JP6085499B2 - 電着塗装方法 - Google Patents
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Description
また、電着浴で浸漬し、不動態化皮膜を形成させることは、基材をエッチングさせる化成皮膜の反応のため、スラッジ発生は避けられない。また、溶出した鉄イオンによる電導度上昇に伴う塗装性低下も課題である。
該電着塗料組成物が、
溶解金属化合物である溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)、ならびにアミン化樹脂(B)、硬化剤(C)および亜硝酸金属塩(D)を含み、 該アミン化樹脂(B)が、数平均分子量が1,000〜5,000であり、アミン価が20〜100mgKOH/gであり、かつ、水酸基価が50〜400mgKOH/gであり、かつ、
該硬化剤(C)がブロックイソシアネート硬化剤であり、
該アミン化樹脂(B)と、該ブロックイソシアネート硬化剤とが、電着塗膜中において該加熱硬化時に反応した場合における理論残存水酸基価が50〜350mgKOH/gであることを特徴とする電着塗装方法を提供するものである。
前記電着塗料組成物が、さらに、スルホン酸、有機ホスホン酸、有機カルボン酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、糖酸およびカルボキシル基含有ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるキレート酸(E)を含むこと。
前記電着塗料組成物が、さらにアミノシラン化合物(F)を含むこと。
前記電着塗料組成物が、更に、可塑剤を含むこと。
本明細書において「実質的に化成処理されていない被塗物」とは、被塗物に対して電着塗装浴に浸漬する前に行われる化成処理、例えばリン酸亜鉛化成処理やジルコニウム化成処理を行わないことを意味するが、その他の処理、例えば脱脂処理などは行われることを意味する。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、溶解金属化合物である溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)、ならびにアミン化樹脂(B)、硬化剤(C)および亜硝酸金属塩(D)を含む。以下、各成分について詳述する。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、溶解金属化合物である溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)を必須成分として含む。本明細書中において、溶解金属化合物とは、硝酸でpH4に調整した20℃の水に対して、金属換算で0.1質量%以上が溶解するものである。この溶解金属化合物は、上記の特性を有することにより、電着塗料組成物中において全部が溶解し、または一部が溶解し残りが分散した状態で存在する。ここで、溶解とは溶媒に溶けて均一となっている状態および微分散している状態をいう。具体的には、12000rpmで30分間遠心分離した際に沈殿しない状態をいう。この溶解金属化合物について、一部が溶解せずに電着塗料組成物中に分散した状態で存在する場合は、体積平均粒子径D50が3μm以下であるのが好ましい。ここで、上記体積平均粒子径D50は、例えば、動的光散乱式粒度分析計(日機装社製、「ナノトラックUPA150」)等の粒度測定装置を用いて測定することができる。本発明で用いる電着塗料組成物が、このような溶解金属化合物である溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)を含むことによって、優れた耐食性を有する電着塗膜が得られることとなる。具体的には、本発明の電着塗装方法で用いる特定の電着塗料組成物において、溶解金属化合物である溶解亜鉛化合物(A1)及び溶解ジルコニウム化合物(A2)は、電着塗装工程の初期に基材表面に樹脂皮膜に優先して亜鉛およびジルコニウムの複合物からなる無機層を形成させることで加熱硬化後の電着塗膜に密着性を付与する。また、亜鉛およびジルコニウムは、樹脂皮膜にも取り込まれ、焼付け時に無機架橋剤として、塗膜の架橋密度およびガラス転移温度(Tg)を向上させることで遮断性を上げる。このため優れた耐食性を有する硬化電着塗膜が得られることとなる。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物はアミン化樹脂(B)を含む。このアミン化樹脂(B)は、本発明の電着塗装方法で得られる電着塗膜を構成する塗膜形成樹脂である。アミン化樹脂(B)として、樹脂骨格中のオキシラン環を有機アミン化合物で変性して得られるカチオン変性エポキシ樹脂が好ましい。一般にカチオン変性エポキシ樹脂は、出発原料樹脂分子内のオキシラン環を1級アミン、2級アミンあるいは3級アミンおよび/またはその酸塩などのアミン類との反応によって開環して製造される。出発原料樹脂の典型例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である。また他の出発原料樹脂の例として、特開平5−306327号公報に記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は、ジイソシアネート化合物、またはジイソシアネート化合物のイソシアネート基をメタノール、エタノールなどの低級アルコールでブロックして得られたビスウレタン化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって調製することができる。
本発明で用いる電着塗料組成物は、硬化剤(C)として、貯蔵安定性と塗装性能からブロックイソシアネート硬化剤を用いる。この硬化剤(C)も電着塗膜を構成する塗膜形成樹脂である。硬化剤として、メラミン樹脂やフェノール樹脂等の有機硬化剤、シランカップリング剤、金属硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の硬化剤を硬化剤(C)と併用してもよい。ブロックイソシアネート硬化剤は、ポリイソシアネートを、封止剤でブロック化することによって調製することができる。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、成分(D)として、亜硝酸金属塩(D)を含む。亜硝酸金属塩(D)は、上記溶解金属化合物である溶解亜鉛化合物(A1)または溶解ジルコニウム化合物(A2)とは異なるものであり、また後述のその他の添加剤とも異なるものである。亜硝酸金属塩(D)は、好ましくは亜硝酸の2価の金属塩、特に亜硝酸金属塩としては塗膜密着性や塗膜外観の観点から、カルシウム塩もしくは亜鉛塩が好ましい。本発明においては、亜硝酸金属塩(D)を用いることによって、溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)に由来する亜鉛及びジルコニウムの複合物からなる無機層の基材への析出が促進されるため、被塗物と得られる電着塗膜との密着性が向上し、耐食性が向上するという利点がある。
亜硝酸金属塩(D)は、酸化力が非常に強いため、より少量で無機層の析出促進効果がある。このため、カソード密着性が特に優れるため耐食性が向上する。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)は、被塗物に無機層を形成するとともに、樹脂皮膜にも取り込まれる。樹脂皮膜において塗膜形成樹脂と金属は水素結合をすることにより内部応力が高くなりやすく、塗膜物性が硬くなりやすい。このため、本願の電着塗装方法では、電着塗料組成物に可塑剤を含有させることにより内部応力を低減させ電着塗膜の可塑性を挙げることができる。可塑剤はアルキレンオキサイド付加物が好ましい。さらにエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物が好ましい。付加方法に特に限定はなく、例えばビスフェノールAやアルコールへのエチレンオキサイド付加物やジレチレントリアミンプロピレンオキサイド付加物やジエチレントリアミンプロピレンオキサイド付加物とエポキシ樹脂との反応物でもよい。
本発明で用いる電着塗料組成物は、キレート酸(E)を含むのが好ましい。キレート酸(E)として、スルホン酸、有機ホスホン酸、有機カルボン酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、糖酸およびカルボキシル基含有ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物にキレート酸(E)が含まれることによって、溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)に由来する亜鉛イオンおよびジルコニウムイオンがキレートされ、電導度が低減し、電着塗装により得られる塗膜の外観が向上することにより、優れた耐食性を有する硬化電着塗膜を形成することができるという利点がある。
炭素数6〜20の芳香族カルボン酸として、例えば、サリチル酸、没食子酸、安息香酸、フタル酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、アミノシラン化合物(F)を含むのが好ましい。アミノシラン化合物(F)として、1分子中に少なくとも1つのアミノ基を有するアミノシラン、およびアミノシランの加水分解縮合物が挙げられる。
顔料
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、電着塗料組成物において通常用いられる顔料を含んでもよい。顔料の例としては、通常使用される無機顔料、例えば、チタンホワイト、カーボンブラックおよびベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、トリポリリン酸アルミニウム、およびリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料など、が挙げられる。電着塗料組成物中にこれらの顔料が含まれる場合の顔料の量は、電着塗料組成物の樹脂固形分に対して1〜30質量%であるのが好ましい。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルなどの有機溶媒、乾き防止剤、消泡剤等の界面活性剤、アクリル樹脂微粒子等の粘度調整剤、はじき防止剤、バナジウム塩、銅、鉄、マンガン、マグネシウム、カルシウム塩等の無機防錆剤、等の慣用の塗料用添加剤を必要に応じて添加しても良い。またこれら以外に、目的に応じて公知の補助錯化剤、緩衝剤、平滑剤、応力緩和剤、光沢剤、半光沢剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤等を配合してもよい。
本発明の電着塗装方法で用いる電着塗料組成物は、上記アミン化樹脂(B)以外にも、上述したようなアミン化樹脂(B)に該当しないアミン化樹脂、および/または他の塗膜形成樹脂成分を含んでもよい。他の塗膜形成樹脂成分として、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。電着塗料組成物に含まれうる他の塗膜形成樹脂成分として、フェノール樹脂、キシレン樹脂が好ましい。フェノール樹脂、キシレン樹脂として、例えば、2以上10以下の芳香族環を有するキシレン樹脂が挙げられる。
本発明で用いる電着塗料組成物は、アミン化樹脂(B)および硬化剤(C)を含むエマルション、および必要に応じた顔料分散ペーストなどと、必須成分である溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)、および亜硝酸金属塩(D)、必要に応じたキレート酸(E)、必要に応じたアミノシラン化合物(F)、可塑剤などを加えて混合することによって調製することができる。なお、溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)は顔料とともに分散ペーストとしてから添加してもよい。
被塗物
本発明の電着塗装方法で用いる被塗物として、通電可能な種々の被塗物を用いることができる。使用できる被塗物として例えば、冷延鋼板、熱延鋼板、ステンレス、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金系めっき鋼板、亜鉛−鉄合金系めっき鋼板、亜鉛−マグネシウム合金系めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、アルミニウム−シリコン合金系めっき鋼板、錫系めっき鋼板などから構成される被塗物が挙げられる。
電着塗装は、通常、被塗物を陰極として、陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加し、電着皮膜を被塗物上に析出させる塗装方法である。本発明では、電圧を印加せずに0〜30秒間浸漬した後、電圧を印加して電着皮膜を形成する工程を行なう。すなわち、被塗物を電着浴に全て埋没させた後、電圧を印加せずに被塗物を電着浴の中に所定時間浸漬してもよく、またそのような浸漬時間を特に設けないで(浸漬時間が0秒)、被塗物を電着浴に全て埋没させると同時に、直ちに印加を開始してもよい。被塗物を浸漬する場合の浸漬時間は、0秒を超え30秒以下であり、好ましくは20秒以下である。このように電圧を印加しないで被塗物を電着浴に浸漬している間に、被塗物表面は酸化され表面が均一化されるが、被塗物の溶出や無機層などの析出はあまり起こらない。浸漬時間が30秒以上になると、塗料pHによっては若干被塗物をエッチングしてしまい、スラッジ発生の要因となる可能性がある。
メチルイソブチルケトン92部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA350部、オクチル酸30部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を120℃に保持し、エポキシ当量が820g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が110℃になるまで冷却した。ついでジエタノールアミン160部を添加し、110℃で1時間反応させることにより、アミン化樹脂(カチオン変性エポキシ樹脂:樹脂A)を得た。
メチルイソブチルケトン92部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA350部、オクチル酸95部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を120℃に保持し、エポキシ当量が1170g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が110℃になるまで冷却した。ついでジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)82部とN−メチルエタノールアミン26部、ジエタノールアミン60部の混合物を添加し、110℃で1時間反応させることにより、アミン化樹脂(カチオン変性エポキシ樹脂:樹脂B)を得た。
メチルイソブチルケトン92部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA350部、オクチル酸25部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を120℃に保持し、エポキシ当量が800g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が110℃になるまで冷却した。ついでジエタノールアミン160部とジエチレントリアミンプロピオンオキサイド37モル付加物190部の混合物を添加し、110℃で1時間反応させることにより、アミン化樹脂(カチオン変性エポキシ樹脂:樹脂C)を得た。
メチルイソブチルケトン92部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)940部、ビスフェノールA390部、オクチル酸80部、ジメチルベンジルアミン2部を加え、反応容器内の温度を120℃に保持し、エポキシ当量が1400g/eqになるまで反応させた後、反応容器内の温度が110℃になるまで冷却した。ついでジエタノールアミン100部とジエチレントリアミンプロピオンオキサイド37モル付加物120部の混合物を添加し、110℃で1時間反応させることにより、アミン化樹脂(カチオン変性エポキシ樹脂:樹脂E)を得た。
撹拌機、デカンター、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備え付けた反応容器に、エポキシ当量188g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331J、ダウケミカル社製)2,400部とメタノール141部、メチルイソブチルケトン168部を仕込み、40℃で撹拌し均一に溶解させた後、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート(80/20質量比混合物)320部を30分間かけて滴下したところ発熱し、70℃まで上昇した。これにN,N−ジメチルベンジルアミン5部を加え、反応容器内の温度を120℃まで昇温し、メタノールを留去しながらエポキシ当量が500g/eqになるまで120℃で3時間反応を続けた。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)1680部およびMIBK732部を反応容器に仕込み、これを60℃まで加熱した。ここに、トリメチロールプロパン346部をMEKオキシム1067部に溶解させたものを60℃で2時間かけて滴下した。さらに75℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK27部を加えて固形分が78%のブロックイソシアネート硬化剤(1)を得た。イソシアネート基価は252mgKOH/gであった。
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート1340部およびMIBK277部を反応容器に仕込み、これを80℃まで加熱した後、ε−カプロラクタム226部をブチルセロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間かけて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、IRスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づく吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK349部を加えてブロックイソシアネート硬化剤(2)を得た(固形分80%)。イソシアネート基価は251mgKOH/gであった。
撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器にビスフェノールA型エポキシ樹脂385部、ビスフェノールA120部、オクチル酸95部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1%溶液1部を仕込んで、窒素雰囲気下160〜170℃で1時間反応させ、ついで120℃まで冷却後、2−エチルヘキサノール化ハーフブロック化トリレンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン溶液(固形分95%)198部を加えた。反応混合物を120〜130℃で1時間保持した後、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル157を加えた。そして85〜95℃に冷却して均一化させた。つぎにジエチレントリアミンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン溶液)277部を加え120℃で1時間撹拌しエチレングリコールモノn−ブチルエーテル13部を加え、アミン化樹脂を製造した。ついで18部のイオン交換水とギ酸8部を仕込み上記アミン化樹脂を混合し15分撹拌し、イオン交換水200部を混合して、顔料分散樹脂(平均分子量2,200)の樹脂溶液(樹脂固形分25%)を得た。
製造例1−Aで得た樹脂(樹脂A)350g(固形分)と、製造例2−1で得たブロックイソシアネート硬化剤(1)75g(固形分)、硬化剤(2)75g(固形分)とを混合し、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%(15g)になるように添加した。次にメタンスルホン酸を中和率80%になるように加えて中和し、イオン交換水を加えてゆっくり希釈し、次いで固形分が36%になるように減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、電着塗料樹脂エマルション(EmA)を得た。
また、製造例1−Aで得た樹脂(樹脂A)の代わりに、それぞれ製造例1−B、C、E、Fで得た樹脂(樹脂B)、(樹脂C)、(樹脂E)、(樹脂F)を用いたこと以外は同様にして、それぞれ電着塗料樹脂エマルション(EmB)、(EmC)、(EmE)、(EmF)を得た。
製造例1−Aで得た樹脂(樹脂A)400g(固形分)と、製造例2−1で得たブロックイソシアネート硬化剤(1)50g(固形分)、硬化剤(2)50g(固形分)とを混合し、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを固形分に対して3%(15g)になるように添加した。次にメタンスルホン酸を中和率80%になるように加えて中和し、イオン交換水を加えてゆっくり希釈し、次いで固形分が36%になるように減圧下でメチルイソブチルケトンを除去して、電着塗料樹脂エマルション(EmD)を得た。
サンドミルを用いて、製造例3で得られた顔料分散樹脂を含む以下の表1に示す配合に基づき、得られた混合物を40℃において、体積平均粒子径D50が0.6μmとなるまで分散し、調製して、顔料分散ペースト1(固形分49%)を得た。体積平均粒子径D50の測定は、レーザードップラー式粒度分析計(日機装社製、「マイクロトラックUPA150」)を用いて、分散体を信号レベルが適性になるようイオン交換水で希釈して、体積平均粒子径D50を測定した。
表2に示す配合に基づき、得られた混合物を40℃において、体積平均粒子径D50が0.6μmとなるまで分散し、調製して、顔料分散ペースト2(固形分49%)を得た。
ステンレス容器に、イオン交換水119g、酸化亜鉛(試薬)32.6g、70%メタンスルホン酸(BASF製)110g添加し、60℃1時間攪拌して亜鉛濃度10%のメタンスルホン酸亜鉛を作成した。
冷延鋼板を用いた硬化後の電着塗装板の塗膜に、基材に達するようにナイフでクロスカット傷を入れ、JASO M609−91「自動車用材料腐食試験方法」を60サイクル行った。その後、クロスカット部からの錆やフクレ発生を観察し、実際の腐食環境に即した耐食性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:錆またはフクレの最大幅がカット部より5mm未満(両側)
○:錆またはフクレの最大幅がカット部より5mm以上7.5mm未満(両側)カット部以外にブリスターなし
○△:錆またはフクレの最大幅がカット部より5mm以上7.5mm未満(両側)カット部以外もブリスターあり
△:錆またはフクレの最大幅がカット部より7.5mm以上10mm未満(両側)
△×:錆またはフクレの最大幅がカット部より10mm以上12.5mm未満(両側)
×:錆またはフクレの最大幅がカット部より12.5mm以上(両側)
冷延鋼板を用いた硬化後の電着塗装板の塗膜に、基材に達するようにナイフで傷を入れ、この塗装板を、5%食塩水中に50℃で480時間浸漬した後、直線状の傷部からの錆やフクレ発生を観察し、評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:錆またはフクレが生じていない
○:錆またはフクレの最大幅がカット部より2.5mm未満(両側)
○△:錆またはフクレの最大幅がカット部より2.5mm以上5mm未満(両側)
△:錆またはフクレの最大幅がカット部より5mm以上10mm未満(両側)
△×:錆またはフクレの最大幅がカット部より10mm以上15mm未満(両側)
×:錆またはフクレの最大幅がカット部より15mm以上(両側)
上記実施例および比較例より得られた硬化電着塗膜を有する電着塗装板に、小型のカッターナイフを垂直に当て、被塗物に達するように等間隔の平行線の傷を2mm間隔で11本引き、それらの平行線に垂直に交わる等間隔の平行線11本を2mm間隔で引いて、4本の直線に囲まれた2mm四方の100個の正方形を刻んだ。次いで、試験片を50℃のイオン交換水に480時間浸漬した。浸漬後、試験片の水を拭き取り、次いで接着テープ(エルパックLP−24ニチバン株式会社製)(幅24mm)を上記試験塗膜のカット部分に気泡を含ませずに圧着した後、急激に引っ張った。剥離した碁盤目の有無に基づき、下記基準により評価した。
○:剥離なし
×:剥離あり
上記実施例および比較例より得られた硬化電着塗膜を有する電着塗装板について、塗膜外観における異常の有無を目視で判断した。評価基準は以下の通りとした。
評価基準
◎:極めて均一な塗膜外観を有している
○:均一な塗膜外観を有している
○△:ややムラがあると視認される部分があるものの、全体としてほぼ均一な塗膜外観を有している
△:ムラが視認される
×:塗膜外観が明らかに不均一である
電着塗料組成物を静置した状態または撹拌した状態において、塗料組成物の状態を目視にて判定し、安定性を評価した。評価基準は以下の通りとした。ここでいう安定とは、攪拌停止後、15分以内に顔料が沈降しないことをいう。
○:電着塗料組成物を静置した状態で安定である
○△:電着塗料組成物を静置した状態では安定ではないものの、再度撹拌することによってすぐに安定化する
△:電着塗料組成物を連続的に撹拌し続けた状態では安定である
×:電着塗料組成物を連続的に撹拌し続けた状態でも安定化しない
冷延鋼板(JIS G3141、SPCC−SD 150mm×75mm)を1Lに対して20枚塗装し、スラッジ発生、スラッジ発生にまつわる塗装性低下を評価した。
:スラッジ発生せず、塗装性低下なし
△:スラッジ発生目視で確認できず、塗装性わずかに低下。
:スラッジ発生に伴う塗装性低下ある。
×:スラッジ発生
表3に記載の配合で電着塗料組成物を形成した。得られた電着塗料組成物または電着塗装板について、実施例1と同様の6つの項目の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1以外の実施例および比較例における電圧の印加は、すべて実施例1と同様に、電圧の印加を開始してから30秒間昇圧し、180Vに達してから150秒間保持するという条件で行なった。
Claims (4)
- 電着塗料組成物中に、実質的に化成処理されていない被塗物を、電圧を印加せずに0〜30秒間浸漬した後、電圧を印加して電着皮膜を形成する工程、および該電着皮膜を加熱硬化して電着塗膜を形成する工程を含む電着塗装方法であって、
該電着塗料組成物が、
溶解金属化合物である溶解亜鉛化合物(A1)および溶解ジルコニウム化合物(A2)、ならびにアミン化樹脂(B)、硬化剤(C)および亜硝酸金属塩(D)を含み、 該アミン化樹脂(B)が、数平均分子量が1,000〜5,000であり、アミン価が20〜100mgKOH/gであり、かつ、水酸基価が50〜400mgKOH/gであり、かつ、
該硬化剤(C)がブロックイソシアネート硬化剤であり、
該溶解亜鉛化合物(A1)が、メタンスルホン酸亜鉛であり、
該アミン化樹脂(B)と、該ブロックイソシアネート硬化剤とが、電着塗膜中において該加熱硬化時に反応した場合における理論残存水酸基価が90〜350mgKOH/gであることを特徴とする電着塗装方法。 - 前記電着塗料組成物が、さらに、スルホン酸、有機ホスホン酸、有機カルボン酸、アミノ酸、アミノカルボン酸、糖酸およびカルボキシル基含有ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるキレート酸(E)を含む、請求項1に記載の電着塗装方法。
- 前記電着塗料組成物が、さらにアミノシラン化合物(F)を含む、請求項1または2に記載の電着塗装方法。
- 前記電着塗料組成物が、可塑剤を含む請求項1〜3いずれかに記載の電着塗装方法。
Priority Applications (1)
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