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JP6098246B2 - バーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法 - Google Patents

バーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板などのような金属製で板状の被加工部材に円筒状の伸びフランジを成形するバーリング加工において、加工用金型として用いられるパンチに関し、特に、伸びフランジの成形性の向上を図ったバーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法に関する。
通常、バーリング加工が施される被加工部材には、予め打ち抜き加工や切削加工により下穴が設けられ、バーリング加工は、そのように下穴が設けられた被加工部材に対して行われる。バーリング加工では、被加工部材の下穴にパンチを押し込み、これに伴って、被加工部材の下穴の周辺部分がパンチの押し込み方向に伸ばされながら径方向に拡大する。これにより、被加工部材には円筒状に突き出した伸びフランジ(以下、単に「フランジ」ともいう)が成形される。
このようにして成形されたフランジの肉厚は、厳密には、先端部分(穴縁)に近づくほど薄くなっている。フランジの先端部分は被加工部材の元々の下穴の周縁部に相当し、この部分に近いほど、バーリング加工の過程で加工度が大きくて、伸びおよび拡大の変形が著しくなるからである。
従来のバーリング加工用パンチとしては、下記のものがある。例えば、特許文献1には、下穴よりも小径の小径部と、下穴よりも大径で伸びフランジの仕上り内径と同じ直径を有する大径部と、小径部の直径から大径部の直径まで連続的に直径を拡大させながら小径部と大径部とを滑らかにつなぐ拡径部と、を備える先細りの円柱棒状のパンチが記載されている。同文献に記載される従来のパンチでは、より均一な肉厚のフランジを成形するために、拡径部の周面は、軸方向に沿った縦断面において曲率半径が12mm以上で18mm以下の外側に膨らむ曲線とされている。
特開2012−20330号公報
バーリング加工では、上述した加工の原理により、成形された伸びフランジの先端部分の肉厚が他の部分よりも薄くなる。また、そのフランジ先端部分の肉厚は周方向で不均一になることがある。これらに起因し、しばしば、フランジ先端部分に割れが発生し、成形不良が生じることが問題となる。したがって、バーリング加工においては、フランジの成形性の向上が命題とされている。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、バーリング加工の際に伸びフランジの成形性を向上させ、伸びフランジの先端部分で割れの発生を抑制できるバーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、下記(I)のバーリング加工用パンチ、および下記(II)のバーリング加工方法にある。
(I)板状の被加工部材に設けられた下穴を押し拡げて伸びフランジを成形するバーリング加工に用いられるパンチであって、
当該パンチは、
バーリング加工の初期に前記下穴の周縁部に接触する先端部と、
前記伸びフランジの仕上り内径と同じ直径を有する円柱状の大径部と、
前記先端部と前記大径部とを滑らかにつなぎ後端側ほど直径が拡大する円錐台状の拡径部と、を備え、
前記先端部の開き角が90°以上で、前記拡径部の開き角が60°以下であり、前記先端部の後端の直径d1が前記下穴の直径d0との関係で下記(1)式の条件を満たすことを特徴とするバーリング加工用パンチ、である。
0<d1≦1.2×d0 …(1)
このパンチは、前記先端部と前記拡径部との間にこれらの両者を滑らかにつなぐ肩部を備え、この肩部の周面は、軸方向に沿った縦断面において曲率半径が30mm以下の円弧状であることが好ましい。
(II)板状の被加工部材に設けられた下穴を押し拡げて伸びフランジを成形するバーリング加工方法であって、
当該バーリング加工方法に用いられるパンチは、
バーリング加工の初期に前記下穴の周縁部に接触する先端部と、
前記伸びフランジの仕上り内径と同じ直径を有する円柱状の大径部と、
前記先端部と前記大径部とを滑らかにつなぎ後端側ほど直径が拡大する円錐台状の拡径部と、を備え、
前記先端部の開き角が90°以上で、前記拡径部の開き角が60°以下であり、前記先端部の後端の直径d1が前記下穴の直径d0との関係で下記(1)式の条件を満たすことを特徴とするバーリング加工方法、である。
0<d1≦1.2×d0 …(1)
この加工方法で用いられるパンチは、前記先端部と前記拡径部との間にこれらの両者を滑らかにつなぐ肩部を備え、この肩部の周面は、軸方向に沿った縦断面において曲率半径が30mm以下の円弧状であることが好ましい。
本発明のバーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法によれば、被加工部材の下穴周縁部において、延性低下の軽減と周方向での肉厚の均一化を同時に図ることができ、バーリング加工の際に伸びフランジの成形性を向上させ、フランジ先端部分で割れの発生を抑制することが可能になる。
従来の一般的なパンチを用いたバーリング加工の状況を模式的に示す図であり、同図(a)は加工前の状態を、同図(b)は加工初期の状態を、同図(c)は加工完了時の状態をそれぞれ示す。 図1に示す従来の円錐パンチの一例として開き角αを30°とした場合の被加工部材の下穴周辺部分の変形挙動を表す図である。 図1に示す円錐パンチにおける開き角αを90°とした場合の被加工部材の下穴周辺部分の変形挙動を表す図である。 本発明のパンチを用いたバーリング加工の状況を模式的に示す図であり、同図(a)は加工前の状態を、同図(b)は加工初期の状態を、同図(c)は加工完了時の状態をそれぞれ示す。 本発明のパンチの変形例を示す要部の拡大図である。 本発明のパンチの変形例の別例を示す要部の拡大図である。 図6に示す本発明のパンチによる被加工部材の下穴周辺部分の変形挙動を表す図である。 実施例1のバーリング加工試験結果として被加工部材の板厚ごとの穴拡げ率をまとめた図である。 実施例2のバーリング加工試験結果として被加工部材の板厚ごとの穴拡げ率をまとめた図である。
本発明者は、上記目的を達成するため、割れが発生する伸びフランジの先端部分、すなわち被加工部材の元々の下穴周縁部に着目した。そして、その下穴周縁部を含む下穴周辺部分のバーリング加工時における変形挙動についてパンチ形状の影響を把握すべく、種々の解析および試験を実施し、鋭意検討を重ねた。その結果、下記の知見を得た。
図1は、従来の一般的なパンチを用いたバーリング加工の状況を模式的に示す図であり、同図(a)は加工前の状態を、同図(b)は加工初期の状態を、同図(c)は加工完了時の状態をそれぞれ示す。なお、同図および以降のバーリング加工の状況を説明する図では、理解を容易にするため、基本的にパンチおよび被加工部材のみを図示し、ダイ、ブランクホルダー等(これらは通常と同様でよい。)の図示は省略する。同図に示す従来のパンチ101は、例えば前記特許文献1に記載のパンチに相当する。このパンチ101は、先端が被加工部材10の下穴11の直径d0よりも小さくて後端側ほど直径が拡大する円錐状の拡径部103と、この拡径部103に滑らかにつながり伸びフランジ13の仕上り内径と同じ直径d2を有する大径部104と、を備える。以下、このパンチ101を、その拡径部103の円錐形状にならって、円錐パンチと称する。
従来の円錐パンチ101は拡径部103の開き角αが鋭角である。このため、従来の円錐パンチ101では、バーリング加工の初期に、図1(b)に示すように、拡径部103が被加工部材10の下穴11の周縁部12と急峻な角度で接触する。そして、そのままパンチ101が下穴11に押し込まれることにより、被加工部材10の下穴11の周辺部分は、開き角αが鋭角の拡径部103の周面に沿って急激に伸び変形するとともに拡大変形する。
図2は、図1に示す従来の円錐パンチの一例として開き角αを30°とした場合の被加工部材の下穴周辺部分の変形挙動を表す図である。同図に示す下穴周辺部分の変形挙動は、被加工部材として板厚が3.2mmの高強度熱延鋼板を採用し、直径d0が10mmの下穴に対し、開き角αが30°の円錐パンチを用いたバーリング加工を想定してFEM解析を行った結果であり、穴拡げ率が50%に達した時点の状態を例示している。ここでいう穴拡げ率とは、下穴の元々の直径d0に対するその直径の拡大変化量のことを意味する。同図では、下穴周辺部分に生じる相当塑性ひずみの大きさを濃淡で表示しており、濃淡が濃い領域ほど相当塑性ひずみが大きいことを表す。
上述のとおり、従来の円錐パンチ101は、バーリング加工の初期に、拡径部103が被加工部材10の下穴11の周縁部12と急峻な角度で接触し、そのまま押し込まれる(図1(b)参照)。このため、図2に示すように、被加工部材の下穴の周辺部分は、その周縁部が著しく潰れて相当塑性ひずみが大きくなり、その結果として、その周縁部に限って加工硬化が著しく、延性が過度に低下する。このような延性の低下は、被加工部材の板厚が厚いほど、また、パンチの拡径部と被加工部材の下穴の周縁部との接触角度が急峻であるほど、顕著に起こる。そして、下穴周縁部で延性の低下が過度になるので、バーリング加工後、その下穴周縁部に相当する伸びフランジの先端部分に、割れが発生する。
これに対し、拡径部103の開き角αが大きい円錐パンチでは、バーリング加工の初期に、拡径部103が被加工部材10の下穴11の周縁部12と緩やかな角度で接触する。そして、そのままパンチ101が下穴11に押し込まれることにより、被加工部材10の下穴11の周辺部分は、開き角αが大きい拡径部103の周面に沿って緩慢に伸び変形するとともに拡大変形する。
図3は、図1に示す円錐パンチにおける開き角αを90°とした場合の被加工部材の下穴周辺部分の変形挙動を表す図である。同図に示す下穴周辺部分の変形挙動は、前記図2の場合と同様の被加工部材に対し、開き角αが90°の円錐パンチを用いたバーリング加工を想定してFEM解析を行った結果であり、穴拡げ率が50%に達した時点の状態を例示している。
図3に示すように、開き角αが90°の円錐パンチを用いた場合、開き角αが30°である従来の円錐パンチを用いた場合(前記図2参照)と比較し、被加工部材の下穴の周縁部に生じる相当塑性ひずみが小さくなり、その結果として、その下穴周縁部での延性の低下が軽減される。したがって、バーリング加工の初期に被加工部材の下穴の周縁部とパンチとが緩やかな角度で接触するように、パンチの開き角を大きくすれば、下穴周縁部での延性低下の軽減に伴って、延性低下に起因したフランジ先端部分の割れの発生を抑制することができる。
ただし、パンチの開き角αが大きいままでパンチの押し込みを継続すると、被加工部材の下穴周辺部分の伸びおよび拡大の変形が緩慢に行われるため、特に、加工度が大きくなる下穴周縁部の肉厚、すなわちフランジ先端部分の肉厚が周方向で不均一になり、その結果として、周方向での肉厚が薄い部分に割れが発生する。この点、パンチの開き角αが鋭角であると、被加工部材の下穴周辺部分の伸びおよび拡大の変形が急激に行われるため、フランジ先端部分における周方向での肉厚の不均一は生じにくい。
これらのことから、被加工部材の下穴周縁部において、延性低下の軽減と周方向での肉厚の均一化を同時に図り、フランジ先端部分の割れの発生を抑制するには、バーリング加工の初期段階では、パンチの開き角を大きくし、被加工部材の下穴周辺部分の伸びおよび拡大の変形を積極的に行う段階では、パンチの開き角を鋭角とするのが有効であるといえる。
本発明は、上記の知見に基づき完成させたものである。以下に、本発明のバーリング加工用パンチ、およびこのパンチを用いたバーリング加工方法について、その好ましい態様を説明する。
図4は、本発明のパンチを用いたバーリング加工の状況を模式的に示す図であり、同図(a)は加工前の状態を、同図(b)は加工初期の状態を、同図(c)は加工完了時の状態をそれぞれ示す。同図に示す本発明のパンチ1は、先端側から順に、先端部2と、拡径部3と、伸びフランジ13の仕上り内径と同じ直径d2を有する円柱状の大径部4とを備える。
先端部2は、開き角φが90°以上であり、バーリング加工の初期に被加工部材10の下穴11の周縁部12に接触するものである(図4(b)参照)。また、先端部2は、その後端の直径d1が被加工部材10の下穴11の直径d0との関係で下記(1)式の条件を満たすものである。
0<d1≦1.2×d0 …(1)
先端部2の開き角φが90°以上である場合、その後端直径d1が1.2×d0を超えると、被加工部材10の下穴11の周縁部12、すなわち成形されたフランジ13の先端部分における周方向での肉厚の不均一が顕著になり、割れが発生し易くなるからである。要するに、先端部2の後端直径d1は、フランジ先端部分における周方向での肉厚の均一化の観点からは小さい方が望ましい。このため、先端部2の後端直径d1は、好ましくは1.1×d0以下であり、より好ましくは1.05×d0以下である。
先端部2の開き角φは、90°以上であれば、バーリング加工の初期に被加工部材10の下穴11の周縁部12に接触する限り、特に限定はない。すなわち、先端部2の開き角φは最大で180°としてもよく、この場合、先端部2の周面は単なる平坦面となる。先端部2の開き角φを90°以上とすれば、バーリング加工の初期に被加工部材10の下穴11の周縁部12とパンチ1(先端部2)とが緩やかな角度で接触するので、下穴周縁部12での延性の低下が軽減され、延性低下に起因したフランジ先端部分の割れの発生を抑制することができる。
拡径部3は、先端部2と大径部4とを滑らかにつなぎ後端側ほど直径が拡大する円錐台状であり、その開き角θが60°以下である。拡径部3の開き角θを60°以下とすれば、先端部2によって延性低下が軽減された被加工部材10の下穴周縁部12の変形に続いて、その下穴周縁部12を含む被加工部材10の下穴11の周辺部分で伸びおよび拡大の変形が急激に行われるので、加工度が大きくなる下穴周縁部12、すなわちフランジ先端部分において周方向での肉厚を均一にすることができる。
拡径部3の開き角θは、60°以下であれば特に限定はない。もっとも、拡径部3の開き角θが小さ過ぎると、パンチ1の押し込みストロークが長くなる。このため、拡径部3の開き角θは、実用的には30°以上とするのが好ましい。
大径部4の直径d2(伸びフランジ13の仕上り内径)は、1.3×d0以上であるのが好ましく、より好ましくは1.5×d0以上である。これらの1.3、1.5といった値は、穴拡げ率としては30%、50%であり、従来の技術を用いる実際の現場では、穴拡げ率がこれくらいの値以上のバーリング成形から前述の割れが問題になることが多い。言い換えると、本発明は、このように従来技術では割れが発生しやすい穴拡げ率の大きな成形において適用されることで、技術的・実用的意義を大きく発揮することができる。
したがって、本発明のパンチ1によれば、被加工部材10の下穴周縁部12において、延性低下の軽減と周方向での肉厚の均一化を同時に図ることができ、バーリング加工の際に伸びフランジの成形性を向上させ、フランジ先端部分で割れの発生を抑制することが可能になる。
図5および図6は、本発明のパンチの変形例を示す要部の拡大図である。これらの図に示すパンチ1は、前記図4に示すパンチ1の構成を基本とし、以下の構成を付加したものである。特に、図6に示すパンチ1は、先端部2の開き角φを180°にした構成を基本としている。
図5、図6に示すパンチ1は、先端部2と拡径部3との間にこれらの両者を滑らかにつなぐ肩部5を備える。肩部5を備えるパンチ1は、被加工部材10の下穴周辺部分の変形を先端部2によるものから拡径部3によるものに移行する際に、その移行を滑らかに行うことができる。
ただし、肩部5の周面は、軸方向に沿った縦断面において曲率半径Rが30mm以下の円弧状である。肩部5の曲率半径Rが30mmを超えると、肩部5が実質的に先端部2の延長部として機能するため、被加工部材10の下穴11の周縁部12、すなわち成形されたフランジ13の先端部分における周方向での肉厚の不均一が顕著になり、割れが発生し易くなるからである。要するに、肩部5の曲率半径Rは、フランジ先端部分における周方向での肉厚の均一化の観点からは小さい方が望ましい。このため、肩部5の曲率半径Rは、好ましくは15mm以下であり、より好ましくは5mm以下である。
図7は、図6に示す本発明のパンチによる被加工部材の下穴周辺部分の変形挙動を表す図である。同図に示す下穴周辺部分の変形挙動は、前記図2の場合と同様の被加工部材(板厚が3.2mmで、下穴直径d0が10mmの高強度熱延鋼板)に対し、下記の諸寸法を有する図6に示すパンチ1を用いたバーリング加工を想定してFEM解析を行った結果であり、穴拡げ率が50%の時点の状態を例示している。
・先端部の開き角φ:180°
・先端部の後端直径d1:10.2mm
・拡径部の開き角θ:30°
・肩部の曲率半径R:2mm
図7に示すように、上記の諸寸法を有する図6に示すパンチを用いた場合は、開き角αが鋭角である従来の円錐パンチを用いた場合(前記図2参照)と比較し、被加工部材の下穴の周縁部に生じる相当塑性ひずみが小さくなり、その結果として、その下穴周縁部での延性の低下が軽減される。
本発明のパンチを用いてバーリング加工が施される被加工部材としては、自動車用部品や電化製品用部品などのあらゆる金属製板状部品が該当し、その材質に特に限定はない。また、被加工部材の板厚も特に限定はないが、実用的な板厚は0.7〜6.0mm程度である。
本発明の効果を確認するため、前記図6に示すパンチ(先端部の開き角φ:180°)を用いてバーリング加工試験を実施した。供試用の被加工部材としては、板厚が1.6mm、2.4mm、および3.2mmの3水準の780MPa級高強度熱延鋼板を準備し、それぞれに直径d0が10mmの下穴を予め設けた。また、比較のために、前記図1に示す円錐パンチを用いた。そして、各バーリング加工試験において、伸びフランジの先端部分に割れが発生した時点の穴拡げ率を調査した。
<実施例1>
本発明例1のパンチは、前記図6に示す拡径部の開き角θを30°とし、先端部の後端直径d1を10.2mm、肩部の曲率半径Rを2mmとした。また、比較例1の円錐パンチは、前記図1に示す開き角αを本発明例1のパンチと同じ30°とした。試験結果を下記の図8に示す。
図8は、実施例1のバーリング加工試験結果として被加工部材の板厚ごとの穴拡げ率をまとめた図である。同図に示すように、いずれの板厚でも、本発明例1の方が比較例1よりも穴拡げ率が高くなり、とりわけ、板厚が厚い場合は本発明例1の穴拡げ率の上昇度合いが著しくなり、本発明のパンチを用いることによりフランジの成形性が向上することが明らかとなった。
<実施例2>
本発明例2のパンチは、前記図6に示す拡径部の開き角θを60°とし、先端部の後端直径d1、および肩部の曲率半径Rを本発明例1と同じにした。また、比較例2の円錐パンチは、前記図1に示す開き角αを本発明例2のパンチと同じ60°とした。試験結果を下記の図9に示す。
図9は、実施例2のバーリング加工試験結果として被加工部材の板厚ごとの穴拡げ率をまとめた図である。同図に示すように、いずれの板厚でも、僅かではあるが、本発明例2の方が比較例2よりも穴拡げ率が高くなり、本発明のパンチを用いることによりフランジの成形性が向上することが明らかとなった。
本発明は、バーリング加工に有効に利用できる。
1:パンチ、 2:先端部、 3:拡径部、 4:大径部、 5:肩部、
10:被加工部材、 11:下穴、 12:周縁部、 13:伸びフランジ、
φ:パンチ先端部の開き角、 θ:パンチ拡径部の開き角、
0:被加工部材の下穴の直径、 d1:パンチ先端部の後端の直径、
2:パンチ大径部の直径

Claims (1)

  1. 板状の被加工部材に設けられた下穴を押し拡げて伸びフランジを成形するバーリング加工方法であって、
    当該バーリング加工方法に用いられるパンチは、
    バーリング加工の初期に前記下穴の周縁部に接触する先端部と、
    前記伸びフランジの仕上り内径と同じ直径を有する円柱状の大径部と、
    前記先端部と前記大径部とを滑らかにつなぎ後端側ほど直径が拡大する円錐台状の拡径部と、を備え、
    前記先端部の開き角が90°以上で、前記拡径部の開き角が60°以下であり、前記先端部の後端の直径d1が前記下穴の直径d0との関係で下記(1)式の条件を満たし、
    前記パンチの前記先端部と前記拡径部との間にこれらの両者を滑らかにつなぐ肩部を備え、この肩部の周面は、軸方向に沿った縦断面において曲率半径が30mm以下の円弧状であることを特徴とするバーリング加工方法。
    0<d1≦1.2×d0 …(1)

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