JP6003575B2 - 撮像装置およびレンズユニット - Google Patents
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Description
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2003−7994号公報
[特許文献2] 特開2011−197278号公報
次に、視差Lt画素および視差Rt画素が受光する場合のデフォーカスの概念を説明する。まず、視差なし画素におけるデフォーカスの概念について簡単に説明する図である。図5は、視差なし画素におけるデフォーカスの概念を説明する図である。図5(a)で示すように、被写体である物点が焦点位置に存在する場合、レンズ瞳を通って撮像素子受光面に到達する被写体光束は、対応する像点の画素を中心として急峻な光強度分布を示す。すなわち、レンズ瞳を通過する有効光束の全体を受光する視差なし画素が像点近傍に配列されていれば、像点に対応する画素の出力値が最も大きく、周辺に配列された画素の出力値は急激に低下する。
次に、被写界深度とボケの非対称性との関係について説明する。図8(b)、(c)からも明らかなように、非合焦域では、視差画素が捉える被写体像のボケ幅は、視差なし画素が捉える被写体像のボケ幅よりも狭い。これは、図8(a)の視差画素の開口マスクによって実質的にレンズの入射光束が右半分と左半分に絞られていることを意味する。換言すると、単一のレンズ瞳に左右2つの仮想瞳が生じているといえる。すなわち、視差画素の開口マスクにおける開口面積は、レンズの絞りの効果と同等の役割を果たす。
上述したように、視差画素においては、開口マスクの開口部の水平方向の開口幅(すなわち受光領域の水平方向の領域幅)は、垂直方向の開口幅(すなわち受光領域の垂直方向の領域幅)の1/2になっている。したがって、水平方向の被写界深度は深く、結果としてボケがつきにくい。一方、垂直方向の被写界深度は浅く、結果としてボケがつきやすい。したがって、視差画素に対しては、円形絞りではなく楕円絞りを用いるのが好ましい。より詳細には、楕円の水平方向を長軸、垂直方向を短軸とし、長軸径aと短軸径bの比を、上記の被写界深度の非対称性を低減する目的で2:1にするとよい。このような楕円絞りを用いれば、縦横の開口幅の違いによる被写界深度の非対称性を低減できる。楕円を表す式は下記になる。
絞りを開放側から最大絞りまで絞る場合に、楕円形状の偏平率(すなわち水平方向の開口幅(長軸径)a:垂直方向の開口幅(短軸径b))を保ったまま相似形に縮小していくのが好ましい。
図11は、画素配列の比較例を示す図である。図11に示す撮像素子300は、図の太線で示す2×2画素のパターン310を基本格子とする。パターン310において、左上の画素および右下の画素に視差Lt画素が割り当てられている。左下の画素および右上の画素に視差Rt画素が割り当てられている。ここでは、撮像素子300は、モノクロセンサである。図11に示す撮像素子300の配列は、N:Lt:Rt=0:1:1である。つまり、図11に示す撮像素子300は、視差画素のみが配列された撮像素子である。
P51…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P32…視差Lt画素+Bフィルタ(=B(Lt))
P72…視差Rt画素+Bフィルタ(=B(Rt))
P23…視差Rt画素+Rフィルタ(=R(Rt))
P63…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
P44…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P84…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P15…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
P55…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P36…視差Rt画素+Bフィルタ(=B(Rt))
P76…視差Lt画素+Bフィルタ(=B(Lt))
P27…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
P67…視差Rt画素+Rフィルタ(=R(Rt))
P48…視差Lt画素+Gフィルタ(=G(Lt))
P88…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
他の画素は視差なし画素であり、視差無し画素+Rフィルタ、視差なし画素+Gフィルタ、視差無し画素+Bフィルタのいずれかである。ここでは、撮像素子100は、カラーセンサである。図13に示す撮像素子100の配列は、N:Lt:Rt=6:1:1である。
P51…視差Rt画素+Gフィルタ(=G(Rt))
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P27…視差Lt画素+Rフィルタ(=R(Lt))
他の画素は視差なし画素であり、視差無し画素+Rフィルタ、視差なし画素+Gフィルタ、視差無し画素+Bフィルタのいずれかである。ここでは、撮像素子100は、カラーセンサである。図14に示す撮像素子100の配列は、N:Lt:Rt=14:1:1である。
上述した中間的に生成される2D画像を生成するにあたって、以下の実施形態で述べる画像処理では、視差なし画素の画素値と視差画素の画素値を密度比に応じて混合する処理を行う。これにより、全ての画素でサンプリングした空間情報を最大限に生かすことができる。実際には、画像処理部205は、撮像素子100の画素配列順にその出力値(画素値)が羅列されたRAW元画像データを受け取り、複数のプレーンデータに分離するプレーン分離処理を実行する。プレーンデータとは、同一に特徴付けられた画素グループごとに分離して寄せ集められた画像データである。画像処理部205は、まず視差画素の画素値を除去して、空格子とする。そして、空格子となった画素値を、周辺の視差なし画素の画素値を用いて補間処理により算出する。これにより、空格子が埋められたN画像を生成する。
(式2)
中間2D画像を視差画素の密度の関数として生成するので、δの極限値、すなわち、δ→1の場合には視差画素のみで作成した画像となり、δ→0の場合には視差なし画素のみで作成した画像となる。この極限状態で、楕円絞りの偏平率a:bが如何なる値を採るべきかを考察すると、δの関数として表す場合の出発点の境界条件が与えられる。
δ=1の場合 a:b=2:1 (式3)
δ=0の場合 a:b=1:1 (式4)
(式3)、(式4)から、0<δ<1の中間値に対して、以下のように書くと境界条件を満たした一般式を得ることができる。
(式5)は、次のように書き換えることができる。
任意のδに対して
(式6)
楕円絞りの出発点a:b=2:1を基準にbの項で画素密度比の影響を表す。図11で示した比較例の画素配列、および図12〜図14で示した本実施形態の画素配列の場合に、楕円形状は如何なる値を採るかを以下に示す。
まず初めに、全てが視差画素のみで構成されている場合について説明する。すなわち、δ=0の場合である。この場合には、視差開口幅の逆数比が、a:bとなる。
(式8)
この関係式はuが負の値であっても成り立つ。よって、|u|<1/2である。(式6)と対比すると、(式8)ではaの項に視差画素の開口幅に関する影響を押し込めたということもできる。
(式9)
ここでは、撮像素子100の配列として図12で示した配列を採用する。すなわち、撮像素子100はモノクロセンサであり、撮像素子100の配列は、N:Lt:Rt=2:1:1である。形状は楕円であり、かつ長軸径a:短軸径b=3:2となる絞りを装着する。以下にそうして撮像された画像データを現像する画像処理を示す。画像処理の手順は、およそ以下の通りである。
1)視差多重化モザイク画像データ入力
2)視差モザイク画像のグローバル・ゲインバランス補正
3)仮の視差画像の生成
4)左右の局所照度分布補正による視差なし基準画像の生成
(ローカル・ゲインバランス補正)
5)実際の視差画像の生成
6)出力空間への変換
以下、順に説明する。
図12の視差が多重化された単板式モノクロのモザイク画像をM(x,y)で表す。階調はA/D変換によって出力された線形階調であるものとする。
空間周波数解像度の低い分解能である仮の左視差画像と、空間周波数解像度の低い分解能である仮の右視差画像を生成する。左視差画素ばかりを集めた信号面内の単純平均補間を行う。近接して存在する画素値を用いて、距離の比に応じて線形補間を行う。同様に、右視差画素ばかりを集めた信号面内の単純平均補間を行う。同様に、視差なし画素ばかりを集めた信号面内の単純平均補間を行う。すなわち、Ltmosaic(x,y)からLt(x,y)を、Rtmosaic(x,y)からRt(x,y)を、Nmosaic(x,y)からN(x,y)を生成する。仮の視差なし画像をN(x,y)、仮の左視差画像をLt(x,y)、仮の右視差画像をRt(x,y)と表す。なお、仮の視差なし画像N(x,y)を生成する場合には、信号面内での方向判定を導入して高精細に行うのがよい。
(ローカル・ゲインバランス補正)
次にステップ1で行ったグローバル・ゲイン補正と同様の考え方で、画素単位のローカル・ゲイン補正を行うことによって、まず画面内の左視差画素と画面内の右視差画素の照度を合わせる。この操作によって左右間の視差を消滅させる。その上で左右平均をとった信号面と視差なし画素の撮像信号面との間でさらに照度を合わせる。そうして、全ての画素でゲイン整合のとれた新しい視差なしの基準画像面を作成する。これは平均値と置き換えることと等価であり、視差の消滅した中間画像面が出来上がる。これをN(x,y)と書くことにする。
ステップ3で生成した解像力の低い仮の左視差画像Lt(x,y)とステップ5で中間処理として生成した解像力の高い視差なしのモノクロ画像N(x,y)を用いて、実際に出力する解像力の高い左視差のモノクロ画像Lt'(x,y)を生成する。同様に、ステップ3で生成した解像力の低い仮の右視差画像Rt(x,y)とステップ5で中間処理として生成した解像力の高い視差なしのモノクロ画像N(x,y)を用いて、実際に出力する解像力の高い右視差のカラー画像Rt'(x,y)を生成する。
こうして得られた高解像な視差なしの中間モノクロ画像N(x,y)と高解像の左視差のモノクロ画像Lt'(x,y)、高解像の右視差のモノクロ画像Rt'(x,y)のそれぞれを適当なガンマ変換を行って出力空間の画像として出力する。
ここでは、撮像素子100の配列として図14で示した配列を採用する。すなわち、撮像素子100はカラーセンサであり、撮像素子100の配列は、N:Lt:Rt=14:1:1である。形状は楕円であり、かつ長軸径a:短軸径b=9:8となる絞りを装着する。以下にそうして撮像された画像データを現像する画像処理を示す。画像処理の手順は、およそ以下の通りである。
1)色・視差多重化モザイク画像データ入力
2)色・視差モザイク画像のグローバル・ゲインバランス補正
3)仮の視差画像の生成
4)左右の局所照度分布補正による視差なし色モザイク画像の生成
(ローカル・ゲインバランス補正)
5)視差なし基準画像の生成
6)実際の視差画像の生成
7)出力色空間への変換
以下、順に説明する。
図14の色と視差の多重化された単板式モザイク画像をM(x,y)で表す。階調はA/D変換によって出力された線形階調であるものとする。
空間周波数解像度の低い分解能である仮の左視差画像と、空間周波数解像度の低い分解能である仮の右視差画像を生成する。左視差画素ばかりを集めたG色面内の単純平均補間を行う。近接して存在する画素値を用いて、距離の比に応じて線形補間を行う。同様に、右視差画素ばかりを集めたG色面内の単純平均補間を行う。同様に、視差なし画素ばかりを集めたG色面内の単純平均補間を行う。同様の処理をR,G,Bの各々について行う。すなわち、RLt_mosaic(x,y)からRLt(x,y)を、RRt_mosaic(x,y)からRRt(x,y)を、RN_mosaic(x,y)からRN(x,y)を、GLt_mosaic(x,y)からGLt(x,y)を、GRt_mosaic(x,y)からGRt(x,y)を、GN_mosaic(x,y)からGN(x,y)を、BLt_mosaic(x,y)からBLt(x,y)を、BRt_mosaic(x,y)からBRt(x,y)を、BN_mosaic(x,y)からBN(x,y)を生成する。
(ローカル・ゲインバランス補正)
次にステップ1で行ったグローバル・ゲイン補正と同様の考え方で、画素単位のローカル・ゲイン補正を行うことによって、まず画面内の左視差画素と画面内の右視差画素の照度を合わせる。この操作によって左右間の視差を消滅させる。その上で左右平均をとった信号面と視差なし画素の撮像信号面との間でさらに照度を合わせる。以上により、全ての画素でゲイン整合のとれた新しいBayer面を作成する。これは平均値と置き換えることと等価であり、視差の消滅したBayer面が出来上がる。これをMN(x,y)と書くことにする。
公知のBayer補間技術を行う。例として、本出願人と同一発明者のUSP7957588(WO2006/006373)やUSP8259213に示される補間アルゴリズムがある。
ステップ3で生成した解像力の低い仮の左視差のカラー画像RLt(x,y)、GLt(x,y)、BLt(x,y)とステップ5で中間処理として生成した解像力の高い視差なしのカラー画像RN(x,y)、GN(x,y)、BN(x,y)を用いて、実際に出力する解像力の高い左視差のカラー画像R'Lt(x,y)、G'Lt(x,y)、B'Lt(x,y)を生成する。同様に、ステップ3で生成した解像力の低い仮の右視差のカラー画像RRt(x,y)、GRt(x,y)、BRt(x,y)とステップ5で中間処理として生成した解像力の高い視差なしのカラー画像RN(x,y)、GN(x,y)、BN(x,y)を用いて、実際に出力する解像力の高い右視差のカラー画像R'Rt(x,y)、G'Rt(x,y)、B'Rt(x,y)を生成する。
こうして得られた高解像な視差なしの中間カラー画像RN(x,y)、GN(x,y)、BN(x,y)と高解像の左視差のカラー画像RLt(x,y)、GLt(x,y)、BLt(x,y)、高解像の右視差のカラー画像RRt(x,y)、GRt(x,y)、BRt(x,y)のそれぞれをセンサの分光特性のカメラRGBから標準的なsRGB色空間へ色マトリックス変換とガンマ変換を行って出力色空間の画像として出力する。
Claims (10)
- 第1軸方向の第1領域幅が前記第1軸方向に直交する第2軸方向の第2領域幅よりも短い、被写体光束を受光する受光領域が、画素中心に対して前記第1軸方向に偏位した位置に設定された偏位画素と、前記被写体光束を受光する受光領域が、前記画素中心に対して偏位していない位置に設定された非偏位画素とが二次元的に配列された撮像素子と、
前記第1軸方向に対応する第1開口幅と前記第2軸方向に対応する第2開口幅とが、
1>(第2開口幅)/(第1開口幅)>(第1領域幅)/(第2領域幅)
の関係を満たす開口部を有する絞りと
を備える撮像装置。 - 前記第1開口幅と前記第2開口幅は、前記偏位画素と前記非偏位画素の密度比に基づいて設定される請求項1に記載の撮像装置。
- 前記偏位画素と前記非偏位画素の密度比がδ:1−δ(ただし、0<δ<1)で表される場合に、
a:b=(1+δ):1(a:第1開口幅、b:第2開口幅)
の関係を満たす請求項2に記載の撮像装置。 - 前記第1開口幅と前記第2開口幅は、前記偏位画素と前記非偏位画素の密度比および前記偏位画素の前記受光領域の形状に基づいて設定される請求項1に記載の撮像装置。
- 前記偏位画素と前記非偏位画素の密度比がδ:1−δ(ただし、0<δ<1)で表され、かつ、前記偏位画素の前記受光領域における前記第2領域幅と前記第1領域幅の比が1:(1/2)+u(ただし、|u|<1/2)で表される場合に、
a:b=1+δ:1+2u(a:第1開口幅、b:第2開口幅)
の関係を満たす請求項4に記載の撮像装置。 - 前記絞りは、前記第1開口幅と前記第2開口幅の比を一定に保ったまま前記開口部の開口面積を変化させる請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記偏位画素の画素値を用いて基準方向に対して前記第1軸方向に偏位した視点に対応する第1画像を生成し、前記非偏位画素の画素値を用いて前記基準方向の視点に対応する第2画像を生成し、前記第1画像と前記第2画像を用いて、前記第1軸方向に偏位した視点に対応する第3画像を生成する画像処理部をさらに備える請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記偏位画素は開口マスクを有し、当該開口マスクにより前記偏位画素の前記受光領域が設定される請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記絞りの前記開口部の形状は楕円である請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
- カメラユニットに装着された場合に、第1軸方向の第1領域幅が前記第1軸方向に直交する第2軸方向の第2領域幅よりも短い、被写体光束を受光する受光領域が、画素中心に対して前記第1軸方向に偏位した位置に設定された偏位画素と、前記被写体光束を受光する受光領域が、前記画素中心に対して偏位していない位置に設定された非偏位画素とに関する情報を前記カメラユニットから取得する取得部と、
開口部を有する絞りと、
前記情報に基づいて、前記第1軸方向に対応する第1開口幅と前記第2軸方向に対応する第2開口幅とが、
1>(第2開口幅)/(第1開口幅)>(第1領域幅)/(第2領域幅)
の関係を満たすよう、前記開口部の開口を調整する調整部と
を備えるレンズユニット。
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