JP6016390B2 - 真空ポンプおよび真空ポンプの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でロータ及びサイドプレートの損傷を抑制して真空ポンプの耐久性の低下を防止することを目的とする。
また、ロータの前端側の軸孔は、回転軸よりも径が小さく形成されることにより、このロータを回転軸に対して前後反対に組み付けることが防止され、組み付け効率の向上を図ることができる。
この構成によれば、回転軸に設けられた穴部に圧入部材が圧入されるため、回転軸の一部が拡げられるように変形し、当該回転軸とロータとを固定することにより、ロータが回転軸のラジアル方向及びスラスト方向に移動することが規制される。このため、ロータとサイドプレートとの接触が簡単な構成で防止されることにより、当該ロータ及びサイドプレートの摩耗が抑制され、真空ポンプの耐久性を向上させることができる。
また、回転軸に対するロータの位置決めを容易に行うことができ、圧入部材を所定の基準値を超えるまで、回転軸の穴部に圧入することにより、この基準値を超えたか否かでロータの組み付けが完了したことを容易に判断することができ、熟練者でなくてもポンプの組み付け作業を短時間で行うことができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る真空ポンプ1を負圧源として使用したブレーキ装置100の概要図である。ブレーキ装置100は、例えば、自動車等の車両の左右の前輪に取り付けられたフロントブレーキ2a,2b、及び左右の後輪に取り付けられたリアブレーキ3a,3bを備えている。これらの各ブレーキは、マスターシリンダ4とブレーキ配管9によりそれぞれ接続されており、マスターシリンダ4からブレーキ配管9を介して送られる油圧によって各ブレーキが作動する。
また、ブレーキ装置100は、ブレーキペダル5と連結されたブレーキブースター(ブレーキ倍力装置)6を備え、このブレーキブースター6には、空気配管8を介して、真空タンク7及び真空ポンプ1が直列に接続されている。ブレーキブースター6は、真空タンク7内の負圧を利用してブレーキペダル5の踏力を倍力するものであり、小さな踏力でマスターシリンダ4のピストン(図示せず)を移動させることにより、十分なブレーキ力を引き出せるようになっている。
真空ポンプ1は、車両のエンジンルーム内に配置され、真空タンク7内の空気を車両外部へ排出し、当該真空タンク7内を真空状態とする。なお、自動車等に用いる真空ポンプ1の使用範囲は、例えば、−60kPa〜−80kPaである。
電動モータ10は、電源(図示略)の投入により、出力軸12が、図3中の矢印R方向(反時計回り)に回転し、これによりロータ27を、回転中心X1を中心として同方向(矢印R方向)に回転させるようになっている。
また、円板部61Aの略中央には、出力軸12が貫通する貫通孔61Dと、この貫通孔61Dの周囲にケース本体60の内側に延びる円環状のベアリング保持部61Eとが形成され、このベアリング保持部61Eの内周面61Fに、上記出力軸12を軸支するベアリング62の外輪が保持される。
軸心X2は、上述の電動モータ10の出力軸12の回転中心X1に対して平行で、かつ、図2に示すように、回転中心X1に対して左側斜め上方に偏心している。本構成では、回転中心X1を中心とするロータ27の外周面27Bが、軸心X2を基準に形成されているシリンダ部23の内周面23Aに接するように軸心X2が偏心されている。
また、ケーシング本体22に形成された孔部22Bにシリンダ部23を一体に鋳込むことにより、ケーシング本体22の前後方向の長さ範囲内でシリンダ部23を収容することができるため、このシリンダ部23がケーシング本体22から突出することが防止され、ケーシング本体22の小型化を図ることができる。
更に、ケーシング本体22はロータ27よりも熱伝導性の高い材料で形成されている。これによれば、ロータ27及びベーン28が回転駆動した際に発生した熱がケーシング本体22に速やかに伝達できることにより、ケーシング本体22から十分に放熱することができる。
また、ロータ27の外径は、図3に示すように、ロータ27の外周面27Bが、シリンダ部23の内周面23Aのうちの右斜め下方に位置する部分と微小なクリアランスを保つように設定されている。これにより、図3に示すように、ロータ27の外周面27Bと、シリンダ部23の内周面23Aとの間には、三日月形状の空間が構成される。
膨張室33は、シリンダ部23の下方から出力軸12の上方に至るまで、当該シリンダ部23の周縁部に沿った大きな閉空間として形成され、ポンプカバー24に形成された排気口24Aに連通している。この膨張室33に流入した圧縮空気は、当該膨張室33内で膨張、分散して当該膨張室33の隔壁にぶつかって乱反射する。これにより、圧縮空気の音エネルギが減衰されるため、排気する際の騒音及び振動の低減を図ることができる。本実施形態では、ケーシング本体22及びシリンダ部23にそれぞれ形成された吐出口22C,23C、膨張室33及び排気口24Aを備えて排気経路37を構成する。
このため、本実施形態では、電動モータ10は、ケース11の一端側に出力軸12の回転中心X1を中心とした嵌合穴部63が形成されている。一方、ケーシング本体22の背面には、図2に示すように、シリンダ室Sの周囲に後方へ突出した円筒状の嵌合部22Fが一体に形成されている。この嵌合部22Fは、電動モータ10の出力軸12の回転中心X1と同心に形成されており、電動モータ10の嵌合穴部63にインロー嵌合する外径に形成されている。
このため、本構成では、電動モータ10の嵌合穴部63にケーシング本体22の嵌合部22Fを嵌め込むだけで、簡単に中心位置を合わせることができ、電動モータ10とポンプ本体20との組み付け作業を容易に行うことができる。また、ケーシング本体22の背面には、嵌合部22Fの周囲にシール溝22Eが形成され、このシール溝22Eには環状のシール材35が配置されている。
この構成では、プッシュナットにより、ロータが回転に伴い出力軸の先端側に突出することを簡単に防止することができる利点がある。
しかし、プッシュナット自体の剛性が低いため、ロータの応力によってプッシュナットが弾性変化することにより、弾性変化分だけロータが軸方向に移動する。これによれば、ロータがシリンダ室内でわずかに移動することにより、真空ポンプの性能にバラつきが生じうるという問題が想定された。このため、本構成では、ロータ27と出力軸12との連結構造に特徴を有する。
出力軸12は、先端部12Aに軸方向に穿設された穴部12Bを備える。ロータ27を軸方向に貫通する軸孔27Aに出力軸12を挿入した状態で、上記穴部12Bにはテーパピン(部材)70が圧入される。これにより、出力軸12の先端部12Aが拡径され、出力軸12とロータ27とが一体に回転可能に連結される。
ここで、本実施形態では、テーパピン70は、鉄などの剛性高い金属材料で形成されるとともに、図5に示すように、圧入方向の先端側に向けて徐々に縮径するテーパ面70Aを備えた形状を呈している。このため、テーパピン70を穴部12Bに圧入した場合、出力軸12は、先端面12C側がより拡径した状態となるため、ロータ27が出力軸12の先端側へ移動することを規制することができる。
軸保持部27Dは、出力軸12の先端部12Aと略同一径に形成されるとともに、ロータのロータ27の全長の半分よりも長く形成されている。これにより、ロータ27は、全長の半分以上に亘って出力軸12の先端部12Aと嵌合しているため、このロータ27の傾斜が防止される。
また、本実施形態では、テーパピン70は、このテーパピン70を穴部12Bに圧入した際に、当該テーパピン70がロータ27の前端面27Gか突出しない程度の長さに設定されている。
まず、出力軸12をロータ27の軸孔27Aに挿し込み。この場合、ロータ27の長さ寸法は、シリンダ室S(図2)の長さと略同一に設定されているため、ロータ27の後端面27Iが後ろ側のサイドプレート25に当接するまで挿し込むことにより、このロータ27の前端面27Gとシリンダ室Sの開口とが略面一となる。
続いて、出力軸12の穴部12Bにテーパピン70を圧入する。ロータ27をサイドプレート25に当接するまで、ロータ27を出力軸12に挿し込むと、図4に示すように、出力軸12の先端面12Cがロータ27の小径部27Eの近くに位置する。
この状態で、テーパピン70の縮径された先端部を、小径部27Eを通じて、穴部12B内に嵌め込み、このテーパピン70を、圧入荷重を計測できる専用の治具(図示略)を用いて、圧入荷重が所定の閾値(例えば100N)を超えるまで圧入する。これにより、出力軸12が拡径することにより、ロータ27が後ろ側のサイドプレート25とテーパピン70とで挟まれることで位置決めされる。
本実施形態では、ロータ27をサイドプレート25に当接するまで出力軸12に挿し込むといった簡単な作業で、出力軸12に対するロータ27の位置決めを容易に行うことができ、さらに、テーパピン70を所定の基準値を超えるまで穴部12Bに圧入することにより、この基準値を超えたか否かでロータ27の組み付けが完了したことを容易に判断することができ、熟練者でなくてもポンプの組み付け作業を短時間で行うことができる。
さらに、本実施形態では、ロータ27がシリンダ室S内で軸方向に移動することが防止されるため、この移動に基づく真空ポンプ1の性能にバラつきを抑えることができる。
6 ブレーキブースター(ブレーキ倍力装置)
7 真空タンク
9 ブレーキ配管
10 電動モータ(駆動機)
11 ケース
12 出力軸(回転軸)
12A 先端部
12B 穴部
12C 先端面
20 ポンプ本体
22 ケーシング本体
23 シリンダ部
25 サイドプレート
26 サイドプレート
27 ロータ
27A 軸孔
27D 軸保持部(挿入部)
27E 小径部
27G 前端面
27I 後端面
28 ベーン
70 テーパピン(圧入部材)
80 ボール状部材(圧入部材)
100 ブレーキ装置
Claims (3)
- 駆動機の回転軸に設けられてシリンダ室内を回転駆動されるロータを備える真空ポンプにおいて、
前記回転軸は、先端部に軸方向に設けられた穴部を備え、当該回転軸を前記ロータの軸孔に挿入した状態で、前記穴部に圧入されて前記ロータを前記回転軸に固定させる圧入部材を備え、
前記ロータの軸孔は、前記回転軸が挿入される挿入部と、この挿入部よりも前記ロータの前端側に位置し、前記回転軸よりも径の小さい小径部とを備えることを特徴とする真空ポンプ。 - 前記圧入部材は、圧入方向の先端側に向けて縮径していることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
- 駆動機に取り付けられるケーシング本体と、このケーシング本体に形成されて当該ケーシング本体の両端に開口を有する中空形状のシリンダ室と、前記駆動機の回転軸に設けられて前記シリンダ室内を回転駆動されるロータと、前記シリンダ室の前記開口を塞ぐ一対のサイドプレートとを備える真空ポンプの製造方法において、
前記回転軸は、先端部に軸方向に設けられた穴部を備え、当該回転軸を前記ロータの軸孔に挿入した状態で、前記穴部に圧入されて前記ロータを前記回転軸に固定させる圧入部材を備え、
前記ロータの軸孔は、前記回転軸が挿入される挿入部と、この挿入部よりも前記ロータの前端側に位置し、前記回転軸よりも径の小さい小径部とを備え、
前記駆動機側に位置する前記サイドプレートに当接するまで前記ロータを前記回転軸に挿入し、この状態で前記圧入部材を圧入荷重が所定の閾値を超えるまで、前記回転軸の前記穴部に圧入して当該ロータを前記回転軸に固定させたことを特徴とする真空ポンプの製造方法。
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