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JP6030573B2 - カメラ駆動装置 - Google Patents

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JP6030573B2 JP2013548664A JP2013548664A JP6030573B2 JP 6030573 B2 JP6030573 B2 JP 6030573B2 JP 2013548664 A JP2013548664 A JP 2013548664A JP 2013548664 A JP2013548664 A JP 2013548664A JP 6030573 B2 JP6030573 B2 JP 6030573B2
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Description

本願は、撮像素子を含むカメラ部を、パンニング(ヨーイング)方向およびチルティング(ピッチング)方向に傾け、かつ、レンズの光軸を中心に回転(ローリング)させることが可能なカメラ駆動装置に関する。
近年市販されるビデオカメラやデジタルカメラの多くには、手振れによる撮影画像の像振れを補正する手振れ補正装置が設けられている。この手振れ補正装置は、レンズ、レンズ鏡筒、反射ミラーまたは撮像素子等をカメラの光軸に対して傾斜させるか、または、光軸に直交する平面で2次元的に移動させる。
たとえば、特許文献1は、レンズ鏡筒を1点で弾性支持し、レンズ鏡筒を光軸に対して傾斜させる構造を有する振れ補正機構を開示している。特許文献2は、ミラーをピポッド構成で支持し、光軸に対して傾斜させる手振れ補正装置を開示している。また、特許文献3は、球状のレンズ鏡筒を3点で支持し、光軸に沿って移動させるとともに傾斜させる撮像レンズユニットを開示している。
特開2006−53358号公報 特開平11−220651号公報 特開2008−58391号公報
従来の手振れ補正装置では、補正できる振れの角度が小さかった。本願の限定的ではない例示的なある実施形態は、カメラ部をより大きな角度で3軸方向に回転可能なカメラ駆動装置を提供する。
本発明の一態様による駆動装置は、撮像面を有する撮像素子、光軸を有し、前記撮像面に被写体像を形成するレンズおよび前記レンズを保持するレンズ鏡筒を含むカメラ部と、少なくとも1つの吸着用磁石を有し、前記カメラ部を内蔵する可動ユニットであって、第1の凸状部分球面を外形に有する可動ユニットと、少なくとも1つの磁性体および前記可動ユニットの少なくとも一部が遊嵌する凹部を有し、前記少なくとも1つの吸着用磁石の前記少なくとも1つの前記磁性体に対する磁気吸引力によって、前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面と前記凹部とが点または線接触し、前記可動ユニットが前記第1の凸状部分球面の球心を中心として自在に回転する固定ユニットと、前記固定ユニットに対して前記カメラ部をパンニング方向へ傾斜させるパンニング駆動部と、前記固定ユニットに対して前記カメラ部を前記パンニング方向と直交するチルティング方向へ傾斜させるチルティング駆動部と、前記固定ユニットに対して前記カメラ部を前記レンズの前記光軸を中心に回転するローリング方向へ回転させるローリング駆動部と、前記固定ユニットに対する前記カメラ部の前記パンニングおよびチルティング方向への傾斜角度を検出する第1の検出器と、前記ローリング方向に回転する前記カメラ部の回転角度を検出する第2の検出器とを備え、前記第2の検出器は、前記第1の凸状部分球面の前記球心近傍に設けられている。
本発明の一態様にかかるカメラ駆動装置によれば、吸着用磁石および第1の凸状部分球面を有する可動ユニットと、磁性体および前記可動ユニットの少なくとも一部が遊嵌する凹部を有し、吸着用磁石の磁性体に対する磁気吸引力によって、可動ユニット点または線接触する固定ユニットとを備えるため、第1の凸状部分球面の球心を中心として可動ユニットを固定ユニットに対し自在に回転させることができる。また、磁気吸引力によって第1の凸状部分球面が凹部に内接した状態を維持するため、可動ユニットの回転状態によらず、接触による負荷を一定にできる。
本発明の第1の実施形態のカメラ駆動装置165の概略構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態の下部可動部102の詳細構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態の上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態の上方から見た脱落防止部材201を排除した斜視図である。 本発明の第1の実施形態の違う角度の上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態の違う角度の上方から見た脱落防止部材201を排除した斜視図である。 本発明の第1の実施形態の上方から見た脱落防止部材201の斜視図である。 本発明の第1の実施形態のカメラ部100に搭載するレンズの光軸10方向から見た平面図である。 本発明の第1の実施形態のカメラ部100の直線13方向から見た平面図である。 本発明の第1の実施形態の上方から見たカメラ部100とベース200を排除した可動ユニット180と駆動部の斜視図である。 本発明の第1の実施形態の違う角度の上方から見たカメラ部100とベース200を排除した可動ユニット180と駆動部の斜視図である。 本発明の第1の実施形態の上方から見た固定ユニットの斜視図である。 本発明の第1の実施形態の固定ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態の上面図である。 本発明の第1の実施形態の上光軸10とパンニング方向回転軸12を含む平面でのカメラ駆動装置165の断面図である。 本発明の第1の実施形態の上面図である。 本発明の第1の実施形態の光軸10とチルティング方向回転軸11を含む平面でのカメラ駆動装置165の断面図である。 本発明の第1の実施形態の上面図である。 本発明の第1の実施形態の光軸10と直線14を含む平面でのカメラ駆動装置165の断面図である。 本発明の第1の実施形態のパンニング方向20およびチルティング方向21に同角度ずつ傾斜した合成角度θxyに傾斜させた状態における上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態のパンニング方向20とチルティング方向21に同角度ずつ傾斜した合成角度θxyに傾斜させた状態における上方から見た脱落防止部材201を排除した斜視図である。 本発明の第1の実施形態の上面図である。 本発明の第1の実施形態のパンニング方向20とチルティング方向21に同角度ずつ傾斜した合成角度θxyに傾斜させた状態における光軸10と直線14を含む平面での断面図である。 本発明の第1の実施形態の傾斜検出器と回転検出器を上方から見た分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態の傾斜検出器と回転検出器を上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態の回転検出器を上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態の回転検出器を違う角度の上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態のローリング方向22に角度+θRに回転させた状態における回転検出器を上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態のローリング方向22に角度-θRに回転させた状態における回転検出器を上方から見た斜視図である。 本発明の第1の実施形態の固定ユニットと支持ボール55の位置関係を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態の固定ユニットの上面図である。 本発明の第1の実施形態の固定ユニットの光軸10とチルティング方向回転軸11を含む平面での断面図である。 本発明の第1の実施形態の固定ユニットの上面である。 本発明の第1の実施形態の固定ユニットの光軸10と支持ボール55の中心を含む平面での回転断面図である。 本発明の第1の実施形態のカメラ駆動装置の撮影水平基準に対する相対角度位置を示す上方からみた斜視図である。 本発明の第1の実施形態のカメラ駆動装置の撮影水平基準に対する相対角度位置を示す上方からみた他の斜視図である。 本発明の第2の実施形態のカメラユニットに設ける角速度センサーの配置を示す斜視図である。 カメラユニットの実施形態を示すブロック図である。
本願発明者は従来のカメラやビデオに備えられている手ぶれ補正装置を詳細に検討した。一般に、人が静止して撮影する場合に発生する手振れ角度は、±0.3度程度であり、またその発生周波数成分は20〜30Hz程度であると言われている。また手振れ補正制御は、10Hz程度の周波数帯域で行う必要があると言われている。
このように、撮影者が静止した状態でビデオカメラやデジタルカメラの撮影を行う場合、手振れ角度は比較的小さく、また、制御のための周波数も比較的低い。このため、静止時の手振れによる撮影画像の像振れを補正する従来のカメラ駆動装置は、カメラ駆動装置を構成する各部(レンズ、レンズ鏡筒、反射ミラー、撮像素子等)をレンズの光軸に対して傾斜させる傾斜角度や、光軸に直交する平面で2次元的に直線移動させる移動量が微少であるにもかかわらず、良好な手振れ補正を実現していた。
しかしながら、撮影者が歩きながら動画や静止画の撮影する歩行撮影時においては、発生する画像の振れ(以下、歩行振れと呼ぶ場合がある。歩行振れには手振れも含まれる。)の角度は、たとえば±10度以上であり、歩行振れを補正するためには、50Hz程度の周波数帯域で制御を行う必要があると言われている。
このように画像の振れ角度が大きくなり、より高い周波数で制御を行う場合、従来のカメラ駆動装置では、構成要素を支持する支持系および構成要素を駆動する駆動系の構成において課題がある。
たとえば、特許文献1の装置は、レンズ鏡筒を微小な角度で傾斜させるのに適しているが、±10度を超えるような大きな角度でレンズ鏡筒を傾斜させる場合、支持している弾性体が塑性領域まで変形してしまうと考えられる。また傾斜させる角度が大きくなると、弾性体のバネ定数による負荷が非常に大きくなり、弾性体による固有振動の振幅増大係数(Q値)も増大する。その結果、補正制御の位相特性やゲイン特性が悪化し、上述した周波数帯域で補正制御を行うことが困難になると考えられる。
特許文献2の装置は、画像の振れを補正するために、反射ミラーを駆動させている。しかしながら、ビデオカメラやデジタルカメラが広角レンズ系を備えている場合、光学系に反射ミラーを設けようとすれば、反射ミラーは光学系において大きな構成要素となってしまう。このため、反射ミラーは小型化が望まれるビデオカメラやデジタルカメラには適切な解決手段とは言い難い。また、磁気吸引力でミラーをピポッド支持しているため、振動や衝撃等の外乱によって、ミラーが脱落する可能性がある。
特許文献3のレンズユニットは、球状のレンズホルダーを備えているため、大きな角度でレンズホルダーを傾斜させることが可能である。しかし、レンズホルダーと、その外側に設けられたホルダーとが接触する部分の回転半径が大きいことから、可動ユニットへの摩擦負荷が増大し、動作移動距離が大きくなる。その結果、傾斜角度が大きくなると、接触摩擦負荷の変動が増大し、正確な制御が困難であると考えられる。また、レンズホルダーと外側に設けられたホルダーとの間隔を正確に制御しないと、レンズホルダーの傾斜角度を正確に制御することが困難となる。これらの部品の加工精度によっては、機械的なガタが発生し、可動ユニットの周波数応答特性に支障をきたす可能性がある。
また、特許文献1から3の装置は、レンズ等の構成要素をカメラ部の光軸を中心に回転させる構造を備えていない。従って、カメラ部の光軸を中心に高精度に大きな回転角度を制御することは困難となる。
このような従来技術の課題に鑑み、本願発明者は新規な構造を備えたカメラ駆動装置を想到した。本発明の一態様の概要は以下のとおりである。
本発明の一態様であるカメラ駆動装置は、撮像面を有する撮像素子、光軸を有し、前記撮像面に被写体像を形成するレンズおよび前記レンズを保持するレンズ鏡筒を含むカメラ部と、少なくとも1つの吸着用磁石を有し、前記カメラ部を内蔵する可動ユニットであって、第1の凸状部分球面を外形に有する可動ユニットと、少なくとも1つの磁性体および前記可動ユニットの少なくとも一部が遊嵌する凹部を有し、前記少なくとも1つの吸着用磁石と前記少なくとも1つの前記磁性体との磁気吸引力によって、前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面と前記凹部とが点または線接触し、前記可動ユニットが前記第1の凸状部分球面の球心を中心として自在に回転する固定ユニットと、前記固定ユニットに対して前記カメラ部をパンニング方向へ傾斜させるパンニング駆動部と、前記固定ユニットに対して前記カメラ部を前記パンニング方向と直交するチルティング方向へ傾斜させるチルティング駆動部と、前記固定ユニットに対して前記カメラ部を前記レンズの前記光軸を中心に回転するローリング方向へ回転させるローリング駆動部と、前記固定ユニットに対する前記カメラ部の前記パンニングおよびチルティング方向への傾斜角度を検出する第1の検出器と、前記ローリング方向に回転する前記カメラ部の回転角度を検出する第2の検出器とを備え、前記第2の検出器は、前記第1の凸状部分球面の前記球心近傍に設けられている。
前記第2の検出器は、前記可動ユニットの前記球心近傍に設けられ、かつ前記光軸に対して対称に配置された1対の回転検出用磁石と、前記固定ユニットに固定され、前記球心近傍位置まで一端が挿入される棒状のホルダーバーと、前記1対の回転検出用磁石のそれぞれに対して、対峙するように前記ホルダーバーの前記一端に固定された1対の第2の磁気センサーと、を含み、前記1対の第2の磁気センサーは、前記回転検出用磁石の回転による磁力変化を検出して、前記カメラ部の回転角度を算出する。
前記可動ユニットは、前記ホルダーバーが挿入される開口部を有し、前記開口部と前記ホルダーバーとが接触することにより前記可動ユニットの回転角度が制限される。
前記固定ユニットは、前記凹部内に位置する少なくとも3つの第2の凸状部分球面を有し、前記第2の凸状部分球面と前記可動ユニットの第1の凸状部分球面とが点接触している。
前記固定ユニットは、前記凹部の内側面を構成する凹状円錐面を有し、前記円錐面と前記可動ユニットの第1の凸状部分球面とが線接触している。
前記カメラ駆動装置は、固定ユニットに設けられ、前記可動ユニットが前記固定ユニットから脱落しないように前記可動ユニットの移動を制限する規制面を有する脱落防止部材をさらに備え、前記規制面は、前記第1の凸状部分球面の球心と一致した中心を有する凹状部分球面を有する。
前記パンニング駆動部は、前記可動ユニットにおいて、前記光軸に対して対称に配置された1対のパンニング駆動磁石と、前記1対のパニングング駆動磁石に対向するよう前記固定ユニットにそれぞれ配置された1対のパンニング磁気ヨークと、前記1対のパニング磁気ヨークにそれぞれ巻回された1対のパニング駆動コイルとを含み、前記チルティング駆動部は、前記可動ユニットにおいて、前記光軸に対して対称に配置された1対のチルティング駆動磁石と、前記1対のチルティング駆動磁石に対向するよう前記固定ユニットにそれぞれ配置された1対のチルティング磁気ヨークと、前記1対のチルティング磁気ヨークにそれぞれ巻回された1対のチルティング駆動コイルとを含み、前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のパンニング駆動コイルは、前記第1の凸状部分球面の球心を通る直線上に設けられ、前記1対のチルティング駆動磁石および前記チルティング駆動コイルは、前記第1の凸状部分球面の球心を通り、前記直線と直行する他の直線上に設けられ、前記第1の前記光軸方向における中心の位置は、前記凸状部分球面の球心の位置とほぼ一致している。
前記ローリング駆動部は、前記1対の前記パンニング磁気ヨークおよび前記1対のチルティング磁気ヨークにそれぞれ巻回された4つのローリング駆動コイルを含み、前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のチルティング駆動磁石をローリング駆動磁石として用いる。
前記少なくとも1つの磁性体は、前記1対のパンニング磁気ヨークおよび前記1対のチルティング磁気ヨークである。
前記吸着用磁石は、前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のチルティング駆動磁石である。
前記1対のパンニング駆動コイルおよび前記1対のチルティング駆動コイルのそれぞれの巻回中心軸と垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心およびそれぞれの駆動コイルを通る直線は、前記光軸に垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心を通る水平面に対して、45度以下の傾斜角度Aをなしており、前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のチルティング駆動磁石は、前記1つのパンニング駆動コイルおよび前記1対のチルティング駆動コイルに対向するよう前記可動ユニットに傾斜して配置されている。
前記1対のローリング駆動コイルのそれぞれの巻回中心軸と垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心を通る直線は、前記光軸に垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心およびそれぞれのローリング駆動コイルの中心を通る水平面に対して、45度以下の傾斜角度Bをなしており、前記1対のローリング駆動磁石は、前記ローリング駆動コイルに対向するよう前記可動ユニットに傾斜して配置されている。
前記傾斜角度Aおよび前記傾斜角度Bが20度である。
前記各第2の凸状部分球面の球心と前記第1の凸状部分球面の球心とを結ぶ直線は、前記光軸に垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心を通る水平面に対して、45度の傾斜角度Cをなしている。
前記1対のパンニング駆動磁石、前記1対のチルティング駆動磁石および前記1対のローリング駆動磁石は、それぞれ、前記可動ユニットの内側に位置しており、前記第1の凸状部分球面において露出していない。
前記1対のパンニング駆動コイル、前記1対のチルティング駆動コイルおよび前記1対のローリング駆動コイルは、それぞれ、前記固定ユニットの内側に設けられ、前記凹部内において露出していない。
前記可動ユニットは、樹脂材料によって構成されている。
前記可動ユニットは、前記1対のパンニング駆動磁石、前記1対のチルティング駆動磁石および前記1対のローリング駆動磁石とともに一体成型されている。
前記固定ユニットは、樹脂材料によって構成されている。
前記固定ユニットは、前記1対のパンニング駆動コイル、前記1対のチルティング駆動コイル、前記1対のローリング駆動コイル、前記1対のパンニング磁気ヨーク、前記1対のチルティング磁気ヨークおよび前記1対のローリング磁気ヨークとともに一体成型されている。
前記可動ユニットの重心は前記第1の凸状部分球面の球心と一致している。
前記カメラ駆動装置は、前記カメラ部に接続され、フレキシブルケーブルによって構成された配線をさらに備え、前記配線は、前記光軸に対して線対称に配置されており、前記光軸に垂直な平面において、前記1対のチルティング駆動磁石を結ぶ線または前記1対のパンニング駆動磁石を結ぶ線に対して45度をなす方向において、前記可動ユニットに固定されている。
前記第1の検出器は、前記固定ユニットに固定された第1の磁気センサーと、前記前記可動ユニットに設けられた傾斜検出用磁石とを含み、前記第1の磁気センサーは、前記傾斜検出用磁石の傾斜による磁力変化を検出し、前記カメラ部の前記パンニング方向および前記チルティング方向の2次元の傾斜角度を算出する。
前記第1の磁気センサーおよび前記傾斜検出用磁石は、前記光軸上に位置している。
前記第1の検出器は、前記固定ユニットに固定された光センサーと、前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面の一部に設けられた光検出パターンとを含み、前記光センサーは、前記光検出パターンの傾斜による前記光センサに入射する光の変化を検出し、前記カメラ部の前記パンニングおよびチルティング方向の2次元の傾斜角度を算出する。
前記光センサーおよび前記光検出パターンは、前記光軸上に位置している。
前記第2の検出器は、前記固定ユニットに固定された1対の第2の磁気センサーと、前記可動ユニットに設けられた1対の回転検出用磁石とを含み、前記1対の第2の磁気センサーは、前記回転検出用磁石の回転による磁力変化を検出して、前記カメラ部の回転角度を算出する。
前記可動ユニットが中立の位置にあるとき、前記光軸に直交する平面において、前記1対の第2の磁気センサーと前記1対の回転検出用磁石および前記ホルダー部は、それぞれ、前記1対のパンニング駆動磁石を結ぶ直線および前記1対のチルティング駆動磁石を結ぶ直線に対して45度の角度をなす直線上に配置されている。
前記1対の回転検出用磁石のそれぞれは、前記光軸に直交する平面において、前記第1の凸状部分球面の球心を通る直線に平行であり互いに逆向き方向に着磁された磁石から構成されている。
前記脱落防止部材の前記規制面と前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面との間に空隙が設けられており、前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面が前記固定ユニットの前記凹部から離間しても、前記磁気吸引力によって、点または線接触の状態に戻るように前記空隙は決定されている。
本発明の一態様によるカメラユニットは、上記いずれかに規定されるカメラ駆動装置と、前記固定ユニットの直交する3軸周りの角速度をそれぞれ検出する角速度センサーと、前記角速度センサーからの出力に基づき、目標回転角度信号を生成する演算処理部と、前記目標回転角度信号に基づき、前記第1の駆動部および前記第2の駆動部を駆動する信号を生成する駆動回路とを備える。
本発明の一態様による光デバイス駆動装置は、光軸を有し、光を受光または発光する光デバイスと、少なくとも1つの吸着用磁石を有し、前記光デバイスを内蔵する可動ユニットであって、第1の凸状部分球面を外形に有する可動ユニットと、少なくとも1つの磁性体および前記可動ユニットの少なくとも一部が遊嵌する凹部を有し、前記少なくとも1つの吸着用磁石と前記少なくとも1つの磁性体との磁気吸引力によって、前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面と前記凹部とが点または線接触し、前記可動ユニットが前記第1の凸状部分球面の球心を中心として自在に回動する固定ユニットと、前記固定ユニットに対して前記光デバイスをパンニング方向へ傾斜させるパンニング駆動部と、前記固定ユニットに対して前記光デバイスを前記パンニング方向と直交するチルティング方向へ傾斜させるチルティング駆動部と、前記固定ユニットに対して前記光デバイスを前記光軸を中心に回転するローリング方向へ回転させるローリング駆動部と、前記固定ユニットに対する前記光デバイスの前記パンニングおよびチルティング方向への傾斜角度を検出する第1の検出器と、前記ローリング方向に回転する前記カメラ部の回転角度を検出する第2の検出器とを備え、前記第2の検出器は、前記第1の凸状部分球面の前記球心近傍に設けられている。
本発明の一態様によるカメラ駆動装置によれば、吸着用磁石および第1の凸状部分球面を有する可動ユニットと、磁性体および前記可動ユニットの少なくとも一部が遊嵌する凹部を有し、吸着用磁石の磁性体に対する磁気吸引力によって、可動ユニット点または線接触する固定ユニットとを備えるため、第1の凸状部分球面の球心を中心として可動ユニットを固定ユニットに対し自在に回転させることができる。また、磁気吸引力によって第1の凸状部分球面が凹部に内接した状態を維持するため、可動ユニットの回転状態によらず、接触による負荷を一定にできる。
さらに、凸状部分球面を凹部と係合させるピポッド支持構造によって、可動ユニットの重心支持が実現できるため、制御周波数領域における機械的共振を大幅に抑圧することができる。
また、更に以下の効果が得られる。具体的には、脱落防止部材を備えることにより、可動ユニットに外部から衝撃受けても、可動ユニットが脱落することなく、凸状部分球面が凹部に接触した状態に復帰することができる。
さらに、可動ユニットの凸状部分球面が固定ユニットの凹状円錐面に内接するピポッド構成において、回動角度に影響しない磁気吸引力による一定の垂直抗力を付加することにより、回動角度に対する摩擦負荷変動を低減し、制御動周波数領域において良好な位相・ゲイン特性を実現できる。
さらに脱落防止規制面を固定ユニットに固定される脱落防止部材に設けることで、可動ユニットを固定ユニットに組込む際の作業が容易となり、組立性の大幅な向上を実現できる。
さらにパンニング、チルティング方向の駆動部は、可動ユニットに固定され、かつ光軸を中心とした円周状に互いに直交配置された2対の駆動磁石と、駆動磁石に対向するよう固定ユニットにそれぞれ設けられた2対の駆動コイルからなる。
さらにローディング方向の駆動部は、可動ユニットに固定され、かつ光軸を中心とした円周状に配置された1対の駆動磁石と、駆動磁石に対向するよう固定ユニットに設けられた1対の駆動コイルからなる。
また、可動ユニットに駆動磁石を搭載するムービングマグネット駆動型の構成を実現することで、可動ユニットへの駆動電流供給を削除させることができる。
また、可動ユニットの凸状部分球面と固定ユニットの脱落防止規制面との間に構成される略リング状の空隙に振動減衰用の粘性部材もしくは磁性流体を充填することにより、可動ユニットに設けられた駆動磁石と固定ユニットに設けられた磁気ヨークとの間に発生する磁気吸引力の磁気バネ効果による振幅増大係数(Q値)や機械的な固有振動のQ値を低減でき、良好な制御特性を得ることができる。
また、可動ユニットの傾斜検出手段は、可動部の底部の光軸上に傾斜検出用磁石と、傾斜検出用磁石に対向するように固定ユニットに設けた第1の磁気センサーにより構成され、これにより可動ユニットの傾斜による傾斜検出用磁石の磁力変化を検出し、傾斜角度の算出をすることで装置の小型化を実現できる。
また、可動ユニットの回転検出手段は、可動ユニットにおける第1の凸状部分球面の前記球心近傍に設けられ、かつカメラ部の光軸に対して対称に配置された1対の回転検出用磁石と、固定ユニットに固定され、球心近傍位置まで挿入される棒状のホルダー部と、1対の回転検出用磁石のそれぞれに対して、対峙するようにホルダー部に固定された1対の第2の磁気センサーとから構成される。これにより、回転検出用磁石の磁気変化を検出することが可能となり、特に可動ユニットの球心近傍に、1対の回転検出用磁石を設けていることから、可動部の傾斜による回転検出用磁石の移動オフセット量を減少させることが可能となる。
その結果、パンニングとチルティング方向に可動ユニットを回動した場合に通常発生するクロストーク出力を大幅に減少させることができ、可動ユニットの回動可能な範囲でローリング方向の角度のみを抽出して検出することができる。
さらに光軸の方向からみて回転検出手段をパンニング駆動部とチルティング駆動部に対して45度をなす角度に配置し、光軸を中心とした円周上に複数の駆動部を設けて駆動モーメント力を向上するとともに、同一の円周上に回転検出手段を設けることで、装置として省スペース化を実現できる。
さらにローリング駆動部において、パンニングおよびチルティング駆動磁石をローリング駆動磁石として併用し、かつローリング駆動コイルは、パンニングおよびチルティング駆動コイルのコイル巻回方向に対して直交するようにパニングおよびチルティング磁気ヨークに巻回する十字巻き構成を有することで、装置として省スペース化・小型化と部品点数削減を実現できる。
さらに固定ユニットに固定されるパンニング、チルティングおよびローリング駆動コイルとそれぞれに対向する可動ユニットに搭載されるパンニング、チルティングおよびローリング駆動磁石は、光軸に直交し、可動ユニットの凸状部分球面の球心を含む水平面より下方に傾斜した(30度〜45度)高さ位置に構成することで装置の低背化を実現できる。
可動ユニットと固定ユニット間に発生させる磁気吸引力は、パンニング、チルティングおよびローリング駆動部におけるそれぞれの複数の駆動磁石と複数の磁気ヨーク間で分散して得ることができるため、可動ユニットと固定ユニット間の垂直抗力による摩擦抵抗を回動角度に依存しない一定の値にすることができる。
さらにパンニング、チルティングおよびローリング駆動磁石は、それぞれ可動ユニットに内蔵され、固定ユニットの凹状円錐面に接触する可動部の凸状部分球面にパニング、チルティングおよびローリング駆動磁石を露出させないため、可動ユニットと固定ユニット間の摩擦係数を低減できる。
さらに固定ユニットの凹状円錐面と可動部の凸状部分球面を摺動性が優れるプラスチック樹脂にすることで、可動ユニットと固定ユニット間の摩擦係数をさらに低減できる。
さらに固定ユニットの凹状円錐面と可動部の凸状部分球面との間に、少なくとも3個以上の支持ボールを介在させることで可動ユニットと固定ユニット間の摩擦係数をさらに低減できる。
さらに光軸に直交し、可動ユニットの凸状部分球面の球心を含む水平面より30度下方に傾斜した高さ位置にパンニング、チルティングおよびローリング駆動部を構成し、かつ、水平面より45度下方に傾斜した高さ位置に支持ボールを構成することで、可動ユニットと固定ユニット間の摩擦係数低減と装置低背化を両立させることができる。
さらに固定ユニットをプラスチック樹脂にすることで、固定ユニットをパンニング、チルティングおよびローリング駆動コイルとパンニング、チルティングおよびローリング磁気ヨークとともに一体成型することが可能となり、装置の低コスト化が実現できる。
さらに可動ユニットをプラスチック樹脂にすることで、可動ユニットをパンニング、チルティングおよびローリング駆動磁石と、回転検出用磁石と傾斜検出用磁石とともに一体成型することが可能となり、装置の低コスト化が実現できる。
さらに固定ユニットの凹状円錐面と可動部の凸状部分球面を摺動性が優れるプラスチック樹脂にすることで、可動ユニットと固定ユニット間の摩擦係数をさらに軽減できる。
さらに、可動ユニットの傾斜検出器は、固定ユニットに固定された光センサーと、可動ユニットの凸状部分球面の一部に印刷された図柄模様の傾斜による移動を検出し、パンニングおよびチルティング方向の2次元の傾斜角度を算出することで、装置の低コスト化を実現できる。
以上のように本発明の一態様によれば、ピポッド支持構造による可動ユニットの重心支持・重心駆動を実現することで、制御周波数領域において機械的共振を大幅に抑圧することができる。さらにパンニング方向とチルティング方向に±10度以上の大きな傾斜駆動とローリング方向に回転可能な駆動支持系を使用して、50Hz程度までの広帯域の周波数領域で良好な振れ補正制御を実現でき、歩行振れによる像振れの補正が可能な小型で堅牢なカメラ駆動装置を提供できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明によるカメラ駆動装置の第1の実施形態を説明する。
図1、図2は、本発明の第1の実施形態であるカメラ駆動装置165を示す分解斜視図であり、図3A、図4Aは、カメラ駆動装置165を斜め上方から見た斜視図である。
図3B、図4Bは、一部の構成要素である脱落防止部材201を取り除いた状態にあるカメラ駆動装置165を斜め上方から見た斜視図である。
図5Aは、カメラ部100に搭載するレンズの光軸10方向から見た平面図である。図5Bは、図5Aに示す直線13の方向から見た平面図である。
図6A、図6Bは、カメラ部100とカメラカバー150およびベース200を取り除いた可動ユニット180と駆動部を上方から見た斜視図である。
図7は、上方から見た固定ユニットの斜視図である。
図8は、固定ユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
図9A、図9Bは、カメラ駆動装置165の上面図および光軸10とパンニング方向回転軸12を含む平面での断面図である。
図10A、図10Bは、カメラ駆動装置165の上面図および光軸10とチルティング方向回転軸11を含む平面での断面図である。
図11A、図11Bは、カメラ駆動装置165の上面図および光軸10と直線14を含む平面での断面図である。
図12Aは、パンニング方向20およびチルティング方向21に同角度ずつ傾斜した合成角度θxyに傾斜させた状態における上方から見た斜視図である。図12Bは、パンニング方向20とチルティング方向21に同角度ずつ傾斜した合成角度θxyに傾斜させた状態における上方から見た脱落防止部材201を排除した斜視図である。
図13A、図13Bは、カメラ駆動装置165の上面図およびパンニング方向20とチルティング方向21に同角度ずつ傾斜した合成角度θxyに傾斜させた状態における光軸10と直線14を含む平面での断面図である。
図14は、傾斜検出器と回転検出器を上方から見た分解斜視図である。
図15は、本発明の第1の実施形態の傾斜検出器と回転検出器を上方から見た斜視図である。
図16Aおよび図16Bは、本発明の第1の実施形態の回転検出器を違う角度の上方から見た斜視図である。
図17Aは、ローリング方向22に角度+θxyに回転させた状態における回転検出器を上方から見た斜視図である。図17Bは、ローリング方向22に角度−θxyに回転させた状態における回転検出器を上方から見た斜視図である。
図18は、固定ユニットと支持ボール55の位置関係を示す分解斜視図である。
図19A、図19Bは、固定ユニットの上面図および光軸10とチルティング方向回転軸11を含む平面での断面図である。
図20A、図20Bは、固定ユニットの上面図および光軸10と支持ボール55の中心を含む平面での固定ユニットの回転断面図である。
図21Aおよび図21Bは、カメラ駆動装置の撮影水平基準に対する相対角度位置を示す上方からみた斜視図である。
これらの図を参照してカメラ駆動装置165の主な構成を説明する。
カメラ駆動装置165は、カメラ部100と、カメラ部100を内蔵する可動ユニット180と、可動ユニット180を支持する固定ユニットとを備える。可動ユニット180は、固定ユニットに対して、レンズの光軸10を中心に回転するローリング方向22、チルティング方向回転軸11を中心に回転するチルティング方向21およびパンニング方向回転軸12を中心に回転するパンニング方向20に自在に回転する。チルティング方向回転軸11とパンニング方向回転軸12とは互いに直交している。
このために、カメラ駆動装置165は、可動ユニット180をパンニング方向20およびチルティング方向21へ傾斜させるためのパンニング駆動部およびチルティング駆動部と、固定ユニットに対してカメラ部100をレンズの光軸10を中心に回転するローリング方向22に回転させるローリング駆動部とを備える。
パンニング駆動部は、1対のパンニング駆動磁石401と、1対のパンニング駆動コイル301と、磁性体からなる1対のパンニング磁気ヨーク203とを含む。さらに1対のパンニング駆動コイル301の外側には、後述する光軸10を中心にローリング方向22に回転駆動する1対のローリング駆動コイル303が巻回されている。
チルティング駆動部は、1対のチルティング駆動磁石402と、1対のチルティング駆動コイル302と、磁性体からなる1対のチルティング磁気ヨーク204とを含む。ローリング駆動部は、1対のローリング駆動磁石405と、1対のローリング駆動コイル303と、1対のローリング磁気ヨーク205とを含む。さらに1対のチルティング駆動コイル302の外側には、後述する光軸10を中心にローリング方向22に回転駆動する1対のローリング駆動コイル303が巻回されている。
パンニング、チルティングおよびローリング駆動部による可動ユニット180の駆動については以下において詳細に説明する。
また、カメラ駆動装置165は、固定ユニットに対するカメラ部100が搭載された可動ユニット180の傾斜角度およびレンズの光軸10回りの回転角度を検出するための検出器を備える。具体的には、可動ユニット180の2次元の傾斜角度、つまり、パンニング方向20およびチルティング方向21の回転角度を検出するための第1の検出器と、レンズの光軸10回りの傾斜角度を検出するための第2の検出器とを備える。第1の検出器は、第1の磁気センサー501と傾斜検出用磁石406とを含む。第2の検出器は、可動部180の球心70近傍に設けられた1対の回転検出用磁石403と球面部510Aを有する1対の球面ヨーク510とバックヨーク520とから構成される磁気回路とベース200に固定される1対の第2の磁気センサー503とを含む。検出器については、以下において詳細に説明する。
図1、図2に示すように、カメラ部100は、撮像素子(図示せず)と、撮像素子の撮像面に被写体像を結像させる光軸10を有したレンズ(図示せず)と、レンズを保持するレンズ鏡筒(図示せず)とを含む。カメラ部100には、カメラ部100の出力信号を外部へ出力するための配線110が接続されている。配線110は、たとえば、フレキシブルケーブルによって構成される。
固定ユニットはベース200を含む。ベース200は、可動ユニット180の少なくとも一部が遊嵌する凹部を有する。本実施形態では、凹部の内側面は凹状球面200Aによって構成されている。ベース200は、さらに開口部200P、200Tと、接触面200Bとを有する。
図1から図8に示すように、カメラ駆動装置165は、可動ユニット180をローリング方向22に回転させるため、ローリング磁気ヨークとして1対のパンニング磁気ヨーク203と1対のチルティング磁気ヨーク204を併用し、それらを巻回する4個のローリング駆動コイル303を備える。またローリング駆動磁石として1対のパンニング駆動磁石401と1対のチルティング駆動磁石402を併用する。
図7および図8に示すようにローリング駆動コイル303は、1対のパンニング磁気ヨーク203と1対のチルティング磁気ヨーク204にパンニング駆動コイル301およびチルティング駆動コイル302のコイル巻回方向に対して直交するように積層巻回された十字巻き構成を有し、それぞれベース200の開口部200P、200Tに挿入固定される。
好ましくは、ベース200を含む固定ユニットは樹脂によって構成されている。さらに好ましくは、ベース200を含む固定ユニットは、1対のパンニング磁気ヨーク203に巻回されたパンニング駆動コイル301とローリング駆動コイル303、1対のチルティング磁気ヨーク204に巻回されたチルティング駆動コイル302とローリング駆動コイル303と一体成型されている。また、これらの磁気ヨークに巻回された駆動コイルは、ベース200の内側面、つまり、凹状円錐面200Aにおいて露出していないことが好ましい。
可動ユニット180はカメラカバー150と下部可動部102とを含む。カメラ部100を内蔵するカメラカバー150は下部可動部102に固定される。
下部可動部102は、開口部102Hを有する壺形状を備える。下部可動部102は、凸状部分球面102Rを外形に有する。凸状部分球面102Rは、球面の少なくとも一部であればよく、球面全体であってもよい。凸状部分球面102Rは、球心70を有する。図18、図19B、図20Bに示すように、下部可動部102の凸状部分球面102Rは、ベース200の内側面の凹部球面200Aに設けられた3つの円柱凹部200Fに樹脂製の支持ボールホルダー56を介してはめ込まれた3つの支持ボール55と点接触している。
凸状部分球面102Rは、下部可動部102の外側全体を覆っている。より具体的には、下部可動部102は、後述する第2の検出器を構成する連結棒(ホルダーバー)801を挿入可能な開口部102Wを有している。開口部102Wの開口範囲は、可動ユニット180が可動する傾斜および回転するすべての範囲において連結棒801が下部可動部102に接触することがないように設定されている。さらに、開口部102Wは、可動ユニット180のローテンション方向22のストッパーとして用いられる。したがって、開口部102W以外の部分の表面が凸状部分球面102Rを構成している。
凸状部分球面102Rの球心70は、下部可動部102のほぼ中心に位置しており、カメラ部100の下部に位置している。
またカメラ部100に接続された配線110を可動ユニット180において位置決めするため、下部可動部102に、配線110の一部が挿入される凹部を有する切り欠き部102Sが設けられていてもよい。
可動ユニット180には、傾斜検出用磁石406と、1対の回転検出用磁石503と、1対のパンニング駆動磁石401と、1対のチルティング駆動磁石402とが設けられる。凸状部分球面102Rに露出することがないよう、搭載する検出用磁石や駆動磁石は開口部102Hから下部可動部102の内側に配置されることが好ましい。また傾斜検出用磁石406は、下部可動部102の底部の光軸10上に配置される。下部可動部102は、好ましくは摺動性が優れた樹脂によって構成される。さらに好ましくは、下部可動部102と傾斜検出用磁石406と1対のパンニング駆動磁石401と1対のチルティング駆動磁石402とが一体的に成型されている。
図9B、図10Bに示すように、ベース200の内側に設けられているパンニング磁気ヨーク203、チルティング磁気ヨーク204およびローリング磁気ヨーク205は磁性体からなるため、それぞれに対向するように下部可動部102の内側に設けられたパンニング駆動磁石401とチルティング駆動磁石402は吸着用磁石として機能し、これらの間にそれぞれ磁気吸引力が発生する。具体的には、パンニング磁気ヨーク203とパンニング駆動磁石401とに磁気吸引力F1が、チルティング磁気ヨーク204とチルティング駆動磁石402とに磁気吸引力F1が発生する。
次に図18、図19A、図19B、図20A、図20Bを用いて、支持ボール55の配置および構成を説明する。
光軸10の方向から見た(図18、図19A)凹状球面200Aの領域において、パンニング方向回転軸12を起点とした角度θbの間隔で3つの円柱凹部200Fが配設されている。円柱凹部200F内には支持ボールホルダー56がそれぞれ挿入されている(図18)。可動ユニットを均等に支持するためには、角度θbは120度であることが好ましい。
3つの円柱凹部200F内の支持ホルダ56内には、3個の支持ボール55がそれぞれ挿入され、内側面と線接触している。支持ボール55は凹状球面200Aより突出している。3つの支持ボール55はそれぞれ凸状部分球面を有しており、下部可動部102の凸状部分球面102Rと3つの接触ポイント102Pで接触する。
図20Bに示すように、各支持ボール55の凸状部分球面の球心、つまり、各支持ボール55の球心と下部可動部102の凸状部分球面102Rの球心70とを結ぶ直線60、61は、光軸10に垂直であり、凸状部分球面102Rの球心70を通る水平面Pに対して、下向きに傾斜角度θs(傾斜角度C)をなしている。傾斜角度θsは30度から60度が好ましく45度 であることがより好ましい。
これにより下部可動部102は、固定ユニットに対してと3点のみで支持されるとともに支持ボール55が回転可能となることで、可動ユニットと固定ユニットとの間に発生する摩擦を最大限に低減でき、極めて良好な可動ユニットの動特性を得ることができる。
さらに図10Bに示すように、ローリング磁気ヨークとして併用するベース200の内側に挿入されているパンニング磁気ヨーク203とチルティング磁気ヨーク204は磁性体からなるため、それぞれに対向するように下部可動部102の内側に設けられたローリング駆動磁石として併用するパンニング駆動磁石401、チルティング駆動磁石402との間にそれぞれ磁気吸引力F1が発生する。磁気吸引力F1は、可動ユニットの凸状部分球面102Rと3つの支持ボール55との垂直抗力となり、かつ光軸10方向の合成ベクトルとして磁気吸引力F2を得る。
可動ユニットを固定ユニットに対して3点のボール支持が可能となり、かつ支持ボール55が光軸10を中心に120度の角度間隔で均等に配設されていることから極めて安定な支持構成で極めた優れた動特性を実現できる。特に 傾斜角度θsを45度程度にすることにより、図9Bに示すように、磁気吸引力F2によって、支持ボール55と支持ボールホルダー56との円周状線接触部分が受ける力が均一となるため、可動ユニットと固定ユニット間との摩擦係数をより低減できる。
この磁気吸引力F2により、ベース200の3つの支持ボール55と下部可動部102の凸状部分球面102Rの部分球面とが接触ポイント102Pで点接触しながら(図9B)、下部可動部102が球心70を中心として自在に回転する。言い換えれば、接触ポイント102Pが光軸10を中心とする円周状に3つ配置された状態で可動ユニット180は固定ユニットに支持される。しかし、本実施形態の特徴は、ベース200の凹部200Aと下部可動部102の凸状部分球面102Rとを少なくとも3つの点接触によって支持することにあり、この支持を実現するための具体的な構造は支持ボールに限られない。例えば、樹脂などによって構成される3つの凸状部分球面を有する凸部によって実現することも可能である。
なお3つの支持ボール55は、脱落防止部材201の脱落防止規制面201Aにより、カメラ駆動装置165に衝撃が加わった場合においても脱落しないことはいうまでもない。これらの可動ユニット180の支持構成により、光軸10に直交し、球心70を通るパンニング方向回転軸12を中心に回転するパンニング方向20と、光軸10およびパンニング方向回転軸12に直交するチルティング方向回転軸11を中心に回転するチルティング方向21の2種類の傾斜方向の回転と、レンズ光軸10を中心に回転するローリング方向22の回転を行うことができる。
特に、下部可動部102が球体の一部を切り取った形状を備えているため、球心70は、下部可動部102の中心かつ重心の位置と一致する。このため、可動ユニット180は、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22に、いずれもほぼ等しいモーメントで回転し得る。その結果、可動ユニット180が、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22にどのように回転した状態であっても、常にほぼ同じ駆動力でパンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22へさらに回転させることが可能であり、可動ユニット180を常に高い精度で駆動することが可能となる。
また、球心70、つまり、可動ユニット180の回転中心と、可動ユニット180の重心とが一致するため、可動ユニット180がパンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22に回転するモーメントは非常に小さい。このため、小さな駆動力で可動ユニット180を中立状態に維持したり、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22に回転させたりすることができる。よって、カメラ駆動装置の消費電力を低減させることができる。特に可動ユニット180を中立状態で維持するための必要な駆動電流をほとんどゼロにすることも可能である。
このように、本実施形態によれば、カメラ部100を内蔵する可動ユニット180は、重心位置である球心70において集中的に支持される。従って、摩擦による負荷の低減や駆動周波数領域において機械的共振を大幅に抑圧することができる。
また、パンニング駆動磁石401とチルティング駆動磁石402は、回動角度に影響されることなく、一定の磁気吸引力で、支持ボール55と凸状部分球面102Rとの間に一定の垂直抗力を分散的に付加する。このため、回動角度による摩擦負荷の変動を抑制し、駆動周波数領域において良好な位相・ゲイン特性を実現できる。
また凸状部分球面102Rを有する下部可動部102と支持ボールホルダー56とをプラスチックなどの樹脂部材により構成すれば、接触する支持ボール55と凸状部分球面102Rの摩擦をさらに低減させることが可能であり、耐摩耗性に優れた支持構造を実現できる。
カメラ駆動装置165は、好ましくは、可動ユニット180が固定ユニットから脱落しないように可動ユニット180の移動を制限する脱落防止部材201を含む(図1、図4C)。脱落防止部材201は、脱落防止用規制面201Aを有し、可動ユニット180が固定ユニットから離れるように移動した場合、可動ユニット180の下部可動部102と脱落防止用規制面201Aとが当接することによって可動ユニット180の移動を制限する(図4A)。図11Bに示すように、下部可動部102が球心70に対して全可動範囲で自在に回動可能になるように、所定の空隙50が下部可動部102の凸状部分球面102Rと脱落防止部材201の脱落防止用規制面201Aとの間に設けられている。
好ましくは、脱落防止用規制面201Aは、下部可動部102の凸状部分球面102Rの球心70と一致した中心を有する凹状部分球面を有する。脱落防止部材201はベース200の接触面200Bに固定されている。凸状部分球面102Rと脱落防止用規制面201Aとの間には、下部可動部102の凸状部分球面102Rが接触ポイント102Pで固定ユニットの支持ボール55に点接触した状態で空隙50が生じている。
この空隙50は、下部可動部102の凸状部分球面102Rが支持ボール55から離間しても、磁気吸引力F1により凸状部分球面102Rが支持ボール55と接触ポイント102Pで点接触する状態へ戻ることが可能な距離に設定されている。
つまり、可動ユニット180が上方へ空隙50に等しい距離だけ移動し、脱落防止用規制面201Aと凸状部分球面102Rとが接触した状態においても、磁気吸引力F1により可動ユニット180は、凸状部分球面102Rが支持ボール55と点接触する元の状態へ戻ることができる。
このため、本実施形態によれば、たとえ可動ユニット180が瞬間的に所定の位置から脱落した場合においても磁気吸引力F1により、即座に元の良好な支持状態に復帰することのできる耐衝撃性に優れたカメラ駆動装置を提供できる。
次に、可動ユニット180を駆動するための構造を詳細に説明する。
図2に示すように、下部可動部102には、可動ユニット180をパンニング方向20に回転駆動するために、1対のパンニング駆動磁石401が光軸10に対して対称に配置され、可動ユニット180をチルティング方向21に回転駆動するために、1対のチルティング駆動磁石402が光軸10に対して対称に配置されている。固定ユニットに設けられる構成要素について、「光軸10に対して対称」とは、可動ユニット180が中立状態、つまり可動ユニット180が固定ユニットに対して傾斜してない状態における光軸10を基準としている。
パンニング駆動磁石401は、チルティング方向回転軸11方向に磁束を有するように1極に着磁されており、同様にチルティング駆動磁石402は、パンニング方向回転軸12方向に磁束を有するように1極に着磁されている。
図1、図3B等に示し、上述したように、1対のパンニング磁気ヨーク203およびチルティング磁気ヨーク204が、1対のパンニング駆動磁石401および1対のチルティング駆動磁石402にそれぞれ対向するように、光軸10を中心としたベース200の円周上にそれぞれ設けられている。
図5Aから図8に示すように、チルティング方向回転軸11方向にベース200に配置された1対のパンニング磁気ヨーク203のそれぞれには、パンニング磁気ヨーク203を巻回するパンニング駆動コイル301が設けられ、さらにパンニング駆動コイル301の外側にパンニング駆動コイル301の巻回方向と直交するようにローリング駆動コイル303が設けられている。
同様にチルティング方向回転軸11に直交するパンニング方向回転軸12方向に配置された1対のチルティング磁気ヨーク204のそれぞれには、チルティング磁気ヨーク204を巻回するチルティング駆動コイル302とチルティング駆動コイル302の外側にチルティング駆動コイル302の巻回方向と直交するようにローリング駆動コイル303が設けられている。
言い換えれば、光軸10を中心とする円周上に、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22の駆動部がそれぞれ独立に分散して配置されている。
このような構造によれば、パンニング磁気ヨーク203とパンニング用磁石401との間の磁気ギャップ、チルティング磁気ヨーク204とチルティング用磁石402との間の磁気ギャップを均等に設けることができる。このため、それぞれの磁束密度を均等に向上させることができ、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22への駆動効率が大幅に改善される。
次に、傾斜および回転駆動部の光軸10方向の高さ配置構成について説明する。
図9Bに示すように、直線30、31は、ベース200に固定されるチルティング磁気ヨーク204に巻回されたチルティング駆動コイル302の巻回中心軸40、41と垂直であり、球心70およびチルティング駆動コイル302の中心を通る。また、直線30、31は、中立状態にある可動ユニットの光軸10に垂直であり、球心を通る水平面Pに対して、下方に45度以下の傾斜角度θp(傾斜角度A)をなしている。1対のチルティング駆動磁石402は、1対のチルティング駆動コイル302に対向するよう可動ユニット180に傾斜して配置されている。
図示しないが、ベース200に固定されるパンニング磁気ヨーク203に巻回されたパンニング駆動コイル301の巻回中心軸と垂直であり、球心70およびパンニング駆動コイル301の中心を通る直線も、中立状態にある可動ユニットの光軸10に垂直であり、球心を通る水平面Pに対して、下方に45度以下の傾斜角度θp(傾斜角度A)をなしている。また、1対のパンニング駆動磁石401も、1対のパンニング駆動コイル301に対向するよう可動ユニット180に傾斜して配置されている。また、ローリング駆動コイル303の巻回中心軸と垂直であり、球心70およびローリング駆動コイル303の中心を通る直線も、光軸10に垂直であり、球心を通る水平面Pに対して、下方に45度以下の傾斜角度θr(傾斜角度B)をなしている。
また、図9Bに示すように、巻回中心軸40、41が、図7、図8に示すチルティング磁気ヨーク204およびチルティング駆動コイル302をベース200に挿入するための1対の開口部200Tの中心線となる。図示しないが、パンニング磁気ヨーク203およびパンニング駆動コイル301を挿入するための1対の開口部200Pの中心線もパンニング駆動コイル301の巻回中心軸と一致する。
上述したように、傾斜角度θpを45度以下に設定することにより、固定ユニットの高さを小さくし、装置の省スペースと低背化を実現できる。好ましくは、傾斜角度θpおよび傾斜角度θrは20度から25度程度であり、より好ましくは、例えば、20度である。
1対のパンニング駆動コイル301に通電することにより、1対のパンニング駆動磁石401は偶力の電磁力を受け、下部可動部102、つまり可動ユニット180は、パンニング方向回転軸12を中心にパンニング方向20に回転駆動される。同様に、1対のチルティング駆動コイル302に通電することにより、1対のチルティング駆動磁石402は偶力の電磁力を受け、可動ユニット180は、チルティング方向回転軸11を中心にチルティング方向21に回転駆動される。
さらにパンニング駆動コイル301およびチルティング駆動コイル302に同時に通電することにより、カメラ部100が搭載された可動ユニット180を2次元的に傾斜させることができる。図12A、図12Bおよび図13A、図13Bは、パンニング駆動コイル301およびチルティング駆動コイル302に同時に同等の電流を通電することにより、パンニング方向20およびチルティング方向21に同角度ずつ傾斜し、結果としてパンニング方向20とチルティング方向21と45度をなす直線13方向に合成角度θxyに傾斜した状態を示したものである。
また4つのローリング駆動コイル303に通電することにより、可動ユニット180は同回転方向の電磁力を受け、可動ユニット180は、光軸10を中心にローリング方向22に回転駆動される。
このように、本実施形態は、可動ユニット180にパンニング駆動磁石401、チルティング駆動磁石402を設けたムービングマグネット駆動方式を採用している。この構成では、一般的に可動ユニット180の重量が増大するという問題が考えられる。しかし、この構成によれば、可動ユニット180への駆動用配線の懸架は不必要となり、カメラ部100の電源ラインと出力信号のみを可動ユニット180と外部との間で伝送するだけでよい。カメラ部100がワイヤレスカメラの場合においては、電源ラインのみでよい。また、可動ユニット180の重心と可動ユニット180の回動中心点とが一致しているため、駆動磁石を搭載することにより重量が増大しても、可動ユニット180の回転モーメントはさほど増大しない。このため、本実施形態によれば、重量の増大による課題を抑制しつつ、ムービングマグネット駆動方式による利点を享受できる。
次に、カメラ部100の電源ラインおよび出力信号の伝送手段について説明する。
図1、図2、図6A、図6B、図9、図11A、図11Bおよび図13A、図13Bに示すように、伝送手段として機能する1対の配線110は、光軸10に対して線対称に配置されている。より具体的には、1対の配線110は、光軸10を含み、パンニング方向20およびチルティング方向21に対して45度をなす平面上において、光軸10に対して、線対称に配置されている。
図1、図2に示すように、ベース200の接触面200Cに、配線110を狭持して位置決めする第1の固定ホルダー120が固定されている。第1の固定ホルダー120の傾斜面120A(図1参照)は、図11B、図13Bに示すように、光軸10に直交し、かつ球心70を含む水平面から下方に傾斜している。
この傾斜面120Aに配線110の裏面が接着等でもしくは第2の固定ホルダー130により狭持して固定されている。さらに第1の固定ホルダー120をベース200の接触面200Cに固定することにより、第1の固定ホルダー120の傾斜面120B(図1、図2参照)と第2の固定ホルダー130で配線110を狭持して配線110が位置決めされる。
配線110の可動ユニット180への配線処理について説明する。図2に示すように、カメラカバー150にカメラ部100を狭持して固定するカメラユニット固定板160が設けられている。1対の配線110は、カメラユニット固定板160に配線固定ホルダー170により固定されている。
これにより配線110は下方へ曲げられ、図13Bに示すように可動ユニット180が傾斜角度θxy傾斜した状態においても配線110は緩やかな曲げ曲線を描くことが可能となり、配線110の屈曲バネ特性による下部可動部102への反作用低減が実現できる。
なお、可動ユニット180の光軸10を中心とするローリング方向22の回転角度は、下部可動部102に設けられた開口部102Wとベース200に固定された連結棒801との接触によって制限される。開口部102Wに連結棒801が挿入されているため、開口部102Wが規定する開口の範囲で、連結棒801が開口部102Wを規定する壁と接触することなく可動ユニット180が光軸10を中心として回転する。開口の範囲を超えて、可動ユニット180が回転しようとすると、連結棒801と開口部102Wを規定する壁が接触するため、それ以上可動ユニット180は回転できない。
ムービングマグネット駆動方式においては、パンニング駆動コイル301、チルティング駆動コイル302、ローリング駆動コイル303の発熱をパンニング磁気ヨーク203、チルティング磁気ヨーク204を介してベース200によって冷却できるという大きな利点がある。さらに、パンニング方向20およびチルティング方向21への傾斜角度と、ローリング方向22の回転角度とを20度以上にする上では、可動ユニット180を小型化、軽量化できる点で有利である。一方、ムービングコイル駆動方式では駆動コイルがあまりにも肥大化し、可動ユニット180の重量が増加する可能性がある。
このように、本実施形態によれば、カメラ部100、下部可動部102、下部可動部102に設けられたれた凸状部分球面102R、脱落防止用規制面201A、ベース200に設けられた支持ボール55、傾斜用駆動部および回転用駆動部、傾斜検出用磁石406、回転検出用磁石403の中心軸が、すべて支持中心であり駆動中心でもある球心70を通るように構成でされている。
従って、可動ユニット180の重心が球心70と一致し、可動ユニット180を重心で支持するとともに、重心を通り互いに直交する3軸回りの回転駆動を実現することができる。また、可動ユニット180の脱落を防止することができる。
カメラ駆動装置165は、可動ユニット180の振幅増大係数(Q値)を低減するため、粘性部材(図示せず)を備えていてもよい。この場合、図9B、図10Bに示すように、可動102の凸状部分球面102Rとベース200の凹状球面200Aもしくは脱落防止部材201の脱落防止用規制面201Aとの間に粘性部材を設ける。これにより、可動ユニット180に設けられるパンニング駆動磁石401、チルティング駆動磁石402とベース200に設けられたパンニング磁気ヨーク203、チルティング磁気ヨーク204との間において傾斜および回転角度に対して発生する磁気吸引力変動の磁気バネ効果による振動の振幅増大係数(Q値)や機械的な固有振動のQ値を低減でき、良好な制御特性を得ることができる。
さらに、可動ユニット180の全可動範囲において、下部可動部102の凸状部分球面102Rのうち、接触ポイント102Pの軌跡が存在しない領域の表面に凸凹状形状(図示せず)を設けてもよい。凸凹状形状によって粘性部材との接触面積が拡大し、粘性抵抗の増大を図ることができ、大幅な粘性減衰特性の向上を実現できる。
次に可動ユニット180の傾きや回転の検出について説明する。まず、可動ユニット180のパンニング方向20およびチルティング方向21における可動ユニット180の傾斜角度の検出について詳細に説明する。
図1、図2、図7、図8、図14に示すように、可動ユニット180の傾斜角度を検出するために、カメラ駆動装置165は第1の検出器である第1の磁気センサー501を備える。第1の磁気センサー501は、2軸周りの傾きあるいは回転を検出可能であり、光軸10方向に1極に着磁された傾斜検出用磁石406に対向するように配置され、回路基板502を介して開口部200Hに挿入し、ベース200に固定されている。
また、回路基板502は図1、図13Bに示すように3箇所で圧縮バネ600を介してベース200に調節ネジ601で固定されており、3つの調節ネジ601をそれぞれ回転させることにより、傾斜検出用磁石406と第1の磁気センサー501の相対的な傾きと距離を変化させる。これにより、第1の磁気センサー501の傾き出力信号を最適に調整することが可能となる。
第1の磁気センサー501の内部には、光軸10を中心にホール素子(図示せず)がチルティング方向回転軸11およびパンニング方向回転軸12上にそれぞれ1対ずつ対称に配置されている。第1の磁気センサー501は、可動ユニット180のパンニング方向20およびチルティング方向21における傾斜動作によって生じる傾斜検出用磁石406の磁力変化を2軸成分としてそれぞれ差動検出し、パンニング傾斜角度およびチルティング傾斜角度を算出することができる。
このように、本実施形態によれば、傾斜検出用磁石406と球心70との間隔を短くでき、傾斜角度に対して傾斜検出用磁石406の移動を小さくできることから第1の磁気センサー501の小型化が可能である。
なお、本実施形態では、第1の検出器は、第1の磁気センサー501と傾斜検出用磁石406を含んでいたが、他の構成によって第1の検出器を構成してもよい。例えば、第1の検出器は、光軸10上において、固定ユニットに設けられた光センサーと、可動ユニット180に設けられた光検出パターンとを含んでいてもよい。可動ユニットが傾斜することにより、光検出パターンが傾斜するため、光センサに入射する光が変化する。光センサーがこの光の変化を検出することによりパンニングおよびチルティング方向の2次元の傾斜角度を算出することも可能である。
図16A、図16Bは、可動ユニット180の光軸10回りのローリング方向22の回転角度を検出するための第2の検出器である第2の磁気センサー503の配置を示す斜視図である。
第2の検出器は、基本的にはベース200に固定された1対の第2の磁気センサー503と、可動ユニット180に固定された1対の回転検出用磁石403とから構成される。
可動ユニット180の下部可動部102に設けられる回転検出用の磁気回路は、直線13方向の磁極が異なる1対の回転検出用磁石403と、磁性体からなる球面部510Aを有する1対の球面ヨーク510と、磁性体からなるバックヨーク520と樹脂からなる検出用磁石ベース530とから構成され、磁気ギャップG(図16A)を形成する。本実施形態では、1対の回転検出用磁石403は、図16Bに示すように光軸10に対して対称に配置されている。
なお球面ヨーク510の形状を回転検出用磁石403で形成できれば、球面ヨーク510は不必要となる。つまり、部分球面102Rの球心を中心とする球面部510Aが磁気ギャップGを隔ててN極およびS極に着磁しておれば、球面ヨーク510を備えていなくてもよいし、また、1対の回転検出用磁石403が光軸10に対して対称に位置しなくてもよい。
磁気ギャップGを境界にして1対の球面ヨーク510の磁極が急峻に変化する。従って、ローリング方向22に可動ユニット180が回転した場合、この磁気ギャップGがローリング方向22に回転することによる急峻な磁極変化を第2の磁気センサー503で検出することにより、ローリング方向22の回転角度を高精度で検出することができる。
またローリング方向22の回転検出用の磁気回路は球心70近傍に位置するようにカメラユニット固定板160の下部に固定されている。
図14、図15および図16Aに示すように、回転検出用磁石403により磁路を形成する1対の球面ヨーク510に対して、所定の距離を介して対向するように設けられた1対の第2の磁気センサー503は、磁気センサーホルダー800と連結棒801および回転検出ベース803を介してベース200に対して固定される。つまり、連結棒801の一端に1対の第2の磁気センサー503が固定され、連結棒801のその一端が開口部102Wに挿入され、球心70の近傍に位置している。これら第2の検出器は光軸10と直線13含む平面に構成され、かつ、図16Bに示すように、連結棒801は、直線13を含む水平面Pに対して球心70を中心に角度θG下方傾斜している。
直線13方向に角度θG下方傾斜させることにより、カメラ部100や前述したパンニング駆動用磁石401とチルティング駆動磁石402に干渉することなく第2の検出器を設けることができる。
さらに、第2の検出器が球心70近傍に設けられていることより、パンニングおよびチルティングの傾斜による球面ヨーク510の移動オフセット量を大幅に減少させることが可能となり、パンニング方向20およびチルティング方向21の傾斜によるローリング方向22へのクロストーク信号を少なくすることができる。
これによりパンニング方向20およびチルティング方向21に大きく傾斜した場合においても、ローリング方向22の回転角度検出信号のみを抽出させることが可能となる。
次に図21A、図21Bを用いて、カメラ駆動装置165の撮影姿勢について説明する。図21Aは、カメラ駆動装置165が動作状態にある場合における撮影姿勢を示したものである。すなわち、被写体における水平基準HSに対してチルティング方向回転軸11は平行であり、かつパンニング方向回転軸12は垂直であるカメラ駆動装置165の姿勢状態である。この姿勢状態においても、良好なカメラ駆動をおこなうことができる。
図21Bは、被写体における水平基準HSに対してチルティング方向回転軸11は45度傾斜し、かつパンニング方向回転軸12も45度傾斜しているカメラ駆動装置165の姿勢状態である。
この撮影姿勢状態によれば、被写体における水平基準HS方向にパンニング駆動する場合、パンニング駆動コイル301とチルティング駆動コイル302の両方に通電して本来のパンニング方向への駆動が可能となる利点がある。また、被写体における水平基準HSに垂直な方向にチルティング駆動する場合、パンニング駆動コイル301とチルティング駆動コイル302の両方に通電して本来のチルティング方向への駆動が可能となる。
すなわち、利用頻度が高いと想定されるパンニングとチルティング方向への駆動に際して、2つのコイルに通電することにより実現する。
その結果、本来のパンニングとチルティング方向への駆動に対して、45度傾斜している、パンニング駆動コイル301とチルティング駆動コイル302を駆動した場合、図21Bにおけるパンニング方向回転軸12とチルティング方向回転軸11方向への可動ユニット180の回転角度は、1/√2倍の回転角度となる。
従って、図21Bのような撮影姿勢の場合は、利用頻度が高いと想定される本来のパンニングとチルティング方向の駆動角度が1/√2倍の回転角度となり、上述した可動ユニットに設けられた駆動磁石と固定ユニットに設けられた磁気ヨークとの間に発生する磁気吸引力の磁気バネ効果を低減でき、良好なカメラ駆動を実現できる。
このように、本実施形態のカメラ駆動装置によれば、カメラ部のレンズの光軸上に、可動ユニットの可動部に設けられた凸状部分球面の球心と、固定ユニットの円周状に配置された指示ボールの中心軸を配置する。これにより、可動ユニットを重心で支持する構成が実現し、駆動周波数領域において機械的共振を大幅に抑制することができる。
また、固定ユニットの支持ボールと可動ユニットの凸状部分球面とによって構成される3点支持構成において、可動ユニットの回動角度に影響を受けにくい磁気吸引力によって、一定の垂直抗力を付加することができるため、回動角度による摩擦負荷変動を低減し、駆動周波数領域において良好な位相・ゲイン特性を実現できる。
また、従来、磁気吸引力による支持構造に特有の大きな課題であった振動・衝撃等の外乱等による可動ユニット180の脱落を防止するため、固定ユニットに設けられた脱落防止部材に回動可能な所定の空隙を介して脱落防止規制面を設けている。このため装置の大型化を回避しながら確実に可動ユニットの脱落防止を実現できる。
また、可動ユニットの凸状部分球面が固定ユニットの脱落防止規制面に当接する状態まで可動ユニットが脱落した場合でも、磁気吸引力によって、可動ユニット180の凸状部分球面と固定ユニットの支持ボールとが再び点接触することができるように脱落防止規制面の位置が決定されている。このため、たとえ可動ユニットが瞬間的に脱落した場合においても即座に元の良好な支持状態に復帰できる極めて耐衝撃性に優れたカメラ駆動装置を提供できる。
また、パンニング、チルティングおよびローリング方向の駆動部は、光軸と垂直な平面上において直交する2つの線上にそれぞれ配置され、可動ユニットに固定された2対の駆動磁石と、2対の駆動磁石に対向するように光軸を中心とする円周状に固定ユニットにそれぞれ配設された2対の駆動コイルとから構成される。
これらが配置される光軸方向の高さ位置は、球心を含む水平面より下方に傾斜した高さ位置に配置される。このため可動ユニットの重心を球心中心で駆動することができ、かつ低背化が可能となる。
また、可動部とベースを樹脂材料にするかもしくは凸状部分球面と支持ボールホルダーの表面部分を樹脂部材で被覆することで、低摩擦で耐摩耗性に優れた支持構造が実現する。
また、可動ユニットの凸状部分球面とベース内側面の凹状球面もしくは脱落防止規制面で形成れる空隙に粘性部材を充填することにより、可動ユニットに設けられた駆動磁石と固定ユニットに設けられた磁気ヨークとの間に発生する磁気吸引力変動に起因する磁気バネ効果による振動の振幅増大係数(Q値)や機械的な固有振動のQ値を低減することができ、良好な制御特性を得ることができる。
また、光軸と垂直な平面において、パンニング方向回転軸およびチルティング方向回転軸に対して45度方向に互いに逆向きに着磁された1対の回転検出磁石を可動ユニット部の球心近傍に設け、磁気変化を固定ユニットに設けた第2の磁気センサーによって検出する。
さらに第2の検出器が球心近傍に設けられていることより、パンニングおよびチルティングの傾斜による第2の検出器の移動オフセット量を大幅に減少させることが可能となり、パンニング方向およびチルティング方向の傾斜によるローリング方向へのクロストーク信号を少なくすることができる。
これによりパンニング方向およびチルティング方向に大きく傾斜した場合においても、ローリング方向の回転角度検出信号のみを抽出させることが可能となる。また、固定ユニットには、1対の第2の磁気センサーがチルティング方向回転軸またはパンニング方向回転軸に対して45度をなす直線上に配置される。このため、光軸を中心とした円周上に駆動部と第2の磁気センサーを配置することができ、装置の小型化を実現することができる。
従って、本実施形態のカメラ駆動装置によれば、例えば、パンニング方向およびチルティング方向に±10度以上の大きな角度で可動ユニットを傾斜させ、また、ローリング方向に±10度以上の大きな角度で可動ユニットを回転させることができる。また、50Hz程度までの広帯域の周波数領域で良好な振れ補正制御を実現できる。その結果、カメラ部の高速パンニング・チルティング・ローリング動作を実現するとともに、歩行撮影時の手振れで発生する撮影画像の像振れを補正することのできるカメラ駆動装置が実現する。また、小型で堅牢な脱落防止構造を備えるため、振動や落下衝撃等の外部からの衝撃に対する耐衝撃性の強いカメラ駆動装置が実現する。
またローリング駆動コイルは、1対のパンニング磁気ヨークと1対のチルティング磁気ヨークにパンニング駆動コイルおよびチルティング駆動コイルのコイル巻回方向に対して直交するように積層巻回された十字巻き構成を有しているため、固定ユニットの省スペース化、小型化および部品点数削減を実現できる。
このように、本実施形態のカメラ駆動装置によれば、カメラ部の高速パンニング・チルティング・ローリング動作を実現するとともに、歩行撮影時の手振れで発生する撮影画像の像振れを補正することのできるカメラ駆動装置が実現する。また、小型で堅牢な脱落防止構造を備えるため、振動や落下衝撃等の外部からの衝撃に対する耐衝撃性の強いカメラ駆動装置が実現する。
(第2の実施形態)
本発明によるカメラユニットの実施形態を説明する。本発明の第2の実施形態のカメラユニット170は、カメラ駆動装置と制御部とを含み、歩行時の像振れを補正することができる。図22は、カメラユニット170の主要部を示す斜視図であり、図23はカメラユニット170のブロック図である。
図22および図23に示すように、カメラユニット170は、カメラ駆動装置165と、角速度センサー900、901、902と、演算処理部94と、駆動回路96p、96t、96rとを含む。
角速度センサー900、901、902は、カメラ駆動装置のベース200もしくはベース200を固定するカメラユニット本体(図示せず)に取り付けられている。各角速度センサー900、901、902は、図において破線で示す軸周りの角速度を検出する。具体的には、角速度センサー900、901、902は、それぞれ、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22の角速度をそれぞれ検出する。なお、図22は3つの独立した角速度センサー900、901、902を示しているが、3軸周りの角速度を検出できる1つの角速度センサーを用いてもよい。また、角速度センサーは、直交する3軸周りの角速度を検出できば、3軸は、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22と一致している必要はない。角速度センサーが検出する角速度の軸が、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22と一致していない場合には、演算処理部94において、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22の角速度に変換すればよい。
たとえば、撮影時の手振れによるパンニング方向20とチルティング方向21の振れ角は、それぞれ角速度センサー900および901によって検出される。また、歩行撮影時の歩行重心移動によって発生するローリング方向22の振れ角は角速度センサー902によって検出される。図23に示すように、角速度センサー900、901、902によって検出した振れ角に関する情報は、それぞれ、角速度信号80p、80t、80rとして出力される。
角速度信号80p、80t、80rは、演算処理部94において演算処理を行うのに適した信号に変換される。具体的には、角速度信号80p、80t、80rはアナログ回路91p、91t、91rに入力され、ノイズ成分やDCドリフト成分が除去される。ノイズ成分およびDCドリフト成分が除去された角速度信号81p、81t、81rは、増幅回路92p、92t、92rに入力され、それぞれ適切な出力値の角速度信号82p、82t、82rが出力される。その後AD変換器93p、93t、93rにより、それぞれデジタル信号に変換され、デジタル化された角速度信号83p、83t、83rが演算処理部94に入力される。
演算処理部94は、角速度を手振れの角度に変換する積分処理を行い、パンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22の振れ角を逐次算出する。また、3軸の振れ補正処理が行われる。演算処理部94で行われる3軸の振れ補正処理は、それぞれの角速度センサー900、901、902で検出された角速度信号83p、83t、83rに応じて角速度を抑制するようにカメラ部100を搭載した可動ユニットを駆動する開ループ制御である。演算処理部94は、カメラ駆動装置165の周波数応答特性と位相補償およびゲイン補正等を含めた最適なデジタルの振れ補正量として逐次目標回転角度信号84p、84t、84rを出力する。
目標回転角度信号84p、84t、84rはDA変換器95p、95t、95rによりアナログ化され、アナログの目標回転角度信号85p、85t、85rとして駆動回路96p、96t、96rに入力される。
一方、カメラ駆動装置165においては、カメラ部100を搭載した可動ユニットのベース200に対する回転角度を検出する第1および第2の磁気センサー501、503からパンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22の回転角度信号86p、86t、86rが出力される。回転角度信号86p、86t、86rは、アナログ回路97p、97t、97rによってノイズ成分やDCドリフト成分が除去され、回転角度信号87p、87t、87rとなる。さらに増幅回路98p、98t、98rにより適切な出力値の回転角度信号88p、88t、88rが得られる。回転角度信号88p、88t、88rは、駆動回路96p、96t、96rに入力される。
駆動回路96p、96t、96rは、目標の角度信号85p、85t、85rに対して回転角度信号88p、88t、88rを帰還するフィードバック系で構成される。従って、カメラユニット170に外部からの力が作用しない場合は、所定の回転角度位置となるようにカメラ部100を搭載した可動ユニットのパンニング方向20、チルティング方向21およびローリング方向22の角度を制御している。目標の角度信号85p、85t、85rおよび回転角度信号88p、88t、88rに基づき、パンニング駆動コイル301、チルティング駆動コイル302、ローリング駆動コイル303を駆動する駆動信号が駆動回路96p、96t、96rが出力される。これによりカメラ駆動装置165において、角度位置のフィードバック制御が実行され、回転角度信号88p、88t、88rが目標回転角度信号85p、85t、85rに等しくなるようにカメラ部100を搭載した下部可動部102が駆動される。
この一連の駆動制御により、カメラ部100の振れ補正が実施され、歩行時においても良好な安定撮影が実現可能となる。
本発明の第2の実施形態では、角速度センサーの出力を積分した回転角度信号を主とした制御系を示した。しかしAD変換器を介してカメラ駆動装置の第1および第2の磁気センサー501、503からの回転角度信号88p、88t、88rを演算処理部94に取り込み、微分演算処理を行うことにより、カメラ部100の回転角速信号を検出することも可能である。これにより、演算処理部94において、カメラ装置の角速度信号83p、83t、83rとカメラ部100の回転角度信号を用いた角速度フィードバック系をさらに構築することができ、より高い精度で手ぶれおよび歩行振れを抑制することができる。
本発明の実施形態によるカメラ駆動装置およびカメラユニットは、従来の手振れ補正装置に比べて、より大きな角度でカメラ部を回転させることができる。このため、本発明のカメラ駆動装置およびカメラユニットは、画像処理等を用い、画像中で特定した被写体が、たとえば、画面の中央に位置するように被写体を追尾することのできるカメラ駆動装置を実現することもできる。
また、カメラ部をパンニング方向またはチルティング方向に回転させながら撮影を行い、撮影した静止画や動画を逐次合成することによって、静止画や動画の超広角撮影が可能なカメラ駆動装置を実現することができる。
なお、第1から第2の実施形態は、カメラ部を備えたカメラ駆動装置およびカメラユニットを説明したが、本発明の実施形態として、カメラ部以外の発光デバイスや受光デバイスを搭載し、3軸方向に自在に駆動し得る駆動装置を実現してもよい。例えば、カメラ部に換えて、レーザ素子や光検出素子を可動ユニットに搭載し、3軸方向に自在に駆動し得る駆動装置を実現してもよい。この場合、ローリング方向への回転が不要であれば、ローリング駆動部は設けなくてもよい。
また、第1から第2の実施形態では、吸着用磁石として、パンニング、チルティングおよびローリング駆動磁石を用い、磁性体として、パンニング、チルティングおよびローリング磁気ヨークを用いたが、カメラ駆動装置は、吸着用磁石および磁性体として、これらの駆動磁石や磁気ヨークと別の磁石および磁性体を備えていてもよい。
本願に開示されたカメラ駆動装置は、パンニング方向、チルティング方向およびローリング方向に駆動可能な構造を備えているため、歩行撮影時に撮影者の重心移動によって発生するローリング振れを含めた3軸方向の振れ補正を実現でき、ウエアラブルカメラ等、画像の振れ補正が必要な種々の撮像装置に好適に用いることができる。また高速パンニング、チルティングおよびローリング動作を必要とする被写体の高速追従カメラや監視カメラ、車載カメラなどに適している。
さらに高速パンニング動作や高速チルティング動作を行うことにより、撮影画像の高速合成を実現でき、静止画のみならず動画の超広角撮影ができるビデオカメラを提供することができる。
10 光軸
11、12 回転軸
13、14 直線
20 パンニング方向
21 チルティング方向
22 ローリング方向
30〜45 直線
50 空隙
55 支持ボール
70 球心
100 カメラ部
102 可動部
102W 開口部
102R 凸状部分球面
165 カメラ駆動装置
170 カメラユニット
200 ベース
200A 凹状球面
200P、200T 開口部
201 脱落防止部材
201A 脱落防止規制面
203、204 磁気ヨーク
301、302、303 駆動コイル
401、402 駆動用磁石
403 回転検出用磁石
406 傾斜検出用磁石
501、503 磁気センサー
510 球面ヨーク
520 バックヨーク
600 圧縮バネ
800 磁気センサーホルダー
801 連結棒
803 回転検出ベース

Claims (32)

  1. 撮像面を有する撮像素子、光軸を有し、前記撮像面に被写体像を形成するレンズおよび前記レンズを保持するレンズ鏡筒を含むカメラ部と、
    少なくとも1つの吸着用磁石を有し、前記カメラ部を内蔵する可動ユニットであって、第1の凸状部分球面を外形に有する可動ユニットと、
    少なくとも1つの磁性体および前記可動ユニットの少なくとも一部が遊嵌する凹部を有し、前記少なくとも1つの吸着用磁石と前記少なくとも1つの前記磁性体との磁気吸引力によって、前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面と前記凹部とが点または線接触し、前記可動ユニットが前記第1の凸状部分球面の球心を中心として自在に回転する固定ユニットと、
    前記固定ユニットに対して前記カメラ部をパンニング方向へ傾斜させるパンニング駆動部と、
    前記固定ユニットに対して前記カメラ部を前記パンニング方向と直交するチルティング方向へ傾斜させるチルティング駆動部と、
    前記固定ユニットに対して前記カメラ部を前記レンズの前記光軸を中心に回転するローリング方向へ回転させるローリング駆動部と、
    前記固定ユニットに対する前記カメラ部の前記パンニングおよびチルティング方向への傾斜角度を検出する第1の検出器と、
    前記ローリング方向に回転する前記カメラ部の回転角度を検出する第2の検出器と
    を備え、
    前記第2の検出器は、前記第1の凸状部分球面の前記球心近傍に設けられており
    前記第2の検出器は、前記可動ユニットの前記球心近傍に設けられ、かつ前記光軸に対して対称に配置された1対の回転検出用磁石と、
    前記固定ユニットに固定され、前記球心近傍位置まで一端が挿入される棒状のホルダーバーと、
    前記1対の回転検出用磁石のそれぞれに対して、対峙するように前記ホルダーバーの前記一端に固定された1対の第2の磁気センサーとを含み、
    前記1対の第2の磁気センサーは、前記1対の回転検出用磁石の回転による磁力変化を検出して、前記カメラ部の回転角度を算出する、カメラ駆動装置。
  2. 前記可動ユニットは、前記ホルダーバーが挿入される開口部を有し、前記開口部と前記ホルダーバーとが接触することにより、前記可動ユニットの回転角度が制限される請求項に記載のカメラ駆動装置。
  3. 前記固定ユニットは、前記凹部内に位置する少なくとも3つの第2の凸状部分球面を有し、前記第2の凸状部分球面と前記可動ユニットの第1の凸状部分球面とが点接触している請求項1に記載のカメラ駆動装置。
  4. 前記固定ユニットは、前記凹部の内側面を構成する凹状円錐面を有し、前記円錐面と前記可動ユニットの第1の凸状部分球面とが線接触している請求項1に記載のカメラ駆動装置。
  5. 固定ユニットに設けられ、前記可動ユニットが前記固定ユニットから脱落しないように前記可動ユニットの移動を制限する規制面を有する脱落防止部材をさらに備え、
    前記規制面は、前記第1の凸状部分球面の球心と一致した中心を有する凹状部分球面を有する請求項1からのいずれかに記載のカメラ駆動装置。
  6. 前記パンニング駆動部は、
    前記可動ユニットにおいて、前記光軸に対して対称に配置された1対のパンニング駆動磁石と、
    前記1対のパニングング駆動磁石に対向するよう前記固定ユニットにそれぞれ配置された1対のパンニング磁気ヨークと、
    前記1対のパニング磁気ヨークにそれぞれ巻回された1対のパニング駆動コイルと、
    を含み、
    前記チルティング駆動部は、
    前記可動ユニットにおいて、前記光軸に対して対称に配置された1対のチルティング駆動磁石と、
    前記1対のチルティング駆動磁石に対向するよう前記固定ユニットにそれぞれ配置された1対のチルティング磁気ヨークと、
    前記1対のチルティング磁気ヨークにそれぞれ巻回された1対のチルティング駆動コイルと、
    を含み、
    前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のパンニング駆動コイルは、前記第1の凸状部分球面の球心を通る直線上に設けられ、
    前記前記1対のチルティング駆動磁石および前記チルティング駆動コイルは、前記第1の凸状部分球面の球心を通り、前記直線と直行する他の直線上に設けられ、
    各パンニング駆動磁石、パンニング駆動コイル、チルティング駆動磁石およびチルティング駆動コイルの記光軸方向における中心の位置は、前記第1の凸状部分球面の球心の位置とほぼ一致している請求項1からのいずれかに記載のカメラ駆動装置。
  7. 前記ローリング駆動部は、
    前記1対の前記パンニング磁気ヨークおよび前記1対のチルティング磁気ヨークにそれぞれ巻回された4つのローリング駆動コイルを含み、
    前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のチルティング駆動磁石をローリング駆動磁石として用いる請求項に記載のカメラ駆動装置。
  8. 前記少なくとも1つの磁性体は、前記1対のパンニング磁気ヨークおよび前記1対のチルティング磁気ヨークである請求項に記載のカメラ駆動装置。
  9. 前記少なくとも1つの吸着用磁石は、前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のチルティング駆動磁石である請求項に記載のカメラ駆動装置。
  10. 前記1対のパンニング駆動コイルおよび前記1対のチルティング駆動コイルのそれぞれの巻回中心軸と垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心およびそれぞれの駆動コイルを通る直線は、前記光軸に垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心を通る水平面に対して、45度以下の傾斜角度Aをなしており、
    前記1対のパンニング駆動磁石および前記1対のチルティング駆動磁石は、前記1つのパンニング駆動コイルおよび前記1対のチルティング駆動コイルに対向するよう前記可動ユニットに傾斜して配置されている請求項またはに記載のカメラ駆動装置。
  11. 前記1対のローリング駆動コイルのそれぞれの巻回中心軸と垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心を通る直線は、前記光軸に垂直であり、前記第1の凸状部分球面の球心およびそれぞれのローリング駆動コイルの中心を通る水平面に対して、45度以下の傾斜角度Bをなしており、
    前記1対のローリング駆動磁石は、前記ローリング駆動コイルに対向するよう前記可動ユニットに傾斜して配置されている請求項に記載のカメラ駆動装置。
  12. 前記傾斜角度Aが20度である請求項10に記載のカメラ駆動装置。
  13. 前記傾斜角度Bが20度である請求項11に記載のカメラ駆動装置。
  14. 前記各第2の凸状部分球面の球心と前記第1の凸状部分球面の球心とを結ぶ直線は、前記光軸に垂直な前記第1の凸状部分球面の球心を通る水平面に対して、45度の傾斜角度Cをなしている請求項に記載のカメラ駆動装置。
  15. 前記1対のパンニング駆動磁石、前記1対のチルティング駆動磁石および前記1対のローリング駆動磁石は、それぞれ、前記可動ユニットの内側に位置しており、前記第1の凸状部分球面において露出していない請求項に記載のカメラ駆動装置。
  16. 前記1対のパンニング駆動コイル、前記1対のチルティング駆動コイルおよび前記1対のローリング駆動コイルは、それぞれ、前記固定ユニットの内側に設けられ、前記凹部内において露出していない請求項に記載のカメラ駆動装置。
  17. 前記可動ユニットは、樹脂材料によって構成されている請求項15に記載のカメラ駆動装置。
  18. 前記可動ユニットは、前記1対のパンニング駆動磁石、前記1対のチルティング駆動磁石および前記1対のローリング駆動磁石とともに一体成型されている請求項15に記載のカメラ駆動装置。
  19. 前記固定ユニットは、樹脂材料によって構成されている請求項16に記載のカメラ駆動装置。
  20. 前記固定ユニットは、前記1対のパンニング駆動コイル、前記1対のチルティング駆動コイル、前記1対のローリング駆動コイル、前記1対のパンニング磁気ヨーク、前記1対のチルティング磁気ヨークおよび前記1対のローリング磁気ヨークとともに一体成型されている請求項19に記載のカメラ駆動装置。
  21. 前記可動ユニットの重心は前記第1の凸状部分球面の球心と一致している請求項1からのいずれかに記載のカメラ駆動装置。
  22. 前記カメラ部に接続され、フレキシブルケーブルによって構成された配線をさらに備え、
    前記配線は、前記光軸に対して線対称に配置されており、前記光軸に垂直な平面において、前記1対のチルティング駆動磁石を結ぶ線または前記1対のパンニング駆動磁石を結ぶ線に対して45度をなす方向において、前記可動ユニットに固定されている請求項に記載のカメラ駆動装置。
  23. 前記第1の検出器は、
    前記固定ユニットに固定された第1の磁気センサーと、
    前記可動ユニットに設けられた傾斜検出用磁石とを含み、
    前記第1の磁気センサーは、前記傾斜検出用磁石の傾斜による磁力変化を検出し、前記カメラ部の前記パンニング方向および前記チルティング方向の2次元の傾斜角度を算出する請求項1に記載のカメラ駆動装置。
  24. 前記第1の磁気センサーおよび前記傾斜検出用磁石は、前記光軸上に位置している請求項23に記載のカメラ駆動装置。
  25. 前記第1の検出器は、
    前記固定ユニットに固定された光センサーと、
    前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面の一部に設けられた光検出パターンと
    を含み、
    前記光センサーは、前記光検出パターンの傾斜による前記光センサーに入射する光の変化を検出し、前記カメラ部の前記パンニングおよびチルティング方向の2次元の傾斜角度を算出する請求項1に記載のカメラ駆動装置。
  26. 前記光センサーおよび前記光検出パターンは、前記光軸上に位置している請求項25に記載のカメラ駆動装置。
  27. 前記可動ユニットが中立の位置にあるとき、前記光軸に直交する平面において、前記1対の第2の磁気センサーと前記1対の回転検出用磁石および前記ホルダーバーは、それぞれ、前記1対のパンニング駆動磁石を結ぶ直線および前記1対のチルティング駆動磁石を結ぶ直線に対して45度の角度をなす直線上に配置されている請求項に記載のカメラ駆動
    装置。
  28. 前記1対の回転検出用磁石は、前記光軸に直交する平面において、前記第1の凸状部分球面の球心を通る直線に平行であり互いに逆向き方向に着磁された磁石から構成されている請求項に記載のカメラ駆動装置。
  29. 前記脱落防止部材の前記規制面と前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面との間に空隙が設けられており、
    前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面が前記固定ユニットの前記凹部から離間しても、前記磁気吸引力によって、点または線接触の状態に戻るように前記空隙は決定されている請求項に記載のカメラ駆動装置。
  30. 請求項1から28のいずれかに規定されるカメラ駆動装置と、
    前記固定ユニットの直交する3軸周りの角速度をそれぞれ検出する角速度センサーと、
    前記角速度センサーからの出力に基づき、目標回転角度信号を生成する演算処理部と、
    前記目標回転角度信号に基づき、前記パンニング駆動部および前記チルティング駆動部を駆動する信号を生成する駆動回路と
    を備えたカメラユニット。
  31. 前記カメラ部の前記光軸を中心に45°回転させた請求項1から30のいずれかに規定されるカメラ駆動装置と、
    前記固定ユニットの直交する3軸周りの角速度をそれぞれ検出する角速度センサーと、
    前記角速度センサーからの出力に基づき、目標回転角度信号を生成する演算処理部と、
    前記目標回転角度信号に基づき、前記パンニング駆動部および前記チルティング駆動部を駆動する信号を生成する駆動回路と
    を備えたカメラユニット。
  32. 光軸を有し、光を受光または発光する光デバイスと、
    少なくとも1つの吸着用磁石を有し、前記光デバイスを内蔵する可動ユニットであって、第1の凸状部分球面を外形に有する可動ユニットと、
    少なくとも1つの磁性体および前記可動ユニットの少なくとも一部が遊嵌する凹部を有し、前記少なくとも1つの吸着用磁石と前記少なくとも1つの磁性体との磁気吸引力によって、前記可動ユニットの前記第1の凸状部分球面と前記凹部とが点または線接触し、前記可動ユニットが前記第1の凸状部分球面の球心を中心として自在に回動する固定ユニットと、
    前記固定ユニットに対して前記光デバイスをパンニング方向へ傾斜させるパンニング駆動部と、
    前記固定ユニットに対して前記光デバイスを前記パンニング方向と直交するチルティング方向へ傾斜させるチルティング駆動部と、
    前記固定ユニットに対して前記光デバイスを前記光軸を中心に回転するローリング方向へ回転させるローリング駆動部と、
    前記固定ユニットに対する前記光デバイスの前記パンニングおよびチルティング方向への傾斜角度を検出する第1の検出器と、
    前記ローリング方向に回転する前記光デバイスの回転角度を検出する第2の検出器と
    を備え、
    前記第2の検出器は、前記第1の凸状部分球面の前記球心近傍に設けられており
    前記第2の検出器は、前記可動ユニットの前記球心近傍に設けられ、かつ前記光軸に対して対称に配置された1対の回転検出用磁石と、
    前記固定ユニットに固定され、前記球心近傍位置まで一端が挿入される棒状のホルダーバーと、
    前記1対の回転検出用磁石のそれぞれに対して、対峙するように前記ホルダーバーの前記一端に固定された1対の第2の磁気センサーとを含み、
    前記1対の第2の磁気センサーは、前記1対の回転検出用磁石の回転による磁力変化を検出して、前記光デバイスの回転角度を算出する、光デバイス駆動装置。
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