JP6072530B2 - 軟窒化処理方法 - Google Patents
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Description
請求項4に記載の発明の軟窒化処理方法は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記鉄鋼材料はステンレス鋼であることを特徴とする。
本発明の軟窒化処理方法では、尿素を含む窒化剤を加熱して熱分解し、その分解ガスにより軟窒化処理温度で鉄鋼材料の軟窒化処理を行うに際し、軟窒化処理温度の下限は400℃であり、軟窒化処理温度の上限は440℃から400℃の範囲で少なくとも2段階で低下するように設定されている。このため、尿素が軟窒化処理温度で熱分解されてアンモニアガス、シアン化水素ガス、浸炭性ガス(一酸化炭素)等の分解ガスが生成し、その分解ガスの存在下に鉄鋼材料の軟窒化処理が行われる。
まず、本実施形態の軟窒化処理方法を実施するための窒化処理装置について説明する。図1に示すように、窒化処理槽11は有底筒状に形成され、その内側下部には支持板12が架設され、被窒化処理物としての鉄鋼材料を収容するカゴ13が支持されている。被窒化処理物としては、ステンレス鋼のほか、軟鋼、金型鋼等が使用される。これらの鉄鋼材料のうちステンレス鋼は耐食性に優れているため化学装置、原子力設備等の構造材料として好適に用いられている。
さて、図1に示すように、ステンレス鋼等の鉄鋼材料の軟窒化処理を行う場合には、窒化処理槽11内の支持板12上のカゴ13内に鉄鋼材料を配置するとともに、スクリューコンベア16の投入口17に所定量の尿素を投入し、スクリューコンベア16を回転させ、導入流路14を介して窒化処理槽11内に供給する。次いで、導入流路14の導入用バルブ15を閉じるとともに、導出流路22の導出用バルブ23を閉じる。その状態で、加熱装置19により窒化処理槽11内を加熱する。
(1)本実施形態における軟窒化処理方法では、尿素を加熱して熱分解し、その分解ガスにより鉄鋼材料の軟窒化処理を行うに際し、軟窒化処理温度の下限が400℃であり、上限が440℃から400℃に亘って段階的に低下するように設定されている。このため、軟窒化処理は軟窒化処理温度の下限と上限との間の低温で行われ、尿素が熱分解されてアンモニアガス、シアン化水素ガス、一酸化炭素ガス等の分解ガスが生成し、その分解ガスにより、前記化合物層の形成を抑制しつつ、鉄鋼材料の軟窒化処理を効率良く実施することができる。
(2)前記軟窒化処理温度の上限は440℃から400℃に亘って少なくとも2段階で低下するように設定されている。このため、尿素の分解による窒素原子の生成及びその窒素原子による窒化反応の促進と、窒化物に基づく化合物層の生成反応の抑制とを効果的に行うことができる。
(3)前記軟窒化処理温度の下限は軟窒化処理時間に拘らず400℃であり、軟窒化処理温度の上限は総軟窒化処理時間が3〜5時間までは440℃、その後総軟窒化処理時間が6〜10時間までは420℃である。この場合には、窒化反応の促進と、前記化合物層の生成反応の抑制とを一層効果的に行うことができる。
(4)前記窒化剤が尿素のみにより構成されていることにより、その熱分解によって窒化性のアンモニアガス、浸炭性の一酸化炭素及び還元性のシアン化水素ガスを生成させることができ、鉄鋼材料の表面に窒素原子の拡散層を速やかに形成することができる。
(5)前記鉄鋼材料はステンレス鋼である。このため、ステンレス鋼のもつ耐食性を保持しつつ、ステンレス鋼表面の硬さ等の物性を向上させることができる。
(6)前記ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼である。そのため、本窒化処理により、非磁性のままオーステナイト系ステンレス鋼のもつ優れた耐食性を保持又は向上しつつ、耐磨耗性、耐疲労性(耐久性)の向上を図ることができる。
(7)窒化処理槽11内において、尿素の分解と軟窒化処理を同時に行うことから、浸炭ガス生成用の変成炉やハロゲン化物供給装置又は尿素の熱分解炉を窒化処理槽11とは別に設ける必要がなく、装置の構成を簡易にできるとともに、軟窒化処理を効率良く実施することができる。
(8)本実施形態の窒化処理方法では、軟窒化処理温度が440℃以下で実施できることと、プロパンガス等から浸炭性ガスを生成するための別置の変成炉での加熱処理が不要なため、従来の例えば570℃で行うガス窒化処理方法に比べて、加熱温度が著しく低く、省エネルギー化を図ることができる。
(実施例1及び比較例1)
鉄鋼材料として、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)の板材を使用した。このステンレス鋼の組成は、炭素(C)0.06質量%、シリカ(Si)0.43質量%、マンガン(Mn)1.11質量%、リン(P)0.031質量%、硫黄(S)0.005質量%、ニッケル(Ni)8.04質量%、クロム(Cr)18.07質量%、残部鉄(Fe)であった。
すなわち、軟窒化処理後のステンレス鋼を切断した状態で、マーブル腐食液(硫酸銅4g、塩酸20ml及び水20mlの割合の混合液)に浸漬した後、ステンレス鋼の表面から、切断面の色調が異なる境界部までの厚さを測定し、軟窒化層の厚さとした。なお、ステンレス鋼の母材は黒色系で軟窒化層は白色系になるため、境界部を判別することができる。その結果、図4に示すように、母材30の表面に厚さ16μmで、ほぼ均一な厚さの軟窒化層31が形成されていた。
実施例1で軟窒化処理後に得られたステンレス鋼及び比較例1のステンレス鋼について、耐食性の試験(硫酸腐食試験)をJIS−G0591に準拠し、ステンレス鋼を5質量%硫酸水溶液中に6時間浸漬することによって行った。
(参考例1)
前記実施例1において、窒化処理槽11内の軟窒化処理温度を終始400℃に保持した以外は、実施例1と同様にしてステンレス鋼の軟窒化処理を行った。その結果、得られたステンレス鋼表面の軟窒化層(拡散層)の厚さは、約1μmであった。この軟窒化処理後のステンレス鋼は、その表面に厚さ1μmの軟窒化層が形成されていることから、その表面における耐食性について実施例1とほぼ同等の効果が得られるものと推測される。
(比較例2及び3)
比較例2では、実施例1において、窒化処理槽11内の軟窒化処理温度を550℃の一定温度とした以外は実施例1と同様にして軟窒化処理を行った。比較例3では、比較例2おける浸炭窒化処理を行わなかった。そして、軟窒化処理後の比較例2のステンレス鋼及び未処理の比較例3のステンレス鋼について、下記に示す方法で耐食性の試験を行った。
・ 前記窒化処理槽11内における軟窒化処理温度の上限を、前記温度領域R内において、440〜400℃に亘って3段階又は4段階以上に低下するように構成してもよい。
・ 前記窒化処理槽11内におけるアンモニアガス、シアン化水素ガス又は一酸化炭素ガスの濃度を測定し、それらの濃度に基づいて温度領域R内で軟窒化処理温度や軟窒化処理時間を調整してもよい。
Claims (5)
- 尿素を含む窒化剤を加熱して熱分解し、その分解ガスにより軟窒化処理温度で鉄鋼材料の軟窒化処理を行う軟窒化処理方法において、
前記軟窒化処理温度の下限は400℃であり、軟窒化処理温度の上限は440℃から400℃の範囲で少なくとも2段階で低下するように設定されているとともに、前処理を施すことなく軟窒化処理を行い、化合物層のない拡散層のみの軟窒化層を形成することを特徴とする軟窒化処理方法。 - 前記軟窒化処理温度の下限は軟窒化処理時間に拘らず400℃であり、軟窒化処理温度の上限は総軟窒化処理時間が3〜5時間までは440℃、その後総軟窒化処理時間が6〜10時間までは420℃であることを特徴とする請求項1に記載の軟窒化処理方法。
- 前記窒化剤は尿素のみにより構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軟窒化処理方法。
- 前記鉄鋼材料はステンレス鋼であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の軟窒化処理方法。
- 前記ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項4に記載の軟窒化処理方法。
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