JP6097904B2 - アルミ基材の表面加工方法 - Google Patents
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前記微細粗面加工の噴射ノズル走査において処理継ぎ目が発生しないものであって、この微細粗面加工の際に用いられる加工液中の球状微粒子の目標粒径が3〜100μmであり、また、前記微細粗面加工の際における加工液の噴射圧力が0.15〜0.4MPaであると共に、この微細粗面加工時に微細粗面が形成されるまでの間にアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)が1×107〜5×108個/mm2であり、前記微細粗面加工後の微細粗面において、鏡面加工後で微細粗面加工前のアルミ基材の被加工面における平坦度及び/又は真円度が実質的に維持されることを特徴とするアルミ基材の表面加工方法である。
この微細粗面加工の際に用いられる加工液中の球状微粒子の目標粒径が3〜100μmの中にある特定の数値であり、また、前記微細粗面加工の際における加工液の噴射圧力が0.1〜0.4MPaであると共に、この微細粗面加工時に微細粗面が形成されるまでの間にアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)が1×104〜5×108個/mm2であり、
前記微細粗面加工の噴射ノズル走査において処理継ぎ目が発生するものであって、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数を複数のN画(Nは2以上の自然数)に分割し、この分画された各画の粒子数の球状微粒子を含むN画の分割加工液を調製し、微細粗面加工時には前記アルミ基材の被加工面の全面に亘って各分割加工液を噴射する加工液噴射操作をN回繰り返して実施することを特徴とするアルミ基材の表面加工方法。
厚さ10mm及び純度99.99%のアルミニウム製のアルミロールに切削用バニッシングロールを押し付け、このアルミロールから繰り出される板状アルミニウム材の表面に機械的鏡面加工を施し、この鏡面加工後の板状アルミニウム材から厚さ10mm×幅25mm×長さ50mmのアルミ板材(アルミ基材)を切り出した。得られた鏡面加工後のアルミ板材の表面(微細粗面加工の被加工面)は、その最大断面高さ(Rt)がRt<0.2μmに鏡面加工されていた。
この参考例1で得られたアルミ板材の微細粗面について、照度2000Lux以上の蛍光灯下で目視観察を行い、以下に示す評価基準に基づいて微細粗面の均一性を評価した。◎:未処理部が無く全体が均一である、○:未処理部が殆ど認められず全体が概ね均一である、△:未処理部が僅かに認められる、×:未処理部が明確に認められる。
このアルミ板材の微細粗面の均一性評価の結果を表1に示す。
この参考例1で得られたアルミ板材について、その微細粗面の凡そ50μm×50μmの範囲(3000倍程度の視野に相当)を走査型顕微鏡で観察し、微細粗面に埋め込まれて残留したガラスビーズが存在するか否かを調べ、以下に示す評価基準に従って埋没粒子評価を行った。◎:殆ど埋没粒子が観察されない、○:視野中に1〜2個の埋没粒子が観察される、△:視野中に3〜10個の埋没粒子が観察されるが用途によって使用可能である、×:視野中に10個を超える埋没粒子が観察される。
このアルミ板材の微細粗面の埋没粒子評価の結果を表1に示す。
噴射圧力を0.2MPaとした以外は参考例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
噴射圧力を0.3MPaとした以外は参考例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
微細粗面加工時の粒子総数(目標粒径換算)を2×106個/mm2とし、また、噴射圧力を0.2MPaとした以外は参考例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
微細粗面加工時の粒子総数(目標粒径換算)を2×108個/mm2とし、また、噴射圧力を0.2MPaとした以外は参考例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製商品名:E2-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲4〜6μm)を用い、噴射圧力を0.2MPaとした以外は参考例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
目標粒径20μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製商品名:E2-20、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲15〜25μm)を用い、噴射圧力を0.2MPaとした以外は参考例1と同様にしてアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
実施例2と同様にして得られたアルミ板材(アルミ基材)の微細粗面に対して、エタノール80質量%、過塩素酸14質量%、及び水6質量%の組成を有する電解浴を用い、電解電圧30V、初期電流密度12000A/m2、定常期電流密度400A/m2、電流制御:無し、浴温度0℃、及び処理時間10秒の処理条件で陽極電解処理を施し、微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
実施例2と同様にして得られたアルミ板材(アルミ基材)の微細粗面に対して、硫酸10質量%、リン酸70質量%、及び水20質量%の組成を有する電解浴を用い、浴温度70℃、及び処理時間20秒の処理条件とした以外は実施例8と同様にして陽極電解処理を施し、微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
実施例2と同様にして得られたアルミ板材(アルミ基材)の微細粗面に対して、リン酸80質量%、硝酸5質量%及び水15質量%の組成を有する浸漬液を用い、浸漬温度90℃及び処理時間15秒の条件で化学研磨を行った以外は実施例8と同様にして微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
参考例1と同様にして得られた厚さ10mm×幅50×長さ50mmのアルミ板材(アルミ基材)を用い、また、目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ポッターズ・バロティーニ社製商品名:EMB-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲0.5〜11μm)を常温の水道水に16g/Lの粒子濃度で分散させた加工液(分割加工液)を用い、アルミ板材の加工面に対して、2回の噴射ノズル走査で加工面全面にガラスビーズを衝突させる加工液噴射操作を5回繰り返して実施し、加工面に噴射したガラスビーズの粒子総数を5×107個/mm2に調整した以外は実施例2と同様にしてアルミ板材に微細粗面を形成し、以下のようにして微細粗面の均一性評価を行うと共に、参考例1と同様にして微細粗面の埋没粒子評価を行った。結果を表1に示す。
この実施例11で得られたアルミ板材の微細粗面については、参考例1の場合と同様に、照度2000Lux以上の蛍光灯下で目視観察を行い、以下に示す評価基準に基づいて微細粗面の均一性を評価した。◎:処理継ぎ目が全く認められない/未処理部が無く全体が均一である、○:処理継ぎ目が殆ど認められない/未処理部が殆ど認められず全体が概ね均一である、△:処理継ぎ目が僅かに認められる/未処理部が僅かに認められる、×:処理継ぎ目が明確に認められる/未処理部が明確に認められる。
粒子濃度8g/Lの加工液を用い、加工液噴射操作を10回繰り返してアルミ板材(アルミ基材)に微細粗面を形成した以外は実施例11と同様にしてアルミ板材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
アルミ基材として純度99.99%のアルミニウム製のアルミロールに切削用のバニッシングロールを押し付け、このアルミロールから繰り出されるアルミロールの表面の凹凸を押しこみながら切削刃を送り、アルミロール表面の最大断面高さ(Rt)をRt<0.2μmにする機械的鏡面加工を施し、機械的鏡面加工後の直径20mmのアルミロール材(アルミ基材)を作製した。
実施例13と同様にして得られたアルミロール材を用い、加工液の粒子濃度を80g/Lとし、アルミロール材の回転数を260rpmとし、また、同じ面に対する加工液噴射操作回数10回とした以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
実施例13と同様にして得られたアルミロール材を用い、目標粒径5μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製 商品名:E2-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲4〜6μm)を用いた以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
実施例13と同様にして得られたアルミロール材の微細粗面に対して、エタノール80質量%、過塩素酸14質量%、及び水6質量%の組成を有する電解浴を用い、電解電圧30V、初期電流密度12000A/m2、定常期電流密度400A/m2、電流制御:無し、浴温度0℃、及び処理時間10秒の処理条件で陽極電解処理を施し、微細粗面の表面粗さをRzjis/Ra<5に調整した。調整されたアルミ板材の微細粗面について、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表1に示す。
噴射圧力を0.05MPaとし、加工液の粒子濃度を80g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×107個/mm2として処理した以外は参考例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
噴射圧力を0.5MPaとした以外は比較例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
噴射圧力を0.2MPaとし、加工液の粒子濃度を0.04g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を5×103個/mm2として処理した以外は比較例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
噴射圧力を0.2MPaとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×1010個/mm2とした以外は比較例1と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、参考例1と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
実施例11の比較例であって、加工液の粒子濃度を80g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×107個/mm2 とし、また、同じ面に対する加工液噴射操作回数を1回とした以外は実施例11と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
加工液(分割加工液)の粒子濃度を40g/Lとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×107個/mm2をとし、また、同じ面に対する加工液噴射操作回数を2回とした以外は実施例11と同様にしてアルミ板材の微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
実施例13の比較例であって、この実施例13と同様にして得られたアルミロール材の被加工面に対して、アルミロール材の回転数を40rpmとし、また、同じ面に対する加工液噴射操作回数を1回とした以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
実施例13と同様にして得られたアルミロール材の被加工面に対して、目標粒径が6μmのガラスビーズ(球状微粒子、ブライト標識工業(株)製商品名:E2-10、真球度0.8以上、比重2.6、粒径範囲0.5〜11μm)を用いて調製した加工液(分割加工液)を使用し、アルミロール材の回転数を128rpmとし、被加工面に噴射させる粒子総数を1×108個/mm2 とし、また、同じ面に対する加工液噴射操作回数を3回とした以外は実施例13と同様にしてアルミロール材に微細粗面を形成し、実施例11と同様にして微細粗面の評価(均一性評価及び埋没粒子評価)を行った。結果を表2に示す。
Claims (7)
- アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されたアルミ基材の表面に、この表面を鏡面状態又は鏡面に近い状態の被加工面に加工する鏡面加工を施し、次いで前記鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に、球状微粒子を分散させて調製した加工液を噴射する噴射ノズル走査により、前記被加工面を微細な凹凸を有する微細粗面に加工する微細粗面加工を施し、アルミ基材の表面に微細粗面を形成するアルミ基材の表面加工方法であって、
前記微細粗面加工の噴射ノズル走査において処理継ぎ目が発生しないものであって、この微細粗面加工の際に用いられる加工液中の球状微粒子の目標粒径が3〜100μmの中にある特定の数値であり、また、前記微細粗面加工の際における加工液の噴射圧力が0.15〜0.4MPaであると共に、この微細粗面加工時に微細粗面が形成されるまでの間にアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)が1×107〜5×108個/mm2であることを特徴とするアルミ基材の表面加工方法。 - 前記加工液を形成する球状微粒子は、その目標粒径から±30%以内の分布を有する請求項1に記載のアルミ基材の表面加工方法。
- 前記微細粗面加工で形成された微細粗面に対し、化学的溶解処理又は電解研磨処理を施し、算術平均粗さRa(JIS B0601:2001)に対する十点平均粗さR zjis (JIS B0601:2001)の比(R zjis /Rz)がR zjis /Ra<5となるように調整する請求項1又は2に記載のアルミ基材の表面加工方法。
- アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されたアルミ基材の表面に、この表面を鏡面状態又は鏡面に近い状態の被加工面に加工する鏡面加工を施し、次いで前記鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に、球状微粒子を分散させて調製した加工液を噴射する噴射ノズル走査により、前記被加工面を微細な凹凸を有する微細粗面に加工する微細粗面加工を施し、アルミ基材の表面に微細粗面を形成するアルミ基材の表面加工方法であって、
この微細粗面加工の際に用いられる加工液中の球状微粒子の目標粒径が3〜100μmの中にある特定の数値であり、また、前記微細粗面加工の際における加工液の噴射圧力が0.1〜0.4MPaであると共に、この微細粗面加工時に微細粗面が形成されるまでの間にアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数(目標粒径換算)が1×104〜5×108個/mm2であり、
前記微細粗面加工の噴射ノズル走査において処理継ぎ目が発生するものであって、鏡面加工後のアルミ基材の被加工面に噴射する球状微粒子の粒子総数を複数のN画(Nは2以上の自然数)に分割し、この分画された各画の粒子数の球状微粒子を含むN画の分割加工液を調製し、微細粗面加工時には前記アルミ基材の被加工面の全面に亘って各分割加工液を噴射する加工液噴射操作をN回繰り返して実施することを特徴とするアルミ基材の表面加工方法。 - 前記各分割加工液の粒子濃度は、前記微細粗面加工時にアルミ基材の被加工面に噴射される球状微粒子の粒子総数が1回の加工液噴射操作で達成される際に使用される加工液の粒子濃度よりも低い請求項4に記載のアルミ基材の表面加工方法。
- 前記加工液を形成する球状微粒子は、その目標粒径から±30%以内の分布を有する請求項4又は5に記載のアルミ基材の表面加工方法。
- 前記微細粗面加工で形成された微細粗面に対し、化学的溶解処理又は電解研磨処理を施し、算術平均粗さRa(JIS B0601:2001)に対する十点平均粗さRzjis(JIS B0601:2001)の比(Rzjis/Rz)がRzjis/Ra<5となるように調整する請求項4〜6のいずれかに記載のアルミ基材の表面加工方法。
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