JP5926660B2 - 冷温水循環ポンプの回転数制御システムおよび方法 - Google Patents
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Description
コントローラ4は、図示しない温度センサが計測した給気温度tに基づいて、制御弁3を通る冷温水流量の変化量を算出し、流量設定値QSPを示す要求流量信号を制御弁3に送信する。具体的には、コントローラ4は、給気温度計測値tと所定の給気温度設定値tSPとの偏差Δt=t−tSPを算出し、給気温度計測値tと給気温度設定値tSPとが一致するように(すなわち、給気温度偏差Δtが0になるように)流量設定値QSPを算出する。
一方、揚程予測値算出部207は、コントローラ4から送信された要求流量信号が示す各制御弁3の流量設定値QSPを合計すると共に、各制御弁3で計測された流量計測値Qを合計し、ポンプ回転数のフィードフォワード制御のために、冷温水循環ポンプ2の揚程予測値P0を算出する。冷温水循環ポンプ2の揚程予測値P0は、冷温水循環ポンプ2の回転数特性により式(1)のように算出できる。式(1)において、Hは冷温水循環ポンプ2の揚程計測値である。
熱出力状態Sが不足している空調機があると、その空調機を制御するコントローラ4が当該空調機の熱出力状態Sが不足しないように制御し、新たな冷温水流量設定値QSPを出力することになる。空調機の熱出力状態Sが不足している状態とは、例えば暖房モードであれば給気温度偏差Δtが許容値より低い状態(例えばΔt≦−1℃)であり、冷房モードであれば給気温度偏差Δtが許容値より高い状態(例えばΔt≧+1℃)である。
ΔQ=QSP−Q ・・・(2)
P=K0・Q2 ・・・(3)
式(3)において、K0は制御弁全開時の抵抗係数である。
ΔPi=K0・(ΔQ2+ΔQ・Q) ・・・(4)
揚程修正値算出部208は、熱出力状態Sが不足している空調機について、制御弁前後の静圧差の変更値ΔPiをそれぞれ算出し、これらの値ΔPiのうちの最大値を冷温水循環ポンプ2の揚程修正値ΔPとする。すなわち、揚程修正値ΔPは、次式のようになる。
ΔP=max(ΔP1,ΔP2,・・・,ΔPk) ・・・(7)
ここで、kは熱出力状態Sが不足している空調機の数である。
熱出力状態Sが不足または適切な空調機が一台もない状態で、熱出力状態Sが過剰な空調機がある場合、冷温水循環ポンプ2が余計な揚程を出していることを示しているので、冷温水循環ポンプ2の揚程を下げる必要がある。空調機の熱出力状態Sが過剰な状態とは、例えば暖房モードであれば給気温度偏差Δtが許容値より高い状態(例えばΔt≧+1℃)であり、冷房モードであれば給気温度偏差Δtが許容値より低い状態(例えばΔt≦−1℃)である。
ΔP=K・Q2 ・・・(8)
この流量圧力計算式により、制御弁全開までの制御弁前後の静圧差の変更値ΔPiを次式のように算出することができる。
ΔPi=(K−K0)・Q2 ・・・(9)
K=K0/R2(φ-1) ・・・(10)
ΔP=min(ΔP1,ΔP2,・・・,ΔPm) ・・・(11)
ここで、mは制御弁の数である。
フィードフォワード制御とフィードバック制御とを用いる冷温水循環ポンプ2の回転数制御では、フィードバック制御のための揚程修正値ΔPに大きさ制限を与える必要がある。
|ΔP|≦KL・P0 ・・・(12)
揚程修正値算出部208は、式(11)により冷温水循環ポンプ2の揚程修正値ΔPを算出した後、この揚程修正値ΔPの大きさを式(12)に従って制限する。式(12)において、KLはフィードバック制御の大きさ制限率で、例えばKL=0.1である。
次に、揚程設定値算出部209は、冷温水循環ポンプ2の揚程予測値P0と揚程修正値ΔPとから、冷温水循環ポンプ2の揚程設定値HSPを次式のように算出する。
HSP=P0−ΔP ・・・(13)
ΔH=H−HSP ・・・(14)
本発明は、従来技術の問題点を解決するために、以下の(A)〜(E)の構成を導入する。
ΣQnm=Qtotal−ΣQmd ・・・(15)
式(15)において、ΣQnmは流量計測機能の付いていない制御弁の流量の合計値、Qtotalは総流量計によって計測したシステム流量計測値、ΣQmdは流量計測機能付きの制御弁によって計測した流量計測値の合計値である。
具体的には、流量計測機能が付いていない制御弁または全ての制御弁から、制御弁開度φを取得して、次式のようにこれらの制御弁開度φの中から最大開度である制御弁開度φmaxを選出する。
φmax=max(φ1,φ2,φ3,・・・・) ・・・(17)
Δφ=φfull−φmax ・・・(18)
ここで、全開開度φfullはある具体的な開度値、例えばφfull=95%と設定することもできるし、ある範囲、例えばφfull=90〜95%というように設定することも可能である。
Power=f1(Δφ) ・・・(19)
式(19)において、f1は予め規定された関数である。
ΔPstandard=f2(Power) ・・・(20)
式(20)において、f2は予め規定された関数である。
W=Cv/Cvstandard ・・・(21)
ΔP=W・ΔPstandard ・・・(22)
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る冷温水循環ポンプの回転数制御システムを含む空調システムの構成を示すブロック図である。空調システムは、空調機1−1〜1−5と、冷温水循環ポンプ2と、制御弁3−1〜3−5と、コントローラ4−1〜4−5,5と、温度センサ6−1〜6−5と、圧力センサ7と、回転数制御装置8と、往水管路9と、還水管路10と、ヘッダ11〜14と、総流量計15とから構成される。図1の例では、空調機1−1〜1−3としてAHUを用い、空調機1−4,1−5としてFCUを用いる場合を記載している。
各コントローラ4−1〜4−5は、それぞれ対応する制御弁3−1〜3−5の開度を制御することにより、空調機1−1〜1−5を通過する冷温水の量を制御し、空調機1−1〜1−5の負荷制御を行う。
コントローラ5は、回転数制御装置8を通じて冷温水循環ポンプ2の回転数を制御する。総流量計15は、還水管路10を通過する冷温水の流量を計測する。
コントローラ4−1〜4−5のうち、流量計測機能が付いていない制御弁3を制御するコントローラ4は、図2に示した温度偏差算出部201と弁開度制御演算部202とを内部に有する。温度偏差算出部201は、給気温度計測値tと給気温度設定値tSPとの偏差Δt=t−tSPを算出する。弁開度制御演算部202は、給気温度計測値tと給気温度設定値tSPとが一致するように(すなわち、給気温度偏差Δtが0になるように)制御弁開度φを制御する。このような演算が、流量計測機能が付いていない制御弁3に対応するコントローラ4毎に行われる。
冷温水循環ポンプ2を制御するコントローラ5は、コントローラ4−1〜4−5のうち、流量計測機能付きの制御弁3を制御するコントローラ4から送られてきた要求流量信号と、全てのコントローラ4−1〜4−5から送られてきた制御弁開度信号と、流量計測機能付きの制御弁3からコントローラ4を通じて送られてきた流量計測値と、圧力センサ7から送られてきた冷温水循環ポンプ2の揚程計測値と、総流量計15によって計測された流量計測値とに基づき、冷温水循環ポンプ2の回転数制御を行う。
ΣQmd=Σ(Q1+Q2+Q3+・・・・) ・・・(23)
ΣΔQ=Σ(ΔQ1+ΔQ2+ΔQ3+・・・・) ・・・(24)
最後に、揚程予測値算出部212は、流量計測値の合計値ΣQmdと流量の増量の合計値ΣΔQと流量計測機能が付いていない制御弁3の流量の合計値ΣQnmと総流量計15によって計測された流量計測値Qtotalと圧力センサ7から送られてきた冷温水循環ポンプ2の揚程計測値Hとから、冷温水循環ポンプ2の揚程予測値P0を式(16)のように算出する。
一方、コントローラ5のフィードバック制御強さ算出部213は、全てのコントローラ4−1〜4−5、またはコントローラ4−1〜4−5のうち流量計測機能が付いていない制御弁3を制御するコントローラ4から送られてきた制御弁開度信号を取得し、これらの制御弁開度信号が示す制御弁開度φの中から最大の制御弁開度φmaxを式(17)のように選出する。
Power=Kφfull-1−Kφ-1 ・・・(25)
Power=(1/K)・[(K−1)・φfull−(K−1)・φ] ・・・(26)
こうして、制御弁開度差Δφに基づいてフィードバック制御強さPowerを決めることができる。
ΔPstandard=Kn=1000・Power ・・・(27)
ΔPstandard=Kn=100・Power ・・・(28)
次に、コントローラ5の揚程修正値補正部215は、揚程修正値算出部214が算出した冷温水循環ポンプ2の揚程修正値ΔPstandardに、制御対象の制御弁3に対応する重み係数Wを掛けて、冷温水循環ポンプ2の揚程修正値ΔPを算出する。
具体的には、揚程修正値補正部215は、標準のテーブルに予め記録された標準の制御弁の容量係数Cvstandardを分母にして、複数の制御弁3−1〜3−5のうち制御弁開度φが最大である制御弁3の容量係数Cvを分子にして得られた比率Wを、この制御弁3の重み係数にする(式(21))。
コントローラ5の揚程設定値算出部209は、冷温水循環ポンプ2の揚程予測値P0と揚程修正値ΔPとを合算して、冷温水循環ポンプ2の揚程設定値HSPを次式のように算出する。
HSP=P0+ΔP ・・・(30)
あるいは、揚程設定値算出部209は、式(13)のように冷温水循環ポンプ2の揚程設定値HSPを算出してもよい。
回転数制御演算部211は、揚程計測値Hと揚程設定値HSPとが一致するように(すなわち、揚程偏差ΔHが0になるように)冷温水循環ポンプ2の回転数nを算出する。回転数制御装置8は、冷温水循環ポンプ2の回転数がnになるように制御する。
n1=(P1/P2)0.5・n2 ・・・(31)
Claims (4)
- 複数の空調機と、
この複数の空調機への冷温水の供給管路にそれぞれ設けられた複数の制御弁と、
前記複数の空調機が供給する給気の温度、または前記複数の空調機から給気が供給される複数の被制御エリアの室内温度を計測する複数の温度センサと、
前記冷温水を循環させる冷温水循環ポンプと、
前記複数の制御弁の開度を制御する複数の弁開度制御手段と、
前記冷温水循環ポンプの揚程を計測する圧力センサと、
還水管路を通過する冷温水の流量を計測する総流量計と、
前記冷温水循環ポンプの回転数を制御する回転数制御手段とを備え、
前記複数の制御弁には、制御弁を通過する冷温水の流量を計測する流量計測機能付きの制御弁と、流量計測機能が付いていない制御弁とが含まれ、
前記流量計測機能付きの制御弁に対応する前記弁開度制御手段は、
それぞれ対応する空調機が供給する給気の温度と所定の給気温度設定値とが一致するように、または対応する温度センサが計測した室内温度と所定の室内温度設定値とが一致するように流量設定値を算出する流量制御演算手段と、
前記流量の計測値と前記流量設定値とが一致するように制御弁の開度を制御する第1の弁開度制御演算手段とを有し、
前記流量計測機能が付いていない制御弁に対応する前記弁開度制御手段は、
それぞれ対応する空調機が供給する給気の温度と所定の給気温度設定値とが一致するように、または対応する温度センサが計測した室内温度と所定の室内温度設定値とが一致するように制御弁の開度を制御する第2の弁開度制御演算手段を有し、
前記回転数制御手段は、
前記総流量計によって計測された総流量計測値と前記流量計測機能付きの各制御弁で計測された流量計測値の合計値とから前記流量計測機能が付いていない各制御弁の流量の合計値を算出し、前記流量計測機能付きの各制御弁で計測された流量計測値の合計値と前記流量計測機能付きの各制御弁の流量の増量の合計値と前記流量計測機能が付いていない各制御弁の流量の合計値と前記総流量計によって計測された総流量計測値と前記冷温水循環ポンプの揚程計測値とから前記冷温水循環ポンプの揚程予測値を算出する揚程予測値算出手段と、
前記揚程予測値から前記冷温水循環ポンプの揚程設定値を算出する揚程設定値算出手段と、
前記揚程計測値と前記揚程設定値とが一致するように前記冷温水循環ポンプの回転数を制御する回転数制御演算手段とを有することを特徴とする冷温水循環ポンプの回転数制御システム。 - 請求項1記載の冷温水循環ポンプの回転数制御システムにおいて、
前記回転数制御手段は、
さらに、全ての制御弁または前記流量計測機能が付いていない制御弁の制御弁開度の中から最大の制御弁開度を選出し、予め規定された全開開度と最大の制御弁開度との差に基づいてフィードバック制御強さを決めるフィードバック制御強さ決定手段と、
前記フィードバック制御強さに基づいて前記冷温水循環ポンプの揚程修正値を決定する揚程修正値決定手段と、
前記複数の制御弁のうちいずれか1つの制御弁の容量係数に基づいて、前記冷温水循環ポンプの揚程修正値を補正する揚程修正値補正手段とを有し、
前記揚程設定値算出手段は、前記揚程予測値と前記揚程修正値補正手段が補正した揚程修正値とを合算して前記冷温水循環ポンプの揚程設定値を算出することを特徴とする冷温水循環ポンプの回転数制御システム。 - 複数の空調機と、この複数の空調機への冷温水の供給管路にそれぞれ設けられた複数の制御弁と、前記複数の空調機が供給する給気の温度、または前記複数の空調機から給気が供給される複数の被制御エリアの室内温度を計測する複数の温度センサと、前記冷温水を循環させる冷温水循環ポンプと、前記冷温水循環ポンプの揚程を計測する圧力センサと、還水管路を通過する冷温水の流量を計測する総流量計とを備えた空調システムにおいて、前記冷温水循環ポンプの回転数を制御する冷温水循環ポンプの回転数制御方法であって、
前記複数の制御弁の開度を制御する弁開度制御ステップと、
前記冷温水循環ポンプの回転数を制御する回転数制御ステップとを備え、
前記複数の制御弁には、制御弁を通過する冷温水の流量を計測する流量計測機能付きの制御弁と、流量計測機能が付いていない制御弁とが含まれ、
前記流量計測機能付きの制御弁に対応する前記弁開度制御ステップは、
前記空調機が供給する給気の温度と所定の給気温度設定値とが一致するように、または対応する温度センサが計測した室内温度と所定の室内温度設定値とが一致するように流量設定値を前記流量計測機能付きの制御弁毎に算出する流量制御演算ステップと、
前記流量の計測値と前記流量設定値とが一致するように前記流量計測機能付きの制御弁毎にその開度を制御する第1の弁開度制御演算ステップとからなり、
前記流量計測機能が付いていない制御弁に対応する前記弁開度制御ステップは、
前記空調機が供給する給気の温度と所定の給気温度設定値とが一致するように、または対応する温度センサが計測した室内温度と所定の室内温度設定値とが一致するように前記流量計測機能が付いていない制御弁毎にその開度を制御する第2の弁開度制御演算ステップからなり、
前記回転数制御ステップは、
前記総流量計によって計測された総流量計測値と前記流量計測機能付きの各制御弁で計測された流量計測値の合計値とから前記流量計測機能が付いていない各制御弁の流量の合計値を算出し、前記流量計測機能付きの各制御弁で計測された流量計測値の合計値と前記流量計測機能付きの各制御弁の流量の増量の合計値と前記流量計測機能が付いていない各制御弁の流量の合計値と前記総流量計によって計測された総流量計測値と前記冷温水循環ポンプの揚程計測値とから前記冷温水循環ポンプの揚程予測値を算出する揚程予測値算出ステップと、
前記揚程予測値から前記冷温水循環ポンプの揚程設定値を算出する揚程設定値算出ステップと、
前記揚程計測値と前記揚程設定値とが一致するように前記冷温水循環ポンプの回転数を制御する回転数制御演算ステップとからなることを特徴とする冷温水循環ポンプの回転数制御方法。 - 請求項3記載の冷温水循環ポンプの回転数制御方法において、
前記回転数制御ステップは、
さらに、全ての制御弁または前記流量計測機能が付いていない制御弁の制御弁開度の中から最大の制御弁開度を選出し、予め規定された全開開度と最大の制御弁開度との差に基づいてフィードバック制御強さを決めるフィードバック制御強さ決定ステップと、
前記フィードバック制御強さに基づいて前記冷温水循環ポンプの揚程修正値を決定する揚程修正値決定ステップと、
前記複数の制御弁のうちいずれか1つの制御弁の容量係数に基づいて、前記冷温水循環ポンプの揚程修正値を補正する揚程修正値補正ステップとを有し、
前記揚程設定値算出ステップは、前記揚程予測値と前記揚程修正値補正ステップで補正した揚程修正値とを合算して前記冷温水循環ポンプの揚程設定値を算出することを特徴とする冷温水循環ポンプの回転数制御方法。
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