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JP6060145B2 - 高キャンバ圧縮機ロータブレード - Google Patents

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Description

本発明は、全体的に、ジェット推進エンジンに関し、より具体的にはジェット推進エンジンにおいて使用される圧縮機翼形部に関する。
ガスタービンエンジンにおいて、空気が圧縮機内で加圧され、燃焼器内で燃料と混合されて高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、タービン段を通って排出され、該タービン段が燃焼ガスからエネルギーを抽出して圧縮機を駆動し、例示的なターボファン航空機エンジン用途においてブースタ(低圧圧縮機)及びファンを駆動する際に使用するための出力を生成する。
多段軸流圧縮機は、協働するステータベーン及びロータブレードの列を含み、これらの列は、各段で空気を加圧するようにそのサイズが縮小している。圧縮機ベーン及びブレードは対応する翼形部を有し、該翼形部は通常、圧縮機の性能を最大にするためにこれらのサイズが段毎に縮小するにつれて構成が変化する。圧縮機性能には、例えば、加圧効率、流量性能及び失速マージンが含まれ、これらは全て、ベーン及びブレードの構成によって影響を受ける。
より具体的には、空気がステータベーン及びロータブレードを通して加圧されているときの該空気の流れすなわち圧力分布は、圧縮機の周りでは円周方向に、ベーン及びブレード翼形部のスパンに沿って半径方向に、また翼形部の円周方向に対向する正圧側面及び負圧側面に沿って軸方向に変化する複雑な三次元流れ場である。
翼形部正圧側面は全体的に凹面状であり、この正圧側面は、全体として凸面状の対向する負圧側面と協働して、空気がブレード間をその前縁と後縁との間で軸方向下流方向に流れるときに空気を効率的に加圧するようになる。加圧を受ける空気の圧力分布は、翼形部の半径方向内側根元から該翼形部の半径方向外側先端まで変化するが、この半径方向外側先端は、周囲の圧縮機ケーシングに近接して間隔を置いて配置されて該圧縮機ケーシングとの間に好適な半径方向ギャップすなわちクリアランスを設けている。
翼形部自体は、例えば単一ブリスク構成で圧縮機ロータと一体形に形成するようなあらゆる好適な方法で圧縮機ロータによって支持することができ、或いは、各ロータ翼形部は、圧縮機ロータの外周に形成した対応するダブテールスロット内に圧縮機ブレードを取り付けるための一体形プラットフォーム及びダブテールを有することもできる。
空気を加圧するよう設計された軸流及び斜流圧縮機ブレードは通常、固定ケーシング内で回転し、機械を通過する流れの全体の圧力及び温度を引き上げる役割を果たす1つ又は複数のロータを有する。圧縮機ロータブレードは、翼形部の本体上で隆起部を保持し、該隆起部は、翼形部の正圧面上でより高い静圧として、翼形部の負圧面上でより低い静圧としてそれ自体が顕在化する。一般に、圧縮機ロータの先端と半径方向に隣接するケーシング流路との間には小さなギャップが存在する。翼形部の正圧側面と負圧側面との間の圧力差により、圧縮機ロータの先端ギャップを通る流れがもたらされる。この先端流は、巻き上げられて渦流になることができ、該渦流は、円周方向に隣接するブレードの正圧側面上に集まる傾向があり、圧縮機先端領域における高レベルの損失及び閉塞を生じる。この閉塞は、圧縮機ロータ先端にわたって散在するので、圧力上昇をもたらす圧縮機能力が低下し、場合によっては失速を生じる可能性がある。この問題は、表面摩擦及び2次流の累積的作用によって生じる端壁付近の弱い流れによって悪化する。この弱い端壁流によって、上述の渦流が下流側に対流せずにロータ先端領域に留まる恐れがある。
当該技術分野において、効率上不利な点を伴うことなく、先端漏洩を制御又は低減して失速マージンを向上させるために、円周方向溝のようなケーシング処理が使用される場合がある。これらの方法は、先端漏洩流のレベルを低減する役割を果たすが、残りの先端流によってもたらされる損失及び閉塞を制御するものではない。従来の設計では、上述の損失機構に起因して、端壁領域において圧力及び速度プロファイルが幾分弱くなることが一般に認められている。
米国特許出願公開第2010/054946号明細書
従って、ブレード通路にわたる流れ閉塞の拡大を低減し、これにより圧縮機失速マージンの改善を可能にすることができる特別な特徴要素を備えた翼形部を含む圧縮機ロータブレードを有することが望ましいことになる。端壁流の速度及び圧力を強化して、先端閉塞の低減を可能にし、且つスロットルマージンを増大させることができる翼形部を含む圧縮機ロータブレードを有することが望ましい。
上述の1つ又は複数の必要性は、圧縮機用の翼形部を有するロータブレードを提供し、該翼形部が、翼形部根元と、該翼形部根元からスパン距離に位置する翼形部先端と、翼形部根元から翼形部先端に延びる前縁と、内側スパン領域と、中央スパン領域と、外側スパン領域とを有し、翼形部が、先端に向かってスパン方向で前記外側スパン領域において増大し且つ前記外側スパン領域において2.2よりも大きい正規化チャンバを有するような正規化チャンバプロファイルを有する本明細書で開示される例示的な実施形態によって対処することができる。1つの実施形態において、外側スパン領域における正規化チャンバが2.0よりも大きく、内側スパン領域における正規化チャンバが1.7よりも大きく、第1の高さ位置が根元から10%スパンに配置され、第2の高さ位置が根元から90%スパンに配置される。別の実施形態において、翼形部前縁は、内側スパン領域及び外側スパン領域において約−10度〜約+10度の間の上反角を有する。
本発明と見なされる主題は、本明細書と共に提出した特許請求の範囲に具体的に指摘し且つ明確に特許請求している。しかしながら、本発明は、添付図面と共に以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。
本発明の1つの態様に従って構成された多段軸流圧縮機における圧縮機ロータブレードの列の部分側断面図。 図1に例示した圧縮機ロータブレードのうちの分離状態の例示的な1つの等角図。 例示的な実施形態において図1に例示したブレードの翼形部の半径方向スパンにわたる翼形部正規化チャンバをプロットしたグラフ。 例示的な実施形態において図1に例示したブレードの翼形部の半径方向スパンにわたる翼形部前縁の上反角度を度単位でプロットしたグラフ。 圧縮機の例示的な実施形態において図1に例示したブレードの翼形部の半径方向スパンにわたる正規化圧力をプロットしたグラフ。 本発明の例示的な実施形態による圧縮機ロータブレードの列を有する多段圧縮機の概略断面図。
種々の図面を通して同じ参照符号が同じ要素を示す図面を参照すると、図1は、本発明の1つの態様に従って構成された多段軸流圧縮機における圧縮機ロータブレードの列の部分側断面図の一部の概略断面図である。図6は、本明細書において以下で説明されるような、本発明の例示的な実施形態による翼形部10を含む圧縮機ロータブレード104の列を有する多段圧縮機100の概略断面図である。
図6において部分的に例示され図示されているのは、ガスタービンエンジンにおける多段軸流圧縮機100の圧縮機ロータ106に好適に取り付けられる圧縮機ブレード104を備えた圧縮機ロータ段102の列である。圧縮機100は、対応する圧縮機ロータブレード(R1、R2、その他として図示)と協働する複数段のステータベーン(S1、S2、その他として図示)を有し、これらは、運転中に空気4が加圧されるにつれて下流側方向(軸方向)にサイズが縮小している。ロータ106は、エンジンの軸方向中心軸線101の周りで軸対称であり、環状外側ケーシング18内でブレード104の全部の列を支持する。圧縮機ロータブレード104の先端12と半径方向に隣接するケーシング18との間には小さなギャップ19が存在する。ロータ106は更に、ブレードを支持する1つ又はそれ以上のディスク109を含む。
各圧縮機ロータブレード104は、ロータの外周とケーシング18の内面との間で半径方向軸線Z(この方向は本明細書では「スパン」と呼ばれ、図1を参照のこと)に沿って延びた翼形部10を含む。翼形部は、ブリスク構成(図示せず)でロータ106と一体的に形成することができ、或いは、例えば、図1、2、及び6に示す円周方向ダブテール9又は図6のロータ1(R1)に示す軸方向ダブテールを用いてなど、従来の手法でロータに取り外し可能に接合することができる。代替として、軸方向に角度が付けられたダブテール(図示せず)構成のような他の公知のダブテール形状を用いてブレード104をロータ内に支持することができる。各ブレード104は、加圧空気に対する内側境界を定める一体型プラットフォーム22を含むことができる。図1及び2に示す例示的な実施形態において、一体型ダブテール9は、ブレード104と単一構成でプラットフォーム22から延びて、ロータ106の外周の相補的ダブテール孔内に取り付けられるようになる。図1及び2に示す例示的な実施形態において、ダブテール9は、ロータ106の外周に好適に取り付けるため円周方向嵌め込み式ダブテールである。
圧縮機翼形部10が図1及び2の好ましい実施形態において例示されており、円周方向又は横方向に対向する正圧側面5及び負圧側面6を含む。翼形部正圧側面5は、ほぼ凹面状であり、翼形部がロータ106上にY軸(図1を参照)で示される円周方向で回転するときに、ほぼ凸面状の負圧側面6よりも先行する。軸方向軸Xは、圧縮機中心軸101と平行であり、空気4が圧縮機100の複数段(図6を参照)を通って加圧を受けたときに該空気のほぼ下流側方向を示す。
正圧側面5及び負圧側面6の対応する面は、軸方向又は翼弦方向に対向する前縁20及び後縁30にて共に接合され、プラットフォームとの接合部にある半径方向内側根元11から、図1に示す根元11からスパン距離に配置される半径方向外側先端12までスパン方向(図1のZ軸)で延びている。図1及び6に示すように、翼形部先端12は、周囲ケーシング18の内面に近接して配置され、翼形部10の前縁20及び後縁30間に延びるこれらの間の半径方向クリアランス又はギャップ19を定める。翼形部正圧側面5のほぼ凹面の構成及び翼形部負圧側面6のほぼ凸面の構成は、空気4が圧縮機100の各段における圧縮機ロータブレード104間を下流方向に流れるにつれて該空気4を加圧するように定められる。
本発明の1つの態様において、以下で詳細に説明するように、翼形部10は、該翼形部10に対する特定のキャンバ分布及び前縁20に対する特定の上反角特徴要素を備えた幾つかの幾何形状を有し、翼形部先端12付近の結果として得られる幾何形状は、相対的に弱い空気流を翼形部先端領域から出て翼形部10の正圧側面5の表面に沿って先端付近で半径方向内向きに引き寄せる役割を果たす。次いで、この弱い流れは、翼形部先端領域に滞留して非効率性及び失速の可能性を引き起こすのではなく、空気流4の主本体と混合する。本明細書で記載される翼形部の特定の特徴要素により、失速マージンの改善及び翼形部のスロットルレンジの拡張が可能となる。
本明細書において以下で詳細に記載される特定の翼形部特徴要素の一部は、本発明の利点をもたらす。例えば、先端12において負の上反角を有する前縁20の上反角プロファイルは、先端付近のブレード正圧側面5の表面上に半径方向凹面翼形部形状をもたらし、エンジン中心線101に向かう半径方向速度成分を生成する。これはまた、ブレード正圧側面5の表面上でのブレード先端12に向かう流れの遠心作用を抑制する。同様に、先端領域付近の後縁30における負の上反角は、臨界先端領域から出る弱い流れの更なる対流に用いることができる。更に、前縁(及び場合によっては後縁)における特定の先端上反角勾配は、この幾何形状パラメータの大きな傾きを生じ、先端付近での反ったブレード形状をもたらし、円周方向に隣接する翼形部間でロータ通路にわたる弱い流れの伝播を遅延させるようになる。更に、先端領域(例えば、図1に「C」で示すような)における前方スイープを用いて、望ましくない先端渦流の発生を低減し、先端領域における境界層流の滞留を低減することができる。
図1〜2は、本発明の1つの実施形態による圧縮機ロータブレード104を示している。圧縮機ロータブレード104は、翼形部根元11と、該翼形部根元11からスパン距離に位置する翼形部先端12と、翼形部根元11から翼形部先端12に延びる前縁20と、翼形部根元11から翼形部先端12に延びる後縁30と、前縁20及び後縁30間に延びる翼形部正圧側面5及び負圧側面6とを含む翼形部10を有する。図1に示すように、翼形部10の前縁20は、翼形部根元11と前縁上の第1の高さ位置41との間に第1の内側スパン領域13(「S1」として示される)と、第1の高さ位置41と該第1の高さ位置から半径方向(スパン方向)外向きに位置する翼形部前縁20上の第2の高さ位置42との間の中央スパン領域23(「S2」として示される)と、第2の高さ位置42と翼形部先端12との間の外側スパン領域14(「S3」として示される)とを有する。スパン(或いはスパン高さと呼ばれる)は、スパン方向で翼形部10の根元11から先端12まで延びる。スパン方向は、図1において「Z」として示される方向である。例示的な実施形態において、第1の高さ位置41は、約10%スパンに位置し、第2の高さ位置42は、約80%スパンに位置する。
本明細書で使用される用語「上反角」(又は代替として、「上反角度」)及び「スイープ」は、翼形部の設計において使用される従来用語である(例えば、Leroy H. Smith, JR.他による「Sweep and Dihedral Effects in Axial−Flow Turbomachinery」、Transaction of the ASME, September, 1963を参照)。本明細書で使用される上反角度は、例示の目的で図2において角度「B」として示されている。角度Bは、例証として翼形部10の前縁先端に示されているが、例えば、前縁20及び後縁30のような翼形部上の他の場所に存在してもよい。空力スイープは、局所的スイープ角で表される従来のパラメータであり、流入空気の方向と、軸方向及び円周方向又は接線方向両方の翼形部表面の向きとの関数である。スイープ角は、米国特許第5,167,489号において詳細に定義されており、引用により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される符号規定では、空力スイープ角は、前方スイープにおいて負(−)の値として表され、後方スイープにおいて正(+)の値として表される。
本発明の1つの態様において、翼形部10は、正規化チャンバが先端12に向かうスパン方向で外側スパン領域14において増大し、外側スパン14領域において2.2よりも大きいような正規化チャンバプロファイル120(例えば、図3を参照)を有する。この関連において、本明細書で使用される翼形部又はブレードの「キャンバ」(或いは、「キャンバ角」)は、当該技術分野で知られている従来の意味である。すなわち、翼形部チャンバ(或いは、「キャンバ角」)は、翼形部の前縁と後縁との間の金属アングルの差違である。本明細書で使用されるように、スパン方向位置における用語「正規化チャンバ」は、最小チャンバで除算した、当該特定位置でのチャンバである。正規化に使用される最小チャンバは、必須ではないが、図1において要素40として示されるような中央スパン位置で生じることができる。本発明の例示的な1つの実施形態による、例示的な正規化チャンバプロファイル(すなわち、スパン方向の分布)が図3に示される。本発明の好ましい実施形態において、第2の高さ位置42は、根元から約80%のスパンに位置し、翼形部先端における正規化チャンバは、2.5よりも大きい。図3を参照されたい。本発明の別の態様において、内側スパン領域における翼形部10の正規化チャンバは、根元からスパン方向で内側スパン領域において減少している。好ましい実施形態において、第1の高さ位置41は、根元から約10%のスパンに位置し、内側スパン領域における正規化チャンバは、少なくとも2である。別の実施形態において、翼形部10の第2の高さ位置42は、根元から約80%のスパンに位置し、翼形部先端における正規化チャンバは、少なくとも2.5である。
本発明の別の態様において、翼形部10は更に、前縁が先端12に向けてスパン方向で外側スパン領域において減少する上反角度を有するような上反角プロファイル(例えば、図4の要素121を参照)を有する前縁20を備えることができる。好ましい実施形態において、翼形部10の前縁20は、例えば、図4に示すように、先端12において負の上反角度を有する。図4は、例えば、図1に示す翼形部10の本発明の1つの実施形態による例示的な翼形部前縁20の上反角プロファイルを示している。好ましい実施形態において、翼形部先端12における前縁の上反角度は負である。この関連において、負の上反角は、翼形部10の正圧側面5においてスパン方向の凹面形状を有するものである。別の例示的な実施形態において、翼形部10は、スパンに対して実質的に一定の変化率で減少する前縁上反角プロファイル(図4を参照)を有する。好ましい実施形態において、外側スパン領域14は、スパンの約90%から翼形部先端12に延びる。図4を参照されたい。別の例示的な実施形態において、翼形部10は、前縁が根元から内側スパン領域13で増大する上反角度を有し、且つ先端12に向けて外側スパン領域で減少する上反角度を有するようなスパン方向の上反角プロファイル(図4を参照)を有する前縁20を含む。図4に示す上反角プロファイルを有する翼形部10の例示的な実施形態において、翼形部10は、根元から内側スパン領域13で増大する上反角度及び減少する正規化チャンバを有し、先端に向けて外側スパン領域14で減少する上反角度及び増大する正規化チャンバを有する前縁20を含む。別の例示的な実施形態において、前縁20は、先端12において負の上反角度を有し、翼形部根元11において正の上反角度を有する。
図6は、本発明の1つの態様によるガスタービンエンジン用の圧縮機100を示す。圧縮機100は、1つ又はそれ以上のロータ段を含む。図6は、複数のステータ段204を有する圧縮機100を示し、各ステータ段102が、長手方向中心軸線101に対してロータハブ106の周りに円周方向に離間して配置された複数のロータブレード104を有し、各ロータブレードが本明細書において上記で説明したような翼形部10を備えている。翼形部10は、上述のように、内側スパン領域13(「S1」)、中央スパン領域23(「S2」)、及び外側スパン領域14(「S3」)を有する。1つの実施形態において、圧縮機100において、ロータブレード104の少なくとも1つは、正規化チャンバが先端12に向かってスパン方向で外側スパン領域14において増大し、外側スパン14の領域において2.2よりも大きいような正規化チャンバプロファイル141を有する翼形部10を含む。他の種々の実施形態において、圧縮機100は、上記で詳細に説明したキャンバ及び上反角特徴要素を有する翼形部を含む1つ又はそれ以上のロータを備えることができる。圧縮機100の別の例示的な実施形態において、外側スパン領域14における正規化チャンバは、2.0よりも大きく、内側スパン領域13における正規化チャンバは、1.7よりも大きく、ここで第1の高さ位置41は、根元11から10%スパンの位置にあり、第2の高さ位置42は、根元11から80%スパンの位置にある。更に、別の例示的な実施形態において、圧縮機100は、内側スパン領域13及び外側スパン領域14において約−10度〜約+10度の間の上反角を有する翼形部前縁20を有することができる。
本明細書において上記で説明した本発明の種々の実施形態による翼形部10は、圧縮機100の端壁領域において流れを強化したキャンバ分布プロファイル(例えば、図3の要素120を参照)を有する。本明細書において記載された翼形部10の特定の特徴要素は、圧縮機100の臨界端壁領域における圧力及び軸方向速度レベルを増大させる。これにより、圧縮機100において円周方向に隣接するブレード104間のロータ通路から下流側に出る弱い流れの対流が増大することに起因して、ロータ先端12付近に集まる弱い流れの量が低減される。所与のスロットル設定に対してロータ先端通路における弱い流れの滞留が削減されるので、機械の失速マージンが大きくなる。本発明の別の態様において、図
6は、ガスタービンエンジン用の圧縮機100を示している。圧縮機100は、長手方向中心軸線101の周りに円周方向に離間して配置されたロータブレード104を有するロータ段102を含む。ロータ段(図6においてR1、R2、その他として示される)の少なくとも1つは、本明細書において上記で説明されたような本発明の種々の実施形態による特徴要素を有する翼形部10を含むロータブレードを有する。本発明の上述の幾何形状特徴要素を備えた翼形部10を従来の翼形部と比較するために、Viscous 3−D CFD分析のような既知の方法の分析を用いた。この分析では、設計ポイント効率で損失がなく、5%を超えるスロットルマージンの改善が予測される。正規化チャンバ分布(例えば、図3を参照)及び前縁上反角分布(例えば、図4を参照)のような翼形部10の幾何形状特徴要素は、圧力及び速度の半径方向分布を改善した。正規化ベースに基づいて従来のブレードと比較すると、請求項に記載のキャンバレベルが端壁(図3を参照)付近で遙かに高くなる。本発明の1つの態様において、中央スパン付近では1.0である正規化チャンバ分布が使用され、該正規化チャンバ分布は、ブレードの根元及び先端に近づくにつれて増大している。本発明により、比較的高い正規化チャンバレベルが根元11付近で(例えば、2.5)及び先端12にて(例えば、3.5)使用可能となり、他方、現行の翼配列では、ハブ及び先端領域にてそれぞれ平均値1.5及び2.0を超えない正規化チャンバレベルしか使用することができない。更に、端壁(図4)において約−10度〜約+10度の間で前縁上反角を境界付け、端壁において強い流れに更に寄与する半径方向スタック分布をもたらすようにすることが有利である。
本明細書において上述された本発明の種々の実施形態による、翼形部10の特定の幾何形状特徴要素は、圧縮機100において翼形部の根元11及び先端12領域にて有利な圧力プロファイルをもたらす。これは図5に示される。図5に示す正規化圧力分布から分かるように、上述の本発明の実施形態は、従来設計と比べて圧縮機100のハブ及び先端付近で正規化圧力を増大させる。図5の要素130を参照されたい。本発明の改善された圧力及び速度分布は、ロータ翼形部先端12領域付近での閉塞及び損失の低減をもたらし、これにより圧縮機100のスロットルレンジが拡張される。
既知の方法を用いた分析は、本明細書で記載される本発明の実施形態において、設計ポイント効率で損失がなく、5%を超えるスロットルマージンの改善を示した。従来のブレードを有する従来の圧縮機において、圧縮機が失速に向けてスロットル制御されると、正圧面上のロータ先端付近で閉塞が滞留し、ロータ通路にわたって接線方向に伝播する。通路幅全体が遮断されると、圧力増大をもたらすために従来のロータブレード/翼形部を有する従来の圧縮機の容量が減少し、失速が生じる可能性がある。同様の条件で稼働されるロータブレード/翼形部を本明細書において上記で説明された本発明の実施形態の有り無しで比較すると、本発明の上述の特徴要素によって閉塞領域がブレードの正圧面から半径方向で引き下ろされることを示している。これによりスロットル制御に対する翼形部許容範囲が増大し、本明細書で記載される本発明の種々の実施形態における失速マージンが増大する。
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、本発明を当業者が実施及び利用することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
4 空気流
5 翼形部正圧側面
6 翼形部負圧側面
9 円周方向ダブテール
10 翼形部
11 翼形部根元
12 翼形部先端
13 第1の内側スパン領域(「S1」)
14 第1の外側スパン領域(「S3」)
20 前縁
23 中央スパン領域(「S2」)
30 後縁
41 第1の高さ位置
42 第2の高さ位置
104 圧縮機ロータブレード

Claims (16)

  1. 圧縮機用の翼形部であって、
    翼形部根元と、該翼形部根元からスパン距離に位置する翼形部先端と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる前縁と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる後縁と、前記前縁及び前記後縁間に延びる翼形部正圧側面及び負圧側面と、を備え、
    前記翼形部が更に、
    前記翼形部根元と前記翼形部前縁上の第1の高さ位置との間にある内側スパン領域(「S1」)と、
    前記第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置から半径方向外向きに位置する前記翼形部前縁上の第2の高さ位置との間にある中央スパン領域(「S2」)と、
    前記第2の高さ位置と前記翼形部先端との間にある外側スパン領域(「S3」)と、
    を備え、
    スパン方向位置における正規化チャンバを、最小チャンバで除算した当該特定位置でのチャンバと定義した場合に、前記翼形部は、前記先端に向かってスパン方向で前記外側スパン領域において増大し且つ前記外側スパン領域において2.2よりも大きい正規化チャンバを有するような正規化チャンバプロファイルを有する、翼形部。
  2. 前記第2の高さ位置が、前記根元から約80%のスパンにて配置され、前記翼形部先端において前記正規化チャンバが少なくとも2.5である、請求項1に記載の翼形部。
  3. 前記内側スパン領域における前記正規化チャンバが、前記根元からスパン方向で前記内側スパン領域において減少している、請求項1に記載の翼形部。
  4. 前記第1の高さ位置が前記根元から約10%のスパンにて配置され、前記内側スパン領域における前記正規化チャンバが少なくとも2である、請求項1に記載の翼形部。
  5. 前記第2の高さ位置が前記根元から約80%のスパンにて配置され、前記翼形部先端において前記正規化チャンバが少なくとも2.5である、請求項4に記載の翼形部。
  6. 前記先端に向けて前記外側スパン領域において減少する上反角度を有するような上反角プロファイルを有する前縁を更に備える、請求項1に記載の翼形部。
  7. 前記前縁が、前記先端において負の上反角度を有する、請求項6に記載の翼形部。
  8. 前記根元から前記内側スパン領域において増大する上反角度と、前記先端に向けて前記外側スパン領域において減少する上反角度とを有するようなスパン方向の上反角プロファイルを有する前縁を更に備える、請求項1に記載の翼形部。
  9. 前記前縁が、前記先端において負の上反角度を有し、前記翼形部根元において正の上反角度を有する、請求項1に記載の翼形部。
  10. 前記根元から前記内側スパン領域において増大する上反角度及び減少する正規化チャンバを有し、前記先端に向けて前記外側スパン領域において減少する上反角度及び増大する正規化チャンバを有する前縁を更に備える、請求項1に記載の翼形部。
  11. 前記外側スパン領域における前記正規化チャンバが2.0よりも大きく、前記内側スパン領域における前記正規化チャンバが、1.7よりも大きく、前記第1の高さ位置が前記根元から10%スパンに配置され、前記第2の高さ位置が前記根元から90%スパンに配置される、請求項1に記載の翼形部。
  12. 前記前縁が、前記内側スパン領域及び前記外側スパン領域において約−10度〜約+10度の間の上反角を有する、請求項11に記載の翼形部。
  13. ガスタービンエンジン用の圧縮機であって、
    長手方向中心軸線に対してロータハブの周りに円周方向に離間して配置された複数のロータブレードを有し、該ロータブレードが各々、翼形部根元と、該翼形部根元からスパン距離に位置する翼形部先端と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる前縁と、前記翼形部根元から前記翼形部先端に延びる後縁と、前記前縁及び前記後縁間に延びる翼形部正圧側面及び負圧側面とを有する翼形部を含む、ロータ段と、
    前記翼形部根元と前記翼形部前縁上の第1の高さ位置との間にある内側スパン領域(「S1」)と、
    前記第1の高さ位置と、前記第1の高さ位置から半径方向外向きに位置する前記翼形部前縁上の第2の高さ位置との間にある中央スパン領域(「S2」)と、
    前記第2の高さ位置と前記翼形部先端との間にある外側スパン領域(「S3」)と、
    を備え、
    スパン方向位置における正規化チャンバを、最小チャンバで除算した当該特定位置でのチャンバと定義した場合に、前記ロータブレードの少なくとも1つが、前記先端に向かってスパン方向で前記外側スパン領域において増大し且つ前記外側スパン領域において2.2よりも大きい正規化チャンバであるような正規化チャンバプロファイルを有する翼形部を含む、圧縮機。
  14. 前記根元から前記内側スパン領域において増大する上反角度及び減少する正規化チャンバを有し、前記先端に向けて前記外側スパン領域において減少する上反角度及び増大する正規化チャンバを有する前縁を更に備える、請求項13に記載の圧縮機。
  15. 前記外側スパン領域における前記正規化チャンバが2.0よりも大きく、前記内側スパン領域における前記正規化チャンバが1.7よりも大きく、前記第1の高さ位置が前記根元から10%スパンに配置され、前記第2の高さ位置が前記根元から90%スパンに配置される、請求項13に記載の圧縮機。
  16. 前記前縁が、前記内側スパン領域及び前記外側スパン領域において約−10度〜約+10度の間の上反角を有する、請求項15に記載の圧縮機。
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