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JP6071010B2 - 溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶接方法に関する。より詳しくは、本発明は、ボイドの発生を抑制しながら好適に溶接することができる溶接方法に関する。
従来より、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウム電池、電気二重層キャパシタおよびリチウムイオンキャパシタ等の蓄電素子は、発電を行う発電要素をケースに収容し、密閉することで構築されている。かかるケースは、典型的には、一面に開口を有するケース本体と、この開口に対応する形状の蓋部材とから構成されており、ケース本体に蓋部材を嵌め込んだのち、両者を溶接等の手法で接合することで、開口部を蓋部材で封口するようにしている。かかるケースの封口には、一般に、レーザ溶接(レーザビーム溶接ともいう。)が採用されている。かかるレーザ溶接に関する従来技術として、例えば、特許文献1および2が挙げられる。
特開2011−092944号公報 特開2011−204396号公報
上記の特許文献1には、例えば、第1部材と第2部材とを突き合わせ接合するに際し、1つの低輝度レーザと2つの高輝度レーザとを重畳させた重畳レーザ光を使用することが開示されている。ここで、低輝度レーザは、第1部材と第2部材との間の隙間が光軸となるように、かつ、レーザ照射領域を大きくして照射される。また、高輝度レーザ光は、この低輝度レーザ光よりも照射領域が小さい2つの高輝度レーザを、第1部材と第2部材とにそれぞれ照射するようにしている。そして、この重畳レーザ光により溶融された第1部材の溶融物と第2部材の溶融物とで、上記の隙間を埋め、第1部材と第2部材とを接合するようにしている。
ところで、上記の蓄電素子のケース等においては、軽量化およびコスト削減等の観点から、ケースを構成する板状の構成部材の薄板化が進められている。例えば、ケース本体と蓋部材との溶接において、ケース本体の開口部の内側に蓋部材を嵌め込み、ケースの上方からレーザ光を照射して溶接する。この場合、ケース本体については、当該ケース本体を構成する板材の側面部が、溶接の際にレーザ光が照射されるレーザ照射面に相当する。すなわち、ケース本体において、レーザ光が照射される面方向であって、かつ、ケース本体と蓋部材との界面(接合面であり得る。)に直交する方向の寸法(以下、かかる寸法を、単に、レーザ照射面の「幅」という場合がある。)は、板材の厚みに相当する。
このようなレーザ照射面の幅の小さいケース本体と蓋部材との溶接に際し、上記特許文献1に開示される溶接方法を適用すると、ケース本体と蓋部材との溶接深部にボイド(ブローホール,ポロシティ,ポア等ともいう。)が形成されやすい。しかしながら、かかる寸法(幅)の小さいケース本体にこのようなボイドが形成されると、ケース本体を構成する板材の強度低下の影響が無視できず、十分な溶接強度が得られないという問題があった。これに対し、ボイドの形成されない低輝度レーザ光を照射して溶接を行うと、十分な溶融深さ、延いては十分な接合面深さを確保することができず、十分な溶接強度を得ることができない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボイドの発生を抑制することでかかるボイドに起因する溶接強度の低下を抑制し、高い溶接強度を安定して実現し得る溶接方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するものとして、板状の第1部材と、板状の第2部材とをレーザ溶接する溶接方法を提供する。かかる溶接方法は、上記第1部材と上記第2部材とを、互いの幅広面が直交する方向で、かつ、上記第1部材の幅広面に対して上記第2部材の側面部が略面一となるよう、上記第1部材の側面部と上記第2部材の幅広面端部とを突き合わせること、ここで上記第2部材に対向する上記第1部材の側面部を第1接合面とし、上記第1部材に対向する上記2部材の幅広面端部を第2接合面としたとき、前記第1部材の前記第1接合面に直交する方向における寸法は、前記第2部材の前記第2接合面に直交する方向における寸法よりも大きい;上記第1部材の幅広面に、キーホールを発生させ得る強度の第1レーザ光を前記第1接合面に沿って照射し、上記第1レーザ光により溶融されてなる第1溶融池を形成すること、ここで上記第1溶融池は上記第2部材に亘って形成される;および、上記第2部材の側面部に、キーホールを発生させ得るよりも低い強度の第2レーザ光を上記第2接合面に沿って照射し、上記第2レーザ光により溶融されてなる第2溶融池を形成すること、ここで上記第2溶融池は前記第1部材に亘って形成される;を包含している。そして、上記第1溶融池と上記第2溶融池とは、互いに一体化されて溶融池を形成し、上記溶融池が凝固してなる溶接部により上記第1部材と上記第2部材とを溶接することを特徴としている。
かかる構成によると、比較的高強度(高輝度)の第1レーザ光により、第1部材に十分な溶け込み深さを有するキーホール型の第1溶融池を形成することができ、十分な量の溶融金属を確保することができる。また、より厚みの薄い第2部材については、比較的低強度(低輝度)の第2レーザ光により熱伝導型の第2溶融池を形成することができ、薄肉部に溶接強度の低下をもたらし得るボイドが発生するのを抑制することができる。そして、このとき、第2溶融池を第1溶融池に対して重畳させる。これにより、第1部材と第2部材との境界たる接合面に占める溶接部の割合を容易かつ安定的に増やすことができる。すなわち、例えば、第1レーザ光の軌道ずれ等により、キーホール型の第1溶融池が所定の位置からずれた場合であっても、全体として第1部材と第2部材との接合面を十分な面積の溶接部で接続することができ、溶接強度を安定して確保することができる。
ここに開示された溶接方法の好ましい一態様においては、上記第1レーザ光の出力密度Iが、5.6×10W/cm≦I<1.1×10W/cmであることを特徴としている。このように、第1レーザ光の出力密度Iを概ね上記範囲とすることで、確実にキーホール型の溶融池を形成することができるとともに、過剰な強度のレーザによる溶接不良を抑制することができる。これにより、溶接強度をより一層確実に高め高品質な溶接を実現することができる。
ここに開示された溶接方法の好ましい一態様においては、上記第2レーザ光の出力密度Iが、2.8×10W/cm≦I<5.6×10W/cmであることを特徴としている。かかる構成によると、第2レーザ光の出力密度Iを調整することで、第2部材に十分な溶け込み深さを有する熱伝導型の溶融池を確実に形成することができる。これにより、第2部材にボイドが発生するのを確実に抑えることができる。
ここに開示された溶接方法の好ましい一態様においては、上記第2レーザ光の出力密度Iが3.8×10W/cm以上5.6×10W/cm未満であるとき、上記第1レーザ光および上記第2レーザ光の走査速度を20m/分以上とすることを特徴としている。これにより、より接合強度の高い高品質な溶接を比較的高速度で実施することができる。
ここに開示された溶接方法の好ましい一態様においては、上記第2レーザ光の出力密度Iが2.8×10W/cm以上3.8×10W/cm未満であるとき、上記第1レーザ光および上記第2レーザ光の走査速度を20m/分未満とすることを特徴としている。これにより、第2レーザ光としてより低輝度のレーザを使用する場合であっても十分な溶接熱を投入することができ、より接合強度の高い高品質な溶接を実施することができる。
ここに開示された溶接方法の好ましい一態様においては、上記第1レーザ光の出力密度Iと上記第2レーザ光の出力密度Iとが、I≧5×Iを満たすことを特徴としている。かかる構成によると、上記の溶接方法における効果をより一層効率的に得ることができる。
ここに開示された溶接方法の好ましい一態様においては、上記第1レーザ光の照射径dと上記第2レーザ光の照射径dとが、d<dを満たすことを特徴としている。かかる構成によると、上記の溶接をより効率的に実現することができる。
ここに開示された溶接方法の好ましい一態様においては、上記第1または第2の接合面に直交する断面における上記接合面の溶接部の深さDwと、上記第2部材の上記第2接合面に直交する方向の寸法Lとが、Dw≧Lを満たすことを特徴としている。かかる構成によると、より一層確実に、溶接強度を高めることができる。
他の側面において、ここに開示される発明は、板状の第1部材と、板状の第2部材とが溶接部により接合されている溶接構造を提供する。かかる溶接構造において、上記第1部材と上記第2部材との接合面に直交する方向における上記第1部材の寸法は、当該方向における上記第2部材の寸法よりも大きい。また、上記溶接部は、上記接合面を含む面において区分される第1溶接部と第2溶接部とを有している。そして、上記第1溶接部は、上記第1部材に照射されたレーザにより形成されたキーホール型の溶接部により主として構成され、かつ、上記キーホール型溶接部の先端部分を含んでいる。また、上記第2溶接部は、上記第2部材に照射されたレーザにより形成された熱伝導型の溶接部により主として構成され、かつ、上記キーホール型溶接部の先端部分を除く部位の少なくとも一部と上記熱伝導型の溶接部との少なくとも一部を含むように構成されていることを特徴としている。
かかる構成によると、2種類の特徴の異なるレーザ光を組み合わせて用い、被溶接部材に適切に適用することにより、溶接部の形状と欠陥の発生とを適切に制御することができる。これにより、例えば、ブローホール(すなわちボイドであり得る。)の形成を抑制しつつ、かつ、深い溶接深さを安定して確保することができる。延いては、溶接強度が安定して確保されている溶接構造が実現され得る。
ここに開示された溶接構造の好ましい一態様においては、上記接合面に直交する断面における上記接合面の溶接部の深さDwと、上記第2部材の当該断面方向の寸法Lとが、Dw≧Lを満たすことを特徴としている。かかる構成によると、より一層確実に、溶接強度が確保され得る。
図1は、ここに開示される溶接方法の一実施形態を説明するための平面図である。 図2Aは、図1の溶接方法により形成される溶接構造を例示した断面模式図である。 図2Bは、第1部材に第1レーザ光のみが照射された場合に形成される溶接構造を例示した断面模式図である。 図3は、実施例における(1)溶接方法1および(2)溶接方法2により形成された溶接部における溶接方向の断面の様子を示す図である。 図4は、実施例における溶接方法2により従来の溶接方法により第2部材にボイドが形成された様子を示す断面図である。 図5は、本発明の溶接方法が適用されたリチウムイオン電池の構成を説明する断面切り欠き図である。 図6は、図5の上面図である。
以下、ここで提案される電極について、好適な一実施形態をもとにして、適宜図面を参照しつつ、詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、溶接機の構成や作動方法等の一般的事項等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。また、各図は模式的に描かれており、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図1は、本発明に係る溶接方法の一実施形態を説明するための平面図である。図2Aは、ここに開示される溶接方法により形成される溶接構造を例示した図であり、溶接進行方向Gに直交する断面における溶接構造を例示した図である。本実施形態における溶接方法では、図1に示すように、第1レーザ光1と第2レーザ光2とを使用して、板状の第1部材10と板状の第2部材20とを突き合わせ接合するようにしている。なお、本明細書において、第1部材10および第2部材20の形状に関する「板状」との表現は、上記の溶接方向Gに直交する各部材の断面が板状であることを意味するものであって、当該溶接方法に影響を及ぼす溶接部近傍(例えば、熱影響部を含む溶接部)以外の各部材の形状については何ら制限するものではない。
かかる溶接方法においては、第1部材10と第2部材20とを、互いの幅広面が直交する方向で、かつ、第1部材10の幅広面に対して第2部材20の側面部が略面一となるよう、第1部材10の側面部と第2部材20の幅広面端部とを突き合わせる。ここで第2部材20に対向する第1部材10の側面部を第1接合面12とし、第1部材10に対向する第2部材20の幅広面端部を第2接合面22とする。以下、第2部材20の接合面に直交する方向の寸法(つまり、レーザ照射面における第2部材20の幅)をLと示す。ここで、第1部材10の第1接合面12に直交する方向における寸法は、第2部材20の第2接合面22に直交する方向における寸法Lよりも大きい。特に制限されるものではないが、このような形態の第1部材10と第2部材20とは、典型的には、第2部材20が第1部材10よりも厚みの薄い態様であり得る。
なお、突き合わせに際しては、第1部材10と第2部材20の形状によっては、両部材を嵌め合わせることで突き合わせを実現する構成のものもある。また、第1部材10と第2部材20の形状によっては、両部材の嵌め合わせを容易にする目的等から、第1接合面12と第2接合面22との間に隙間が設けられていることがあり得る。あるいは、様々な誤差等で隙間が生じることもあり得る。なお、第1部材10と第2部材20との間の隙間を狭くしたり、解消したりする目的で、第1部材10と第2部材20とを接合面12,22の外方から両者が当接する内方に向けて押圧する場合もある。この図では、第1部材10と第2部材20との間に隙間がない例を示しているが、隙間があってもここに開示される溶接方法は同様に実施することができる。なお、第1部材10と第2部材20との間に隙間が生じる場合は、かかる隙間の中心が接合面であると仮定して、以下に説明される本発明を実施すればよい。
[第1レーザ光]
第1レーザ光1は、第1部材10の幅広面に照射される高輝度(高出力密度)レーザ光であって、主として第1部材10を溶融するのに用いられる。かかる第1レーザ光1は、第1部材10に対してキーホールを発生させ得るレーザ強度(出力密度)を有している。出力密度の高いレーザ光により被溶接部材を溶融する場合は、溶融池ではレーザ光の照射と同時に被溶接部材の蒸発が始まり、その蒸気によって材料表面に反発力が生じて溶融池にくぼみが生じる。かかるくぼみにおいてレーザ光が乱反射を繰り返すことにより、このくぼみは急速に深まって空洞が形成される。この空洞をキーホールといい、第1レーザ光1は、かかるキーホールが形成されるような出力密度のレーザ光により構成されることが肝要である。そしてこの第1レーザ光1は、第1接合面12に沿って第1部材10のレーザ照射面(幅広面)に照射され、溶接進行方向Gに進行する。図1におけるLW1は、かかる第1レーザ光1の軌道を例示している。
かかる第1レーザ光1のレーザ強度は、第1部材10の材質等にもよるため厳密には言えないものの、おおよその目安として、出力密度Iが5.6×10W/cm≦I<1.1×10W/cmのレーザ光とすることができる。出力密度Iは、好ましくは10×10W/cm以上であり、より好ましくは5.6×10W/cm以上である。なお、出力密度Iの上限は特に制限はないが、必要以上のレーザエネルギーの投入はスパッタが発生しやすく溶接不良を招き得るために好ましくない。そのため、出力密度Iは、例えば、第1部材10を貫通しない程度の出力密度とすることができ、好ましくは10×10W/cm以下であり、より好ましくは8×10W/cm以下である。より好ましくは、図2Aに示される、所定の接合面深さDwを安定して確保し得る出力密度を目安として決定することができる。ここで、接合面深さDwとは、第1接合面12と第2接合面22とが付き合わされて形成される接合面12,22における、溶接部30の深さ方向(図では上下方向)の寸法である。例えば、図2Aに示される、溶接進行方向Gに直交する断面において、接合面深さDwは、第1部材10と第2部材20との界面(接合面)を含む面での溶接部30の寸法として理解することができる。かかる接合面深さDwは、溶接部30の全体を考慮した場合、第1部材10と第2部材20との界面(接合面)を含む面における溶接部30の溶接面積を反映し得る指標となり得る。
ここで、第1レーザ光1のみにより形成される溶融池の形状は、例えば図2Bに参照されるように、いわゆるキーホール型を呈している。したがって、溶接進行方向Gに直交する断面におけるビード幅と熱影響部は狭く、溶け込みが深い溶接部16’が得られる。例えば、かかる断面において、第1部材10の表面における第1溶融池14’および第1溶接部16’の寸法(例えば溶融幅とも言える。)をa1、第1部材10における第1溶融池14’および第1溶接部16’の溶融深さをb1としたとき、(b1/a1)で表される第1溶融池14’および第1溶接部16’のアスペクト比(第1アスペクト比という。)は、1を超過する値となり得る。典型的には、かかる第1アスペクト比は、1.5以上であり、より好ましくは2以上である。なお、実際には、第1部材10には、この第1レーザ光1が照射されることに加えて、第2レーザ光2による熱影響が加味される。したがって、実際の溶接時にはかかる第1アスペクト比を確認するのは困難であり得る。その場合は、例えば、図2Bに例示したように、予め、第1部材10および第2部材20と同一の素材を用い、当該第1レーザ光1を単独で照射して形成される第1溶融池14’および第1溶接部16’について、第1アスペクト比を求めることができる。
[第2レーザ光]
第2レーザ光2は、第2部材20の側面部に照射される低輝度(低出力密度)レーザ光であって、主として第2部材20を溶融するとともに、第1レーザ光1による溶融を補助する目的で用いられる。かかる第2レーザ光2は、第2部材20に対してキーホールを発生させ得るよりも低いレーザ強度を有している。かかる出力密度のレーザ光を被溶接部材に照射すると、レーザ光はその表面で吸収され、吸収された光が熱に変換される。そして、かかる熱エネルギーが伝導した領域において、被溶接部材が溶融されて溶融池を形成する。この熱伝導型の溶融形態においては、キーホールは形成されない。この第2レーザ光2は、第2接合面22に沿って第2部材20のレーザ照射面(側面部)に照射され、溶接進行方向Gに進行する。図1におけるLW2は、かかる第2レーザ光2の軌道を例示している。
このような第2レーザ光2のレーザ強度は、第2部材20の材質にもよるため一概には言えないものの、おおよその目安として、出力密度Iが、2.8×10W/cm≦I<5.6×10W/cmのレーザ光とすることができる。出力密度Iは、好ましくは5.5×10W/cm以下であり、より好ましくは4×10W/cm以下であり得る。なお、出力密度Iの下限は特に制限はないが、第1レーザ光1による溶融を補助し得る程度の溶け込み深さが得られるレーザエネルギーが投入されるのが好ましい。したがって、第2レーザ光2のレーザ強度Iは、例えば、所定の接合面深さDwを安定して確保し得る出力密度を目安に決定することができ、好ましくは3×10W/cm以上であり、より好ましくは3.2×10W/cm以上である。なお、より好ましくは、例えば、図2Aに示されるように、溶接進行方向Gに直交する断面において、第2部材20に形成される溶融池24の形状がレーザ照射方向で深さ方向に凸部(図の第2溶接部26の右端部参照)を形成する程度の出力密度とすることができる。
なお、第1レーザ光1の出力密度Iと第2レーザの出力密度Iとは、特に制限されるものではないが、例えば、I≧5×Iを満たす関係にあるのが好ましい。出力密度がこのような関係にあることで、後述する溶接部30の形状を好適に整えることができる。第1レーザ光1の出力密度Iと第2レーザの出力密度Iとは、I≧8×Iであるのがより好ましく、さらには、I≧10×I、例えばI≧12×Iであるのがより好ましい。
また、かかる第2レーザ光2のみにより形成される溶融池の形状は、いわゆる熱伝導型を呈している。したがって、第2部材20の表面における第2溶融池の寸法(例えば溶融幅とも言える。)をa2、第2部材20における第2溶融池の深さをb2としたとき、(b2/a2)で表される第2溶融池のアスペクト比(第2アスペクト比という。)は、1以下の値であり得る。典型的には、かかる第2アスペクト比は、0.7以下であり、より好ましくは0.5以下である。なお、実際には、第2部材20には、この第2レーザ光2が照射されるのに加え、第1レーザ光1による溶融池が形成される。そのため、実際の溶接時にはかかる第2アスペクト比を確認するのは困難であり得る。かかる場合は、図示しないが、例えば、第1アスペクト比と同様に、予め、第1部材10および第2部材20と同一の素材を用い、当該第2レーザ光2を単独で照射して形成される第2溶融池および第2溶融部について、第2アスペクト比を求めることができる。
なお、上記の第1レーザ光1と第2レーザ光2とにおいて、これらの照射径については特に制限されない。例えば、第1レーザ光1の照射径は、使用するレーザ溶接装置(レーザ発振装置)の出力や光学系の精度等に応じて、キーホール型の溶接が可能となるように調整することができる。また、第2レーザ光2の照射径についても、使用するレーザ溶接装置(レーザ発振装置)の出力や光学系の精度等に応じて、熱伝導型の溶接が可能であって、第1レーザ光1による溶融を補助し得るように調整することができる。したがって、第1レーザ光1が高出力密度を実現し、第2レーザ光2が低出力密度を実現することから、典型的には、第1レーザ光1の照射径dと第2レーザ光2の照射径dとは、d<dの関係となり得る。例えば、第1レーザ光1の照射径dと第2レーザ光2の照射径dとが、2d≦dの関係となるように調整することが、両レーザのバランスが好適な例として示される。第1レーザ光1の照射径dと第2レーザ光2の照射径dとは、3d≦dであるのが好ましく、5d≦dであるのがさらに好ましい。なお、第2レーザ光2の照射径dの上限については特に制限はないが、第2レーザ光2を照射する第2部材の厚みLを考慮して決定することができる。例えば、第2レーザ光2の照射径dは、第2部材の厚みLよりも小さい(d<L)ことが望ましい。さらには、第2レーザ光2の軌道ずれを考慮すると、d≦0.8×L程度(例えば、0.7×L≦d≦0.9×L)を目安に設定するのが好ましい。なお、第1レーザ光1と第2レーザ光2とは、熱影響部の領域(照射領域)が重畳されていても良いが、レーザ光自体が必ずしも重畳されている必要はない。第1レーザ光1と第2レーザ光2とは、好ましくは、重畳させずに単独で照射することができる。
[溶接部の形成]
第1レーザ光1は、第1部材10の幅広面(表面)に、例えば、上記の接合面から所定の間隔をおいた位置に照射される。そして、第1部材10の第1接合面12に沿って、溶接進行方向Gに移動される。つまり、第1レーザ光1の光軸は、図1のLW1に示されるように、第1部材10の表面の、接合面から所定の間隔をおいた位置を、接合面に沿って移動する。また、第2レーザ光2は、第2部材20の側面部(表面)に、例えば、上記の接合面から所定の間隔をおいた位置に照射される。そして、第2部材20の第2接合面22に沿って、溶接進行方向Gに移動される。つまり、第2レーザ光2の光軸は、図1のLW2に示されるように、第2部材20の表面の、接合面から所定の間隔をおいた位置を、接合面に沿って移動する。
ここで、第1レーザ光1により第1部材10が溶融されることで、主として第1溶融池14が構成される。そしてかかる溶融池は、第2部材に亘って形成される。換言すると、第1レーザ光1により、第2部材20をも溶融するようにしている。また、第2レーザ光2により第2部材20が溶融されることで、主として第2溶融池24が構成される。そしてかかる溶融池は、第1部材に亘って形成される。換言すると、第2レーザ光2により、第1部材10をも溶融するようにしている。そして、これらの第1溶融池14と第2溶融池24とが、互いに一体化されて単一の溶融池を形成し、これが凝固することで、溶接部30を形成することができる。これにより、第1部材10と第2部材20とをかかる溶接部30により接合することができる。また、第1部材10と第2部材20との間に隙間が生じている場合でも、かかる隙間を第1溶融池14と第2溶融池24とで埋めながら、第1部材10と第2部材20とを溶接部30により接合することができる。なお、かかる溶接部30を好適に形成するためには、第1溶融池14と第2溶融池24とが互いに一体化し得るように、第1レーザ光1と第2レーザ光2との光軸を並走ないしは略併走させることが好ましい。
[溶接部の形状]
ここで、第1レーザ光1は、本質的には、例えば図2Bに示したとおり、キーホール型の第1溶融池14’を形成する。したがって、第1溶融池14’の接合面(溶接進行方向)に直交する断面は、先端部Tが鋭角の扇形に似た形状を含み得る。ここで、第1レーザ光1を第1接合面12により近い位置に照射することで、第1レーザ光1による接合面深さDw’をより深くとることができる。そしてかかる第1溶融池14’に、第2レーザ光2による第2溶融池24が重畳されることで、キーホール型の溶接部の対称性が乱れ、例えば図2Aに示したとおり、より深い接合面深さDwを簡便に実現することができる。
このとき、かかる第1レーザ光1による第1溶融池14’の断面形状は、先端部Tから離れるにつれて溶融深さが急激に浅くなってゆく。すなわち、溶融深さが急激に小さくなっている。また、第2部材20の領域においても、第2接合面22から離れるにつれてその深さが急に小さくなってゆく。したがって、第1レーザ光1の軌道が何らかの誤差により第1部材10のより中心側(図では左側)にずれることで、第1溶融池14’も全体として第1接合面12よりも第1部材10の中心側にずれて形成されることになる。このとき、第1溶融池14’の形状から、第1レーザ光1により形成される接合面深さDw’は著しく減少することとなり得る。
ここに開示される溶接方法においては、かかる第1レーザ光1による第1溶融池14’に、第2レーザ光2による第2溶融池が重畳される。これにより、例えば図2Aに示されるように、第2部材20の第2溶融池24の溶融深さは、先端部Tから離れたときの減少の度合いが緩和され得る。従って、第1レーザ光1の軌道が第1部材10のより中心側にずれた場合であっても、十分な接合面深さDwを安定して確保することができる。
また、第2レーザ光2によると熱伝導型の第2溶融池24が形成されるため、第2部材20においてはボイド等の溶接欠陥は形成され難い。これにより、第2部材20における溶接部30の強度を高く維持することができる。
なお、第2部材20の第2接合面22に直交する幅方向の寸法Lが比較的小さい、すなわち肉薄の場合等においては、第2レーザ光2による入り熱が第2部材20に伝播し、第2接合面22とは反対側の幅広面にまで到達し得る。例えば、第2部材20の側面部のうち、第2接合面22とは反対側の端部である、第2部材20の隅角部までもが溶融される場合がある。かかる場合、更なる入り熱は、第2部材20の幅方向外側(第2接合面22とは反対側)に伝播することができないため、上記反対側の幅広面に沿って深さ方向に伝播することとなる。このような入り熱は、接合面22近傍においては接合面深さDwを増大させるとともに、上記反対側の面近傍では深さ方向に伝熱して第2溶融池24の溶融深さを変化させ得る。その結果、例えば、図2Aに示されるとおり、第2部材20の第2接合面22に直交する断面における、溶接部30の形状は特徴的なものとなり得る。例えば、溶接部30を、図2Aに示されるとおり、接合面12,22を含む面により区分けして、第1部材10側に位置する溶接部を第1溶接部16、第2部材20側に位置する溶接部を第2溶接部26とする。すると、すなわち、第2溶接部26の溶融深さは、第2接合面22から離れるに従い、一旦緩やかに浅くなっていくものの、さらに離れて反対側の面に近づくにつれて再び深さを増し(図では下側に傾斜)、深さ方向に凸(図では下に凸)な部分を含み得る。かかる特長的な第2溶接部26の形状が実現されることで、溶接部30全体の断面形状は、第1部材10におけるキーホールと、第2部材20における深さ方向への凸部とを有する。すなわち、溶接部30は接合面に平行な方向の2つの凸部により接合面を挟み、第1部材10と第2部材20とが乖離することを抑制する。したがって、接合面に直交する幅方向での接合強度はより一層強固なものとなり得る。また、第1レーザ光1の軌道が第1部材10の中心側にずれた場合であっても、溶接部30の接合面深さDwを更に安定して確保することができる。
以上のような第2溶接部26の特徴的な断面形状は、第2レーザ光による第2部材20への投入熱量を適切に調整することで好適に形成することができる。例えば、第2部材20に熱伝導型の第2溶融池が形成される範囲で十分な量の溶接熱を投入し、これを第2部材20の表面に沿って伝熱させることが好適な例として示される。かかる投入熱量の調製は、第2部材20の材質や幅(接合面に直交する方向の寸法)等にもよるため一概には言えないが、例えば一例として、第2部材20が幅1mm以下(例えば0.5mm以下)の肉薄部材である場合に、以下の条件を目安として溶接を実施することができる。
すなわち、具体的には、例えば、(1)第2レーザ光の出力密度Iが3.8×10W/cm以上5.6×10W/cm未満の低輝度であるときは、レーザから十分な熱量が瞬時に供給され得る。そのため、第2レーザ光の走査速度を20m/分程度以上と比較的早い速度で溶接を行うことができる。一方で、(2)第2レーザ光の出力密度Iが2.8×10W/cm以上3.8×10W/cm未満とさらに低輝度であるときは、レーザから十分な熱量が瞬時に供給され難い。したがって、上記の特徴的な第2溶接部26の断面形状を確実に形成するためには、第2レーザ光の走査速度を20m/分未満(好ましくは15m/分以下、例えば10m/分以下)と比較的低速にすることが好ましい。これにより、第2レーザ光の出力が低い場合であっても、上記の特徴的な第2溶接部26の断面形状を確実に形成することが可能となる。
なお、上記の第2部材20の寸法L、すなわち第2部材20の厚みについては、第1部材10の接合面に直交する方向における寸法、すなわち第1部材10の幅広面の寸法よりも小さい限り、上記のここに開示される溶接方法の効果が得られ易いために特に制限されない。しかしながら、キーホール型の溶接部において顕著に発生する直径が0.1mm以上を超えるボイドは、溶接部30の強度低下に影響を及ぼし得る。特に寸法Lが小さく(換言すると、厚みが薄く)溶接強度の確保が困難な溶接部に対しては顕著な強度低下をもたらし得る。しかしながら、ここに開示される溶接方法は、このような寸法Lの小さい第2部材20を溶接する場合において、その効果が特に顕著に発現されるために好ましい。このように、ボイドの存在により溶接強度の低下が顕著となり得るとの観点からは、ここに開示される溶接方法では、寸法Lが、0.1mm以上であって、例えば、1mm以下、より限定的には0.5mm以下、例えば、0.4mm以下のような肉薄の第2部材20を溶接を被溶接部材とすることができる。
また、上述のように、第1部材10と第2部材20とは、第1部材10に形成されたキーホール形状の溶接部を含む第1溶接部16と、第2部材20に形成された深さ方向に凸な溶接部を含む第2溶接部26とにより、機械的(構造的)にも強固な固定が実現され得る。すなわち、第1部材10と第2部材20とは、溶接部30の凝固に伴う界面での化学的な結合に加え、溶接部30の形態により機械的にも強固に結合され得る。さらに、薄肉の第2部材20についてはボイド等の溶接欠陥が溶接強度に与える影響はより一層大きくなり得るが、かかる第2部材20にはボイドが形成され難い。これにより、第1部材10と第2部材20との溶接を、より高強度で、より一層信頼性の高いものとすることができるとともに、より高強度で信頼性の高い溶接構造が提供される。
なお、第1レーザ光1と第2レーザ光2とは、第1部材10と第2部材20との間の接合面12,22または隙間に照射されないよう制御するのが好ましい。すなわち、上記のとおり、第1レーザ光1と第2レーザ光2とは、それぞれ第1部材10の表面と第2部材20の側面に照射される。特に第1レーザ光1は、不可避的な場合を除き、第1部材10の表面に照射される。というのは、高出力強度の第1レーザ光1が第1部材10と第2部材20との間に侵入すると、かかる隙間で第1レーザ光1が反射して第1部材10と第2部材20との裏面側に容易に到達(貫通)し得る。すると、第1部材10と第2部材20の裏面側に配置されている構成部材が第1レーザ光1の照射により破損するおそれがあるためである。したがって、特に第1レーザ光1は、第1部材10の端部から所定の間隔を持った中心側に照射されるよう、制御するのが好ましい。かかる所定の間隔については、第1レーザ光1および第2レーザ光2のスポット径、使用するレーザ溶接装置等による機械的誤差、被溶接材の寸法誤差等を考慮して適宜決定することができる。
なお、上記の接合面深さDwは、これが大きくなるほど溶接強度が高められるために好ましい。かかる接合面深さDwは、第1部材10および第2部材20の材質や寸法に加え、かかる溶接による溶接物に要求される溶接強度等に応じてその目標値を決定することができる。このような接合面深さDwの好適な値は一概には定められないものの、概ね、第2部材20の接合面に直交する方向の寸法Lと同等であるのが好ましく、あるいはLよりも大きいことがより好ましい。接合面深さDwは第2部材20の接合面に直交する方向の寸法Lとは、例えば、Dw≧0.8×L程度であってよく、Dw≧Lであるのが好ましく、さらにはDw≧1.2×Lであるのがより好ましい。
[効果]
以上のように、ここに開示された溶接方法では、出力密度の高い第1レーザ光1により十分な溶け込み深さを確保するようにしている。そして、出力密度の低い第2レーザ光2により所定の接合面深さDwを安定して得られるように、溶接金属の形状を制御するようにしている。このため、多少の溶接軌道のずれが発生したり、第1部材10および第2部材20間に隙間が生じたりしている場合であっても、接合面深さDwを十分かつ安定して確保することができる。加えて、第2部材20については熱伝導型の溶融が施されるため、ボイドの発生が抑制され、かかるボイドに起因する溶接強度の低下が解消され得る。
また、ここに開示された溶接方法は、特に、第2部材20として、溶接面22に垂直な方向の寸法Lのより一層小さい部材(例えば、薄肉の部材であり得る。)を採用した場合に、その効果が如何なく発揮され得る。このような寸法Lの小さい部材は、例えば、出力密度の小さい第2レーザによっても十分な溶融を得ることができ、また従来のような広範囲にわたる照射径を確保する必須がない。したがって、レーザ出力を小さくすることが可能となり、設備コストを低く抑えることが可能である。例えば、本発明者らによると、ここに開示される溶接方法により、第2部材20として、接合面に直交する方向の寸法Lが0.5mm以下(例えば、0.4mm程度)の薄板材の溶接をも、ボイドの形成を抑制して好適に行えることが確認されている。
このような溶接方法により形成される溶接構造において、例えば接合面に垂直な断面における溶接部の形状は、次の特徴を有する。すなわち、(1)第1部材においては、いわゆるキーホール型の、アスペクト比の高い鋭角な溶接部が含まれる。(2)また、キーホール型の第1溶融池と、熱伝導型の第2溶融池とが重畳されることで、これによって形成される溶接部においては、キーホール型の溶接部の対称性が乱され、接合面においてより深い接合面深さDwが安定して実現されている。さらに、(3)第2部材に形成される第2溶接部は、接合面から離れるにつれて下に傾斜する形状(下に凸な形状)を含み得る。これにより、第1レーザ光1の軌道ずれが発生した場合であっても、より一層安定して接合面深さDwを確保することができる。
[その他の態様]
ここに開示される溶接方法で用いることができるレーザ光としては、そのレーザ発生機構等に因ることなく、目的に応じて各種のものを用いることができる。例えば、被溶接部材の寸法などに応じて、上記のキーホール型および熱伝導型の溶融が実現可能な各種のレーザ光を採用することができる。かかるレーザ光の種類としては、例えば、具体的には、COレーザ、YAGレーザ、半導体レーザ(Laser Diode;LD等ともいう。)、LD励起固体レーザ、ファイバーレーザ等であってよい。
また、ここに開示される溶接方法で溶接の対象たる第1部材と第2部材とについても特に制限はなく、広く一般に溶接に供されている各種の材料からなる部材を考慮することができる。かかる材料としては、例えば、金属材料やセラミックス材料、プラスチック材料等が挙げられる。特に好ましくは、金属材料からなる部材の溶接に好適に適用することができる。かかる金属材料についても特に制限はなく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金(各種のステンレス鋼を含む。)、銅、銅合金等が代表的なものとして例示される。これら第1部材と第2部材とは、同種の材料から構成されていても良いし、異種の材料から構成されていても良い。
以上のように、ここに開示される溶接方法によると、例えば、相対的に厚板からなる第1部材と薄板からなる第2部材とを、溶接強度を高く維持して好適に溶接することができる。かかる溶接方法、例えば、信頼性の高い気密な封止が要求される、薄板部材の溶接を含む用途等に特に好適に適用することができる。かかる信頼性および気密性が求められる薄板部材の溶接としては、例えば、蓄電素子のケースの封缶溶接が代表的なものとして挙げられる。そこで、以下に蓄電素子のケースの封缶溶接に、ここに開示される溶接方法を適用した場合を例とし、本発明についてさらに説明する。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
(例1)
[ケース本体の溶接]
以下に説明する手順で、リチウムイオン電池100のケース130の封口処理を行った。図5は、かかるリチウムイオン電池の構成を示す部分切欠き正面図であって、図6はその上面図である。かかるケース130は、これらの図に示されるように、奥行き寸法の小さい直方体形状の角型ケースである。そして上面が開口面とされたケース本体132と、かかる開口に対応した横方向に長い略長方形状の蓋部材134とから構成されている。ケース本体132は、厚みが0.4mmのJISで規定される合金番号がA3003のアルミニウム合金から構成されている。蓋部材134は、厚みが1.4mmのJISで規定される合金番号がA1050のアルミニウム合金から構成されている。蓋部材134には、図6に示されるように、正負の外部端子142,144、注入孔146、安全弁148等が設けられている。これらの部位には製造および使用に際して外力が加わり得ることから、蓋部材134はより厚めの板材から構成されている。ケース本体132は、蓋部材134よりもやや強度が高いながらも、より薄肉で軽量化を可能とする板材から構成されている。
ケース本体132の開口の二つの短辺部には、図示しないが、蓋部材134をケース本体132の上端と面一に保持可能とする支え部がそれぞれ設けられている。蓋部材134に、リチウムイオン電池100の発電要素たる電極体120を所定の手順で取り付けた後、かかる電極体120をケース本体132に挿入するとともに、蓋部材134をケース本体132の開口部に嵌めて蓋をした。次いで、以下の溶接方法1または溶接方法2により、かかる蓋部材134を第1部材とし、またケース本体132を第2部材として、溶接することで電池ケース130を封口した。
[溶接方法1]
溶接には高出力ファイバーレーザ溶接機を用い、かかる溶接機から発振されるレーザ光を光学回折素子(DOE)レンズにより分岐させることで、高出力密度レーザ光(第1レーザ光)と低出力密度レーザ光(第2レーザ光)とを発生させた。
なお、本実施形態における高出力密度レーザ光と低出力密度レーザ光の発振条件は、それぞれ下記の表1に示す5通りとした。そして、これら第1レーザ光と第2レーザ光との発振条件をそれぞれ組み合わせることで、計25通りの溶接条件で溶接を行った。
まず、上記のとおり第一部材としての蓋部材を、第2部材としてのケース本体に嵌め込み、それぞれの接合面を対向させた。そして、蓋部材の表面の端部(接合面)から0.15mmだけ中心側を溶接線LW1と設定し、かかる溶接線LW1に沿って上記の高出力密度レーザ光を連続(CW)照射した。また、同時に、ケース本体の上面、すなわちケース本体側面部材の上方端面をレーザ照射面とし、かかる表面の接合面(すなわち、ケース本体の内表面)から0.15mmだけケース本体外方側を溶接線LW2と設定し、かかる溶接線LW2に沿って上記の低出力密度レーザ光を連続(CW)溶接した。それぞれのレーザ光は、24m/分の速度で同時に併走させるようにした。このようにして、リチウムイオン二次電池のケースの上面において、蓋部材とケース本体とをその周縁部をぐるりと一周(約240mm)溶接することで封口した。
[溶接方法2]
溶接には高出力ファイバーレーザ溶接機を用い、かかる溶接機から発振されるレーザ光を光学回折素子(DOE)レンズにより分岐させることで、第一高出力密度レーザ光(第1レーザ光)と、第二高出力密度レーザ光(第2レーザ光)と、低出力密度レーザ光(第3レーザ光)とを発生させた。
なお、本実施形態における上記レーザ光の発振条件は以下のとおりとした。
<第1レーザ光>
スポット径:φ0.04mm,
レーザ出力:800W
レーザ出力密度:6.4×10W/cm
<第2レーザ光>
スポット径:φ0.04mm,
レーザ出力:540W
レーザ出力密度:4.3×10W/cm
<第3レーザ光>
スポット径:φ0.5mm,
レーザ出力:1000W
レーザ出力密度:5.1×10W/cm
まず、上記のとおり第一部材10としての蓋部材を、第2部材20としてのケース本体に嵌め込み、それぞれの接合面12,22を対向させた。そして、蓋部材の表面の端部(接合面12)から0.15mmだけ中心側を溶接線LW1と設定し、かかる溶接線LW1に沿って上記の第1レーザ光(第一高出力密度レーザ光)を連続(CW)照射した。また、ケース本体の上面、すなわちケース本体側面部材の上方端面をレーザ照射面とし、かかる表面の接合面(すなわち、ケース本体の内表面)から0.15mmだけケース本体外方側を溶接線LW2と設定し、かかる溶接線LW2に沿って上記の第2レーザ光(第二高出力密度レーザ光)を連続(CW)溶接した。さらに、ケース本体と蓋部材との接合面を溶接線と設定し、かかる溶接線に沿って上記の第3レーザ光(低出力密度レーザ光)を連続(CW)溶接した。なお、ケース本体と蓋部材との間に隙間が生じている場合は、両者の中間を溶接線とした。また、それぞれのレーザ光は光軸を進行方向に直交する方向で揃え、24m/分の速度で併走させるようにした。このようにして、リチウムイオン二次電池のケースの上面において、蓋部材とケース本体とをその周縁部をぐるりと一周(約240mm)溶接することで封口した。
[溶接品質の評価]
溶接方法1(25通り)および溶接方法2(1通り)により封口したケースの溶接部を、下記の[1]〜[6]の評価項目について評価した。そしてそれらの結果から、溶接部全体としての品質を評価した。
[1]〜[3]溶接欠陥 溶接方法1および溶接方法2により封口したケースの溶接部に溶接欠陥(溶接割れおよびボイド)が発生しているかどうかを、非破壊X線検査装置((株)島津製作所製、マイクロフォーカスX線透過装置SMX−225CT−F)を用いて調査した。
図3に、(1)溶接方法1(溶接条件;1c×2c)および(2)溶接方法2によりケース本体に形成された溶接部の様子を示す、溶接進行方向に沿った断面像を示した。さらに、溶接方法2については、ケース本体において観察された比較的大きめのボイドを示す溶接進行方向に直交する断面観察図を図4に示した。図4において、○で囲んだ部分がボイドである。
このように溶接部の断面のX線透視画像を画像処理することにより、溶接割れの有無と、ケース本体部分でのボイド発生の状況とを調べた。
その結果を、溶接割れの有無については下記の表2の評価項目[1]の欄に示した。なお、ボイド数については、強度低下をもたらし得ると考えられる直径が0.1mm以上の大きさのボイドが確認された場合、その数を数えた。その結果から、溶接距離1mmあたりのボイド数を算出して表2の評価項目[2]の欄に、電池(ケース)1個あたりのボイド数を算出して表2の評価項目[3]の欄に示した。
[4]〜[5]溶接部形状
上記のとおり封口したケースの溶接部の数カ所を切断し、断面観察により取得した各例の溶接部断面画像をもとにして、第一部材としての蓋部材と、第2部材としてのケース本体との溶け込み形状を観察した。
その結果、蓋部材の溶け込み深さが浅かった(すなわち、キーホールが形成されなかった)場合を「浅い」、蓋部材を貫通した場合を「貫通」、良好な溶け込み形状であった場合を「○」として、表2の評価項目[4]の欄に示した。
また、ケース本体の溶け込み形状について、溶け込み深さが深くボイドが発生していた場合を「ボイド」、良好な溶け込み形状であって接合面とは反対側の面近傍で深さ方向に凸部が形成されなかった場合を「凸なし」、良好な溶け込み形状で凸部が形成された場合を「○」として、表2の評価項目[5]の欄に示した。
[6]レーザ出力密度比
溶接方法1および2において使用した、第1レーザ光と第2レーザ光との出力密度の比(I/I)を算出し、表2の評価項目[6]の欄に示した。
[総合]総合評価
上記の評価項目[1]〜[6]の結果から、各溶接条件により形成される溶接部の品質が良好であるか否かを総合的に評価した。その結果、良好であると判断された場合を「○」、特に良好であると判断された場合を「◎」、良好ではないと判断された場合を「×」として、表2の評価項目[総合]の欄に示した。この総合評価において、記号○および◎は、ここに開示される技術に求められる要件を満たしていることを意味する。
表2の評価項目[1]に示されるように、溶接方法1および溶接方法2のいずれの方法による溶接部においても、溶接割れ等の表面的な溶接欠陥は発見されなかった。したがって、溶接方法1および溶接方法2のいずれの方法でも、ある程度良好な溶接が行えることが確認できた。
そこでさらに詳細な検討を行うと、溶接方法1について、本実施形態では、第1部材である蓋部材に照射した第1レーザの照射条件が1aの場合に、レーザ出力密度が弱かったために、キーホール型の溶接部が形成されていないことがわかった。第1部材にキーホール型の溶接部が形成されていないと、接合面深さDwが極端に浅くなってしまい、十分な溶接強度が得られないことが解った。逆に、第1レーザの照射条件が1eの場合は、レーザ出力密度が強すぎて、キーホールが蓋部材を貫通してしまうことがわかった。そして、第1レーザの照射条件が1b〜1dの場合には、良好なキーホールを形成した溶接が可能であることが確認された。この場合、接合面深さDwを十分に確保できることもわかった。
また、第2部材であるケース本体に照射した第2レーザの照射条件が2aの場合、レーザ出力密度は十分であり、熱伝導型の溶接部が形成されているのが確認された。しかしながら、ケース本体の断面外側に下に凸となる溶接形状は形成されなかった。そして、第2レーザの照射条件が2b〜2dの場合、ケース本体の断面外側に、下に凸となる特徴的な溶接形状が形成されることがわかった。この点において、第1レーザの照射条件が1b〜1dであって、第2レーザの照射条件が2aの場合に総合評価を「○」、同じく第2レーザの照射条件が2b〜2dの場合に総合評価を「◎」とした。しかしながら、第2レーザの照射条件が2eの場合は、レーザ出力密度が強すぎてキーホールのような溶接部が形成され、ボイドが多数発生してしまうことがわかった。
したがって、本実施形態では、第1レーザの照射条件は出力密度が1aよりも高く1eよりも弱い1b〜1d程度がよいことがわかった。また、第2レーザの照射条件は出力密度が2eよりも弱い2a〜2d程度、より好ましくは2b〜2d程度が良いことがわかった。このように、ここに開示される溶接方法1に従い溶接すると、より薄肉のケース本体に直径が0.1mm以上のボイドを発生させることなく溶接できることが確認できた。
これに対し、従来の溶接方法2により溶接を行うと、溶接方法1において好適であった第1レーザ照射条件が1cであっても、第2および第3レーザの条件が適切でなく、薄肉のケース本体に0.1mm以上のボイドが高頻度で発生しているのが確認された。薄肉の部材においてかかる大きなボイドが発生することは、溶接部に不測の外力が加わった場合にこのボイドでケース本体が破損し得ることを意味する。すなわち、溶接強度が低下し、溶接品質および溶接部の信頼性が損なわれる結果となった。
(例2)
第1レーザ光および第2レーザ光の発振条件を、それぞれ下記の表3に示す3通りとした。そして、これら第1レーザ光と第2レーザ光との発振条件をそれぞれ組み合わせることで、計9通りの溶接条件とした。また、第1および第2レーザ光は、9m/分の速度で併走させるようにし、その他の条件は上記例1の溶接方法1と同様にして、リチウムイオン電池のケースの封口溶接を行った。
また、上記例1と同様に、評価項目[1]〜[6]について溶接部を評価し、溶接部全体の品質評価を行った。その結果を、表4に示した。
表3に示されるように、本実施形態では第1レーザ光および第2レーザ光の出力密度が上記例1に比較的してより低い範囲に設定されている。しかしながら、このように相対的に低い出力密度であっても、レーザの走査速度を低くし、被溶接部材に対して十分な入り熱を確保することで、ケース本体には下に凸の良好な溶接部を形成できることが確認された。すなわち、キーホール型の溶接部は、溶融部壁面でのレーザ光の連鎖的な反射により形成される。そのため、蓋部材については、キーホール型の溶接部を形成し得る所定のレーザ出力密度が確保される範囲であれば、第1レーザ光の出力密度は低くてもよいことが解る。一方の、熱伝導型の溶接部は、第2レーザ光の出力密度が低いと一般的な熱伝導型の溶接部が形成されるにとどまる。ここで、ケース本体の材質や形状(接合面に直交する方向の寸法,板厚)等に応じて十分に多量の熱量を投入することで、第2レーザ光の出力密度が低い場合であっても、下に凸の良好な溶接部を形成できることが確認された。具体的には、例えば、上記例1では、出力条件2a(I:3.5×10W/cm)であっても、レーザ走査速度を24m/分と早めにしたため、下に凸の溶接部を形成するに十分な熱量をケース本体に投入することができなかった。これに対し、例2では、レーザ走査速度を9m/分と遅くしたため、出力条件2f〜2h(I:2.8〜3.8×10W/cm)のいずれにおいても、十分な熱量をケース本体に投入することができ、下に凸の溶接部を形成し得ることが示された。
本実施形態における溶射方法において、第1レーザ光および第2レーザ光の出力条件を様々に変化させることで、より高品質な溶接を行い得ることが解った。例えば、第1部材および第2部材の溶接形態や溶接線の形状等に応じて、走査速度を変化させることで、上記の出力密度の範囲において溶接部の形状を好適に調整し得ることがわかる。そして、第1部材に良好なキーホール型の溶接部を、第2部材には下に凸の良好な熱伝導型の溶接部を形成し、これらを重畳させることで、肉薄の部材であっても高強度でより高品質な溶接を実現できることが確認できた。
なお、上述した実施形態では、第一溶接部材および第二溶接部材として、蓄電素子のケース本体および蓋部材を採用し、これらを溶接する例を示した。しかしながら、ここで提案される溶接方法は、かかる蓄電素子のケースの溶接のみにその用途が限定されるものではなく、各種の溶接部材の溶接に対して利用することができる。また、上述した実施形態では、第一溶接部材および第二溶接部材として、アルミニウム合金からなる部材を用いるようにしていた。しかしながら、ここで開示される溶接方法は、アルミニウム合金以外の各種の材料の溶接に利用可能である。かかる溶接部材を構成する材料としては、例えば、SUS材に代表される鉄合金、その他各種の純金属および合金を含む金属材料、セラミックス等の無機材料、プラスチック等の有機材料などを包含する。したがって、ここに開示される溶接方法は、各種の材料からなる溶接部材の突合せ溶接に好ましく用いることができる。なお、上記蓄電素子のケースにおけるケース本体のように、厚みがより薄肉化された形態の溶接部材の溶接に、特に好ましく適用することができる。
1 第1レーザ光
2 第2レーザ光
10 第1部材
12 第1接合面
14,14’ 第1溶融池
16,16’ 第1溶接部
20 第2部材
22 第2接合面
24 第2溶融池
26 第2溶接部
30 溶接部

Claims (8)

  1. 板状の第1部材と、板状の第2部材とをレーザ溶接する方法であって、
    前記第1部材と前記第2部材とを、互いの幅広面が直交する方向で、かつ、前記第1部材の幅広面に対して前記第2部材の側面部が略面一となるよう、前記第1部材の側面部と前記第2部材の幅広面端部とを突き合わせること、ここで前記第2部材に対向する前記第1部材の側面部を第1接合面とし、前記第1部材に対向する前記第2部材の幅広面端部を第2接合面としたとき、前記第1部材の前記第1接合面に直交する方向における寸法は、前記第2部材の前記第2接合面に直交する方向における寸法よりも大きい;
    前記第1部材の幅広面に、キーホールを発生させ得る強度の第1レーザ光を前記第1接合面に沿って照射し、前記第1レーザ光により溶融されてなる第1溶融池を形成すること、ここで前記第1溶融池は前記第2部材に亘って形成される;および
    前記第2部材の側面部に、キーホールを発生させ得るよりも低い強度の第2レーザ光を前記第2接合面に沿って照射し、前記第2レーザ光により溶融されてなる第2溶融池を形成すること、ここで前記第2溶融池は前記第1部材に亘って形成される;
    を包含し、
    前記第1溶融池と前記第2溶融池とは、互いに一体化されて溶融池を形成し、前記溶融池が凝固してなる溶接部により前記第1部材と前記第2部材とを溶接する、溶接方法。
  2. 前記第1レーザ光の出力密度Iが、5.6×10W/cm≦I<1.1×10W/cmである、請求項1に記載の溶接方法。
  3. 前記第2レーザ光の出力密度Iが、2.8×10W/cm≦I<5.6×10W/cmである、請求項1または2に記載の溶接方法。
  4. 前記第2レーザ光の出力密度Iが3.8×10W/cm以上5.6×10W/cm未満であるとき、
    前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の走査速度を20m/分以上とする、請求項3に記載の溶接方法。
  5. 前記第2レーザ光の出力密度Iが2.8×10W/cm以上3.8×10W/cm未満であるとき、
    前記第1レーザ光および前記第2レーザ光の走査速度を20m/分未満とする、請求項3に記載の溶接方法。
  6. 前記第1レーザ光の出力密度Iと前記第2レーザ光の出力密度Iとが、I≧5×Iを満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶接方法
  7. 前記第1レーザ光の照射径dと前記第2レーザ光の照射径dとが、d<dを満たす、請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶接方法。
  8. 前記第1または第2の接合面に直交する断面における前記接合面の溶接部の深さDwと、前記第2部材の前記第2接合面に直交する方向の寸法Lとが、Dw≧Lを満たす、請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶接方法。
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