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JP6042767B2 - 層状掃気2ストロークエンジン - Google Patents

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JP6042767B2 JP2013095198A JP2013095198A JP6042767B2 JP 6042767 B2 JP6042767 B2 JP 6042767B2 JP 2013095198 A JP2013095198 A JP 2013095198A JP 2013095198 A JP2013095198 A JP 2013095198A JP 6042767 B2 JP6042767 B2 JP 6042767B2
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Description

本発明は、空気による先行掃気が行われる空気先導式の層状掃気2ストロークエンジンに関する。
空気先導式の層状掃気2ストロークエンジンでは、ピストンの上昇行程にて、クランクケース内に生じる負圧によって吸気通路からクランクケース内に混合気を導入すると共に空気通路から掃気通路に空気を導入し、ピストンの下降行程にて、クランクケース内の混合気をシリンダ内に供給するのに先立ち、先の上昇行程にて掃気通路に導入した空気を先行掃気用の空気としてシリンダ内に流出させる。これにより、混合気の燃焼ガスと、掃気通路を介して新たに供給される混合気との間に空気の層が介在することとなり、燃焼ガスへの混合気の混入が抑制されて、未燃焼ガスが排気通路に吹き抜けることが抑制される。特許文献1には、この種の層状掃気2ストロークエンジンの一例が開示されている。
特開2011−127601号公報
ところで、層状掃気2ストロークエンジンは、チェンソーなどの携帯型作業機(手持ち式作業機及び背負い式作業機を含む)の原動機として用いられている。近年、携帯型作業機の小型化がますます求められており、これに伴って、その原動機としての層状掃気2ストロークエンジンの小型化も要求されている。
特許文献1に記載の層状掃気2ストロークエンジンでは、吸気通路に相当する混合気通路と空気通路に相当する供給通路がシリンダの軸線に沿って上下方向に配置されている。このため、当該エンジンを上下方向に小さくすることが難しく、この点において改良の余地がある。
そこで、本発明は、エンジン全体のコンパクト化、特に上下方向のコンパクト化を図ることのできる層状掃気2ストロークエンジンを提供することを目的とする。
前記目的の達成のため、本発明の一態様による層状掃気2ストロークエンジンは、ピストンを収容するシリンダが形成されたシリンダ部材と、このシリンダ部材に接合されたクランクケースとを有する層状掃気2ストロークエンジンであって、前記シリンダ部材の外面に開口する吸気口と前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する吸気ポートとを接続し、前記クランクケース内に空気と燃料の混合気を導入する吸気通路と、前記シリンダ部材の外面に開口する排気口と前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する排気ポートとを接続し、前記シリンダ内の燃焼ガスを排出する排気通路と、前記クランクケース内に開口する掃気流入口と前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する掃気ポートとを接続する掃気通路と、前記シリンダ部材の外面に開口する空気流入口と前記掃気通路とを接続し、先行掃気用の空気を前記掃気通路に導入する空気通路と、を有し、前記吸気口と前記空気流入口は、前記シリンダの軸線を挟んで前記排気口とは反対側に配置され、かつ、前記シリンダの略周方向又は前記シリンダの軸線に略直交する方向に並んで配置されている。
前記層状掃気2ストロークエンジンでは、吸気通路の吸気口及び空気通路の空気流入口は、排気通路の排気口が開口する外面とはシリンダの軸線を挟んで反対側の外面に開口している。また、前記吸気口と前記空気流入口は、シリンダの軸線の略周方向又はシリンダの軸線に略直交する方向に並んで配置されている。このため、特にエンジンの上下方向(シリンダの軸線方向)の寸法を従来のエンジンに比べて小さくすることができ、エンジン全体のコンパクト化を図ることができる。
第1実施形態による層状掃気2ストロークエンジンの断面図である。 同じく第1実施形態による層状掃気2ストロークエンジンの断面図である。 シリンダ部材をクランクケースとの接合面(シリンダベース面)側から見た図である。 クランクケースをシリンダ部材との接合面(クランクケースベース面)側から見た図である。 シリンダ部材とクランクケースとの接合部に介装(配置)されるガスケットの一例を示す図である。 シリンダ部材を吸気口及び空気流入口が開口する端面側から見た図である。 第1実施形態による層状掃気2ストロークエンジンの各通路を模式的に示した図である。 第2実施形態による層状掃気2ストロークエンジンの断面図である。 同じく第2実施形態による層状掃気2ストロークエンジンの断面図である。 第2実施形態におけるクランクケースをシリンダ部材との接合面(クランクケースベース面)側から見た図である。 第2実施形態による層状掃気2ストロークエンジンの各通路を模式的に示した図である。 第2実施形態の変形例による層状掃気2ストロークエンジンの断面図である。 第2実施形態の変形例におけるクランクケースをシリンダ部材との接合面(クランクケースベース面)側から見た図である。 第2実施形態の変形例による層状掃気2ストロークエンジンの各通路を模式的に示した図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
実施形態による層状掃気2ストロークエンジン(以下単に「エンジン」という)は、単気筒の小型2ストロークエンジンであり、チェンソーなどの携帯型作業機の原動機として使用することができる。実施形態によるエンジンは、トップハンドルソーの本体などに横向きに収容される横型エンジンである。但し、これに限るものではなく、本発明は、縦型エンジンにも適用することができる。なお、本明細書においては、エンジンの置かれた向きにかかわらず、シリンダの軸線方向を上下方向とし、ピストンがクランクシャフトから離れる方向を上向き、ピストンがクランクシャフトに近づく方向を下向きとする。
〔第1実施形態〕
図1,2は、本発明の第1実施形態によるエンジン1の構成を示す断面図である(但し、図2では一部の要素を省略している)。図1,2に示すように、エンジン1は、エンジン本体2と、吸気管3と、燃料添加装置としてのキャブレタ4と、空気管5と、を含む。
エンジン本体2は、シリンダ部材21と、クランクケース22とを有する。シリンダ部材21には、軸線Xを有するシリンダ23が形成されている。クランクケース22は、シリンダ部材21の下部(図では左側)に接合されており、シリンダ部材21とクランクケース22との接合部には、介装材としてのガスケット24が配置されている。
シリンダ23には、ピストン25が軸線Xに沿って往復移動可能に収容されており、クランクケース22には、クランクシャフト26が回転可能に収容されている。ピストン25とクランクシャフト26とはコネクティングロッド27(破断してその一部のみを示す)によって連結され、ピストン25の往復運動(上下運動)がクランクシャフト26の回転運動に変換される。クランクシャフト26は、その一端がクランクケース22外まで延びており、クランクシャフト26の回転運動がエンジン1の出力として取り出される。
シリンダ23内において、ピストン25の上方には燃焼室28が形成されており、燃焼室28には、点火プラグ29が配設されている。点火プラグ29は、ピストン25が上死点又はその近傍にあるときに作動し、燃焼室28内の混合気に点火して燃焼させる。
エンジン本体2には、燃料と空気の混合気をクランクケース22内に導入する吸気通路31(図2参照)と、シリンダ23内の燃焼ガスを排出する排気通路32と、クランクケース22内とシリンダ23内とを接続する掃気通路(第1掃気通路33,第2掃気通路34)と、空気を掃気通路(本実施形態においては、第1掃気通路33)に導入する空気通路35と、が形成されている。ここで、クランクケース22内とは、基本的には、クランクケース22の内部空間のことをいうが、クランクケース22の内部空間とピストン25の下方のシリンダ23内空間とを合わせた空間のことをいう場合もある。
以下、各通路について詳細に説明する。
吸気通路31は、図2に示すように、シリンダ部材21に形成されて吸気ポート311にてシリンダ23内に連通している。具体的には、吸気通路31は、吸気ポート311とシリンダ部材21の外面に開口する吸気口312とを接続している。本実施形態において、吸気口312は、シリンダ部材21の外面において略平坦に形成された部分である第1平坦部21aに開口している。この第1平坦部21aには、吸気口312に連通する吸気管3が取り付けられており、吸気管3には、キャブレタ4が配設されている。キャブレタ4は、外部から導入した空気に燃料を添加して混合気を生成する。
吸気ポート311は、その上縁が下死点にあるピストン25の上面よりも下方に位置すると共に、その下縁が上死点にあるピストン25の下面よりも下方に位置するように設定されている。具体的には、吸気ポート311は、ピストン25が下死点にあるときにはピストン25によって閉塞され、ピストン25の上昇行程中期から下降行程中期に移行する過程においてピストン25の下方でシリンダ23内に開口するように構成されている。
これにより、吸気通路31は、ピストン25の上昇行程、さらに言えば、吸気ポート311がピストン25の下方でシリンダ23内に開口する上昇行程中期以降の期間に、クランクケース22内に生じた負圧によって、キャブレタ4で生成された混合気をクランクケース22内に導入する。なお、ピストン25の上昇行程とは、ピストン25が下死点から上死点に向けて移動する行程をいい、ピストン25の下降行程とは、ピストン25が上死点から下死点に向けて移動する行程をいう。
排気通路32は、図1,2に示すように、シリンダ部材21に形成されて排気ポート321にてシリンダ23内に連通している。具体的には、排気通路32は、排気ポート321とシリンダ部材21の外面に開口する排気口322とを接続している。本実施形態において、排気口322は、シリンダ部材21の外面において略平坦に形成された部分である第2平坦部21bに開口している。ここで、吸気口312が開口する第1平坦部21aと排気口322が開口する第2平坦部21bとは、シリンダ23(の軸線X)を挟んでほぼ反対側に位置している。なお、図では省略しているが、第2平坦部21bには、排気マフラが取り付けられている。
排気ポート321は、その上縁が下死点にあるピストン25の上面よりも上方に位置すると共に、その下縁が上死点にあるピストン25の下面よりも上方に位置するように設定されている。具体的には、排気ポート321は、ピストン25が上死点にあるときにはピストン25によって閉塞され、ピストン25の下降行程中期から上昇行程中期に移行する過程においてピストン25の上方でシリンダ23内に開口するように構成されている。
これにより、排気通路32は、ピストン25の下降行程、さらに言えば、排気ポート321がピストン25の上方でシリンダ23内に開口する下降行程中期以降の期間において、シリンダ23内の燃焼ガスを排出する。
第1掃気通路33及び第2掃気通路34は、図1に示すように、いずれも一端の掃気流入口331,341にてクランクケース22内に連通する一方、他端の掃気ポート332,342にてシリンダ23内に連通し、クランクケース22内とシリンダ23内とを空間的に接続している。
具体的には、第1掃気通路33は、クランクケース22に形成された第1掃気流入口331から上方に延びて、シリンダ部材21に形成された第1掃気ポート332に接続している。第1掃気通路33は、シリンダ部材21とクランクケース22との接合部よりも上方のシリンダ部材側通路333と、前記接合部よりも下方のクランクケース側通路334と、を有する。同様に、第2掃気通路34は、クランクケース22に形成された第2掃気流入口341から上方に延びて、シリンダ部材21に形成された第2掃気ポート342に接続している。第2掃気通路34は、前記接合部よりも上方のシリンダ部材側通路343と、前記接合部よりも下方のクランクケース側通路344と、を有する。
本実施形態において、第1掃気流入口331、第1掃気ポート332、第2掃気流入口341、及び第2掃気ポート342は、シリンダ23の軸線Xを挟んで各側に一つずつ形成されており、これに対応して、第1掃気通路33(シリンダ部材側通路333、クランクケース側通路334)及び第2掃気通路34(シリンダ部材側通路343、クランクケース側通路344)もシリンダ23を挟んで各側に一つずつ形成されている。但し、図1,2において、第1掃気通路33、第2掃気通路34、第1掃気流入口331、第1掃気ポート332、第2掃気流入口341、及び第2掃気ポート342は、いずれも片側のみが示されている。
図3は、シリンダ部材21をクランクケース22との接合面(以下「シリンダベース面」という)側から見た図であり、図4は、クランクケース22をシリンダ部材21との接合面(以下「クランクケースベース面」という)側から見た図であり、図5は、両接合面(すなわち、シリンダベース面とクランクケースベース面)の間に介装(配置)されるガスケット24を示している。
図3に示すように、第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333及び第2掃気通路34のシリンダ側通路343は、シリンダ部材21の側壁の内部に形成されている。また、図4に示すように、第1掃気通路33のクランクケース側通路334及び第2掃気通路34のクランクケース側通路344は、クランクケース22の内面に凹部として形成されている。さらに、図5に示すように、シリンダベース面とクランクケースベース面との間に配置されるガスケット24には、シリンダ23に対応する中央孔24aと、中央孔24aを挟んで配置された一対の連通孔(本発明の「第1開口部」に相当する)24bと、中央孔24aを挟んで対向する一対の切欠孔(本発明の「第2開口部」に相当する)24cとが形成されている。
そして、クランクケース22内とシリンダ23内とは、ガスケット24に形成された中央孔24aを介して連通し、第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333とクランクケース側通路334とは、ガスケット24に形成された連通孔24bを介して連通し、第2掃気通路34のシリンダ部材側通路343とクランクケース側通路344とは、ガスケット24に形成された切欠孔24cを介して連通するように構成されている。
ここで、本実施形態においては、第1掃気通路33のクランクケース側通路334の断面積(及びガスケット24の連通孔24bの面積)よりも第2掃気通路34のクランクケース側通路344の断面積(及びガスケット24の切欠孔24cの面積)の方が大きく形成されている。
図1,2に戻って、第1掃気ポート332と第2掃気ポート342とは、シリンダ23の周方向において所定の間隔をあけて互いに隣接して形成されている。すなわち、第1掃気ポート332と第2掃気ポート342はそれぞれ独立した開口部を形成している。
第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342は、いずれもその上縁が下死点にあるピストン25の上面よりも上方に位置し、その下縁が上死点にあるピストン25の下面よりも上方に位置するように設定されている。また、第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342の上縁は、排気ポート321の上縁よりも下方に位置している。具体的には、第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342は、ピストン25の下降行程終期、換言すれば、排気ポート321がピストン25の上方でシリンダ23内に開口した後に、ピストン25の上方でシリンダ23内に開口し、ピストン25の下降行程終期及び上昇行程初期を除く期間ではピストン25によって閉塞されるように構成されている。
これにより、第1掃気通路33及び第2掃気通路34は、ピストン25の下降行程(さらに言えば、下降行程終期以降)において、クランクケース22内とシリンダ23内とを連通させてクランクケース22内の混合気をシリンダ23内に供給するための混合気供給通路を形成する。
また、第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333と、第2掃気通路34のシリンダ側通路343とは、シリンダ部材21に形成された連通部36を介して互いに連通している。本実施形態において、連通部36は、シリンダ部材21における第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342の外側の領域に形成されている。
空気通路35は、図1に示すように、シリンダ部材21に形成されて第1掃気通路33に接続している。具体的には、空気通路35は、シリンダ部材21の外面に開口する空気流入口351と第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333とを接続している。本実施形態において、空気流入口351は、第1平坦部21aに開口している。
図6は、シリンダ部材21を第1平坦部21a側から見た図である。図6に示すように、本実施形態において、吸気口312と空気流入口351とは、シリンダ部材21の外面における同一平坦部(すなわち、第1平坦部21a)に開口しており、吸気口312と空気流入口351とは、シリンダ23の軸線Xに略直交する方向において並んで配置されている。
上述のように、第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333は、シリンダ23を挟んで各側に一つずつ形成されている。このため、本実施形態において、空気通路35は、空気流入口351から延びて途中で分岐し、各分岐路がシリンダ23の外周に沿って異なる方向に延びてその端部が第1掃気通路33の対応するシリンダ部材側通路333に接続するように形成されている。具体的には、図3、図5に示すように、空気通路35は、シリンダ部材21の側壁の内部を通る内部通路35aと、内部通路35aに接続するように前記シリンダベース面に形成された通路溝352,353及びガスケット24(の上面)で構成される分岐路35b,35cと、を含む。すなわち、本実施形態において、ガスケット24の上面は空気通路35の一部を構成している。また、本実施形態においては、図3に示すように、空気通路35の分岐路35b、35c(通路溝352,353)は、シリンダ23を挟んで非対称に形成(配置)されている。
ここで、図5に示すように、ガスケット24には、各連通孔24bの上方まで延在するガイド部24dが設けられている。本実施形態において、各ガイド部24dは、先端に向かうにつれてガスケット24の上面から徐々に上昇するように形成されており、空気通路35の各分岐路35b、35cを通過した空気(すなわち、ガスケット24の上面を通過する空気)を第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333に向けて案内する。これにより、空気通路35の各分岐路を通過した空気が第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333により多く流れるように(換言すれば、クランクケース側通路334には流れにくく)なっている。
空気通路35には、図1に示すように、空気通路35から第1掃気通路33(のシリンダ部材側通路333)へと向かう流れを許容する一方、その逆向きの流れを阻止する逆止弁37が配設されている。本実施形態においては、逆止弁37としてリードバルブが採用されており、このリードバルブは、図6に示すように、シリンダ部材21の第1平坦部21aに形成された凹部21cに取り付けられている。
また、図1に示すように、シリンダ部材21の第1平坦部21aには、逆止弁(リードバルブ)37を介して、空気流入口351に連通する空気管5が取り付けられており、空気管5には、これを通過する空気の流量を調節する空気調節弁5aが配設されている。なお、空気調節弁5aは、キャブレタ4にて燃料の流量を調節する燃料調節弁(図示省略)に連動可能に構成されている。
ここで、吸気口312及び空気流入口351が開口する、シリンダ部材21の第1平坦部21aには、一つの取付部材などによって吸気管3及び空気管5が一体化されて取り付けられてもよいし、吸気管3と空気管5とが別々に取り付けられてもよい。
図7は、エンジン1の各通路を模式的に示した図である。
本実施形態によるエンジン1においては、シリンダ23を挟んで一対の第1掃気通路33(シリンダ部材側通路333、クランクケース側通路334)及び一対の第2掃気通路34(シリンダ部材側通路343、クランクケース側344)が設けられており、第1掃気通路33と第2掃気通路34とは、連通部36によって連通している。また、空気通路35は、シリンダ部材21の側壁を通る内部通路35aと、前記シリンダベース面をシリンダ23の外周に沿って互いに異なる方向に延びる分岐路35b、35cとで構成され、各分岐路35b、35cの端部が対応する第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333に接続している。さらに、空気通路35には、空気通路35から第1掃気通路33に向かう流れを許容する一方、その逆向きの流れを阻止する逆止弁(リードバルブ)37が配設されている。
次に、本実施形態によるエンジン1の動作について説明する。
下死点にあるピストン25が上死点に向けて移動を開始すると、クランクケース22内には負圧が発生し、この負圧はピストン25の上昇に伴って発達する。クランクケース22内に生じた負圧は、クランクケース22内に開口する第1掃気流入口331、第2掃気流入口341から第1掃気ポート332、第2掃気ポート342に向かって第1掃気通路33、第2掃気通路34内を伝播する。
ピストン25の上昇行程中期において、クランクケース22内で発達した負圧によって第1掃気通路33内の圧力が大気圧よりも低下すると、空気通路35に配設された逆止弁(リードバルブ)37が開弁する。これにより、空気通路35から第1掃気通路33(シリンダ部材側通路333)に空気が流入すると共に、連通部36を介して、第2掃気通路34(シリンダ部材側通路343)にも空気が流入する。この空気の流入は、ピストン25の上昇行程終期まで継続され、これにより、第1掃気通路33及び第2掃気通路34の大部分が空気で満たされる。一方、ピストン25が吸気ポート311を通過すると、ピストン25の下方で吸気ポート311がシリンダ23内に開口し、クランクケース22内の負圧が吸気ポート311を介して吸気通路31に波及する。これにより、外部の空気がキャブレタ4に取り込まれ、取り込まれた空気とキャブレタ4によって添加された燃料との混合気が吸気通路31を介してクランクケース22内に導入される。
そして、ピストン25がさらに上昇して上死点又はその近傍に到達すると、点火プラグ29が作動して燃焼室28内の混合気に点火して混合気を燃焼させる。この混合気は、前サイクルにてシリンダ23内に供給されたものである(混合気のシリンダ23内への供給については後述する)。ピストン25は、燃料の体積膨張によって押し下げられ(すなわち、下降行程に移り)、コネクティングロッド27を介してクランクシャフト26を回転させる。このクランクシャフト26の回転がエンジン1の出力として取り出される。
ピストン25の下降行程中期において、ピストン25が排気ポート321を通過すると、ピストン25の上方で排気ポート321がシリンダ23内に開口し、シリンダ23内の燃焼ガス(混合気の燃焼ガス)が排気通路32に排出される。これにより、シリンダ23内の圧力が急激に低下する。一方、クランクケース22内では、ピストン25の下降によって混合気が圧縮され、クランクケース22内の圧力が上昇する。そして、クランクケース22内の圧力が第1掃気通路33及び第2掃気通路34内の圧力よりも上昇すると、クランクケース22内の混合気が、第1掃気流入口331から第1掃気通路33に流入すると共に第2掃気流入口341から第2掃気通路34に流入する。この下降行程中期においては、第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342がピストン25によって閉塞されているため、第1掃気通路33及び第2掃気通路34に流入した混合気は、先の上昇行程で第1掃気通路33及び第2掃気通路34に流入された空気を圧縮する。ここで、空気通路35に配設された逆止弁(リードバルブ)37によって、第1掃気通路33内の空気や混合気が空気通路35へと流出することが防止されている。
ピストン25の下降行程終期において、ピストン25が第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342を通過すると、第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342がピストン25の上方でシリンダ23内に開口する。これにより、第1掃気通路33及び第2掃気通路34内の空気が、対応する第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342を介してシリンダ23内に流出する。このシリンダ23内に流出した空気によって、シリンダ23内に残存する燃焼ガスが掃気され、排気通路32に排出される(空気による先行掃気)。続いて、第1掃気通路33及び第2掃気通路34内の混合気、並びにクランクケース22内の混合気がシリンダ23内に流出し(供給され)、このシリンダ23内に流出した(供給された)混合気によって、上述の空気による先行掃気の後においてもシリンダ23内に残存する燃焼ガス及び先にシリンダ23内に流出した空気が掃気される。ここで、燃焼ガスと混合気との間には空気の層が介在することになるので、掃気に際して、混合気(未燃焼ガス)が排気通路32に流出する(吹抜ける)ことを抑制できる。
その後、ピストン25が下死点に到達すると、次サイクルのピストン25の上昇行程に移る。この次サイクルのピストン25の上昇行程において、第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342がピストン25によって閉塞された後においても所定期間だけ排気ポート321はシリンダ23内に開口しており、シリンダ23内の空気が引き続き掃気される。そして、ピストン25がさらに上昇し、排気ポート321がピストン25によって閉塞されると、シリンダ23内が密閉状態となり、混合気の圧縮が開始される。
本実施形態によるエンジン1において、吸気口312と空気流入口351は、シリンダ23の軸線Xに略直交する方向に並んで配置され、かつ、シリンダ23の軸線Xを挟んで排気口321とは反対側に配置されている。このため、特にエンジン1の上下方向におけるコンパクト化が図れ、エンジン1全体を小型化できる。
また、吸気口312及び空気流入口351は、シリンダ部材21の外面における同一平坦部21aに開口しているので、例えば、一つの取付部材などによって吸気管3及び空気管5を一体化した上でエンジン本体2(シリンダ部材21)に取り付けることができる。このため、エンジン1の組立性を向上できる。
また、掃気通路(第1掃気通路33、第2掃気通路34)は、シリンダ部材側通路333,343とクランクケース側通路334,344とを有しており、これらはシリンダ部材21とクランクケース22との接合部に配置されたガスケット24の開口部(連通孔24b,24c)を介して連通している。これにより、掃気通路(第1掃気通路33、第2掃気通路34)を、シリンダ部材21及びクランクケース22から外側に突出させることなく形成することができ、この点においてもエンジン1の小型化を図ることができる。
また、ガスケット24の上面は、第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333に接続する空気通路35の一部を構成しており、ガスケット24には、その上面を通過する空気を第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333に向けて案内するガイド部24dが形成されている。これにより、シリンダ部材21の製造が容易になると共に、空気通路35全体をシリンダ部材21の側壁内部に形成する必要がないので、エンジン1(特にシリンダ部材21)の小型化を図ることができる。また、空気通路35からの空気が、第1掃気通路33のシリンダ部材側通路333及び連通部36を介して第2掃気通路34へと流入し易くなると共に、空気通路35からの空気が第1掃気通路33のクランクケース側通路334へと流れることが抑制される。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態によるエンジンについて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と共通する要素については同一の符号を用いてその説明は省略する。
図8,9は、本発明の第2実施形態によるエンジン50の構成を示す断面図である(但し、図9では一部の構成を省略している)。図8,9に示すように、エンジン50は、エンジン本体52と、吸気管3と、キャブレタ4と、空気管5と、を含む。
エンジン本体52は、シリンダ部材21と、クランクケース53と、クランクケースカバー54とを有する。シリンダ部材21には、軸線Xを有するシリンダ23が形成されている。クランクケース53は、シリンダ部材21の下部(図では左側)に接合されており、クランクケースカバー54は、クランクケース53の側部(図では上側)に固定されている。シリンダ部材21とクランクケース53との接合部にはガスケット24が配置されている。
エンジン本体52には、吸気通路31(図9参照)と、排気通路32と、クランクケース22内とシリンダ23内とを接続する掃気通路(第1掃気通路61,第2掃気通路34)と、空気を掃気通路(第1掃気通路61)に導入する空気通路35と、が形成されている。第1掃気通路61以外の通路については、基本的に第1実施形態と同様である。
第1掃気通路61は、クランクケース53に形成された第1掃気流入口611から上方に向けてS字状に湾曲して延びて、シリンダ部材21に形成された第1掃気ポート332に接続している。第1掃気通路61は、シリンダ部材21とクランクケース53との接合部よりも上方のシリンダ部材側通路333と、前記接合部よりも下方のクランクケース側通路612と、を有する。本実施形態において、クランクケース側通路612は、クランクケースカバー54の内面54aによってクランクケース53の外側に形成されたケース外通路部分613と、クランクケース53の側壁に形成されたケース内通路部分614とで構成されている(図9参照)。
ここで、本実施形態においては、一つの第1掃気流入口611がクランクケース53の側部に貫通形成され、第1掃気ポート332はシリンダ23の軸線Xを挟んで各側に一つずつ形成されている。このため、第1掃気通路61において、シリンダ部材側通路333は、シリンダ23を挟んで各側に一つずつ形成され、クランクケース側通路612のケース内通路部分614は、その途中で分岐し、各分岐路がシリンダ23の外周に沿って異なる方向に延びてその端部が対応するシリンダ部材側通路333に接続するように形成されている。
図10は、クランクケース53をシリンダ部材21との接合面(クランクケースベース面)側から見た図である(シリンダ部材21及びガスケット24については図3,5を参照)。
本実施形態において、クランクケース側通路612のケース内通路部分614は、クランクケース53の側壁の内部を通る内部通路615(破線で示す)と、内部通路615に接続するように前記クランクケースベース面に形成された通路溝53a,53b及びガスケット24(の下面)で構成される分岐路616a,616bと、を含む。そして、分岐路616a,616bの端部(末端)が、ガスケット24に形成された連通孔24bを介して、対応するシリンダ部材側通路333にそれぞれ連通するように構成されている。
ここで、上述のように、ガスケット24(の上面)は、空気通路35の分岐路35b,35cの一部を構成している。すなわち、本実施形態において、空気通路35と第1掃気通路61とはガスケット24によって仕切られており、ガスケット24は、その上面が空気通路35の一部を構成し、その下面が第1掃気通路61の一部を構成している。
また、本実施形態においては、図8,9に示すように、第1掃気通路61のクランクケース側通路612には、クランクケース53内に生じた負圧が第1掃気流入口611を介して第1掃気通路61に及ぶのを回避するための逆止弁(本発明の「第2の逆止弁」に相当する)62が配設されている。この逆止弁62は、空気通路35に配設された逆止弁37と同様に、リードバルブとすることができる。逆止弁(リードバルブ)62は、クランクケース53の外面に第1掃気流入口611を覆うように取り付けられ、クランクケース53内から第1掃気通路61(のクランクケース側通路612)へ向かう流れを許容する一方、その逆向きの流れを阻止する。
図11は、エンジン50の各通路を模式的に示した図である。
本実施形態によるエンジン50において、第1掃気通路61のクランクケース側通路612は、第1掃気流入口611からケース外通路部部分613が上方に延び、これに続くケース内通路部分614の内部通路615が途中で分岐し、各分岐路616a,616bが前記クランクケースベース面をシリンダ23の外周に沿って互いに異なる方向に延びている。そして、各分岐路616a,616bの端部が、シリンダ23を挟んで設けられた一対のシリンダ部材側通路333のそれぞれに接続している。また、図11には示されていないが、第1掃気通路61のクランクケース側通路612には、クランクケース53内から第1掃気通路61へ向かう流れを許容する一方、その逆向きの流れを阻止する逆止弁(リードバルブ)62が配設されている。その他の通路については、基本的に第1実施形態と同様である。
次に、本実施形態によるエンジン50の動作について、主に第1実施形態によるエンジン1の動作と相違する点について説明する。
下死点にあるピストン25が上死点に向けて移動を開始すると、クランクケース53内には負圧が発生し、この負圧はピストン25の上昇に伴って発達する。クランクケース53内に生じた負圧は、クランクケー53内に開口する第2掃気流入口341から第2掃気ポート342に向けて第2掃気通路34内を伝播すると共に、連通部36を介して第1掃気通路61に波及する。このとき、第1掃気流入口611は逆止弁(リードバルブ)62によって閉塞されており、本実施形態においては、クランクケース53内の負圧が第1掃気流入口611を介して第1掃気通路61に波及することはない。
ピストン25の上昇行程中期において、クランクケース53内で発達した負圧によって第1掃気通路61内の圧力が大気圧よりも低下すると、空気通路35に配設された逆止弁(リードバルブ)37が開弁する。これにより、空気通路35から第1掃気通路61のシリンダ部材側通路333に空気が流入すると共に、連通部36を介して、第2掃気通路34(シリンダ部材側通路343)にも空気が流入する。この空気の流入は、ピストン25の上昇行程終期まで継続され、これにより、第1掃気通路61のシリンダ部材側通路333及び第2掃気通路34の大部分が空気で満たされる。一方、ピストン25が吸気ポート311を通過すると、ピストン25の下方で吸気ポート311がシリンダ23内に開口し、クランクケース53内の負圧が吸気ポート311を介して吸気通路31に波及する。これにより、混合気が吸気通路31を介してクランクケース53内に導入される。
そして、ピストン25がさらに上昇して上死点又はその近傍に到達すると、点火プラグ29が作動して燃焼室28内の混合気が点火され(混合気が燃焼し)、ピストン25の下降行程に移行する。
ピストン25の下降行程中期において、ピストン25が排気ポート321を通過するとピストン25の上方で排気ポート321がシリンダ23内に開口し、シリンダ23内の燃焼ガスが排気通路32に排出されてシリンダ23内の圧力が急激に低下する。一方、ピストン25の下降によって混合気が圧縮されてクランクケース53内の圧力が上昇する。そして、クランクケース53内の圧力が第1掃気通路61内の圧力よりも高くなると、逆止弁(リードバルブ)62が開弁してクランクケース53内の混合気が第1掃気流入口611から第1掃気通路61に流入する。また、クランクケース53内の混合気は、第2掃気流入口32から第2掃気通路34にも流入する。このとき、第1掃気ポート332及び第2掃気ポート342はピストン25によって閉塞されており、第1掃気通路61及び第2掃気通路34に流入した混合気は、先の上昇行程で第1掃気通路61のシリンダ部材側通路333及び第2掃気通路34に流入した空気を圧縮する。また、空気通路35に配設された逆止弁(リードバルブ)37によって、第1掃気通路61内の空気や混合気が空気通路35へと流出することが防止されている。なお、その後のエンジン50の動作は、基本的に第1実施形態によるエンジン1と同様である。
本実施形態によるエンジン50においても、第1実施形態によるエンジン1と同様の効果を得ることができる。すなわち、特にエンジン50の上下方向におけるコンパクト化が図れ、エンジン50全体を小型化できる。また、本実施形態によるエンジン50では、第1実施形態によるエンジン1よりも掃気通路(第1掃気通路61)の容積が大きいので、先行掃気のための空気をより多く確保することができるというメリットもある。
〔第2実施形態の変形例〕
図12〜14は、第2実施形態によるエンジン50の変形例を示している。図12は、図8に対応する図であり、図13は、図10に対応する図であり、図14は、図11に対応する図である。
この変形例では、クランクケース側通路612の他にも、第1掃気通路61のシリンダ部材側通路333に接続する接続通路70が設けられている。接続通路70は、クランクケース53内の上部からシリンダ23の軸線Xに略平行に延びて、ガスケット24の連通孔24cを介して第1掃気通路61のシリンダ部材側通路部分333に接続する。接続通路70は、第1掃気通路61のクランクケース側通路612及び第2掃気通路34のクランクケース側通路344よりも小さい断面積を有しており、シリンダ23の軸線Xを挟んで各側に一つずつ設けられている。
この変形例によれば、特にピストン25の下降行程において、第1掃気通路61には、第1掃気流入口611及び接続通路70からクランクケース53内の混合気がシリンダ23内に流出することになるため、空気による先行掃気の後にシリンダ23内に流出する混合気の量が第2実施形態に比べて増加する。これにより、シリンダ23内に残存する燃焼ガス及び先にシリンダ23内に流出した空気の掃気を効率的に行うことができると共に、エンジン50の出力も向上する。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、吸気口312と空気流入口351は、シリンダ部材21の外面における同一平坦部21aに開口しており、シリンダ23の軸線Xに略直交する方向に並んで配置されている。しかし、これに限るものではなく、吸気口312と空気流入口351とが、シリンダ部材21の外面における異なる平坦部に開口するようにしてもよい。例えば、シリンダ部材21の外面に、シリンダ23の略周方向又はシリンダ23の軸線Xに略直交する方向に隣接する二つの平坦部を設け、そのうちの一方に吸気口312が開口し、他方に空気流入口351が開口するように構成する。この場合、前記二つの平坦部は、シリンダ部材21の外面にそれぞれ独立して形成されてもよいし、傾斜面などによって接続されていてもよい。また、逆止弁(リードバルブ)37は、空気流入口351が開口する平坦部に取り付けることができる。このようにしても、吸気口312と空気流入口351は、シリンダ23の略周方向又はシリンダ23の軸線Xに略直交する方向に並んで配置される。
また、上述の実施形態及び変形例において、シリンダ部材21とクランクケース22,53との接合部に介装(配置)される介装材としてガスケット24を用いている。しかし、これに限るものではなく、前記接合部にて掃気通路(第1掃気通路33,61、第2掃気通路34)のシリンダ部材側通路333,343とクランクケース側通路334,344,612とを連通させることができるものであればよく、前記介装材として液体パッキンなどを用いてもよい。
また、上述の実施形態及び変形例において、空気通路35に配設された逆止弁37及び第1掃気通路61(クランクケース側通路612)に配設された逆止弁62として、いずれもリードバルブを採用している。しかし、これに限るものではなく、同様の機能を有する各種の弁機構を採用することができる。逆止弁37を空気管5側に設けてもよい。
また、上述の実施形態及び変形例において、第1掃気通路33,61のシリンダ部材側通路333と、第2掃気通路34のシリンダ部材側通路343とがシリンダ部材21に形成された連通部36を介して連通している。しかし、これに限るものではなく、連通部36に代えて又は加えて、例えばピストン25の周壁に形成された凹部又は溝を介して第1掃気通路33,61のシリンダ部材側通路333と、第2掃気通路34のシリンダ部材側通路343とが連通するように構成してもよい。この場合、ピストン25の周壁に形成された凹部又は溝部が「連通部」に相当する。
また、上述の実施形態及び変形例において、エンジン1,50には第1掃気通路33,61及び第2掃気通路34が設けられているが、これらに加えて、さらに掃気通路(第3掃気通路)が設けられてもよく、各掃気通路のシリンダ部材側通路を分岐させて各分岐路の端部が掃気ポートにてシリンダ23内に連通するように構成してもよい。
1,50…層状掃気2ストロークエンジン、2,52…エンジン本体、3…吸気管、4…キャブレタ、5…空気管、21…シリンダ部材、22,53…クランクケース、23…シリンダ、24…ガスケット(介装材)、25…ピストン、26…クランクシャフト、27…コネクティングロッド、28…燃焼室、29…点火プラグ、31…吸気通路、32…排気通路、33,61…第1掃気通路、34…第2掃気通路、35…空気通路、35b、c…空気通路の分岐路、36…連通部、37…リードバルブ(逆止弁)、54…クランクケースカバー、62…リードバルブ(第2の逆止弁)、70…接続通路、311…吸気ポート、312…吸気口、321…排気ポート、322…排気口、331,611…第1掃気流入口、332…第1掃気ポート、333…第1掃気通路のシリンダ部材側通路、334,612…第1掃気通路のクランクケース側通路、341…第2掃気流入口、342…第2掃気ポート、343…第2掃気通路のシリンダ部材側通路、344…第2掃気通路のクランクケース側通路、351…空気流入口、X…シリンダの軸線。

Claims (14)

  1. ピストンを収容するシリンダが形成されたシリンダ部材と、このシリンダ部材に接合されたクランクケースとを有する層状掃気2ストロークエンジンであって、
    前記シリンダ部材の外面に開口する吸気口と、前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する吸気ポートとを接続し、前記クランクケース内に空気と燃料の混合気を導入する吸気通路と、
    前記シリンダ部材の外面に開口する排気口と、前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する排気ポートとを接続し、前記シリンダ内の燃焼ガスを排出する排気通路と、
    前記クランクケース内に開口する掃気流入口と、前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する掃気ポートとを接続する掃気通路と、
    前記シリンダ部材の外面に開口する空気流入口と、前記掃気通路とを接続し、先行掃気用の空気を前記掃気通路に導入する空気通路と、
    を有し、
    前記吸気口と前記空気流入口は、前記シリンダの軸線を挟んで前記排気口とは反対側に配置され、かつ、前記シリンダの略周方向又は前記シリンダの軸線に略直交する方向に並んで配置されている、層状掃気2ストロークエンジン。
  2. 前記吸気口と前記空気流入口は、前記シリンダ部材の外面の同一平坦部に開口している請求項1に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  3. 前記吸気口は、前記シリンダ部材の外面において前記シリンダの略周方向又は前記シリンダの軸線に略直交する方向に隣接する二つの平坦部の一方に開口し、
    前記空気流入口は、前記二つの平坦部の他方に開口している、請求項1に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  4. 前記空気通路は、前記ピストンの上昇行程で開弁する逆止弁を介して先行掃気用の空気を前記掃気通路に導入する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  5. 前記空気通路は、前記ピストンの上昇行程で開弁する逆止弁を介して先行掃気用の空気を前記掃気通路に導入し、
    前記逆止弁は、前記空気流入口が開口する前記平坦部に取り付けられて、前記クランクケース内で発生した負圧によって開弁する、請求項2又は3に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  6. 前記掃気通路は、シリンダ部材側通路とクランクケース側通路とを有し、
    前記シリンダ部材側通路と前記クランクケース側通路とは、前記シリンダ部材と前記クランクケースとの接合部に配置された介装材の開口部を介して連通している、
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  7. 前記掃気通路は、
    前記クランクケース内に開口する第1掃気流入口と前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する第1掃気ポートとを接続し、シリンダ部材側通路とクランクケース側通路とを有する第1掃気通路と、
    前記クランクケース内に開口する第2掃気流入口と前記ピストンの作動位置に応じて前記シリンダ内に開口する第2掃気ポートとを接続し、シリンダ部材側通路とクランクケース側通路とを有する第2掃気通路と、
    前記第1掃気通路の前記シリンダ部材側通路と前記第2掃気通路の前記シリンダ部材側通路とを連通させる連通部と、
    を含み、
    前記空気通路は、前記空気流入口と前記第1掃気通路の前記シリンダ部材側通路とを接続している、
    請求項1〜6のいずれか一つに記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  8. 前記第1掃気通路の前記シリンダ部材側通路と前記クランクケース側通路とは、前記シリンダ部材と前記クランクケースとの接合部に配置された介装材の第1開口部を介して連通し、前記第2掃気通路の前記シリンダ部材と前記クランクケース側通路とは、前記介装材の第2開口部を介して連通する、請求項7に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  9. 前記介装材は、その上面が前記空気通路の一部を構成する、請求項8に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  10. 前記介装材には、その上面を通過する空気を前記第1掃気通路の前記シリンダ部材側通路に向けて案内するガイド部が形成されている、請求項9に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  11. 前記介装材は、その下面が前記第1掃気通路の前記クランクケース側通路の一部を構成する、請求項8〜10のいずれか一つに記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  12. 前記第1掃気通路の前記クランクケース側通路には、前記ピストンの下降行程で開弁する第2の逆止弁が配設されている、請求項7〜11のいずれか一つに記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  13. 前記第2の逆止弁は、前記クランクケース内の圧力が前記第1掃気通路内の圧力よりも高いときに開弁する、請求項12に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
  14. 前記第1掃気通路の前記クランクケース側通路とは別に設けられ、前記クランクケース内から前記シリンダの軸線に略平行に延びて前記第1掃気通路の前記シリンダ部材側通路に接続する接続通路をさらに含む、請求項12又は13に記載の層状掃気2ストロークエンジン。
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