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JP6062741B2 - 高効率リン光材料 - Google Patents

高効率リン光材料 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2012年1月4日に出願した米国特許出願第61/583,045号に対する優先権を主張し、その開示はその全体を参照により本願に明確に援用する。
特許請求の範囲に記載した発明は、共同の大学・企業研究契約に関わる1つ以上の以下の団体:ミシガン大学評議員会、プリンストン大学、サザン・カリフォルニア大学、及びユニバーサル・ディスプレイ・コーポレーションにより、1つ以上の団体によって、1つ以上の団体のために、及び/又は1つ以上の団体と関係して行われた。上記契約は、特許請求の範囲に記載された発明がなされた日及びそれ以前に発効しており、特許請求の範囲に記載された発明は、前記契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。
本発明は、イリジウムの2−フェニルキノリン錯体、特に少なくとも4つの炭素原子を有するアルキル置換基をもつ2−フェニルキノリン類に関する。これらのイリジウム錯体はOLEDデバイスに有用な物質である。
有機物質を用いるオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの理由によりますます望ましいものとなってきている。そのようなデバイスを作るために用いられる多くの物質はかなり安価であり、そのため有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対してコスト上の優位性について潜在力をもっている。加えて、有機物質固有の特性、例えばそれらの柔軟性は、それらを柔軟な基材上への製作などの特定用途に非常に適したものにしうる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例には、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光検出器が含まれる。OLEDについては、有機物質は、従来の物質に対して性能上優位性をもちうる。例えば、有機発光層が発光する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調節することができる。
OLEDは、そのデバイスを横切って電圧を印加した場合に光を発する薄い有機膜(有機フィルム)を用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及びバックライトなどの用途で用いるためのますます興味ある技術となってきている。いくつかのOLEDの物質と構成が、米国特許第5,844,363号明細書、同6,303,238号明細書、及び同5,707,745号明細書に記載されており、これらの明細書はその全体を参照により本明細書に援用する。
燐光発光分子の一つの用途はフルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイのための工業規格は、「飽和」色といわれる特定の色を発光するように適合された画素(ピクセル)を要求している。特に、これらの規格は、飽和の赤、緑、及び青の画素を必要としている。色はCIE座標を用いて測定でき、CIE座標は当分野で周知である。
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)と表されるトリス(2-フェニルピリジン)イリジウムであり、これは以下の構造を有する。
Figure 0006062741
この式及び本明細書の後の図で、窒素から金属(ここではIr)への供与結合は直線で表す。
本明細書で用いるように、「有機」の用語は、有機オプトエレクトロニクスデバイスを製作するために用いることができるポリマー物質並びに小分子有機物質を包含する。「小分子(small molecule)」とは、ポリマーではない任意の有機物質をいい、「小分子」は、実際は非常に大きくてもよい。小分子はいくつかの状況では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、分子を「小分子」の群から排除しない。小分子は、例えばポリマー主鎖上のペンダント基として、あるいは主鎖の一部として、ポリマー中に組み込まれてもよい。小分子は、コア残基上に作り上げられた一連の化学的殻からなるデンドリマーのコア残基として働くこともできる。デンドリマーのコア残基は、蛍光性又は燐光性小分子発光体であることができる。デンドリマーは「小分子」であることができ、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは小分子であると考えられる。
本明細書で用いるように「トップ」は、基材から最も遠くを意味する一方で、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。第一の層が第二の層の「上に配置される」と記載した場合は、第一の層は基材から、より遠くに配置される。第一の層が第二の層と「接触している」と特定されていない限り、第一の層と第二の層との間に別な層があってよい。例えば、カソードとアノードとの間に様々な有機層があったとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載できる。
本明細書で用いるように、「溶液処理(加工)可能」とは、溶液もしくは懸濁液の形態で、液体媒体中に溶解され、分散され、又は液体媒体中で輸送され、及び/又は液体媒体から堆積されうることを意味する。
配位子が発光物質の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合は、その配位子は「光活性」ということができる。配位子が発光物質の光活性特性に寄与していないと考えられる場合は、配位子は「補助」ということができるが、補助配位子は光活性配位子の特性を変えうる。
本明細書で用いるように、かつ当業者によって一般に理解されているように、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)のエネルギー準位は、その第一のエネルギー準位が真空のエネルギー準位により近い場合には、第二のHOMO又はLUMOよりも「大きい」あるいは「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつIPに対応する(より小さな負のIP)。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつ電子親和力(EA)に対応する(より小さな負のEA)。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、物質のLUMOエネルギー準位はその同じ物質のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりも、そのような図のトップのより近くに現れる。
本明細書で用いるように、また当業者によって一般に理解されるように、第一の仕事関数は、その第一の仕事関数がより高い絶対値を有する場合には、第二の仕事関数よりも「大きい」あるいは「高い」。仕事関数は通常、真空準位に対して負の値として測定されるので、このことは「より高い」仕事関数は、より負であることを意味する。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、「より高い」仕事関数は真空準位から下向きの方向へさらに離れて図示される。したがって、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に従う。
OLEDについてのさらなる詳細及び上述した定義は、米国特許第7,279,704号明細書に見ることができ、その全体を参照により本明細書に援用する。
米国特許第5,844,363号明細書 米国特許第6,303,238号明細書 米国特許第5,707,745号明細書 米国特許第7,279,704号明細書
[本発明のまとめ]
一つの側面では、下記式:
Figure 0006062741
(式I)を有する化合物を提供する。式Iの化合物において、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Rは4以上の炭素原子を有する。R、R′、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、及びRのうちの少なくとも1つは2以上の炭素原子を有し、且つR及びR′はモノ、ジ、トリ、もしくはテトラ置換を表すか、又は非置換を表す。2つの隣接するR、R、R、又はRは任意選択で場合によっては結合して環を形成してもよく、mは1又は2である。
一つの側面では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式II)を有する。
一つの側面では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式III)を有し、式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一つの側面では、mは2である。
一つの側面では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式II)を有し、式中、R及びRはアルキルである。
一つの側面では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式III)を有する。
一つの側面では、R、R、及びRは独立に、アリール、アルキル、水素、重水素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の側面では、R、R、及びRは独立に、メチル、CH(CH、CHCH(CH、フェニル、シクロへキシル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
一つの側面では、Rはアルキルである。一つの側面では、Rは、CHCH(CH、シクロペンチル、CHC(CH、及びシクロへキシルからなる群から選択される。一つの側面では、Rは、CHCH(CHである。
一つの側面では、Rは水素又は重水素であり、且つR及びRは独立にCH(CH及びCHCH(CHから選択される。
一つの側面では、上記化合物は、化合物1〜化合物33からなる群から選択される。
一つの側面では第一のデバイスを提供する。この第一のデバイスは、第一の有機発光デバイスを含み、さらには、アノード、カソード、及びそのアノード及びカソードの間に配置された有機層を含み、その有機層は下記式を有する化合物を含む。
Figure 0006062741
(式I)。式Iの化合物において、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Rは4以上の炭素原子を有する。R、R′、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、及びRのうちの少なくとも1つは2以上の炭素原子を有し、且つR及びR′はモノ、ジ、トリ、もしくはテトラ置換を表すか、又は非置換を表す。2つの隣接するR、R、R、又はRは任意選択で場合によっては結合して環を形成してもよく、mは1又は2である。
一つの側面では、上記第一のデバイスは消費者製品である。一つの側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。一つの側面では、第一のデバイスは発光パネルを含む。
一つの側面では、上記有機層はさらにホストを含む。一つの側面では、ホストには金属8−ヒドロキシキノレートが含まれる。一つの側面では、ホストは以下のもの:
Figure 0006062741
及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
図1は有機発光デバイスを示す。 図2は、別個の電子輸送層をもたない倒置型有機発光デバイスを示す。 図3は、式Iの化合物を示す。
[詳細な説明]
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され且つそれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流された場合、有機層(1又は複数)にアノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子はそれぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。励起子が発光機構によって緩和するときに光が発せられる。いくつかの場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在化されうる。非放射機構、例えば、熱緩和も起こりうるが、通常は好ましくないと考えられる。
初期のOLEDは、一重項状態から光を発する(「蛍光」)発光性分子を用いており、例えば、米国特許第4,769,292号明細書(この全体を参照により援用する)に記載されているとおりである。蛍光発光は、一般に、10ナノ秒よりも短いタイムフレームで起こる。
より最近、三重項状態から光を発する(「燐光」)発光物質を有するOLEDが実証されている。Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998 (“Baldo-I”);
及び、Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999) (“Baldo-II”)、これらを参照により全体を援用する。燐光は、米国特許第7,279,704号明細書の第5〜6欄に、より詳細に記載されており、これを参照により援用する。
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含みうる。カソード160は、第一導電層162および第二導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性及び機能、並びに例示物質は、米国特許第7,279,704号明細書の第6〜10欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
これらの層のそれぞれについてのより多くの例が得られる。例えば、可撓性且つ透明な基材−アノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号明細書に開示されており、参照により全体を援用する。p型ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比で、F−TCNQでドープしたm−MTDATAであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。発光物質及びホスト物質の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示されており、その全体を参照により援用する。n型ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。米国特許第5,703,436号明細書及び同5,707,745号明細書(これらはその全体を参照により援用する)は、上に重ねられた透明な電気導電性のスパッタリングによって堆積されたITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含めたカソードの例を開示している。阻止層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号公報に、より詳細に記載されており、その全体を参照により援用する。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号公報に提供されており、その全体を参照により援用する。保護層の記載は米国特許出願公開第2004/0174116号公報にみられ、その全体を参照により援用する。
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積させることによって製造できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の物質を、デバイス200の対応する層に使用できる。図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様なその他の構造と関連して使用できることが理解される。記載されている具体的な物質および構造は事実上例示であり、その他の物質および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは様々なやり方で上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省くことができる。具体的に記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の物質を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の物質を含むものとして様々な層を記載しているが、物質の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、または、より一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してもよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、あるいは正孔注入層として説明されうる。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして説明できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば図1および2に関連して記載したように様々な有機物質の複数の層をさらに含むことができる。
具体的には説明していない構造および物質、例えばFriendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体を参照により援用する)に開示されているようなポリマー物質で構成されるOLED(PLED)、も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用できる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているように積み重ねられてもよい。OLEDの構造は、図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含みうる。
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および米国特許第6,087,196号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての蒸着、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および米国特許第6,468,819号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される物質は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分枝した又は分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個又はそれより多い炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する物質は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有しうるが、これは、非対称物質はより小さな再結晶化傾向を有しうるからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニタ、医療モニター、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明な(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、劇場またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
本明細書に記載した物質及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有しうる。例えば、その他のオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、有機太陽電池及び有機光検出器は、これらの物質及び構造を用いることができる。より一般には、有機デバイス、例えば、有機トランジスタは、これらの物質及び構造を用いることができる。
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、及びヘテロアリールの用語は、当分野で公知であり、米国特許第7,279,704号明細書の第31〜32欄で定義されており、これを参照により援用する。
一つの態様では、下記式:
Figure 0006062741
(式I)を有する化合物を提供する。式Iの化合物において、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Rは4以上の炭素原子を有する。R、R′、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、及びRのうちの少なくとも1つは2以上の炭素原子を有し、且つR及びR′はモノ、ジ、トリ、もしくはテトラ置換を表すか、又は非置換を表す。2つの隣接するR、R、R、又はRは任意選択で場合によっては結合して環を形成してもよく、mは1又は2である。
デバイス例の部において以下で議論するように、Rが4つ以上の炭素原子を含むアルキル基であり、且つR〜Rのうちの少なくとも1つが2つ以上の炭素を有する場合に、その結果得られるイリジウム錯体が優れた性質をもつOLEDデバイスを作るために用いることができることを予期せぬことに発見した。式Iの化合物は、4つ以上の炭素をもつRのみを有する化合物、あるいはR〜Rのうちの少なくとも1つが2つ以上の炭素を有するだけのものよりも優れている。上述した置換パターンは相乗的であると考えられる。理論には束縛されないが、アルキル基は式Iの化合物の結晶格子への分子充填に好ましい影響を及ぼし、これらの化合物がOLEDデバイスに用いられる場合に、得られるデバイスは向上した駆動パラメータ、例えば、向上した発光効率及び狭い発光スペクトルなどを有する。
一つの態様では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式II)を有する。
一つの態様では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式III)を有し、式中、Rは、アルキル、シクロアルキル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一つの側面では、mは2である。
一つの態様では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式II)を有し、式中、R及びRはアルキルである。
一つの態様では、上記化合物は下記式:
Figure 0006062741
(式III)を有する。
一つの態様では、R、R、及びRは独立に、アリール、アルキル、水素、重水素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の態様では、R、R、及びRは独立に、メチル、CH(CH、CHCH(CH、フェニル、シクロへキシル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
一つの態様では、Rはアルキルである。一つの側面では、Rは、CHCH(CH、シクロペンチル、CHC(CH、及びシクロへキシルからなる群から選択される。一つの態様では、Rは、CHCH(CHである。
一つの態様では、Rは水素又は重水素であり、且つR及びRは独立にCH(CH及びCHCH(CHから選択される。
一つの態様では、上記化合物は、以下の化合物からなる群から選択される。
Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
一つの側面では第一のデバイスを提供する。この第一のデバイスは、第一の有機発光デバイスを含み、さらには、アノード、カソード、及びそのアノード及びカソードの間に配置された有機層を含み、その有機層は下記式を有する化合物を含む。
Figure 0006062741
(式I)。式Iの化合物において、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、Rは4以上の炭素原子を有する。R、R′、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、及びRのうちの少なくとも1つは2以上の炭素原子を有し、且つR及びR′はモノ、ジ、トリ、もしくはテトラ置換を表すか、又は非置換を表す。2つの隣接するR、R、R、又はRは任意選択で場合によっては結合して環を形成してもよく、mは1又は2である。
一つの側面では、上記第一のデバイスは消費者製品である。一つの側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。一つの側面では、第一のデバイスは発光パネルを含む。
一つの側面では、上記有機層はさらにホストを含む。一つの側面では、ホストには金属8−ヒドロキシキノレートが含まれる。一つの側面では、ホストは以下のもの:
Figure 0006062741
及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。
[デバイス例]
全てのデバイス例は、高真空(<10−7Torr)の熱蒸着(VTE)によって作製した。アノード電極は1200Åのインジウム錫オキシド(ITO)である。カソードは10ÅのLiFとそれに続く1000ÅのAlとからなる。全てのデバイスは作製後直ぐに窒素グローブボックス(<1ppmのHO及びO)中でエポキシ樹脂を用いて封止したガラス蓋によって密封し、吸湿剤をそのパッケージに組み込んだ。
デバイス例の有機積層部はITO表面から順に、100Åの正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)として300Åの4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、発光層(EML)として300Åの9%の化合物1又は2でドープしたホスト、及びETLとして400ÅのAlq(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)からなっていた。
本明細書においては、以下の化合物は以下の構造を有する。
Figure 0006062741
デバイス構造は表1に示しており、対応するデバイスデータは表2に示している。
Figure 0006062741
Figure 0006062741
表2から、式Iの化合物、例えば化合物1及び2を含むデバイス例は、フェニルキノリン又はacac型の配位子(acacはアセチルアセトンである)のいずれかの上に、より小さなアルキル基を有する比較例1及び2に対して、より高い発光効率と非常に狭い発光スペクトルを示している。化合物A及び化合物1の両方ともそのヘテロ環の7位に4つの炭素のアルキル置換基を有している。しかし、比較例1における化合物Aは配位子:
Figure 0006062741
を含み、式中、R及びRは1つの炭素原子をもつアルキル基である。
及びRの炭素鎖長が1つの炭素から2又は3つの炭素へ増えるにつれて、これらのより長い炭素鎖(すなわち式Iの化合物)を含むデバイスにおいて発光効率が高くなり、FWHM(半値全幅)が小さくなることが予期せぬことに発見された。例えば、デバイス例2において化合物2を用いて、例2の発光効率は26.2cd/Aから26.4cd/Aへ増大し、FWHMは60nmから52nmへと低下する。デバイス例1中の化合物1において、R及びRの炭素鎖長が3から4へと増大すると、デバイス例1の輝度は28.9cd/Aへと増大し、FWHMは52nmの狭さである。さらに、比較例2は、デバイス例1の化合物1と同じacac型の配位子をもつ化合物Bを含んでいる。しかし、比較例2における化合物Bは、そのアルキル基中に4つ以上の炭素をもつアルキル置換基をそのヘテロ環の7位にもっていないが、その一方、化合物1はそのようなアルキル基をもっている。比較例2における化合物Bの21.9cd/Aと比較して、デバイス例1における化合物1の発光効率は28.9cd/Aである。したがって、予期せぬことに、2つ以上の炭素をもつアルキル置換基を有するacac型配位子と、4つ以上の炭素をもつアルキル基を7位に有するフェニルキノリン配位子とを含むイリジウム錯体は、特性の相乗的組み合わせを作りだし、これが式Iの化合物をOLEDデバイスにおいて有用なものにする。
[その他の物質との組み合わせ]
有機発光デバイス中の具体的な層に有用として本明細書に記載した物質は、そのデバイス中に存在するその他の広範囲にわたる物質と組み合わせて用いることができる。例えば、本明細書に開示した発光ドーパントは、存在してもよい広い範囲のホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及びその他の層と組み合わせて用いることができる。以下に記載乃至言及した物質は、本明細書に記載した化合物と組み合わせて有用でありうる物質の非限定例であり、当業者は組み合わせて有用でありうるその他の物質を特定するために文献を容易に参考にすることができる。
〔HIL/HTL〕
本発明に用いられる正孔注入/輸送物質は特に限定されず、その化合物が通常、正孔注入/輸送物質として用いられる限り任意の化合物を用いることができる。この物質の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:
フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フルオロ炭化水素を含むポリマー;導電性ドーパントを伴うポリマー;導電性ポリマー、例えば、PEDOT/PSS;ホスホン酸及びシラン誘導体などの化合物から誘導される自己組織化モノマー;金属酸化物誘導体、例えば、MoO;p型半導体有機化合物、例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル;金属錯体、及び架橋性化合物。
HIL又はHTLに用いられる芳香族アミン誘導体の例には以下の構造のものが含まれるがそれらに限定されない。
Figure 0006062741
Ar〜Arのそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物からなる群、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;及び、前記の芳香族炭化水素環式基及び前記の芳香族ヘテロ環式基から選択された同じ種類又は異なる種類の基である2〜10の環状構造単位からなり、互いに直接又は少なくとも1つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環式基を介して結合された基、から選択される。式中、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
一つの側面では、Ar〜Arは以下のものからなる群から独立に選択される。
Figure 0006062741
kは1〜20の整数であり;X〜XはC(CHも含めて)又はNであり;Arは上で定義したものと同じ基を有する。
HIL又はHTLに用いる金属錯体の例には以下の一般式のものが含まれるがそれらに限定されない。
Figure 0006062741
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(Y−Y)は二座配位子であり、Y及びYは独立に、C、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
一つの側面では、(Y−Y)は2−フェニルピリジン誘導体である。
別の側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
別の側面では、Mは、Ir、Pt、Os、及びZnから選択される。
さらなる側面では、この金属錯体は、溶液中でFc/Fcカップルに対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
〔ホスト〕
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光物質として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、その金属錯体をドーパント物質として用いるホスト物質を含んでいてもよい。ホスト物質の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。後に示す表はさまざまな色を発光するデバイスに対して好ましいホスト物質を分類しているが、上記の三重項の基準を満たす限り、任意のホスト物質を任意のドーパントとともに用いることができる。
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式を有することが好ましい。
Figure 0006062741
Mは金属であり;(Y−Y)は二座配位子であって、Y及びYは独立にC、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
一つの側面では、金属錯体は、
Figure 0006062741
である。
(O−N)は二座配位子であり、金属をO及びN原子に配位させている。
別の側面では、MはIr及びPtから選択される。
さらなる側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
ホストとして用いられる有機化合物の例は、以下のものからなる群から選択される:芳香族炭化水素環状化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環状化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;並びに、前記の芳香族炭化水素環状基及び前記の芳香族ヘテロ環状基から選択される同じか又は異なる種類の基であり、且つ酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環状基のうちの少なくとも1つを介して又は直接、互いに結合されている2〜10の環状構造単位からなる群。ここで各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
一つの側面では、ホスト化合物はその分子内に以下の基のうちの少なくとも1つを含む:
Figure 0006062741
〜Rは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
kは0〜20の整数である。
〜XはC(CHも含めて)又はNから選択される。Z及びZはNR、O、又はXから選択される。
〔HBL〕
正孔阻止層(HBL)は、発光層を離れる正孔及び/又は励起子の数を減らすために用いることができる。デバイスにおけるそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的に高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を閉じ込めるために用いることもできる。
一つの側面では、HBLに用いられる化合物は、上述したホストして用いられるものと同じ分子又は同じ官能基を含む。
別の側面では、HBLに用いられる化合物は、その分子中に以下の基のうち少なくとも1つを含む:
Figure 0006062741
kは0〜20の整数であり;Lは補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
〔ETL〕
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送できる物質を含むことができる。電子輸送層はその本来的性質(非ドープ)であるか、あるいはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を高めるために用いることができる。ETL物質の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常用いられる限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
一つの側面では、ETLに用いられる化合物は、その分子内に以下の基のうち少なくとも1つを含む。
Figure 0006062741
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
Ar〜Arは上述したAr類と同様の定義を有する。
kは0〜20の整数である。
〜XはC(CHも含めて)又はNから選択される。
別の側面では、ETLに用いられる金属錯体には以下の一般式のものが含まれるがこれらには限定されない。
Figure 0006062741
(O−N)又は(N−N)は二座配位子であり、金属をO,N、又はN,N原子に配位させ;Lは補助配位子であり;mは、1からその金属に結合できる配位子の最大数までの整数値である。
OLEDデバイスの各層に用いられる任意の上述した化合物においては、その水素原子は部分的に又は完全に重水素化されていることができる。
本明細書に開示した物質に加えて、及び/又はそれと組み合わせて、多くの正孔注入物質、正孔輸送物質、ホスト物質、ドーパント物質、励起子/正孔阻止層物質、電子輸送及び電子注入物質をOLEDに用いてもよい。本明細書に開示した物質と組み合わせてOLEDに用いてもよい物質の非限定的な例を以下の表3に列挙している。表3には、非限定的な物質群、各群についての化合物の非限定的な例、及びその物質を開示している参考文献を挙げている。
Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
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Figure 0006062741
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Figure 0006062741
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Figure 0006062741
Figure 0006062741
Figure 0006062741
本明細書を通して用いる化学的略語は以下のとおりである:Cyはシクロへキシルであり、dbaはジベンジリデンアセトンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、DMEはジメトキシエタンであり、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンであり、THFはテトラヒドロフランであり、DCMはジクロロメタンであり、S−Phosはジシクロヘキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィンである。
化合物1の合成
工程1
Figure 0006062741
2−アミノ−4−クロロ安息香酸(42.8 g, 0.25 mol)を200mLの無水THFに溶かし、氷水浴中で冷やした。この溶液に、水素化アルミニウムリチウム細片(11.76 g, 0.31 mol)を添加した。得られた混合物を室温で8時間撹拌した。水(12 mL)を添加し、次に12gの15%NaOHを添加し、その後で、さらに36mLの水を添加した。そのスラリーを室温で30分間撹拌し、次に濾過した。濾過した固体を酢酸エチルで洗った。液体を一緒にし、その溶媒を蒸発させて未精製物質を得て、これを精製することなく次の工程で用いた。
工程2
Figure 0006062741
2−アミノ−4−クロロフェニルメタノール(6.6 g, 0.04 mol)、1−(3,5−ジメチルフェニル)エタノン(10.0 g, 0.068 mol)、RuCl(PPh(0.1 g, 12 mmol)、及び2.4g(0.043 mol)のKOHを100mLのトルエン中で10時間還流させた。反応物からディーン・スタークトラップを用いて水を集めた。反応物を室温まで冷やした後、その混合物をシリカゲルの詰め物を通して濾過した。生成物を、溶離液としてヘキサン中2%酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーによってさらに精製して、9gの生成物を得た。クロマトグラフィー後の生成物をイソプロパノールからさらに再結晶して、5g(50%)の所望する生成物を得た。
工程3
Figure 0006062741
7−クロロ−2−(3,5−ジメチルフェニル)キノリン(3.75 g, 0.014 mol)、イソブチルボロン酸(2.8 g, 0.028 mol)、Pd(dba)(1 mol%)、2−ジシクロへキシルホスフィノ−2′,6′−ジメトキシビフェニル(S−Phos)(4 mol%)、リン酸カリウム一水和物(16.0 g)、及び100mLのトルエンを250mLの丸底フラスコに入れた。窒素を、その混合物を通して20分間バブリングさせ、その混合物を18時間夜通しで加熱し還流させた。反応混合物を常温まで冷やし、粗生成物を溶媒としてヘキサン中2%酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、溶媒の蒸発後に3.6g(90%)の所望する生成物を得た。
工程4
Figure 0006062741
工程3からの配位子(4.6 g, 16 mmol)、2−エトキシエタノール(25 mL)、及び水(5 mL)を1Lの三ツ口丸底フラスコに仕込んだ。窒素ガスをその反応混合物を通して45分間バブリングさせた。IrCl・HO(1.2 g, 3.6 mmol)を次に添加し、その反応混合物を窒素下で17時間、加熱し還流させた。反応混合物を室温まで冷やし、濾過した。暗赤色残留物をメタノール(2 x 25 mL)、次にヘキサン(2 x 25 mL)で洗って、真空オーブン中で乾燥させた後で、1.3g(87%)のジクロロ架橋イリジウムダイマーを得た。
工程5
Figure 0006062741
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(1 L)及びカリウムtert−ブトキシド(135.0 g, 1.2 mol)を窒素下で50℃に加熱した。メチル3−メチルブタノエート(86.0 g, 0.75 mol)を滴下ロートから滴下して添加し、次に100mLのDMF中の4−メチルペンタン−2−オン(50 g, 1 mol)の溶液を添加した。反応の進行はGCによって観察した。反応が完了したら、その混合物を室温まで冷やし、20%HSO溶液でゆっくり中和した。水(300 mL)を添加し、2層が生じた。2,8−ジメチルノナン−4,6−ジオンを含む層を真空蒸留を用いて精製して、40g(43%収率)のピンク色オイルを得た。
工程6
Figure 0006062741
工程4からのジクロロ架橋イリジウムダイマー(1.0 g, 0.6 mmol)、2,8−ジメチルノナン−4,6−ジオン(0.8 g, 6 mmol)、NaCO(3 g, 12 mmol)、及び25mLの2−エトキシエタノールを250mLの丸底フラスコに入れた。その反応混合物を室温で24時間撹拌し、その後、2gのセライト((登録商標))及び200mLのジクロロメタンをその反応混合物に添加して生成物を溶かした。その混合物をセライト(登録商標)ベッドを通して濾過した。濾液をシリカ/アルミナの詰め物を通し、ジクロロメタンで洗った。澄んだ溶液をGF/F濾紙を通して濾過し、その濾液を加熱して殆どのジクロロメタンを除去した。イソプロパノール(20 mL)を次に添加し、そのスラリーを室温まで冷やし、生成物を濾過してイソプロパノールで洗い、乾燥させて1.1g(97%収率)の粗生成物を得た。この生成物をジクロロメタンから2回再結晶し、次に昇華させて化合物1を得た。
化合物2の合成
Figure 0006062741
先の合成の工程4からのジクロロ架橋イリジウムダイマー(2.75 g, 1.71 mmol)、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン(2.67 g, 17.1 mmol)、KCO(2.3 g, 34.2 mmol)及び25mLの2−エトキシエタノールを250mLの丸底フラスコに入れた。その反応混合物を常温で24時間撹拌し、その後、2gのセライト(登録商標)及び200mLのジクロロメタンをその反応混合物に添加して生成物を溶かした。その混合物をセライト(登録商標)ベッドを通して濾過した。濾液をシリカ/アルミナの詰め物を通し、ジクロロメタンで洗った。澄んだ溶液をつぎにGF/F濾紙を通して濾過し、その濾液を加熱して殆どのジクロロメタンを除去した。イソプロパノール(20 mL)を次に添加し、そのスラリーを室温まで冷やし、生成物を濾過してイソプロパノールで洗い、乾燥させて1.49g(97%収率)の粗生成物を得た。この生成物を次に2回再結晶し、次に昇華させて化合物2を得た。
本明細書に記載した様々な態様は例示の目的であり、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した多くの物質及び構造は、本発明の精神から離れることなく、その他の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体的な例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、それは当業者には明らかである。本発明が何故機能するのかについての様々な理論は限定することを意図していないことが理解される。

Claims (10)

  1. 下記式を有する化合物。
    Figure 0006062741
    (式IV)
    は4以上の炭素原子を有するアルキルであり、
    が水素であり、
    及びR が独立に、CH(CH 及びCH CH(CH から選択され、
    mは1又は2である。
  2. mが2である、請求項1に記載の化合物。
  3. 以下のものからなる群から選択される化合物。
    Figure 0006062741
  4. 第一の有機発光デバイスを含む第一のデバイスであって、
    アノード;
    カソード;及び、
    前記アノード及びカソードの間に配置された有機層を含み、前記有機層が請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を含む、第一の有機発光デバイス。
  5. 消費者製品である、請求項に記載の第一のデバイス。
  6. 有機発光デバイスである、請求項に記載の第一のデバイス。
  7. 発光パネルを含む、請求項に記載の第一のデバイス。
  8. さらに前記有機層がホストを含む、請求項に記載の第一のデバイス。
  9. 前記ホストが金属8−ヒドロキシキノレートを含む、請求項に記載の第一のデバイス。
  10. 前記ホストが以下のものからなる群から選択される、請求項に記載の第一のデバイス。
    Figure 0006062741
    及びそれらの組み合わせ。
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