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JP6008004B2 - 四輪駆動車の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの出力トルクを主駆動輪と補助駆動輪とに配分するようにした四輪駆動車の制御装置に関する。
四輪駆動車として、エンジンと変速機と前輪用差動装置とによって構成されると共に車体前部に搭載されて主駆動輪である左右の前輪を駆動するパワーユニットに後輪駆動用のトランスファが備えられ、該トランスファに車体前後方向に延びるプロペラシャフトが連結されると共にその後端部に後輪用差動装置が連結され、補助駆動輪としての左右の後輪も駆動可能に構成されたものが知られている。
前記四輪駆動車では、プロペラシャフト上に伝達トルクを可変できるカップリングが配設されることがあり、該カップリングを完全に締結することでエンジンの出力トルクが前輪と後輪に均等に伝達される四輪駆動状態になり、該カップリングを完全に解放することでエンジンの出力トルクが前輪のみに伝達される二輪駆動状態になり、該カップリングの完全締結と完全解放との中間では締結状態に応じて後輪に伝達されるトルクの配分が調整される。
また、前記トランスファは、軸心が車幅方向に延びる前輪用差動装置から車体前後方向に延びるプロペラシャフトに動力を伝達するために、互いに噛み合う一対の傘歯車、具体的には前輪用差動装置の軸心上に設けられた傘歯車とプロペラシャフトの軸心上に設けられた傘歯車とが一般的に用いられる。
前記四輪駆動車では、前輪と後輪を駆動させる四輪駆動状態は、前輪のみを駆動させる二輪駆動状態に比して、後輪へのエンジンの出力トルクの配分に伴って駆動ロスが増加して燃費が悪化することから、通常は二輪駆動状態で走行し、必要時にのみ四輪駆動状態とすることが行われる。
しかしながら、エンジンの燃焼室における間欠的な爆発に起因してエンジンの出力トルクが変動し、このトルク変動が変速機及び前輪用差動装置を介してトランスファに伝達され、二輪駆動状態では、トランスファにおける傘歯車から後輪に至るプロペラシャフト及び後輪用差動装置等でなる駆動系が動力を伝達しない非動力伝達状態で回転することとなる。
そのため、エンジンのトルク変動の周波数によっては、捩り振動に対して所定の固有振動数を有する前記駆動系がエンジンのトルク変動に共振して該駆動系の振動が大きくなり、この振動に起因して前記一対の傘歯車間の歯打ち等による異音が発生して車室内の騒音を引き起こし得る。
図5は、基本的構造が対応する四輪駆動車と二輪駆動車のエンジンのトルク変動の周波数と駆動系の捩り振動に対する伝達特性との関係を示す図である。図5に示す四輪駆動車の捩り振動に対する伝達特性の波形(実線で示す波形)W1と二輪駆動車の捩り振動に対する伝達特性の波形(破線で示す波形)W2とは共に、エンジンの実用領域外(周波数f未満)の周波数で共振のピークP1、P2を有しているが、エンジンの実用領域(周波数f以上)の周波数では、四輪駆動車の波形W1は、二輪駆動車の波形W2には見られない共振のピークP3を有し、このピークP3による振動に起因して異音が発生し得る。
この四輪駆動車特有の前記駆動系の共振のピークP3に対しては、前記駆動系がエンジンのトルク変動に共振する運転領域で、前輪のみを駆動させる二輪駆動状態から該駆動系に負荷を与え、前記カップリングによる後輪へのトルク配分を増大させて後輪に所定のトルクを伝達することで、該駆動系の共振に起因した前記一対の傘歯車間の歯打ち等による異音発生を抑制することが考えられる。
四輪駆動車において、トランスファにおける傘歯車から後輪に至るプロペラシャフト及び後輪用差動装置等でなる駆動系がエンジンのトルク変動により共振することで発生する歯車間の歯打ちを抑制するものではないが、例えば特許文献1には、エンジンのノッキング発生領域で、ノッキングによる振動がトランスファから後輪用差動装置に伝達されて異音が発生することを抑制するために、後輪へのエンジンの出力トルクの配分を増大させることが開示されている。
特開2001−277881号公報
近年、運転者の操作に応じて、車速又は車間距離を設定された目標値に維持するように制御するクルーズ制御や、車速を設定された上限車速を超えないように制御する上限車速制御等を行う車両が知られており、かかる車両では、エンジンの出力やブレーキ等を自動制御することによりクルーズ制御や上限車速制御等が行われる。
クルーズ制御や上限車速制御等を行う四輪駆動車において、トランスファにおける傘歯車から後輪に至るプロペラシャフト及び後輪用差動装置等でなる駆動系がエンジンのトルク変動に共振して異音を発生する異音発生運転領域で後輪への配分トルクを増加させて異音の発生を抑制しているときに、クルーズ制御や上限車速制御等が行われる場合、後輪への配分トルクを増加させた状態が長時間に亘って継続される可能性が高くなり、燃費の悪化を増大させるおそれがある。
また、燃費性能の向上を図るために圧縮比を高くした高圧縮比エンジンや空気と燃料との混合ガスを圧縮自己着火させる予混合圧縮自己着火(HCCI)方式のエンジンでは、エンジンの変動トルクが大きくなることから、異音の発生を抑制するために増加させる後輪への配分トルクも大きくなるので、前記問題がより顕著になり得る。
そこで、本発明は、エンジンの出力トルクを主駆動輪と補助駆動輪とに配分するようにした四輪駆動車において、補助駆動輪への配分トルクを増加させて異音の発生を抑制している状態が長時間に亘って継続されることによる燃費の悪化を抑制することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、エンジンと、該エンジンの出力トルクを主駆動輪と補助駆動輪とに伝達するトルク伝達手段と、該トルク伝達手段に設けられ、前記エンジンの出力トルクのうち前記補助駆動輪に配分するトルクを調整するトルク配分調整手段と、前記エンジンの運転領域が前記トルク伝達手段で異音を発生する状態となる異音発生領域にあるときに、異音の発生を抑制するように前記トルク配分調整手段によって前記補助駆動輪に対するトルク配分を増大させる異音抑制手段とを有する四輪駆動車の制御装置であって、前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあるときに、前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制手段を備えていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の四輪駆動車の制御装置において、前記移行抑制手段は、前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の四輪駆動車の制御装置において、前記移行抑制手段は、前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3の何れか1項に記載の四輪駆動車の制御装置において、前記所定の運転制御は、車速又は車間距離を設定された目標値に維持するように制御するクルーズ制御、車速を設定された上限車速を超えないように制御する上限車速制御、及び乗員の手動操作に基づき自動変速機を変速制御する手動変速モード制御、のうち少なくとも1つの制御であることを特徴とする。
上記の構成により、本願の請求項1に記載の発明によれば、エンジンの運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジンの運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行が抑制されるので、異音の発生を抑制するように補助駆動輪に対するトルク配分を増大させることが継続されることを抑制することができ、補助駆動輪への配分トルクを増加させて異音の発生を抑制している状態が長時間に亘って継続されることによる燃費の悪化を抑制することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、エンジンの運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行が禁止されることにより、エンジンの運転領域が異音発生領域にあることを継続する運転制御への移行を禁止することができ、前記効果を有効に得ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、エンジンの運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることが運転者に報知されることにより、運転者によって、エンジンの運転領域が異音発生領域にあることを継続する運転制御への移行操作が行われることを抑制することができ、前記効果を有効に得ることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、エンジンの運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御は、クルーズ制御、上限車速制御、及び手動変速モード制御、のうち少なくとも1つの制御であることにより、前記効果を具体的に実現することができる。
本発明の第1実施形態に係る四輪駆動車の概略構成図である。 前記四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフである。 前記四輪駆動車の制御を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る四輪駆動車の制御を示すフローチャートである。 基本的構造が対応する四輪駆動車と二輪駆動車のエンジンのトルク変動の周波数と駆動系の捩り振動に対する伝達特性との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る四輪駆動車の概略構成図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る四輪駆動車10は、駆動源としてのエンジン14と、エンジン14の出力トルクを前輪12Fと後輪12Rとに伝達するためのトランスミッション(変速機)16とトランスミッション16からの駆動力を左右の前輪12Fに車軸18を介して伝達する前輪用差動装置20とを備えたトランスミッションケース17と、後輪12Rに伝達する駆動力を取り出すトランスファ22と、トランスファ22からの駆動力を左右の後輪12Rに車軸24を介して伝達する後輪用差動装置26とを有している。
トランスミッション16として、例えばトルクコンバータを備えた自動変速機が用いられ、トランスミッション16は、四輪駆動車10の運転状態に応じて、具体的には車速及びアクセル開度に応じて所定の変速段を達成するように構成されている。
トランスファ22と後輪用差動装置26とは、車体前後方向に延びるプロペラシャフト30及びカップリング28を介して連結されている。トランスファ22の出力軸がプロペラシャフト30の一端に連結され、プロペラシャフト30の他端がカップリング28の入力軸に連結され、該カップリング28の出力軸が後輪用差動装置26の入力軸に連結されている。
トランスファ22は、軸心が車幅方向に延びる前輪用差動装置20から車体前後方向に延びるプロペラシャフト30に動力を伝達するために、互いに噛み合う一対の傘歯車(不図示)、具体的には前輪用差動装置20の軸心上に設けられた傘歯車とプロペラシャフト30の軸心上に設けられた傘歯車が用いられる。
カップリング28は、電磁式等のカップリングが用いられ、エンジン14の出力トルクのうち後輪12Rに配分するトルクを調整するように構成されている。四輪駆動車10では、カップリング28によって前輪12Fと後輪12Rとのトルク配分が前輪:後輪=100:0〜50:50まで可変できるようになっている。
本実施形態では、前輪12Fが主駆動輪であり、後輪12Rが補助駆動輪であり、トランスミッション16、前輪用差動装置20、車軸18、トランスファ22、プロペラシャフト30、カップリング28、後輪用差動装置26及び車軸24によって、エンジン14の出力トルクを前輪12Fと後輪12Rとに伝達するトルク伝達手段が構成され、カップリング28によって、エンジン14の出力トルクのうち後輪12Rに配分するトルクを調整するトルク配分調整手段が構成されている。
四輪駆動車10には、運転者によるアクセルペダルの踏込量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ36と、エンジン14の回転数を検出するエンジン回転数センサ38と、車速を検出する車速センサ40と、車速又は車間距離を設定された目標値に維持するように制御するクルーズ制御を開始するためのクルーズ制御スイッチ42と、車速を設定された上限車速を超えないように制御する上限車速制御を開始するための上限車速制御スイッチ44と、エンジン14、トランスミッション16及びカップリング28等の作動を制御する制御ユニット34とが備えられている。
制御ユニット34には、アクセル開度センサ36、エンジン回転数センサ38、車速センサ40、クルーズ制御スイッチ42及び上限車速制御スイッチ44からの信号等の各種情報が入力され、制御ユニット34は、これら各種情報に基づいてエンジン14、トランスミッション16及びカップリング28等の作動を制御する。なお、制御ユニット34は、マイクロコンピュータを主要部として構成されている。
制御ユニット34には、四輪駆動車10の運転状態、具体的には車速及びアクセル開度と変速段との関係を示す変速段マップが記憶されており、制御ユニット34は、変速段マップを用いて車速及びアクセル開度から所定の変速段を達成するように制御する。
四輪駆動車10では、制御ユニット34は、運転者の操作によってクルーズ制御スイッチ42がOFF状態からON状態とされてクルーズ制御スイッチ42からON信号が入力されたとき、クルーズ制御を開始し、運転者の操作によってクルーズ制御スイッチ42がON状態からOFF状態とされてクルーズ制御スイッチ42からOFF信号が入力されたとき、クルーズ制御を停止する。クルーズ制御は、エンジンの出力やブレーキ等を自動制御することにより行われる。
四輪駆動車10ではまた、制御ユニット34は、運転者の操作によって上限車速制御スイッチ44がOFF状態からON状態とされて上限車速スイッチ44からON信号が入力されたとき、上限車速制御を開始し、運転者の操作によって上限車速制御スイッチ46がON状態からOFF状態とされて上限車速制御スイッチ44からOFF信号が入力されたとき、上限車速制御を停止する。上限車速制御は、エンジンの出力やブレーキ等を自動制御することにより行われる。
制御ユニット34はまた、エンジン14の運転領域が前記トルク伝達手段、具体的にはトランスファ22における前輪用差動装置20の軸心上に設けられた傘歯車から後輪12Rに至るプロペラシャフト30及び後輪用差動装置26等でなる駆動系で異音を発生する状態となる異音発生領域にあるときに異音の発生を抑制するようにカップリング28によって後輪12Rに対するトルク配分を増大させるように制御する。
図2は、前記四輪駆動車におけるエンジン回転数と駆動系の変動トルク及び後輪への配分トルクとの関係を示すグラフである。図2では、エンジン回転数を横軸にとり、トランスファ22における傘歯車から後輪12Rに至るプロペラシャフト30及び後輪用差動装置26等でなる駆動系の変動トルク及び後輪12Rへの配分トルクを縦軸にとり、前記駆動系の変動トルクの波形を実線Waで示している。
図2に示すように、前記駆動系の変動トルクの波形Waは、所定のエンジン回転数NaでピークPaを有している。図2では、エンジン14の実用領域のエンジン回転数について示しており、変動トルクの波形Waは、図5に示す変動トルクの波形W1に対応し、ピークPaは、図5に示すピークP3に対応する。エンジン14の実用領域とは、例えばアイドル回転数以上のエンジン回転数の領域をいうものとする。
制御ユニット34には、前記トルク伝達手段が異音発生状態となる異音発生領域として、変動トルクの波形WaのピークPaとなるエンジン回転数Naを含む所定の第1エンジン回転数N1と該第1エンジン回転数N1より高エンジン回転数側の所定の第2エンジン回転数N2との間の運転領域が設定されて記憶されている。
本実施形態では、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2とは、前記駆動系の変動トルクが所定値Tとなるエンジン回転数に設定され、異音発生領域として、第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域が設定されているが、エンジン回転数Naを含む所定の運転領域に設定することが可能である。
そして、制御ユニット34は、エンジン14の運転領域が異音発生領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるときに異音抑制制御を行う。具体的には、制御ユニット34は、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させ、図2の実線L1で示すように、波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
制御ユニット34には、四輪駆動車10の前記駆動系の変動トルクの波形Waが記憶されると共に、異音抑制制御のためのエンジン回転数と後輪12Rへの配分トルクとの関係が設定されて記憶されている。
本実施形態では、制御ユニット34はまた、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制制御を行う。具体的には、制御ユニット34は、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する移行禁止制御を行う。前記所定の運転制御として、クルーズ制御及び上限車速制御が用いられる。
図3は、前記四輪駆動車の制御を示すフローチャートである。四輪駆動車10において、異音抑制制御及び移行抑制制御は、制御ユニット34によって実行される。図3に示すように、制御ユニット34には、アクセル開度センサ36、エンジン回転数センサ38、車速センサ40、クルーズ制御スイッチ42及び上限車速制御スイッチ44等からの各種信号が読み込まれる(ステップS1)。
次に、ステップS2において、エンジン14の運転領域が異音発生領域であるか否か判定される。エンジン14の運転領域が異音発生領域、すなわち第1エンジン回転数N1と第2エンジン回転数N2との間の運転領域にあるか否かが判定される。
ステップS2での判定結果がノー(NO)の場合、すなわちエンジン14の運転領域が異音発生領域でない場合、ステップS1〜S2が繰り返される。
一方、ステップS2での判定結果がイエス(YES)の場合、すなわちエンジン14の運転領域が異音発生領域にあると判定される場合、異音抑制制御が行われる(ステップS3)。具体的には、カップリング28によって後輪12Rに対するトルク配分を増大させるトルク配分増大制御を行い、前記波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
そして、ステップS4において、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制制御を行う。具体的には、エンジンの運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御として、クルーズ制御及び上限車速制御が用いられ、クルーズ制御及び上限車速制御への移行を禁止する移行禁止制御を行う。
本実施形態では、エンジン14の運転領域が異音発生領域にある場合、クルーズ制御スイッチ42がOFF状態からON状態とされてもクルーズ制御を実行しないように制御すると共に、上限車速制御スイッチ44がOFF状態からON状態とされても上限車速制御を実行しないように制御する。
なお、制御ユニット34によって、エンジン14の運転領域が前記トルク伝達手段で異音を発生する状態となる異音発生領域にあるときに、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させる異音抑制手段、及びエンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制手段が構成されている。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車10では、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行が抑制されるので、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させることが継続されることを抑制することができ、後輪12Rへの配分トルクを増加させて異音の発生を抑制している状態が長時間に亘って継続されることによる燃費の悪化を抑制することができる。
また、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行が禁止されることにより、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する運転制御への移行を禁止することができ、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させることが継続されることを抑制することができる。
本実施形態では、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御として、クルーズ制御及び上限車速制御を用いているが、トランスミッション16が、四輪駆動車10の運転状態に応じて変速段が自動的に切り換わる自動変速モードと、乗員の手動操作によって変速段が切り換わる手動変速モードとが切換可能に構成された自動変速機からなり、自動変速モードで変速制御する自動変速モード制御と手動変速モードで変速制御する手動変速モード制御とが切換可能に構成されている場合、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御として、手動変速モード制御を用いることも可能である。
また、クルーズ制御、上限車速制御、及び手動変速モード制御のうち少なくとも1つの制御を用い、エンジンの運転領域が異音発生領域にあるときに、クルーズ制御、上限車速制御、及び手動変速モード制御のうち少なくとも1つの制御への移行を抑制するようにしてもよい。
図4は、本発明の第2実施形態に係る四輪駆動車の制御を示すフローチャートである。第2実施形態に係る四輪駆動車について、第1実施形態に係る四輪駆動車10と同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態に係る四輪駆動車では、制御ユニット34は、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制制御を行う。具体的には、制御ユニット34は、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知する移行禁止報知制御を行う。
前記四輪駆動車には、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知する報知ランプなどの報知装置が備えられ、制御ユニット34は、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに前記報知装置を作動させるように制御する。
図4に示すように、第2実施形態に係る四輪駆動車においても、ステップS2での判定結果がイエスの場合、すなわちエンジン14の運転領域が異音発生領域にあると判定される場合、異音抑制制御が行われる(ステップS3)。具体的には、カップリング28によって後輪12Rに対するトルク配分を増大させるトルク配分増大制御を行い、前記波形WaのピークPaの変動トルクを超える後輪12Rへの配分トルクT1になるように制御する。
そして、ステップS4において、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制制御を行う。具体的には、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御として、クルーズ制御及び上限車速制御が用いられ、クルーズ制御及び上限車速制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知する移行禁止報知制御を行う。
本実施形態では、エンジン14の運転領域が異音発生領域にある場合、クルーズ制御及び上限車速制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知する報知ランプなどの報知装置を作動させるように制御する。例えば、前記報知装置として、クルーズ制御スイッチ42及び上限車速制御スイッチ44を点灯可能に構成し、エンジン14の運転領域が異音発生領域にある場合に、クルーズ制御スイッチ42及び上限車速制御スイッチ44を点灯させるように制御することができる。
このように、本実施形態に係る四輪駆動車10においても、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあるときに、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行が抑制されるので、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させることが継続されることを抑制することができ、後輪12Rへの配分トルクを増加させて異音の発生を抑制している状態が長時間に亘って継続されることによる燃費の悪化を抑制することができる。
また、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることが運転者に報知されることにより、運転者によって、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する運転制御への移行操作が行われることを抑制することができ、異音の発生を抑制するように後輪12Rに対するトルク配分を増大させることが継続されることを抑制することができる。
第1実施形態では、エンジン14の運転領域が異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制制御として、前記所定の運転制御への移行を禁止し、第2実施形態では、前記所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知しているが、前記所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知すると共に前記所定の運転制御への移行を禁止するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、前輪12Fを主駆動輪とし、後輪12Rを補助駆動輪とした四輪駆動車について説明しているが、後輪12Rを主駆動輪とし、前輪12Fを補助駆動輪とした四輪駆動車についても同様に適用することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、四輪駆動車において、補助駆動輪への配分トルクを増加させて異音の発生を抑制している状態が長時間に亘って継続されることによる燃費の悪化を抑制することが可能となるから、この種の車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
10 四輪駆動車
12F 前輪
12R 後輪
14 エンジン
16 トランスミッション
18、24 車軸
20 前輪用差動装置
22 トランスファ
26 後輪用差動装置
28 カップリング
30 プロペラシャフト
34 制御ユニット
36 アクセル開度センサ
38 エンジン回転数センサ
40 車速センサ
42 クルーズ制御スイッチ
44 上限車速制御スイッチ

Claims (4)

  1. エンジンと、該エンジンの出力トルクを主駆動輪と補助駆動輪とに伝達するトルク伝達手段と、該トルク伝達手段に設けられ、前記エンジンの出力トルクのうち前記補助駆動輪に配分するトルクを調整するトルク配分調整手段と、前記エンジンの運転領域が前記トルク伝達手段で異音を発生する状態となる異音発生領域にあるときに、異音の発生を抑制するように前記トルク配分調整手段によって前記補助駆動輪に対するトルク配分を増大させる異音抑制手段とを有する四輪駆動車の制御装置であって、
    前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあるときに、前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を抑制する移行抑制手段を備えている、
    ことを特徴とする四輪駆動車の制御装置。
  2. 前記移行抑制手段は、前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する、
    ことを特徴とする請求項1に記載に四輪駆動車の制御装置。
  3. 前記移行抑制手段は、前記エンジンの運転領域が前記異音発生領域にあることを継続する所定の運転制御への移行を禁止する状態にあることを運転者に報知する、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の四輪駆動車の制御装置。
  4. 前記所定の運転制御は、車速又は車間距離を設定された目標値に維持するように制御するクルーズ制御、車速を設定された上限車速を超えないように制御する上限車速制御、及び乗員の手動操作に基づき自動変速機を変速制御する手動変速モード制御、のうち少なくとも1つの制御である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の四輪駆動車の制御装置。
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