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JP5997981B2 - 水素−酸素再結合触媒の製造方法 - Google Patents

水素−酸素再結合触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水素−酸素再結合触媒およびその製造方法、詳しくは、水の分解により生じる水素および酸素を再結合させるための水素−酸素再結合触媒およびその製造方法に関する。
原子力プラントとして、一般に、沸騰水型原子力プラントが用いられている。この沸騰水型原子力プラントでは、核燃料物質を含む燃料を、原子炉圧力容器内の炉心に装荷し、その核燃料物質の核分裂により生じる熱によって、冷却水を加熱して、蒸気を発生させている。このように発生した蒸気は、タービンに供給され、発電に供される。
一方、冷却水は、核分裂により生じる中性子やガンマ線などの放射線によって、水素(ガス)と酸素(ガス)とに分解される場合がある。
また、例えば、上記した通常運転の他、設備の故障等によっても水素および酸素が生じる場合があり、具体的には、例えば、炉心融解を伴う事故が生じると、多量の水が分解されることにより、多量の水素および酸素が生じる場合がある。
さらに、原子力プラントにおいて生じる放射性廃棄物(汚染水を含む。)は、通常、容器に密閉され、地中に埋設されるが、その容器内において、放射性廃棄物によって水が分解され、水素および酸素が生じる場合がある。
このような水素および酸素の混合ガスは可燃性であるため、安全性の観点から、水素および酸素を再結合させ、水に戻すことが要求されている。例えば、水素および酸素を再結合させる再結合触媒が提案されており、そのような再結合触媒として、具体的には、例えば、アルミナを、ジニトロジアミン白金硝酸溶液や、塩化白金酸溶液などの貴金属源に浸漬させ、乾燥させた後、還元処理して得られる再結合触媒が、提案されている(例えば、特許文献1(実施例)参照。)。
また、再結合触媒としては、上記の他、例えば、セリウム酸化物に、セリウム重量の0.5%相当の白金を含む溶液を含浸させ、乾燥および加熱処理して得られる触媒が、提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
このような再結合触媒では、その触媒温度を高温(例えば、特許文献1では155℃など)に昇温することにより、水素および酸素を再結合させることができる。
特開2011−230064号公報 特開2008−298640号公報
しかし、特許文献1および特許文献2に記載される再結合触媒は、比較的高温状態では水素および酸素を再結合させることができる一方、比較的低温状態では水素および酸素を再結合させることができないため、外部からの加熱を要するという不具合がある。
本発明の目的は、外部からの加熱を必要とすることなく、比較的低温状態から水素および酸素を再結合させることができる水素−酸素再結合触媒およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の水素−酸素再結合触媒は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含む混合物を、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬し、その後、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥させることにより得られることを特徴としている。
また、本発明の水素−酸素再結合触媒は、原子炉内に配置されることが好適である。
また、本発明の水素−酸素再結合触媒の製造方法は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含む混合物を調製する工程、および、前記混合物を、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬し、その後、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥させる工程を備えることを特徴としている。
本発明の水素−酸素再結合触媒は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含む混合物が、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬され、その後、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥されているため、比較的低温状態から水素および酸素を再結合させることができる。
また、本発明の水素−酸素再結合触媒の製造方法によれば、比較的低温状態から水素および酸素を再結合させることができる水素−酸素再結合触媒を製造することができる。
本発明の水素−酸素再結合触媒は、水素ガスと酸素ガスとを再結合させ、水を生成させるための触媒であって、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含む混合物を、後述する有機溶媒に浸漬し、その後、乾燥させることにより、得ることができる。
以下において、本発明の水素−酸素再結合触媒の製造方法について、詳述する。
この方法では、まず、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含む混合物を調製する(調製工程)。
ペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、下記一般式(1)で表される。
3±δ (1)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選択される少なくとも1種の元素を示す。xは、0.8≦x≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、yは、1.0の原子割合を示し、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
一般式(1)におけるペロブスカイト型複合酸化物は、AがAサイトに配位され、BがBサイトに配位される。
一般式(1)において、Aで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)などが挙げられる。
また、Aで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(1)のAサイトにおいて、xは、0.8≦x≦1.3、好ましくは、0.95≦x≦1.3、より好ましくは、1.00≦x≦1.30の数値範囲のAの原子割合を示す。
一般式(1)において、Bで示される貴金属を除く遷移元素としては、例えば、周期律表(IUPAC、1990年)において、原子番号21(Sc)〜原子番号30(Zn)、原子番号39(Y)〜原子番号48(Cd)、原子番号57(La)〜原子番号80(Hg)、および、原子番号89(Ac)以上の各元素(ただし、貴金属(原子番号44〜47および76〜78)を除く)が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(1)において、yで示されるBの原子割合は、1.0である。
一般式(1)において、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示し、0または正の数で表される。より具体的には、ペロブスカイト型複合酸化物の理論構成比、A:B:O=1:1:3に対して、Aサイトに配位される元素を、過不足にしたことにより生じる、酸素原子の過剰原子割合または不足原子割合を示している。
このようなペロブスカイト型複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によって、製造することができる。
そして、本発明において、ペロブスカイト型複合酸化物は、貴金属を含有している。そのようなペロブスカイト型複合酸化物として、具体的には、例えば、貴金属を担持するペロブスカイト型複合酸化物、貴金属を組成として含有するペロブスカイト型複合酸化物が挙げられる。
貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は下記一般式(2)で示される。
N/A3±δ (2)
(式中、Nは、貴金属から選択される少なくとも1種の元素を示し、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選択される少なくとも1種の元素を示す。xは、0.8≦x≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、yは、1.0の原子割合を示し、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
一般式(2)において、Nで示される貴金属としては、例えば、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)などが挙げられる。好ましくは、Rh、Pd、Ptが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(2)において、Aで示される希土類元素およびアルカリ土類金属、Bで示される貴金属を除く遷移元素およびAlは、上記と同様のものが挙げられる。
また、一般式(2)において、x、yおよびδは、上記x、yおよびδと同意義を示す。
このような貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造された一般式(1)で示されるペロブスカイト型複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0063〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常、20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
一方、貴金属を組成として含有するペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(3)で示される。
1−z3±δ (3)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選択される少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属から選択される少なくとも1種の元素を示す。xは、xは、0.8≦x≦1.3の数値範囲の原子割合を示し、zは、0<z≦0.5の原子割合を示し、δは、酸素過剰分または酸素不足分を示す。)
一般式(3)におけるペロブスカイト型複合酸化物は、AがAサイトに配位され、BおよびNがBサイトに配位される。
また、一般式(3)において、Aで示される希土類元素およびアルカリ土類金属、Bで示される貴金属を除く遷移元素およびAl、Nで示される貴金属は、上記と同様のものが挙げられる。
また、一般式(2)において、xおよびδは、上記xおよびδと同意義を示す。
また、一般式(3)において、zで示されるNの原子割合は、例えば、0<z≦0.5の範囲であり、好ましくは、0<z≦0.2の範囲である。zが0.5を越えると、Nで示される貴金属が固溶しにくくなる場合があり、また、コストの上昇が不可避となる。
一般式(3)において、1−zで示されるBの原子割合は、例えば、0.5≦1−z<1の範囲であり、好ましくは、0.8≦1−z<1の範囲である。
このような貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、製造することができる。
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の含有量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常、20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
なお、この貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
上記したペロブスカイト型複合酸化物のなかでは、貴金属を組成として含有しているペロブスカイト型複合酸化物が好ましく用いられる。
アルミナとしては、例えば、αアルミナ、θアルミナ、γアルミナなどが挙げられ、好ましくは、θアルミナが挙げられる。
αアルミナは、結晶相としてα相を有し、例えば、AKP−53(商品名、高純度アルミナ、住友化学社製)などが挙げられる。このようなαアルミナは、例えば、アルコキシド法、ゾルゲル法、共沈法などの方法によって得ることができる。
θアルミナは、結晶相としてθ相を有し、αアルミナに遷移するまでの中間(遷移)アルミナの一種であって、例えば、SPHERALITE 531P(商品名、γアルミナ、プロキャタリゼ社製)などが挙げられる。このようなθアルミナは、例えば、市販の活性アルミナ(γアルミナ)を、大気中にて、900〜1100℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。
γアルミナは、結晶相としてγ相を有し、特に限定されず、公知のものが挙げられる。
また、これらのアルミナにLaおよび/またはBaが含まれるアルミナを用いることもできる。Laおよび/またはBaを含むアルミナは、特開2004−243305号の段落番号〔0073〕の記載に準拠して、製造することができる。
また、これらのアルミナには、貴金属を担持することができる。貴金属が担持されたアルミナは、例えば、上記したアルミナに、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0126〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られたアルミナの貴金属の担持量(複数の貴金属が担持されている場合は、その合計量)は、例えば、アルミナ100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
セリア系複合酸化物は、例えば、下記一般式(4)で表される。
Ce1−(a+b)Zr2−c (4)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、aは、Zrの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Ceの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(4)において、Lで示されるアルカリ土類金属および/または希土類元素としては、上記したアルカリ土類金属および希土類元素(ただし、Ceを除く。)と同様のものが挙げられる。アルカリ土類金属として、好ましくは、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられ、また、希土類元素として、好ましくは、Sc、Y、La、Pr、Ndが挙げられる。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、aで示されるZrの原子割合は、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
また、bで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、1−(a+b)で示されるCeの原子割合は、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲である。
さらに、cは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このようなセリア系複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕および〔0109〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によって、製造することができる。
このようなセリア系複合酸化物は、上記した貴金属を担持するか、または、組成として含有することができる。
貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(5)で示される。
N/Ce1−(a+b)Zr2−c (5)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、aは、Zrの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Ceの原子割合を示し、bは、酸素欠陥量を示す。)
また、上記式(5)において、Nで示される貴金属としては、上記した貴金属が挙げられる。これら貴金属は、単独使用または2種類以上併用することができる。
このような、貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造された一般式(4)で示されるセリア系複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0125〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
一方、貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(6)で示される。
Ce1−(d+e+f)Zr2−g (6)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、dは、Zrの原子割合を示し、eは、Lの原子割合を示し、fは、Nの原子割合を示し、1−(d+e+f)は、Ceの原子割合を示し、gは、酸素欠陥量を示す。)
dで示されるZrの原子割合は、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
また、eで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、fで示されるNの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
また、1−(d+e+f)で示されるCeの原子割合は、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.4〜0.6の範囲である。
さらに、gは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、Zr、LおよびNの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このような貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、例えば、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕および〔0109〕の記載に準拠して、製造することができる。
なお、この貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
混合物(水素−酸素再結合触媒を製造するための混合物)において、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物との配合割合は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物(併用される場合には、それらの総量)が、例えば、50質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、例えば、6000質量部以下、好ましくは、3000質量部以下である。
また、アルミナおよびセリア系複合酸化物が併用される場合には、それらの配合割合は、アルミナ100質量部に対して、セリア系複合酸化物が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、500質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
より具体的には、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、アルミナが、例えば、50質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、例えば、6000質量部以下、好ましくは、3000質量部以下であり、セリア系複合酸化物が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、5000質量部以下、好ましくは、2000質量部以下である。
また、混合物(水素−酸素再結合触媒を製造するための混合物)は、必須成分として、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含有すればよく、任意成分として、さらに、その他の耐熱性酸化物、具体的には、例えば、貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物や、ジルコニア系複合酸化物などを含有することができる。
貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物としては、例えば、上記一般式(1)で示されるペロブスカイト型複合酸化物などが挙げられる。
ジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(7)で示される。
Zr1−(h+i)Ce2−j (7)
(式中、Rは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、hは、Ceの原子割合を示し、iは、Rの原子割合を示し、1−(h+i)は、Zrの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(7)において、Rで示されるアルカリ土類金属および/または希土類元素としては、上記したアルカリ土類金属および希土類元素(ただし、Ceを除く。)と同様のものが挙げられる。これら希土類元素およびアルカリ土類金属は、単独使用または2種以上併用することができる。
また、hで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
また、iで示されるRの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、1−(h+i)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
さらに、jは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびRの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このようなジルコニア系複合酸化物は、特に制限されることなく、上記したセリア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
このようなジルコニア系複合酸化物は、貴金属を担持するか、または、組成として含有することができる。
貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(8)で示される。
N/Zr1−(h+i)Ce2−j (8)
(式中、Rは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、hは、Ceの原子割合を示し、iは、Rの原子割合を示し、1−(h+i)は、Zrの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
このような、貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造された一般式(7)で示されるジルコニア系複合酸化物に、上記したセリア系複合酸化物の担持方法と同様の方法によって貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
一方、貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(9)で示される。
Zr1−(k+l+m)Ce2−n (9)
(式中、Rは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、kは、Ceの原子割合を示し、lは、Rの原子割合を示し、mは、Nの原子割合を示し、1−(k+l+m)は、Zrの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
kで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
また、lで示されるRの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、mで示されるNの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
また、1−(k+l+m)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
さらに、nは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびRの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このような貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記した貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
なお、この貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
また、本発明において、一般式(4)〜(6)で示されるセリア系複合酸化物のCeの原子割合が、一般式(7)〜(9)で示されるジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合と重複する場合は、本発明においては、その重複するジルコニア系複合酸化物は、セリア系複合酸化物に属するものとする。
また、混合物(水素−酸素再結合触媒を製造するための混合物)は、任意成分として、さらに、Ba、Ca、Sr、Mg、Laの硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩および/または酢酸塩を含有することができる。これら塩のなかでは、BaSOが好ましく用いられる。
なお、これら任意成分(貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物、ジルコニア系複合酸化物、上記の硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩など)の含有割合は、特に制限されず、必要および用途により、適宜設定される。
そして、混合物(水素−酸素再結合触媒を製造するための混合物)は、上記の各成分を、例えば、湿式混合、乾式混合などの公知の方法により混合することにより、混合粉末として調製することができる。また、必要により、公知の方法によって混合物を任意の所定形状に成形してもよい。
次いで、この方法では、上記の混合物を、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬し、その後、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥させることにより、混合物を還元処理する(還元工程)。
有機溶媒の沸点として、具体的には、60℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、150℃以上であり、250℃以下である。
有機溶媒の沸点が上記範囲であれば、優れた還元性能を得ることができる。
また、このような有機溶媒として、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール(数平均分子量200〜600)(沸点250℃)、1−ペンタノール(沸点138℃)、エタノール(沸点78.3℃)、エチレングリコール(沸点198℃)、ポリビニルピロリドン水溶液(沸点100℃)などが挙げられる。
これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、有機溶媒として、好ましくは、分子中に、塩素(Cl)などのハロゲンや、リン(P)、硫黄(S)などを含まない有機溶媒が挙げられ、さらに好ましくは、水素(H)、炭素(C)および酸素(O)のみからなる有機溶媒が挙げられる。
分子中に上記元素が含まれる有機溶媒を用いると、その有機溶媒に浸漬し、乾燥させた後の水素−酸素再結合触媒に、上記元素が残留し、触媒活性の低下を惹起する場合がある。
有機溶媒として、とりわけ好ましくは、数平均分子量200のポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール−200と称する場合がある。)(沸点250℃)が挙げられる。
なお、有機溶媒の使用量や、混合物の浸漬時間は、特に制限されず、混合物を十分に浸漬できるよう、適宜設定される。
また、有機溶媒に浸漬された混合物の乾燥条件としては、乾燥温度が、上記した有機溶媒の沸点以下であり、具体的には、例えば、60℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、150℃以上であり、250℃以下である。
乾燥温度が上記範囲であれば、十分に混合物を還元させることができ、水素−酸素再結合触媒の性能を向上させることができる。
また、乾燥時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。
また、乾燥時間が上記範囲であれば、十分に混合物を還元させることができ、水素−酸素再結合触媒の性能を向上させることができる。
そして、上記のように混合物を還元処理することにより、水素−酸素再結合触媒を得ることができる。
なお、得られた水素−酸素再結合触媒中に有機溶媒が残存する場合には、適宜の方法によって、有機溶媒を除去することができる。
また、得られた水素−酸素再結合触媒は、特に制限されず、例えば、粉末として用いてもよく、例えば、公知の方法により、任意の所定形状に成形して用いてもよい。
また、水素−酸素再結合触媒は、例えば、触媒担体上にコート層として形成することができる。触媒担体としては、特に制限されず、例えば、金属基材や、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の触媒担体が用いられる。
水素−酸素再結合触媒を触媒担体上にコート層として形成するには、好ましくは、まず、上記した混合物を、触媒担体上に担持させ、混合物をコート層として形成した後、その混合物を還元処理する。
具体的には、例えば、まず、上記した各成分を混合して得られた混合物に、水を加えてスラリーとした後、触媒担体上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成すればよい。また、上記した各成分のそれぞれに、水を加えてスラリーとした後、これらスラリーを混合して、触媒担体上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成してもよい。
これにより、触媒担体上において、上記の混合物をコート層として得ることができる。
また、上記コート層は、少なくとも、表面に形成される外側層と、その外側層の内側に形成される内側層とを有する多層として形成することができる。
その場合には、外側層および内側層の少なくともいずれかの層に、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含むことが好ましい。
コート層が多層である場合において、内側層は、上記と同様に、各成分を含むスラリーを触媒担体上にコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。また、外側層(上記内側層以外の層)は、触媒担体上に形成された内側層上に、上記と同様に、各成分を含むスラリーをコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。
また、外側層は、その目的および用途などに応じて、さらにその表面に、貴金属を含むカバー層が形成されていることが好ましい。
カバー層を形成する貴金属としては、特に限定されないが、上記した貴金属のうちRhやPtが好ましい。
カバー層は、例えば、貴金属の塩に、水を加えてスラリーとし、このスラリーに、上記のコート層を有する触媒担体を浸漬させた後、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成すればよい。
貴金属としては、上記したものと同様であり、これら貴金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、貴金属の塩(貴金属原料)としては、上記したものと同様であり、実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。より具体的には、ロジウム塩溶液として、例えば、硝酸ロジウム水溶液、塩化ロジウム水溶液など、パラジウム塩溶液として、例えば、硝酸パラジウム水溶液、塩化パラジウム水溶液など、白金塩溶液として、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液、塩化白金酸水溶液、4価白金アンミン水溶液などが挙げられる。これらの貴金属塩溶液は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
そして、このようにして混合物をコート層として形成した後、その混合物を上記したように有機溶媒に浸漬し、乾燥させる。
これにより、触媒担体上において、水素−酸素再結合触媒をコート層として製造することができる。
そして、このような水素−酸素再結合触媒は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含む混合物が、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬され、その後、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥されている。そのため、比較的低温状態から水素および酸素を再結合させることができる。
一方、還元処理としては、例えば、還元対象物を還元雰囲気下(例えば、水素含有窒素雰囲気下)において高温(例えば、600℃を超過する温度)で焼成する方法などが、一般に知られている。
しかし、このような方法では、高温で焼成するため、熱、電気などのエネルギーを多く必要とし、多くのコストがかかる場合がある。
これに対して、本発明では、還元対象物(上記した混合物)を、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬し、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥させることにより還元処理する。
そのため、本発明によれば、高温で焼成する場合などに比べ、省エネルギー化、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の水素−酸素再結合触媒は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、アルミナおよび/またはセリア系複合酸化物とを含む混合物が、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬され、その後、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥されているため、比較的低温状態から水素および酸素を再結合させることができる。
また、本発明の水素−酸素再結合触媒の製造方法によれば、比較的低温状態から水素および酸素を再結合させることができる水素−酸素再結合触媒を製造することができる。
具体的には、水素−酸素再結合触媒の反応開始温度(後述する実施例において採用される反応開始温度であって、Hの転化率が10%に達するときのサンプル片の温度)は、例えば、15℃以上、好ましくは、20℃以上であり、例えば、90℃以下、好ましくは、85℃以下である。
そして、この水素−酸素再結合触媒は、特に制限されないが、水素および酸素を排出する各種工業プラント、好ましくは、原子力プラントにおいて、水素および酸素を再結合させるために用いられる。
具体的には、例えば、沸騰水型原子力プラントの通常運転中には、冷却水が、核燃料物質の核分裂により生じる中性子やガンマ線などの放射線によって分解され、水素および酸素が生じる場合がある。また、例えば、上記した通常運転の他、設備の故障等によっても水素および酸素が生じる場合がある。さらに、原子力プラントにおいて生じる放射性廃棄物(汚染水を含む。)は、通常、容器に密閉され、地中に埋設されるが、その容器内において、放射性廃棄物によって水が分解され、水素および酸素が生じる場合がある。
このような水素および酸素の混合ガスは可燃性であるため、安全性の観点から、原子炉内や、放射性廃棄物の容器内に水素−酸素再結合触媒を配置して、上記のように生じる水素および酸素を再結合させ、水を生成させる。
このように、水素および酸素を再結合させることにより、それら水素および酸素の混合ガス(可燃性ガス)による爆発事故などを防止することができる。
とりわけ好ましくは、この水素−酸素再結合触媒は、原子炉内に配置される。
すなわち、この水素−酸素再結合触媒は、上記したように、反応開始温度が低いため、水素および酸素の発生後、速やかにそれらを再結合させることができる。そのため、水素−酸素再結合触媒を、原子炉内に配置すれば、水素および酸素が発生した後、早急にそれらを再結合させることができ、水素および酸素の混合ガス(可燃性ガス)による爆発事故などを防止することができる。
次に、本発明を製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
製造例1(Pt−Rh/θ−Al粉末の製造)
θアルミナに、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pt担持θアルミナ粉末を得た。
次いで、得られたPt担持θアルミナ粉末に、硝酸ロジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pt−Rh担持θアルミナ粉末を得た。
この粉末のPtおよびRh担持量は、粉末70gに対して、Pt0.1gおよびRh0.1gの割合であった。
製造例2(Zr0.78Ce0.16La0.02Nd0.04Oxide粉末の製造)
ジルコニウムメトキシプロピレートをZr換算で0.156molと、セリウムメトキシプロピレートをCe換算で0.032molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.004molと、ネオジムメトキシプロピレート[Nd(OCH(CH)CHOCH]をNd換算で0.008molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr0.78Ce0.16La0.02Nd0.04Oxideで示される耐熱性酸化物の粉末を得た。
製造例3(Rh/Zr0.777Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.003Oxide粉末の製造)
製造例2で得られたZr0.78Ce0.16La0.02Nd0.04Oxide粉末20gに、硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.06g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr0.777Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.003Oxide粉末を得た。
次いで、この粉末20gに硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.04g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、500℃で3時間焼成することにより、Rh担持Zr0.777Ce0.160La0.020Nd0.040Rh0.003Oxideの粉末を得た。
この粉末のRh担持量は、粉末60gに対して、Rh0.3gの割合であった。
製造例4(Ca1.010Zr0.985Pt0.0153+δ粉末の製造)
カルシウムイソプロポキシドをCa換算で0.101molと、ジルコニウムイソプロポキシドをZr換算で0.0985molとを、500mL容量の丸底フラスコに加え、さらに、トルエン200mLを加えて撹拌し、溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水を200mL滴下して加水分解したところ、白色の粘稠沈殿が生成した。そこで、この混合アルコキシド溶液からトルエンを留去して、スラリーとした後、このスラリーに、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液をPt換算で0.0015mol加えて、室温下において1時間撹拌した。
次いで、減圧下において水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、大気中、電気炉にて、800℃で1時間熱処理(焼成)することにより、Ca1.010Zr0.985Pt0.0153+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の褐色粉末を得た。この複合酸化物中のPt含有率は、1.61重量%であった。
製造例5(Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末の製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.1molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.09molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.01molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.50Zr0.450.05Oxideで示される耐熱性酸化物の粉末を得た。
製造例6(Pt/Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末の製造)
製造例5で得られたCe0.50Zr0.450.05Oxide粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pt担持Ce0.50Zr0.450.05Oxide粉末を得た。
この粉末のPt担持量は、粉末60gに対してPt0.1g(粉末30gに対してPt0.05g)の割合であった。
製造例7(Ba1.01Ce0.34Zr0.500.10Pt0.063+δ粉末の製造)
バリウムメトキシプロピレートをBa換算で0.101molと、セリウムメトキシプロピレートをCe換算で0.034molと、ジルコニウムメトキシプロピレートをZr換算で0.050molと、イットリウムメトキシプロピレートをY換算で0.010molとを、500mL容量の丸底フラスコに加え、さらに、トルエン250mLを加えて撹拌し、溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、トルエン100mLに、白金アセチルアセトナートをPt換算で0.006mol溶解して、得られた溶液を、上記丸底フラスコ内の混合アルコキシド溶液に加えて、Ba、Ce、Zr、YおよびPtを含む均一混合溶液を調製した。
さらに、上記丸底フラスコ中に、脱イオン水120mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃にて24時間通風し、乾燥させた後、大気中、電気炉にて、850℃で4時間熱処理(焼成)することにより、Ba1.01Ce0.34Zr0.500.10Pt0.063+δからなるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物の粉末を得た。この複合酸化物中のPt含有率は、3.90重量%であった。
製造例8(Pt/Ba1.01Ce0.34Zr0.500.10Pt0.063+δ粉末の製造)
製造例7で得られたBa1.01Ce0.34Zr0.500.10Pt0.063+δ粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pt担持Ba1.01Ce0.34Zr0.500.10Pt0.063+δ粉末を得た。
この粉末のPt担持量は、粉末40gに対してPt0.2gの割合であった。
製造例9(La1.02Fe0.95Pd0.053+δ粉末の製造)
ランタンエトキシエチレート[La(OCOEt)]をLa換算で0.102molと、鉄エトキシエチレート[Fe(OCOEt)]をFe換算で0.095molとを、500mL容量の丸底フラスコに加え、さらに、トルエン200mLを加えて撹拌し、溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、トルエン100mLに、パラジウムアセチルアセトナート[PdII(acac)]をPd換算で0.005mol溶解して、得られた溶液を、上記丸底フラスコ内の混合アルコキシド溶液に加えて、La、FeおよびPdを含む均一混合溶液を調製した。
さらに、上記丸底フラスコ中に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して加水分解したところ、褐色の粘稠沈殿が生成した。そこで、この粘稠沈殿を含む溶液を、さらに、室温下において2時間撹拌した。
次いで、減圧下においてトルエンおよび水分を留去して、LaFePd複合酸化物の前躯体を得た。さらに、この前駆体をシャーレに移し、60℃にて24時間通風し、乾燥させた後、大気中、電気炉にて、800℃で1時間熱処理(焼成)することにより、La1.02Fe0.95Pd0.053+δからなるPd含有ペロブスカイト型複合酸化物の黒褐色粉体を得た。この複合酸化物中のPd含有率は、2.15重量%であった。
<水素−酸素再結合触媒の製造>
実施例1
製造例6で得られた粉末、製造例8で得られた粉末、および、製造例9で得られた粉末を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、内側層を形成した。
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、製造例6で得られた粉末60g(Pt0.1g)、製造例8で得られた粉末40g(Pt0.2g)および製造例9で得られた粉末14g(Pd0.3g)を、それぞれ担持するように形成した。
次いで、製造例1で得られた粉末、製造例3で得られた粉末、および、製造例4で得られた粉末を、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の内側層の表面にコーティングして、乾燥させることにより、外側層を形成した。
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、製造例1で得られた粉末70g(Pt0.1gおよびRh0.1g)、製造例3で得られた粉末60g(Rh0.3g)および製造例4で得られた粉末4.65g(Pt0.1g)を、それぞれ担持するように形成した。
さらに、上記モノリス担体の外側層の表面に、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液を含浸させて、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、カバー層を形成した。
上記カバー層は、モノリス担体1Lあたり、Pt0.5gを担持させた。
これにより、水素−酸素再結合触媒を製造するための混合物を、コート層(3層)として形成した。
次いで、モノリス担体からコート層を直径19mm×長さ15mmの円柱状に切り出した。
その後、還元処理として、ポリエチレングリコール−200(沸点250℃)に1分間浸漬した後、ポリエチレングリコールから取り出し、250℃において1時間乾燥させた。
これにより、水素−酸素再結合触媒を得た。水素−酸素再結合触媒全体でのPt、PdおよびRhの担持量は、それぞれ、1.0g/L、0.3g/Lおよび0.4g/Lであった。
比較例1
実施例1と同様にして、水素−酸素再結合触媒を製造するための混合物を、モノリス担体上にコート層(3層)として形成し、モノリス担体からコート層を直径19mm×長さ15mmの円柱状に切り出した。
その後、還元処理として、H−N混合ガス(H濃度5%)中において、800℃で1時間焼成した。
これにより、水素−酸素再結合触媒を得た。水素−酸素再結合触媒全体でのPt、PdおよびRhの担持量は、それぞれ、1.0g/L、0.3g/Lおよび0.4g/Lであった。
なお、実施例および比較例における触媒組成を、表1に示す。
<評価>
実施例および比較例において得られた水素−酸素再結合触媒をサンプル片として、筒状容器に充填し、その容器内に試験ガス(H:2%、O:2%、HO:4%、N:Balance)を2.5L/minで供給した。
その後、サンプル片を昇温させるとともに、サンプル片間を通過するガスの組成を酸素濃度計により分析し、Oの減少量を測定して、OがHと再結合してHOに転化する転化率(OおよびHの転化率)を求めた。
そして、Hの転化率が10%に達するときのサンプル片の温度を、反応開始温度として求めた。
また、還元処理前の混合物についても、上記と同様にして、Hの転化率が10%に達するときのサンプル片の温度を、反応開始温度として求めた。
その結果を、表1に示す。
Figure 0005997981

Claims (1)

  1. 貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物と、リア系複合酸化物とを含む混合物を調製する工程、および、
    前記混合物を、炭素−炭素結合を有し、沸点が60℃以上250℃以下である有機溶媒に浸漬し、その後、有機溶媒の沸点以下の温度で乾燥させる工程
    を備えることを特徴とする、水素−酸素再結合触媒の製造方法。
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