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JP6044828B2 - ニトリロトリアセトアミドおよびその合成方法並びにニトリロトリアセトアミドを用いるアクチノイドとランタノイドとの抽出分離方法およびAm/Cm溶媒抽出方法 - Google Patents

ニトリロトリアセトアミドおよびその合成方法並びにニトリロトリアセトアミドを用いるアクチノイドとランタノイドとの抽出分離方法およびAm/Cm溶媒抽出方法 Download PDF

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Description

本発明は、原子力分野で発生する高レベル放射性廃液から長半減期核種であるアクチノイドを抽出分離する方法に関し、特に抽出分離剤として使用できる新規なニトリロトリアセトアミドおよびその合成方法並びにアクチノイドの抽出分離方法およびAmとCmとの溶媒抽出方法に関する。
原子力分野では、使用済み燃料溶解液中のUやPuを分離した後に発生する高レベル放射性廃液中のAmおよびCmなどのアクチノイド(以下「An」と総称することもある。)などの長半減期核種を分離し、核変換する研究が進められている。高レベル放射性廃液からの長半減期核種の分離は、ガラス固化体の発生量を削減し、地層処分による環境に与える長期的危険性を排除する上で重要である。しかし、高レベル放射性廃液中には、アクチノイドと同じ安定原子価および類似するイオン半径を有するためにアクチノイドとの相互分離が困難な大量のランタノイド(以下「Ln」と総称することもある)が共存する。放射性核種のうち、ランタノイドは地層処分、Amは核変換、Cmは中間貯蔵と処理方法が異なり、有効に処分するためには相互分離が必要である。
ランタノイドとアクチノイドとの分離には、ジエチレンテトラミン-N,N,N’,N”,N”-五酢酸(DTPA)などの錯形成剤を用いて相互分離する方法(非特許文献1)、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ジチオホスフィン酸(Cyanex301)を用いて相互分離する方法(非特許文献2)、N,N,N’,N”-テトラキス(2-メチルピリジル)エチレンジアミン(TPEN)を用いて相互分離する方法(非特許文献3)、6,6’-ビス(5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ−ベンゾ[1,2,4]トリアジン-3-イル)−[2,2’]ビピリジン(CyMe4-BTBP)を用いて相互分離する方法(非特許文献4)、N,N’-ジメチル-N,N’-ジフェニレンピリジン-2,6-ジカルボキシアミド(DMDPhPDA)を用いて相互分離する方法(非特許文献5)が研究されている。DTPAは水に溶解しにくく(溶解量は50mM程度)、金属塩を使用するpH緩衝剤が必要になるため、二次廃棄物を発生させ、高レベル放射性廃液の処理には適切ではない。Cyanex301は硫黄原子を含むため化学的安定性に欠けて分解しやすく、TPEN、CyMe4-BTBP、DMDPhPDAは高レベル放射性廃液の処理に用いるn−ドデカンに溶解しにくく、高レベル廃液の再処理や核種分離で求められるプロセス条件で利用しにくい。また、Cyanex301、TPEN、CyMe4-BTBP、DMDPhPDAは複雑な構造を有し、合成が容易ではない。
ランタノイドから分離されたアクチノイドには、AmとCmが含まれる。AmとCmも最終処分方法が異なるため、分離することが望ましい。しかし、AmとCmとの分離はさらに困難である。AmとCmの分離には、低い分離比の条件で多段分離が可能なクロマト分離法(非特許文献6)や、電気化学酸化によりAm(III)をAm(VI)に変えて溶媒抽出する方法(非特許文献7)が研究されている。多段分離によるクロマト分離は処理が煩雑であり、Am(III)をAm(VI)に変えるためには酸化剤が必要となり、二次廃棄物を発生させるため、高レベル放射性廃液の処理には適切ではない。
本発明者らは、高レベル放射性廃液からのアクチニドとランタノイドとの溶媒抽出分離に使用できる抽出剤としてN,N,N’,N’-テトラアルキル-3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミドを提案した(特許文献3)。
特開2006−153790号公報 特開2011−169888号公報 特開2009−124516号公報
A. Apichaibukol, Y. Sasaki and Y. Morita, Solv. Extr. Ion Exch. 22, 997-1011 (2004) Y. Zhu, J. Chen, and R.Jiao, Solv. Extra, Ion Exch. 14, 61 (1996) M. Watanabe, R. Mirvaliev, S. Tachimori, K. Takeshita, Y. Nakano, K. Morikawa, T. Chikazawa, and R. Mori, Chem. Lett. 31, 1230 (2002) A. Geist, C. Hill, G. Modolo, M.R.St.J. Foreman, M. Weigl, K. Gompper, M.J.Hudson, and C. Madic, Solv. Extr. Ion Exch. 24, 463(2006) A. Shimada, T. Yaita, H. Narita, S. Tachimori, T. Kimura, K. Okuno, Y. Nakano, Solvent Extr. Res. Dev. Jpn. 11, 1-10 (2004) H. Kurosaki and S. B. Clark, Radiochim. Acta99, 65-69 (2011) L. Donnet, J. M. Adnet, N. Faure, P. Bros, Ph. Brossard, F. Josso, Internet address: https://www.oecd-nea.org/pt/docs/iem/mol98/session2/SIIpaper6.pdf Y. Sasaki and G.R. Choppin, Anal. Sci., 12, 225-230 (1996) Y. Sasaki, H. Suzuki, Y. Sugo, T. Kimura, G.R. Choppin, Chem. Lett. 35,256-257 (2011)
本発明は、放射性核種を含む高レベル放射性廃液の処理プロセスに使用できるランタノイドとアクチノイドとの分離技術、AmとCmとの分離技術を提供することを目的とする。
具体的には下記課題を解決する必要がある。
(1)放射性核種を含む高レベル放射性廃液の処理プロセスに使用するため、二次廃棄物の発生を抑制することが必要である。
(2)放射性核種を含む高レベル放射性廃液は硝酸溶液であり、抽出溶媒はn−ドデカンであるため、抽出分離剤は硝酸(水相)およびn−ドデカン(有機相)に十分な可溶性を有することが必要である。
(3)溶媒抽出分離するためには、抽出分離対象元素同士の分配比が1前後、分離比が4以上を達成することが必要である。ここで、分配比とは[有機相中の金属イオン濃度]/[水相中の金属イオン濃度]であり、分離比とは対象元素同士の分配比の比、すなわち([有機相中のAm(III)濃度]/[水相中のAm(III)濃度])/([有機相中のCm(III)濃度]/[水相中のCm(III)濃度])である。分離比が4以上とは、5回の多段抽出を施すことにより99.9%の分離を達成できることを意味する。
(4)放射性核種を含む高レベル放射性廃液を処理するため、被曝を最低限とする簡便な分離技術であることが必要である。
(5)使用する薬剤は高い化学的安定性を有する必要がある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、新規なニトリロトリアセトアミドが、放射性核種を含む高レベル放射性廃液中のランタノイドとアクチノイドの抽出分離に適切な抽出分離剤であることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、放射性核種を含む高レベル放射性廃液の処理プロセスに使用できるランタノイドとアクチノイドとの溶媒抽出分離技術、およびAmとCmとの溶媒抽出分離技術並びに当該溶媒抽出分離に使用できる新規化合物およびその合成方法が提供される。
すなわち、本発明によれば、下記一般式:
Figure 0006044828
(式中、Rは炭素数6〜12のアルキル基である)で表されるニトリロトリアセトアミド(以下「NTAアミド」と略すこともある)が提供される。
上記式中、アルキル基は、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、エチルヘキシル基から選択されることが好ましい。
本発明のニトリロトリアセトアミドは、疎水性が高いためn−ドデカンに良好に溶解し、空気中で安定である。また、ランタノイド、アクチノイドなどの元素と有機相で強い親和性を有する。
上記ニトリロトリアセトアミドは、ニトリロ三酢酸と二級アミン化合物とを、縮合剤と、を反応させることを含む方法により合成される。得られた生成物を水、炭酸水素ナトリウムで洗浄し、シリカゲルカラムに繰り返し通して単離精製する。好適には、二級アミン化合物とトリエチルアミンを加えた溶媒(好適にはジメチルホルムアミドと塩化メチレン)に、ニトリロ三酢酸を添加して、氷冷し、次いで、縮合剤(好適には水溶性カルボジイミドの塩酸化物)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを添加して、室温にて反応させて、ニトリロトリアセトアミドを得ることができる。
NTAアミドのアルキル基は、二級アミン化合物により変えることができる。二級アミン化合物は、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、エチルヘキシルアミンから選択されることが好ましい。例えば、NTAアミド−オクチルはジ−n−オクチルアミンを用いるが、NTAアミド−デシルはジデシルアミンを用い、NTAアミド−エチルヘキシルはジエチルヘキシルアミンを用いて、製造することができる。
縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジトリルカルボジイミド、1−t−ブチル−3−エチルカルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド及びこれらの塩が好ましく、特に水溶性カルボジイミドの塩酸化物、具体的には、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を好適に用いることができる。
二級アミン化合物及び縮合剤の使用量は、ニトリロ三酢酸100質量部に対して、100〜120質量部とすることが好ましい。上記使用量を超えると、反応液内に未反応残分が多く生じるようになり、精製が困難になり、経済性の点からも不都合である。一方、上記使用量よりも少ないと、NTAアミドの回収率が低下する。クロマトグラフィーでの分離精製を考慮すれば、回収量は1度の合成につき10g程度が望ましい。
本発明のニトリロトリアセトアミドの合成方法における反応は以下の通りである。
Figure 0006044828
本発明によれば、上記ニトリロトリアセトアミドを3価のアクチノイドとランタノイドとを分離する抽出分離剤として使用する、放射性核種を含む液体からのアクチノイドの溶媒抽出分離方法が提供される。抽出分離剤として本発明のニトリロトリアセトアミドを用いる点を除いて、通常の溶媒抽出分離方法の手順を用いることができる。
具体的には、放射性核種を含む液体に、硝酸と、上記ニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液を添加し、アクチノイドを有機相(ニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液)に抽出する。アクチノイドの有機相への抽出は、放射性核種を含む硝酸溶液に、ニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液を添加した後、室温ないし25℃にて10〜20分振とうした後、遠心分離により有機相と水相とに分離させることで行うことができる。
ニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液(有機相)と放射性核種を含む硝酸溶液(水相)との容積比が0.01:1〜1:0.01の範囲内となるように、ニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液を添加することが好ましい。また、ニトリロトリアセトアミドの使用量は、n−ドデカン溶液中の濃度がモル濃度で0.1〜0.5Mとなるように調整することが、溶液の調製やアクチノイドを分離回収する点で好ましい。しかし、高レベル放射性廃液中のアクチノイド濃度が高い場合には、0.5M以上の濃度で使用することができる。なお、硝酸の濃度は、1〜6Mであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記ニトリロトリアセトアミドを3価のアクチノイドとランタノイドとを分離する抽出分離剤として使用し、テトラエチルジグリコールアミド(TEDGA)をマスキング剤として使用する放射性核種を含む液体からのAmとCmの溶媒抽出分離方法が提供される。
具体的には、放射性核種を含む液体に、硝酸と、上記ニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液と、を添加し、アクチノイドを有機相に抽出した後、テトラエチルジグリコールアミド(TEDGA)を添加して、Amを有機相に残し、Cmを水相に抽出する、放射性核種を含む液体からのAmとCmとの溶媒抽出分離方法が提供される。アクチノイドを有機相に抽出させる条件は上述の通りである。逆抽出に使用するテトラエチルジグリコールアミドは、硝酸溶液に良好に溶解し、強いマスキング効果を発揮するため、pH緩衝剤を利用する必要がなく、高レベル放射性廃液からのAm、Pu、Cmの分離に用いることができる(特許文献1および2)。TEDGAの使用量は、溶液の濃度がモル濃度で5mM以上となるように調整することが望ましい。逆抽出に使用するTEDGAは0.2M以上の希硝酸に溶解させて用いることが望ましい。
本発明のニトリロトリアセトアミドは、化学的に安定で、硝酸およびn−ドデカンに十分な可溶性を有し、アクチノイドとの親和性が高く、高レベル放射性廃液からアクチノイドを抽出分離する抽出分離剤として用いることができる。
本発明のニトリロトリアセトアミドの合成方法は、氷点下の緩やかな反応条件で行うことができ、簡便である。
本発明の高レベル放射性廃液からのアクチノイドの溶媒抽出分離方法は、二次廃棄物の発生がなく、操作も簡便である。
本発明の高レベル放射性廃液からのAmとCmの溶媒抽出分離方法は、二次廃棄物の発生がなく、操作も簡便である。
図1は、合成例1で得られた生成物のH-NMRスペクトルである。 図2は、合成例2で得られた生成物のH-NMRスペクトルである。 図3は、実施例1の結果を示すグラフであり、NTAアミド濃度とAmとCmとの分配比との関係を示す。 図4は、実施例1の結果を示すグラフであり、NTAアミド−C6濃度とランタノイドの分配比との関係を示す。 図5は、実施例1の結果を示すグラフであり、NTAアミド−C8濃度とランタノイドの分配比との関係を示す。 図6は、実施例2の結果を示すグラフであり、0.2M濃度のNTAアミドを用いる場合のTEDGA濃度とAm/Cmの分配比との関係を示す。 図7は、実施例2の結果を示すグラフであり、0.5M濃度のNTAアミドを用いる場合のTEDGA濃度とAm/Cmの分配比との関係を示す。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[合成例1]
ジヘキシルアミン(23.7g,128mmol相当)とトリエチルアミン(13g,128mmol相当)をジメチルホルムアミド(100ml)と塩化メチレン(50ml)中に加えた。その後、ニトリロ三酢酸(7g,36.6mmol相当)を加えて反応容器を氷冷した。水溶性カルボジイミドの塩酸化物を24.6g(128mmol相当),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt.H2O,17.3g,128mmol相当)を反応容器に加えた。室温(21−23℃)で1昼夜撹拌し、NTAアミドを合成した。NaHCO,NaClで反応溶液を洗浄し、その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。回収量は約8.3gで収率は60%以上であった。精製後のNTAアミドのH−NMRチャートを図1に記す。それぞれの水素のNMRスペクトルはNTAアミド構造中に記した同じ番号のHに相当する。
[合成例2]
ジオクチルアミン(30.9g,128mmol相当)とトリエチルアミン(13g,128mmol相当)をジメチルホルムアミド(100ml)と塩化メチレン(50ml)中に加えた。その後、ニトリロ三酢酸(7g,36.6mmol相当)を加えて反応容器を氷冷した。水溶性カルボジイミドの塩酸化物を24.6g(128mmol相当),1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt.H2O,17.3g,128mmol相当)を反応容器に加えた。室温(21−23℃)で1昼夜撹拌し、NTAアミドを合成した。精製はNaHCO,NaClで反応溶液を洗浄し、その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。収率は60%以上であった。精製後のNTAアミドのH−NMRチャートを図2に記す。それぞれの水素のNMRスペクトルはNTAアミド構造中に記した同じ番号のHに相当する。
[合成例3]
無水ジグリコール酸(5.8g、50mmol相当)を100mlの酢酸エチルに添加し、さらにジエチルアミン(4.4g,60mmol相当)を加えて室温で1時間、撹拌した。次に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(12.4g,60mmol相当)とジエチルアミン(4.4g,60mmol相当)を加えて1週間、室温で撹拌した。反応溶液(TEDGA/酢酸エチル)を水、1M塩酸、1M水酸化ナトリウム溶液それぞれ50mlで2回ずつ洗浄し、更にシリカゲルカラムクロマトグラフィーで2回精製を行った。収率は50%程度であった。TEDGAの合成反応は以下の通りである。
Figure 0006044828
[実施例1]
合成例1及び2で調製したNTAアミド−ヘキシル(C6)及びNTAアミド−オクチル(C8)のn−ドデカン溶液をそれぞれ有機相に、0.2Mの硝酸水溶液を水相に用いて、ランタノイド及びアクチノイド(Am、Cm)の溶媒抽出実験を行った。有機相のNTAアミド濃度は0.05〜0.5Mの範囲で変化させて、NTAアミド濃度に対する分配比の依存性を検討した。
金属イオン(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb)を含む硝酸水溶液と、NTAアミド−ヘキシル(C6)及びNTAアミド−オクチル(C8)のn−ドデカン溶液を等量(容積比)で混合し、25℃±0.1℃で10〜20分、機械的に振とうした後、遠心分離によって相分離させた。水相及び有機相の両者から0.50cmのサンプル溶液を取り出して、水相及び有機相のβ線及びα線を液体シンチレーションカウンター(Tri−Carb 1600 TR、Packard Instrument Company製)で測定し、各金属の分配比を測定した。抽出サンプルから調製したサンプル溶液中の非放射性金属イオンをICP−AES(SPS 3100、Seiko Instruments Inc製)又はICP−MS(SPQ 9000、Seiko−EG&G製)により計測した。
アクチノイド(Am及びCm)の抽出挙動を調べた結果を図3に、ランタノイドの抽出挙動を調べた結果を図4及び図5に示す。図中のNTAアミド濃度Mはmol/dmを意味し、分配比Dは水相中金属濃度に対する有機相中金属濃度の比率([metal]org/[metal]aq)を意味する。
いずれの分配比もNTAアミド濃度増加と共に増加することがわかる。加えて、NTAアミド濃度が0.1Mの場合に、アクチノイド(An)であるAm及びAm分配比は1を越え、一方ランタノイド(Ln)の分配比は1以下である。よって、本発明のNTAアミドによって、An/Ln相互分離が可能であるといえる。なお、NTAアミドに結合するアルキル基に関して、ヘキシル基とオクチル基との間で大きな違いは見られなかった。
[実施例2]
合成例2で調製したNTAアミド−オクチル(C8)のn−ドデカン溶液を有機相に、1〜20mMのTEDGAを添加した0.2M硝酸水溶液を水相に用いて、AmとCmの溶媒抽出実験を行い、分配比を求めた。NTAアミド濃度0.2Mを用いた場合の結果を図6に、NTAアミド濃度0.5Mを用いた場合の結果を図7に示す。
TEDGA濃度が高くなるほど分配比Dが減少し、TEDGAはAm及びCmのマスキング剤として作用することがわかる。また、NTAアミド濃度が0.2Mの場合には5mMのTEDGAとの組み合わせ、NTAアミド濃度が0.5Mの場合には5mM及び10mMのTEDGA双方との組み合わせで、Amの分配比が1以上で且つCmの分配比が1以下となり、AmとCmとの相互分離が可能であるといえる。
[実施例3]
実施例1と同様にして、0.2M硝酸(水相)と0.2MのNTAアミド-C8(有機相)を用いた場合のランタノイド(Ln)とアクチノイド(An)との分配比D並びにAm及びCmに対する分離比SFを求めた。結果を表1に示す。
Figure 0006044828
Ln(La、Nd、Sm、Eu、Gd)の分配比Dはいずれも約1又は1以下であり、An(Am、Cm)の分配比Dはいずれも20以上であり、LnのAm及びCmに対する分離比CFはいずれも19以上である。よって、本発明のNTAアミドを用いてアクチノイドとランタノイドとの相互分離が可能であるといえる。
次いで、実施例2と同様にして、0.2M硝酸(水相)と0.5MのNTAアミド-C8(有機相)による溶媒抽出の後TEDGAによる逆抽出を行った場合のAmとCmとの分配比並びにCmに対するAmの分離比を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0006044828
TEDGAを添加しない場合には、AmとCmとの分配比が共に61以上であり、分離比SFが2未満と相互分離ができなかった。またTEDGA濃度が20mMと高濃度になってもAmとCmとの分配比が共に0.3未満であり、分離比SFが4未満と相互分離が難しいことがわかる。TEDGA濃度が2〜10mMの範囲で、Amの分配比D(Am)が1以上、Cmの分配比D(Cm)が1未満、分離比SFが4以上と、相互分離が可能であることがわかる。
本発明の溶媒抽出分離技術によれば、相互分離が困難な放射性核種を含む高レベル放射性廃液中に含まれるアクチノイド(An)とランタノイド(Ln)およびAmとCmとを相互分離することができる。本発明により、Amを分離して核変換により処分することが容易になり、Cmだけをガラス固化体として中間貯蔵することができるため、長期的な毒性や発熱量を下げることができ、高レベル放射性廃液処理のプロセス設計が容易になり、経済性を向上させることができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式:
    Figure 0006044828
    (式中、Rは炭素数6〜12の直鎖アルキル基である)で表されるニトリロトリアセトアミド。
  2. アルキル基は、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基から選択される、請求項1に記載のニトリロトリアセトアミド。
  3. ニトリロ三酢酸と二級アミン化合物とを混合して氷冷し、次いで縮合剤と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを添加して、室温にて反応させることを含む、請求項1又は2に記載のニトリロトリアセトアミドの合成方法。
  4. 前記二級アミン化合物は、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミンから選択される、請求項3に記載の合成方法。
  5. 前記縮合剤は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジトリルカルボジイミド、1−t−ブチル−3−エチルカルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド及びこれらの塩から選択される、請求項3又は4に記載の合成方法。
  6. 請求項1または2に記載のニトリロトリアセトアミドを3価のアクチノイドとランタノイドとを分離する抽出分離剤として使用する、放射性核種を含む液体からのアクチノイドの溶媒抽出分離方法。
  7. 放射性核種を含む液体に、請求項1または2に記載のニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液と、硝酸水溶液とを添加し、アクチノイドを有機相に抽出する、請求項6に記載の溶媒抽出分離方法。
  8. 請求項1または2に記載のニトリロトリアセトアミドを3価のアクチノイドとランタノイドとを分離する抽出分離剤として使用し、テトラエチルジグリコールアミド(TEDGA)をマスキング剤として使用する放射性核種を含む液体からのAmとCmの溶媒抽出分離方法。
  9. 放射性核種を含む液体に、硝酸と、請求項1または2に記載のニトリロトリアセトアミドのn−ドデカン溶液と、を添加し、アクチノイドを有機相に抽出した後、テトラエチルジグリコールアミドを添加して、Amを有機相に残し、Cmを水相に抽出する、放射性核種を含む液体からのAmとCmとの溶媒抽出分離方法。
  10. 前記テトラエチルジグリコールアミドの濃度は5〜10mMである、請求項8又は9に記載の溶媒抽出分離方法。
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