JP6083276B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
一般に、室外機を停止させた場合、機器の耐久性を考慮して、一定時間(例えば、3分程度)だけは室内機からの温調要求に関わらず室外機の停止状態を維持することが行われる。そして、一定時間を経過した後に、室内機からの温調要求にしたがって室外機が始動される。しかし、上記のように省エネを目的として室外機を停止させた場合には、省エネ用停止条件の成立によって室外機の発停(始動と停止)が頻繁に繰り返される可能性がある。その場合には、省エネ性が低下してしまう。また、室温の状況変化に関わらず、常に一定時間だけは室外機の始動を禁止してしまうため、快適性を損なう可能性もある。このため、ユーザの希望にそった快適性と省エネ性とを両立することが難しくなる。
上記課題を解決する本発明の特徴は、冷媒を圧縮して循環させる圧縮機(22)、および、冷房運転時は冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は冷媒の蒸発器として機能する室外機熱交換器(25)を有する室外機(2)と、冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は冷媒の凝縮器として機能する室内機熱交換器(31)を有する室内機(3)と、省エネモードの実行の指示を受ける省エネモード受信手段(40a)と、前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度に到達しにくくなるように設定される前記圧縮機の省エネ用上限回転速度(N)を演算する省エネ用上限回転速度演算手段(S20,S21)と、前記省エネモードの実行が指示されている場合、前記圧縮機の始動後、予め設定された上限制御開始許可条件が成立した後から、前記省エネ用上限回転速度によって前記圧縮機の回転速度の上限を制御する回転速度制御手段(S10)と、前記回転速度制御手段により前記圧縮機の回転速度の上限の制御を継続するよりも前記室外機を発停させた場合の方がエネルギー消費量が少なくなると推定される条件を設定した省エネ用停止条件を記憶し、前記省エネ用停止条件が成立する場合に前記室外機を停止させる省エネ用停止手段(S22,S25)とを備えた空気調和装置において、
前記省エネ用停止手段によって前記室外機が停止された場合、その停止から予め設定された省エネ用停止維持時間(tkeep)を経過しないうちは、前記室外機の停止状態を継続させる室外機停止継続手段(S103)と、前記省エネ用停止手段によって前記室外機が停止された後、前記省エネ用停止維持時間を経過していない場合であっても、前記室内機における実際の空気温度と目標空気温度との差を前記室内機の運転容量にて重み付けをした空調負荷温度差(ΔTs)が始動許可温度差(DTstart+δ)以上となる場合には、前記室外機の始動を許可する室外機始動許可手段(S105)と、省エネの目標度合を表す省エネレベルを取得する省エネレベル取得手段(40a)と、前記省エネレベルが高いほど前記始動許可温度差を大きい値に補正する始動許可温度補正手段(S104)とを備えたことにある。
室外機2は、ガスエンジン21と、圧縮機22と、四方切換弁23と、アキュムレータ24と、室外機熱交換器25と、電子膨張弁26と、逆止弁27を備えている。室内機3は、室内機熱交換器31と、電子膨張弁32とを備えている。ガスエンジン21は、ガス配管からガス燃料の供給を受けて回転動力を発生する圧縮機22の駆動源である。圧縮機22は、ガスエンジン21の出力軸にベルト等を介して連結され、ガスエンジン21の回転に伴って駆動されて、吸入管28aから低圧のガス冷媒を吸入して内部で圧縮し、圧縮した高圧ガス冷媒を吐出管28bに吐出し四方切換弁23に送り出す。
次に、この空気調和装置1の空調運転(暖房運転、冷房運転)について簡単に説明する。まず、暖房運転について説明する。圧縮機22がガスエンジン21により駆動されると、吸入管28aから低圧ガス冷媒が圧縮機22に吸入されるとともに吸入された低圧ガス冷媒が圧縮される。そして圧縮された高圧ガス冷媒が吐出管28bから吐出される。吐出された高圧ガス冷媒は四方切換弁23を経由して室内機熱交換器31に導入される。室内機熱交換器31に導入された高圧ガス冷媒は室内機熱交換器31内を流通する間に室内空気に熱を吐き出して凝縮する。このとき高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内暖房される。
次に、空気調和装置の制御システムについて説明する。室外機2には、ガスエンジン21、四方切換弁23、電子膨張弁26、容量調整弁29等を駆動制御するメインコントローラ40が設けられている。メインコントローラ40は、マイコン、入出力インターフェース、駆動回路、記憶装置等を備えている。メインコントローラ40は、空気調和装置1の作動状況を検出するセンサとして、吸入側圧力センサ41、吐出側圧力センサ42、回転速度センサ43からの検出信号を入力する。吸入側圧力センサ41は、吸入管28aにおける低圧の冷媒圧力PLを検出し、検出した冷媒圧力PLを表す信号をメインコントローラ40に出力する。吐出側圧力センサ42は、吐出管28bにおける高圧の冷媒圧力PHを検出し、検出した冷媒圧力PHを表す信号をメインコントローラ40に出力する。回転速度センサ43は、ガスエンジン21の回転速度ENを検出し、検出した回転速度ENを表す信号をメインコントローラ40に出力する。
メインコントローラ40は、冷房運転時においては、吸入管28aの冷媒圧力PLに基づく要求回転速度に基づいて圧縮機22の回転速度を制御する。この制御を、以下、冷房時蒸発圧力要求制御ともいう。また、メインコントローラ40は、暖房運転時においては、吐出管28bの冷媒圧力に基づく要求回転速度に基づいて圧縮機22の回転速度を制御する。この制御を、以下、暖房時凝縮圧力要求制御ともいう。
(1)ガスエンジン21の実際の回転速度
(2)ガスエンジン21に回転駆動される圧縮機22の接続台数
(3)ガスエンジン21の回転速度を著しく低下させることなく空調能力を低減するために、圧縮機22をバイパスするバイパス管28gに設けられた容量調整弁29の開度
次に、メインコントローラ40が実行する冷房運転時におけるガスエンジン21のみかけ回転速度制御について説明する。メインコントローラ40は、センターコントローラ100からの省エネモードの実行指令の有無にかかわらず、ガスエンジン21のみかけ回転速度の目標値である要求回転速度を計算する。冷房時蒸発圧力要求制御においては、吸入側圧力センサ41により検出された冷媒圧力PLが目標冷媒圧力PL*に追従するように、冷媒圧力の偏差(PL*−PL)に応じてガスエンジン21のみかけ回転速度の要求回転速度が計算される。ガスエンジン21のみかけ回転速度が要求回転速度に制御される要求回転速度制御の実行時においては、空調能力が十分に確保され、各室内機3が設置されている空間での快適性が迅速に向上される。
ΔTs=Σ(PW×(T−T*))/ΣPW ・・・(1)
ここで、Σ(PW×(T−T*))は、運転中の各室内機3における(容量PW×(実室内温度T−設定温度T*)の合計値であり、ΣPWは、運転中の各室内機3における容量PWの合計値である。従って、空調負荷温度差ΔTsは、各室内機3における実室内温度Tと設定温度T*との偏差を室内機3の運転容量にて重み付けをした値として計算される。
N(i)=N(i−1)+(ΔN(i−1)/E(i))×ΔTs(i)・・・(2)
ΔN(i−1)=N(i−1)−N(i−2) ・・・(2’)
また、Eは、制御量ΔNを与えたときの空調負荷変動量であり、制御量ΔNに対しての温度変化度合、つまり効果を示す。以下、Eを制御効果量Eと呼ぶ。
上記式(2)における制御効果量E(i)は、次式(2”)に示すように、今回の演算時に算出された空調負荷温度差ΔTs(i)から前回の演算時に算出された空調負荷温度差ΔTs(i−1)を減算して計算されるものである。
E(i)=ΔTs(i)−ΔTs(i−1) ・・・(2”)
尚、空調負荷上限回転速度制御の開始時、初期回転速度としてガスエンジン21の現在のみかけ回転速度に0.9を乗じた値を設定したとき、前回制御量ΔN(i−1)の初期値としてガスエンジン21のみかけ回転速度に0.1を乗じた値を設定する。
次に、メインコントローラ40が実行する暖房運転時におけるガスエンジン21のみかけ回転速度制御について説明する。暖房運転時における上記制御は、基本的には冷房運転時に準じて行われるため、ここでは冷房運転時との相違点のみを抽出して説明する。メインコントローラ40は、センターコントローラ100からの省エネモードの実行指令の有無にかかわらず、ガスエンジン21のみかけ回転速度の目標値である要求回転速度を計算する。暖房時凝縮圧力要求制御においては、吐出側圧力センサ42により検出された冷媒圧力PHが目標冷媒圧力PH*に追従するように、冷媒圧力の偏差(PH*−PH)に応じてガスエンジン21のみかけ回転速度の要求回転速度が計算される。ガスエンジン21のみかけ回転速度が要求回転速度に制御される要求回転速度制御の実行時においては、空調能力が十分に確保され、各室内機3が設置されている空間での快適性が迅速に向上される。
ΔTs=Σ(PW×(T*−T))/ΣPW ・・・(3)
続いて、メインコントローラ40は、室外機2を始動してから所定時間(例えば、5分)以上経過すると、冷媒の凝縮温度CTが所定温度CTh(例えば、40°C)以上か否かを判断する。凝縮温度CTは、図5に示すように、吐出管28bの冷媒圧力PH(凝縮圧力)に相関関係を有し、吐出側圧力センサ42により検出される。メインコントローラ40は、冷媒の吐出温度CTが所定温度CTh以上となり、空調負荷温度差ΔTsが開始閾値としての所定温度差DTh(例えば2°C)を下回ると、前述の空調負荷上限回転速度制御を開始する。即ち、システムが安定し、空気調和装置1全体としての空調負荷が下がったと判断されると、メインコントローラ40は、空調負荷上限回転速度制御を開始する。この際、メインコントローラ40は、式(3)に基づいて算出された空調負荷温度差ΔTsを前記式(2)に適用して、空調負荷上限回転速度Nを演算する。空調負荷上限回転速度の演算に際し、前回制御量とその制御量を与えたときの空調負荷変動量(制御量効果)が反映されることで、空調負荷から本来要求されている圧縮機22の回転速度がより正確に計算される。
次に、省エネ率に対応する空調負荷上限回転速度制御の補正態様について説明する。メインコントローラ40は、センターコントローラ100から省エネモードの実行指令を受信したとき、省エネ率にしたがって開始条件補正値αを設定する。この開始条件補正値αは、空調負荷上限回転速度制御の開始条件に係る前記所定温度差DTc,DThを補正するものであり、図6に示すように、省エネ率が0%のときにゼロであって、省エネ率が大きくなるにしたがって大きくなるように設定されている。メインコントローラ40は、省エネ率と開始条件補正値αとの関係を表す関係情報を記憶しており、この関係情報を使って、省エネ率が0%となるときの空調負荷上限回転速度制御の開始条件である(ΔTs<DTc(冷房時),ΔTs<DTh(暖房時))を、(ΔTs<DTc+α(冷房時),ΔTs<DTh+α(暖房時))と補正する。従って、開始条件補正値αは、空調負荷上限回転速度制御の開始条件を緩和して、空調負荷上限回転速度制御を開始しやすくするためのものとなる。
省エネモードの実行指令により空調負荷上限回転速度制御を実施している場合には、実室内温度Tが設定温度T*に到達しにくくなるよう制御されるため、室外機2は継続して運転されることになる。この場合、エネルギー消費量の観点から、室外機2(ガスエンジン21により駆動される圧縮機22等)の運転をそのまま継続させるよりも、室外機2を発停(一旦停止させ、その後に、始動させること)させた方が好ましいケースもある。そこで、メインコントローラ40は、空調負荷上限回転速度制御の実行中、冷房運転時、暖房運転時の何れにおいても、空調負荷上限回転速度Nで室外機2の運転を継続するよりも、室外機2を発停した方がエネルギー消費量(所定時間内のガス消費量に相当)が少ないと推定される場合には、室外機2の運転を強制的に停止させる。メインコントローラ40は、空調負荷上限回転速度Nで室外機2の運転を継続するよりも、室外機2を発停させたほうがエネルギー消費量が少なくなると推定される状況(条件)を設定した省エネ用停止条件を記憶しており、この省エネ用停止条件が成立したときに室外機2の運転を速やかに停止させる。
(1)空調負荷が予め設定した閾値である省エネ用停止負荷を下回っている継続時間が予め設定した基準時間以上となること。
(2)ガスエンジン21のみかけ回転速度(上限制御されたみかけ回転速度)が、予め設定した閾値である省エネ用停止速度を下回ること。
一般に、室外機2を停止させた場合、機器の耐久性を考慮して、一定時間(例えば、3分程度)だけは室内機3(サブコントローラ50)からの温調要求に関わらず室外機2を停止状態に維持することが行われる。そして、一定時間を経過した後に、室内機3からの温調要求に基づいて室外機2が始動される。しかし、上記のように省エネを目的として室外機2を停止させた場合には、図11に示すように、省エネ用停止条件の成立によって室外機2の発停(始動と停止)が頻繁に繰り返される可能性がある。その場合には、省エネ性が低下してしまう。また、室温の状況変化に関わらず、常に一定時間だけは室外機2の始動を禁止してしまうと、快適性を損なう可能性もある。
(1)省エネ用停止条件が成立してからの経過時間tが、予め設定された閾値である省エネ用停止維持時間tkeep以上となること。(t≧tkeep)
(2)空調負荷温度差ΔTsが予め設定された閾値である始動許可温度差(DTstart+δ)以上となること。(δは省エネ率に応じて設定される始動許可補正値)
省エネ停止時始動許可条件は、(1)と(2)との何れかが成立したときに成立する。つまり、(1)と(2)とのOR条件である。
次に、冷房運転時または暖房運転時におけるガスエンジン21のみかけ回転速度の制御処理の流れについて説明する説明する、図2は、メインコントローラ40の実行するみかけ回転速度制御ルーチンを表す。みかけ回転速度制御ルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。まず、メインコントローラ40は、ステップS1において、要求回転速度制御時におけるガスエンジン21のみかけ回転速度の目標値である要求回転速度を計算する。続いて、ステップS10において、空調負荷上限回転速度制御時の空調負荷上限回転速度を計算する。図3は、このステップS10の処理をサブルーチンとして表したフローチャートである。
次に、室外機2を停止した後から、室外機2を再始動するまでの処理について説明する。図4は、メインコントローラ40が所定の周期で実行する室外機始動制御ルーチンを表す。メインコントローラ40は、室外機2を停止させた直後から、この室外機始動制御ルーチンを開始する。まず、メインコントローラ40は、ステップS101において、室内機3(サブコントローラ50)から温調要求を受けているか否かを判断する。温調要求を受けていない場合は、この室外機始動制御ルーチンを一旦終了する。
Claims (2)
- 冷媒を圧縮して循環させる圧縮機、および、冷房運転時は冷媒の凝縮器として機能し暖房運転時は冷媒の蒸発器として機能する室外機熱交換器を有する室外機と、
冷房運転時は冷媒の蒸発器として機能し暖房運転時は冷媒の凝縮器として機能する室内機熱交換器を有する室内機と、
省エネモードの実行の指示を受ける省エネモード受信手段と、
前記室内機における実際の空気温度が目標空気温度に到達しにくくなるように設定される前記圧縮機の省エネ用上限回転速度を演算する省エネ用上限回転速度演算手段と、
前記省エネモードの実行が指示されている場合、前記圧縮機の始動後、予め設定された上限制御開始許可条件が成立した後から、前記省エネ用上限回転速度によって前記圧縮機の回転速度の上限を制御する回転速度制御手段と、
前記回転速度制御手段により前記圧縮機の回転速度の上限の制御を継続するよりも前記室外機を発停させた場合の方がエネルギー消費量が少なくなると推定される条件を設定した省エネ用停止条件を記憶し、前記省エネ用停止条件が成立する場合に前記室外機を停止させる省エネ用停止手段と
を備えた空気調和装置において、
前記省エネ用停止手段によって前記室外機が停止された場合、その停止から予め設定された省エネ用停止維持時間を経過しないうちは、前記室外機の停止状態を継続させる室外機停止継続手段と、
前記省エネ用停止手段によって前記室外機が停止された後、前記省エネ用停止維持時間を経過していない場合であっても、前記室内機における実際の空気温度と目標空気温度との差を前記室内機の運転容量にて重み付けをした空調負荷温度差が始動許可温度差以上となる場合には、前記室外機の始動を許可する室外機始動許可手段と、
省エネの目標度合を表す省エネレベルを取得する省エネレベル取得手段と、
前記省エネレベルが高いほど前記始動許可温度差を大きい値に補正する始動許可温度補正手段と
を備えたことを特徴とする空気調和装置。 - 前記省エネ用停止維持時間は、前記省エネモードの実行が指示されていない運転モードにおいて前記室外機が停止した場合での停止状態を継続させる通常停止維持時間よりも長い時間に設定されていることを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
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