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JP5997827B1 - 無機繊維断熱吸音材用水性バインダー及び無機繊維断熱吸音材 - Google Patents

無機繊維断熱吸音材用水性バインダー及び無機繊維断熱吸音材 Download PDF

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JP5997827B1 JP2015240042A JP2015240042A JP5997827B1 JP 5997827 B1 JP5997827 B1 JP 5997827B1 JP 2015240042 A JP2015240042 A JP 2015240042A JP 2015240042 A JP2015240042 A JP 2015240042A JP 5997827 B1 JP5997827 B1 JP 5997827B1
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Abstract

【課題】硬化の工程でホルムアルデヒドが発生せず、硬化後の無機繊維断熱吸音材の剥離強度に優れる水性バインダーを提供する。【解決手段】ポリカルボン酸とポリカルボン酸の架橋剤とを含有する無機繊維断熱吸音材用水性バインダーであって、ポリカルボン酸は、重量平均分子量1000〜20000且つ酸価500〜900mgKOH/gのポリカルボン酸を含んでおり、架橋剤は、ポリカルボン酸と反応性の官能基として、アミノ基及びイミノ基の少なくとも一つのみ、又は、水酸基のみを有する反応性化合物、を少なくとも1種含んでおり、反応性化合物は、重量平均分子量100〜500且つアミン価1150〜1650mgKOH/gのポリアミンと、重量平均分子量90〜250且つアルコール価数3以上のポリオールとを含んでおり、ポリカルボン酸中のカルボキシ基のモル数に対する、架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が、0.3〜1.2であり、架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、架橋剤中のアミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が0.01〜0.2である、水性バインダー。【選択図】なし

Description

本発明は、無機繊維断熱吸音材用水性バインダー及び無機繊維断熱吸音材に関する。
グラスウール、ロックウール等の無機繊維断熱吸音材は、無機繊維にバインダーを付着させた後、バインダーを硬化させて製造されることが一般的である。バインダーとしては、フェノール樹脂や水性バインダーが知られており、後者の例としては、特許文献1に記載されたものがある。
特開2013−117083号公報
バインダーとしてフェノール樹脂を用いる場合は、硬化中や硬化後にホルムアルデヒドが発生する恐れがあり、環境負荷低減の要請からホルムアルデヒド非含有バインダーが求められる場合が多い。
一方、水性バインダーとしてはホルムアルデヒドを使用しないものが知られているが、断熱性能を高めるために厚い無機繊維断熱吸音材を製造すると、無機繊維断熱吸音材の表層部が断熱層として働いてしまい、無機繊維断熱吸音材の中心部の加熱が不充分となりやすい。その結果、無機繊維断熱吸音材の中心部のバインダーの硬化度が不充分となり、得られる無機繊維断熱吸音材の品質にばらつきが生じるという問題がある。無機繊維断熱吸音材の品質を評価する方法としてはいくつかあるが、本発明者は、無機繊維断熱吸音材が綿のような形状を有することから、無機繊維断熱吸音材の品質を評価する方法として、その剥離強度を評価尺度とすることが有効であることを見出した。
そこで、本発明の目的は、硬化の工程でホルムアルデヒドが発生せず、硬化後の無機繊維断熱吸音材の剥離強度に優れる水性バインダー及びこの水性バインダーを用いた無機繊維断熱吸音材を提供することにある。
本発明は、ポリカルボン酸と該ポリカルボン酸の架橋剤とを含有する無機繊維断熱吸音材用水性バインダーであって、(1)上記ポリカルボン酸は、重量平均分子量1000〜20000且つ酸価500〜900mgKOH/gのポリカルボン酸を含んでおり、(2)上記架橋剤は、上記ポリカルボン酸と反応性の官能基として、アミノ基及びイミノ基の少なくとも一つのみ、又は、水酸基のみを有する反応性化合物、を少なくとも1種含んでおり、(3)上記反応性化合物は、重量平均分子量100〜500且つアミン価1150〜1650mgKOH/gのポリアミンと、重量平均分子量90〜250且つアルコール価数3以上のポリオールとを含んでおり、(4)上記ポリカルボン酸中のカルボキシ基のモル数に対する、上記架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が、0.3〜1.2であり、(5)上記架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、上記架橋剤中のアミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が0.01〜0.2である、水性バインダーを提供する。
本発明の水性バインダーは、ポリカルボン酸と架橋剤を含有し、上記(1)〜(5)の特徴を有するため、硬化の工程でホルムアルデヒドが発生せず、硬化することで剥離強度に優れる無機繊維断熱吸音材が製造可能となる。
すなわち、本発明の水性バインダーは、上記のポリカルボン酸と硬化剤との反応により硬化する系であるため、加熱硬化時にホルムアルデヒドを放出することなく反応が進行し、排出ガス等において、環境負荷を少なくすることができる。また、架橋剤として、上記ポリアミン及びポリオールを必須成分として含む反応性化合物を含有することから、無機繊維断熱吸音材全体に亘って十分な架橋反応が可能となり、剥離強度に優れるようになる。そして、カルボキシ基のモル数に対する、架橋剤中のカルボキシ基と反応しうる官能基のモル数を上記範囲にしたことで、ポリカルボン酸と架橋剤とを過不足なく反応させることができ、強固な水性バインダー硬化物が得られ、無機繊維断熱吸音材の諸物性が向上する。更に、架橋剤において、水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、アミノ基及びイミノ基のモル数を、上記範囲にしたことから、水性バインダーの硬化の進行が高速度化し、硬化オーブンの温度を上昇させたり、硬化工程の時間を長くすることなく、優れた特性の無機繊維断熱吸音材を製造することができる。
多くのホルムアルデヒド非含有バインダーでは、加熱硬化させる際にエステル結合を形成する組成となっているが、エステル化反応においては、脱水を伴いながら縮合が進行するため、反応速度が遅く、硬化させる際の温度を高くしたり、加熱時間を長くするなどして、バインダーの硬化度を高める必要がある。このため、生産性の低下や、経済性に問題を有している。一方、アミノ基やイミノ基とカルボキシ基とを反応させる熱硬化性バインダーも提案されているが(特許文献1等)、硬化後に形成されるアミド基又はイミド基の親水性が高いために、得られる無機繊維断熱吸音材の湿度によるバインダー劣化が著しく、湿度による無機繊維断熱吸音材の膨れが生じることがあり、これにより品質のばらつきが生じやすい。本発明の水性バインダーは、このような欠点をも克服したものであり、無機繊維断熱吸音材の製造に特に有用である。
ポリカルボン酸は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体をモノマー単位として有するものであることが好ましい。カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合して得られるポリカルボン酸を用いることで、一分子あたりのカルボキシ基の量を増やすことができ、また好適な連鎖移動剤との組み合わせにより、重量平均分子量の制御も容易である。したがって、このようなポリカルボン酸を用いることで水性バインダーとしての機能を向上させることができる(一分子当たりのカルボキシ基が多いことに基づく架橋効率や架橋密度の向上等)とともに、性能のばらつきも低減される。
ポリオールは、水性バインダーの架橋密度をより緻密にし、水性バインダー硬化物の強度をより向上させる観点から、炭素数3〜8の糖アルコールであることが好ましい。
ポリアミンは、アルキレンポリアミン骨格を有する脂肪族ポリアミンが好ましい。このようなポリアミンは水溶性に優れ、不溶成分の沈殿などが生じ難いことから、水性バインダー全体としての均一性が高まり、これを用いて無機繊維断熱吸音材を作製したときに、架橋密度が場所によってばらつくことが防止され、剥離強度が優れるようになる。
水性バインダーには、硬化促進剤、シランカップリング剤、防塵剤、中和剤及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有させることが可能である。このような材料を添加することで、水性バインダーの性能を、硬化工程や使用原料(無機繊維等)に合わせて適宜修正できるようになるため、最終用途に適した配合とすることができる。
このような水性バインダーを用いて、剥離強度が向上した無機繊維断熱吸音材を得ることができる。すなわち、無機繊維と、該無機繊維を固着する上記水性バインダーの硬化物とを備える無機繊維断熱吸音材が提供される。
この無機繊維断熱吸音材は、環境条件、例えば、気温又は湿度によって、断熱吸音性能に関わる断熱材の厚み寸法や、施工時の自立性に関係する剛性が低下することがなく、従来のフェノール系バインダーを使用したものと同等又はそれ以上の物性を有するものであり、住宅、建物等の断熱、吸音材、あるいは真空断熱材の芯材として、好適に使用できる。
本発明によれば、硬化の工程でホルムアルデヒドが発生せず、硬化後の無機繊維断熱吸音材の剥離強度に優れる水性バインダー及びこの水性バインダーを用いた無機繊維断熱吸音材が提供可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施形態に係る無機繊維断熱吸音材用水性バインダー(以下「水性バインダー」と略称する場合がある。)はポリカルボン酸を含有するものであり、ポリカルボン酸としては、重量平均分子量が1000〜20000であり酸価が500〜900mgKOH/gのポリカルボン酸(以下「高分子量ポリカルボン酸」と略称する場合がある。)が必須成分として含まれる。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定されるポリスチレン換算の値であり、酸価は、ポリカルボン酸1gを中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH)を意味する。
ポリカルボン酸としては、高分子量ポリカルボン酸以外のもの(例えば、重量平均分子量が1000〜20000から外れるもの又は酸価が500〜900mgKOH/gから外れるもの)を含有することを排除するものではないが、ポリカルボン酸全量に占める高分子量ポリカルボン酸の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
高分子量ポリカルボン酸は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体をモノマー単位として有するもの、すなわち、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合して得られるものであることが好ましい。なお、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては1種又は2種以上を用いることができる。高分子量ポリカルボン酸を構成するモノマー単位は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体のみからなる場合と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシ基を有しない共重合モノマーとからなる場合がある。後者の場合、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量はモノマーの全量を基準として90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2‐メチルマレイン酸、イタコン酸、2‐メチルイタコン酸、α‐β‐メチレングルタル酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸モノアルキル、無水マレイン酸、無水アクリル酸、β‐(メタ)アクリロイルオキシエチレンハイドロジエンフタレート、β‐(メタ)アクリロイルオキシエチレンハイドロジエンマレエート、β‐(メタ)アクリロイルオキシエチレンハイドロジエンサクシネートが挙げられる。これらの中でも、ポリカルボン酸の分子量が制御しやすいことから、(メタ)アクリル酸を使用することが好ましく、アクリル酸が特に好ましい。また、ポリカルボン酸の酸価を700mgKOH/g以上に調整する場合は、マレイン酸又はフマル酸を使用することが好ましい。なお、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味し、類似の化合物においても同様である。
カルボキシ基を有しない共重合モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n‐ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n‐ステアリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールエトキシ(メタ)アクリレート、メチル‐3‐メトキシ(メタ)アクリレート、エチル‐3‐メトキシ(メタ)アクリレート、ブチル‐3‐メトキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、4‐ヒドロキシブチルアクリレート、3価以上のポリオールのモノ(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、N‐アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N‐ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体;ビニルアルキルエーテル、N‐アルキルビニルアミン、N,N‐ジアルキルビニルアミン、N‐ビニルピリジン、N‐ビニルイミダゾール、N‐(アルキル)アミノアルキルビニルアミン等のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N‐アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N‐ビニルホルムアミド、N‐ビニルアセトアミド、N‐ビニルピロリドン等のアミド系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン、イソプレン、ブタジエン等の脂肪族不飽和炭化水素;スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレン、ビニルトルエン、p‐ヒドロキシスチレン、p‐アセトキシスチレン等のスチレン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体;アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を併用することができる。
高分子量ポリカルボン酸の酸価は、500〜900mgKOH/gであり、550〜750mgKOH/gであることが好ましい。ポリカルボン酸の酸価がこの数値範囲内であることにより、水性バインダー硬化物の強度や剛性が向上し、得られる無機繊維断熱吸音材の圧縮梱包開封後の厚み復元性やボード状に加工された無機繊維断熱吸音材の剛性が向上する。また、断熱性、吸音性又は自立性等、施工時の作業性に優れる。
高分子量ポリカルボン酸の重量平均分子量は、1000〜20000であり、2000〜15000が好ましく、2000〜10000がより好ましい。ポリカルボン酸の重量平均分子量がこの数値範囲内であることにより、水性バインダーの流動性が無機繊維に付与するのに適したものしやすく、水性バインダーの付着量のばらつきを抑制できる。また、無機繊維断熱吸音材の製造において、水性バインダーの繊維への付与は、遠心法等で繊維化された直後の約200〜350℃の高温雰囲気下で行われることが多く、その際、水性バインダー中の水分の揮散を良好にできる。
ポリカルボン酸の重量平均分子量は、水性バインダーの流動性だけでなく、硬化速度や、硬化後の架橋密度とも関係があり、同じ酸価のポリカルボン酸であっても分子量が異なると、水性バインダーの硬化速度や水性バインダー硬化物の強度が変動し、得られる無機繊維断熱吸音材の物性も変化する。例えば、ポリカルボン酸の重量平均分子量が小さくなるにつれて、水性バインダーの硬化速度は速くなるが、硬化物は脆くなる傾向にあり、製造ラインの生産条件によっては、所望する物性が得られない場合がある。ポリカルボン酸の重量平均分子量が上記範囲内であれば、水性バインダーの流動性と、得られる無機繊維断熱吸音材の諸物性との最適化を図ることができる。
水性バインダー中のポリカルボン酸の配合量(固形分換算)は、水性バインダーの固形分換算の全質量基準で、60〜90質量%が好ましく、65〜88質量%がより好ましい。
水性バインダーは、上述のポリカルボン酸の他、架橋剤を含んでおり、架橋剤は、ポリカルボン酸と反応性の官能基として、アミノ基及びイミノ基の少なくとも一つのみ、又は、水酸基のみを有する反応性化合物、を少なくとも1種を含有する。すなわち、アミノ基及びイミノ基の少なくとも一つを有し水酸基を有さない反応性化合物、又は、水酸基を有しアミノ基及びイミノ基を有さない反応性化合物を含有する。このような反応性化合物(架橋剤)は、重量平均分子量が100〜500でありアミン価が1150〜1650mgKOH/gのポリアミンと、重量平均分子量が90〜250でありアルコール価数が3以上のポリオールを必須成分とする。アミン価とは、ポリアミン1gを中和するのに要する塩酸溶液と当量の水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH)を意味する。
架橋剤としては、この必須成分以外のものを含有することを排除するものではないが、架橋剤全量に占める、ポリアミン及びポリオールの合計含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。架橋剤として含有されることができる上記必須成分以外のものは、アミノ基又はイミノ基と水酸基のいずれか一方を有する化合物であることが必須の条件である。
ポリアミンとしては、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン及び芳香族ポリアミンが挙げられる。中でも、水溶性の観点から、脂肪族ポリアミンが好ましく、アルキレンポリアミン骨格を有する脂肪族ポリアミン(好ましくは直鎖状)がよい。
このようなポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン、N,N−ジ(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、1,2,3−プロパントリアミン及び1,1,4,4−ブタンテトラアミンが挙げられる。
ポリアミンの重量平均分子量は100〜500であり、好ましくは150〜400である。ポリアミンも、ポリカルボン酸と同様に、分子量が水性バインダーの流動性及び水性バインダーの硬化挙動に影響する。ポリアミンの重量平均分子量が上記範囲内であれば、水性バインダーの流動性と、得られる無機繊維断熱吸音材の諸物性との最適化を図ることができる。
ポリアミンのアミン価は1150〜1650mgKOH/gであり、1200〜1600であることがより好ましく、1200〜1500であることがさらに好ましい。アミン価を上記数値範囲内にすることで、ポリアミンがポリカルボン酸と速く反応し、水性バインダー硬化物の分子量の増加速度が向上し、水性バインダー硬化物の強度が向上する。同様の観点から、ポリアミンは、アミノ基及びイミノ基を合わせて少なくとも3つ以上有することが好ましく、ポリアミンは水酸基を有さない。
水性バインダー中のポリアミンの配合量(固形分換算)は、水性バインダーの固形分換算の全質量基準で、0.2〜5.0質量%が好ましく、0.3〜4.0質量%がより好ましい。
ポリオールは、アミノ基及びイミノ基を有さず、重量平均分子量が90〜250でありアルコール価数が3以上である。アルコール価数が上記下限値以上であると、架橋反応が充分に改善されるので、架橋構造が緻密なものとなり、水性バインダー硬化物の強度が高くなる。
ポリオールとしては、炭素数3〜8の糖アルコールが好ましい。炭素数3〜8の糖アルコールとしては、例えば、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、イジトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ボレミトール、ペルセイトール及びD-エリトロ-D-ガラクト-オクチトールが挙げられる。糖アルコールは、分子主鎖が炭素-炭素結合で構成されているため、水性バインダーの硬化反応時に分子主鎖が開裂しない。そのため、水性バインダーの架橋度が十分に上昇し、水性バインダー硬化物の諸物性が担保できる。これに対し、分子主鎖中に、エーテル結合、エステル結合及びアミド結合等があると、分子主鎖が開裂してエステル交換反応を起こすため、バインダーの架橋度が硬化時間の割に上昇せず、バインダー硬化物の諸物性が損なわれる場合がある。
炭素数3〜8の糖アルコールの炭素数は、4〜6であることが好ましく、4又は5であることがより好ましい。糖アルコールの炭素数が上記範囲内であると、架橋反応が充分に改善されるので、架橋構造が緻密なものとなり、水性バインダー硬化物の強度が高くなる。
水性バインダー中のポリオールの配合量(固形分換算)は、水性バインダーの固形分換算の全質量基準で、5〜35質量%が好ましく、8〜30質量%がより好ましい。
本発明の水性バインダーは、高分子量のポリカルボン酸と、中分子量のポリアミンと、低分子量のポリオールとを組み合わせることで、より一層本願の効果を奏することができるが、ポリオールの重量平均分子量は必ずしもポリアミンの重量平均分子量を下回らなくてもよい。
ポリカルボン酸中のカルボキシ基のモル数に対する、架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数の比は、0.3〜1.2であり、0.5〜1.0が好ましい。モル比をこの数値範囲内にすることにより、ポリカルボン酸と架橋剤成分とが、過不足なく架橋構造を形成しやすく、水性バインダー硬化物の強度が強固になり、得られる無機繊維断熱吸音材の諸物性を最適なものにできる。
架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、架橋剤中のアミノ基及びイミノ基の合計モル数の比は、0.01〜0.2であり、0.01〜0.15であることが好ましく、0.01〜0.1であることがより好ましく、0.01〜0.05であることがさらに好ましい。モル比をこの数値範囲内にすることで、高分子量ポリカルボン酸及び架橋剤成分であるポリアミンとポリオールは、速やかに架橋構造を形成し、耐水性に好ましくない影響を及ぼすアミド基及びイミド基の形成が抑制されるため、硬化条件により硬化度の変動が少なく、得られる無機繊維断熱吸音材の耐水性を損なわず、機械的強度、断熱材としての寸法の確保が可能となる。
このようにポリカルボン酸と架橋剤とを配合した上記水性バインダーは、硬化の過程でホルムアルデヒドが生成せず、優れた剥離強度を有する硬化物を得ることができる。
水性バインダーは、還元性の無機塩等の硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、例えば、次亜リン酸塩、亜硫酸塩が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。次亜リン酸塩としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸ストロンチウムが挙げられる。亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸水素リチウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素マグネシウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素アンモニウムが挙げられ、なかでも、硬化促進作用のある亜硫酸イオンの含有量が高い亜硫酸水素リチウム、亜硫酸水素ナトリウム又は亜硫酸水素アンモニウムが好ましい。
硬化促進剤の配合量は、ポリカルボン酸及び架橋剤の合計100質量部に対して、固形分換算で0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
水性バインダーは、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤は、無機繊維と水性バインダー硬化物との界面で作用し、水性バインダー硬化物の無機繊維への接着を向上させることができる。シランカップリング剤としては、例えば、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤の配合量は、ポリカルボン酸及び架橋剤の合計100質量部に対して、固形分換算で0.1〜2.0質量部が好ましい。
水性バインダーには、必要に応じて、防塵剤である重質オイル水分散体、着色剤、ガラス等の無機繊維から溶出されるアルカリ成分を中和するための無機硫酸塩(中和剤)、その他添加剤等を更に配合することができる。無機硫酸塩としては、例えば、硫酸アンモニウムが挙げられる。
水性バインダーのpHは、6.0〜8.0が好ましく、6.0〜7.0がより好ましく、6.0〜6.5がさらに好ましい。pHをこの数値範囲内にすることで、製造設備の腐食を抑制でき、また、廃水処理も容易となるので、メンテナンス費用の低減を図ることができる。pHの調整は、揮発性塩基性化合物を用いて行うことが好ましい。揮発性塩基性化合物としては、例えば、アンモニア水、アミン等が挙げられ、硬化時に発生する臭気等の観点から、アンモニア水が好ましい。
水性バインダーは、例えば、以下のような方法で製造することができる。すなわち、上記ポリカルボン酸及び架橋剤に加え、必要に応じて、硬化促進剤、シランカップリング剤、重質オイル水分散体、その他添加剤を、ディゾルバー等の攪拌機のついたタンクに導入して混合すればよい。
水性バインダーの形態としては、エマルション、コロイダルディスパージョン、水溶性組成物が挙げられ、このどの形態をとっていてもよい。ここで、エマルションとは、水性バインダー中の樹脂成分(高分子量ポリカルボン酸等)とは別の乳化剤、例えば、界面活性剤等で乳化したものを意味し、コロイダルディスパージョンとは、樹脂成分中の官能基によって、樹脂成分が水中に分散したものを意味し、一般的に両者とも外観は乳白色を呈する。一方、水溶性組成物とは、樹脂成分が水に溶解しているものをいい、外観も透明又は透明に近いものである。
水性バインダーの形態としては、以下に説明するとおり、工程管理が容易であることから、エマルション又はコロイダルディスパージョンよりも水溶性組成物の方が有利である。すなわち、エマルションやコロイダルディスパージョンでは、分散されている樹脂成分(高分子量ポリカルボン酸等)は、水との溶解性、膨潤性が低い性質を有しており、媒体である水が揮散すると、フィルムを形成しやすい。水性バインダー中の樹脂成分が、硬化前にフィルムを形成すると、無機繊維表面での水性バインダーの流動性が損なわれやすく、水性バインダーの付着量が均質な無機繊維断熱吸音材が得られないだけでなく、無機繊維同士の水性バインダーによる結合が欠ける部分が多くなり、製品としての形状を保つのが困難となる場合がある。また、コロイダルディスパージョンやエマルションでは、一旦、媒体である水が揮散してフィルムを形成すると、再度水性材料に戻り難いため、製造設備等に水性バインダーが付着すると、洗浄が煩雑となり、生産性の低下が生じがちである。
一方、水性バインダーが水溶性組成物である場合、水性バインダーから水が徐々に揮散してもフィルム形成が直ちに生じるわけではないので、上記のような問題が生じることがない。よって、水性バインダーは水溶性組成物として調製することが好ましい。
上記のような事情があるものの、エマルション又はコロイダルディスパージョンについては、加湿条件下で使用したり、水分含有量を調整したりすることで、実用上問題なく使用することも可能であることから、エマルション、コロイダルディスパージョン、水溶性組成物のいずれの形態をとるべきかは、水性バインダーの使用環境に従って適宜決定すればよい。
また、水性バインダーの固形分量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。固形分量を5質量%以上にすると、水分量が適量であるため硬化工程に時間がかかりすぎず、良好な生産性を保つことができる。固形分量を40質量%以内にすると、水性バインダーの流動性の低下を防ぐことができる。ここで、固形分とは、水性バインダーを、1気圧且つ室温(23℃程度)以上100℃以下の温度で加熱して、揮発しない成分をいう。なお、固形分以外の成分(揮発成分)は水であることが好ましい。
実施形態に係る無機繊維断熱吸音材は、無機繊維と、無機繊維を固着(保持)する上記水性バインダーの硬化物と、を備えるものである。すなわち、無機繊維断熱吸音材は、上記水性バインダーを無機繊維に付与し、水性バインダーを加熱硬化させて成形して得ることができるものである。
無機繊維断熱吸音材の密度は、通常の断熱材や吸音材に使用されている密度でよく、好ましくは5〜300kg/mである。
無機繊維断熱吸音材は、例えば、以下のように製造することができる。すなわち、まず、溶融した無機質原料を繊維化装置で繊維化し、その直後に上記水性バインダーを無機繊維に付与する。次いで水性バインダーが付与された無機繊維を有孔コンベア上に堆積して嵩高い無機繊維断熱吸音材用中間体を形成し、所望の厚さになるように間隔を設けた上下一対の有孔コンベア等に送り込んで狭圧しつつ加熱し、水性バインダーを硬化させて無機繊維断熱吸音材を形成する。必要に応じて表皮材等を被覆させて、無機繊維断熱吸音材を所望とする幅、長さに切断する。
無機繊維としては、通常の断熱吸音材に使用されているグラスウール、ロックウール等を用いることができる。無機繊維の繊維化方法としては、例えば、火焔法、吹き飛ばし法、遠心法(ロータリー法ともいう)の各種方法を用いることができる。無機繊維がグラスウールの場合は、遠心法を用いることが好ましい。
無機繊維に水性バインダーを付与する時期としては、繊維化後であればよく、水性バインダーを効率的に付与する観点から、繊維化直後に付与することが好ましい。
無機繊維に水性バインダーを付与する方法としては、スプレー装置等を用いて塗布又は噴霧する方法が挙げられる。水性バインダーの付与量の調整は、従来の撥水剤を含まないバインダーと同様の方法で行うことができる。水性バインダーの付与量は、無機繊維断熱吸音材の密度や用途によって異なるが、水性バインダーを付与した無機繊維断熱吸音材の質量を基準として、固形分換算で0.5〜15質量%が好ましく、0.5〜9質量%がより好ましい。
上記工程によって水性バインダーが付与された無機繊維は、有孔コンベア上に堆積され、嵩高い無機繊維中間体となる。ここで有孔コンベア上に堆積する時に、無機繊維が堆積される有孔コンベアの反対側から吸引装置により吸引することが好ましい。
水性バインダーの加熱方法としては、例えば、熱風オーブンによる加熱が挙げられる。熱風オーブン内の加熱温度は、例えば、200〜350℃とすることができる。加熱硬化時間は、無機繊維断熱吸音材の密度及び厚さにより、30秒〜10分の間で適宜調整することができる。
無機繊維断熱吸音材は、そのままの形態で用いてもよく、また、表皮材で被覆して用いてもよい。表皮材としては、例えば、紙、合成樹脂フィルム、金属箔フィルム、不織布、織布又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。
このようにして得られた無機繊維断熱吸音材は、優れた剥離強度を有する。また、水性バインダーの加熱硬化時に、ホルムアルデヒドを放出することがないので、従来のフェノール・ホルムアルデヒド系バインダーと比較して、環境負荷を少ないものである。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。
以下、実施例に基づき発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
次亜リン酸ナトリウムを連鎖移動剤としてラジカル重合させたポリアクリル酸(重量平均分子量12000、酸価716mgKOH/g)を水で溶解させ、樹脂溶液(固形分46%)を得た。樹脂溶液を固形分換算で100質量部と、トリエチレンテトラミン(アミン価1450mgKOH/g)を固形分換算で0.50質量部と、エリスリトールを固形分換算で38.06質量部と、硬化促進剤である次亜リン酸ナトリウムを4.0質量部と、を混合し、25%アンモニア水でpH6.5に調整した水溶性組成物を得た。さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.3質量部を添加して攪拌した後、固形分が15%となるように水で希釈し、固形分40%の重質オイル水分散体を5.0質量部、硫酸アンモニウム8.0質量部を添加して、水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.99であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.01であった。
(実施例2)
ヘプタエチレンオクタミン(アミン価1200mgKOH/g)を固形分換算で2.27質量部、グリセロールを固形分換算で12.27質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.35であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.10であった。
(実施例3)
次亜リン酸ナトリウムを連鎖移動剤としてラジカル重合させたポリアクリル酸(酸価660mgKOH/g、重量平均分子量7000)を水で溶解させ、樹脂溶液(固形分50%)を得た。樹脂溶液を固形分換算で100質量部と、ヘプタエチレンオクタミン(アミン価1200mgKOH/g)を固形分換算で1.38質量部と、キシリトールを固形分換算で17.17質量部と、硬化促進剤として次亜リン酸ナトリウムを2.0質量部と、を混合し、25%アンモニア水でpH6.5に調整した水溶性組成物を得た。さらに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.3質量部を添加して攪拌した後、固形分が15%となるように水で希釈し、固形分40%の重質オイル水分散体を5.0質量部、硫酸アンモニウム8.0質量部を添加して、水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.50であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.05であった。
(実施例4)
トリエチレンテトラミン(アミン価1450mgKOH/g)を固形分換算で5.68質量部、ソルビトールを固形分換算で37.50質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして水性バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は1.00であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.125であった。
(比較例1)
実施例1において、トリエチレンテトラミンを添加せず、エリスリトールを固形分換算で38.80質量部に変更した以外は同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基のモル数の比は1.00であった。
(比較例2)
1,6−ヘキサンジアミン(アミン価966mgKOH/g)を固形分換算で0.72質量部、グリセロールを固形分換算で39.13質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は1.01であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.01であった。
(比較例3)
トリエチレンテトラミンを固形分換算で0.65質量部、エリスリトールを固形分換算で49.95質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は1.30であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.01であった。
(比較例4)
トリエチレンテトラミンを固形分換算で13.64質量部、エリスリトールを固形分換算で31.22質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、バインダーを得た。カルボキシ基の総モル数に対する、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は1.08であり、水酸基、アミノ基及びイミノ基の総モルに対する、アミノ基及びイミノ基の総モル数の比は0.26であった。
[圧縮強度の評価]
遠心法により繊維化したガラス繊維に、実施例及び比較例のバインダーを所定の付着量になるようにそれぞれスプレーで塗布した後、吸引装置で吸引しながら有孔コンベア上に堆積して、無機繊維断熱吸音材の中間体を形成させた。上記中間体を260℃の熱風中で5分間加熱して、バインダーを硬化させ、密度24Kg/m、長さ1350mm、幅430mm、厚み80mm、バインダー付着量8.0%の無機繊維断熱吸音材(グラスウールボード)を得た。得られたグラスウールボードの厚み方向に、1m/分の速度で10%圧縮荷重を測定した。結果を表1及び表2に示す。なお、比較例2のバインダーを使用したグラスウールボードでは、無機繊維断熱吸音材の中間体を形成する有孔コンベア上に、バインダーの粘着による汚れと、無機繊維の付着が多く観察された。
[耐久性評価]
上記のように作製したグラスウールボードから、厚さ80mm、300mm角の試験片を切り出した。試験片を、温度105℃、圧力35kPaの高温高圧の蒸気下で1時間静置させた後の厚さの変化を測定し、初期の厚さに対する変化率を求めた。結果を表1及び表2に示す。
[剥離強度]
上記のように作製したグラスウールボードから、厚さ80mm、100mm角の試験片を切り出した。アルミニウム製で、厚さ2mmの100mm角の板の片面の中央部に長さ30mmの突起物がある剥離強度測定用治具を2枚用意し、試験片の両面に剥離強度測定用治具の突起物のない面を接着剤で張り付けた。2枚の剥離強度測定用治具を試験片の厚み方向に沿って、1m/分の速度(剥離速度)で互いに逆向きに引っ張り、試験片が破壊される時の荷重を測定し、剥離強度(Kg/m)を求めた。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005997827
Figure 0005997827
表1及び2に示すように、本発明の水性バインダーを用いた無機繊維断熱吸音材は、高い剥離強度を有し、また、無機繊維断熱吸音材の品質評価尺度として知られている圧縮強度及び耐久性についても優れた値を有することから、無機繊維断熱吸音材としてより好適に利用されることができる。

Claims (6)

  1. ポリカルボン酸と該ポリカルボン酸の架橋剤とを含有する無機繊維断熱吸音材用水性バインダーであって、
    前記ポリカルボン酸は、重量平均分子量1000〜20000且つ酸価500〜900mgKOH/gのポリカルボン酸を含んでおり、
    前記架橋剤は
    ミノ基及びイミノ基の少なくとも一つを有し水酸基を有さない、重量平均分子量100〜500且つアミン価1150〜1650mgKOH/gのポリアミンと、
    水酸基を有しアミノ基及びイミノ基を有さない、重量平均分子量90〜250且つアルコール価数3以上のポリオールと、を少なくとも含んでおり、
    前記ポリカルボン酸中のカルボキシ基のモル数に対する、前記架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が、0.3〜1.2であり、
    前記架橋剤中の水酸基、アミノ基及びイミノ基の合計モル数に対する、前記架橋剤中のアミノ基及びイミノ基の合計モル数の比が0.01〜0.2である、水性バインダー。
  2. 前記ポリカルボン酸は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体をモノマー単位として有する、請求項1記載の水性バインダー。
  3. 前記ポリオールは、炭素数3〜8の糖アルコールである、請求項1又は2に記載の水性バインダー。
  4. 前記ポリアミンは、アルキレンポリアミン骨格を有する脂肪族ポリアミンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性バインダー。
  5. 硬化促進剤、シランカップリング剤、防塵剤、中和剤及び着色剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を更に含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性バインダー。
  6. 無機繊維と、該無機繊維を固着する請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性バインダーの硬化物と、を備える無機繊維断熱吸音材。
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