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JP5923370B2 - 樹脂改質用添加剤及びその製造方法 - Google Patents

樹脂改質用添加剤及びその製造方法 Download PDF

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JP5923370B2 JP2012084515A JP2012084515A JP5923370B2 JP 5923370 B2 JP5923370 B2 JP 5923370B2 JP 2012084515 A JP2012084515 A JP 2012084515A JP 2012084515 A JP2012084515 A JP 2012084515A JP 5923370 B2 JP5923370 B2 JP 5923370B2
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Description

本発明は、樹脂改質用添加剤に関する。この樹脂改質用添加剤は、セルロースナノファイバー複合成形体の製造に好適に用いられる。
微細なセルロール繊維を樹脂と複合化させて、該樹脂を強化させる技術が知られている。例えば特許文献1においては、樹脂とミクロフィブリル化セルロース(以下「MFC」とも言う。)とから構成されるMFC/樹脂複合材が提案されている。この複合材においては、凝集せずに解繊されたMFCが空隙を有するように均一に分散しており、空隙内に樹脂粒子を含有している。
特許文献2には、天然セルロースに、N−オキシル化合物及び共酸化剤を作用させることにより得られる反応物繊維を、有機オニウム化合物で処理して微細修飾セルロース繊維を製造し、この微細修飾セルロース繊維をエポキシ樹脂に加えて硬化処理してエポキシ樹脂コンポジットを得ることが提案されている。
また特許文献3には、カルボキシル基含有量が0.1〜2mmol/gであるセルロースから構成されるセルロース繊維と樹脂エマルションを含む皮膜形成剤が提案されている。
特開2009−107155号公報 特開2010−059304号公報 特開2009−197122号公報
特許文献1に記載のMFC/樹脂複合材においては、MFCがカルボキシル基のような静電反発力を有さないことに起因して、その製造時に水を除去するときに通常の乾燥を行うことができない。通常の乾燥を行うと、MFCどうしの凝集が起こってしまうからである。したがって樹脂中でMFCが均一に分散しづらい。その結果、MFCによる樹脂の強化を行うためには、MFCを多量に含有させる必要がある。
特許文献2に記載のエポキシ樹脂コンポジットにおいては、エポキシ樹脂と微細セルロース繊維との相溶性が低いことに起因して、複合化に際しては有機オニウム化合物を用いて該セルロース繊維を親油化する必要がある。親油化が十分でない場合には、エポキシ樹脂中における該セルロース繊維の分散が均一とならず、エポキシ樹脂の強化を十分に行うことができない。
特許文献3に記載の皮膜形成剤によれば高強度の皮膜を形成することができるが、同文献においては樹脂改質用添加剤及び複合成形体としての効果は言及されていない。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る樹脂改質用添加剤を提供することにある。
本発明は、天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させることで得られるセルロースナノファイバー及び/又は該セルロースナノファイバーの誘導体と、樹脂粒子とを含む樹脂改質用添加剤を提供するものである。
また本発明は、前記の樹脂改質用添加剤の好適な製造方法として、天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させることで得られるセルロースナノファイバー及び/又は該セルロースナノファイバーの誘導体と樹脂粒子と液媒体とを含むエマルションを調製し、次いで該エマルションから乾燥によって該液媒体を除去する工程を有する樹脂改質用添加剤の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、前記の樹脂改質用添加剤と、熱可塑性樹脂とを溶融混練し、溶融成形する工程を有するセルロースナノファイバー複合成形体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、セルロースナノファイバーが樹脂中に高度に分散したセルロースナノファイバー複合成形体の製造に好適に用いられる樹脂改質用添加剤が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の樹脂改質用添加剤は、天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させることで得られるセルロースナノファイバー及び/又は該セルロースナノファイバーの誘導体(以下、これらを総称して単に「セルロースナノファイバー」とも言う。)と、樹脂粒子を含んでいる。本発明の樹脂改質用添加剤は、典型的には樹脂粒子の表面にセルロースナノファイバーが存在した状態になっている。この状態は、本発明における複合化の一態様である。本発明の樹脂改質用添加剤は、外観上は粒子の形態をとる。場合によっては、セルロースナノファイバーと樹脂粒子が複合化されたペレットのような塊状又は板状の形態でも構わない。樹脂粒子の表面におけるセルロースナノファイバーの状態を直接観察することは困難であるが、本発明者らは、セルロースナノファイバーは、樹脂粒子の表面において均一分散していると考えている。このような複合化の状態となっている樹脂改質用添加剤をマスターバッチとして製造し、該マスターバッチを他の成形用樹脂とともに溶融混練し、溶融成形を行い、樹脂成形体を製造する。得られた樹脂成形体は、セルロースナノファイバーと樹脂との複合成形体(以下「セルロースナノファイバー複合成形体」又は単に「複合成形体」と言う。)となっている。該複合成形体においては、セルロースナノファイバーが該複合成形体中に均一分散している。その結果、該複合成形体は、セルロースナノファイバーによって強化されて、強度が向上している。セルロースナノファイバーによる強化は、セルロースナノファイバーが該複合成形体中に均一分散していることに起因して、少量のセルロースナノファイバーの使用で達成される。
樹脂改質用添加剤におけるセルロースナノファイバーと樹脂粒子との割合は、樹脂粒子の表面にセルロースナノファイバーが均一に分散できる限り特に制限はない。本発明者らの検討の結果、セルロースナノファイバーと樹脂粒子との割合は広い範囲から選択可能であることが判明した。具体的には樹脂改質用添加剤におけるセルロースナノファイバーの割合は、好ましくは0.1〜99質量%、更に好ましくは1〜50質量%、一層好ましくは2〜10質量%である。一方、樹脂改質用添加剤における樹脂の割合は、好ましくは1〜99.9質量%、更に好ましくは50〜99質量%、一層好ましくは90〜98質量%である。樹脂改質用添加剤におけるセルロースナノファイバーの割合及び樹脂粒子の割合は、例えば熱重量分析やX線回折分析などで測定できる。具体的には、樹脂粒子がポリエチレンである場合、ポリエチレンの窒素雰囲気中での熱分解温度約400℃に対し、セルロースナノファイバーの熱分解温度は約200〜300℃であるため、熱重量分析を用いてセルロースナノファイバーの分解重量を測定することによって前記の割合を算出できる。
樹脂改質用添加剤に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のどちらを用いてもよい。成形の自由度が高い点からは、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、これまでに知られている溶融成形可能な熱可塑性樹脂を特に制限なく用いることができる。例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ乳酸、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、天然ゴム、合成ゴムなどを用いることができる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上の樹脂を組み合わせて用いる場合には、それらの異なる樹脂の樹脂粒子の混合物又は異なる樹脂が溶融ブレンド物又は共重合物の樹脂粒子として用いることができる。特に後述する方法でセルロースナノファイバー複合成形体とした時の、セルロースナノファイバーの分散性や、複合成型体の強度向上の点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸及びポリウレタンを用いることが好ましい。
上述した樹脂は粒子の形態で用いられる。この粒子の平均粒径は、0.01〜500μm、特に0.1〜10μmであることが好ましい。この範囲の平均粒径を採用することで、後述する樹脂改質用添加剤の製造方法において樹脂粒子を首尾良くエマルションにすることができるからである。樹脂粒子の平均粒径は、次の方法で測定される。レーザー回折式粒度分布計(SALD−300V、解析ソフトWingSALD−300V、島津製作所製)を用いて粒度分布を測定する。あらかじめエマルション化した樹脂はイオン交換水で適当な濃度に調整した後、粒度分布からメディアン径を測定して、これを平均粒径とする。また水に分散していない樹脂粒子は、セルロースナノファイバー水分散液と混合してエマルション化した後に、同様にメディアン径を測定して、これを平均粒径とする。屈折率はすべて1.5とする。なお、本発明の樹脂改質用添加剤において、樹脂粒子の表面に存在するセルロースナノファイバーは、該樹脂粒子を薄く被覆するものであるから、樹脂改質用添加剤の粒径は、その原料である樹脂粒子の粒径と実質的に同じである。
樹脂改質用添加剤及びその原料となる樹脂粒子の形状に特に制限はなく、各種の形状のものを用いることができる。後述する樹脂改質用添加剤の製造方法において樹脂粒子を首尾良くエマルションにすることができる観点からは、略球形の粒子を用いることが好ましい。
原料となる樹脂粒子はあらかじめ分散媒に分散されてエマルション化されたものでもよいし、粉末状でも構わない。粉末状の樹脂粒子を用いる場合、後述する樹脂改質用添加剤の製造方法において、樹脂粒子を首尾良くエマルションにするために、界面活性剤や分散剤等を用いても構わない。
樹脂粒子の表面に存在するセルロースナノファイバーは、平均繊維径が好ましくは200nm以下という微細なものであり、更に好ましくは1〜200nm、一層好ましくは1〜100nm、更に一層好ましくは1〜50nmのものである。平均繊維径が200nm以下のセルロースナノファイバーを用いることで、樹脂の強化を効果的に行うことができる。平均繊維径は以下の方法によって測定される。
<平均繊維径の測定方法>
固形分濃度で0.001質量%のセルロースナノファイバーの水分散液を調製する。この分散液を、マイカ(雲母)上に滴下して乾燥したものを観察試料とする。原子間力顕微鏡(NanoNaVi IIe, SPA400,エスアイアイナノテクノロジー(株)製、プローブは同社製のSI−DF40Alを使用。)を用いて、観察試料中のセルロースナノファイバーの繊維高さを測定する。セルロースナノファイバーが確認できる顕微鏡画像において、セルロースナノファイバーを5本以上抽出し、それらの繊維高さから平均繊維径を算出する。
本発明で用いるセルロースナノファイバーは、後述する天然セルロース繊維をミクロフィブリルと呼ばれる構造単位まで微細化したものである。ミクロフィブリルの形状は原料によって様々であるが、多くの天然セルロース繊維においては、セルロース分子鎖が数十本集まって結晶化した矩形の断面構造を有する。例えば高等植物の細胞壁中のミクロフィブリルは、セルロース分子鎖が6本×6本集まった正方形の断面構造である。したがって、原子間力顕微鏡像で得られるセルロースナノファイバーの高さを便宜的に繊維径として用いた。
セルロースナノファイバーは、微細であることに加え、天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させることで得られるものであることによっても特徴付けられる。このような方法によって得られたセルロースナノファイバーを用いることで、上述の微細な繊維径を容易に達成することができる。特に、セルロースナノファイバーを構成するセルロースのカルボキシル基含有量が好ましくは0.1〜3mmol/gであり、更に好ましくは0.4〜2mmol/gであり、一層好ましくは0.6〜1.8mmol/gであり、更に一層好ましくは0.6〜1.6mmol/gであると、上述の微細な繊維径を一層容易に達成することができる。
天然セルロース繊維の生合成の過程においては、通常、ミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構築しているところ、本発明で用いるセルロースナノファイバーは、これを原理的に利用して得られるものであり、天然由来のセルロース固体原料においてミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めるために、N−オキシル化合物を作用させることでミクロフィブリル表面の水酸基の一部を酸化し、カルボキシル基に変換することによって得られる。したがって、セルロースに存在するカルボキシル基の量の総和(カルボキシル基含有量)が多い方が、より微小な繊維径として安定に存在することができる。また水中においては、電気的な反発力が生じることにより、ミクロフィブリルが凝集を維持せずにばらばらになろうとする傾向が高まり、ナノファイバーの分散安定性がより増大する。カルボキシル基含有量は、以下の方法によって測定される。
<カルボキシル基含有量の測定方法>
乾燥質量0.5gのセルロースナノファイバーを100mlビーカーにとり、イオン交換水を加えて全体で55mlとし、そこに0.01M塩化ナトリウム水溶液5mlを加えて分散液を調製し、セルロース繊維が十分に分散するまで該分散液を攪拌する。この分散液に0.1M塩酸を加えてpHを2.5〜3に調整する。自動滴定装置(AUT−50、東亜ディーケーケー(株)製)を用い、0.05M水酸化ナトリウム水溶液を待ち時間60秒の条件で該分散液に滴下する。1分ごとの電導度及びpHの値を測定し、pH11程度になるまで測定を続け、電導度曲線を得る。この電導度曲線から、水酸化ナトリウム滴定量を求め、次式にしたがいセルロースナノファイバーのカルボキシル基含有量を算出する。
カルボキシル基含有量(mmol/g)=水酸化ナトリウム滴定量(ml)×水酸化ナトリウム水溶液濃度(0.05M)/セルロース繊維の質量(0.5g)
また、N−オキシル化合物を作用させることでカルボキシル基含有量が上述の範囲となったセルロースナノファイバーに対して変性処理を施すことで得られるナノファイバー誘導体も本発明において好適に用いられる。この誘導体は、セルロースのカルボキシル基含有量が、前記の範囲外である場合があるが、該誘導体が生成するまでの過程において、セルロースのカルボキシル基含有量が前記の範囲内である状態を経ているので、微細な繊維径を容易に達成することができる。なお、天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させることで得られるセルロースナノファイバーと、該セルロースナノファイバーの誘導体とは、どちらか一方を用いることもでき、両者を併用することもできる。
セルロースナノファイバーは、その長さに特に制限はない。繊維長を平均アスペクト比(繊維長/繊維径)で表すと、好ましくは10〜1000、更に好ましくは10〜500、一層好ましくは100〜350である。平均アスペクト比は以下の方法によって測定される。
<平均アスペクト比の測定方法>
セルロースナノファイバーに水を加えて調製した分散液(セルロースナノファイバーの濃度0.005〜0.04質量%)の粘度から算出する。分散液の粘度は、レオメーター(MCR、DG42(二重円筒)、PHYSICA社製)を用いて20℃で測定する。分散液のセルロースナノファイバーの質量濃度と分散液の水に対する比粘度との関係から、以下の式(1)を用いてセルロースナノファイバーのアスペクト比を逆算し、これを平均アスペクト比とする。式(1)は、The Theory of Polymer Dynamics,M.DOI and D.F.EDWARDS,CLARENDON PRESS・OXFORD,1986,p312に記載の剛直棒状分子の粘度式(8.138)と、Lb2×ρ=M/NAの関係〔式中、Lは繊維長、bは繊維幅(セルロースナノファイバーの断面は正方形とする)、ρはセルロースナノファイバーの濃度(kg/m3)、Mは分子量、NAはアボガドロ数を表す〕から導出される。なお粘度式(8.138)において、剛直棒状分子=セルロースナノファイバーとした。また、式(1)中、ηSPは比粘度、πは円周率、lnは自然対数、Pはアスペクト比(L/b)、γ=0.8、ρSは分散媒の密度(kg/m3)、ρ0はセルロース結晶の密度(kg/m3)、Cはセルロースの質量濃度(C=ρ/ρS)を表す。
Figure 0005923370
セルロースナノファイバーは、例えば天然セルロース繊維を酸化して反応物繊維を得る酸化反応工程、及び該反応物繊維を微細化処理する微細化工程を含む製造方法により得ることができる。酸化反応工程では、まず、水中に天然セルロース繊維を分散させたスラリーを調製する。スラリーは、原料となる天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して約10〜1000倍量(質量基準)の水を加え、ミキサー等で処理することにより得られる。天然セルロース繊維としては、例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ等の木材パルプ;コットンリンター、コットンリントのような綿系パルプ;麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ;バクテリアセルロース等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。天然セルロース繊維は、叩解等の表面積を高める処理が施されていてもよい。
次に、N−オキシル化合物を酸化触媒として用い、水中において天然セルロース繊維を酸化処理して反応物繊維を得る。N−オキシル化合物としては、例えば2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−フォスフォノオキシ−TEMPO等を用いることができる。N−オキシル化合物の添加は触媒量で十分であり、通常、原料として用いた天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して0.1〜10質量%となる範囲である。
天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化剤(例えば、次亜ハロゲン酸又はその塩、亜ハロゲン酸又はその塩、過ハロゲン酸又はその塩、過酸化水素、過有機酸等)と、共酸化剤(例えば、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属)とを併用する。酸化剤としては、特に、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。酸化剤の使用量は、通常、原料として用いた天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して約1〜100質量%となる範囲である。また、共酸化剤の使用量は、通常、原料として用いた天然セルロース繊維(絶対乾燥基準)に対して約1〜30質量%となる範囲である。
天然セルロース繊維の酸化処理においては、酸化反応を効率良く進行させる観点から、反応液(前記スラリー)のpHが9〜12の範囲に維持されることが望ましい。また、酸化処理の温度(前記スラリーの温度)は、1〜50℃において任意であるが、室温で反応可能であり、特に温度制御は必要としない。反応時間は1〜240分間が望ましい。
酸化反応工程後、微細化工程前に精製工程を実施し、未反応の酸化剤や各種副生成物等の、前記スラリー中に含まれる反応物繊維及び水以外の不純物を除去する。反応物繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散していないため、精製工程では、例えば水洗とろ過を繰り返す精製法を行うことができる。その際に用いる精製装置は特に制限されない。こうして得られた精製処理された反応物繊維は、通常、適量の水を含浸させた状態で次工程(微細化工程)に送られるが、必要に応じ、乾燥処理した繊維状や粉末状としてもよい。
微細化工程では、精製工程を経た反応物繊維を水等の溶媒中に分散させ微細化処理を施す。この微細化工程を経ることにより、平均繊維径及び平均アスペクト比がそれぞれ前記範囲にあるセルロースナノファイバーが得られる。
微細化処理において、分散媒としての溶媒は通常は水が好ましいが、水以外にも目的に応じて水に可溶な有機溶媒(アルコール類、エーテル類、ケトン類等)を使用してもよく、これらの混合物も好適に使用できる。微細化処理で使用する分散機としては、例えば、離解機、叩解機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、短軸押出機、二軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。微細化処理における反応物繊維の固形分濃度は50質量%以下が好ましい。
微細化工程後に得られるセルロースナノファイバーは、必要に応じ、固形分濃度を調整した分散液状の形態(目視的に無色透明又は不透明な液)、あるいは乾燥処理した粉末状の形態(ただし、セルロース繊維が凝集した粉末状であり、セルロース粒子を意味するものではない)とすることができる。分散液状にする場合、分散媒として水のみを使用してもよく、あるいは水と他の有機溶媒(例えば、エタノール等のアルコール類)や界面活性剤、酸、塩基等との混合溶媒を使用してもよい。
以上のとおりの天然セルロース繊維の酸化処理及び微細化処理によって、セルロース構成単位のC6位の水酸基がアルデヒド基を経由してカルボキシル基へと選択的に酸化され、カルボキシル基含有量が好ましくは0.1〜3mmol/gのセルロースからなり、平均繊維径が好ましくは200nm以下の微細化された高結晶性セルロース繊維を容易に得ることができる。この高結晶性セルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有している。これは、本発明で用いる微細セルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料が表面酸化され微細化された繊維であることを意味する。すなわち、天然セルロース繊維は、その生合成の過程において生産されるミクロフィブリルと呼ばれる微細な繊維が多束化して高次な固体構造を構築しているところ、そのミクロフィブリル間の強い凝集力(表面間の水素結合)を、前記の酸化処理によるアルデヒド基あるいはカルボキシル基の導入によって弱め、更に前記の微細化処理を経ることで、微細セルロース繊維が得られる。そして、酸化処理の条件を調整することで、カルボキシル基含有量を所定の範囲内にて増減させて極性を変化させることができ、またカルボキシル基の静電反発や微細化処理によって、セルロース繊維の平均繊維径、平均繊維長、平均アスペクト比等を制御することができる。
このようにして得られたセルロースナノファイバー表面におけるカルボキシル基に対して変性処理を行ってセルロースナノファイバー誘導体を得てもよい。セルロースナノファイバーのカルボキシル基に対する変性処理の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基などのアルキル基とのカルボン酸エステル化又はカルボン酸アミド化などが挙げられる。
またセルロースナノファイバーのカルボキシル基に対する変性処理の例として、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、オクタデシルアミンなど、炭素数1〜18の同一の又は異なるアルキル基を有する第一〜三級アルキルアミンとのアミン塩化;テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウムなど、炭素数2〜17の同一の又は異なるアルキル基を有する第四級アンモニウム化合物とのアンモニウム塩化;1,3ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムなどのイミダゾリウム化合物とのイミダゾリウム塩化;N,N′−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムなどのイミダゾリニウム化合物とのイミダゾリニウム塩化;テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムなどのホスホニウム化合物とのホスホニウム塩化などが挙げられる。
更に、セルロースナノファイバー表面における水酸基に対して変性処理を行ってセルロースナノファイバー誘導体を得てもよい。セルロースナノファイバーの水酸基に対する変性処理の例としては、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、チイラン基、チエタン基処理等が挙げられる。このような各種の変性処理によって得られたセルロースナノファイバー誘導体は、未変性のセルロースナノファイバーに対して親疎水性が変化することに起因して、複合成形体に用いる樹脂中での分散性が向上する場合があり、用いる樹脂に応じて任意に選択することができる。
本発明の樹脂改質用添加剤は、上述したセルロースナノファイバー及び樹脂粒子を含み、更に必要に応じて、架橋剤や粘土鉱物、界面活性剤などの分散剤、着色剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。
次に、本発明の樹脂改質用添加剤の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、(a)セルロースナノファイバーと樹脂粒子と液媒体とを含むエマルションを調製し、次いで(b)該エマルションから乾燥によって該液媒体を除去する工程を有する。以下、これら(a)及び(b)の工程についてそれぞれ説明する。
(a)の工程において、セルロースナノファイバーと樹脂粒子とを混合するために用いられる液媒体としては、通常水が用いられるが、それ以外にもセルロースナノファイバーを分散させ得る媒体、例えば非水溶性有機媒体、水溶性有機媒体、水溶性有機媒体、又はこれらと水との混合媒体などを挙げることができる。どのような媒体を用いるかは、樹脂粒子の分散性に応じて適宜決定すればよい。非水溶性有機媒体としては、例えばトルエン、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサンなどを用いることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。水溶性有機媒体としては、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフランなどを用いることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(a)の工程においては、例えばセルロースナノファイバーと、樹脂粒子と、液媒体の三者を混合してエマルションを調製することができる。エマルションの調製の容易性からは、エマルションの状態の前記樹脂粒子(つまり、あらかじめ液媒体に分散処理された樹脂エマルション)とセルロースナノファイバーとを混合してエマルションを調製することが有利である。樹脂エマルションとしては、例えば水エマルション、非水溶性有機媒体のエマルション、水溶性有機媒体のエマルション、水と水溶性有機媒体とのエマルションを用いることができる。安全性等を考慮すると、水エマルション及び水と水溶性有機媒体とのエマルションを用いることが好ましい。どのような媒体の樹脂エマルションを用いる場合であっても、樹脂エマルション中での樹脂粒子の濃度は1〜80質量%、特に5〜30質量%とすることが、樹脂粒子を安定に分散させ得ることと、後述する乾燥時の効率の観点から好ましい。
また前記(a)の工程においては、粉末状の樹脂粒子(つまり乾燥状態の樹脂粉末であり、あらかじめ液媒体へ分散処理が行われていないもの)とセルロースナノファイバーとを混合してエマルションを調製することもできる。このとき、樹脂粉末が液媒体に分散し難い組合せであっても、セルロースナノファイバーが分散剤となりエマルションとすることもできるし、界面活性剤やセルロースナノファイバー以外の分散剤を用いてエマルションとすることもできる。
前記の樹脂エマルションと、セルロースナノファイバーの分散液とを混合することで、目的とするセルロースナノファイバー/樹脂粒子のエマルションが得られる。このエマルションに含まれるセルロースナノファイバーの濃度は0.1〜40質量%、特に0.2〜5質量%であることが好ましい。樹脂粒子の濃度は0.1〜50質量%、特に0.1〜10質量%であることが好ましい。また、このエマルション中には、セルロースナノファイバー及び樹脂粒子に加えて、必要に応じて架橋剤や粘土鉱物、界面活性剤などの分散剤、着色剤、帯電防止剤等が含まれていてもよい。
このようにして得られたセルロースナノファイバー/樹脂粒子のエマルションに対して、(b)工程において液媒体の除去を行い、本発明の樹脂改質用添加剤を得る。液媒体の除去は乾燥によって行う。液媒体の乾燥は自然乾燥でもよく、あるいは加熱乾燥でもよい。これらの乾燥方法を用いる場合には、エマルションをキャスト(流延)して乾燥させることが乾燥効率の点から好ましい。いずれの乾燥方法を用いても、セルロースナノファイバーの凝集は起こりづらい。この理由は、天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させることで生じたカルボキシル基による静電反発のためである。これに対して、先に背景技術の項で述べた特許文献1に記載のミクロフィブリル化セルロースはカルボキシル基等に起因する静電反発力を有していないので、自然乾燥や加熱乾燥を行うと、該セルロースの凝集が起こってしまう。これを防止するために同文献では凍結乾燥を採用している。本発明では、凍結乾燥は必須ではない(もちろん凍結乾燥を行うことは妨げられない。)。
前記樹脂改質用添加剤の乾燥効率や、セルロースナノファイバーと樹脂粒子との複合化の観点からは、乾燥方法としてエマルションの噴霧乾燥を行うことが好ましい。噴霧乾燥においては、エマルションをノズルから噴出させて微細な液滴となし、次いで対流空気中で加熱乾燥すればよい。本方法では、一般に用いられる噴霧乾燥機を使用することができる。
このようにして得られた樹脂改質用添加剤(前記エマルション状態から乾燥処理したもの、又はその後溶融成形したものでも構わない)は、例えばチップ状のマスターバッチとして用いることができる。このマスターバッチを、押出機を用いて熱可塑性樹脂に添加して溶融混練し、溶融成形することでセルロースナノファイバー複合成形体を得ることができる。この熱可塑性樹脂としては、例えば先に述べた樹脂粒子を構成する各種の樹脂と同様のものを用いることができる。この熱可塑性樹脂は、樹脂粒子を構成する樹脂と同種のものでもよく、あるいは異種のものでもよい。同種の樹脂を用いれば、目的とするセルロースナノファイバー複合成形体中でのセルロースナノファイバーの分散性を容易に高めることができる。異種の樹脂を用いる場合には、相溶性のある樹脂の組み合わせを採用することが好ましい。
得られたセルロースナノファイバー複合成形体は、セルロースナノファイバーによる強化で強度が向上したものとなる。つまり該セルロースナノファイバー複合成形体は、セルロースナノファイバー強化樹脂成形体であると言うことができる。該成形体に含まれるセルロースナノファイバーの割合は0.1〜50質量%、特に0.5〜10質量%という少量であっても、樹脂の強度向上に十分である。この理由は、成形体中においてセルロースナノファイバーが高度に分散しているからである。また、セルロースナノファイバー複合成形体は、透明性の高いものである。この理由も、成形体中においてセルロースナノファイバーが高度に分散しているからである。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
(1)セルロースナノファイバーの製造
針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名 「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタットを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持し、酸化反応を行った。酸化を120分行った後に滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3.9gとイオン交換水296.1gをミキサー(Vita−Mix−Blender ABSOLUTE、大阪化学(株)製)によって10分間攪拌した。その操作によって繊維の微細化処理を行い、セルロースナノファイバーの分散液を得た。分散液の固形分濃度は、1.3質量%であった。このセルロースナノファイバーの平均繊維径は3.3nm、平均アスペクト比は305、カルボキシル基含有量は1.2mmol/gであった。
(2)樹脂エマルションの準備
ポリエチレンのエマルション(商品名:アローベースSB1010、ユニチカ(株)製)を用いた。樹脂粒子の濃度は25質量%であり、樹脂粒子の平均粒径は0.22μmであった。樹脂粒子の形状は球状であった。
(3)セルロースナノファイバー/樹脂粒子のエマルションの調製
前記の(1)で得られたセルロースナノファイバーの分散液600gと、前記の(2)で準備したポリエチレンの水エマルション31.2gとをビーカーに注ぎ、マグネチックスターラーを用いて30分間混合した。これによって、目的とするエマルションを得た。
(4)樹脂改質用添加剤の製造
前記の(3)で得られたエマルションを噴霧乾燥して、樹脂改質用添加剤を得た。噴霧乾燥は、噴霧乾燥機(スプレードライヤ ADL311S−A、ヤマト科学(株)製)を用いた。噴霧乾燥の条件は、ノズル径1.6mm、インレット温度150℃、アウトレット温度約72℃、噴霧圧0.15MPaとした。得られた樹脂改質用添加剤におけるセルロースナノファイバー含有量は50質量%である。
(5)セルロースナノファイバー複合成形体の製造
前記の(4)で得られた樹脂改質用添加剤と低密度ポリエチレン樹脂(LDPE、商品名:ノバテックLD LC561、日本ポリエチレン(株)製)を、混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて溶融混練した。LDPE100質量部に対して、得られた樹脂改質用添加剤を2質量部加えて、150℃で10分間、回転数70rpmで混練した。得られた混練物を、プレス機(ラボプレスP2−30T、東洋精機(株)製)を用いて、160℃、0.5MPaで3分間、20MPaで1分間にわたり熱プレスし、更に23℃、0.5MPaで1分間にわたり冷却プレスした。これによって厚さ0.5mmのシート状のセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は1.0質量%であった。
〔実施例2〕
実施例1で用いたセルロースナノファイバーの分散液300gと、ポリエチレンのエマルション15.6gを用い、実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー/樹脂粒子のエマルションを調製した。このエマルションを、ポリスチレン製シャーレ(φ80mm)に深さ約0.8cm注ぎ、23℃50%RH環境において1週間乾燥した。このようにして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤は、キャスト膜の形態をしていた。エマルション調製時の仕込み量から計算されたセルロースナノファイバー含有量は50質量%であった。LDPE100質量部に対して、前記樹脂改質用添加剤2.0質量部を加え、実施例1と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は1.0質量%であった。
〔実施例3〕
LDPEの代わりに高密度ポリエチレン樹脂(HDPE、商品名:ノバテックHD HB338RE、日本ポリエチレン(株)製)を用い、HDPE100質量部に対して実施例2で作製した樹脂改質用添加剤3.1質量部加え、実施例2と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は1.5質量%であった。
〔実施例4〕
ポリプロピレンのエマルション(商品名:ハイテックP−5300、東邦化学(株)製、固形分濃度35質量%、平均粒径0.18μm、形状:球形)66.8gと、実施例1で用いたセルロースナノファイバーの分散液600gとを混合してエマルションを得た。このエマルションを実施例2と同様に乾燥して、樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は25質量%であった。
LDPEの代わりにポリプロピレン樹脂(PP、商品名:ノバテックPP BC03L、日本ポリプロピレン(株)製)を用い、PP100質量部に対して、前記樹脂改質用添加剤9.9質量部加え、実施例2と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は2.2質量%であった。
〔比較例1〕
セルロースナノファイバーの分散液を用いず、ポリエチレンのエマルション40gだけを、実施例1と同様に乾燥して乾燥物を得た。LDPE100質量部に対して、前記乾燥物を1質量部加えた以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
〔比較例2〕
セルロースナノファイバーの分散液を用いず、ポリエチレンの水エマルション40gだけを、実施例2と同様に乾燥した。HDPE100質量部に対して、この乾燥物を1.5質量部加えた以外は実施例3と同様にして成形体を得た。
〔比較例3〕
セルロースナノファイバーの分散液の代わりに、イオン交換水で固形分濃度1.3質量%に調製したMFC(商品名:セリッシュFD-200L、ダイセル化学工業(株)製)分散液を用いた。このMFC分散液300gと、実施例1で用いたポリエチレンのエマルション15.6gとを混合してエマルションを得た。このエマルションを実施例2と同様に乾燥して乾燥物を得た。該乾燥物中のMFC含有量は50質量%であった。HDPE100質量部に対して、該乾燥物を3.1質量部加えた以外は実施例3と同様にして成形体を得た。
〔比較例4〕
セルロースナノファイバーの分散液を用いず、ポリプロピレンのエマルション40gだけを、実施例2と同様に乾燥して乾燥物を得た。PP100質量部に対して、この乾燥物を7.1質量部加えた以外は実施例4と同様にして成形体を得た。
〔比較例5〕
本比較例は、セルロースナノファイバーを樹脂改質用添加剤の形態で用いず、セルロースナノファイバー単独での乾燥物の状態のままで用いた例である。実施例1で用いたセルロースナノファイバーの分散液をキャスト法によって乾燥させて、セルロースナノファイバーの乾燥体を得た。この乾燥体1.5質量部と、実施例3で用いたHDPE100質量部とを用い、実施例1と同様にして混練機で混練した。得られた混練物を実施例3と同様にしてプレス機でプレスして、厚さ0.5mmのシート状のセルロースナノファイバー複合成形体を得た。
〔評価〕
得られた複合成形体について、引張弾性率、引張降伏強度及び破断伸度を以下の方法で測定した。それらの結果を以下の表1に示す。
<複合成形体の引張弾性率、引張降伏強度及び破断伸度の測定方法>
引張圧縮試験機((株)オリエンテック社製 RTA−500)を用いて、JIS K7113に準拠して、複合成形体の引張弾性率、引張降伏強度及び破断伸度をそれぞれ測定した。1号ダンベルで打ち抜いたサンプルを支点間距離80mmでセットし、クロスヘッド速度30mm/minで測定した。なお破断伸度に関し、63mm以上(破断伸度79%)伸びても破断点が現れなかったものはその時点で測定を終了した。
Figure 0005923370
表1に示す結果から明らかなように、各実施例で得られたセルロースナノファイバー複合成形体は、セルロースナノファイバー含有量が3質量%以下とわずかでありながら、引張弾性率が各比較例に比して1.1倍以上あって、高い機械的強度を有していた。実施例1は噴霧乾燥法、実施例2はキャスト法によって製造した樹脂改質用添加剤であるが、これらから得られた複合成形体は比較例1から得られた成形体よりも引張弾性率及び引張降伏強度ともに高く、そして伸び性を維持していた。また実施例3から得られた複合成形体は、セルロースナノファイバーを含まない比較例2の成形体よりも機械強度が高く、更にセルロースナノファイバーの代わりにMFCを用いた比較例3から得られた成形体と比べても高い機械強度を有している。セルロースナノファイバーを樹脂改質用添加剤の形態で用いず、セルロースナノファイバー単独での乾燥物の状態のままで用いた比較例5の方法で作製した複合成形体は、実施例3と同量のセルロースナノファイバーを含有していながら、その弾性率は実施例3よりも低かった。このことから本発明の樹脂改質用添加剤が、強化樹脂成形体の製造に適していると言える。
〔実施例5〕
針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名 「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタットを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持し、酸化反応を行った。酸化を120分行った後に滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、酸化パルプ3gに1N塩酸(和光純薬製)を7.2g加えて緩やかに1時間攪拌した後、再度イオン交換水を用いて酸化パルプを十分に洗浄、脱水処理を行い、カルボキシル基をプロトン化した酸化パルプを得た。その後、前記プロトン化した酸化パルプ3gとイオン交換水297gとプロピルアミン(和光純薬工業製)0.21gとを混合し、高圧ホモジナイザー(卓上微粒化試験機NM2−2000AR、吉田機械興業(株)製)を用いて、吐出圧力100MPaの条件で5回処理を行った。その操作によって繊維の微細化処理を行い、セルロースナノファイバー誘導体(プロピルアミン塩型)の分散液を得た。分散液の固形分濃度は1.0質量%であった。このセルロースナノファイバー誘導体の平均繊維径は3.5nm、平均アスペクト比は220、カルボキシル基含有量は1.2mmol/gであった。
前記セルロースナノファイバー誘導体の分散液100gと、ポリエチレンのエマルション(商品名:アローベースSB1010、ユニチカ(株)製)36gをビーカーに注ぎ、マグネチックスターラーを用いて30分間混合し、セルロースナノファイバー誘導体/樹脂粒子のエマルションを調製した。このエマルションを、ポリスチレン製シャーレ(φ80mm)に深さ約0.8cm注ぎ、23℃50%RH環境において1週間乾燥した。このようにして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は10質量%であった。
前記樹脂改質用添加剤と高密度ポリエチレン樹脂(HDPE、商品名:ノバテックHD HB338RE、日本ポリエチレン(株)製)と接着性樹脂(アドテックスDH4200、日本ポリエチレン(株)製)を、混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて溶融混練した。HDPE95質量部、接着性樹脂5質量部に対して、前記樹脂改質用添加剤を5質量部加えて、150℃で10分間、回転数70rpmで混練した。得られた混練物を、プレス機(ラボプレスP2−30T、東洋精機(株)製)を用いて、150℃、0.5MPaで3分間、20MPaで1分間にわたり熱プレス、さら23℃、0.5MPaで1分間にわたり冷却プレスした。これによって厚さ0.5mmのシート状のセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は0.5質量%であった。
〔実施例6〕
プロピルアミン(和光純薬工業製)に代えてヘキシルアミン(和光純薬工業製)0.36g用いて、実施例5と同様にセルロースナノファイバー誘導体(ヘキシルアミン塩型)の分散液を得た。分散液の固形分濃度は1.0質量%であった。このセルロースナノファイバー誘導体の平均繊維径は3.5nm、平均アスペクト比は220、カルボキシル基含有量は1.2mmol/gであった。
セルロースナノファイバー誘導体(プロピルアミン塩型)に代えて、前記セルロースナノファイバー誘導体(ヘキシルアミン塩型)を用いた以外は実施例5と同様にして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は10質量%であった。前記樹脂改質用添加剤を用いて実施例5と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は0.5質量%であった。
〔比較例6〕
セルロースナノファイバーの分散液を用いず、ポリエチレンのエマルション40gだけを、実施例5と同様に乾燥して乾燥物を得た。HDPE95質量部、接着樹脂5質量部に対して、前記乾燥物を4.7質量部加えた以外は実施例5と同様にして成形体を得た。
〔評価〕
得られた複合成形体について、引張弾性率、引張降伏強度及び破断伸度を実施例1と同様に測定した。その結果を以下の表2に示す。
Figure 0005923370
表2に示す結果から明らかなように、実施例5及び6で得られたセルロースナノファイバー誘導体を含む複合成形体はセルロースナノファイバー含有量0.5質量%とわずかでありながら、引張弾性率が比較例6に比して1.1倍近くあって、高い機械的強度を有していた。また実施例5及び6はセルロースナノファイバー含有量が少ないことから、高い伸び性を維持していた。このことから本発明のセルロースナノファイバー誘導体を含む樹脂改質用添加剤が、強化樹脂成形体の製造に適していると言える。
〔実施例7〕
針葉樹の漂白クラフトパルプ(製造会社:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名 「Machenzie」、CSF650ml)を天然セルロース繊維として用いた。TEMPOとしては、市販品(製造会社:ALDRICH、Free radical、98質量%)を用いた。次亜塩素酸ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。臭化ナトリウムとしては、市販品(製造会社:和光純薬工業(株))を用いた。まず、針葉樹の漂白クラフトパルプ繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、パルプ質量100gに対し、TEMPO1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタットを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持し、酸化反応を行った。酸化を120分行った後に滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行った。その後、前記酸化パルプ100gとイオン交換水9900gを高圧ホモジナイザー(スターバーストラボHJP−25005、(株)スギノマシン製)を用いて、吐出圧力245MPaの条件で2回処理を行った。その操作によって繊維の微細化処理を行い、セルロースナノファイバーの分散液を得た。分散液の固形分濃度は1.0質量%であった。このセルロースナノファイバー誘導体の平均繊維径は3.4nm、平均アスペクト比は200、カルボキシル基含有量は1.2mmol/gであった。
前記セルロースナノファイバーの分散液700gと、樹脂粒子として低密度ポリエチレンの粉末(LDPE、商品名:ペトロセン202、東ソー(株)製)93gを高圧ホモジナイザー(卓上微粒化試験機NM2−2000AR、吉田機械興業(株)製)を用いて、吐出圧力100MPaの条件で混合し、エマルションを得た。このエマルションをポリスチレン製シャーレ(φ80mm)に深さ約0.8cm注ぎ、23℃50%RH環境において1週間乾燥した。このようにして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は7質量%であった。
前記樹脂改質用添加剤と高密度ポリエチレン樹脂(HDPE、商品名:ノバテックHD HB338RE、日本ポリエチレン(株)製)と接着性樹脂(アドテックスDH4200、日本ポリエチレン(株)製)を、混練機(ラボプラストミル、東洋精機(株)製)を用いて溶融混練した。HDPE100質量部、接着性樹脂を5質量部に対して、前記樹脂改質用添加剤を80質量部加えて、150℃で10分間、回転数70rpmで混練した。得られた混練物を、プレス機(ラボプレスP2−30T、東洋精機(株)製)を用いて、150℃、0.5MPaで3分間、20MPaで1分間にわたり熱プレス、さら23℃、0.5MPaで1分間にわたり冷却プレスした。これによって厚さ0.5mmのシート状のセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は3.0質量%であった。
〔実施例8〕
低密度ポリエチレンの粉末80gとセルロースナノファイバーの分散液2000gを用いた以外は実施例7と同様にして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は20質量%であった。前記樹脂改質用添加剤を19質量部加えた以外は実施例7と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は3.0質量%であった。
〔実施例9〕
樹脂粒子としてエチレン酢酸ビニルコポリマーの粉末(EVA、商品名:ウルトラセンNM38-PW、東ソー(株)製)を用いた以外は実施例7と同様にして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は7質量%であった。前記樹脂改質用添加剤を実施例7と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は3.0質量%であった。
〔実施例10〕
樹脂粒子としてポリプロピレンの粉末(PP、商品名:PPW−5パウダー(株)セイシン企業製)を用いた以外は実施例7と同様にして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は7質量%であった。前記樹脂改質用添加剤を実施例7と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は3.0質量%であった。
〔実施例11〕
樹脂粒子として超高分子量ポリエチレンの粉末(UDPE、商品名:ミペロンXM−330、三井化学(株)製)を用いた以外は実施例7と同様にして樹脂改質用添加剤を得た。この樹脂改質用添加剤のセルロースナノファイバー含有量は7質量%であった。前記樹脂改質用添加剤を実施例7と同様にしてセルロースナノファイバー複合成形体を得た。該複合成形体におけるセルロースナノファイバー含有量は3.0質量%であった。
〔比較例7〕
HDPE100質量部、接着性樹脂5質量部に対して、セルロースナノファイバーを用いずに、低密度ポリエチレンの粉末74質量部加えた以外は実施例7と同様にして成形体を得た。
〔比較例8〕
HDPE100質量部、接着性樹脂5質量部に対して、セルロースナノファイバーを用いずに、低密度ポリエチレンの粉末15質量部加えた以外は実施例7と同様にして成形体を得た。
〔比較例9〕
HDPE100質量部、接着性樹脂5質量部に対して、セルロースナノファイバーを用いずに、エチレン酢酸ビニルコポリマーの粉末74質量部加えた以外は実施例7と同様にして成形体を得た。
〔比較例10〕
HDPE100質量部、接着性樹脂5質量部に対して、セルロースナノファイバーを用いずに、ポリプロピレンの粉末74質量部加えた以外は実施例7と同様にして成形体を得た。
〔比較例11〕
HDPE100質量部、接着性樹脂5質量部に対して、セルロースナノファイバーを用いずに、超高分子量ポリエチレンの粉末74質量部加えた以外は実施例7と同様にして成形体を得た。
〔評価〕
得られた複合成形体について、引張弾性率、引張降伏強度及び破断伸度の結果を以下の表3に示す。
Figure 0005923370
種類の異なる樹脂粒子から樹脂改質用添加剤を得て、それを用いて複合成形体を作製した実施例7〜11は、セルースナノファイバーを用いていない比較例7〜11とそれぞれ対応している。実施例7〜11のいずれにおいても、比較例よりも弾性率が向上していることが分かる。実施例7〜11に用いた樹脂粒子はいずれも水への分散性の低い疎水性の樹脂粉末であったが、セルロースナノファイバーによって首尾よくエマルション化できることで分散性の高い樹脂改質用添加剤となったと考えられる。このことから本発明の樹脂改質用添加剤が、強化樹脂成形体の製造に適していると言える。

Claims (8)

  1. セルロース構成単位のC6位の水酸基がカルボキシル基に酸化された、セルロースI型結晶構造を有しており、カルボキシル基含有量が0.1〜3mmol/gであり、平均繊維径が1〜200nmであり、平均アスペクト比(繊維長/繊維径)が10〜1000であるセルロースナノファイバー及び/又は該セルロースナノファイバーのカルボキシル基又は水酸基が変性された誘導体と、樹脂粒子とを含み、
    前記樹脂粒子の表面にセルロースナノファイバー及び/又は該セルロースナノファイバーの誘導体が存在している乾燥体からなる樹脂改質用添加剤。
  2. 前記樹脂粒子の平均粒径が0.01〜500μmである請求項1に記載の樹脂改質用添加剤。
  3. 前記樹脂粒子を構成する樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1又は2に記載の樹脂改質用添加剤。
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸又はポリウレタンである請求項3に記載の樹脂改質用添加剤。
  5. 請求項1に記載の樹脂改質用添加剤の製造方法であって、
    天然セルロース繊維にN−オキシル化合物と酸化剤と共酸化剤とを作用させ、次いで分散機による微細化工程を行うことで得られるセルロースナノファイバー及び/又は該セルロースナノファイバーの誘導体と樹脂粒子と液媒体とを含むエマルションを調製し、次いで該エマルションから乾燥によって該液媒体を除去する工程を有する樹脂改質用添加剤の製造方法。
  6. エマルションの状態の前記樹脂粒子と、天然セルロース繊維にN−オキシル化合物を作用させることで得られるセルロースナノファイバー及び/又は該セルロースナノファイバーの誘導体とを混合してエマルションを調製する請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記エマルションを噴霧乾燥することで前記液媒体を除去する請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 請求項1に記載の樹脂改質用添加剤と熱可塑性樹脂とを溶融混練し、溶融成形する工程を有するセルロースナノファイバー複合成形体の製造方法。
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