JP5924658B2 - 濃度定量装置、光吸収係数算出方法、等価散乱係数算出方法、濃度定量方法、光吸収係数の算出を行うプログラム及び濃度の算出を行うプログラム - Google Patents
濃度定量装置、光吸収係数算出方法、等価散乱係数算出方法、濃度定量方法、光吸収係数の算出を行うプログラム及び濃度の算出を行うプログラム Download PDFInfo
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Description
本発明にかかるひとつの態様は、観測対象がn層以上の積層構造からなり、第1受光手段若しくは第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμ s ’(t)、第m層の等価散乱係数をμ sm ’、時刻tにおける第m層の平均光路長をL m ’(t)、時刻tにおける第m層の光路長をL m (t)、短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)としたときに、少なくとも所定の時間τ1〜τ2の間の光強度を取得し、下記の(2)式から複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の近似解を算出し、当該等価散乱係数の近似解から生成された、伝搬光路長分布のモデルの前記時刻tにおける前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長の補正値と、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度の補正値と、を取得し、当該光路長の補正値と光強度モデルの補正値とを下記の(2)式に代入して、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の補正値を算出することを前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の真値に収束するまで繰り返し行うことにより、前記任意の層の等価散乱係数を算出することを特徴とする等価散乱係数算出方法である。
本発明にかかるひとつの態様は、コンピュータを、複数の光散乱媒質の層から形成される観測対象に短時間パルス光を照射する照射手段と、前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する第1受光手段と、前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光するとともに、前記観測対象に前記短時間パルス光が照射される照射位置から前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離が前記第1受光手段と異なるように配置された第2受光手段と、前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第1受光手段が受光した光の強度を取得する第1光強度取得手段と、前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第2受光手段が受光した光の強度を取得する第2光強度取得手段と、前記第1光強度取得手段が取得した光強度と前記第2光強度取得手段が取得した光強度とに基づいて、前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数を算出する第1等価散乱係数算出手段と、前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層における伝搬光路長分布のモデルを記憶する光路長分布記憶手段と、前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する時間分解波形記憶手段と、前記光路長分布記憶手段から、前記伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長を取得する光路長取得手段と、前記時間分解波形記憶手段から、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度を取得する光強度モデル取得手段と、前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第1光強度取得及び前記第2光強度取得手段とは異なる第3光強度取得手段が取得した光強度と、前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、に基づいて、任意の層の光吸収係数を算出する光吸収係数算出手段と、として機能させるための光吸収係数の算出を行うプログラムである。
本発明のいくつかの態様は上記の課題を解決するためになされたものであり、複数の光散乱媒質の層から形成される観測対象のうち、任意の層における目的成分の濃度を定量する濃度定量装置であって、前記観測対象に短時間パルス光を照射する照射手段と、前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する第1受光手段と、前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光するとともに、前記観測対象に前記短時間パルス光が照射される照射位置から前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離が前記第1受光手段と異なるように配置された第2受光手段と、前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第1受光手段が受光した光の強度を取得する第1光強度取得手段と、前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第2受光手段が受光した光の強度を取得する第2光強度取得手段と、前記第1光強度取得手段が取得した光強度と前記第2光強度取得手段が取得した光強度とに基づいて、前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数を算出する第1等価散乱係数算出手段と、前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層における伝搬光路長分布のモデルを記憶する光路長分布記憶手段と、前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する時間分解波形記憶手段と、前記光路長分布記憶手段から、前記伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長を取得する光路長取得手段と、前記時間分解波形記憶手段から、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度を取得する光強度モデル取得手段と、前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第1光強度取得手段及び前記第2光強度取得手段とは異なる第3光強度取得手段が取得した光強度と、前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出する光吸収係数算出手段と、前記光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出する濃度算出手段と、を含むことを特徴とする。
図1は、本発明の第1実施形態による血糖値測定装置の構成を示す概略ブロック図である。
血糖値測定装置100(濃度定量装置)は、照射部101(照射手段)、第1受光部102(第1受光手段)、第2受光部103(第2受光手段)、第1計測光強度取得部104(第1光強度取得手段)、第2計測光強度取得部105(第2光強度取得手段)、第1等価散乱係数算出部106(第1等価散乱係数算出手段)、シミュレーション部107、光路長分布記憶部108(光路長分布記憶手段)、時間分解波形記憶部109(時間分解波形記憶手段)、光路長取得部110(光路長取得手段)、無吸収時光強度取得部111(光強度モデル取得手段)、光吸収係数算出部112(光吸収係数算出手段)、成分吸収情報記憶部113、濃度算出部114(濃度算出手段)、濃度単位変換部115、濃度表示部116、を備える。
第2受光部103は、短時間パルス光が皮膚によって後方散乱した光を受光する。第2受光部103は、皮膚に短時間パルス光が照射される照射位置から皮膚によって後方散乱した光を受光する位置までの距離が第1受光部102と異なるように配置されている。
第2計測光強度取得部105は、第2受光部103が受光した光のある時刻における光強度を取得する。
時間分解波形記憶部109は、シミュレーション部107が生成した短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する。
無吸収時光強度取得部111は、時間分解波形記憶部109からある時刻における光強度を取得する。
成分吸収情報記憶部113は、皮膚の主成分の光吸収係数、またはモル吸光係数を予め記憶する。
濃度単位変換部115は、グルコースの濃度の単位を所望の単位に変換する。
濃度表示部116は、グルコースの濃度を表示する。
前記の光強度は、第1計測光強度取得部104、第2計測光強度取得部105とは異なる第3計測光強度取得部が取得した光強度であることもできる。この場合、第3計測光強度取得部は第1計測光強度取得部104と第2計測光強度取得部105の間に配置するのが望ましい。
血糖値測定装置100は、血糖値を測定する前に、予め皮膚の各層における伝搬光路長分布と時間分解波形とを算出する。
また、シミュレーション部107は、光子が次に進む点までの方向θの計算を、(11)式によって行う。
シミュレーション部107は、上記(10)式、(11)式の計算を単位時間毎に繰り返すことにより、照射部101から第1受光部102までの光子の移動経路を算出することができる。シミュレーション部107は、複数の光子について移動距離の算出を行う。例えば、シミュレーション部107は、108個の光子について移動距離を算出する。
図2の横軸は光子の照射からの経過時間を示し、縦軸は光路長の対数表示を示している。シミュレーション部107は、第1受光部102に到達した光子の各々の移動経路を、移動経路が通過する層毎に分類する。そして、シミュレーション部107は、単位時間毎に到達した光子の移動経路の平均長を分類された層毎に算出することで、図2に示すような皮膚の各層の伝搬光路長分布を算出する。
図3の横軸は光子の照射からの経過時間を示し、縦軸は第1受光部102が検出した光子数を示している。シミュレーション部107は、単位時間毎に第1受光部102に到達した光子の個数を算出することで、図3に示すような時間分解波形を算出する。
上述したような処理により、シミュレーション部107は、複数の波長に対して、伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出する。このとき、シミュレーション部107は、皮膚の主成分(水、たんぱく質、脂質、グルコース等)の吸収スペクトルの直交性が高くなる波長について伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出すると良い。
図4の横軸は照射する光の波長を示し、縦軸は光吸収係数を示している。図4を参照すると、グルコースの光吸収係数は、波長が1600nmのときに極大となり、水の光吸収係数は、波長が1450nmのときに極大となる。そのため、シミュレーション部107は、例えば1450nm、1600nmといった皮膚の主成分の吸収スペクトルの直交性が高くなる波長について伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出すると良い。
図5は、第1実施形態に係る血糖値測定装置が血糖値を測定する動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザが血糖値測定装置100を皮膚にあてがい、測定開始スイッチ(図示せず)の押下等によって血糖値測定装置100を動作させると、照射部101は、皮膚に対して波長λ1の短時間パルス光を照射する(ステップS1)。ここで、波長λ1は、シミュレーション部107が伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出した複数の波長の中の1つである。
第2受光部103が受光を完了すると、第2計測光強度取得部105は、第2受光部103の内部メモリに格納されている、異なる時刻tにおける受光強度R(ρ2,t)を照射開始からの所定の時間内に所定の時間分解能にて取得する(ステップS3)。すなわち、第2計測光強度取得部105は、受光強度の時間特性を取得する。
散乱体にインパルス光を入射した際の反射型のインパルス応答Rは、輸送方程式の拡散近似解析解(参考文献:M.S,Patterson,B.Chance and B.C,Wilson,‘‘Time resolved reflectance and transmittance for the noninvasive measurement of tissue optical properties,’’Appl.Opt.,28,12,2331-6,1989)より、入射点からの距離ρ、時刻tの関数として、下記の(13)式で与えられる。
但し、自然対数をln(・)、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)、前記受光手段が時刻tにおいて受光した光強度をR(t)、第m層の光吸収係数をμam、前記伝搬光路長分布のモデルの時刻tにおける第m層の光路長をLm(t)、入射光子数をNin、入射光強度をIinとする。
なお、上記の(5)式は一般式である。(5)式を、本実施形態における4つの波長に適用するよう変形すると下記の(19)式となる。
なお、上記の(6)式は一般式である。(6)式を、本実施形態における三層構造に適用するよう変形すると下記の(20)式となる。
次に、本発明の第2実施形態について詳しく説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態による血糖値測定装置100と同じ構成であり、各計測光強度取得部104,105、第1等価散乱係数算出部106、光路長取得部110、無吸収時光強度取得部111、光吸収係数算出部112の動作が異なる。
まず、血糖値測定装置100を動作させると、照射部101は、皮膚に対して波長λ1の短時間パルス光を照射する(ステップS11)。ここで、波長λ1は、シミュレーション部107が伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出した複数の波長の中の1つである。
次に、本発明の第3実施形態について詳しく説明する。
第3実施形態に係る血糖値測定装置200は、第1実施形態に係る血糖値測定装置100と基本的な構成は同じであり、さらに第2等価散乱係数算出部117を備える点が異なる。その他の構成は、第1実施形態の構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
血糖値測定装置200(濃度定量装置)は、照射部101(照射手段)、第1受光部102(第1受光手段)、第2受光部103(第2受光手段)、第1計測光強度取得部104(第1光強度取得手段)、第2計測光強度取得部105(第2光強度取得手段)、第1等価散乱係数算出部106(第1等価散乱係数算出手段)、シミュレーション部107、光路長分布記憶部108(光路長分布記憶手段)、時間分解波形記憶部109(時間分解波形記憶手段)、光路長取得部110(光路長取得手段)、無吸収時光強度取得部111(光強度モデル取得手段)、第2等価散乱係数算出部117(第2等価散乱係数算出手段)、光吸収係数算出部112(光吸収係数算出手段)、成分吸収情報記憶部113、濃度算出部114(濃度算出手段)、濃度単位変換部115、濃度表示部116、を備える。
前記の光強度は、第1計測光強度取得部104、第2計測光強度取得部105とは異なる第3計測光強度取得部が取得した光強度であることもできる。この場合、第3計測光強度取得部は第1計測光強度取得部104と第2計測光強度取得部105の間に配置するのが望ましい。
図8は、第3実施形態に係る血糖値測定装置が血糖値を測定する動作を示すフローチャートである。
まず、ユーザが血糖値測定装置200を皮膚にあてがい、測定開始スイッチ(図示せず)の押下等によって血糖値測定装置200を動作させると、照射部101は、皮膚に対して波長λ1の短時間パルス光を照射する(ステップS21)。ここで、波長λ1は、シミュレーション部107が伝搬光路長分布及び時間分解波形を算出した複数の波長の中の1つである。
第2受光部103が受光を完了すると、第2計測光強度取得部105は、第2受光部103の内部メモリに格納されている、異なる時刻tにおける受光強度R(ρ2,t)を照射開始からの所定の時間内に所定の時間分解能にて取得する(ステップS23)。すなわち、第2計測光強度取得部105は、受光強度の時間特性を取得する。
対象散乱体を深さ方向に任意のn層に分割して考える。各層の等価散乱係数をμsm’(m=1,2,・・・n)とすると、上記の(1)式により得られるμs’(t)は、各層の等価散乱係数の影響をある重みに応じて受けているはずである。また、その重みは光子が各層を通る光路長に依存すると考えられる。よって、上記の(1)式により得られるμs’(t)は、各光子の第m番目の層の平均光路長Lm’(t)を用いて下記の(22)式に近似できると考えられる。
等価散乱係数の推定においては、精度の必要度合い(小数点以下何桁目まで必要か)によって収束の判断を都度変えるとよい。
得られた等価散乱係数を、さらに光吸収係数や目的成分の濃度の算出に用いる場合について具体例を挙げる。
血糖値測定測定に応用することを想定し、単純なグルコース水溶液について考えると、光吸収係数は0.00001/mmオーダーで求める必要がある。
例えば、特許文献(特開2010−237139)の(1)式を均一モデルに適用した下記の(23)式を用いて光吸収係数を求める場合を考える。等価散乱係数を求める収束演算にて算出されるN(t)、L1(t)を下記の(23)に代入するとμa1が得られる。したがって、繰り返し計算をする際の打ち切り判断については、計算結果のμa1の小数点以下5桁目の数字が繰り返し計算の数回から10回程度にわたって変動しない場合には、結果が必要な範囲で収束したと判断できる。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、濃度定量方法を血糖値測定装置100に実装し、皮膚の真皮層に含まれるグルコースの濃度を測定する場合を説明したが、これに限られず、濃度定量方法を、複数の光散乱媒質の層から形成される観測対象の任意の層における目的成分の濃度を定量する他の装置に用いても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
Claims (23)
- 複数の光散乱媒質の層から形成される観測対象のうち、任意の層における目的成分の濃度を定量する濃度定量装置であって、
前記観測対象に短時間パルス光を照射する照射手段と、
前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する第1受光手段と、
前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光するとともに、前記観測対象に前記短時間パルス光が照射される照射位置から前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離が前記第1受光手段と異なるように配置された第2受光手段と、
前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第1受光手段が受光した光の強度を取得する第1光強度取得手段と、
前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第2受光手段が受光した光の強度を取得する第2光強度取得手段と、
前記第1光強度取得手段が取得した光強度と前記第2光強度取得手段が取得した光強度とに基づいて、前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数を算出する第1等価散乱係数算出手段と、
前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層における伝搬光路長分布のモデルを記憶する光路長分布記憶手段と、
前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する時間分解波形記憶手段と、
前記光路長分布記憶手段から、前記伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長を取得する光路長取得手段と、
前記時間分解波形記憶手段から、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度を取得する光強度モデル取得手段と、
前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第1光強度取得手段及び前記第2光強度取得手段とは異なる第3光強度取得手段が取得した光強度と、前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出する光吸収係数算出手段と、
前記光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出する濃度算出手段と、
を含むことを特徴とする濃度定量装置。 - 前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμs’(t)、散乱体中での光の速度をc、前記観測対象に前記短時間パルス光が照射される照射位置から前記第1受光手段が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離をρ1、前記照射位置から前記第2受光手段が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離をρ2、前記第1光強度取得手段が時刻tにおいて取得した光強度をR(ρ1,t)、前記第2光強度取得手段が時刻tにおいて取得した光強度をR(ρ2,t)としたときに、
前記第1等価散乱係数算出手段は、下記の(1)式から前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の濃度定量装置。
- 前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、に基づいて、前記任意の層の等価散乱係数を算出する第2等価散乱係数算出手段を備え、
前記光吸収係数算出手段は、前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段が取得した光強度と、前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、前記第2等価散乱係数算出手段が算出した前記任意の層の等価散乱係数と、に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の濃度定量装置。 - 前記観測対象がn層以上の積層構造からなり、
前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμs’(t)、第m層の等価散乱係数をμsm’、時刻tにおける第m層の平均光路長をLm’(t)、時刻tにおける第m層の光路長をLm(t)、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)としたときに、
前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段は、少なくとも所定の時間τ1〜τ2の間の光強度を取得し、
前記第2等価散乱係数算出手段は、下記の(2)式から前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の近似解を算出し、当該等価散乱係数の近似解から生成された、伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長の補正値と、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度の補正値と、を取得し、当該光路長の補正値と当該光強度モデルの補正値とを下記の(2)式に代入して、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の補正値を算出することを前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の真値に収束するまで繰り返し行うことにより、前記任意の層の等価散乱係数を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の濃度定量装置。
- 前記観測対象がn層以上の積層構造からなり、
前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)、前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段が時刻tにおいて取得した光強度をR(t)、第m層の光吸収係数をμam、前記伝搬光路長分布のモデルの時刻tにおける第m層の光路長をLm(t)、入射光子数をNin、入射光強度をIinとしたときに、
前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段は、複数の時刻t1〜tmにおける光強度を取得し、
前記光吸収係数算出手段は、下記の(3)式から前記任意の層の光吸収係数を算出する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の濃度定量装置。
- 前記観測対象がn層以上の積層構造からなり、
前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)、前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段が時刻tにおいて取得した光強度をR(t)、第m層の光吸収係数をμam、前記伝搬光路長分布のモデルの時刻tにおける第m層の光路長をLm(t)、入射光子数をNin、入射光強度をIinとしたときに、
前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段は、所定の時刻から少なくとも所定の時間τ1〜τ2の間の光強度を取得し、
前記光吸収係数算出手段は、下記の(4)式から前記任意の層の光吸収係数を算出する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の濃度定量装置。
- 前記濃度算出手段は、前記任意の層における前記光吸収係数に基づいて、多変量解析を用いて特性が既知であるものを測定した値から検量線作成をして、未知測定対象の測定値を検量線に照合することで前記任意の層における前記目的成分の濃度を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の濃度定量装置。
- 前記観測対象が皮膚であり、前記任意の層が真皮層であるときに、当該真皮層に含まれるグルコースの濃度を定量することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の濃度定量装置。
- 複数の光散乱媒質の層から形成される観測対象のうち、任意の層における光吸収係数を算出する光吸収係数算出方法であって、
照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光の強度、第1受光手段若しくは第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数、任意の時刻における前記等価散乱係数に基づいて生成された前記複数の光散乱媒質の層の各々の層における伝搬光路長分布のモデル、任意の時刻における前記等価散乱係数に基づいて生成された前記短時間パルス光の時間分解波形のモデル、前記伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度、を取得する第1の工程と、
前記第1の工程で取得した光強度、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長、光強度モデル、に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出する第2の工程と、
を有することを特徴とする光吸収係数算出方法。 - 第1受光手段若しくは第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμs’(t)、散乱体中での光の速度をc、前記観測対象に前記短時間パルス光が照射される照射位置から前記第1受光手段が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離をρ1、前記照射位置から前記第2受光手段が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離をρ2 、時刻tにおいて取得した光強度をR(ρ1,t)、時刻tにおいて取得した光強度をR(ρ2,t)としたときに、
前記第1の工程において、下記の(1)式から前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数を算出する、
ことを特徴とする請求項11に記載の光吸収係数算出方法。
- 前記第1の工程において、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長、前記光強度モデル、に基づいて、前記任意の層の等価散乱係数を取得し、
前記第2の工程において、前記第1の工程で取得した光強度、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長、前記光強度モデル、前記任意の層の前記等価散乱係数、に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出することを特徴とする請求項11または12に記載の光吸収係数算出方法。 - 前記観測対象がn層以上の積層構造からなり、
前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμs’(t)、第m層の等価散乱係数をμsm’、時刻tにおける第m層の平均光路長をLm’(t)、時刻tにおける第m層の光路長をLm(t)、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)としたときに、
前記第1の工程において、少なくとも所定の時間τ1〜τ2の間の光強度を取得し、
下記の(2)式から前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の近似解を算出し、当該等価散乱係数の近似解から生成された、伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長の補正値と、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度の補正値と、を取得し、当該光路長の補正値と当該光強度モデルの補正値とを下記の(2)式に代入して、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の補正値を算出することを前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の真値に収束するまで繰り返し行うことにより、前記任意の層の等価散乱係数を算出する、
ことを特徴とする請求項13に記載の光吸収係数算出方法。
- 観測対象がn層以上の積層構造からなり、
第1受光手段若しくは第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμs’(t)、第m層の等価散乱係数をμsm’、時刻tにおける第m層の平均光路長をLm’(t)、時刻tにおける第m層の光路長をLm(t)、短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)としたときに、
少なくとも所定の時間τ1〜τ2の間の光強度を取得し、
下記の(2)式から複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の近似解を算出し、当該等価散乱係数の近似解から生成された、伝搬光路長分布のモデルの前記時刻tにおける前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長の補正値と、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度の補正値と、を取得し、当該光路長の補正値と光強度モデルの補正値とを下記の(2)式に代入して、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の補正値を算出することを前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の真値に収束するまで繰り返し行うことにより、前記任意の層の等価散乱係数を算出することを特徴とする等価散乱係数算出方法。
- 請求項11から14のいずれか一項に記載の第2の工程で算出した光吸収係数に基づいて、前記任意の層における目的成分の濃度を算出することを特徴とする濃度定量方法。
- 前記観測対象が皮膚であり、前記任意の層が真皮層であるときに、当該真皮層に含まれるグルコースの濃度を定量することを特徴とする請求項16に記載の濃度定量方法。
- コンピュータを、複数の光散乱媒質の層から形成される観測対象に短時間パルス光を照射する照射手段と、
前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する第1受光手段と、
前記短時間パルス光が前記観測対象によって後方散乱した光を受光するとともに、前記観測対象に前記短時間パルス光が照射される照射位置から前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離が前記第1受光手段と異なるように配置された第2受光手段と、
前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第1受光手段が受光した光の強度を取得する第1光強度取得手段と、
前記照射手段が短時間パルス光を照射した時刻以降の所定の時刻において前記第2受光手段が受光した光の強度を取得する第2光強度取得手段と、
前記第1光強度取得手段が取得した光強度と前記第2光強度取得手段が取得した光強度とに基づいて、前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数を算出する第1等価散乱係数算出手段と、
前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層における伝搬光路長分布のモデルを記憶する光路長分布記憶手段と、
前記第1等価散乱係数算出手段が算出した任意の時刻における等価散乱係数に基づいて生成された、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルを記憶する時間分解波形記憶手段と、
前記光路長分布記憶手段から、前記伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長を取得する光路長取得手段と、
前記時間分解波形記憶手段から、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度を取得する光強度モデル取得手段と、
前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第1光強度取得及び前記第2光強度取得手段とは異なる第3光強度取得手段が取得した光強度と、前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、に基づいて、任意の層の光吸収係数を算出する光吸収係数算出手段と、
として機能させるための光吸収係数の算出を行うプログラム。 - 前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμs’(t)、散乱体中での光の速度をc、前記観測対象に前記短時間パルス光が照射される照射位置から前記第1受光手段が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離をρ1、前記照射位置から前記第2受光手段が前記観測対象によって後方散乱した光を受光する位置までの距離をρ2、前記第1光強度取得手段が時刻tにおいて取得した光強度をR(ρ1,t)、前記第2光強度取得手段が時刻tにおいて取得した光強度をR(ρ2,t)としたときに、
前記第1等価散乱係数算出手段は、下記の(1)式から前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数を算出する、
ことを特徴とする請求項18に記載の光吸収係数の算出を行うプログラム。
- コンピュータを、前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、に基づいて、前記任意の層の等価散乱係数を算出する第2等価散乱係数算出手段、
として機能させ、
前記光吸収係数算出手段は、前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段が取得した光強度と、前記光路長取得手段が取得した前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長と、前記光強度モデル取得手段が取得した光強度モデルと、前記第2等価散乱係数算出手段が算出した前記任意の層の等価散乱係数と、に基づいて、前記任意の層の光吸収係数を算出することを特徴とする請求項18または19に記載の光吸収係数の算出を行うプログラム。 - 前記観測対象がn層以上の積層構造からなり、
前記第1受光手段若しくは前記第2受光手段が受光した光の伝搬光路の等価散乱係数をμs’(t)、第m層の等価散乱係数をμsm’、時刻tにおける第m層の平均光路長をLm’(t)、時刻tにおける第m層の光路長をLm(t)、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの時刻tにおける光強度をN(t)としたときに、
前記第1光強度取得手段または前記第2光強度取得手段、若しくは前記第3光強度取得手段は、少なくとも所定の時間τ1〜τ2の間の光強度を取得し、
前記第2等価散乱係数算出手段は、下記の(2)式から前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の近似解を算出し、当該等価散乱係数の近似解から生成された、伝搬光路長分布のモデルの前記所定の時刻における前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の光路長の補正値と、前記短時間パルス光の時間分解波形のモデルの前記所定の時刻における光の強度の補正値と、を取得し、当該光路長の補正値と当該光強度モデルの補正値とを下記の(2)式に代入して、前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の補正値を算出することを前記複数の光散乱媒質の層の各々の層の等価散乱係数の真値に収束するまで繰り返し行うことにより、前記任意の層の等価散乱係数を算出する、
ことを特徴とする請求項20に記載の光吸収係数の算出を行うプログラム。
- 請求項18から21のいずれか一項に記載の光吸収係数算出手段が算出した光吸収係数に基づいて、コンピュータを、前記任意の層における目的成分の濃度を算出する濃度算出手段として機能させるための濃度の算出を行うプログラム。
- 前記観測対象が皮膚であり、前記任意の層が真皮層であるときに、当該真皮層に含まれるグルコースの濃度を定量することを特徴とする請求項22に記載の濃度の算出を行うプログラム。
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