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JP6059338B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば輸液ラインに設けられて、該輸液ラインに他の輸液ラインや各種医療機器等の被接続部材を接続可能とするコネクタに関する。
輸液、輸血、人工透析などを行う場合には、薬液や血液等の液体を医療用のチューブを備えた輸液ラインを通して体内へ送るようにしている。そして、このような輸液ラインには、チューブ内を流れる液体に他の薬液等の液体を合流させるために、他の輸液ラインや各種医療機器等の被接続部材を接続可能なコネクタが設けられる。
このようなコネクタとしては、例えば特許文献1に記載されるように、流路を備えたコネクタ本体に当該流路の途中に連なる接続用開口を設け、この接続用開口に、ゴム等の弾性体により形成された円板状の弁体を装着した構造のものが知られている。特許文献1に記載のコネクタは、弁体が接続用開口を形成する円筒部の先端に配置され、キャップ(固定部材)により円筒部と共に挟持されている。弁体にはスリットが設けられ、被接続部材に設けられたオスコネクタをスリットに挿通させることで被接続部材を接続用開口に接続している。
特開2010−167202号公報
上記従来のコネクタでは、オスコネクタが挿入されたときに、弁体がスリットの長手方向両端部から裂けるのを防止するために、弁体の底面にスリットを囲う環状凸部を一体に設けるようにしている。
しかしながら、従来のコネクタでは、オスコネクタの弁体への挿入性を高めるために、環状凸部の外径寸法を円筒部の内径寸法よりも小さくして、環状凸部の外周面と円筒部の内周面との間に隙間を設けるようにしている。そのため、コネクタの製造工程において円筒部の先端に弁体を装着する際には、弁体が円筒部に対して径方向に位置ずれを生じ易い不安定な状態となり、その作業性はよくなかった。
これに対して、弁体の環状凸部の外径寸法をホルダの接続用開口の内径寸法と同程度とすることにより、環状凸部により弁体を径方向に位置決めさせて弁体を円筒部に安定して装着させることができる。しかしながら、このような構成では、環状凸部の外周面が円筒部の内周面に当接するので、弁体が弾性変形しづらくなってオスコネクタの挿入性が低下することになる。
本発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、オスコネクタの弁体への挿入性を維持しつつ弁体の組み付け性を高めることができるコネクタを提供することにある。
本発明のコネクタは、流路を備えるコネクタ本体と、先端が前記流路の接続用開口となる円筒部と、弾性体により形成され、前記円筒部の先端に配置されて前記接続用開口を閉塞する弁体と、前記弁体を前記円筒部と共に挟持する固定部材と、を有するコネクタであって、前記弁体は、スリットを備えた弁本体部と、前記円筒部の内径よりも外径が小さい環状に形成され、前記弁本体部の底面から突出する内側凸部と、前記内側凸部の軸心を中心として互いに点対称に配置され、それぞれ前記内側凸部よりも径方向外側において前記底面から突出して前記円筒部の内側に配置される一対の外側凸部と、を有することを特徴とする。
上記構成においては、一対の前記外側凸部は、前記スリットの長手方向に沿って配置されるのが好ましい。
上記構成においては、一対の前記外側凸部の径方向外側を向く外面は、それぞれ前記底面から離れるにつれて前記内側凸部の軸心に近づく方向に傾斜しているのが好ましい。
上記構成においては、一対の前記外側凸部の前記底面からの突出高さは、前記内側凸部の前記底面からの突出高さよりも大きいのが好ましい。
本発明によれば、弁本体部の底面に、円筒部の内径よりも外径が小さい環状の内側凸部を設けるとともに内側凸部の軸心を中心として互いに点対称に配置され、それぞれ内側凸部よりも径方向外側において弁本体部の底面から突出して円筒部の内側に配置される一対の外側凸部を設けることにより、このコネクタの製造工程において弁体を円筒部の先端に配置したときに、一対の外側凸部により弁体を円筒部に対して径方向に位置決めさせることができる。したがって、円筒部の先端に配置された弁体を安定化させて、弁体のコネクタ本体への組み付け性を高めることができる。また、一対の外側凸部を内側凸部の軸心を中心として互いに点対称に配置するようにしているので、一対の外側凸部が設けられない部分に弁体の逃げスペースを確保することができる。したがって、オスコネクタが弁体に挿入されたときに、弁体を、一対の外側凸部が設けられない逃げスペースに向けて弾性変形させて、オスコネクタの弁体への挿入性を高めることができる。このように、本発明によれば、オスコネクタの弁体への挿入性を維持しつつ弁体の組み付け性を高めることができるコネクタを提供することができる。さらに、弁体にオスコネクタが挿入されたときには、一対の外側凸部により弁体にはスリットを閉じる方向へ向けた復元力が加えられるので、弁体の閉じた状態への復元性を高めることができる。
本発明によれば、一対の外側凸部をスリットの長手方向に沿って配置することにより、弁体にオスコネクタが挿入される際に、一対の外側凸部がスリットの開放の邪魔にならないようにして、オスコネクタの弁体への挿入性をさらに高めることができる。
本発明によれば、一対の外側凸部の径方向外側を向く外面を、それぞれ底面から離れるにつれて内側凸部の軸心に近づく方向に傾斜させることにより、一対の外側凸部を円筒部の内側に挿入し易くして、弁体の円筒部への組み付け性をさらに高めることができる。また、弁体が円筒部に組み付けられた状態においては、一対の外側凸部の外面と円筒部の内周面との間に、底面から離れるにつれて徐々に間隔が広がる隙間が生じるので、オスコネクタが弁体に挿入されたときに、一対の外側凸部を当該隙間に向けて径方向外側に容易に弾性変形させることができる。これにより、オスコネクタの弁体への挿入性をさらに高めることができる。
本発明によれば、一対の外側凸部の底面からの突出高さを内側凸部の底面からの突出高さよりも大きくすることにより、一対の外側凸部の内側凸部の周方向に沿う幅寸法を大きくすることなく一対の外側凸部の容積を大きくして、オスコネクタの弁体への挿入性を低下させることなく、弁体の復元性をさらに高めることができる。
本発明の一実施の形態であるコネクタが用いられる輸液ラインを示す図である。 図1に示すコネクタの詳細を示す斜視図である。 図1に示すコネクタの断面図である。 (A)は図3に示す弁体の平面図、(B)は同底面図である。 (A)は図4(B)に示す弁体を矢視Iから視た図、(B)は図4(B)に示す弁体を矢視IIから視た図である。 (A)は図4(B)におけるIII−III線に沿う断面図、(B)は図4(B)におけるIV−IV線に沿う断面図である。 図3に示すコネクタにオスコネクタを接続した状態を示す断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態であるコネクタ1の詳細について例示説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態であるコネクタ1は、例えば輸液ライン2に設けられる。この輸液ライン2は、薬液等の液体を収容する輸液バッグ3と患者の静脈等に差し込まれる留置針4との間に点滴筒5とクレンメ6とを備え、これらが医療用のチューブ7で接続された構成となっている。コネクタ1はこの輸液ライン2上に設けられ、例えばシリンジ8等の被接続部材を輸液ライン2に接続可能とする。
図1では、コネクタ1にシリンジ8を接続する場合を示すが、コネクタ1には、シリンジ8に限らず、人工透析装置等の他の医療機器や他の輸液ライン、延長チューブ等を接続することもできる。
図2、図3に示すように、コネクタ1はホルダとも呼ばれるコネクタ本体10とコネクタ本体10に固定されるキャップ組立体11とを有している。
コネクタ本体10は略円柱状に形成される本体部12と一対の接続部13,14とを備え、これらが樹脂材料の射出成形により一体に形成された構成となっている。なお、コネクタ本体10は各種の金属材料やガラス材、セラミック材料等で形成することもできる。
接続部13,14はそれぞれ円筒状に形成され、本体部12の外周面から径方向外側に向けて突出している。接続部13の軸心と接続部14の軸心は互いに一致しており、また、これらの軸心は本体部12の径方向とも一致している。一方の接続部13の開口端は流入口15となっており、他方の接続部14の開口端は流出口16となっている。したがって、一方の接続部13を輸液ライン2の輸液バッグ3側のチューブ7に差し込むとともに、他方の接続部14を輸液ライン2の留置針4側のチューブ7に差し込むことにより、コネクタ1を輸液ライン2に接続することができる。なお、一方の接続部13の開口端を流出口16とし、他方の接続部14の開口端を流入口15とすることもできる。
図3に示すように、コネクタ本体10の内部には接続部13の流入口15から本体部12の内部を通って接続部14の流出口16にまで至る流路17が設けられている。つまり、この流路17は本体部12の径方向に沿って延び、流入口15と流出口16とに連通している。
また、本体部12の一端面(図3中上側となる面)には開口孔18が設けられている。この開口孔18は本体部12と同軸の円形に形成され、流路17の中間部分に連ねられている。また、本体部12には流路17の底面側から開口孔18側に向けて突出する凸部20が一体に設けられ、この凸部20により、流路17は開口孔18に向けてクランク状に曲げられている。
図3に示すように、キャップ組立体11は固定部材としてのキャップ21の内部に弁体22と円筒部としての内挿体23とを装着した構成となっている。キャップ組立体11はコネクタ本体10の本体部12の軸方向の一端面に固定され、開口孔18を覆っている。
内挿体23は本体部12と同軸の円筒状に形成されており、その軸方向の一端に設けられたフランジ部23aにおいて本体部12の一端面に配置されている。この内挿体23は、例えば樹脂材料の射出成形により形成されるが、コネクタ本体10と同様に他の材質で形成することもできる。内挿体23のフランジ部23aが設けられた一端側における内径寸法は開口孔18の内径寸法と略同一となっており、また、内挿体23は開口孔18と同軸に配置されている。これにより、内挿体23はその一端において開口孔18つまり流路17の途中に接続されている。このように、流路17の途中に内挿体23が設けられている。内挿体23の軸方向の他端つまり本体部12とは反対側を向く先端は、コネクタ本体10に設けられた流路17の接続用開口24を構成している。
弁体22は、例えばゴム材料や熱可塑性エラストマー等の弾性体により形成され、内挿体23の先端に配置されて接続用開口24を閉塞している。なお、弁体22の形状の詳細については後述する。
キャップ21は円筒状に形成され、内挿体23の外側に装着されて弁体22と内挿体23とを覆っている。このキャップ21は、例えば樹脂材料の射出成形により形成されるが、コネクタ本体10や内挿体23と同様に他の材質で形成することもできる。キャップ21の基端にはフランジ部21aが一体に設けられている。フランジ部21aは本体部12に超音波溶着(融着)され、これによりキャップ21は本体部12に固定されている。なお、キャップ21は超音波溶着に限らず、接着剤や圧入等の他の固定手段を用いて本体部12に固定することもできる。
内挿体23は予めキャップ21の内部に挿入され、そのフランジ部23aがキャップ21のフランジ部21aと本体部12との間に挟み込まれることにより本体部12に固定されている。また、弁体22は予め内挿体23の先端とキャップ21の先端に設けられた係止部21bとの間に挟み込まれることにより、内挿体23とキャップ21との間に挟持固定されている。なお、内挿体23はキャップ21と本体部12との間に挟み込まれて固定される構成に限らず、超音波溶着や接着等の固定手段により直接本体部12に固定される構成とすることもできる。
キャップ21の外周面には、国際標準化機構による規格番号ISO 594-1、ISO 594-2により規定された形状を有する雄ねじ25が設けられている。この雄ねじ25は2条ねじとなっており、医療用のシリンジ8等に設けられるロックコネクタの雌ねじにねじ結合することができる。また、キャップ21の先端には接続孔21cが設けられており、この接続孔21cから弁体22が露出している。
次に、図4〜図6に基づいて本発明のコネクタ1に用いられる弁体22の形状の詳細について説明する。
弁体22は、例えばゴム材料や熱可塑性エラストマー等の弾性体により略円柱状(円板状)に形成された弁本体部30と被保持部31とを備えている。
被保持部31は弁本体部30の外周部に一体に設けられ、この被保持部31がキャップ21に設けられた係止部21bと内挿体23の先端との間に挟み込まれることにより、弁体22は内挿体23とキャップ21との間に挟持固定される。
弁本体部30のキャップ21の接続孔21c側を向く軸方向端面は押込み面30aとなっており、図4(A)に示すように、この押込み面30aの中央には弁本体部30の径方向に沿って直線状に延びるスリット32が設けられている。
押込み面30aは、接続孔21cに収容されていない状態で、スリット32の延在方向(長手方向)側に短軸を有し、スリット32の長手方向と直交する方向に長軸を有する楕円形状に形成されている。弁体22は、接続孔21c内に収容されると、楕円の長軸側が接続孔21cに押されて円形を呈し、これに伴いスリット32の内面同士が密着して閉じられる。
一方、図4(B)に示すように、弁本体部30の押込み面30aとは反対側を向く底面30bの中央には弁本体部30の径方向に沿って直線状に延びるサブスリット(窪み部)33が設けられている。このサブスリット33は押込み面30aに設けられたスリット32と同一方向に向けられており、図6に示すように、スリット32とサブスリット33との間には、弁体22にオスコネクタが挿入されたときに破断される薄い隔壁34が設けられている。なお、弁本体部30の底面30bは、弁体22が内挿体23の先端に配置されたときに流路17側つまり内挿体23の基端側を向く面である。
オスコネクタの弁体22への挿入性を維持しつつ弁体22の内挿体23への組み付け性を高めるために、弁本体部30の底面30bには内側凸部35と一対の外側凸部36とが一体に設けられている。
図4(B)に示すように、内側凸部35は弁本体部30と同軸の環状となっており、弁本体部30の底面30bから軸方向に向けて突出している。内側凸部35の外径は内挿体23の内径よりも小さくなっており、図6(A)に示すように、弁体22が内挿体23の先端に配置されると、内挿体23の内周面23bと内側凸部35の外周面35aとの間には径方向に隙間が生じるようになっている。また、内側凸部35はサブスリット33を囲っており、オスコネクタが弁体22に挿入されたときに、サブスリット33やスリット32の長手方向端部から弁体22が裂けるのを防止する。
一方、図4(B)に示すように、一対の外側凸部36は、それぞれ内側凸部35の軸心を中心として周方向に向けて約90度の範囲で延びる円弧状に形成されている。また、一対の外側凸部36は、それぞれその周方向の中央位置がスリット32やサブスリット33の長手方向に沿う直線と一致するように配置されている。つまり、一対の外側凸部36は、スリット32やサブスリット33の長手方向に沿うように内側凸部35の軸心を中心として互いに点対称に配置されている。さらに、図5、図6に示すように、外側凸部36の底面30bからの軸方向への突出高さは、内側凸部35の底面30bからの軸方向への突出高さよりも大きくなっている。
一対の外側凸部36は、それぞれ内側凸部35よりも径方向外側において底面30bから突出しており、その径方向外側を向く外面36aは内側凸部35の外周面35aよりも径方向外側に配置されている。外側凸部36の外面36aは、径方向外側に向けて凸となるように湾曲しており、その曲率は内側凸部35の外周面35aの曲率よりも大きくなっている。また、外側凸部36の外面36aは、底面30bから離れるにつれて徐々に内側凸部35の軸心に近づく方向に傾斜したテーパ面に形成されている。つまり、一対の外側凸部36は、互いの外面36aの間隔が底面30b側から先端側へ向けて徐々に狭まる先窄みの形状に形成されている。一対の外側凸部36の径方向内側を向く内面36bは、それぞれ内側凸部35の外周面35aよりも径方向内側かつ内側凸部35の内周面35bよりも径方向外側に配置されている。このように、一対の外側凸部36は、それぞれその一部が内側凸部35と重複して配置されている。
一方の外側凸部36の外面36aと他方の外側凸部36の外面36aとの、その底面30bと連なる根元部分における間隔は、内挿体23の内径と略一致するように設定されている。これにより、図6(B)に示すように、弁体22が内挿体23の先端に配置されると、一対の外側凸部36が内挿体23の内側に配置されるとともに、一対の外側凸部36の外面36aがその根元部分において内挿体23の内周面23bに接触する。したがって、このコネクタ1の製造工程において、キャップ21を用いて弁体22を内挿体23の先端に組み付ける際には、弁体22を内挿体23の先端に配置すると、一対の外側凸部36の外面36aが内挿体23の内周面23bに接触して弁体22は内挿体23に対して径方向に位置決めされることになる。これにより、内挿体23の先端に弁体22を安定的に配置させて、弁体22の内挿体23への組み付け性を高めることができる。
また、一対の外側凸部36の外面36aは、それぞれ底面30bから離れるにつれて内側凸部35の軸心に近づく方向に傾斜した先窄みの形態となっているので、弁体22を内挿体23の先端に配置する際に、外側凸部36を内挿体23の内側に挿入するのは容易である。したがって、弁体22の内挿体23への組み付け性をさらに高めることができる。
次に、本発明のコネクタ1にオスコネクタを接続する際の作用について説明する。
図3に示すように、コネクタ1にオスコネクタが接続されていない状態では、流路17に接続された接続用開口24は弁体22により閉塞されている。したがって、コネクタ1は、輸液ライン2から流入した液体を、流路17を介して流出口16から流出させることができる。
一方、コネクタ1にシリンジ8等の被接続部材に設けられたオスコネクタを差し込むことで、当該被接続部材を、コネクタ1を介して輸液ライン2に接続することができる。図7に、図1に示すシリンジ8に設けられたルアー等のオスコネクタ40をコネクタ1に接続した状態を示す。
シリンジ8は、その先端に、国際標準化機構による規格番号ISO 594-1、ISO 594-2により規定された形状を有するオスコネクタ(ルアー)40を有している。また、シリンジ8の先端には、オスコネクタ40の外側を覆う円筒状の筒体41が一体に設けられ、この筒体41の内周面には、キャップ21の雄ねじ25に対応した形状を有する雌ねじ42が一体に設けられている。この雌ねじ42の形状も、国際標準化機構による規格番号ISO 594-1、ISO 594-2により規定されたものである。
シリンジ8のオスコネクタ40を弁体22のスリット32に向けて押し込むと、弁体22がキャップ21の内側へ向けて弾性変形し、スリット32とサブスリット33との間の隔壁34が破断して弁体22が開き、図7に示すようにオスコネクタ40は流路17に液密に接続される。また、シリンジ8の筒体41の内周面に設けられた雌ねじ42を、キャップ21の雄ねじ25にねじ結合させることにより、シリンジ8をコネクタ1に固定して、オスコネクタ40の流路17への接続を保持することができる。
ここで、弁本体部30の底面30bに設けられる内側凸部35は、その外径が内挿体23の内径よりも小さくなっているので、図6(A)から解るように、弁体22が内挿体23の先端に装着された状態において、一対の外側凸部36が設けられない部分では、内挿体23の内周面23bと内側凸部35の外周面35aとの間に隙間つまり弁体22が弾性変形したときの逃げスペースが生じている。したがって、オスコネクタ40が弁体22に挿入されたときには、弁体22は、一対の外側凸部36が設けられない隙間部分に向けて容易に弾性変形することができる。これにより、弁本体部30の底面30bに一対の外側凸部36を設けるようにしても、オスコネクタ40の弁体22への挿入性を良好な状態に維持することができる。
また、オスコネクタ40が弁体22に挿入されたときに、弁体22を、一対の外側凸部36が設けられない隙間部分に向けて弾性変形させることにより、オスコネクタ40を流路17に接続させるのに必要な弁体22に対するオスコネクタ40の挿入深さを浅くすることができる。これにより、内挿体23やコネクタ本体10の内部における弁体22の弾性変形時の逃げスペースを小さくすることができる。当該逃げスペースを小さくすることにより、流路17の途中に液体の滞留の原因となるデッドスペースが生じるのを抑制することができる。また、オスコネクタ40の弁体22に対する挿入深さを浅くすることができるので、オスコネクタ40を挿入したときに生じる、留置針4側における液体の吐出流量の変化を抑制することができる。
さらに、弁体22にオスコネクタ40が挿入されると、弁本体部30とともに一対の外側凸部36が弾性変形し、その弾性力により弁体22にはスリット32,33を閉じる方向への復元力が加えられることになる。したがって、弁体22の閉じた状態への復元性が高められ、オスコネクタ40が抜き取られた後に弁体22を確実に閉じた状態に復元させて、コネクタ1からの液漏れを防止することができる。
さらに、一対の外側凸部36をスリット32,33の長手方向に沿って配置するようにしているので、弁体22にオスコネクタ40が挿入され、スリット32,33がその長手方向に直交する方向へ押し広げられる際に、一対の外側凸部36がスリット32,33を押し広げる際の邪魔にならない。したがって、一対の外側凸部36をスリット32,33の長手方向に沿って配置することで、オスコネクタ40の弁体22への挿入性をさらに高めることができる。
さらに、一対の外側凸部36の外面36aを、それぞれ底面30bから離れるにつれて内側凸部35の軸心に近づく方向に傾斜させるようにしているので、図6(B)から解るように、弁体22が内挿体23の先端に組み付けられた状態においては、一対の外側凸部36の外面36aと内挿体23の内周面23bとの間には底面30bに対して軸方向に離れるにつれて徐々に径方向に間隔が広がる隙間が生じることになる。これにより、オスコネクタ40が弁体22に挿入されたときに、一対の外側凸部36を内挿体23との間の隙間に向けて弾性変形させて、オスコネクタ40の弁体22への挿入性をさらに高めることができる。
さらに、一対の外側凸部36の底面30bからの突出高さを内側凸部35の底面30bからの突出高さよりも大きくしているので、内側凸部35の周方向に沿う外側凸部36の幅寸法を一定としたまま、外側凸部36の容積を大きくすることができる。これにより、一対の外側凸部36の内側凸部35の周方向に沿う幅寸法を小さくしてオスコネクタ40の弁体22への挿入性を維持しつつ、オスコネクタ40が弁体22に挿入されたときに生じる外側凸部36の復元力を増加させて弁体22のスリット32,33を閉じた状態への復元性を高めることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態においては、円筒部をコネクタ本体10とは別体に形成した内挿体23としているが、これに限らず、円筒部をコネクタ本体10と一体に形成した構成とすることもできる。
また、前記実施の形態においては、一対の外側凸部36の外面36aを内挿体23の内周面23bに当接させるようにしているが、一対の外側凸部36の外面36aと内挿体23の内周面23bとの間に隙間を設けるようにしてもよい。この場合においても、弁本体部30の底面30bに内側凸部35のみを設ける場合に比べて弁体22の内挿体23に対する安定性を高めることができる。
さらに、前記実施の形態においては、一対の外側凸部36の外面36aを傾斜させるようにしているが、これらの外面36aを傾斜しない面つまり内側凸部35の軸心に平行な面とすることもできる。
さらに、前記実施の形態においては、一対の外側凸部36の底面30bからの突出高さを内側凸部35の底面30bからの突出高さよりも大きくしているが、これらを同じ突出高さとすることもできる。また、一対の外側凸部36を内挿体23の内側に配置することができれば、一対の外側凸部36の底面30bからの突出高さを内側凸部35の底面30bからの突出高さよりも小さくすることもできる。
さらに、前記実施の形態においては、固定部材として接続孔21cを備えたキャップ21を用いているが、これに限らず、固定部材は弁体22を内挿体(円筒部)23の先端に固定できるものであれば他の形態のものであってもよい。
さらに、前記実施の形態においては、一対の外側凸部36をスリット32,33の長手方向に沿って配置するようにしているが、その位置は任意に変更することができる。
さらに、前記実施の形態においては、コネクタ1にシリンジ8を接続する場合を例示しているが、コネクタ1には、他の医療機器や他の輸液ライン等の被接続部材を接続することもできる。
1 コネクタ
2 輸液ライン
3 輸液バッグ
4 留置針
5 点滴筒
6 クレンメ
7 チューブ
8 シリンジ
10 コネクタ本体
11 キャップ組立体
12 本体部
13,14 接続部
15 流入口
16 流出口
17 流路
18 開口孔
20 凸部
21 キャップ(固定部材)
21a フランジ部
21b 係止部
21c 接続孔
22 弁体
23 内挿体(円筒部)
23a フランジ部
23b 内周面
24 接続用開口
25 雄ねじ
30 弁本体部
30a 押込み面
30b 底面
31 被保持部
32 スリット
33 サブスリット
34 隔壁
35 内側凸部
35a 外周面
35b 内周面
36 外側凸部
36a 外面
36b 内面
40 オスコネクタ
41 筒体
42 雌ねじ

Claims (4)

  1. 流路を備えるコネクタ本体と、
    先端が前記流路の接続用開口となる円筒部と、
    弾性体により形成され、前記円筒部の先端に配置されて前記接続用開口を閉塞する弁体と、
    前記弁体を前記円筒部と共に挟持する固定部材と、を有するコネクタであって、
    前記弁体は、
    スリットを備えた弁本体部と、
    前記円筒部の内径よりも外径が小さい環状に形成され、前記弁本体部の底面から突出する内側凸部と、
    前記内側凸部の軸心を中心として互いに点対称に配置され、それぞれ前記内側凸部よりも径方向外側において前記底面から突出して前記円筒部の内側に配置される一対の外側凸部と、を有することを特徴とするコネクタ。
  2. 一対の前記外側凸部は、前記スリットの長手方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  3. 一対の前記外側凸部の径方向外側を向く外面は、それぞれ前記底面から離れるにつれて前記内側凸部の軸心に近づく方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  4. 一対の前記外側凸部の前記底面からの突出高さは、前記内側凸部の前記底面からの突出高さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
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