JP6024689B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
ここにいう「電子写真方式」とは一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この潜像部を染料、顔料などの着色剤および樹脂材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成する画像形成プロセスである。
例えば、感光体の耐摩耗性の実現や高品質の画像を形成するために、特許文献1には、電子輸送機能を有する、酸化アルミ、二酸化チタンおよび酸化スズなどからなるN型半導体微粒子を架橋表面層に添加した感光体が提案されている。
しかしながら、このような感光体を繰り返し使用すると、露光後の残留電位が大きいものとなり、長期間にわたって安定して高品質な画像を形成することができないという問題がある。これは、上記のN型半導体微粒子がホール(正孔)輸送機能を有さないものであることから、電荷輸送層と表面層との界面、および、表面層内の粒子界面で電荷発生層由来のホール(正孔)がトラップされ、効果的に感光体表面の負電荷をキャンセルできないためと考えられる。
また、P型半導体微粒子を架橋表面層に添加した感光体が知られている。このような感光体においては、ホール輸送機能が電子輸送機能に比べ劣る(移動度が小さい)ため、残留電位を十分に小さいものとすることが難しい。
前記表面層は、架橋性の重合性化合物の重合反応物である樹脂、N型半導体微粒子およびP型半導体微粒子を含有し、
前記表面層において、前記N型半導体微粒子に対する前記P型半導体微粒子の割合が質量比(P型半導体微粒子の質量部数/N型半導体微粒子の質量部数)で、0.1以上0.8以下であることを特徴とする。
前記P型半導体微粒子がCuMO2 (ただし、Mは、Al、GaまたはInを示す。)であることが好ましい。
本発明の感光体の層構成は、導電性支持体上に、感光層が形成され、この感光層上に表面層が形成されてなるものであれば特に限定されないが、具体的には下記(1)および(2)に示すように、感光層および表面層がこの順に積層されてなる層構成が挙げられる。
(1)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生層および電荷輸送層、並びに表面層がこの順に積層されてなる層構成。
(2)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む単層、並びに表面層がこの順に積層されてなる層構成。
本発明の感光体を構成する表面層は、架橋性の重合性化合物を重合反応することによって得られる樹脂(以下、「表面層用バインダー樹脂」ともいう。)、N型半導体微粒子およびP型半導体微粒子を含有する。
本発明の感光体においては、表面層が架橋性の重合性化合物を重合反応することによって得られる樹脂により構成されていることにより、基本的に高い膜硬度が得られ、また、N型半導体微粒子およびP型半導体微粒子が含有されていることにより、フィラー効果が得られ、より一層高い膜硬度が得られる。そして、本発明においては、N型半導体微粒子およびP型半導体微粒子を併用していることにより、電子輸送機能およびホール輸送機能の両機能を有するため、繰り返しの使用によっても残留電位が小さく抑制される。
また、一般に、表面層中の金属酸化物微粒子の添加量が大きくなると、表面層の導電性が高くなるので負電荷が保持されにくく、良好なドット再現性が得られない。特に、高温高湿環境下においては、金属酸化物微粒子の導電性が高くなるのみならず、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基に空気中の水分が吸着して抵抗が低下するため、ドット再現性がさらに悪化する。詳細は明らかになっていないが、P型半導体微粒子であるCuAlO2 を単独で使用した場合においては、高温高湿環境下において良好なドット再現性が得られない。しかしながら、本発明においては、P型半導体微粒子をN型半導体微粒子と組み合わせて用いることにより、良好なドット再現性が得られる。
表面層を構成する表面層用バインダー樹脂は、架橋性の重合性化合物を重合反応することによって得られるものである。架橋性の重合性化合物としては、具体的には、2個以上のラジカル重合性官能基を有する重合性化合物(以下、「多官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)が挙げられる。このような表面層用バインダー樹脂は、紫外線や電子線などの活性線の照射により、多官能ラジカル重合性化合物を重合反応し、硬化させることにより形成されるものである。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
表面層を構成するN型半導体微粒子は、電荷を輸送するキャリアとして電子が用いられるものである。
本発明において用いられるN型半導体微粒子としては、例えば、SnO2 、TiO2 、Al2 O3 などが挙げられ、得られる表面層の硬度、導電性、光透過性の観点から、SnO2 が好ましい。
走査型電子顕微鏡(例えば日本電子製:JSM−7500F)により100000倍の拡大写真を撮影する。ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」(ニレコ社製)を使用して数平均一次粒径を算出する。
表面層を構成するP型半導体微粒子は、電荷を輸送するキャリアとしてホール(正孔)が用いられるものである。
本発明において用いられるP型半導体微粒子としては、例えば、CuMO2 (ただし、MはAl、GaまたはInを示す。)などが挙げられる。
走査型電子顕微鏡(例えば日本電子製:JSM−7500F)により100000倍の拡大写真を撮影する。ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置「LUZEX AP(ソフトウエアバージョン Ver.1.32)」(ニレコ社製)を使用して数平均一次粒径を算出する。
N型半導体微粒子に対するP型半導体微粒子の割合が上記範囲内であることにより、長期間にわたって良好な電位安定性とドット再現性が得られる。
このような表面処理剤としては、N型半導体微粒子およびP型半導体微粒子表面に存在する水酸基などと反応するものが好ましく、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、ラジカル重合性官能基を有する表面処理剤において、ラジカル重合性反応基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。このようなラジカル重合性反応基は、表面層用バインダー樹脂を形成するための重合性化合物(多官能ラジカル重合性化合物)とも反応して強固な表面層を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )2 (OCH3 )
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCOCH3 )2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(ONHCH3 )2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OC6 H5 )2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(C10H21)(OCH3 )2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH2 C6 H5 )(OCH3 )2
本発明の感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムおよび紙などが挙げられる。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明の感光体を構成する感光層における電荷発生層は、電荷発生物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の感光体を構成する感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の感光体の製造方法としては、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程。
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、表面層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を重合処理することにより、表面層を形成する工程。
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂および電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
表面層は、重合性化合物、N型半導体微粒子、P型半導体微粒子、重合開始剤および必要に応じて他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「表面層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この表面層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物成分を重合処理することにより表面層を形成することができる。
なお、本発明においては、表面層用バインダー樹脂を形成するためのモノマーは全て重合反応されて、表面層用バインダー樹脂を構成するものとする。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 、好ましくは5〜100mJ/cm2 である。
ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
本発明の感光体は、一般的な電子写真方式の画像形成装置に備えることができる。このような画像形成装置としては、例えば、感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、当該感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えてなるものなどが挙げられる。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙手段21および定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
数平均一次粒径20nmの「酸化スズ(SnO2 )」100部、表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業社製)30部、メチルエチルケトン1000部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、N型半導体微粒子〔1〕を作製した。
数平均一次粒径20nmの「酸化アルミニウム(Al2 O3 )」100部、表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業社製)30部、メチルエチルケトン1000部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、N型半導体微粒子〔2〕を作製した。
数平均一次粒径20nmの「酸化チタン(TiO2 )」100部、表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業社製)30部、メチルエチルケトン1000部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、N型半導体微粒子〔3〕を作製した。
Al2 O3 (純度99.9%)とCu2 O(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径が20nmのCuAlO2 からなる微粒子〔1〕を得た。
得られた微粒子〔1〕100部、表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業社製)30部、メチルエチルケトン1000部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、P型半導体微粒子〔1〕を作製した。
Ga2 O3 (純度99.9%)とCu2 O(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径が20nmのCuGaO2 からなる微粒子〔2〕を得た。
得られた微粒子〔2〕100部、表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業社製)30部、メチルエチルケトン1000部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、P型半導体微粒子〔2〕を作製した。
In2 O3 (純度99.9%)とCu2 O(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径20nmのCuInO2 からなる微粒子〔3〕を得た。
得られた微粒子〔3〕100部、表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−503」(信越化学工業社製)30部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、P型半導体微粒子〔3〕を作製した。
直径60mmのアルミニウム製の円筒体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
下記組成の分散液を下記溶媒と同じ溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 1部
金属酸化物粒子:酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 3部
溶媒:メタノール 10部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
中間層形成用塗布液〔1〕を用いて導電性支持体〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
電荷発生物質:Y−TiPh(チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)20部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)10部、溶媒:酢酸t−ブチル700部、溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600部、溶媒:トルエン400部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学工業社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
N型半導体微粒子〔1〕120部、P型半導体微粒子〔1〕5部、重合性化合物:上記例示化合物「M1」100部、溶媒:2−ブタノール600部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1000部を遮光下で混合し、分散機としてサンドミルを用いて5時間分散した後、重合開始剤:「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製)6部を加え、遮光下で撹拌して溶解させ、表面層形成用塗布液〔1〕を調製した。この表面層形成用塗布液〔1〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚2.0μmの表面層〔1〕を形成し、感光体〔1〕を作製した。
感光体の作製1の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕の添加量を15部に変更したことの他は同様にして感光体〔2〕を作製した。
感光体の作製1の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕の添加量を30部に変更したことの他は同様にして感光体〔3〕を作製した。
感光体の作製1の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕の添加量を45部に変更したことの他は同様にして感光体〔4〕を作製した。
感光体の作製4の表面層の形成において、N型半導体微粒子〔1〕をN型半導体微粒子〔3〕に変更したことの他は同様にして感光体〔5〕を作製した。
感光体の作製4の表面層の形成において、N型半導体微粒子〔1〕をN型半導体微粒子〔2〕に変更したことの他は同様にして感光体〔6〕を作製した。
感光体の作製4の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕をP型半導体微粒子〔3〕に変更したことの他は同様にして感光体〔7〕を作製した。
感光体の作製1の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕の添加量を70部に変更したことの他は同様にして感光体〔8〕を作製した。
感光体の作製1の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕の添加量を90部に変更したことの他は同様にして感光体〔9〕を作製した。
感光体の作製1の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕の添加量を120部に変更したことの他は同様にして感光体〔10〕を作製した。
感光体の作製1の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕を添加しなかったことの他は同様にして感光体〔11〕を作製した。
感光体の作製11の表面層の形成において、有機化合物によるホール輸送剤:下記化合物(CTM−1)15部を添加したことの他は同様にして感光体〔12〕を作製した。
感光体の作製10の表面層の形成において、N型半導体微粒子〔1〕を添加しなかったことの他は同様にして感光体〔13〕を作製した。
感光体の作製3の表面層の形成において、有機化合物によるホール輸送剤:上記化合物(CTM−1)15部をさらに添加したことの他は同様にして感光体〔14〕を作製した。
感光体の作製4の表面層の形成において、P型半導体微粒子〔1〕をP型半導体微粒子〔2〕に変更したことの他は同様にして感光体〔15〕を作製した。
得られた感光体〔1〕〜〔15〕につき、表面硬度、露光後の残留電位およびドット再現性の評価をそれぞれ行った。
露光後の残留電位およびドット再現性については、基本的に図1に示す画像形成装置の構成と同様の評価機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタ株式会社製)に、感光体〔1〕〜〔15〕をそれぞれ搭載して評価を行った。評価機「bizhub PRO C6501」の露光光源としては、波長780nmの半導体レーザーを用いた。また、温度23℃、湿度50%の環境下で、画像比率5%の文字画像をA4横送りで各300,000枚両面連続プリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験前後において評価を行った。結果を表2に示す。
ここで、感光体〔2〕〜〔9〕、〔14〕および〔15〕を用いたものを実施例1〜10、感光体〔11〕〜〔13〕を用いたものを比較例1〜3とした。
「超微小硬度計HM−2000」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて表面硬度(ユニバーサル硬さ値)を測定した。測定条件は2mN、および10秒間感光体表面へ荷重をかけ、5秒のクリープ時間後に2mN、および10秒間かけて初期状態に戻した。膜硬度の値が150N/mm2 以上であれば、感光体の耐久性として問題はない。
内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3/PODグロスコート紙(100g/m2 、王子製紙社製)にて濃度指示値255を100枚連続印字した際の1枚目の露光後電位と100枚目の露光後電位の差(ΔV)を測定した。この電位差(ΔV)の測定を、低温低湿環境(温度10℃、湿度20%RH)の環境下において、耐久試験前後(初期と、画像比率5%の文字画像をA4紙に横送りで各300,000枚両面連続印字した後と)で行った。ΔVが50未満であれば実用上問題ない。
内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3/PODグロスコート紙(100g/m2 、王子製紙社製)にて濃度指示値100で印字し、ドットの形成状態を目視にて拡大観察した。下記評価基準に従って評価した。この拡大観察を、高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)の環境下において、耐久試験前後(初期と、画像比率5%の文字画像をA4紙に横送りで各300,000枚両面連続印字した後と)で行った。
−評価基準−
◎:正常にドットが形成されている(良好)
○:ドットが多少細っている(実用上問題なし)
△:ドットが細っている(実用上問題なし)
×:ドットが形成されていない(実用上問題あり)
一方、比較例1においては、N型半導体微粒子のみが含有されているため、電子輸送機能が優勢となり、表面層中に負電荷が残留し、残留電位が上昇することが確認された。
また、比較例2においては、N型半導体微粒子およびホール輸送機能を有する有機化合物が含有されているため、初期においては、残留電位の上昇を抑制するものの、繰り返しの使用によっては残留電位の上昇を抑制することができないことが確認された。また、高い膜硬度が得られないことも確認された。
さらに、比較例3においては、P型半導体微粒子のみが含有されているため、ホール輸送機能が発揮されるものの効果は小さく、また、ドット再現性が得られないことが確認された。
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラ
5b 二次転写ローラ
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
21 給紙手段
20 給紙カセット
22A、22B、22C、22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
70 無端ベルト状中間転写体
71、72、73、74 ローラ
82L、82R 支持レール
P 転写材
Claims (2)
- 導電性支持体上に感光層が形成され、この感光層上に表面層が形成されてなる電子写真感光体において、
前記表面層は、架橋性の重合性化合物の重合反応物である樹脂、N型半導体微粒子およびP型半導体微粒子を含有し、
前記表面層において、前記N型半導体微粒子に対する前記P型半導体微粒子の割合が質量比(P型半導体微粒子の質量部数/N型半導体微粒子の質量部数)で、0.1以上0.8以下であることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記N型半導体微粒子がSnO 2 であり、
前記P型半導体微粒子がCuMO 2 (ただし、Mは、Al、GaまたはInを示す。)であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
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