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JP6061794B2 - 透過型スクリーンに用いる積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、透過型スクリーン積層体に関する。詳しくはプロジェクターから投影された映像の視野角が広く、且つガラスやプラスチック板等の被接着基材に貼り付ける、あるいは被接着基材から剥離する際の作業性と、被接着基材への接着性が良好な透過型スクリーン積層体に関する。
現在、プロジェクターより投影された映像を、スクリーンを挟んでプロジェクターの反対側から視認する、いわゆる背面投射型の透過型スクリーンは、これまでのポスター、サイン、看板等の広告媒体に代わって普及しつつある。近年では貼り替えが不要で、即座に内容を変更でき、静的だけではなく動的な掲示が求められるデジタルコンテンツを、大画面で投影できるデジタルサイネージとして非常に注目を浴びている。
とりわけ、店舗のショーウインドウ等は、その多くが顧客の通る道路に面しており、ウインドウを大画面スクリーンとして使用したデジタルサイネージに代えることができれば広告媒体として非常に有用であることから、ショーウインドウ貼付型の、いわゆるウインドウディスプレイ用透過型スクリーンのニーズが高まっている。
ウインドウディスプレイ用透過型スクリーンとしては、例えば、多孔質粒子を含有する光拡散層を有する透過型スクリーン(特許文献1)、光拡散微粒子と樹脂バインダーを含有し、該光拡散微粒子の一部を光拡散層から突出させることでヘーズが80%以上、全光線透過率が60%以上であり、かつ少なくとも一方の面の鏡面光沢度が10%以下の透過型スクリーン(特許文献2)など、プロジェクター投影時の視野角が広く、さらにプロジェクター側からの視認性も良好な透過型スクリーンが提案されている。
このようなウインドウディスプレイ用の透過型スクリーンにおいては、広告として機能を最大限に発揮すべくプロジェクターから投影された映像を広い角度から視認できるよう、さらに高い視認性が求められている。このような要求に対し、本発明者は光拡散層が光拡散性微粒子とキセロゲルを含有することを特徴とする透視可能な透過型スクリーンを特願2012−046170号、特願2012−060802号等として提案した。
一方、これらウインドウディスプレイ用の透過型スクリーンにおいては、一般的に透過型スクリーンを被接着基材に貼り付ける際に、空気が入らないように被接着基材の貼り合わせ面や透過型スクリーンの粘着層の貼り合わせ面に、好ましくは界面活性剤を含有する水を噴霧し、双方を密着した後、透過型スクリーン側より空気と一緒に水をスキージ等で掻きだして貼り付け、さらに十分接着させるために数日から数週間乾燥させることが一般的に行われる(以下、本貼り方を水貼りという)。しかしながら、この水貼り作業は上記のように複雑で時間がかかり、また透過型スクリーンが不要になった際に、透過型スクリーンを剥離し被接着基材に少なからず残った粘着剤をきれいに掃除する必要もあり、一連の貼り付け、剥離の作業性が非常に悪いという問題があった。
特開2006−119318号公報 特開2005−024942号公報
本発明の目的は、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、且つガラスやプラスチック板等の被接着基材に貼り付ける、あるいは被接着基材から剥離する際の作業性と、被接着基材への接着性が良好な透過型スクリーン積層体を提供する。
前記課題は以下の発明により達成される。
(1)光透過性支持体の少なくとも一方の面に光拡散層、透明粘着層およびセパレート基材が順次積層された透過型スクリーンに用いる積層体であって、該光拡散層が光拡散性微粒子とキセロゲルを含有し、光拡散微粒子がキセロゲルに担持されており、該透明粘着層が点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部を有することを特徴とする透過型スクリーンに用いる積層体。
本発明により、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、且つガラスやプラスチック板等の被接着基材に貼り付ける、あるいは被接着基材から剥離する際の作業性と、被接着基材への接着性が良好な透過型スクリーン積層体を提供することができる。
本発明の透過型スクリーン積層体の一実施例を示す概略断面図 本発明の透過型スクリーン積層体の他の実施例を示す概略断面図
以下に本発明を詳細に説明する。
図1、2は本発明の透過型スクリーン積層体の一実施例あるいは他の実施例を示す概略断面図を示す。本発明における透過型スクリーン積層体は、図1および2に示すように、光透過性支持体4の少なくとも一方の面に光拡散性微粒子2とキセロゲル5を含有する光拡散層3、点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部6を有する透明粘着層8、およびセパレート基材7を有する(図中、貼り付け前の図)。本透過型スクリーン積層体を使用して被接着基材10に貼り付ける際には、セパレート基材7を剥がし取り、露出した透明粘着層8と被接着基材10を重ね合わせて貼り付ける(図中、貼り付け後の図)。この際、点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部6を有する透明粘着層8により、皺なく容易に被接着基材10との間の空気を取り除いて貼り付けることができる。
本発明の透過型スクリーン積層体の「透過型」とは、前記したセパレート基材を取り除いた状態でのスクリーン積層体、すなわち被接着基材に貼り合される状態でのスクリーン積層体のJIS−K7361−1で規定される全光線透過率が50%を超えることを意味する。より好ましくは65%を超えることを意味する。
本発明における透過型スクリーン積層体は、光拡散層が、光拡散性微粒子及びキセロゲルを含有する。
通常、光拡散性微粒子を光透過性支持体に塗布する場合、光拡散性微粒子を結着させる樹脂バインダーが必要となる。光拡散性微粒子及び樹脂バインダーを含有する塗布液は、塗布性確保のための粘度調整等を目的に有機溶剤もしくは水等で希釈され光透過性支持体に塗布・乾燥したり、あるいは光硬化性樹脂や電子線硬化樹脂を樹脂バインダーとして無溶媒で塗設したりすることが一般に行われる。このような方法で塗設された光拡散層は、樹脂バインダー及び光拡散性微粒子の屈折率が双方とも一般的に1.50近辺であるため、樹脂バインダーに対する光拡散性微粒子の相対屈折率は低くなり効率的な光拡散が起こりにくい。対して本発明では、キセロゲルに光拡散性微粒子を担持させることにより、光拡散性微粒子表面にキセロゲルの空隙(屈折率1.0の空気)が存在して、光拡散性微粒子の空気に対する相対屈折率が非常に高くなるため光拡散性微粒子の効率的な光拡散が可能になり、プロジェクターから投影された映像の視野角の高い透過型スクリーンを提供することが可能となる。
なお、前述した特開2006−119318号公報、特開2005−024942号公報では、樹脂バインダーにて光拡散性微粒子を保持した光拡散層が記載されているのであって、キセロゲルに光拡散性微粒子を担持する本発明の光拡散層とは本質的に異なる。
本発明における光拡散層が含有する光拡散性微粒子は、光を拡散する性能を有するものであれば有機微粒子及び無機微粒子を問わず使用することができるが、プロジェクターから投影された映像を視認できる視野角が非常に広く、スクリーンの両面からの視認性が高まる観点より平均一次粒子径が0.10μm以上の単一粒子分散性の光拡散性微粒子、もしくは平均二次粒子径が1.0μmを超える二次の凝集粒子径を持つ光拡散性微粒子(以下、凝集粒子分散性の光拡散性微粒子という)を用いることが好ましい。単一粒子分散性の光拡散性微粒子の平均一次粒子径の上限は200μm以下であることが好ましい。また凝集粒子分散性の光拡散性微粒子の平均二次粒子径の上限は200μmであることが好ましい。
なお本発明でいう平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で測定することができるが、単一粒子分散性の光拡散性微粒子の場合、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することもできる。凝集粒子分散性の光拡散性微粒子の平均二次粒子径は、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
光拡散性微粒子の光拡散性は、上記した相対屈折率の他に比表面積に依存する。また比表面積は光拡散性微粒子の平均一次粒子径に依存し、単一粒子分散性の微粒子の場合、平均一次粒子径と比重から容易に算出できる。
また、光拡散性微粒子の屈折率は、1.30以上であることが好ましいが、1.55を超える場合に、とりわけ視野角が広く、スクリーンの両面からの視認性にも優れる透過型スクリーン積層体が得ることができる。
有機微粒子としては、例えば、アクリル重合体、スチレン−アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元共重合体、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂、メラミン樹脂等、従来公知のものから広く選ぶことができる。また、メラミン樹脂やアクリル系樹脂等の微粒子表面がシリカ等の無機微粒子で被覆されたものも使用できる。また、このような有機微粒子と少量の無機微粒子(無機微粒子の割合が50質量%を下回るもの)による複合粒子を用いた場合等でも、実質的には有機微粒子と見なし使用できる。これらのポリマーのモノマー中に屈折率を高める目的で硫黄原子を導入したものや、耐候性を向上させる、あるいは屈折率を下げるためにフッ素置換基を導入したものも用いることができる。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、酸化アンチモン類、アンチモン酸亜鉛、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ハフニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化モリブデン、ATO、ITOや、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等の酸化ガラス等があり、これらの複合酸化物あるいは複合硫化物等についても広く用いることができる。また、酸化チタン、酸化亜鉛等光触媒活性を持つ無機微粒子の場合には、無機微粒子表面に極めて薄く、シリカ、アルミナ、ホウ素等による被覆が行われているものも使用できる。また、無機微粒子と少量の有機高分子(有機微粒子の割合が50質量%を下回るもの)による複合粒子を用いた場合等でも、実質的には無機微粒子と見なし使用できる。また光拡散性微粒子として用いる無機微粒子は、単一粒子分散性の無機微粒子であることが好ましい。
本発明では、光拡散性微粒子として用いる有機微粒子及び無機微粒子は、それぞれを単独もしくは複数種類を混合して使用することもでき、有機微粒子及び無機微粒子の双方を混合して使用することも可能である。
本発明の光拡散性微粒子の塗布量は特に制限はなく、光拡散性微粒子の相対屈折率や、平均一次粒子径と比重から計算される光拡散性微粒子の単位質量あたりの比表面積によって異なるが、0.005〜15.0g/mであり、好ましくは0.01〜12.0g/m、さらに好ましくは0.03〜10.0g/mである。
次に本発明の光拡散層が有するキセロゲルについて説明する。本発明の光拡散層はキセロゲルによって光拡散性微粒子を保持する。
本発明でいうキセロゲルとは、蒸発等により内部の溶媒を失い空隙を持つ網目構造となったゲルのことであり、キセロゲルによって光拡散性微粒子が保持された光拡散層の空隙率は40%以上が好ましく、50%以上がさらに好ましい。
空隙率とは、以下の式で定義される。ここで空隙容量Vは水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造者 micromeritics instrument corporation)を用い測定・処理された、光拡散層における細孔半径3nmから400nmまでの累積細孔容積(ml/g)に、光拡散層の乾燥固形分量(g/平方メートル)を乗ずることで、単位面積(平方メートル)あたりの数値として求めることができる。また塗層厚みTは光拡散層の断面を電子顕微鏡で撮影し測長することで得ることができる。
P=(V/T)×100(%)
P:空隙率(%)
V:空隙容量(ml/m
T:塗層厚み(μm)
本発明のキセロゲルは、無機微粒子と樹脂バインダーによって構成されることが好ましく、平均一次粒子径が18nm以下の無機微粒子と樹脂バインダーによって構成されることがより好ましい。平均一次粒子径が18nmを超えると、光拡散層の透明性が低下し十分な透視性や輝度が得られない場合がある。また、本発明のキセロゲルを構成する無機微粒子は、平均二次粒子径は500nm以下の二次の凝集粒子径を有することが好ましい。平均二次粒子径が500nmを超えると、光拡散層の透明性が低下し十分な透視性や輝度が得られない場合がある。なお、二次の凝集粒子径を有する無機微粒子の場合、本発明でいう平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で測定することができ、平均二次粒子径はレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
キセロゲルを構成する無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、高い空隙率が得られるため非晶質合成シリカ、アルミナまたはアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販されている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素とともに燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は18nm以下であることが好ましく、より高い透視性を得るためには、平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上のものを用いることである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。これにより高い空隙率の光拡散層が得られ、視認性に優れた効果が得られる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
本発明では、平均二次粒子径を500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。ここで用いられる湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径18nm以下であり、かつ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。アルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
上記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を併用することもできる。例えば、粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。この併用の場合の比率は、いずれの様態も、7:3〜3:7の範囲が好ましい。
本発明において、キセロゲルを構成する無機微粒子とともに用いられる樹脂バインダーとしては、特に限定されるものではないが、透明性が高い親水性樹脂バインダーが好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等が挙げられる。これら親水性樹脂バインダーは2種類以上併用することも可能である。好ましい親水性樹脂バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールや、カチオン変性ポリビニルアルコールである。
キセロゲルを構成する樹脂バインダーの含有量は、キセロゲルを構成する無機微粒子に対して3〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜85質量%、さらに好ましくは5〜70質量%である。これにより高い映像の視野角を得ることができる。また前述した光拡散性微粒子は、キセロゲルを構成する無機微粒子に対して0.1〜200質量%であることが好ましく、0.3〜150質量%であることが特に好ましい。
光拡散層は、樹脂バインダーとともに必要に応じ硬膜剤を用いることもできる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、米国特許第2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩類の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
光拡散層の乾燥固形分塗布量は、1〜50g/mの範囲が好ましく、3〜40g/mの範囲がより好ましく、特に5〜30g/mの範囲が好ましい。光拡散層にはさらに、カチオン性ポリマー、防腐剤、界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤等を添加することもできる。
光拡散層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらの光拡散層の構成はお互いに同じであっても異なっていてもよい。なお、複数の光拡散層がある場合、光拡散性微粒子は少なくとも1つの光拡散層に含有させることができる。
本発明において、光拡散層の塗布に用いられる塗布方式としては、公知の各種塗布方式を用いることができる。例えば、スライドビード方式、スライドカーテン方式、エクストルージョン方式、スロットダイ方式、グラビアロール方式、エアーナイフ方式、ブレードコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
本発明の透過型スクリーン積層体が有する光透過性支持体としては、光透過性を有するものであれば特に限定されず、ガラスやプラスチックからなる板状のもの、フィルム状のもの等や、これらに任意の光透過性を有する層(例えば易接着層)を設けたものを使用することができる。ガラスの種類としては、特に限定されるものではないが、一般にはケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等の酸化ガラスが実用的であり、特にケイ酸ガラス、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラスが好ましい。プラスチックとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアリレート、アクリル、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニル等が使用でき、延伸加工、特に二軸延伸加工されたものは、機械的強度が向上されるので好ましい。なお、光透過性支持体のヘーズ値は30%以下であることが好ましい。
本発明の光透過性支持体の厚みは、適用される材料に対して適宜選択することができるが、一般には、10μm〜30mmであることが好ましく、より好ましくは20μm〜20mmである。
本発明における透過型スクリーン積層体は、上記した光拡散層上に、点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部を有する透明粘着層およびセパレート基材が順次積層されたものである。該透過型スクリーン積層体を使用する際はセパレート基材を剥離して透明粘着層を被接着基材へ接着して使用する。なお光透過性支持体の両面に光拡散層を設けた場合は、透明粘着層を設けない光拡散層面には、被接着基材に透過型スクリーンを貼る際に光拡散層が傷つかないように、透明粘着層上に積層するセパレート基材と同様のプロテクト基材を設けることが好ましい。なお被接着基材に貼り付けた後、プロテクト基材は剥がして使用することが好ましい。
本発明において透明粘着層が有する、点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部とは、透明粘着層の全面に亘って独立した接着部であり、非接着部が透明粘着層の全面に亘って連続しているものである。この際、非接着部が光拡散層そのものであってもよい。さらに点状あるいはブロック状の接着部は、1個あたりの面積が1〜20mmであることが好ましく、透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は5〜80%であることが好ましい。なお10mm四方面積内および透明粘着層全体において、各々の接着部は均一に分布していることが好ましい。
本発明の透明粘着層は、点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部を有しているため、作業性の著しく悪い前記の水貼りを行う必要がなく、いわゆる、連続面的に接着部を有する一般的な透過型スクリーンと比較して、ガラスやプラスチック板等の被接着基材に貼り付ける際、空気が抜けやすく作業性が良好となる。さらには被接着基材との間に気泡等が残ることがないためプロジェクター映写時に映像が見苦しくなることがない。また、接着部が点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に設けられていることにより再剥離性が良好であるので、必要に応じて剥がしたり貼付位置を変更したりすることが容易に行える。特に、接着部として紫外線硬化性の粘着性樹脂を用いた場合は、透明粘着層と光拡散層との接着性が良好となり、粘着性の持続性も良好となるため、剥離時に透明粘着層が被接着基材に残ることを防止でき、貼付剥離を繰り返した場合でも粘着性の低下が少なく、作業性が良好である。
本発明における点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部の高さは10μm以上とすることで、被接着基材への接着性が良好となる。接着部の高さが10μm未満であると、製造過程において光拡散層に透明粘着層が埋没してしまい、透明粘着層の接着面形状が不安定となるため、被接着基材との接着性が低下する場合がある。また被接着基材に貼り付ける際に空気が抜けにくくなり作業性が低下する場合がある。接着部の高さの上限は特に制限はないが、カール性とプロジェクターから投影した際に透明粘着層を目立ちにくくする観点より、80μm以下が好ましく、さらに50μm以下であることが好ましい。なお、本発明における接着部の高さとは、透明粘着層中の接着部頂点と非接着部面の差のことである。
本発明における透明粘着層の厚みは、特に制限はなく透過型スクリーン積層体のカール性等を考慮し適宜設定できる。なお、本発明における透明接着層の厚みとは光拡散層上の部分のみを示し、光拡散層に埋没した部分は含まない。
接着部を形成する粘着剤は光透過性を有するものであれば使用することができるが、JIS K7136で規定されるヘーズ値4%の100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムに、接着剤を厚さ10μmで設けた際に、ポリエチレンテレフタレートフィルムと接着剤の積層フィルムのヘーズ値が10%以下となる接着剤を用いることが好ましい。粘着剤としては、ロジンや天然ゴム、多糖類等の天然の粘着剤の他に、アクリル系、ウレタン系、合成ゴム系、オレフィン系等の合成樹脂系の熱硬化性粘着剤、主剤と硬化剤を混合して使用する2液タイプの粘着剤、感光性樹脂と感光性モノマー及び光重合開始剤等から構成される光硬化性粘着剤を用いることができる。粘着剤の粘着性は、被着物との対応から適宜調整すればよい。特に、透明粘着層に用いる粘着剤として、感光性樹脂と感光性モノマー及び光重合開始剤等から構成される紫外線硬化性の粘着剤を用いることで、透明材に貼り付けた場合に、透明材の材質によらず剥離時に透明粘着層が透明材側に残ることを防止でき、貼付剥離を繰り返した場合でも粘着性の低下が少なくなるなど、作業性が良好になるため好ましい。紫外線硬化性の粘着剤としては、JELCON USLシリーズ(十条ケミカル(株)製)などが挙げられる。
透明粘着層を塗工し加工する装置には、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、スロットノズル、スロットダイ、スクリーン印刷機、フレキソ印刷機、グラビアコーター、オフセットグラビアコーター、ホットメルトホイール、スパイラルスプレー等が挙げられ、本発明における必須項目である、点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に接着部を配置せしめることができるように選択を適宜行えばよい。特に、透明粘着層に用いる粘着剤として紫外線硬化性の粘着剤を用いる場合は、スクリーン印刷によりパターン化して設けることが好ましく、塗工後は紫外線を照射し硬化させることが好ましい。
本発明におけるセパレート基材は、剥離した際に透明粘着層がセパレート基材上に残らないように、透明粘着層と貼り合わせる面にシリコン樹脂加工などの剥離処理加工を施したフィルムや紙等の公知の基材を用いることができる。なお最終的には剥がして使用するため厚みやヘーズ値に関しても特に制限はないが、ハンドリングの観点より、厚みは1.0〜100μmが好ましく、さらに5.0〜50μmが好ましい。
本発明におけるプロテクト基材は、剥離した際に透過型スクリーン側に接着剤が残らないように調整された粘着層を有するフィルムや紙等の公知の基材を使用することができる。なお最終的には剥がして使用するため、厚みやヘーズ値に関しても特に制限はないが、ハンドリングの観点より、厚みは1.0〜100μmが好ましく、さらに5.0〜50μmが好ましい。
また、光透過性支持体の表面には、光拡散層と光透過性支持体との接着性を向上させる目的で易接着処理を施してもよく、また別途易接着層を設けてもよい。
本発明の透過型スクリーン積層体は、少なくとも一方の面に、層界面による光の干渉作用を利用して反射光を打ち消しあう性能を有する公知の反射防止層を有してもよい。これによりプロジェクターから投射された映像を鮮明に視認させることができる。反射防止層としては、例えば、酸化ケイ素やフッ化リチウム等の透明性の高い低屈折率層を主波長の1/4となる光学薄膜となるように設けた単層のものや、このような低屈折率層に酸化チタンや酸化亜鉛等の高屈折率層を適宜積層したもの等を用いることができる。
さらに、少なくとも一方の最表面に、スクリーンの強度を上げるための公知のハードコート層、拡散防止層や帯電防止層を設けることも可能である。
本発明の透過型スクリーン積層体により被接着基材に貼り付けられた透過型スクリーンは、プロジェクターの映像を光拡散層側もしくはその反対側の双方どちらから投影して使用することも可能である。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部とは固形分あるいは実質成分の質量部を表す。
(実施例1)
光透過性支持体として厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘーズ値4%)の片面に、下記組成の光拡散層塗布液1を、固形分塗布量が20.0g/mになるようにスライドビード塗布装置を用いて塗布し、10℃及び50℃の熱風を順次吹き付けて乾燥して光拡散層を設けた。なお、凝集粒子分散性の光拡散性微粒子は、水を分散媒としてホモミキサーで予め分散して使用した。また、水銀ポロシメーター(測定器名称 Autopore II 9220 製造者 micromeritics instrument corporation)を用いて空隙容量を測定したところ19.2ml/m、光拡散層の断面の電子顕微鏡観察による厚みは34μmであり、計算される空隙率は55%であった。
<シリカ分散液の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m/g)100部を添加し予備分散液を作製した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液を製造した。平均二次粒子径は、(株)堀場製作所製LA910を用いて測定すると80nmであった。
<光拡散層塗布液1>
シリカ分散液 (シリカ固形分として)150部
ポリビニルアルコール 100部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
ホウ酸 16部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
凝集粒子分散性の光拡散性微粒子 150部
(P−78A:水澤化学工業(株)製、平均二次粒子径6.0μm、比表面積360m/g、屈折率1.45)
単一粒子分散性の光拡散性微粒子 6部
(オプトビーズ500S:日産化学工業(株)製、シリカ、メラミン樹脂複合微粒子(メラミン樹脂主体)、平均一次粒子径0.5μm、真比重2.2、屈折率1.65)
単一粒子分散性の光拡散性微粒子 24部
(オプトビーズ2000M:日産化学工業(株)製、シリカ、メラミン樹脂複合微粒子(メラミン樹脂主体)、平均一次粒子径1.5μm、真比重2.2、屈折率1.65)
全体の固形分濃度が10%になるように水で調整した。
続いて、光拡散層上に、紫外線硬化性の粘着剤である、JELCON USL−101(十条ケミカル(株)製、ヘーズ値4%で厚みが100μmの透明PETに厚さ10μmで設けた際のヘーズ値が5%となる接着剤)を使用し、スクリーン印刷により点状にパターン化して、点状の接着部の高さが30μmとなるように塗工し、紫外線を照射し硬化させて透明粘着層を設けた。なお、リアルカラーコンフォーカル顕微鏡 OPTELICS C130(レーザーテック(株)製)を用いて透明粘着層の測定を行ったところ、点状の接着部は1個あたりの面積が3.1mmで、透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は65%であり、10mm四方面積内および透明粘着層全体において均一に分布していた。その後、透明粘着層面は、セパレート基材としてシリコン樹脂加工で剥離処理を施した厚さ80μmの上質紙を密着させ透明粘着面を保護し、実施例1の透過型スクリーン積層体を得た。この透過型スクリーン積層体において、セパレート基材を貼合する前の透過型スクリーンの全光線透過率は70%であった。
(実施例2)
実施例1の光拡散層塗布液1を、実施例1と同様の光透過性支持体の両面に、光拡散層塗布液1をそれぞれ固形分塗布量が10.0g/mになるようにスライドビード塗布装置を用いて塗布・乾燥し光拡散層を設け、続いてもう一方の面の光拡散層上に実施例1と同様の透明粘着層を設けた以外は実施例1と同様にして実施例2の透過型スクリーン積層体を得た。なお、この透過型スクリーン積層体において、セパレート基材を貼合する前の透過型スクリーンの全光線透過率は70%であり、実施例1と同様にして測定した点状の接着部の高さが30μm、点状の接着部は1個あたりの面積が3.1mmで、透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は65%であり、10mm四方面積内および透明粘着層全体において均一に分布していた。
(実施例3)
実施例2と同様にして、点状の接着部の高さが8μmとなるように塗工し、紫外線を照射し硬化させて透明粘着層を設けた以外は実施例2と同様にして実施例3の透過型スクリーン積層体を得た。なお、この透過型スクリーン積層体において、セパレート基材を貼合する前の透過型スクリーンの全光線透過率は70%であり、実施例1と同様にして測定した透明粘着層の点状の接着部は1個あたりの面積が3.1mmで、透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は65%であり、10mm四方面積内および透明粘着層全体において均一に分布していた。
(実施例4)
実施例2と同様にして、点状の接着部の高さが12μmとなるように塗工し、紫外線を照射し硬化させて透明粘着層を設けた以外は実施例2と同様にして実施例4の透過型スクリーン積層体を得た。なお、この透過型スクリーン積層体において、セパレート基材を貼合する前の透過型スクリーンの全光線透過率は70%であり、実施例1と同様にして測定した透明粘着層の点状の接着部は1個あたりの面積が3.1mmで、透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は65%であり、10mm四方面積内および透明粘着層全体において均一に分布していた。
(実施例5)
実施例2の透明粘着層を設けないもう一方の光拡散層上に、プロテクト基材としてシリコン樹脂接着層で剥離処理を施した厚さ16μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘーズ値3%)を密着貼合し光拡散層面を保護した以外は実施例2と同様にして実施例5の透過型スクリーン積層体を得た。なお、この透過型スクリーン積層体において、プロテクト基材及びセパレート基材を貼合する前の透過型スクリーンの全光線透過率は70%であり、実施例1と同様にして測定した点状の接着部の高さが30μm、点状の接着部は1個あたりの面積が3.1mmで、透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は65%であり、10mm四方面積内および透明粘着層全体において均一に分布していた。
(比較例1)
実施例1の光拡散層塗布液1を下記の光拡散層塗布液2にして、固形分塗布量が13.0g/mになるように塗布・乾燥した以外は実施例1と同様にして比較例1の透過型スクリーン積層体を作製した。なお、この透過型スクリーン積層体において、セパレート基材を貼合する前の透過型スクリーンの全光線透過率は70%であり、実施例1と同様にして測定した光拡散層の空隙率は3%、点状の接着部の高さが30μm、点状の接着部は1個あたりの面積が2.8mmで、透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は58%であり、10mm四方面積内および透明粘着層全体において均一に分布していた。
<光拡散層塗布液2>
アルカリ処理ゼラチン 100部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
ゲル法シリカ 150部
(P−78A:水澤化学工業(株)製、平均二次粒子径6.0μm、比表面積360m/g、屈折率1.45)
全体の固形分濃度が10%になるように水で調整した。
(比較例2)
比較例1と同様にして光拡散層を設けた後、光拡散層上に下記の透明粘着層液を30μmの乾燥塗厚になるように塗布・乾燥し透明粘着層を設け、セパレート基材としてシリコン樹脂加工で剥離処理を施した厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(ヘーズ値3%)を密着貼合し透明粘着層を保護し、比較例2の透過型スクリーン積層体を得た。なお透明粘着層における任意の10mm四方面積における接着部の面積比率は100%であり、この透過型スクリーン積層体において、セパレート基材を貼合する前の透過型スクリーンの全光線透過率は68%であった。
得られた実施例1〜5、比較例1および2に関し以下の評価を実施した。結果は表1に示した。
<スクリーンの貼り付け易さ>
被接着基材として3mm厚の透明ガラス面と、A4サイズのセパレート基材を剥離した透過型スクリーンの透明粘着層面をそのまま貼り合わせた。
その際のスクリーンの貼り付け易さを以下の基準で評価した。
○:空気が抜けやすく容易にスクリーンを貼り付けることができた
△:やや空気が抜けにくく、スクリーンの貼り付けにやや時間がかかった
×:全く空気が抜けずスクリーンの貼り付けが不可能であり、貼り付けには作業性の悪い水貼りにて対応せざるを得なかった
<スクリーンの剥離し易さ>
被接着基材として3mm厚の透明ガラス面に貼り付けたA4サイズの透過型スクリーン(セパレート基材を剥離し、比較例2は水貼りにて貼り付け、その他はそのまま貼り付けた)を被接着基材から剥離した際の剥離し易さを以下の基準で評価した。
○:剥離に大きな力は不要で簡単に剥離することができ、透明アクリル板に透明粘着層が残ることはなかった
△:剥離に上記○レベルより比較的大きな力が必要であったが、透明アクリル板に透明粘着層が残ることはなかった
×:剥離に上記△レベルよりさらに大きな力が必要で、透明アクリル板に透明粘着層と一部の光拡散層が残り、これらの除去に非常に時間がかかった
<スクリーンの接着性>
被接着基材として3mm厚の透明ガラス面に貼り付けたA4サイズの透過型スクリーン(セパレート基材を剥離し、比較例2は水貼りにて貼り付け、その他はそのまま貼り付けた)を垂直に保持し、20℃、50%RH環境で3日間保持し以下の基準で評価した。
○:スクリーンが被接着基材から剥離することはなかった
△:スクリーンの端部が一部被接着基材から剥離した
×:スクリーンが被接着基材から完全に剥離してしまった
<視野角>
被接着基材として5mm厚の透明アクリル板面に貼り付けたA2サイズの透過型スクリーン(セパレート基材を剥離し、比較例2は水貼りにて貼り付け、その他はそのまま貼り付けた)に関し、プロテクト基材を持つものはこれを剥がした後、垂直に立ててデジタルプロジェクター(MP515ST、BenQ製)で実際に映像を、透過型スクリーン側より投影し、プロジェクターとは反対側より透過型スクリーンに投影された映像を観察した。なお、プロジェクターはスクリーンの垂線に対して上方向から約30度の角度を持たせて照射した。この状態でプロジェクターとは反対側から水平方向の視野角を0°から90°変えて観察し以下の評価基準により評価した。
◎:すべての角度で映像が十分確認でき非常に視野角が広い
○:上記◎よりはやや劣るが、すべての角度で映像が確認でき視野角が広い
△:90°付近の高視野角で映像がやや確認しにくい
×:90°付近の高視野角で映像が確認しにくい
表1の結果から、本発明の透過型スクリーン積層体により、プロジェクターから投影された映像の視野角が広く、且つガラスやプラスチック板等の被接着基材に貼り付ける、あるいは被接着基材から剥離する際の作業性と、被接着基材への接着性が良好な透過型スクリーン積層体が得られることが判る。
1 透過型スクリーン積層体
2 光拡散性微粒子
3 光拡散層
4 光透過性支持体
5 キセロゲル
6 点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部
7 セパレート基材
8 透明粘着層
10 被接着基材
100 透過型スクリーン

Claims (1)

  1. 光透過性支持体の少なくとも一方の面に光拡散層、透明粘着層およびセパレート基材が順次積層された透過型スクリーンに用いる積層体であって、該光拡散層が光拡散性微粒子とキセロゲルを含有し、光拡散微粒子がキセロゲルに担持されており、該透明粘着層が点状あるいはブロック状にパターン化して離散的に配置せしめた接着部を有することを特徴とする透過型スクリーンに用いる積層体。
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