1である。基準点SSからX方向にτ1(τ1は、負の値)だけ離れた位置P1において触針STが光学断面曲線DCに接触する。この場合、位置P1の高さh0は、f(x1+τ1)で表され、位置P1の高さh0と基準点SSの高さh1との差Δhは、g(τ1)で表される。したがって、基準点SSの高さh1は、{f(x1+τ1)−g(τ1)}で表される。
図15に示すように、xの値が維持されつつτの値が変化されることにより、X方向における触針STの位置が一定で、かつ触針STと光学断面曲線DCとの接触位置(交差位置)が異なる場合の基準点SSの高さが求められる。具体的には、基準点SSからX方向にτ2(τ2は、負の値)だけ離れた位置P2において触針STが光学断面曲線DCに交差する場合、基準点SSの高さh2は、{f(x1+τ2)−g(τ2)}で表される。基準点SSからX方向にτ3(τ3は、正の値)だけ離れた位置P3において触針STが光学断面曲線DCに交差する場合、基準点SSの高さh3は、{f(x1+τ3)−g(τ3)}で表される。基準点SSからX方向にτ4(τ4は、負の値)だけ離れた位置P4において触針STが光学断面曲線DCに交差する場合、基準点SSの高さh4は、{f(x1+τ4)−g(τ4)}で表される。この場合、{f(x1+τ)−g(τ)}の最大値である{f(x1+τ1)−g(τ1)}が、スタイラス断面曲線SCにより表される値と一致する。
さらに、xの値が変化されることにより、X方向における触針STの位置が異なる場合の基準点SSの高さが求められ、その最大値がスタイラス断面曲線SCにより表される値と一致する。したがって、X方向の任意の位置におけるスタイラス断面曲線SCの値は、max{f(x+τ)−g(τ)}で表される。
(6)スタイラス検出データの生成
スタイラス検出データの生成方法について説明する。図16は、断面曲線データにより表される断面曲線の部分拡大図である。図17は、図16の断面曲線データからスタイラス検出データを生成する過程を示す図である。図18は、図16の断面曲線データから生成されたスタイラス検出データにより表されるスタイラス断面曲線SCの部分拡大図である。
図16の光学断面曲線DCは、高周波ノイズHNを含む。高周波ノイズHNが含まれたままの断面曲線データDCからスタイラス検出データSCが生成されると、図16に点線で示されるように、スタイラス断面曲線SCの精度が低くなる。
そこで、光学断面曲線DCから高周波ノイズHNを除去するため、ローパスフィルタにより断面曲線データのフィルタリング処理が行われる。図17には、フィルタリング処理後の断面曲線データにより表される光学断面曲線DCが示される。上記のように、フィルタリング処理後の光学断面曲線DCは、観察対象物Sの実際の断面曲線と高い精度で一致する。以下、高周波ノイズの除去に用いられるローパスフィルタをノイズフィルタと呼ぶ。ノイズフィルタとして、例えば、ガウシアンフィルタ、単純移動平均フィルタまたはメディアンフィルタが用いられる。
ノイズフィルタの遮断波長(遮断周波数)は、触針STの接触部TEの曲率半径(先端半径)TRまたは直径に応じて決定されることが好ましい。
例えば、ノイズフィルタとしてガウシアンフィルタまたは移動平均フィルタが用いられる場合、遮断波長が、接触部TEの直径の0.5倍以上4倍以下に設定されることが好ましい。遮断波長が接触部TEの直径の0.5倍以上であることにより、高周波ノイズを適正に除去することができる。遮断波長が接触部TEの直径の4倍以下であることにより、断面曲線データから高周波ノイズ以外の成分が除去されることが防止される。
また、移動平均フィルタが用いられる場合、遮断波長が、移動平均点数にサンプリング間隔を乗じるとともにその乗算値を0.443で除した値(移動平均点数×サンプリング間隔/0.443)に略等しくなるように、移動平均点数が設定されることが好ましい。移動平均点数とは、移動平均の算出に用いられるサンプリング点の数である。サンプリング間隔とは、受光素子30から出力される受光信号のサンプリング周期である。
ノイズフィルタとしてメディアンフィルタが用いられる場合、注目点を中心とするフィルタサイズ(点数)が、触針STの接触部TEの曲率半径(先端半径)TRに応じて決定されることが好ましい。例えば、注目点の一方側および他方側の各々における点数が、接触部TEの直径をサンプリング間隔で除した値(2×先端半径TR/サンプリング間隔)の0.5倍以上4倍以下であることが好ましい。上記点数が(2×先端半径TR/サンプリング間隔)の0.5倍以上であることにより、高周波ノイズを適正に除去することができる。上記点数が(2×TR/サンプリング間隔)の4倍以下であることにより、断面曲線データから高周波ノイズ以外の成分が除去されることが防止される。
次に、フィルタリング処理後の光学断面曲線DCおよび予め設定された触針データに基づいて、図18のスタイラス断面曲線SCを表すスタイラス検出データが生成される。スタイラス検出データの生成には、例えば上式(1)が用いられる。この場合、式(1)のf(x)として、フィルタリング処理後の断面曲線データにより表される光学断面曲線DCを表す関数が用いられる。
(7)表示部による表示
断面曲線データにより表される光学断面曲線DCまたはスタイラス検出データにより表されるスタイラス断面曲線SCは、図1の表示部400の画面上に表示される。図19は、表示部400の表示例を示す図である。図19の例では、表示部400の画面上に、画像表示領域410および解析結果表示領域430が表示される。画像表示領域410には、後述の超深度線状データに基づく超深度線状画像が表示される。また、超深度線状画像上に、複数の測定ラインが表示される。表示される測定ラインは、レーザ光が照射される全測定ラインのうちの予め設定された一部または全部である。
解析結果表示領域430は、断面曲線表示部431、輪郭曲線表示部432、パラメータ設定部433およびパラメータ表示部434を含む。使用者は、操作部250(図1)を操作することにより画像表示領域410に表示される超深度線状画像上の複数の測定ラインの1つを指定する。断面曲線表示部431には、使用者により指定された複数の測定ラインの1つに対応する光学断面曲線またはスタイラス断面曲線が表示される。この場合、断面曲線データに基づいて光学断面曲線に対応する画像データが生成され、その画像データに基づいて光学断面曲線が表示される。また、スタイラス検出データに基づいてスタイラス断面曲線に対応する画像データが生成され、その画像データに基づいてスタイラス断面曲線が表示される。
輪郭曲線表示部432には、断面曲線表示部431に表示される断面曲線に対応する粗さ曲線またはうねり曲線が表示される。すなわち、断面曲線表示部431に光学断面曲線が表示される場合には、光学断面曲線に対応する粗さ曲線またはうねり曲線が輪郭曲線表示部432に表示される。断面曲線表示部431にスタイラス断面曲線が表示される場合には、スタイラス断面曲線に対応する粗さ曲線またはうねり曲線が輪郭曲線表示部432に表示される。
なお、断面曲線表示部431に光学断面曲線が表示される場合、フィルタリング処理後(図17参照)の断面曲線データに基づいて光学断面曲線に対応する画像データが生成されてもよい。さらに、フィルタフィング処理後の断面曲線データに基づいて粗さ曲線およびうねり曲線に対応する画像データが生成されてもよい。
使用者は、操作部250(図1)を操作することにより、パラメータ設定部433において粗さ曲線とうねり曲線とを識別するカットオフ波長λc、粗さ曲線の下限波長λsおよびうねり曲線の上限波長λfを設定することができる。また、パラメータ設定部433は、図示しない表示切替部および設定画像表示部を含む。使用者は、操作部250(図1)の操作によってパラメータ設定部433の表示切替部を選択することにより、光学断面曲線およびスタイラス断面曲線を断面曲線表示部431に選択的に表示させることができる。例えば、操作部250のマウスの1クリックによって光学断面曲線およびスタイラス断面曲線の表示の切替が行われる。この場合、光学断面曲線およびスタイラス断面曲線の表示を容易に切り替えることができる。また、使用者は、操作部250(図1)の操作によってパラメータ設定部433の設定画像表示指示部を選択することにより、スタイラス検出データの生成条件を設定するためのスタイラス設定画像を表示部400の画面上に表示させることができる。
図20は、スタイラス設定画像を示す図である。図20のスタイラス設定画像440は、図19の画像表示領域410および解析結果表示領域430の少なくとも一部と重なるように、表示部400の画面上に表示される。図20に示すように、スタイラス設定画像440は、半径設定部441、角度設定部442およびフィルタ強度設定部443を含む。使用者は、操作部250(図1)を操作することにより、半径設定部441に数値を入力し、触針データとして先端半径TRを設定する。また、使用者は、操作部250(図1)を操作することにより、角度設定部442に数値を入力し、触針データとしてテーパ角θを設定する。テーパ角θは、例えば60度に設定される。
半径設定部441および角度設定部442において、予め記憶された複数の数値から一の数値が選択されることにより、先端半径TRおよびテーパ角θが設定されてもよい。例えば、先端半径TRとして、ISO(国際標準化機構)等において定められた規格である2μm、5μmおよび10μmが予め記憶され、これらのうち一の数値が選択可能であってもよい。
使用者は、操作部250(図1)を操作することにより、フィルタ強度設定部443においてノイズフィルタの強度を設定する。例えば、「強」、「中」、「弱」および「なし」のうちのいずれかが選択されることにより、ノイズフィルタの強度が設定される。
例えば、ノイズフィルタとしてメディアンフィルタが用いられる場合、「中」が選択されると、接触部TEの直径をサンプリング間隔で除した値(2×先端半径TR/サンプリング間隔)がフィルタサイズに設定され、「弱」が選択されると、その2分の1の値がフィルタサイズに設定され、「強」が選択されると、その2倍の値がフィルタサイズに設定される。「なし」が選択されると、フィルタリング処理は行われない。
スタイラス設定画像440において、ノイズフィルタの種類が選択可能であってもよい。例えば、上記のガウシアンフィルタ、移動平均フィルタおよびメディアンフィルタのうちいずれかが選択可能であってもよい。
使用者がスタイラス設定画像の「OK」ボタン444を選択することにより、上記の各種設定が入力された値および選択された強度に更新されるとともに、スタイラス設定画像が閉じられる。使用者がスタイラス設定画像の「キャンセル」ボタン445または「×」ボタン446を選択することにより、上記の設定が更新されることなく、スタイラス設定画像が閉じられる。
パラメータ表示部434には、複数の測定ラインの各々について算出された表面性状パラメータが表示される。表面性状パラメータは、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大高さRz、平均高さRcおよび算術平均粗さRa等の種々のパラメータを含む。断面曲線表示部431に光学断面曲線が表示される場合には、断面曲線データに基づいて算出された表面性状パラメータがパラメータ表示部434に表示される。断面曲線表示部431にスタイラス断面曲線が表示される場合には、スタイラス検出データに基づいて算出された表面性状パラメータがパラメータ表示部434に表示される。
また、パラメータ表示部434には、複数の測定ラインについて算出された表面性状パラメータの平均値、最大値、最小値、最大値と最小値との差、標準偏差(σ)および3倍された標準偏差(3σ)が表示されてもよい。複数の測定ラインについて算出された表面性状パラメータの平均値を算出することにより、後述する断面曲線データからの不要部分の除去が行われない場合でも、算出される表面性状パラメータの信頼性を向上させることができる。
パラメータ表示部434には、表面性状パラメータの平均値等の他に、複数の測定ラインについて算出された表面性状パラメータの中心値が表示されてもよく、中心値周辺の数個の数値の平均値が表示されてもよい。また、パラメータ表示部434には、平均値からの乖離が大きい数値が除去され、残りの数値の平均値が表示されてもよい。
(8)表面形状検出処理
図21は、共焦点顕微鏡システム500における表面形状検出処理を示すフローチャートである。図1のPC200のCPU210は、記憶装置240に記憶される表面形状検出プログラムに従って表面形状検出処理を実行する。
上記のように、制御部300は、図1のX−Yスキャン光学系20を制御するとともに対物レンズ3のZ方向の位置を移動させ、受光素子30から出力される受光信号に基づいて画素データをPC200のCPU210に与える。CPU210は、制御部300から一の帯状領域の複数の測定ラインの画素データを取得する(ステップS1)。これにより、一の帯状領域の複数の測定ラインにおいて、Z方向の位置が異なる複数の画素データが取得される。CPU210は、取得した複数の測定ラインの画素データに基づいて帯状領域の複数の断面曲線データを生成し(ステップS2)、作業用メモリ230に記憶する。
この場合、各断面曲線データは、各測定ライン上の複数の画素についてのZ方向におけるピーク位置を表す。また、断面曲線は、測定ライン上の表面形状を表す。このとき、帯状領域の複数の測定ラインに対応する複数の超深度線状データが生成される。超深度線状データは、各測定ライン上の複数の画素についてのピーク強度を表すデータである。超深度線状データに基づいて表示される画像を超深度線状画像と呼ぶ。
次に、CPU210は、全ての帯状領域の断面曲線データを生成したか否かを判定する(ステップS3)。全ての帯状領域の断面曲線データを生成していない場合、CPU210は、ステップS1の処理に戻る。CPU210は、次の帯状領域の断面曲線データの生成が可能な位置にステージ60を移動させ、ステップS1〜S3の処理を繰り返す。これにより、全ての帯状領域の複数の測定ラインにおいて、Z方向の位置が異なる複数の画素データが取得される。CPU210は、取得した複数の測定ラインの画素データに基づいて帯状領域の複数の断面曲線データを生成し、作業用メモリ230に記憶する。
次に、CPU210は、複数の帯状領域の断面曲線データを作業用メモリ230を用いて連結する(ステップS4)。これにより、予め設定された取得範囲の断面曲線データが生成される。次に、CPU210は、観察対象物Sに塵埃等が付着している断面曲線データの部分を不要部分として推定し、断面曲線データから推定された不要部分を除去する(ステップS5)。これにより、複数の測定ラインの一部の上に塵埃、傷または穴が存在する場合でも、不要部分が除去された断面曲線データに基づいて観察対象物Sの表面形状をより正確に検出することができる。断面曲線データの不要部分の推定方法については後述する。
続いて、CPU210は、各断面曲線データに基づいて粗さ曲線データおよびうねり曲線データを算出するとともに表面性状パラメータを算出する(ステップS6)。次に、CPU210は、各断面曲線データに対してフィルタリング処理を行う(ステップS7)。これにより、各断面曲線データから高周波ノイズが除去される(図17)。
次に、CPU210は、フィルタリング処理後の各断面曲線データに基づいてスタイラス検出データを生成する(ステップS8)。次に、CPU210は、生成された各スタイラス検出データに基づいて粗さ曲線データおよびうねり曲線データを算出するとともに表面性状パラメータを算出するとともに表面性状パラメータを算出する(ステップS9)。これにより、CPU210は、表面形状検出処理を終了する。
このようにして生成された断面曲線データおよびスタイラス検出データに基づいて、表示部400の画面上に光学断面曲線またはスタイラス断面曲線が表示される(図19)。また、算出された粗さ曲線データおよびうねり曲線データに基づいて、表示部400の画面上に粗さ曲線またはうねり曲線が表示される。さらに、算出された表面性状パラメータが表示部400の画面上に表示される。
なお、ステップS8におけるスタイラス検出データの生成は、断面曲線データの生成直後に行われてもよく、または使用者によりスタイラス断面曲線の表示が選択された際に行われてもよい。ステップS9における粗さ曲線データ、うねり曲線データおよび表面性状パラメータの算出は、例えば、スタイラス検出データの生成直後に行われる。
(9)実施の形態の効果
本実施の形態に係る共焦点顕微鏡システム500においては、受光素子30の出力信号に基づいて観察対象物Sの断面曲線を表す断面曲線データが生成されるとともに、その断面曲線データに基づいて、スタイラス検出データが生成される。
スタイラス検出データは、仮想的に設定された触針STが観察対象物Sの表面に接触しつつ移動する場合の触針STの基準点SSの軌跡を表すので、触針式の粗さ計により得られるデータと等価である。そのため、スタイラス検出データを触針式の粗さ計により得られるデータと同等に扱うことができる。したがって、スタイラス検出データと触針式の粗さ計により得られるデータとの比較および照合が可能となる。また、高精度な断面曲線データとスタイラス検出データとを選択的に用いることにより、種々のデータの比較および照合を効率よく行うことができる。
また、本実施の形態では、フィルタリング処理により高周波ノイズが除去された後の断面曲線データに基づいてスタイラス検出データが生成される。これにより、スタイラス検出データを触針式の粗さ計により得られるデータに近づけることができる。また、触針STの先端半径TRに基づいてフィルタリング処理における遮断波長が設定されるので、断面曲線データから高周波ノイズを適正に除去することができる。
(10)スタイラス検出データの生成方法の他の例
スタイラス検出データの生成方法の他の例について、図16〜図18の例と異なる点を説明する。図22〜図24は、スタイラス検出データの生成方法の他の例について説明するための図である。
本例では、フィルタリング処理により光学断面曲線DCから高周波ノイズが除去された後、図22(a)〜(c)に示すように、接触部TEのみが光学断面曲線DCに接触しつつ移動する場合の基準点SSの軌跡がスタイラス断面曲線SCaとして求められる。本例では、接触部TEが球形(2次元では円形)に設定される。
テーパ部TAが接触することなく触針STが移動する光学断面曲線DCの部分に関しては、スタイラス断面曲線SCaが図18のスタイラス断面曲線SCと一致する。具体的には、図22(a)に示すように、平坦部51および凸部52を表すスタイラス断面曲線SCaの部分は、図18のスタイラス断面曲線SCと一致する。
一方、テーパ部TAが接触しつつ触針STが移動する光学断面曲線DCの部分に関しては、スタイラス断面曲線SCaが図18のスタイラス断面曲線SCと一致しない。上記のように、触針STが凹部53上を移動する場合、テーパ部TAが凹部53の縁部に接触する(図11)。そのため、凹部53内への接触部TEの進入が妨げられ、基準点SSが凹部53の底部53aに到達しない。それに対して、図22(b)および図22(c)に示すように、テーパ部TAが存在しない場合、接触部TEが凹部53内に進入可能である。そのため、基準点SSが凹部53の底部53aに接触する。したがって、凹部53を表すスタイラス断面曲線SCaの部分は、図18のスタイラス断面曲線SCと一致しない。
次に、触針データとして設定されたテーパ角θに基づいて、スタイラス断面曲線SCaの補正すべき部分が検出される。本例では、テーパ部TAが存在する場合、Z方向に対する基準点SSの軌跡の角度が、Z方向に対するテーパ部TAの角度(θ/2)よりも小さくなることはない。そのため、Z方向に対して角度(θ/2)よりも小さい角度をなすスタイラス断面曲線SCaの部分が補正すべき部分として検出される。
具体的には、図23に示すように、凹部53を表すスタイラス断面曲線SCaの部分PT1,PT2が、Z方向に対して角度(θ/2)よりも小さい角度をなす。したがって、部分PT1,PT2が補正すべき部分として検出される。
次に、検出されたスタイラス断面曲線SCaの部分PT1,PT2が補正されることにより、テーパ部TAが存在する場合の基準点SSの軌跡と一致するスタイラス断面曲線SCaが求められる。具体的には、図24に示すように、Z方向に対する部分PT1,PT2の角度が、角度(θ/2)とそれぞれ一致するように、部分PT1,PT2が補正される。これにより、図18のスタイラス断面曲線SCと同様のスタイラス断面曲線SCaが得られる。
本例のように、接触部TEのみが光学断面曲線DC上を移動する場合の基準点SSの軌跡を表すスタイラス断面曲線SCaが求められ、そのスタイラス断面曲線SCaが補正されることにより、演算量が大幅に削減される。
(11)スタイラス初期設定画像
上記の例では、図19のパラメータ設定部433において、スタイラス断面曲線の表示の有無が切り替えられる。また、図20のスタイラス設定画像において、スタイラス検出データの生成条件が設定される。これらスタイラス断面曲線の表示の有無およびスタイラス検出データの生成条件の初期設定を行うための初期設定画像(以下、スタイラス初期設定画像と呼ぶ)が表示部400の画面上に別途表示されてもよい。
図25は、スタイラス初期設定画像の一例を示す図である。図25のスタイラス初期設定画像450は、表示設定部451、半径設定部452、角度設定部453およびフィルタ強度設定部454を含む。
使用者は、操作部250(図1)を操作することにより、表示設定部451において、図19の断面曲線表示部431におけるスタイラス断面曲線の表示の有無を切り替えることができる。例えば、マウスのクリックで表示設定部451がチェックされることにより、初期設定として、断面曲線表示部431(図19)にスタイラス断面曲線が表示される。表示設定部451がチェックされない場合、初期設定として、断面曲線表示部431(図19)に光学断面曲線が表示される。
半径設定部452、角度設定部453およびフィルタ強度設定部454においては、図20の半径設定部441、角度設定部442およびフィルタ強度設定部443と同様に、先端半径TR、テーパ角θおよびノイズフィルタの強度が入力される。その入力内容を初期設定として、スタイラス検出データが生成される。
(11)触針の他の例
上記の例では、触針STがテーパ部TAおよび接触部TEを有するが、触針STの形状はこれに限定されない。比較および照合すべきデータに応じて、触針STの形状を変更することが好ましい。図26は、触針STの他の例を示す図である。図26(a)および図26(b)の触針STa,STbについて、上記の触針STと異なる点を説明する。
図26(a)の触針STaは、接触部TEおよびテーパ部TAに加えて、側面部TGをさらに含む。側面部TGはZ方向に平行であり、テーパ部TAの上端部から上方に延びるように設けられる。触針STaが用いられる場合、触針データとしてテーパ部TAの長さが設定される。テーパ部TAの長さが有限であることにより、Z方向における接触部TEの移動が許容されやすくなる。そのため、スタイラス検出データの精度が高くなる。
図26(b)の触針STbは、テーパ部TAを含まず、側面部TGを含む。側面部TGは、接触部TEから連続的に延びる。触針STbが用いられる場合、テーパ部TAによってZ方向における接触部TEの移動が妨げられない。そのため、スタイラス検出データの精度がより高くなる。この場合、図23のスタイラス断面曲線SCaを表すスタイラス検出データが得られる。
また、上記の触針ST,STa,STbにおいては、接触部TEが球面形状を有するが、接触部TEが他の曲面形状を有してもよい。その場合、触針データとして、接触部TEの曲率半径の代わりに、接触部TEの曲率に関する他の曲率情報が設定される。
(12)ステージの移動補正
ステージ60の取り付け誤差等のため、図1のX−Yスキャン光学系20によるレーザ光の走査方向とステージ60の実際の移動方向とが完全に一致していない場合がある。そこで、ステージ60の実際の移動方向がレーザ光の走査方向に対して傾いている場合に、ステージ60の移動補正が行われてもよい。
図27は、レーザ光の走査方向およびステージ60の実際の移動方向を示す図である。図27(a)には、ステージ60の移動補正が行われない場合のステージ60の移動が示され、図27(b)には、ステージ60の移動補正が行われる場合のステージ60の移動が示される。ここで、レーザ光の走査方向をX方向とし、レーザ光の走査方向に直交する方向をY方向とする。また、ステージ60のX方向への移動指令時にステージ60が実際に移動する方向をX’方向とし、ステージ60のY方向への移動指令時にステージ60が実際に移動する方向をY’方向とする。
図27では、移動前のステージ60を実線で示し、移動後のステージ60を点線で示している。ステージ60の移動前にレーザ光のX方向の走査により始点SP1および終点EP1を有する測定ラインSL1が形成される。また、ステージ60の移動後にレーザ光のX方向の走査により始点SP2および終点EP2を有する測定ラインSL2が形成される。
CPU210は、図1のステージ駆動部62にX方向への移動用の駆動パルスおよびY方向への移動用の駆動パルスの一方または両方を与えることによりステージ60の移動を指令する。CPU210がステージ60のX方向への距離Lx分の移動を指令すると、図27(a)に示すように、ステージ60は実際にはX’方向に距離Lx分移動する。また、ステージ60はX方向の軸からY’方向に距離Ly分移動する。この場合、ステージ60はX方向に移動するとともにY方向にも移動する。そのため、ステージ60の移動前の測定ラインSL1の終点EP1とステージ60の移動後の測定ラインSL2の始点SP2とが一致しない。
本実施の形態においては、図27(b)に示すように、CPU210は、ステージ60のX方向への距離Lx分の移動を指令するとともに−Y方向への距離Ly分の移動を指令する。それにより、ステージ60は実際にはX’方向に距離Lx分移動するとともに−Y’方向に距離Ly分移動する。この場合、ステージ60はX方向に移動し、Y方向には移動しない。このようなステージ60の移動補正により、ステージ60の移動前の測定ラインSL1の終点EP1とステージ60の移動後の測定ラインSL2の始点SP2とが一致する。
ステージ60の実際の移動方向がレーザ光の走査方向に対して傾いているか否かは、共焦点顕微鏡システムの製造時に作業者により予め判定されてもよく、または使用者により断面曲線データの生成前に判定されてもよい。移動補正量は、例えば、実際にステージ60が移動された場合のカメラ画像データの変化に基づいて算出される。この場合、ステージ60の移動方向を正確に検出するため、明瞭な目盛または図柄を有するチャートがステージ60上に載置されてもよい。
(13)断面曲線データの不要部分の推定方法
図21のステップS5において、断面曲線データの不要部分は、以下に示す種々の方法により推定される。
(13−1)断面曲線データに基づく推定方法
塵埃等の付着物が存在する観察対象物Sの部分の高さは、付着物が存在しない観察対象物Sの表面の凹凸の高さに比べて高い。そのため、付着物が存在する観察対象物Sの部分に対応する断面曲線データは、付着物が存在しない観察対象物Sの部分に対応する断面曲線データよりも高い値を有する。CPU210は、断面曲線データを適切なしきい値で“1”と“0”とに2値化する。それにより、付着物が存在しない観察対象物Sの部分に対応する2値化データが“0”となり、付着物が存在する観察対象物Sの部分に対応する2値化データが“1”となる。この場合、CPU210は、“1”の2値化データに対応する断面曲線データの部分を不要部分と推定することができる。
また、観察対象物Sの表面の傷または穴の深さは、観察対象物Sの表面の凹凸の深さに比べて大きい。CPU210は、断面曲線データを適切なしきい値で“1”と“0”とに2値化する。それにより、傷または穴の部分に対応する2値化データが“0”となり、傷または穴が存在しない観察対象物Sの部分に対応する2値化データが“1”となる。この場合、CPU210は、“0”の2値化データに対応する断面曲線データの部分を不要部分と推定することができる。
(13−2)超深度線状データに基づく推定方法
一般に、金属等からなる観察対象物Sの表面は高い反射率を有するため、塵埃等の付着物が存在しない観察対象物Sの部分に対応する超深度線状データは高い値を有する。一方、塵埃等の付着物が存在する観察対象物Sの部分は金属等よりも低い反射率を有するため、塵埃等の付着物が存在する観察対象物Sの部分に対応する超深度線状データは低い値を有する。CPU210は、超深度線状データを適切なしきい値で“1”と“0”とに2値化する。それにより、付着物が存在しない観察対象物Sの部分に対応する2値化データが“1”となり、付着物が存在する観察対象物Sの部分に対応する2値化データが“0”となる。この場合、CPU210は、“0”の2値化データに対応する断面曲線データの部分を不要部分と推定することができる。
(13−3)カメラ画像データに基づく推定方法
断面曲線データおよび超深度線状データに基づく推定の場合と同様に、CPU210がカメラ画像データを適切なしきい値で2値化することにより、断面曲線データの不要部分を推定することができる。
また、CPU210がカメラ画像データの画像処理により塵埃等の付着物、傷および穴等による断面曲線データの不要部分を推定することができる。
(13−4)その他の推定方法
断面曲線データの不要部分は、上記の推定方法のうち、2つ以上の推定方法を組み合わせることにより推定されてもよい。これにより、より確実に断面曲線データの不要部分を推定することができる。
また、断面曲線データの不要部分の推定は、使用者の目視により行われてもよい。この場合、図19の画像表示領域410には、断面曲線データに基づく観察対象物Sの断面曲線、超深度線状データに基づく観察対象物Sの超深度線、またはカメラ画像データに基づく観察対象物Sのカメラ画像が表示される。
使用者は、操作部250を操作することにより、画像表示領域410に表示される断面曲線、超深度線またはカメラ画像上の不要部分を指示することができる。CPU210は、使用者の指示に基づいて、断面曲線、超深度線またはカメラ画像上の不要部分に対応する断面曲線データの部分を不要部分と推定することができる。
断面曲線データの不要部分の推定が使用者の目視により行われることにより、低い反射率を有する観察対象物Sまたは大きな凹凸もしくは大きな傾斜を含む観察対象物Sについても、適切に断面曲線データの不要部分を推定することができる。
(14)他の実施の形態
(14−1)
上記実施の形態では、各帯状領域s10が複数の測定ラインを含み、その複数の測定ラインの各々に対応する断面曲線データが生成されるが、これに限らない。各帯状領域s10が一の測定ラインのみを含み、その一の測定ラインに対応する断面曲線データのみが生成されてもよい。この場合、X方向に並ぶ複数の帯状領域s10の断面曲線データが連結されることにより、一の断面曲線データが生成される。
(14−2)
上記実施の形態では、画素データの取得範囲として複数の帯状領域が設定され、各帯状領域の測定ライン上でレーザ光が走査されることにより、各測定ラインに対応する断面曲線データが生成されるが、断面曲線データの生成方法はこれに限らない。
例えば、次のようにして断面曲線データが生成されてもよい。図2または図5に示されるように、単位領域または帯状領域毎に複数の共焦点画像データが生成され、その複数の共焦点画像データに基づいて高さ画像データおよび超深度画像データが生成される。生成された高さ画像データまたは超深度画像データに基づいて、高さ画像または超深度画像が表示部400の画面上に表示される。その画像上で、断面曲線データを取得すべき範囲が設定され、設定された範囲に対応する断面曲線データが上記複数の共焦点画像データに基づいて生成される。
この場合、予め取得された共焦点画像データに基づいて、所望の範囲の断面曲線データを生成することができ、さらにその断面曲線データに基づいて、スタイラス曲線データを生成することができる。したがって、所望の範囲の光学断面曲線またはスタイラス断面曲線を表示部400の画面上に容易に表示させることができる。また、それらに対応する粗さ曲線、うねり曲線および表面性状パラメータを表示部400の画面上に容易に表示させることができる。
(14−3)
上記実施の形態では、スタイラス検出データが観察対象物Sの表面形状を2次元で表すが、これに限らず、スタイラス検出データが観察対象物Sの表面形状を3次元で表してもよい。この場合、触針データとして、触針の形状が3次元で設定される。
(14−4)
上記実施の形態において、PC200のCPU210が制御部300の機能を有していてもよい。この場合、制御部300は設けられなくてもよい。
(14−5)
上記実施の形態において、X−Yスキャン光学系20が制御されることによりレーザ光が観察対象物S上でX方向およびY方向に走査されるが、これに限定されない。ステージ60が移動されることによりレーザ光が観察対象物S上でX’方向およびY’方向に走査されてもよい。
また、レーザ光としてライン光(例えばX方向に延びる細長い光)が用いられてもよい。この場合、X−Yスキャン光学系20に代えてX方向への走査を行わないYスキャン光学系が用いられる。また、受光素子30に代えて、X方向に対応する方向に配列された複数の受光素子からなるラインCCDカメラ等が用いられる。
(14−6)
上記実施の形態において、対物レンズ3がZ方向に移動されることにより対物レンズ3に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されるが、これに限定されない。ステージ60がZ方向に移動されることにより対物レンズ3に対する観察対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されてもよい。
(14−7)
上記実施の形態において、観察対象物Sに塵埃等が付着している断面曲線データの部分が不要部分として除去されるが、これに限定されない。算出される表面性状パラメータの信頼性が高い場合には、観察対象物Sに塵埃等が付着している断面曲線データの部分が不要部分として除去されなくてもよい。
(14−8)
上記実施の形態は、共焦点顕微鏡システムに本発明を適用した例であるが、他の光学式顕微鏡システムに本発明が適用されてもよい。例えば、干渉顕微鏡または三角測距式顕微鏡を含む光学式顕微鏡システムに本発明が適用されてもよい。
また、顕微鏡に限らず、光学的に観察対象物の表面形状を検出可能な他の光学式表面状態検出システムに本発明を適用してもよい。
(15)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、共焦点顕微鏡システム500が光学式表面形状検出システムの例であり、受光素子30が受光素子の例であり、レンズ1,2、対物レンズ3およびレーザ光源10が光学系の例であり、断面曲線データが表面形状データの例であり、記憶装置240が触針データ記憶部の例であり、基準点SSが触針の基準位置の例であり、スタイラス検出データが触針検出データの例である。
また、接触部TEが先端部の例であり、先端半径TRが曲率情報の例であり、テーパ部TAがテーパ部の例であり、テーパ角θがテーパ角の例であり、表示部400が表示部の例である。また、CPU210が表面形状データ生成部、触針検出データ生成部および画像データ生成部の例であり、操作部250が曲率情報設定部、フィルタリング強度設定部および画像選択部の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
(16)参考形態
参考形態に係る光学式表面形状検出システムは、観察対象物の表面形状を検出するための光学式表面形状検出システムであって、受光素子と、観察対象物の表面に光を照射するとともに観察対象物に照射された光を受光素子に導く光学系と、受光素子の出力信号に基づいて観察対象物の表面形状を表す表面形状データを生成する表面形状データ生成部と、仮想的に設定された触針の形状を表す触針データを記憶する触針データ記憶部と、表面形状データ生成部により生成された表面形状データおよび触針データ記憶部に記憶される触針データに基づいて、触針が観察対象物の表面を移動する場合の触針の動きに相当する触針検出データを生成する触針検出データ生成部と備えたものである。
参考形態に係る表面形状検出方法は、観察対象物の表面形状を検出するための表面形状検出方法であって、観察対象物の表面に光を照射するとともに観察対象物に照射された光を受光素子に導くステップと、受光素子の出力信号に基づいて観察対象物の表面形状を表す表面形状データを生成するステップと、仮想的に設定された触針の形状を表す触針データを記憶するステップと、生成された表面形状データおよび記憶される触針データに基づいて、触針が観察対象物の表面を移動する場合の触針の動きに相当する触針検出データを生成するステップとを備えたものである。
参考形態に係る表面形状検出プログラムは、観察対象物の表面形状を検出するための表面形状検出処理を処理装置に実行させる表面形状検出プログラムであって、観察対象物の表面に光を照射するとともに観察対象物に照射された光を受光素子に導く処理と、受光素子の出力信号に基づいて観察対象物の表面形状を表す表面形状データを生成する処理と、仮想的に設定された触針の形状を表す触針データを記憶する処理と、生成された表面形状データおよび記憶される触針データに基づいて、触針が観察対象物の表面を移動する場合の触針の動きに相当する触針検出データを生成する処理とを、処理装置に実行させるものである。