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JP5922206B2 - 薪ストーブ - Google Patents

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JP5922206B2 JP2014216283A JP2014216283A JP5922206B2 JP 5922206 B2 JP5922206 B2 JP 5922206B2 JP 2014216283 A JP2014216283 A JP 2014216283A JP 2014216283 A JP2014216283 A JP 2014216283A JP 5922206 B2 JP5922206 B2 JP 5922206B2
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Description

本発明は、薪ストーブに関するものである。
薪ストーブは、その蓄熱性からの遠赤外線の暖かさゆえに根強い人気がある。
燃焼の三要素は、燃料(燃えるもの:薪)と空気(酸素)と温度(酸化反応を促すための熱)でどれ一つかけると燃焼は維持できない(火は消える)。
薪を燃やしたときに出る煙や煤は、熱せられた可燃物(薪)から飛び出した水分や可燃性ガスが、酸素不足や、温度が低いことで完全に燃えきらずそのまま排出したり、未燃焼物が粒状になって水蒸気に付着したものである。
燃焼炉内に、前記燃焼の三要素がよい条件でそろった時に煙が出来ない。すなわち、1.充分な燃料があること、2.充分な酸素が供給されていること、3.充分な高温が維持されていること、であり、薪ストーブでは特に2.と3.の項目が重要である。
薪ストーブのストーブ内の薪の燃え方は、次の通りである。
着火剤(紙・段ボール等)などにより加熱された薪は、110度くらいから水分の蒸発が始まり、その後200度くらいから薪の樹脂成分から炭化水素系の揮発ガスが発生し燃焼を始める。
さらに加熱が進むと薪のセルロースが分解され完全な状態で未燃物がなくなり、燃焼状態が安定する。この時の炉内温度は600度〜700度である。この温度が維持できれば、どのような構造のストーブ(二次燃焼室を持たない単純な箱状のものであっても)でも煙突から煙は出ない。
この燃焼条件を作り出すため、市販の高級ストーブは、二次燃焼室(三次燃焼室を設けている機種もある)を設置し、高温状態を維持している。
基本的な薪ストーブの構造は、日本式ストーブ、二次燃焼室方式、クリーンバーン方式があり、日本式ストーブは、日本の薪ストーブであり、一次空気のみを供給する構造のため、煙突内部で不完全燃焼してしまい、ススやタールが大量に付着して、煙道火災を起こしやすい。排気ダンパーという概念が無いので、かまどなどもこの構造にして燃焼空間を増やしていたようである。結果は同じで煙突内が不完全燃焼になる。
ただし、日本の家は、開放空間で煙も気にしないし、煙突も短い場合が多いので単純構造でも問題にしなかったようであるが、煙突の中で不完全燃焼をしている場合がほとんどである。
二次燃焼室方式では、点火時は、一次空気を供給して函体の温度を上げ、高温になり木質ガスが分離したら二次燃焼室にガスを送り、二次空気で燃焼させる。これは高級ストーブに多いが、針葉樹など木質ガスの性状の違う木は燃やせない。
点火時は、一次空気を送り木を燃やして温度を上げる。木質ガスが大量に出たら、一次側と煙突側を閉じて、二次燃焼室に空気を送る。木を熱してガスを発生させ、それを燃やす方式である。
クリーンバーン方式は、点火時は一次空気を多く入れ、温度が上がるに従い一次側を減らしていくものである。発生したガスにすぐ二次空気が接触するため効率よく燃える。杉などの針葉樹の場合は、一次空気を多くすると燃やす事ができる。
具体的には、点火時は、一次空気を送り温度を上げる。二次側は、最初から供給している。
温度が上がったら、一次側を絞る。針葉樹や水分の多い木は一次空気を多めに送りながら燃やすとうまく燃える。
以上3タイプがあるが、どれも焚き付け時は、炉内の温度は十分な高温に達せず、どのような構造の薪ストーブでも煙の発生を防ぐことはできない。(薪ストーブの宿命でもある)
よい薪ストーブとは、炉内の温度をいかに速やかに燃焼の好条件まで昇温させ維持することで、煙の発生を抑えた機能を持っているものということがいえる。
下記特許文献は、燃焼補助手段としてのエネルギーを一切費消せず、しかも、完全燃焼によって煙が全たく出ない燃焼炉を開示することを目的とするものであるとして提案されたものである。
特許第3066066号公報
この特許文献1は図16に示すように、鉄板を耐火材で被覆した燃焼室1は、天井面の一半が、蓋体2で構成されることにより、蓋体2の枢着部3を中心に、上方に回動して、燃焼物の投入口4が開口するようになっている。
天井面の他側は、燃焼装置の側面上端縁に一体的に固着し、前記投入口4から最も遠い位置に排気口5が穿設されている。
排気口5には、煙突9が嵌入して連結している。この排気口5と前記投入口4との間の天井面から、金属製の燃焼促進板6が、垂設されており、該燃焼促進板6の下端6aは、燃焼室1の床面7との間に、所定の間隔lがあくように設けられている。lの長さは、通常燃焼室の高さhの1/3〜1/4の長さの範囲で適宜に選択される。
燃焼促進板6には、多数の通孔6b、6b、…が該燃焼促進板6の全体に分散配置して穿設されることにより、投入口が開口する一次燃焼室1a側と、排気口5が開口する二次燃焼室1b側とを連通せしめている。
なお、燃焼促進板には当然セラミック、耐熱レンガ等の耐熱材料を使用することができる。
8は、一次燃焼室の側壁の下部に開口する灰取出口、2aは、蓋体に穿設されたハンドル、2bは、蓋体の開閉動作を容易にするバランス錘である。
燃焼炉は、一次燃焼室1a中に、焼却物を投入して、焼却物の上部に着火する。
空気は、蓋体2を若干持ち上げた状態で投入口の開口と蓋体2との隙間から供給される。蓋体2の側縁2cに横方向に突設したピン2dに回動自在に支持されている多角形の支持片2eを投入口4の周縁4aの上面に当てて、これに蓋体2の重みをかけることにより、前記隙間が維持される。支持片2eを適宜回動して、ピン2dと支持片2eの底辺までの距離を変えることにより、空気量の調節ができる。
燃焼物は、着火後に蓋体を空気量を制限することにより間も無く(通常1〜2分)煙は収束し、無煙状態に急速に近づく。
燃焼が定常状態になった場合において、一次燃焼室の燃焼気流は、大部分が燃焼促進板の下方の通路を通って、二次燃焼室に入る。
この際、燃焼促進板は、赤熱状態になっており、この高温の燃焼促進板から、その通孔を通って、高温の空気が、二次燃焼室1bに供給され、該燃焼室1b中は完全燃焼状態となる。
このように特許文献1では、空気供給口と排気口との間の天井面から燃焼促進板を垂設して、空気供給口が開口する一次燃焼室と排気口が開口する二次燃焼室とに燃焼室内を分画し、その燃焼促進板には、一次燃焼室と二次燃焼室とを連通する多数の通孔がその促進板の全体に分散配設されているため、一次燃焼室に投入された燃焼物の上面から下方に燃焼が進行するので、着火初期においても、煙を発生することが極めて少なく、更に、燃焼の拡大にともなって、燃焼促進板が赤熱することにより、該促進板が燃焼の触媒作用を果して、二次燃焼室内を高温に維持すると共に、赤熱した燃焼促進板を通過して、扁平な二次燃焼室に供給される高温空気は、二次燃焼室内の温度を下げることなく、二次燃焼室内に、まんべんなく、平均に、且つ、十分な空気を送り込む。
すると、前記燃焼物促進板の下端縁と燃焼室の床面との間に燃焼室の高さの1/3〜1/4の範囲を空隙を設けることにより、燃焼が定常状態になった場合において、一次燃焼室の燃焼気流は、大部分が燃焼促進板の下方の通路を通って、二次燃焼室に入るので、燃焼流は、二次燃焼室で完全燃焼して排気口に送り出される。
前記特許文献1は、前記二次燃焼室方式の1つであり、点火時は、一次空気を供給して函体の温度を上げ、高温になり木質ガスが分離したら二次燃焼室にガスを送り、二次空気で燃焼させるものである。
燃焼条件を作り出すため、二次燃焼室を設置し、高温状態を維持するのでは、全体重量が重くなる。
しかも燃焼促進板により二次燃焼室を高温状態を維持するものであり、燃焼促進板にはセラミック、耐熱レンガ等の耐熱材料を使用することができるとある。
このように燃焼の拡大にともなって、燃焼促進板が赤熱することにより、該促 進板が燃焼の触媒作用を果して、二次燃焼室内を高温に維持するものでありこれが不完全であると、燃え残りが全く無いので、従来の燃焼装置のように灰の中に未燃焼の黒色の炭化物が混じることが殆どなく、灰の量も極めて少ないという効果は得られない。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、二次燃焼室を設けるという複雑構造を取ることなく、煙突燃焼補助装置としての簡単な構成を付加するだけで、煙の発生を最小限に止められる軽量で安価な薪ストーブを提供することある。
前記目的を達成するため本発明は、ストーブ本体に内設するものであり、煙突の付け根に、孔を有する多孔質の筒体を、外筒,内筒からなり、孔の開口率は外筒よりも内筒を多くして2重筒として設けたこと、および、ストーブ本体は鋼板製で、多孔質の筒体は外筒よりも内筒が長いことを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、煙突燃焼補助装置として、煙突の付け根に多孔質の筒体を蓄熱部材として内設することで、煙突の下部が昇温しやすく高温を維持でき、煙突の下部(煙突の付け根)の温度が150度を超えて煙が出ないようにすることができる。
また、筒体は多孔質なので煙突への煙の排出の抵抗を抑えることができる。
さらに、二重構造であることで、煙突の付け根の昇温が早くすることができる。
請求項2記載の本発明によれば、ストーブ本体は鋼板製であることにより軽量で安価なものとすることができる。外筒よりも内筒が長いことで煙が出づらいだけでなく燃焼効率も良くなる。
以上述べたように本発明の薪ストーブは、二次燃焼室を設けるという複雑構造を取ることなく、煙突燃焼補助装置としての簡単な構成を付加するだけで、煙の発生を最小限に止められる軽量で安価なものである。
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図4〜図7は本発明の実施形態を示す説明図、図2は同上平面図で、先に薪ストーブのストーブ本体10について説明すると、鋼板製で、図8〜図9および図15にも示すように、底部がドーム形の横置きタイプで、コの字形の脚11で前後を支承し、脚11に底部と間隔を存して平行する遮熱板12をかけ渡している。
また、ストーブ本体10の上面は平坦な上床板であり、ここに開口および引き戸13を設けて材料投入とエアー取込口14を形成した。図中13aは引き戸13の取手である。
さらに、エアー取込口14の近傍に煙突15を立設し、その下端をストーブ本体10の内方に開口する。
以上は一例であり、ストーブ本体10の形状はこれに限定されるものでなく、横置きタイプのみならず、縦置きタイプなど種々の形態が採用できる。
本発明は、煙突15の付け根に、多孔質の筒体16を蓄熱部材としてストーブ本体10に内設するが、この、多孔質の筒体16を2重筒構造とした。
図11、図12に多孔質の筒体16を、図13、図14にその展開図を示す。
多孔質の筒体16は外筒16a,内筒16bからなり、図示例では孔19の開口率は図13の外筒16aでは4.36%、図14の内筒16bでは4.92%である。
上部に取付用のフランジ17を設け、その上に嵌合部18を設けて、この嵌合部18を煙突15内に嵌入できるようにする。
発明者は炉内の温度を速やかに昇温できかつ高温を維持できる最適な構造の追求のための実証実験を試みた。
その実験の過程で煙突の下部(煙突の付け根)の温度が150度を超えると煙が出ないことを突き詰めることが出来た。すなわち燃焼開始(焚き付け時)から炉内が昇温し燃焼終了(鎮火時)までの間、煙突の下部が、150度を超えると煙が出なくなり、燃焼の終盤にそこの温度が、150度を下回ると煙が発生することが確認できた。
このことを踏まえ、煙突15の下部が昇温しやすく高温を維持できる装置として、薪ストーブの燃焼炉内の煙の出口、すなわち煙突15の付け根に、蓄熱する部材をつけることとし、多孔質の円筒を製作し設置したものである。
多孔質にした理由は、煙突への煙の排出の抵抗を抑えるためである。
なお、多孔質の筒体16は、円筒であることに限定はされず、楕円筒、角筒であってもよい。また、材質はストーブ本体1と同じ、鋼板製であるがこれに限定されるものではない。
図1および図3〜図5は多孔質の筒体16の種々のタイプのものであり、下記表にその試験結果を示す。図1は多孔質の筒体16が1重でかつ太径のもの、図3は多孔質の筒体16が1重で太径でないもの、図4は多孔質の筒体16が2重で外筒と内筒に径の差がすくないもの、図5は多孔質の筒体16が2重で外筒と内筒に径の差が大きいものである。
煙の発生を比較するため、実験炉に何もつけないタイプと、上記の多孔質の様々な円筒つけたタイプのものを並べて、燃焼実験を行い目視で観察をした。
Figure 0005922206
前記案験No.1 4)のタイプ改良のための燃焼実験 前節の4)の煙突煙燃焼補助装置の大きさが良い効果があることが分かったが、さらにこの装置の改良のため、外筒・内欄の径は変えずに、長さを変えて燃焼状祝を実験してみた。
図5の場合が外筒と内傷の長さが同じであったが、図6は外筒が長いタイプ、図7は内筒が長いタイプである。温度測定場所は図15に示す。
下記表2に試験結果を示す。

Figure 0005922206
燃焼実験では、煙の発生状況の観察のため製材揚で発生し他残材・端在を使用したが、数値的燃焼比較実験では、燃焼に使う薪(針葉樹・広葉樹)は含水率・炭素量のバラツキが多すぎるため、市販されているホワイトブリケット(カロリー等を揃えるため)を取り寄せ使用した。
薪ストーブと煙突の各所の時間経過の濃度を測定し、比較を試みた。その結果、6)内筒が長いタイプ[図7]が最善であることが分かり、この装置を設けることで、煙が出づらいだけでなく燃焼効率も良くなるということが実証できた。(温度測定箇所図 ロ・ニの昇温と温度保持状態に注目)
他の薪ストーブとの比較実験も「煙突煙燃焼補助装置」性能の実証のため前記のホワイトブリケットを使用し、数値実験をした。比較としては、多孔質の筒体が何もついないタイプ「図8、図9]、前記特許文献1のような燃焼促進板のついたタイプ[図10]の3台を並べて各所の温度測定と煙の発生状況を比較した。下記表3に試験結果を示す。
Figure 0005922206
本発明の薪ストーブが最も長い結果が得られた。
(温度測定箇所図 ロ・ニの昇温と温度保持状態に注目)
※ I・IIの実験の温度分布の差は、バーナーの着火の条件が異なったためと思われる。
本発明の薪ストーブとの比較としての薪ストーブの第1例を示す説明図である。 本発明の薪ストーブおよび比較としての薪ストーブの平面図である。 本発明の薪ストーブとの比較としての薪ストーブの第2例を示す説明図である。 本発明の薪ストーブの第1実施形態を示す説明図である。 本発明の薪ストーブの第2実施形態を示す説明図である。 本発明の薪ストーブの第3実施形態を示す説明図である。 本発明の薪ストーブの第4実施形態を示す説明図である。 本発明の薪ストーブとの比較としての薪ストーブの第3例を示す説明図である。 本発明の薪ストーブとの比較としての薪ストーブの第3例を示す平面図である。 本発明の薪ストーブとの比較としての薪ストーブの第4例を示す平面図である。 本発明の薪ストーブで使用する多孔質の筒体の平面図である。 本発明の薪ストーブで使用する多孔質の筒体の側面図である。 本発明の薪ストーブで使用する多孔質の筒体の外筒の展開図である。 本発明の薪ストーブで使用する多孔質の筒体の内筒の展開図である。 薪ストーブの温度測定箇所を示す説明図である。 従来例を示す縦断側面図である。
1…燃焼室 2…蓋体
3…枢着部 4…投入口
5…排気口 6…燃焼促進板
6b…通孔
7…床面 8…灰取出口
9…煙突 10…ストーブ本体
11…脚 12…遮熱板
13…引き戸 13a…取手
14…エアー取込口 15…煙突
16…多孔質の筒体 16a…外筒
16b…内筒 17…取付用のフランジ
18…嵌合部 19…孔

Claims (2)

  1. ストーブ本体に内設するものであり、煙突の付け根に、孔を有する多孔質の筒体を、外筒,内筒からなり、孔の開口率は外筒よりも内筒を多くして2重筒として設けたことを特徴とする薪ストーブ。
  2. ストーブ本体は鋼板製で、多孔質の筒体は外筒よりも内筒が長い請求項1記載の薪ストーブ。
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